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入居者で賃貸物件の修繕をしないといけない?!入居者負担になる軽微修繕とは?
2024.12.20
賃貸物件で生活していると、設備の故障や不具合が発生してしまうことがあります。賃貸物件の修繕は、管理会社やオーナーへ連絡し対応してもらうのが一般的ですが、電球交換など自分で対応が必要な場合もあります。
ただ、どの修繕をオーナーが対応するのか、それとも自分で対応するのか、どちらなのか判断に迷ってしまうことも多いと思います。
今回は入居者負担の修繕範囲について詳しく解説したいと思います。
目次
賃貸物件の修繕は誰が行う?
賃貸物件の修繕は基本的にオーナーや管理会社が行います。
オーナーや管理会社は「修繕をしないことで入居者が賃貸借契約の目的に沿った使用収益ができなくなるかどうか」を判断基準としています。入居者が快適に暮らせるよう、建物や設備の状態を良好に維持させ、修繕が必要になったら修繕しなければならないと民法で定められているからです。
「修繕をしないことで入居者が賃貸借契約の目的に沿った使用収益ができなくなる」とは、雨漏りの発生やトイレが故障して使用できない、水道から水が出ない、一部の部屋の床が抜けているなど生活ができないレベルの修繕が該当します。
壁紙が経年劣化で変色してしまった、家具を置いていたら床が凹んだなどのケースは、たとえ壁が変色したり床が凹んだりしたとしても通常の生活を送るのに何の問題もないため、修繕義務には該当せず、修繕しなくても問題ありません。
そのため、もし雨漏りやエアコンなど生活にかかわる重要な設備が壊れてしまったら、速やかにオーナーや管理会社に連絡を行い、オーナー側に修繕手配をしてもらいましょう。
オーナーや管理会社に修繕以来の連絡をする際、都合のいい日や時間帯を事前に伝えておくと、修繕日の調整がスムーズに進みます。
その場合はオーナーや管理会社ではなく、ガス会社や水道管理局へ直接連絡する必要がある場合もあります。ガスメーターに記載の番号や、ガスや水道の契約者情報の提出を求められることがあり、オーナーや管理会社ではわからないためです。
ただ、ガス管や水道管の破損が自分の部屋だけでなく、建物全体で発生している場合、オーナーや管理会社でも対応が必要になります。
また、自分の部屋のガス管や水道管の修繕だけだとしても、オーナーや管理会社に事前にガスや水道の修繕をガス会社・水道会社にしてもらうことを共有しておきましょう。
オーナーや管理会社が修繕してくれない!
賃貸物件の修繕はオーナーや管理会社に修繕義務があるとお伝えしましたが、内容によってはオーナーや管理会社が修繕してくれない場合があります。
具体的には下記4パターンの場合です。
●入居者の善管注意義務違反による破損や汚損の場合
●契約書特約に「オーナーや管理会社は基本的に修繕しない」ことが定められている場合
●修繕が必要な機器が設備ではない場合
●軽微な修繕に該当する場合
なぜ修繕してくれないのか、それぞれ確認していきましょう。
入居者の善管注意義務違反による破損や汚損の場合
入居者の「善管注意義務違反」による損傷は、入居者自身で負担しなければなりません。
オーナーが負う修繕義務はあくまでも入居者側に過失がない場合の修繕に限られ、入居者側の故意過失によって修繕が必要になった際はオーナー側に修繕義務がないと2020年4月に施行された法改正により、明文化されているためです。
善管注意義務とは、賃貸物件で生活する際、物件を丁寧に扱い、管理する責任のことで、不注意や故意的に傷や汚れを生じさせる「善管注意義務違反」に該当する場合、修繕費は入居者負担になります。
傷だけでなく、カビの発生や、ペットやタバコ、香辛料など独特なにおいが染みついた場合も善管注意義務違反とみなされるため、注意が必要です。
契約書特約に「オーナーや管理会社は基本的に修繕しない」ことが定められている場合
賃貸借契約の中に「貸主は入居期間中に物件や設備に発生した破損等の修繕義務を負わないものとする」というような特約が設けられています。
事前にこの特約を確認して賃貸借契約を締結した場合は修繕義務よりも特約が優先されるため、オーナーには修繕義務が発生せず、入居者側で修繕を行う必要があります。
ただし、オーナーは修繕義務を免除する範囲を明確に定めておく必要があります。
オーナーが修繕を行わない特約が設定されていても、契約書に記載されていない修繕内容は免除されないためです。特約が定められている中で修繕が必要になった場合には一度契約書を確認してみましょう。
修繕が必要な機器が設備ではない場合
オーナーは物件や設備の修繕義務を負っていますが、設備でない機器の修繕義務は負っていません。
入居者自身で設置したエアコンやテレビモニターホン、インターネットなどは入居者の私物とみなされるため、入居者自身で修繕が必要です。
また、オーナーからのサービス品(プレゼントされたもの)や前入居者の残置物も設備ではないため、オーナーではなく、使用者である入居者が修繕を行わなければなりません。
軽微な修繕に該当する場合
軽微な修繕とは電球の交換や、網戸、蛇口のパッキン交換など生活する上で重大な支障が発生するほどではない小規模な修繕のことを指します。
低コストで小規模な修繕のため、入居者で対応することが一般的です。
軽微修繕に該当するケースは修繕する対象が「消耗品」であることが多いです。電球は使用すればするほど消耗する消耗品とされ、ゴムパッキンや網戸は経年劣化による消耗品とみなされます。
また、自分でもできる範囲の修繕や大掃除等で実施する掃除等も軽微修繕に該当します。
オーナーや管理会社に報告して対応を待つよりも、入居者自身で対応する方が連絡する手間や対応を待つ時間、それらにかかるストレスを削減することができます。
軽微修繕の具体例
●電球の交換
●水栓のパッキン交換
●排水口の軽い詰まりの解消
●襖や障子の張替え
●カーテンレールやタオル掛けの緩みの調整
●換気扇やエアコンのフィルター清掃
軽微修繕の際の注意点
軽微修繕は入居者自身で実施してよい修繕ですが、実際に修繕を行う際は、軽微修繕がどのような場合に該当するか確認しましょう。
入居契約書に軽微修繕に関する記載がされていることが多く、入居者負担とオーナー負担の範囲がそれぞれ明記されている可能性が高いです。入居時に契約書を確認しておくことで、修繕責任の範囲を把握できます。
もし、契約書に記載がない修繕を自分で対応しようとしても、軽微修繕に該当しない修繕の可能性もあるため、事前にオーナーや管理会社に確認して対応することが重要です。
軽微修繕に関するよくある質問
Q1. 軽微修繕とそうでない修繕の違いは何ですか?
A1. 軽微修繕は日常生活で発生する小規模で簡単に対応できる修繕を指します。
例えば、電球交換やパッキンの交換といった入居者が比較的容易に対応できる内容が該当します。
給湯器やエアコンの故障、建物の構造に関わる修繕など、大掛かりな対応が必要な場合はオーナーの負担となることが一般的です。
Q2. 修繕を行う際にオーナーへ報告する必要はありますか?
A2. 軽微修繕の場合、オーナーへの報告は必要ありません。
ただし、オーナー負担の修繕は必ずオーナーや管理会社に事前に連絡しなければなりません。
もしオーナーの修繕範囲の修繕を入居者で勝手に対応してしまうと、費用負担などのトラブルに発展してしまうことがあります。
Q3. 軽微修繕をした際の費用は後から請求できますか?
A3. 通常、契約で入居者負担と定められている軽微修繕は入居者の自己負担となります。
後からオーナーや管理会社に軽微修繕にかかった費用を請求することはできません。
Q4. 入居者が対応するべき軽微修繕の範囲が分からない場合、どうすれば良いですか?
A4. 軽微修繕なのかそうでないのかの判断が難しい場合は、自己判断をせず、契約書の修繕範囲を確認するか、オーナーや管理会社へ連絡するようにしましょう。
事前に連絡することで不要なトラブルや費用負担の問題を避けることができます。
Q5. 修繕後の記録は必要ですか?
A5. 軽微修繕であれば修繕後の記録は必須ではありませんが、後々の確認やトラブル防止のために修繕箇所や対応日時、費用などのメモや写真を記録しておくと安心です。
オーナー負担修繕なのに修繕してくれない場合はどうしたらよい?
オーナーが修繕する内容は入居者側では対応しないようにとお伝えしましたが、オーナーや管理会社に連絡しても修繕してくれず、生活に支障が出ている場合は、入居者自身で修繕を行うことができます。
2020年4月1日に施行された民法改正で、賃貸借契約における修繕義務や賃料減額請求権についてのルールが明確化され、改正民法第607条の2で、賃借人(入居者)が自ら修繕を行える旨が記載されました。
ただし、入居者自ら修繕を行える条件として、以下の2つが定められています。
①入居者がオーナーに修繕の必要性を通知したにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に修繕を行わない場合
オーナーや管理会社へ連絡してしばらく経っても修繕してくれない場合は、入居者が生活する上で、不便が生じるため、入居者側での修繕が可能になりました。
ただし、修繕をする際はオーナーや管理会社に事前に連絡をする必要があります。
無断で勝手に修繕を行うとトラブルの原因になる可能性があるため、必ず連絡を入れるようにしましょう。
②急迫の事情がある場合
エアコンの故障による熱中症の危険や、夜中のトイレの故障で生活が成り立たない状況など、放置すると生活や健康に重大な影響が及ぶ緊急性の高い場合は、入居者側での修繕対応が可能となりました。
オーナー負担の修繕を自分で修繕する際は、事前連絡が必要だと①でお伝えしましたが、②は「急迫の事情がある場合」とされ、一刻も早く対応が必要な緊急事態とみなされるため、オーナーや管理会社へ連絡する前に修繕しても大丈夫です。
ただし、修繕後は必ずオーナーや管理会社にどういった事情で自分で修繕を手配したのか、急迫の事情の詳細を含めて必ず伝えましょう。
①や②に該当し、入居者側で修繕を行った際は修繕費用の領収書や業者とのやり取りなどの関連記録を必ず保管するようにしてください。
オーナーに修繕費用を請求する際に領収書や関連記録が必要になるためです。
また入居者側での修繕を検討する際は、必ずオーナーや管理会社にに「修繕が必要であり、一定期間後に対応しないようであれば自ら手配する」旨を伝えましょう。
オーナーに緊急性が伝わり、急いで修繕を手配してくれる可能性が期待できますし、双方の信頼関係を保つことができます。連絡なしに修繕したり、修繕費を家賃から一方的に差し引くことは大きなトラブルに発展するため、絶対にしないようにしてください。
もし、修繕費についてオーナーや管理会社とうまく連絡が取れない場合は弁護士などプロに間に入ってもらうようにしましょう。
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今回は軽微修繕についてまとめました。
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この記事を書いた人
リロの不動産 編集室
リロの不動産 編集室
『お住いをお探しの方』『不動産投資がハジメテの方』『賃貸経営をしている方』を対象に、「お部屋探しと不動産」にお役に立つ内容を中立的な視点でお伝えします。住む人も、貸す人も『遊ぶように暮らす』ライフスタイルが実現できるように活動しています。