不動産オーナーになるには何が必要?仕事内容・収入・注意点まで解説

2023.06.07

毎月決まった家賃収入が得られる不動産オーナーに憧れる方は多いのではないでしょうか。不動産オーナーになれば将来的にも安定した収入が見込めるなど魅力が多いように見えますが、不動産オーナーになるための準備が十分でないと、リスクも大きくなってしまいます。

そこで、本記事では不動産オーナーが行う仕事内容や得られるメリット、年収、不動産オーナーになるうえで必要なことや注意点について紹介します。不動産オーナーを目指す方や、不動産オーナーとして成功できるか不安な方は参考にしてください。

不動産オーナーとは?

不動産オーナーとは、所有するアパート・マンション・戸建てなどの不動産を第三者に貸し出し、家賃収入によって収益を得る人のことをいいます。いわゆる「大家さん」と呼ばれている方々です。不動産オーナーになるために資格を取得する必要はなく、不動産を所有している方であれば、誰でも賃貸経営を始められます。

長期的に安定した家賃収入を得るには、それなりの知識とノウハウが必要です。不動産を所有していれば始められる不動産オーナーですが、賃貸管理や不動産関連の法律の知識に詳しい方のほうが、賃貸経営をより上手に進められるでしょう。

不動産オーナーが把握する賃貸経営の仕事内容

不動産オーナーが把握すること、また対応しなければならない主な仕事として、次のようなものが挙げられます。

● 入居者募集
● 契約・更新の仲介業務
● 集金管理
● 入居者対応
● 退去手続き・立ち会い・再募集
● 修繕・クリーニング・工事対応

それぞれどのようなことを行うのか項目ごとに解説していきます。

入居者募集

入居者様がいなければ家賃収入は得られません。入居者募集は不動産オーナーの収入源となる重要な仕事であることを意識しましょう。空室期間をなるべく短くするために、退去者が出たら迅速な対応が必要になります。具体的には次のような作業が発生します。

● 募集図面を作成して広告を打つ
● 情報をインターネット上に掲載して周知させる
● 入居希望者様の審査を行う

住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)の中には宅建業の免許がないと利用できないものもあるため、宣伝広告は仲介業者や賃貸管理会社に依頼するのが一般的です。また、自ら入居希望者様の審査を行うオーナー様もいますが、家賃滞納などのトラブルを防ぐため、経済状況なども含めて仲介業者や賃貸管理会社に審査してもらったり、保証会社を利用したりすることをおすすめします。

契約・更新の仲介業務

賃貸借契約や更新手続きも、本来は貸主である不動産オーナーが管理する仕事の1つです。入居者様が決まった際の契約書類の作成や読み合わせ、署名・押印などの手続き、契約期間の更新は通常2年間で、2年ごとの更新の通知、更新書類の作成、署名・押印などの手続きなどが必要になります。

賃貸借契約書や更新書類は不動産オーナー自身で作成することができますが、契約時の「重要事項説明」は宅地建物取引士でなければ行えない業務です。また、契約書などに記載しなければならない項目が法律で決まっているため、オーナー様が自分で作成する際には項目の把握が必要です。専門的な知識が必要になるため、契約・更新業務は賃貸管理会社などに任せるのがよいでしょう。

集金管理

家賃の集金管理は収入に直結する大切なオーナー業務です。現在は銀行振込が一般的で、オーナー様が直接訪問して現金で受け取るケースはほとんどないでしょう。入金日には銀行で記帳、あるいはインターネットバンキングを利用して家賃が振り込まれているかを確認し、滞納がある場合は支払いを催促します。

しかしながら、まれに催促を繰り返してもなかなか入金されないケースもあり、オーナー様にとっては精神的な負担の大きい作業です。滞納した家賃を踏み倒して夜逃げをするなどの悪質なケースも起こる可能性があるため、家賃回収のノウハウを持った賃貸管理会社に依頼するほうが、先述のように入居者募集時の入居者審査でリスクを軽減でき、安心できるでしょう。

入居者対応

入居者様から寄せられる要望や問い合わせなどに対応するのも、賃貸経営で重要な仕事の1つです。水漏れや設備の不具合などは業者の手配、生活音の苦情などに対しては状況を聞き取って対策を行うなどの対応が求められます。

ときには入居者様からだけでなく、近隣住民から「ゴミ出しのマナーが悪い」などのクレームが入ることもあります。いずれも深刻なトラブルにつながる前に、連絡を受けたら迅速に対応することが大切です。

会社勤めをしているオーナー様の場合、スピーディーな対応が難しいこともあるでしょう。所有する物件数が増えればオーナー様に寄せられる連絡も多くなり、精神的にも負担に感じがちです。そのため、多くの不動産オーナー様は入居者対応を賃貸管理会社に委託しています。

退去手続き・立ち会い・再募集

入居者様の退去時には次のような仕事が発生します。

● 退去にともなう解約の手続き
● 敷金の精算
● 退去時の立ち会いと室内の点検
● 原状回復工事(必要に応じてリフォーム)の手配
● 入居の再募集

空室が発生している部屋からは家賃収入が得られないため、退去から次の入居付けまでの一連の流れを段取りよく進めることが大切です。不動産オーナー様の多くは賃貸経営の一連の流れを賃貸管理会社に委託し、手間をかけずにスムーズに進めています。

修繕・クリーニング・工事対応

日々の清掃や定期的なメンテナンス、建物の不具合が発生した際の修繕などの対応も賃貸管理の仕事です。建物の安全性・居住性の確保は不動産オーナーの義務の一つであり、建物や周辺を綺麗に維持することは、安定した入居率の継続や近隣トラブルの予防につながります。

区分マンションの賃貸経営の場合、建物全体の管理は管理組合を通して行われるため、オーナー様が個人的に清掃や修繕を行う必要はありません。1棟でアパートやマンションを所有している場合は、オーナー様自らが清掃や専門業者への手配を行う必要があります。修繕業務などの建物管理も、賃貸管理会社への委託が可能です。

不動産オーナーのメリットとは

不動産オーナーにはさまざまな実務がともなうため、業務が多く続けられるか不安に感じることもあるかもしれません。大変な業務であるからこそ、不動産オーナーになることで得られるメリットはたくさんあります。ここからは、主なメリットとして次の5つを紹介します。

● 実物資産になる
● 安定した収入を期待できる
● 節税対策として有効
● レバレッジ効果が高い
● 生命保険がわりになる

それぞれ詳しく把握しておきましょう。

実物資産になる

不動産は実物資産であることが大きな魅力です。現金や預貯金はインフレで価値が下がりますし、株などは発行元の破綻によって価値がゼロになる可能性があります。不動産の場合、基本的に建物の価値は築年数に応じて下がっていく傾向にありますが、土地の価値は変わりません。

もちろん、不動産の価格も社会情勢などの影響を受けて変動することがありますが、動きは比較的緩やかです。株やFXなどのように1日で価格が大暴落することはないため、安心して保有できるでしょう。

また、活用方法を選べるのも実物資産の強みといえます。居住用不動産の場合、賃貸に活用するだけでなく自分で住むことも可能です。売却して現金化することもでき、タイミングによっては売却益も期待できます。

安定した収入を期待できる

不動産オーナーを目指すきっかけの1つとしてよく挙げられるのが、安定した収入を期待できることです。賃貸経営が軌道に乗れば、毎月一定額の家賃収入が発生します。先述のとおり賃貸経営の実務はほとんどが賃貸管理会社に委託できるため、副業として取り組む方もたくさんいます。将来的に家賃収入だけで生活することを目標にして、計画的に物件を買い増している不動産オーナーも少なくありません。

例えば1室の賃料が5万円(管理費などは除く)の場合、1戸保有の区分マンションオーナー様は月5万円の賃料収入を得ます。10戸保有するアパートオーナー様は月50万円、50戸所有するマンションオーナー様は月250万円の賃料収入を得られます。

不動産の規模が大きくなるほど賃料収入額の見込みも多くなりますが、賃料収入の全額がそのまま手元に残るわけではありません。ローン返済や経費などの支出も物件数が増えるほど多くなる傾向にあるため、注意が必要です。

また、物件を保有する経緯や目的などによって、出口戦略や対応業務の優先順位が異なります。投資用物件を選ぶ際は運用に必要な費用や節税を考慮した設備投資計画を盛り込んだ、詳細なシミュレーションを行っておくと安心です。

節税対策として有効

不動産には相続税・贈与税の節税効果があります。現金や預貯金などはその100%が課税対象になりますが、不動産の場合は評価の基準が異なり、同じ額の資産でも80%ほどに抑えられます。収益物件として第三者に貸し出している場合はさらに評価額から30%程度が控除されるため、節税対策として特に有効といえるでしょう。

副業で賃貸経営をしている場合は、所得税や住民税も節約できる可能性があります。給与所得や事業所得、不動産所得などは損益通算の対象であり、黒字と赤字を相殺することが可能です。不動産所得で赤字が出た場合、ほかの所得から赤字分を差し引くことで所得全体が下がり、所得税や住民税も少なくなるというわけです。

レバレッジ効果が高い

不動産はレバレッジ効果の高い投資対象といわれています。レバレッジとは「てこの原理」と訳される英語で、投資の世界では「少ない自己資金で大きな額の資産を運用すること」を表します。

不動産を購入する際は融資を利用するのが一般的です。少額の自己資金で数千万円から数億円の不動産を購入できます。自己資金の数十倍の不動産を運用して大きな収入を得られるのはレバレッジ効果が高いといえるでしょう。ただし、レバレッジはプラスの効果だけでなくマイナスの方向に動く可能性もあるため、運用を軽視してはいけません。

生命保険がわりになる

不動産購入に融資を利用する際、ほとんどの金融機関では団体信用生命保険(団信)に加入することを条件にしています。契約者が死亡もしくは高度障がい者になった場合、ローンの残債は保険から支払われ、遺族には不動産のみが残るという仕組みです。

ローンが完済された不動産は売却して生活資金にしたり、収益物件の場合はそのまま賃貸経営を続けて家賃収入を得たりすることもできます。もしものときに家族が経済的に困らないようにと、生命保険がわりに物件を購入するオーナー様も少なくありません。

不動産オーナーに必要なこと

不動産オーナーの仕事内容やメリットを押さえたところで、次に不動産オーナーになるために必要なことを把握していきましょう。注意したいのは以下の4つです。

● 不動産投資に関する知識の習得
● 自己資金や物件の維持管理に必要な経費の確保
● 保有物件エリアの情報収集
● 信頼できるパートナー選び

不動産を所有していれば誰でも不動産オーナーになれますが、成功できるかどうかは別の話です。1つの選択を間違えると多額の負債を抱えることにもなるため、しっかりと準備する必要があります。

不動産投資に関する知識の習得

長期的に安定した賃貸経営を続けるには、不動産投資に関する知識の習得が必要不可欠です。収益性のある物件かどうかを見極めるために必要な不動産の知識や、契約時などのトラブルを防ぐための法律の知識、金融や経営の知識など、学んでおいたほうがよいことは多岐にわたります。

不動産オーナーになるのに資格は不要ですが、学びを兼ねて関連資格の取得を目指してみるのもよいかもしれません。おすすめの資格には、「宅地建物取引士」「マンション管理士」「ファイナンシャルプランナー」などが挙げられます。

しかし、幅広く深い専門性を必要とする知識の習得には時間がかかります。信頼できるパートナーと一緒に学ぶことも選択肢に加えると、スピーディーに知識の習得ができるでしょう。

自己資金や物件の維持管理に必要な経費の確保

融資が利用できるとはいえ、購入時の頭金や諸費用は現金で支払うため、ある程度の自己資金は必要です。購入する物件が新築か中古かでも異なりますが、諸費用として物件価格の10%程度、頭金は物件価格の20%程度を目安に準備しておくことをおすすめします。

さらに、購入後の維持管理にも次に挙げる費用がかかり続けます。

● 修繕費:建物の補修、設備の修理・交換など
● 管理費、修繕積立金:マンション投資(区分・一棟)の場合
● 委託管理費:物件管理を賃貸管理会社に委託する場合
● 固定資産税、都市計画税

維持管理費用は基本的に家賃収入で賄いますが、足りない場合は自己資金から捻出しなくてはなりません。定期的にかかる費用に加え、臨時の出費も想定してできるだけ詳細な収支計画を立てることが大切です。なお、税務も考慮して計画的な経費計上を行うことで、無理しない賃貸経営を行うことができます。

保有物件エリアの情報収集

的確な情報収集は収益に直結します。建物の状態はもちろん、周辺環境の変化や近隣の類似物件についても常にチェックすることが大切です。間取りや設備、立地条件などがほぼ同じだとしたら、入居希望者様はより賃料の安い物件を選ぶでしょう。

とはいえ、むやみに家賃を下げるのはおすすめできません。家賃設定が適切かどうかを確認する必要はありますが、ニーズを満たすことで入居率をキープするのがベストです。

周辺環境は日々変わるため、新しくできる施設や閉鎖される施設などもチェックし、ニーズやターゲット層の変化を敏感に捉える必要があります。現在のニーズや将来的に考えられるニーズについて、その地域に詳しい不動産会社や賃貸管理会社に尋ねてみるのも1つの方法です。

信頼できるパートナー選び

不動産オーナーになりたてのときはわからないことが多く、判断や選択に迷いがちです。まずは困ったときに相談できる専門家を探してみましょう。すでに成功している不動産オーナーに師事する方もいますが、有益なアドバイスをもらっても実務は自分で行わなくてはなりません。そのため、オーナー業務を委託する賃貸管理会社をパートナーに選ぶのがおすすめです。

選ぶ際は先述のオーナー業務すべてに対応可能かどうかを確認してください。賃貸管理会社によって、対応範囲や業務内容が異なることがあります。また、入居者募集などの仲介やクレーム対応などの賃貸管理の実績も慎重に確認しましょう。仲介・管理の実績はもちろん、物件選びから出口戦略までトータルサポートが可能な賃貸管理会社をパートナーに選ぶことをおすすめします。

不動産オーナーとして成功するための3つの注意点

不動産オーナーになって収入を得られるようになると、つい欲が出てしまい、判断を誤ってしまうこともあります。ここでは、不動産オーナーとして成功するための3つの注意点を紹介します。

● 目的を明確にして実績を積んでいく
● リスク対策を万全にしておく
● ネット情報や他人から聞いた情報を鵜呑みにしない

それぞれのポイントを押さえておきましょう。

目的を明確にして実績を積んでいく

不動産オーナーになる前に目的を明確にしておくことが大切です。不動産オーナーになることが目的になると、物件を保有してからの対策がおろそかになることがあります。目的に沿った賃貸経営の運用ができているかを確認するための途中経過を図るためにも、目的の明確化は重要といえます。

資産形成を目的とした場合は比較的購入しやすい区分マンションから始めて、少しずつ物件を買い増していくのが一般的です。家賃収入が現時点で安定しているからと無理な資金繰りで購入したり、物件情報の把握が甘い状態で購入したりすると、うまく運用できなくなってしまう可能性もあります。

逆に、節税と資産形成を目的とするなら、最初から1棟アパートを購入して賃貸経営をするほうがよいかもしれません。賃貸経営を行う目的に沿った運用ができているかを確認しながら実績を積み上げ、必要な知識を得てから目的達成につながるステップアップをしていきましょう。

リスク対策を万全にしておく

不動産投資はメリットばかりではなく、リスクもあります。空室や家賃滞納による減収、建物の老朽化による修繕費の増加、金利上昇で返済計画が狂うなど、さまざまなリスクが起こり得ます。実物資産である以上、自然災害による損失の可能性もゼロではありません。

ダメージを最小限に抑えるために、あらゆるリスクを想定して適切な対策を講じることが重要です。イメージしやすい具体的な例としては、空室リスクや家賃滞納リスクに備えて賃貸管理会社に業務委託する、自然災害に備えて火災保険・地震保険に加入するなどが挙げられます。いい面ばかりを見るのではなく、リスクを把握し、適切なタイミングとコストでリスクに備えることが重要といえるでしょう。

ネット情報や他人から聞いた情報を鵜呑みにしない

わからないことがあったとき、インターネットで調べるという方は非常に多いです。ほかの不動産オーナー様や不動産会社の意見を参考にすることもあるでしょう。その際、情報を鵜呑みにしないよう注意してください。

まず、インターネットで公開されている記事の内容は、すべてが正しいとはいえません。不動産オーナー様の状況や物件が異なることもありますが、参考にしたい記事を書いている方の知見が違っていたり、法改正が反映されていなかったりした場合、最適な情報を得るのは難しくなります。

不動産会社の中には、自社の利益を最優先に考えて都合の悪いことは教えてくれないところもあります。1つの記事・意見を鵜呑みにするのではなく、なるべく多くの情報を集めるようにしましょう。集めた情報を自分で吟味し、プロの意見として信頼できるパートナーに相談すると安心できるのではないでしょうか。

まとめ 【リロの不動産】に相談して不動産オーナーになる準備を始めよう

不動産を所有していれば誰でも不動産オーナーになれますが、成功するには不動産投資に関する知識が必要です。いい面だけでなくリスクや注意点を把握し、しっかりとした不動産投資のリスクコントロールを対策することで安定した運用ができるでしょう。

なお、不動産オーナーが行うべき仕事のほとんどは賃貸管理会社に委託できます。信頼できる空室対策に強い賃貸管理会社をパートナーの基準にして、賃貸経営・賃貸管理で業務対応していただける「対応範囲」と、不動産投資の実績として「管理戸数」と「仲介件数」が多い理由にも注力して選んでみてください。

【リロの不動産】では経験をもとにしたアドバイスだけでなく、データドリブン型の賃貸経営支援を行っています。物件選びから売却までトータルサポートが可能な、オーナー様に寄り添う賃貸管理会社です。詳しくは下記のリンクからご確認ください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。