マンション相続の手続きとトラブル防止の事例!手順・税金計算も解説
2023.09.12相続は人生で何度も経験するものではないので、他人ごとのように感じている方は多いかもしれません。いざマンションを相続するとなると、はじめて行う手続きの大変さに頭を悩ませる方がほとんどです。
遺産分割が難しい不動産の相続はトラブルに発展しやすく、また対象がアパートやマンションなどの収益物件の場合は入居者様にも影響することがあるため、しっかりと準備をしておくべきでしょう。
この記事では、マンションを相続する際の一般的な流れや必要書類、相続時にかかる税金の種類や計算方法に対応期日、相続時に起こりやすいトラブル、回避ポイントなどについて事例とあわせて解説します。マンションを相続する可能性がある方や、相続トラブルを回避したいと考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
マンションを相続する際の流れ
マンションの相続が発生した際の基本的な流れは以下のとおりです。
● 遺言書の確認
● 相続人と相続財産の決定
● 遺産分割協議を行い相続内容の確定
● 相続登記を行う
それぞれ詳しく解説していきます。
遺言書の確認
はじめに行うのは、遺言書の有無を確認することです。相続では遺言書の内容が最優先されます。遺言書には時効がなく、仮に相続の手続きを終えた後に遺言書が見つかった場合は、遺産分割をやり直さなくてはなりません。二度手間を防ぐために、そして故人の意思を尊重するためにも、遺言書の有無を確認してください。
自宅で見つかった遺言書は、開封せずに家庭裁判所で検認の申し立てを行います。検認は、遺言書の偽造・変造などを防ぐために必要な手続きです。勝手に開封すると罰金が科されることもあるため、注意しましょう。
なお、遺言書が見つからなかった場合や、遺言書はあったものの有効でない内容だった場合は、遺産分割協議が必要です。
相続人と相続財産の決定
遺言書の確認と並行して、相続人の調査と相続財産の洗い出しを行います。遺産分割協議には相続人全員の参加・合意が必要です。被相続人(亡くなった方)が認知した婚外子も法定相続人になるため、被相続人の戸籍謄本を取り寄せてきちんと確認しましょう。
相続財産には、以下のようにプラスの財産とマイナスの財産があります。
● プラスの財産:現金や預貯金、不動産、株式などの有価証券、貴金属、美術品など
● マイナスの財産:借入金、未払金など
相続税算出の基礎になるので、丁寧に調べるようにしましょう。
遺産分割協議を行い相続内容の確定
相続人が複数いる場合、誰がどの財産を相続するのかを話し合うのが遺産分割協議です。相続人全員の合意が得られたら、決まった内容を「遺産分割協議書」に記し、すべての相続人が署名・捺印を行います。
遺産分割協議書に決まった様式はなく、手書きでもパソコンで作成しても構いません。ただし、法務局に提出しなくてはならない重要な書類です。不安な場合は行政書士や司法書士に作成を依頼するようにしましょう。
相続登記を行う
マンションなどの不動産を相続することになったら、相続登記(所有権移転登記)を行います。相続登記は自分で行うこともできますが、大切な権利関係の手続きなので、司法書士に依頼するのが一般的です。名義を変更して所有者が自分であることが証明できないうちは、売却したり賃貸経営を行ったりすることはできないため注意しましょう。
なお、相続登記は2024年4月1日から義務化されることが決まっています。不動産を相続したことを知った日、または遺産分割協議が成立した日から3年以内の申請が必要です。正当な理由なく申請しなかった場合は、罰金の対象になるので注意してください。
マンションの相続に必要な書類
マンションの相続手続きに必要な書類は、遺言の有無や遺産分割協議によるものなのかなど、内容によって異なります。書類によっては自分で用意するものと、役所で取得するものなどさまざまです。状況によって不要なものもあるので、それぞれどのようなケースで必要なのかもあわせて必要書類を確認していきましょう。
遺言書
遺言書があり、「相続させる」「遺贈する」などの記載がある場合には必要な書類となります。基本的には遺言書に記載された内容は「故人の遺志」として最優先されますが、内容に不備があれば無効になってしまいます。遺言書がある場合とない場合でほかの書類の要・不要も異なるため、必ず確認しておきましょう。
遺言書の種類によって保管先は異なり、「公正証書遺言」の場合は日本公証人連合会がデータベースで管理しているため、公証役場に申し込むことで遺言書の有無が確認できます。一方、「自筆証書遺言」の保管先は最も多い自宅、もしくは法務局です。
遺産分割協議書
遺言書がない場合や無効と見なされた場合は、法定相続分に従って相続するか、遺産分割協議で相続割合を決めます。協議の結果は「遺産分割協議書」に記載し、相続人全員の署名・捺印のうえ法務局に提出します。したがって、相続人が1人しかいない場合や法定相続割合で分割する場合は、遺産分割協議書の作成・提出は不要です。
印鑑証明書
印鑑証明書は、相続において戸籍と同じくらい必要になる書類です。登録された印鑑を公的に認める書類のことを指す印鑑証明書は、相続税の申告や相続登記など、必要となるケースは多くあります。遺産分割協議書を作成した場合は、書面に実印で押印し、印鑑証明書を添付しなければなりません。ただし、遺言書に相続の記載がある場合や、法定相続分どおりに分けられる場合は印鑑証明書は不要です。
相続関係説明図
相続関係説明図とは、被相続人と相続人全員の関係をまとめた表のことです。イメージとしては家系図のようなもので、被相続人を中心に親・子ども・孫・兄弟姉妹などの法定相続人を線でつないで記載します。あらかじめ作成しておくと相続の相談や手続きのときに役立ち、提出を要求されるケースもあるので、相続人を調べ終えた時点で作成しておきましょう。
戸籍謄本など
戸籍謄本は、相続人の調査・確定や相続財産の名義変更に使用します。必要なのは被相続人と相続人全員分です。被相続人の戸籍は死亡時から出生時まで遡って連続したものが必要なほか、法定相続人が現存していることを証明するために必要となります。
上記の書類は名義変更手続きのたびに各所に提出しなくてはなりませんが、取り寄せるのは各1通で構いません。戸籍関係書類一式が揃った時点で前述の相続関係説明図を作成し、法務局で「法定相続証明情報」を発行してもらえば、複数の手続きが並行して進められるので便利です。
登記事項証明書
登記事項証明書とは不動産の情報が記載された書類で、かつては「登記簿謄本」と呼ばれていました。被相続人の死亡時の住所と登記上の住所が異なる場合は登記情報を変更する必要があるため、まずは登記事項証明書で確認しましょう。登記事項証明書は法務局で取得できます。郵送やオンラインでの取得も可能なので、遠方の場合は利用するとよいでしょう。
戸籍の附票・除票
戸籍の附票・除票は、被相続人と登記上の所有者が同一人物であることを証明するために必要です。附票は住民票の移り変わりを記録したもので、除票は転出や死亡によって抹消された住民票のことを指します。附票・除票は遺言書の有無に関わらず必要なものとなりますので、本籍地で必ず取得するようにしましょう。
登記識別情報
登記識別情報は、登記名義人を識別できる数字やアルファベットの組合せからなる12桁の符号のことで、不動産ごとの登記名義人に発行されます。
基本的に登記識別情報が必要になるケースは少ないですが、附票・除票などで故人の最後の住所が確認できない場合、登記識別情報が記載された登記済証(権利証)の提出が求められるケースがあります。登記済証は本人のみに交付される再発行不可の重要な書類です。見当たらない場合は、司法書士に相談するようにしてください。
固定資産税評価証明書
固定資産評価証明書は、不動産の固定資産課税台帳に登録されている資産価値を証明する書類です。相続登記の際には登録免許税を申告する必要があり、金額の正しさを証明するために固定資産税評価証明書を添付します。また、相続税・贈与税の申告時にも必要です。固定資産税の納付書に同封される「固定資産課税明細書」で代用できる場合もあるので、事前に確認してみましょう。
委任状
相続の手続きは自分でも行えますが、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士に依頼する場合は、委任状を作成して法務局に提出します。記載する内容は受任者(司法書士)と委任者(申請者)それぞれの住所・氏名、登記の目的、不動産の情報などです。詳細は依頼する司法書士に確認しましょう。
相続手続きには対応期日がある?
相続人の調査や相続財産の洗い出しなど、相続の手続きは複雑で手間や時間がかかります。ただし、対応期日が決められているものもあるため、ゆっくり進めるわけにもいきません。特に、相続方法の選択期日や相続税の申告・納税期日には注意しましょう。以下で、それぞれの対応期日や手続きを放置した場合に起こり得ることを紹介します。
相続手続きの対応期日
まず、相続の発生を知ってから3ヶ月以内に、相続の方法を選択しなくてはなりません。相続には「単純承認」「相続放棄」「限定承認」の3つの方法があり、相続放棄または限定承認を選択する場合は家庭裁判所への申し立てが必要です。期限を過ぎると単純承認を選んだとみなされ、借金などマイナスの財産も相続することになるため注意しましょう。
相続税の申告・納税期日は、相続の発生を知ってから10ヶ月以内です。遺産分割協議がまとまらない場合でも期日の延長は認められず、法定相続分を相続したと仮定して相続税を計算し、申告・納税を行います。相続手続きの対応期日の詳細は、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:不動産を相続するには誰に相談すればよいのか? 相続手続きの期限も解説
手続きを放置した場合
相続税を期限までに申告しなかった場合は加算税が、納税しなかった場合は利息にあたる延滞税がそれぞれ加算されます。手続きが遅れるほど納税額が増えていくばかりなので、相続の手続きは手間に感じることが多いですが、それぞれのステップを期限内に確実にこなしていきましょう。
マンションの相続にかかる税金・適用可能な控除
マンションを相続する場合、税金が発生するため相続人は支払いが必要となりますが、相続税は控除されるため、適用されれば負担がぐっと軽減される可能性があります。ここからは、マンションの相続時にかかる税金の種類や適用可能な控除について解説します。
税金の種類
マンションの相続にかかる税金は「相続税」と「登録免許税」の2種類です。それぞれ目安を押さえておきましょう。
相続税
相続税は相続の際にかかる主な税金で、計算式は以下のとおりです。
相続税=(課税財産-基礎控除額)×税率
税率は10~55%です。相続税には「富の再配分」という目的があり、課税財産が多いほど高い税率が設定されます。相続税は基礎控除額によって大きく変わり、相続税がかからないケースもめずらしくありません。評価額の計算はとても複雑なので、税金のプロフェッショナルである税理士に相談するのがよいでしょう。基礎控除については後述しますので、ここでは省略します。
相続税の支払いが難しいことも想定されるため、事前に以下の記事を参考に対処法を把握しておきましょう。
参考記事:不動産物件を相続するときの手続きとは? 相続税を払えない場合はどうする?
登録免許税
登録免許税は、不動産の相続登記を行うときに法務局で納める税金です。税額は以下の計算式で算出します。
登録免許税=固定資産税評価額×0.4%
税率は0.4%が一般的ですが、相続人以外の人が遺言により不動産を取得した場合の税率は2%と定められています。登録免許税は数万~数十万円程度と、100万円を超えることは多くありません。一定の要件を満たせば登録免許税が免税となるケースもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
控除
相続税には控除される制度があり、状況によっては相続税がゼロになることもあります。節税のために適用できる制度がないか、以下の内容を把握しておきましょう。
基礎控除
遺族の生活保障の観点から、相続税には基礎控除枠が設けられています。基礎控除の計算式は以下のとおりです。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
法定相続人とは、亡くなった方の配偶者・子ども・両親や祖父母・兄弟姉妹を指し、相続順位と法定相続分は民法に定められています。国税庁のWebサイトに詳しい説明があるので参考にしてください。
小規模宅地等の控除
被相続人が居住や事業に用いていた土地は、小規模宅地等の控除特例を適用することにより、以下のとおり相続税の課税対象から一定額を差し引くことができます。
限度面積 | 減額割合 | |
住んでいた土地 | 330平方メートル以下 | 80% |
事業に用いていた土地 | 400平方メートル以下 | 80% |
貸していた土地 | 200平方メートル以下 | 50% |
例えば、土地部分の評価額3,000万円の自宅を相続した場合、330平方メートルまでは評価額600万円として相続税を計算できるというわけです。かなり大きな節税効果がありますが、さまざまな適用要件が設けられているので、税理士など不動産相続に強い専門家に相談することをおすすめします。
配偶者控除
被相続人の配偶者には、相続した財産が一定額を超えないかぎり相続税がかかりません。一定額とは次のどちらか多い金額を指します。
● 1億6,000万円
● 配偶者の法定相続分相当額
軽減措置の対象になるのは、遺産分割協議などを経て実際に取得した財産分です。相続税の申告期限までに協議が成立していない場合は、対象にならないため注意してください。
申告期限から3年以内に相続財産が確定したときは、相続税の申告書または更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告することにより、軽減措置の対象になります。なお、内縁関係の配偶者は軽減措置の対象外です。
マンション相続後の選択肢
マンションの相続手続きが完了したら、次にマンションをどうするのかを考えることになります。ここでは、相続で取得したマンションの扱いについて、3つの選択肢とそれぞれの注意点を解説します。
マンションに住む
相続したマンションを自宅にするという選択肢は、以下のような方におすすめです。
● 相続したマンションに親と同居していた
● 自分が生まれ育った家を手放すのが惜しい
● 現在の住まいの家賃や住宅ローンの支払いをなくしたい
相続したマンションを自宅として住む場合、相続登記を行うだけなので手間がかかりません。家賃や住宅ローンの負担もないため、住居費を抑えられる点はメリットです。ただし、マンションが現在の住まいから遠方にあり生活環境が大きく変わるようであれば、事前にしっかり検討する必要があるでしょう。比較的近い場所でも、通勤・通学や買い物など生活に不便がないかを確認することが大切です。
マンションを賃貸で貸し出す
マンションを賃貸物件にして第三者に貸し出すという方法は、次のような方に向いています。
● いずれは自分で住む予定だが、今すぐの転居は難しい
● すぐに手放すことを考えられない
建物は使用しないと劣化が進みやすくなります。空き家状態のままでは維持費ばかりがかかり、また定期的に通い空気を入れ替えたり水を流したりする手間がかかるため大変です。
賃貸物件にして人が住むことで建物の状態を維持しやすく、毎月安定した家賃収入も得られます。入居者様への対応や家賃回収などは賃貸管理会社に委託すれば、手間はほとんどかかりません。ただし、築年数の古いマンションや賃貸物件が少ない地域に建つマンションの場合、貸し出す前に修繕費として大きなコストがかかったり、なかなか入居が決まらなかったりする可能性もあります。
すでに賃貸物件として活用されている収益物件を相続した場合は、賃貸経営に関する問題も加わり、手続きが複雑になりがちです。相続人だけでの対応や判断が難しいため、相続に強い不動産会社や賃貸管理会社に相談して、今後の方向性を考えることをおすすめします。以下の収益物件を相続した事例もぜひ参考にしてください。
参考事例:相続したけど・・・どうなってるの?物件内情の明瞭化と適切な管理へ
マンションを売却する
故人から引き継いだ大切な資産ですが、次のようなケースでは売却したほうがいいこともあります。
● 相続したマンションに住む予定がない
● 維持していくのが難しい
● 相続税を支払う余裕がない
● 複数の相続人がいて分割方法が決まらない
不動産の相続では、分割方法や割合について相続人の間で揉めることが少なくありません。売却して現金化することによって、相続人が複数いても公平な分割が可能になります。ただし、売却には相続人全員の同意が必要です。売却価格や条件に全員が納得しなければ売却できないため、スムーズに手続きが進まず揉めごとに発展する可能性があるでしょう。
また、相続人全員が納得して決めた条件で売り出したとしても、相場と異なれば思うように売却できない可能性もあります。売り出しの際の条件は、不動産会社などプロの意見も参考にして決めるようにしましょう。
以下のような、計画的に出口戦略を立てて相続した不動産をスムーズに売却した事例もありますので、参考にしてください。
参考事例:終活は大事!10年以上前から相続準備をしたから対応出来た不動産売却
マンションの相続に起こり得る問題とは
マンションなどの不動産の相続ではトラブルが起こりやすくなっています。具体的にどのようなトラブルが起こり得るのか、代表的なケースを紹介します。
【遺言書についてのトラブル】
遺言書は相続において最優先されるものですが、あまりに偏った内容は問題です。極端な例では「全財産をお世話になった知人(または法人など)に寄贈したい」というものが挙げられます。相続人には「遺留分侵害額請求権」があり、法定相続額の2分の1、あるいは3分の1が遺留分として認められます。
遺産を受け取った人が遺留分の支払いを拒んだ場合は、調停や訴訟を起こすことになり、さらに深刻なトラブルになりかねません。
【相続人同士のトラブル】
遺産分割協議がまとまらないケースや、予期せぬ相続人が現れるケースが挙げられます。遺産分割協議の成立には相続人全員の参加と合意が欠かせません。成立後に相続人が現れると協議をやり直さなくてはならないため、はじめにしっかりと調べることが大切です。
【分割におけるトラブル】
不動産は簡単に切り分けられるものではなく、複数の相続人がいる場合に分割方法や割合で揉めがちです。
マンション相続のトラブルを回避するためのポイント
マンションの相続では、上記のようなあらゆるトラブルが想定されます。子どもたちに良かれと思って遺した財産でトラブルが生じるのは切ないことです。相続が「争続」にならないよう、以下で紹介するようなトラブル回避のポイントを押さえておきましょう。
公正証書遺言の作成
遺言書にはいくつか種類がありますが、一般的に用いられるのは「自筆証書遺言」または「公正証書遺言」です。自筆で行う方法も有効性はありますが、要件を満たしていないと遺言書の内容が無効になるリスクがあるので、できるだけ公正証書遺言を作成することをおすすめします。逆の見方をすると、被相続人の方は公正証書として遺言を残すと、相続人に遺言の意思を伝えやすくなるでしょう。
公正証書遺言は、公証人と第三者の証人2名以上の立ち会いのもと作成される公的な遺言書です。遺言書の書き方にはルールがありますが、法律知識を持つ公証人が作成するので心配する必要はありません。作成後は公証役場で保管されるため、遺族が遺言書を探す手間が省けるほか、紛失・偽造・改ざんなどのトラブルを防げます。
公平な生前贈与
生前贈与も相続発生時のトラブルを防ぐ一つの方法です。贈与税は年間110万円まで非課税になるため、節税効果もあります。不動産の場合は少しずつ持ち分を贈与する形になりますが、分割贈与によって後に発生する相続税の節税が可能になります。相続人が複数いる場合は、公平に行うことがポイントです。
ただし、生前贈与には注意すべき点がいくつかあります。不動産の条件によっては生前贈与が向いていないケースもあるため、詳細は下記の記事を参考にしてください。
参考記事:不動産を生前贈与したほうがいいケースとメリット・デメリットを解説
金融資産への転換
不動産を売却して現金化してから分割するという方法もあり、金融資産(現金)へ転換しておけば公平に分けることができます。高齢者施設への入居など、まとまった資金が必要な際にも効果的です。
ただし、現金を相続した場合は額面そのままが相続税の対象になることに注意してください。少しでも相続税を抑えたい場合は、相続後に金融資産へ転換するのがおすすめです。
なお、アパートやマンション1棟などの収益物件を相続する場合は、賃貸管理会社が収益の実態を把握しています。一般的な実需の売買とは異なるため、まずはパートナーである賃貸管理会社に相続後の流れについて相談するようにしましょう。
以下の記事は、複数の相続人がいる場合のトラブル防止に向けて対策を取った事例です。ぜひ参考にしてみてください。
参考事例:複数の相続人が紛争を避けるため、買取による早期現金化でスムーズに
マンション相続時の3つの注意点
相続財産としてマンションを引き継ぐ場合には、以下で紹介する3つのポイントに注意しましょう。
相続後も費用が発生する
相続の手続きには必要書類の取得費用や税金の支払いが発生しますが、相続後にもさまざまな費用がかかります。マンションの所有者になると、自分が住まなくても固定資産税や管理費・修繕積立金を支払わなくてはなりません。
自宅にする場合や賃貸物件にする場合は、必要に応じてハウスクリーニングやリフォーム・リノベーションに費用がかかります。売却する場合は仲介手数料や登記費用など売却時諸費用のほか、残置物撤去費用やリフォーム・リノベーション費用などを予定しておく必要があるでしょう。
売却できない可能性がある
不動産は「いざとなれば売却すればいい」と出口戦略を安易に考えがちですが、物件によっては売却できない可能性があるため注意が必要です。立地や物件の状況、希望する条件によっては売却に時間がかかったり、売却できなかったりすることも少なくありません。
しかし、問題点を改善すれば売却できることが多いので、条件の見直しも含めて不動産会社などの専門家に相談してみましょう。
専門知識やノウハウが必要になる
相続手続きの一連の流れや相続後の行動について、トラブルなくスムーズに進めるには専門知識やノウハウが必要です。法律が関係したり税金の計算が複雑だったりするため、早い段階で信頼できるパートナー(専門家)を見つけ、相談しながら進めていくことをおすすめします。
仮に遠方にある不動産を相続した場合でも、「地域密着+大手の良さ」を併せ持つハイブリッド型の不動産会社に相談すれば、適切な提案・解決が期待できるでしょう。以下の記事では、実際に遠方にある空き家を相続した際の事例を参考にできます。
参考事例:高知県在住のお客様が相続!空き家になったさいたま市の一戸建てを買取
まとめ 円満なマンション相続を目指し有益に資産活用しよう
相続は受け継いで終わりではありません。受け継ぐための手続きや、親類縁者と揉めないように注意するポイントがあるほか、受け継いだ後の不動産をどのように活用するのかが重要です。特に、賃貸経営や不動産投資で保有されている収益物件は、節税を代表とするスキームで運用されていることもあり、通常とは異なった視点が必要になります。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。