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24時間換気システムってなに?換気扇とはどう違うの?

2024.11.01

賃貸物件には入居者が快適な生活を送れるように様々な設備がついていますが、年々設備の種類やランクが上がっており、日々便利になっています。
エアコンは今では必須設備になりつつありますが、更に快適に過ごせるように換気に関わる設備も増えています。実は換気設備は、大切な設備の1つです!

今回は換気設備について詳しくお話しします。

一般的な賃貸物件には換気設備として、24時間換気システムと換気扇が付いていることがほとんどです。それぞれどのような設備なのでしょうか。

24時間換気システムは、物件の汚れた空気を排出し、外部からの新鮮な空気を取り入れて循環させることです。物件全体の空気を常に新鮮に保ち、快適で健康的な環境を維持するための設備で、設置が法律により義務付けられています。(※2003年以降建築の物件が対象)

具体的には給気口から外部の空気を取り入れ、排気口を通じて室内の汚れた空気を外部に排出するよう空気を巡回させるシステムが24時間換気システムです。
24時間換気システムは1時間で部屋の空気の半分を入れ替えることができ、ホコリや花粉、PM2.5などの有害物質が室内に蓄積することなく、常に清潔な空気環境を維持することが可能です。
気密性が高い物件の場合、自然換気だと限界があり、うまく換気されないことがあるため、24時間換気システムによる換気が重要になってきます。

換気扇も汚れた空気を排出させ、空気を循環させることを目的にした設備ですが、空気を循環させる範囲が限定される点が特徴で24時間換気システムと異なります。

換気扇は主にキッチンやトイレ、浴室など、においや湿気などがこもりやすい所に設置され、排気を目的としています。

24時間換気システムも換気扇もどちらも物件内の空気の循環を目的としている換気システムの1つですが、それぞれ下記のような違いがあります。

24時間換気システム
●物件全体など広範囲の空気を入れ替える全体換気
●入居者の体に悪影響が及ばないように換気するための物
●基本的に常に稼働させる
●設置が法律で義務付けられている※2003年以降建築の物件が対象

換気扇
●トイレやキッチンなど限定した範囲の排気をする局所換気
●物件の特定の場所で発生する、においや湿気などの問題を解決するためのもの
●一定時間のみ稼働させる

それぞれの大きな違いとしては換気できる範囲と利用目的があげられます。

シックハウス症候群とは健康被害を防ぐために、2003年7月1日に建築基準法が改正され、それ以降に建築される全ての建物に24時間換気システムを設置することが義務化されました。

シックハウス症候群とは、住宅内に含まれる化学物質やカビ、ホルムアルデヒドなどが原因となり、住人に頭痛や目の痛み、アレルギー反応を引き起こす現象を指します。
元々通気性の高かった日本の住宅は、厚さや寒さ対策のため高気密化していき、次第に化学物質を用いた住宅が増えていきました。しかし、換気機能が不十分な住宅が多く、シックハウス症候群を発症する人が絶えなかったことが24時間換気システムの義務化の背景となっています。

1時間で部屋の半分近くの空気を入れ替えることができる24時間換気システムは住宅内に化学物質や湿気が滞留しないように空気を常に入れ替え、健康リスクを軽減するために非常に効果的な設備です。

24時間換気システムは、住宅の特性や設置目的に応じて主に3種類あります。
給気と排気の方法、設置コスト、エネルギー効率に違いがあり、種類ごとに「1時間当たりに換気できる風量」が決まっています。
空間に応じた機種を選べば必要量の換気を計画的に行うことができるため、それぞれの違いやメリット・デメリットを理解しておきましょう。

第1種換気方式は給気(外気の取り込み)と排気(室内の空気の排出)までの作業を全て機械で行うシステムです。

機械で強制給気・排気を行うため、効率的に空気の循環が可能で、シックハウス症候群対策としても有効です。そのため、住宅だけでなく、事務所や商業施設など幅広く採用されている換気方式です。

3種類の24時間換気システムの中で第1種換気方式のみ熱交換換気システムにすることが可能です。多くの第1種換気方式に熱交換機能が搭載されており、外気を室内に取り入れる際に温度調節を行うことで、冷暖房効率を高めます。冬場には寒冷な外気を暖かくして室内に導入し、夏場には冷気を保ちながら取り入れることが可能です。

第1種換気は換気を全て機械で行い、安定した空気循環の管理が特徴と言えます。

●一般住宅の換気
●事務所や商業施設
●気密性の高いビルやマンション
●空気の質が重要視される病院
●地下室などの外気を取り込むことができる窓がない居室の換気
●換気の基準が法令で定まっている映画館・劇場やホール等の大空間の換気

●効率的な換気が可能
機械を用いた喚起を行うため、様々な換気方法の中で最も確実に自動的に空気が入れ替えでき、コントロールもしやすいことが大きなメリットです。

●外気を取り込む際の寒暖差がなく、冷暖房代のコスト削減が可能
第1種熱交換換気システムは熱交換換気を採用されていることが多く、エネルギー効率を高めて外気の温度を調整して室内に取り込むことができ、真冬や真夏の冷暖房費のコストメリットがあります。冬の気候が厳しい北海道など、寒冷地で採用されることが多いようです。

●室内の気圧を一定に保つことができる

給排気のバランスが崩れてしまうと、室内の気圧が変わり、扉が明けにくいなどのトラブルが発生しますが、第1種換気は機械で給排気するため、室内の気圧を一定に保つことが可能です。
超高気密な家でも扉が重くなって空けにくいなどのトラブルも少なく、安定して換気できるのが魅力です。

●導入費用が高額
第1種換気方式は換気システムの中で最も効率的な換気システムですが、給排気を機械で行うため、給排気の機械、そしてそれらをつなぐダクト、熱交換器が必要になります。そのため、装置本体が通常の換気システムよりも高額になり、初期設置のコストが高くなります。
特に、熱交換機能付きのシステムでは、数十万円の初期費用が発生することが一般的です。

●ランニングコストがかかる
給気と排気を機械的に行うため、電気料金がかかってしまいます。
他の換気システムも機械で行いますが、第一種換気方式は給気と排気もどちらも機械のため、給気と換気のどちらか一方しか機械の利用をしない他の換気システムになるとランニングコストが高くなってしまいます。

●設置位置によっては冷気・熱気が送られてくる
第1種換気の本体排気型を選ぶ場合、設置場所によっては冷気や熱気が送られてしまう可能性があります。

第1種換気方式は熱交換器を採用していることが多く、給気と排気時に寒暖差を少なくするメリットがあるとお伝えしましたが、換気システムの設置場所によっては熱交換器のメリットが生かされないことがあります。
例えば、設置した場所が水回りだったり北側の居室だったりして常に室温が低い場合、8割の熱交換を行ったとしても給気される空気の温度も低温です。
逆に室外機などの発熱するような機械の近くや常に日差しにさらされている場所に設置してしまうと、真夏に熱気を室内に給気してしまうかもしれません。
元の空気が冷たかったり暑かったりする場合は熱交換器を通しても冷気や熱気になってしまいます。

もし、第1種換気の本体排気型を選ぶのであれば、本体の設置位置をよく考えておく必要があります。

第2種換気方式は機械で強制的に給気し、排気は自然に排気口などから行う自然換気で行うシステムです。

給気口だけに機械を設置するため、外気を効率よく取り入れることが可能ですが、排気口には機械を設置せず、自然換気に依存して行うため、風や気圧の影響を受けやすいという特徴があります。
また、給気の力が強く、排気の力は弱いという特徴があり、室内の気圧が外部より高い正圧と呼ばれる状態になるため、ドアの開閉時に外部からホコリや塵、空気が入り込むのを防ぎ室内を清潔に保つことができます。そのため、この特性を生かせる病院の無菌室や工場のクリーンルームなどに設置されています。

ただし、室内と室外の気圧の差が出てしまう点は一般の賃貸物件ではあまりメリットがないため、3つの24時間換気システムの中では最も普及していません。

第2種換気は給気を機械で行い、排気を自然換気で行うことで室内の気圧が高まる特性を利用し、室内を清潔に保つ点が特徴といえます。

●無菌室
●工場、研究所などのクリーンルーム
●病院の手術室
●東京ドームなどの大型ドーム施設

一般住宅での導入は少なく、不衛生な物質や汚染された大気の侵入が命取りとなる施設で利用されることが多いです。

Point!
東京ドームなどの「空気によって支えられているドーム(空気膜構造方式)」は、ドーム内が正圧になることで屋根が膨らんだ状態を保っています。そのため、ドーム型施設は第二種換気により、正圧を実現し、状態を維持しています。

●費用を抑えられる
給気のみ機械で行う第2種換気方式は、第1種換気方式よりもシステム自体がシンプルなため、設置コストが比較的低く、費用を抑えることができます。
また、給気も排気も機械で行う第1種換気と比較すると、使用電力が少ないためランニングコストも抑えることができます。
ただし、物件によっては給気時に温度や湿度を調節する必要があり、その場合は導入費用もランニングコストも高価になる場合があるため注意が必要です。

●外気の汚染物質の取り込みが少ない
第2種換気方式には正圧になるため、ドアや窓を開けても外から汚染された空気が流入しにくいという衛生的なメリットがあります。
常に新鮮な空気を取り入れることができるだけでなく、不衛生な空気をシャットアウトすることができるのは大変魅力的です。

●結露が発生しやすい
機械を使用した給気方法で外気を積極的に取り入れることができる点が第2種換気方式の魅力ですが、排気は自然任せになるため、排気が滞って十分に行われない場合、結露の原因になることがあります。
結露はカビや床腐れの原因をなるため、住宅に備えるには適していない換気システムです。特に木造住宅にとって大敵です。
そのため、木造住宅の多い日本では第2種換気方式はあまり普及しておらず、木造戸建て住宅ではほぼ使われていません。

●費用が掛かる場合がある
第2種換気方式は第1種換気方式よりも費用を抑えることが可能ですが、物件によっては外気を取り入れる際に温度や湿度の調整機能が必要になることがあり、その結果、メンテナンスコストも増加します。

第3種換気方式は、給気を窓や給気口から自然に行い、排気を換気扇などの機械で強制的に行う方式で、住宅において一般的に最も採用されている換気方式です。

第3種換気方式は排気側に機械を使用するシンプルなシステムのため、3種類の換気方式の中で最も費用を抑えることができます。そのため、少ない費用で導入することができ、コストパフォーマンスを重視する住宅や集合住宅で広く採用されています。
自然換気によって外部の空気を室内に入れるため、給気は外部の気候条件に大きく影響を受けますが、排気は安定して行うことが可能です。
また、機械と比較すると給気量が限られてしまうため、全ての部屋に給気口が必要となる点も特徴です。

第3種換気方式は室内が外気よりも気圧が下がる負圧状態を作ります。負圧は室内の空気が外に漏れにくく、高気密高断熱住宅との相性が良いため、住宅で広く採用されています。

●一般住宅
●集合住宅
●キッチンやトイレ、浴室やにおいを排出したい場所

●第1種換気方式よりも費用を抑えることができる
第3種換気方式は第1種換気方式より設備コストやランニングコストを抑えることができます。
第1種換気方式も第3種換気方式同様、住宅に使用されることが多い換気方式ですが、第3種換気方式は排気のみ機械で行うため、シンプルな作りでダクトが不要な場合が多く、給気も排気も機械で行う第1種換気方式より導入コストもランニングコストも安価です。

●室温を一定に保つことができる
第3種換気方式を利用すると負圧が生じるため、室内の空気が隙間から外部に漏れ出ることを防ぎ、室温を一定に保つことで快適に過ごすことができます。
また、負圧により屋根裏や壁内への湿気の侵入や結露の発生を防ぐこともできます。

●メンテナンスが簡単
ダクトがない場合、掃除する箇所がフィルターと本体のみなので、第1種換気よりもメンテナンスが簡単です。
フィルターのない機器であれば、住んでいる地域次第では半年から1年に1回程度のメンテナンスで十分です。

●外気がそのまま流入してしまう
第3種換気方式は窓や換気口から自然に任せて給気を行うため、外の暑い空気や寒い空気がそのまま室内に入ることで室温に影響してしまうことがあり、その結果、冷暖房費が上がってしまう場合があります。

●結露を引き起こす場合がある


また外気が入る際、第1種換気方式とは異なり、熱交換器による排気から熱を取り出し再利用することができないため、冬場は給気口付近が急激に冷やされ、結露を引き起こしカビの原因になってしまいます。

第3種換気の物件への入居を検討している人は必要に応じて、窓の断熱強化などの追加対策を行うなどの慣例大差がしっかりされているかをよく確認するようにしましょう。

●隙間風が多い場合がある
第3種換気方式はそのシステム上、負圧を作り出すため外からの空気を取り入れやすく、空気を逃がしにくい特性があります。そのため、隙間が多くて気密性が低い住宅の場合、様々な隙間から外気が入り込んでしまう可能性があります。
高気密高断熱住宅であれば、隙間が少ないため隙間風に悩まされることはありません。

●換気効率が落ちる場合がある
給気を自然に任せることになるため、窓や間口を閉め切ってしまうと給気口から十分な給気が行われず、給気が滞り、換気効率が悪くなる場合もあります。

●虫やホコリなどが入り込む可能性がある
給気のために窓やドアを開けておくことで、そこから虫やホコリが入ってしまう可能性があります。なので網戸や虫よけスプレーを活用するのがおすすめです。

3つの換気方式の特徴やメリット・デメリットをそれぞれ把握して、自身の要望や物件に求める機能と照らし合わせながら適切な換気方式の備わった物件を選ぶようにしましょう。

24時間換気システムの効果を十分に発揮させるには定期的なメンテナンスが重要です。
簡単なメンテナンスをご紹介します。

●掃除機でホコリを吸い取り、ぬるま湯で洗浄(3ヶ月に1回程度)
●フィルター交換(1年に1回程度)

フィルターは外気中のホコリや花粉、汚染物質を捕らえる役割を持ち、室内の空気の質を維持するために非常に重要です。フィルターが詰まると換気効率が低下し、結果として電力消費が増加する可能性があります。
常時使用されることが多いフィルターは汚れが蓄積しやすいため、定期的に清掃しましょう。
特にペットを飼っている家庭や花粉やPM2.5が飛来しやすい地域は清掃頻度を増やすことがおすすめです。

●システムの周りを洗剤を含ませた布で拭く(1ヶ月に1回程度)
●分解し、洗剤とぬるま湯で洗浄(3ヶ月に1回程度)

フィルターだけでなく、給気口や排気口にも定期的な清掃が必要です。ホコリや汚れが溜まると空気の流れが悪くなり、換気効率が著しく低下します。
特に湿気が多い環境ではカビの発生を防ぐために結露の拭き取りを行うようにしましょう。

定期的なメンテナンスを行うことで、システムの機能を最大限に活用でき、快適な空気環境を保つことが可能なだけでなく、システムの寿命を延ばし、ランニングコストを低く抑えることができます。

24時間換気システムは常に稼働させることを想定して設置されています。そのため、特段の事情がない限り常に稼働させておきましょう。
長期間の停止は室内の空気が滞留し、シックハウス症候群を引き起こす可能性が高まります。そのため、なるべく換気システムを利用停止しないようにしましょう。

しかし、台風や大気汚染に関する報道などで外気の質が著しく悪化し、室内に取り込みたくないときなどは一時的に換気システムを停止することを考慮した方がよいでしょう。

今回は24時間換気システムの種類とそれぞれの特徴、メリット・デメリット、そしてメンテナンス方法についてご紹介しました。
24時間換気システムは入居者の健康を守るために室内を喚起させることを目的にした設備です。快適に過ごすために重要な役割を果たしています。

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この記事を書いた人

リロの不動産 編集室

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『お住いをお探しの方』『不動産投資がハジメテの方』『賃貸経営をしている方』を対象に、「お部屋探しと不動産」にお役に立つ内容を中立的な視点でお伝えします。住む人も、貸す人も『遊ぶように暮らす』ライフスタイルが実現できるように活動しています。

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