家賃滞納の消滅時効は5年!時効を止める時効の更新・完成猶予を解説

2025.11.13

賃貸経営のリスクの一つに「家賃滞納リスク」があります。家賃滞納が発生した場合、時効はあるのでしょうか。また、実際に家賃滞納が発生した際にはどのような対応を取るべきなのでしょうか。

今回は家賃滞納について、時効の有無や家賃滞納が発生した際の対処法も合わせて解説します。

▼この記事の内容

●家賃滞納の消滅時効は5年

●時効を止めるための方法は2つ(①時効の更新 ②完成猶予)

●家賃滞納リスクは軽視できない、解決が難しいのは「正当事由」の存在

●家賃滞納問題の実務上の対応(①電話で連絡 ②督促状送付 ③催告 ④家賃滞納者を訪問 ⑤訴訟など法的手段)

●家賃滞納問題の解決事例から最適なアプローチを知る

●居室への無断立ち入りや非常識な督促行為、督促の張り紙などやってはいけないことも

●家賃滞納トラブル回避ポイント(①入居者審査をしっかり行う ②家賃保証会社と契約をしてもらう ③信頼できる賃貸管理会社に委託する)

目次

家賃滞納に時効はあるのか

家賃滞納には時効があるのでしょうか。時効とは、長期間続いた事実を正当な権利として認める制度で、「取得時効」と「消滅時効」があります。

一定の期間を過ぎたあとに権利を取得できるのは取得時効で、権利が消滅するのが消滅時効です。家賃滞納は消滅時効にあたりますが、一体何年で時効を迎えるのでしょうか。

消滅時効とは

消滅時効とは、一定期間が過ぎれば、その期間続いていた権利が消滅してしまう制度です。例えば借金があったとしても、返済しないまま一定期間が過ぎると、時効が成立し、返済しなくてもよくなります。

では、なぜこのような制度が認められるのでしょうか。

その理由の一つに「長期にわたって権利が行使されていない」ことが挙げられます。権利があるなら行使するべきものを、権利を使わずに放置していることに対する法的な効果を認めるべきだと考えるのです。

また、権利があるにもかかわらず行使しないなら、法的にも保護しないという見解を示しています。もう一つの理由は「証拠がなくなる」ことです。時間が経つことにより、証拠を揃えることが難しくなり、そのことによって不利益を被ることは認められないという考え方です。

このような理由から、民法では時効の制度を設けているのです。

家賃滞納の消滅時効は5年

民法第166条では「債権は次にあげる場合には時効によって消滅する」としており、

1.債権者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しないとき
2.権利を行使する事ができる時から10年間行使しないとき

と定めています。つまり、家賃滞納の消滅時効は5年ということです。

消滅時効は、以前は債権者(家賃を受け取る人)が商人に該当するかで5年もしくは10年に分けられていましたが、2020年4月1日の民法改正により、消滅時効は債権者(家賃を受け取る人)が商人に該当するどうかに関係なく一律5年となりました。

旧法では債権者の種類のほか、債権の種類(借金や特許権など)によって時効が5年や10年、20年などに分れていましたが、改正民法によって5年もしくは10年に統一されています。

この改正により、家賃の滞納つまり賃料債権については、オーナー様が滞納の発生を知った時から5年ということになったのです。

なお、この改正民法は2020年4月1日以降に発生した家賃滞納に対して適用され、それ以前に発生している家賃滞納については旧法が適用されます。

出典:e-gov 民法 166条

時効を止めることはできないのか

では、オーナー様は家賃の滞納が発生したことを知った日から5年経った時点で家賃の回収を諦めなければならないのでしょうか。どうにかして時効を止める手段はないのでしょうか。

時効を止めるための方法

時効を止めるための方法はあります。方法には2種類あり、一つが「時効の更新」、そしてもう一つが「完成猶予」です。

時効の更新は中断といわれることもあり、時効を止めるための法的措置のことを指します。時効が更新されるとその時点で時効は完全に終了し、新たに時効が始まる仕組みです。

完成猶予とは、「催告を行った場合には、催告を行った時から6ヶ月間は時効が完成しない」とされるものです。つまり、家賃を滞納している入居者様に対して「家賃を支払ってください」と催告することで、時効が6ヶ月間延長されることになるのです。

この時効を止めるための方法である「更新」そして「完成猶予」について、次項でさらに詳しく解説します。

更新(中断)

2020年4月の民法改正により、時効に関する用語が変更されました。従来の「時効の中断」が「時効の更新」に、「時効の停止」が「時効の完成猶予」に改められています。

時効の更新とは、時効の進行を止める法的措置のことです。そして時効が更新されると、それまで進行してきた時効期間はそこで完全にリセットされ、再びはじめから時効期間がスタートします。時効を更新するには、①裁判上の請求等、②強制執行等、③承認という措置を取る必要があります。

「裁判上の請求等」とは、借金の返済を求める訴訟を起こし、その判決が確定した場合や、支払督促を行った場合、さらには、裁判上の和解もしくは調停が成立した場合を指します。

「強制執行等」には、担保となるものを差し押さえ、さらに競売にかけて換金することで家賃の回収にあてることや、財産開示手続きなどを行うことが当てはまります。

「承認」とは、本人が借金の存在を認めることです。例えば「滞納している家賃を支払ってください」と問いかけ、「分かりました」と答えると、その時点で借金の存在を認めたことになり、時効の更新が始まるのです。

①裁判上の請求等

裁判上の請求等には、「裁判上の請求(民事訴訟における訴えの提起)」、「支払督促(簡易裁判所への提起)」、「和解」および「調停の申立て」、「破産手続参加」があります。

裁判上の請求とは、訴訟を起こして支払いを請求することです。家賃の支払いについて延滞金も合わせていつまでに支払ってくださいという訴訟を起こし、その判決が下った時に時効が更新されるというものです。ただしこの場合は、時効が更新されてから時効が成立するまで10年が必要です。

また、支払督促の手続きを簡易裁判所にて行った場合も時効が更新されます。

支払督促を行うことにより、支払督促の内容を記した文書が裁判所から債務者に送られ、届いてから2週間以内に異議の申し立てをおこない場合はその時点で支払督促が確定し、時効が更新されるのです。仮に不在で文書を受け取れなかったとしても、文書の発送と同時に債務者に届いたとみなす制度がありますので、届いたことを知らないうちに時効が更新されている可能性もあります。

さらに民事訴訟法や民事調停法には「和解」や「調停」について規定されています。

民事訴訟法第267条には、「和解または請求の放棄もしくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。」と記載されていますし、民事調停法第16条には「調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有する。」と記載されています。

そして、これらの和解や調停が成立した時点で時効が更新されます。

破産手続きへの参加も時効の更新理由になります。破産手続に参加した時点で時効が更新されます。

出典:e-gov 民事調停法

②強制執行等

強制執行等には、「強制執行」、「担保権の実行」、「形式的競売」、「財産開示手続」があります。

強制執行とは債権者が債務者の財産を差し押さえ、強制的に借金を支払わせる方法です。具体的には債務者の給料などを差し押さえ、その中から借金額を回収します。

もし、担保を設定しているなら、担保として設定しているものを現金化して回収にあてます。現金化する方法として一般的に用いられるのが競売です。

また、財産開示手続を行った際にも時効が更新されます。

ちなみに強制執行等が行われている間は時効が停止します。そして、強制執行等の手続が終わった時に時効の更新が発生します。

③承認

承認とは、債務者が債権者に対して自己の権利を認めさせることです。例えば、家賃を3ヶ月滞納している者がその事実を認めて、1ヶ月分の家賃だけを支払った場合、承認したと見なされ時効が更新されます。

ほかにも債権者から「家賃を支払ってください」と言われ、「はい」と答えた場合も未払いの家賃があることを認めたことになり、その時点で時効が更新されます。また。「まだ支払っていない家賃がありますよね?」と聞かれ、「はい」と答えた場合も同様です。

さらに、「払ってない家賃の一部を支払っていただければ、延滞金を減額します」といわれ、一部支払った場合も時効が更新されます。

つまり、承認とは「債務者が債権者に対し借金があることを認めること」で、口頭でもその効力が発生します。

完成猶予(停止)

上で述べたとおり、時効の更新とは「それまでの時効期間をリセットし、新しく時効の期間が始まる」ことです。それに対し、完成猶予とは時効を一定期間延長させることです。そして、完成猶予が成立する方法として、「仮差押え等(仮差押え・仮処分)」、「協議を行う旨の書面による合意」、「催告(裁判外の請求 )」などがあります。

「仮差押え等(仮差押え・仮処分)」の場合は、それが終わった時から6ヶ月時効が延長されますし、「協議を行う旨の書面による合意」や「催告(裁判外の請求 )」などを行った際にもその時点から6ヶ月間時効が延長されます。

また、時効の更新と完成猶予が同時に行われる場合と、それぞれ単独で行われる場合がありますので注意しましょう。

更新と完成猶予が同時に行われるのは、裁判上の請求および強制執行等が行われた場合です。そして完成猶予だけが発生するのが、仮差押えや仮処分、協議を行う旨の書面による合意や催告(裁判外の請求)です。

家賃滞納リスクは軽視できない

家賃滞納を「仕方のないこと」と軽視していると、賃貸経営そのものを揺るがしかねない重大な問題に発展します。滞納は未回収家賃だけでなく、明け渡し訴訟の費用や機会損失も生み出し、オーナー様に金銭的・時間的・精神的な負担を強いるからです。

本章では、家賃滞納のリスクについて多角的に見ていきましょう。立ち退き交渉に関しては、以下の関連記事もご参照ください。

【徹底解説】オーナーが把握するべき立ち退き交渉術と立ち退き料とは

家賃滞納の発生率

コロナ禍を経て日本経済活動が緩やかに回復する中、賃貸住宅市場における家賃滞納の発生率自体は、減少傾向にあります。

日本賃貸住宅管理協会の『第28回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」』によると、2023年9月末時点での「2ヶ月以上の家賃滞納率」は、首都圏で0.5%、関西圏で0.4%、全国平均でも0.5%という結果でした。これは、200戸に1戸の割合で2ヶ月以上の滞納が発生している計算になります。

一見すると低い数字に見えるかもしれませんが、この「0.5%」という数字を決して侮ってはいけません。例えば、アパート2棟で合計20戸を経営しているオーナー様であれば、10年間のうちに少なくとも1回は深刻な滞納問題に直面する可能性があるということです。複数の物件を所有するオーナー様ほど、この確率は高まります。

また、これはあくまで「2ヶ月以上」の滞納率です。1ヶ月程度の短期的な滞納を含めれば、その発生率はさらに高まります。滞納はいつ発生してもおかしくない、つねに隣り合わせのリスクであると認識しておくことが重要です。

出典:第28回賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』

家賃滞納による損失

家賃滞納による金銭的な損失は、表面的な未収家賃だけにとどまりません。滞納された家賃そのものも直接的な損失ですが、それ以上に経営に影響を及ぼすのが「見えない損失」です。

滞納者が物件に居座り続ける限り、新たな入居者を募集できず、本来なら得られたはずの家賃収入を得られないという「機会損失」が発生し続けます。明け渡し交渉や法的手続きが長引けば、この損失は1年以上にわたって膨らみ続けるケースも少なくありません。

問題を法的に解決しようとすれば、内容証明郵便の送付に始まり、訴訟に進んだ場合の弁護士費用など、多額の追加費用が発生します。明け渡し訴訟となれば、弁護士費用が数十万円単位になることも珍しくありません。

一つの家賃滞納発生は未回収の家賃に加えて、機会損失や解決のための追加費用といった、複合的な経済的ダメージを経営に与えるのです。

未回収家賃も課税される

賃貸経営の会計処理は、原則として「発生主義」で計上されます。これは実際に入金がなくても、家賃を受け取る権利が発生した時点で収入と見なすルールです。

そのため、家賃が滞納され手元に現金がなくても帳簿上は収入となり、その分の所得税や住民税が課税されてしまいます。キャッシュフローが悪化する中で税負担が増えるという、非常に厳しい状況に陥るのです。

最終的に回収が不可能だと確定すれば、その未回収分を「貸倒損失」として経費計上し、税負担を軽減できる可能性はあります。ただし、貸倒損失が税務上認められるには、「法的に債権が消滅した(自己破産など)」「債務者の資産状況から見て明らかに回収不能である」といった厳格な要件を満たさなければなりません。「連絡が取れない」といった理由だけでは、経費として認められない可能性が高いのです。

事業的規模でない個人オーナー様の場合、貸倒損失の計上が認められにくく、過去の確定申告を修正する「修正申告」が必要になるケースもあります。税務上のリスクを避けるためにも、家賃滞納は早期に解決し、会計処理については税理士などの専門家に相談することが重要です。

解決が難しいのは「正当事由」の存在

家賃滞納問題の解決を困難にしている最大の要因が、「借地借家法」の存在です。借地借家法は、借主(入居者様)の居住権を強く保護する法律で、オーナー様が一方的に賃貸借契約を解除することはできないとされています。

契約を解除して物件を明け渡してもらうには、法律で定められた「正当事由」が必要です。家賃滞納がこの正当事由として認められるには、「オーナー様と入居者の間の信頼関係が、回復不可能なほどに破壊された」と客観的に判断される必要があります。

「信頼関係の破壊」が認められる滞納期間に、明確な法的定めはありません。過去の判例では、一般的に3ヶ月以上の滞納で認められやすくなり、6ヶ月以上続くと「信頼関係が破壊されている」と判断され、立ち退きが認められる傾向が強くなります。1〜2ヶ月程度の滞納では、まだ信頼関係は破壊されていないと判断され、契約解除が認められない可能性が高いのです。

正当事由は滞納期間だけでなく、督促に対する入居者の態度や支払い意思の有無なども含めて総合的に判断されます。オーナー様個人の主張だけでは法的に認められないケースも多く、専門的な知識と客観的な証拠に基づいた慎重な対応が求められるのです。

家賃滞納問題の実務上の対応

では、これまでの法的な内容を踏まえ、家賃滞納問題について実務上どのように対応すればいいのでしょうか。家賃滞納が発生した際の対応の流れを解説します。

まずは電話で連絡する

家賃が支払われていないことがわかった時点ですぐに催促をしましょう。電話で督促するのが一番早いですが、必ずメモを残しておきましょう。メモには「いつ電話をしたか」「その際の対応状況(電話に出ない・留守電に伝言を入れた)」など詳細が分かるようにしておくようにしてください。留守電に伝言を入れたならその内容も記載しておくようにしましょう。

1回目の督促を電話で行うことには意味があります。人によってはうっかり入金するのを忘れていた場合もあります。そのようなケースでいきなり書面で督促を行うと、お互いギクシャクしてしまい人間関係が悪くなる原因になってしまいます。

家賃滞納問題を円満に解決するためにも、人間関係を良好に保っておくことは大切です。そのため、最初の督促は電話で行うよう心掛けましょう。

督促状を送る

電話をしても出てくれないばかりか、折り返しの電話もない状態が続く時には次の手段に移ります。

電話での督促ができない場合は、書面で督促を行います。とはいえまだ1回目の書面での督促ですので、文面は柔らかいものにする必要があります。家賃の入金が確認できていないこと、振り込みをお願いしたい旨を、振込先などと合わせて記載し、送るようにしましょう。

催告を行う

書面で督促を行っても反応がない場合は、催告状を作成して送りましょう。催告状は督促状とは異なり「内容証明郵便」で送ります。

内容証明郵便とは決まった書式で同じものを3通作成し、債務者と債権者そして郵便局が保管することで、本当に督促状を送ったことを証明するものです。郵便局が保管してくれることで、公的な証明になるため、必ず内容証明郵便を利用するようにしてください。

内容証明郵便には、

・1枚の紙に520文字以内
・縦書きの場合1行20文字以内26行以内(一般的)

という形式の決まりがありますので、きちんと守って作成するようにしましょう。

行数や文字数などは郵便局で確認できます。文書には内容証明郵便である印が押されますので、3通とも封をせずに郵便局に持っていくようにしてください。

家賃滞納者を訪問する

内容証明郵便で督促状を送ったら、同時に家賃滞納者を訪問しましょう。電話や郵便物を無視する人でも、訪問し顔を合わせて話すことで話が進むこともあります。

仮に訪問した際に話ができ、家賃を滞納している理由や電話に出られなかった理由、さらには書面での督促にも応じなかった理由を聞き、納得できるなら再度支払いの交渉をしてもいいでしょう。

もし、訪問しても家に居ない場合や、家に居ても話に応じてくれない場合は法的手段に移ることになります。

ここから先は訴訟など法的手段

内容証明郵便で催促状を送り、自宅を訪問しても話し合いに応じてもらえない場合は、法的手段に進みます。具体的には、まず家賃滞納者に対し、契約解除を求めます。そして、家賃滞納額の請求と合わせて部屋の明渡し訴訟の提起を行います。

法的手段を取る際には、費用対効果も考えながら行う必要があります。訴訟にもさまざまな種類があり、家賃滞納額および延滞金を合わせた額が60万円以下であれば、少額訴訟で行いましょう。1回の審理で済み、判決が言い渡されるまでの期間を短くできるメリットがあります。

明渡し訴訟とは強制退去を求める手続きですが、判決が出るまで半年程度の期間を要するほか、訴訟費用も高額になります。また、明渡し訴訟を行うためには、滞納している家賃が最低3ヶ月以上あることや、滞納者に家賃を支払う意思がないこと、オーナー様と家賃滞納者との信頼関係が保てない状態になっていることなどの要件が必要です。

明渡し訴訟決定の判決が出れば、強制的に退去させることが可能になります。

家賃滞納問題の解決事例

ひとくちに家賃滞納といっても、その背景や解決へのアプローチは様々です。本章では、オーナー様と【リロの不動産】が連携して問題を解決した実際の事例を3件ご紹介します。

3年半の家賃滞納額が240万!時間を要するも無事に全額回収!

兼業で賃貸経営をされていたあるオーナー様が、「空室だと思っていた部屋に実は入居者がいた」という事実に気づいたのは、入居から3年半が経過した頃。その時点で、一度も支払われていなかった家賃は、滞納総額240万円という深刻な事態に陥っていました。

ご相談を受け、まずは入居者様と慎重に接触して事情を伺い、返済計画書を含む合意書を作成。当初は支払いに消極的だった連帯保証人様にも粘り強く交渉し、責任を果たしていただく同意を取り付けました。

高額なため回収には2年という長い時間を要しましたが、最終的に滞納家賃240万円は全額回収に成功。この一件を機に、オーナー様は自主管理のリスクを痛感され、保有する全7棟の物件管理を【リロの不動産】にお任せいただくことになりました。

3年半の家賃滞納額が240万!時間を要するも無事に全額回収!

台湾人のオーナー様と連携し家賃滞納のトラブル解消!

海外にお住まいの台湾人オーナー様より、「月24万円の家賃が1ヶ月、2ヶ月と遅れ始め、ついに3ヶ月の滞納になってしまった。言葉や法律が分からず対応が難しいため、すべてをお任せしたい」とのご相談がありました。

ご依頼後、弊社の法務担当部署が迅速に内容証明郵便を送付し、顧問弁護士と連携して明け渡し訴訟を準備。相手に裁判を引き延ばされるなど難航したものの、最終的には強制執行を申し立て、無事に物件の明け渡しを完了させました。幸いにも、その際すでに室内の荷物はなく、費用を抑えられました。

委任状の手配といった国際的な書類手続きの煩雑さも乗り越え、法的に粛々と手続きを進めたことで、オーナー様からの深い信頼を得られた事例です。

台湾人のオーナー様と連携し家賃滞納のトラブル解消!

悪意がない高齢者及び派遣バイトの2名の家賃滞納を全額回収

「管理が大変になってきた」というオーナー様から、2名の滞納者がいる物件の管理をご依頼いただきました。滞納は、いずれも悪意のあるケースではありませんでした。

1人目は3ヶ月滞納されていた高齢者の方で、ご本人に滞納の認識がない状況。そこで地域の包括支援センターに協力を依頼し、交渉を重ねることで無事に全額を回収しました。

もう1人は6ヶ月滞納の派遣バイトの方で、まずは直接面談の機会を設け、現状を丁寧にお聞きしました。その上で無理のない返済計画を作成し、現在は計画通りにお支払いが再開されています。

滞納問題は、必ずしも法的手続きだけが解決策ではありません。相手の状況を正確に把握し、必要に応じて専門機関と協力しながら最適な解決策を導き出した事例です。

悪意がない高齢者及び派遣バイトの2名の家賃滞納を全額回収

その他の解決事例については、以下もあわせてご覧ください。

滞納督促からフルサポート!滞納費用の回収分で物件再生まで伴走

家賃滞納のお困りを解決、4ヶ月の家賃滞納を全額回収!

滞納月数は7ヶ月の賃料回収と明渡しを実行!入居者管理と集金管理

滞納家賃回収の改善事例 一覧

オーナー様が家賃滞納者にしてはいけないこと

ここでは、オーナー様が家賃滞納者に対して絶対にしてはいけない行為を紹介します。最悪の場合、刑事罰を受ける可能性もあるので注意してください。

居室への無断立ち入りなど自力救済行為

家賃滞納が発生した場合、オーナーが無断で居室に立ち入るなどの自力救済行為を行うことは法的に認められていません。自力救済行為とは、本来必要である司法手続きをとらずに、自らの手で問題を解決しようとする行為を指し、いわば「実力行使」のようなものです。

日本では、自力救済行為は民法に違反する不法行為となります。居室への無断立ち入り以外にも「家賃滞納者の所有物を勝手に処分する」「鍵を勝手に交換して家に入れないようにする」なども自力救済行為にあたり、オーナー様が損害賠償請求を受けるリスクもあります。

また、居室への無断立ち入りなどの自力救済行為は、刑事罰の対象となる場合もあります。たとえば、住居侵入罪や窃盗罪、器物損壊罪などに該当し、場合によっては罰金や懲役刑が科せられることもあります。このようなリスクを避けるためにも、家賃滞納問題が発生した際は、まずは弁護士などの専門家に相談して適切な法的手続きを踏むことが重要です。

非常識な督促行為

家賃滞納者への非常識な督促行為は、オーナー様が絶対に避けるべき行為の一つです。非常識な督促行為とは、たとえば深夜や早朝に何度も電話をかけたり、3人以上で押しかけたり、大声で怒鳴りつけたり、長時間居座るなど威迫行為と受け取られるような行為を指します。

これらの行為は、滞納者のプライバシーを侵害するという観点から貸金業法によって禁止されているうえ、民法第709条による不法行為に該当する可能性もあり、滞納者がオーナー様を訴える根拠ともなり得ます。

また、ストーカー規制法や迷惑防止条例などの法令に違反する可能性もあります。これらの法律は、執拗な接触や嫌がらせを禁止しており、違反者には罰則が科せられるケースがあります。

家賃滞納者へ督促を行う際は、連絡や訪問は昼間などの適切な時間帯に行い、冷静かつ丁寧な対応を心掛けましょう。書面での督促を行う場合は、内容証明郵便を使用すれば、後々の法的手続きを有利に進める証拠にもなるためおすすめです。また、弁護士や賃貸管理会社を通じて、法的に正当な手続きを進めることも検討すべきです。

玄関やポストに督促の張り紙

家賃滞納者に対する督促の一環として、玄関やポストに督促の張り紙を貼る行為は、絶対に避けるべきです。張り紙などを利用して、家賃の滞納を第三者に知らせるような行為は、貸金業法によって禁止されています。

玄関やポストに張り紙をすると、近隣住民に対して滞納者の経済状況が知られることになり、社会的信用の失墜につながる恐れもあります。これにより、滞納者が精神的な苦痛を受けるだけでなく、滞納者のプライバシーを著しく侵害することとなり、名誉毀損として訴えられる可能性も生じるでしょう。

督促行為は、滞納者に対して書面や電話で直接行うのが適切であり、滞納者のプライバシーを尊重しなくてはいけません。

連帯保証人以外への督促や連絡

家賃滞納が発生した場合、オーナー様が連帯保証人以外の第三者に対して督促や連絡を行うことは避けるべきです。連帯保証人とは、契約者本人が債務を履行できなかった際に代わりに支払う義務を負う立場の人であるため、家賃滞納が発生した際に連帯保証人に対して連絡や督促をすることは認められています。

その一方で、連帯保証人以外の滞納者の家族や友人、勤務先の人間などに滞納家賃の支払い義務はありません。また、このような連帯保証人以外の人に対して連絡をとって家賃滞納の事実を告げること自体が、プライバシーの侵害となり得ます。個人情報保護法や民法第709条に基づく不法行為として法的問題を引き起こす可能性があります。

特に、滞納者の職場に連絡をする行為は、滞納者の社会的信用を損なう恐れがあり、名誉毀損として訴えられるリスクが高いといえるでしょう。家賃滞納が生じた際の督促や連絡は、契約に基づいた正当な相手である滞納者や連帯保証人に対してのみ行いましょう。

第三者に取り立てを依頼

家賃滞納者に対する取り立てを第三者に依頼することは避けなくてはいけません。家賃滞納は、契約通りの支払いを行わなかったという点から「債務の不履行」にあたりますが、このような債務の不履行が起きた際に当事者本人に代わって督促を行えるのは弁護士のみです。

弁護士のみに認められている行為を弁護士以外が行うことは非弁行為にあたり、取り立てを行った者と依頼したオーナー様の双方が刑事罰に問われる恐れがあります。

また、俗に「追い出し屋」と呼ばれる、家賃滞納者に対して嫌がらせや恐喝をして滞納家賃の回収と共に契約を打ち切るように仕向けることを生業にしている業者もいます。入居者家賃を滞納しているからといって、このような追い出し屋を利用することは入居者から訴えられる恐れがあり、刑法第222条の恐喝罪や第223条の強要罪に該当して刑事罰に問われるリスクもあるため絶対に避けましょう。

家賃滞納トラブルを回避するポイント

家賃滞納者がすぐに家賃を支払ってくれれば問題ありませんが、中には悪質な家賃滞納者もいます。悪質なケースだと最終的に法的手段に進むこともあり、費用や時間もかかります。

家賃滞納トラブルを回避するために、押さえておくべきポイントがあります。

入居者審査をしっかり行う

家賃滞納トラブルを回避するためには、入居者審査をしっかりと行うことが大切です。入居時に入居者様の支払い能力などを審査することで、家賃の滞納を回避できる可能性が高くなります。

そのためには、入居者審査を確実に行う賃貸管理会社に管理業務を委託することが重要なポイントになります。

審査にはさまざまな方法がありますが、書類だけで判断するのではなくきちんと会って判断することや、入居者様の属性から安定した収入を得られる人かを判断することも大切です。入居者審査時に資産状況や年収、勤続年数なども併せて確認するようにしましょう。

家賃保証会社との契約をしてもらう

賃貸借契約の際に、入居者様に家賃保証会社に加入してもらうことは有効な方法です。

家賃保証会社に加入していると、家賃滞納が発生した際には家賃保証会社が滞納者に代わって家賃を支払ってくれます。滞納分の家賃回収業務は家賃保証会社が行うことになります。

家賃保証会社への加入は入居者様に保証料の負担が発生しますが、家賃滞納が発生した場合にオーナー様側が行う回収業務を考えると、オーナー様を守るためにも必要な手段だといえるでしょう。

賃貸不動産の家賃保証とは? 民法改正で拡大する家賃保証制度

賃貸経営における滞納保証とは? 家賃保証や一括借上との違いを解説

中古物件の場合はオーナー様が毅然とした態度を示す

中古物件やオーナーチェンジ物件を引き継ぐ際に注意したいのが、前オーナーの管理体制です。前オーナーの家賃管理が甘かった場合、入居者様の間で「家賃は多少遅れても大丈夫」という認識が広まっている可能性があります。

そのため、オーナーが変わった最初の段階で「今後は家賃の遅れを一切認めない」という毅然とした姿勢を明確に打ち出し、ルールを再設定することが重要です。

具体的な対応方法としては、以下のようなものがあります。

①オーナー変更の通知で方針を明示する

既存の入居者様に対し、管理権が変わったこと、今後の賃料督促方針を含めた挨拶・案内を送付する。

②契約更新時の条件を見直す

更新契約時に、保証会社加入や連帯保証人を立ててもらうことを条件に加える。

③一貫性のある督促を行う

遅延があればすぐ催促し、対応を後手にしない。甘い対応を重ねない。

このように、態度で“ルールは守られるものだ”というラインを最初にはっきり示すことが、滞納抑止につながります。しかし、オーナー様ご自身で入居者様と直接やり取りするのは、精神的にも時間的にも大きな負担です。督促や交渉に長けた信頼できる賃貸管理会社に任せれば、オーナー様に代わってその方針を徹底してくれるため、安定した賃貸経営を目指せます。

定期借家制度を利用する

賃貸トラブル、特に居座りのリスクに対して有効なのが「定期借家契約」という契約形態です。

定期借家契約の大きな特徴は、期間満了によって更新なく契約が終了する点です。そのため、普通借家契約で更新を拒否する際に必要となる、ハードルの高い「正当事由」を用意する必要がありません。期間が来たことを理由に明け渡しを求められるので、オーナー様主導で契約関係を終わらせることが可能です。

契約が更新なく終了するという仕組みは、家賃滞納の抑止力としても機能します。普通借家契約では「更新できるだろう」という安心感が時に滞納につながりますが、定期借家契約は「期間満了で必ず契約が終わる」という前提があるため、入居者様の支払い意識も高く保たれやすいのです。

定期借家契約では、賃貸借契約書とは別に書面を用意し、「契約の更新がなく、期間満了で終了する」ことを事前に説明する義務があります。さらに、契約期間が1年以上の場合、期間満了の1年前から半年前の間に「契約期間終了」の通知を入居者へ送らなければなりません。

定期借家契約は専門的なルールが多いため、一連の手続きは実績のある賃貸管理会社・不動産仲介会社に任せることを推奨します。

信頼できる賃貸管理会社に委託する

入居者様の審査や入居者様の管理がしっかりしている賃貸管理会社に管理業務を委託することで、家賃滞納トラブルを未然に防止できます。仮にトラブルに発展しそうになったときも、迅速な行動で被害を最小限にできるでしょう。

賃貸管理会社に依頼する業務の中には家賃回収代行業務も含まれます。そして、家賃滞納が発生した際には的確かつ迅速な行動を起こせる賃貸管理会社を選ぶことが大切です。

まとめ

家賃滞納トラブルはオーナー様にとって頭の痛い問題です。家賃滞納トラブルを回避するためにも法律的な知識を得た上で、実務に長けている賃貸管理会社におまかせすることをおすすめします。

リロの不動産】は管理戸数・仲介数が多く、こうしたトラブル未然防止のノウハウも蓄積しています。

入居者様に長くお住まいいただき、落ち着いたコミュニティを維持管理するため、過去の賃貸管理実績から導いたガイドラインによる入居者審査を実施しております。入居希望者の受付時には、身元や収入面の審査はもちろんのこと、保証会社の設定や、多重債務の有無、反社会的勢力への接触なども確認いたします。

さらに、保証会社と入居者様で契約をしていただきます。家賃滞納に備えた保障プランもご用意しており、オーナー様のご希望により賃料の回収漏れがない仕組みを柔軟に選択いただけます。

家賃滞納トラブルにお悩みであれば、毎月の賃料を安定させる賃貸経営をサポートする【リロの不動産】にご相談ください。

関連する記事はこちら

【徹底解説】オーナーが把握するべき立ち退き交渉術と立ち退き料とは

賃貸経営における滞納保証とは? 家賃保証や一括借上との違いを解説

賃貸経営サポートとは? 不動産投資の成功を左右する管理会社の実力

家賃収入は副業収入なの? 節税しながら賃料を得る不動産投資とは

不動産オーナーになるには何が必要?仕事内容・収入・注意点まで解説

アパート経営の管理費って必要?自主管理と管理委託の大きな違いとは

おすすめのサービス

賃貸経営SERVICE

おすすめのお役立ち情報

オーナー様向け『リロの賃貸通信』

アバター画像

この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。