不労所得の種類とおすすめの人を紹介! 不動産投資が選ばれる理由とは
2023.06.07働き方改革が進み、副業が認められる企業が増えています。また、2024年には非課税運用制度であるNISAの内容が大幅拡充することもあり、「貯蓄から投資へ」のシフトが大きく進んでいます。そんな中、「不労所得」が注目されています。不労所得とはどのようなことを指すのでしょうか。
今回は不労所得の定義や種類を紹介するとともに、不労所得の一つである不動産投資のメリットとリスク、その対処法と不動産投資におすすめな人について解説します。
目次
不労所得とは
不労所得とはどのような所得をいうのでしょうか。不労所得の1つである資産所得や、労働所得や副業などの言葉の意味も合わせながら不労所得の定義について解説します。
不労所得
不労所得とは、ひと言でいうと「働かずに得られる収入」のことです。
例えば株式を取得しており、定期的に配当金を受け取っているならそれは不労所得に該当します。FXで得られる収入もそうですし、投資信託で得られる分配金も不労所得に該当します。
また最近注目されている不労所得には不動産収入もあります。収益物件を購入し、家賃収入を得て不労所得を得る不動産投資といわれる方法になります。不労所得の種類は様々ですが、毎月継続して安定した収入を得るためには、元手となる資金や仕組みを作る必要があります。
資産所得
資産所得とは、労働することなく自分が保有している資産から所得を得る方法です。このことからも、資産所得は不労所得の一部ともいえます。
資産運用を行うことで得られる収入や、投資によって得られる収入を指し、保有している株が値上りした際に売却することで得られる売却益(キャピタルゲイン)や、保有している株式から定期的に得られる配当金(インカムゲイン)のほか、不動産投資によって得られる家賃収入も資産所得になります。
労働所得
労働所得とは不労所得の対義語となるもので、給与所得が代表的なものですが、勤労所得と言われることもあります。また、働き方によっては事業所得も労働所得に当てはまります。
労働の対価として収入を得る方法で、極めて一般的な方法です。
労働所得では本人が「資本」となるため、資格の取得やスキルアップをすることで自分に投資を行うことになり、最終的に所得を増やすことにつながります。ただし、資格の取得やスキルアップは本来の意味の投資とは異なるため、所得が必ず増えるわけではありません。
企業に勤めており、給与所得を得ている人は、働いている時間と引き換えに給与が発生するため、企業に在籍している間は安定した収入を得られるという安心感があります。
さらに、アルバイトやパートなどで働いて収入を得る場合も労働所得に該当します。
岸田政権のもとでは「資産所得倍増計画」が打ち上げられ、資産所得を増やす計画が推奨されています。そのような背景もあり、これまで預貯金に偏重していたともいえる日本人も、徐々に資産の一部を運用に回す行動が増えてくるようになりました。
副業
近年の副業解禁の動きの中で、給与所得者など本業を持つ方が本業以外に仕事を持ち、そこから収入を得る「副業」が増えています。副業を不労所得と捉える方もいますが、通常、副業とは労働所得になっているものが大半です。
副業の中で不労所得と呼ばれるものには「せどり」や「ブログ」、「アフィリエイト」、「YouTube」の運用による広告収入などがありますが、通常はそのために時間を費やしているため、厳密には不労所得とはいえないでしょう。
また、副業に似た言葉で「複業」や「兼業」がありますが、複業とは複数の仕事を並行して行うことを指し、兼業とは本業以外にいくつかの仕事を持つことを指します。副業の場合は「本業以外の仕事で収入を得ること」とされているので、複業・兼業の場合は本業・副業の区別がないときに使用される傾向があります。
不労所得が注目される理由
これまではどちらかというと「労働所得」が主な収入として認識されていましたが、最近になって不労所得が注目されるようになったのはどのような理由からなのでしょうか。
考えられる理由について解説します。
自由な時間を得られる
労働所得では、勤務時間に応じた収入が得られることから、労働収入を増やそうと思ったら「労働時間」もしくは「労働量」か「時給」を増やす必要があります。
しかし労働時間については法律で上限が決められており、無制限に働けるわけではありません。時給を上げることは自分の力でコントロールできず、現実的には難しいでしょう。また、労働時間が増えるということは、自分が自由に過ごせる時間が減ることにつながります。
一方、不労所得は自分の時間を減らすことなく収入を増やすことができます。また時間に縛られることもありません。自由になった時間を使ってスキルアップを行ってもよいですし、趣味の時間に使うことで有意義な時間にすることが可能です。
毎日の生活にゆとりの時間を持つことは、多くの方が不労所得に望んでいることだといえます。
低金利が続いている
日本は高度経済成長期に入ってから順調に成長を続け、1989年には日経平均株価が最高値を記録するほどでした。いわゆるバブル経済と言われていたときです。しかし1990年代に入り、バブル経済が崩壊するとともに、日本銀行の金融緩和政策が行われて低金利時代に突入することになりました。
それにともない、バブル経済期には7%程度あった銀行預金金利も、今では0.001%までに下がっています。
これでは預貯金で資産を増やすことはほぼできません。労働所得以外の収入を確保し、自分の資産を増やす必要があるのです。銀行に預けてさえいれば増えた時代は終わり、これからは自分で努力して増やしていかなければならないのです。
インフレが懸念される
物価が上昇することをインフレといいますが、インフレが起こることにより、それまでのお金の価値が下がることになります。例えば1年で2%のインフレが起こったと仮定した場合、これまで100万円だった商品は来年102万円に値上がりすることになります。そうなると、今までの100万円の価値は1年後2%下がることになってしまいます。
つまりインフレが起こった場合は、それを超える運用を行ってお金の価値を上げる努力をしないと、それまで持っていたお金の価値は下がることになるのです。
インフレにはいいインフレと悪いインフレがあります。いいインフレとは物価が上がり、消費が活発になって景気が良くなるインフレを意味します。逆に悪いインフレとは、物価が上昇しているにも関わらず収入は増えず、生活における負担が増えるインフレです。需要は伸びていないにもかかわらず物価が上昇するため、景気を悪化させる要因になるとも言われています。
日本では、現在物価の上昇が進んでおり、お金の価値が下がることが懸念されています。労働収入の増加がなかなか望めない今、現在保有している資産の価値を下げないためにも、労働収入以外の方法で収入を得るか、資産価値を高める方法を考えなければならない局面に達しているといえます。
将来への不安
平均寿命の伸びとともに出生率の低下が進んでいる日本では、超高齢化社会を迎えています。現在の年金制度は現役世代が納めた保険料を基に支払われる賦課方式を採用しています。このまま少子高齢化が進んでいくと、現役世代の負担が大きくなることが予想されます。
昔と比べると60歳以降の就業機会の場も多く与えられるようになっているため、保険料を支払う年代の層は拡がっていることからも、必要以上に不安を感じる必要はありませんが、高齢者にとってはいつまでも就労の場が用意されているわけではないという不安や、就労の場が用意されていたとしても健康な状態で就労できるかどうかが分からないという不安は拭えません。
定年まで勤めたからといって老後の生活が保障されているのは昔の話で、現実は定年後の生活費も自分で準備しなければならない状況です。将来への不安を回避するためにも、働けなくても収入を得られる方法を確保しておきたいと思うのは当然の気持ちではないでしょうか。
不労所得の種類
不労所得にはどのような種類があるのでしょうか。不労所得の種類とその特徴やメリットとともにリスクを知ることで、自分に合った不労所得を知っておきましょう。
外貨預金
外貨預金とは、外国の通貨で預金し、利息や為替差益を得る方法です。円安・ドル高で一時注目を浴びたことからも気になっている方も多いのではないでしょうか。
取り扱う外貨は金融機関によって異なりますが、総じて日本円のまま預金するよりも高い金利が適用される点が特徴です。また、両替するときの為替のレートによっては為替差益を得られる可能性があります。ただし、円を外貨に替えるときと外貨を円に変えるときの手数料や為替の状況によっては、思ったほどの利息を得られないほか、為替差損が発生するケースもあります。
リスクとしては、為替相場の変動による「為替リスク」のほか、通貨を交換する際に「手数料」がかかることや金融機関の「倒産リスク」も視野に入れておく必要があるでしょう。国内預金(普通預金・定期預金など)は、仮に金融機関が倒産しても預金保険機構が1,000万円まで保護してくれます。ところが、外貨預金はこの保険制度の対象外となります。
余剰資金が多い人には向いていますが、一定のリスクがありますので、あり余るほど金融資産を持ち国際分散投資が必要な人以外はおすすめできる方法ではないといえます。
株式
株式とは、株式会社が資金を調達する際に発行する有価証券のことです。そして株式を購入してその配当益(インカムゲイン)を得たり、購入した金額よりも株価が上昇したときに売却することで売却益(キャピタルゲイン)を得る投資方法です。
また、株式によっては株主優待が用意されており、株主優待を目的に保有する人もいます。購入しようとする銘柄の株価によってはまとまった資金が必要ですが、証券会社によっては単元未満株の取引も行われており、1株単位でも購入できます。
株式投資には、キャピタルゲインやインカムゲインを得られるというメリットがあるものの、元本割れするリスクや企業倒産のリスクがあるなど、リターンが大きい反面リスクも大きいという特徴があります。そのため、大きなリスクをとってでもリターンを狙いたいという人に向いています。あまり大きいリスクを取りたくないと考えるなら、後述する投資信託がおすすめです。
債券
債券とは、日本や外国などの国や地方公共団体のほか、企業などが資金調達を目的として発行する借用書のようなもので、国債、県債、市債、社債などがあります。発行時に利回りと満期が決まっており、満期まで保有していれば利息と元本が償還されます。
株式の個別銘柄に比べると利回りは低いですが、発行主体を見極めれば倒産リスクは低いといえるため、リスクを抑えたい人に向いています。
日本の国債などは利回りが低いですが、株式と同様にキャピタルゲインやインカムゲインが狙えます。外国の債券だと利回りが高いものも多くみられますが、海外債券には為替リスクやカントリーリスクがある点に注意が必要です。
投資信託
投資信託とは、投資初心者に向いている投資方法で、投資家から小口で集めた資金を運用会社がまとめ、株式や債券などさまざまな投資先に投資を行う仕組みです。少額の資金から始めることができ、運用をプロに任せられる点が大きな特徴です。
投資信託はその投資先によって多くの種類に分類されており、最近ではiDeCoやNISAなどの非課税で運用できる仕組みの中の商品に多く含まれていることからも、身近に感じる人も多いのではないでしょうか。
投資信託にもキャピタルゲインやインカムゲイン(分配金)がありますが、運用商品の一つであることから、当然元本は保証されていません。
また、投資信託には目標とする指数に連動した値動きを目標とする「インデックスファンド」とそれを超える値動きを目指す「アクティブファンド」がありますが、リスクを背負える人以外はインデックスファンドを選ぶことをおすすめします。
金
実物資産である金に投資をする方法です。金などの実物への投資はコモディティ(商品)と呼ばれ、具体的な投資先は金などの貴金属、原油などのエネルギー、小麦などの農作物があります。インカムゲインは発生せず、キャピタルゲインのみを期待する運用方法です。
インフレの局面や株式市場が変動する時期には、金などのコモディティ投資が選ばれる傾向にあり、そのタイミングでキャピタルゲインを狙うことができます。
どちらかというと資産を多く持っている人が分散投資する場合におすすめの投資方法といえます。
FX(外国為替証拠金取引)
FXとは外国為替証拠金取引と呼ばれるもので、日本円と米ドルなど2つの国の通貨の為替相場を予測して売買を行う金融商品です。少額の資金で取引が始められ、レバレッジをかけることで大きな額の取引を行うことができる点が特徴です。
レバレッジをかけた取引の場合、投資金額以上のリターンを得られる反面、予想を外したら投資した額以上の金額を支払う必要があり、ハイリスク・ハイリターンの資産運用です。
FXには、スワップポイントという「取引した通貨間の金利差のインカムゲイン」もありますが、金利差がマイナスの場合は「逆スワップ」となり金利差を支払うことになります。
取引におけるリスクが大きいことからも、プロレベルのトレーダー以外にはおすすめできない運用商品です。
暗号資産(仮想通貨)
暗号資産とは、仮想通貨とも呼ばれているもので、電子データでやり取りされる実体のない通貨を指します。ビットコインバブルのときは「億り人(暗号資産取引によって資産が1億円以上になった人)」という言葉も流行しました。
しかし、実際には米国で大型のスキャンダルがあるなど、信頼性を疑問視する声も根強く残っています。ブロックチェーンという技術を利用して通貨としての安全性を確保しようとしていますが、下層通貨の価格変動は大きく、ハイリスク・ハイリターンの資産運用に分類され、現時点で得られる収益はキャピタルゲインのみです。
値上がりの大きさからも一時は注目されましたが、あまりの値動きの激しさから、相場を読み切るのは非常に難しい投資と言えます。WEB3.0やsociety5.0など、新しい技術や世界にチャレンジするため、余剰資金で投資を行い、投資分は失ってもいいと思っている方のみに向いている専門性の高い投資商品といえます。
不動産投資
不動産投資とは、実物資産への投資の一つで、区分マンションや一棟アパート・一棟マンションなどの現物不動産を購入し、賃貸に出すことで賃料収入を得る投資方法です。区分マンション投資、一棟アパート・マンション投資のほか、戸建て賃貸住宅投資、オフィスビル投資、商業施設投資、倉庫投資、トランクルーム投資、駐車場投資などの種類があります。
賃貸に出している間は賃料収入(インカムゲイン)を得られるほか、タイミングによっては売却益(キャピタルゲイン)を得られる可能性があります。
不動産投資を始める際にはまとまった資金が必要ですが、金融機関からの融資を利用することで、少ない元手で大きな利益を得るレバレッジ効果が期待できます。
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンに分類されており、適正なリスクを負い、安定的なリターンを得たい人に向いています。
不動産投資は不労所得になる? 不動産投資のメリット
不動産投資は不労所得になるのでしょうか。そして、不動産投資から得られるメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。
不動産投資は不労所得と労働所得の中間
不動産投資は「投資」という言葉が付いているものの、「不動産賃貸業」という事業でもあります。とはいえ、わずらわしい業務は賃貸管理会社に委託できるため、労働を不要にすることができる特徴から、不労所得と労働所得の中間といえます。
そして、不動産投資には労働所得並みの安定収入と不労所得の自由さの両方があります。信頼できる賃貸管理会社に委託し、賃貸経営が軌道に乗ればかぎりなく不労所得に近づくといえるでしょう。
安定した家賃収入が得られる
不動産投資の一番のメリットは、入居者様がいるかぎり家賃収入という安定した収入が得られる点です。そもそも居住系の不動産投資は住宅という生活の基盤に根ざしていることからも、景気動や物価動向にあまり左右されず、月々安定した家賃収入を得ることが可能です。
また、家賃収入は毎月入ってくる収入ですので、物件によっては高い利回りが期待できます。
レバレッジ効果がある
レバレッジ効果とは、「少ない資金で高いリターンを得られる効果」のことです。
不動産投資を行うにあたって、収益物件の購入が必要になりますが、購入費用をすべて自己資金でまかなうのではなく、金融機関からの融資を受けることによりレバレッジ効果を得られます。
不動産投資では大きな金額が必要となるため、金融機関から融資を受けて対応することが一般的となるため、比較的少額から不動産投資を始めることも可能です。融資を活用することで、資産拡大がスピードアップするレバレッジ効果(テコの原理効果)を受けることが可能です。
節税効果がある
不動産投資で得られる所得は不動産所得に該当しますが、仮に不動産所得がマイナス(赤字)になった際には他の所得と赤字分のマイナスを相殺することができます。この仕組みを損益通算といいます。損益通算をすることで、最終的な課税所得が低くなり抑えることが可能です。さらに、損益通算を行ってもマイナスになった場合には、その損失をその後3年に渡って繰り越すことができます。
損益通算できる不動産所得のマイナスは、現実の赤字だけでなく帳簿上の赤宇も計上できます。不動産投資では、減価償却という会計上の仕組みを使って帳簿上の赤字が生じます。減価償却を駆使して所得税の圧縮が可能になります。
また、不動産投資は相続税対策としても活用できます。なぜなら、相続が発生した際の財産評価は、相続発生時の時価になり、預貯金などの金融資産だとその額が100%相続税の対象になりますが、不動産それも賃貸用の不動産の場合、相続財産評価額を最大50%程度まで圧縮できるのです。
そのため、資産を金融資産で保有しておくよりも賃貸用不動産に組み換えておくことで、最終的な相続税を抑えることにつながるのです。
インフレに強い
不動産投資は実物資産への投資のため、インフレに強いという特徴があります。
インフレが発生すると、現金の価値が目減りしてしまいます。しかし、不動産投資を行っている場合は、実物資産である不動産の物件価格は物価の値上がりに連動しているため、インフレの状態であっても資産価値が損なわれることはありません。状況によっては、物価の値上がりに応じて家賃を上げることも不可能ではありません。安定的に収入が増えると言われる理由の一つになります。
不動産投資を行うことにより、インフレリスクから資産を守ることができるのは大きなメリットといえるでしょう。
気をつけたい不動産投資のリスクと対策
不労所得の一つである不動産投資には、不動産投資ならではのリスクが存在します。ここでは不動産投資の代表的なリスクと対策方法について解説します。
空室リスク
不動産投資で得る収入の原資は、入居者様からいただく家賃です。保有されているお部屋にできるだけ入居者様が入居している状態が望ましいのですが、つねに満室状態を続けることはなかなか難しく、場合によっては長らく入居者様が付かない部屋が出てくる可能性もあります。また、空室が増えることは、さらに収入の低下を招くことを示唆します。
収益物件を融資を受けて購入した場合は借入金額の返済が必要ですが、返済の資金は、多くの方が入居者様からいただく家賃収入から充当します。家賃収入が減ってしまうと、返済の資金を自己資金から補填することになり、完済が難しい状態に陥ることも考えられます。
空室リスク対策としては物件購入時から賃貸需要のある立地を選ぶことを忘れないことが大前提としてあげられます。ほかにも「募集力」「仲介力」「入居者管理」「工事対応」の『4つの空室対策』を意識することが賃貸経営では非常に大切です。
空室リスクは不動産投資における最大のリスクとも言われるため、空室状態を作らない対策をつねに考えて対応するようにしましょう。
家賃滞納リスク/入居者信用リスク
いくら満室経営が続いていたとしても、家賃を滞納する入居者様がいると、オーナー様の収入は減少してしまいます。家賃滞納はうっかり入金を忘れていたという入居者様でスグに手続きをしていただけるのでリスクは低いのですが、家賃の催促をしても支払わずその部屋に居座る悪質なケースに遭遇することも考えられます。
話し合いで解決できない場合は、最終的に法的手続きに進むことになり、オーナー様側にも人的・金銭時コストが発生するほか、解決するまでに相当の時間を要することになります。
また、騒音問題を起こしたり、共有部分に私物を置いたり、ゴミ出しのルールを守らないといったトラブルを起こす入居者様が出てくる可能性もあります。家賃滞納や入居者トラブルなどが続くケースでは、良識のあるコミュニティから乖離が生じるため、物件の価値が下がってしまうこともあります。早めの対策を心がける必要があります。
家賃滞納リスクや入居者信用リスクへの対策として、一番に考えられるのは、入居時(契約時)に入居者様の審査を十分に行うことです。書面だけで判断するのではなく、実際に会ってどのような人物かを判断することも大切ですし、属性(年収や勤続年数)から、安定した収入が得られる人かどうかを確認することも必要です。
家賃滞納リスクに関しては、入居者様に家賃保証会社に入会してもらうことも必要になります。入居者様の審査を行う際には、審査のノウハウをもつ賃貸管理会社に任せることも考えましょう。
老朽化リスク・工事/修繕リスク
老朽化リスクとは、建物の経年劣化などから資産価値を回復させるために工事や修繕のコストが発生するリスクをいいます。工事や修繕が発生する場所によっては、修繕費用が高額になる恐れもあるため、修繕積立金を積み立てておくことや、賃貸経営の向上を考え、費用対効果を考慮した設備交換やリフォーム、リノベーションを計画的に行うことが大切です。
建物の屋根や外壁など、部分によって修繕が必要な周期や概算費用をある程度把握し、長期的な視点で修繕計画を立てておくようにしましょう。
定期的なメンテナンスや必要な修繕を行わないと、近隣の競合物件よりも競争力が低下するため、賃料の下落や空室の発生により物件価値が下落します。適切な修繕は結果的に空室リスク対策にもなり、節税効果も得ることができます。
災害リスク
不動産投資の投資先は実物資産のため、災害リスクにさらされることになります。災害リスクに対しては、保険に加入することが一番の対策です。
火災や地震によって建物が崩壊すると、家賃収入が途絶えてしまうと同時に建物の復旧費用も必要になります。対策としては、火災保険や地震保険に加入するほか、耐震構造など地震に強い物件を購入することも大切です。
最近では水害による被害も増えています。収益物件を購入する前に、自治体が用意しているハザードマップを確認し、災害を受けるリスクの少ない立地にある物件を選ぶことも重要です。
不動産投資の3種類の方法
この章では、居住系不動産投資の代表的な投資方法である「区分マンション投資」、「戸建て賃貸住宅投資」、「一棟アパート・マンション投資」について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
区分マンション投資(ワンルームマンション投資)
マンションの1室を購入して賃貸に出す不動産投資を「区分マンション投資」と言います。物件の間取りはワンルームが多く、ワンルームマンション投資と呼ばれることもあります。新築マンションの1室を購入して賃貸に出す方法と、中古マンションの1室を購入して賃貸に出す方法があります。
区分マンション投資は比較的少額の資金から始めることができ、銀行からの融資も比較的得やすいことから不動産投資初心者に向いています。管理業務も管理会社が行ってくれますし、所有するのは専有部分だけですので、修繕する箇所も少なくてすむというメリットがあります。また、区分マンションだからこそ売却しやすいというメリットがある点も区分マンション投資の特徴といえるでしょう。
ただ、所有している物件が1室だけだと、入居者様がいない間は完全に家賃収入が入らない状態となってしまう点がデメリットになります。また、共用部分は他の会社の管理になることが多く、依頼している管理会社の対応が不適切なものだと物件の価値が低下してしまうリスクがあります。
戸建て賃貸住宅投資
戸建て賃貸住宅投資は、戸建て住宅を、賃貸に出して家賃収入を得る投資手法です。相続で引き継いだ物件や購入した戸建て住宅は、ファミリー層が入居者様となる特性があるため、長期にわたって入居してくれる傾向にあり、安定的な収入を得られることがメリットになります。戸建て賃貸住宅投資にも、新築物件を購入して賃貸に出す方法と、中古物件を購入して賃貸に出す方法があります。
戸建て賃貸住宅投資は、中古物件の場合、融資なしでも賃貸経営に取り組めるといったフットワークの軽さがあることから、うまくいけば大きな利回りを得られるメリットがあります。ただし、築古物件を購入する場合だと融資を得ることが難しいため、レバレッジ効果が期待できないこともあります。
また、築古物件の場合はリフォームなどの工事をする場合もあり、単純に賃料を得る不労所得とは言い難い側面がある点はデメリットといえるでしょう。物件の目利きや工事対応に精通する玄人が好む手法です。
戸建て賃貸住宅投資(とくに中古戸建て)は、余剰資金はあまりないが時間に余裕があり、いろいろな作業や手間をいとわない人が向いているといえます。
一棟アパート・マンション投資
アパートやマンションを1棟丸ごと所有して、入居者から賃料収入を得る不動産投資の方法です。1棟丸ごと購入することから「一棟もの」と呼ばれることもあります。ただ、投資金額が大きく、マンションとなると億単位の費用が必要になるケースもあります。一棟アパート・マンション投資にも、新築物件を購入または土地に建物を建築して賃貸に出す方法と、中古物件を購入する方法があります。
部屋数が多いため、安定的に入居者様が付けば多くの家賃収入を得られる点がメリットです。一棟ものの投資は資産規模も大きくなるため、一般的にはキャッシュフローも潤沢になります。懸念点としては、資産規模が大きくなるということは融資を受けるための審査が厳しくなることにも通じます。場合によっては希望した額の融資が受けられない可能性もあります。
また、建物の修繕については多額の費用がかかるため、修繕計画を立て、資金準備を怠らないようにしておく必要があります。
まとめ
普段、労働によって収入を得ている人にとって、働かなくても収入が得られる不労所得は非常に魅力を感じるのではないでしょうか。不動産投資は不労所得の一つに位置づけられているものの、完全な不労所得ではなく、労働所得と不労所得の中間に位置するといえます。しかし、リスクコントロールを適性に行うことで、上手に資産を形成することができるでしょう。
不動産投資をより盤石な不労所得に近づけるためには、「賃貸経営のリスク」に備えた、信頼できる賃貸管理会社をパートナーに選び、管理業務を委託することがポイントです。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。