不動産投資は誰に相談する?相談事例から考える不動産会社の見極め方

2023.06.16

はじめての不動産投資には、さまざまな不安があるものです。運用をスタートしてからも、思わぬ事態に遭遇して悩むことがあることでしょう。そんなとき相談できる相手がいると分かっていれば、安心して不動産投資にチャレンジできるし、安定した賃貸経営ができるのではないでしょうか。

この記事では、不動産投資に関する主な相談先と、よくある相談事例、不動産投資の入り口になる不動産投資会社の見極め方について解説します。

不動産投資のよくある相談相手

不動産投資に関する悩みごと・困りごとは千差万別です。的確なアドバイスを受けられるよう、どこに(誰に)どのような相談ができるのかを把握しておきましょう。ここでは、不動産投資でお悩みの方が選ばれる7つの相談相手について解説します。

● 不動産投資・不動産売買会社
● 不動産投資の先輩
● 不動産投資系インフルエンサー
● ファイナンシャルプランナー
● 税理士
● 信託銀行
● 行政書士

不動産投資・不動産売買会社

収益用物件を購入する際、その窓口となるのが不動産投資会社です。仲介のみを行う会社では物件引渡しまでのつきあいとなりますが、購入後の入居付けや物件管理など賃貸経営のサポートをしてくれる会社もあります。

さらに相続や資産運用の相談にも対応できる会社など、内容はさまざま。定期的にセミナーを開催している会社も多く、「すぐにでも不動産投資を始めたい」という方はもちろん、「将来的にチャレンジしてみたい」「ちょっと興味がある」という方の学びの場としてもおすすめです。いくつかのセミナーに参加して、自分と相性の良さそうな不動産投資会社を選んでみてはいかがでしょうか。

なお、いうまでもありませんが相手はボランティアではなく商売です。無料セミナーには潜在客発掘の目的もあります。「セミナー後にしつこく営業された」という話もよく聞かれるので注意してください。信頼できる不動産投資・不動産売買会社の見分け方については、本記事の後半で解説します。

不動産投資の先輩

不動産投資の経験者が身近にいる場合は、本人から直接リアルな体験談を教えてもらうとよいでしょう。不動産投資を始めたきっかけ、不動産投資会社とのやりとり、購入を決めたポイント、金融機関の選び方など、参考になることがたくさんあるはずです。成功したことだけでなく失敗や反省なども聞くことができれば、同じ轍を踏まずにすむでしょう。

ただし、年収や資産状況、投資の目的などは人によって異なるため、欲しいアドバイスが得られない可能性や、あなたにとって最善ではない場合もあります。また、意見に偏りがあったり不確かな情報であることもあるため、全部を鵜呑みにしないよう注意が必要です。

話を聞いたからといって、その先輩と同じ道を進む必要はありません。あくまでも参考程度にとどめ、教えてもらった情報については自分なりに吟味するようにしてください。

不動産投資系インフルエンサー

不動産投資系インフルエンサーも相談先のひとつになります。SNSやブログ、動画配信サイトなどで不動産投資のノウハウを発信し、人気を集める方たちです。目標にしているインフルエンサーがいる方も多いのではないでしょうか。オンラインサロンなどのコミュニティを形成しており、投資家同士の交流ができることも魅力のひとつです。

ただし、不動産投資系インフルエンサーの中には「成功者」をブランディングしているケースもあります。「家賃収入○○万円」と謳っていてもローン返済前の額だったり、「資産○億円」といってもほとんどが負債だったりすることもあるので注意が必要です。

また、インフルエンサーが提供する情報がすべて正しいとはかぎりません。不動産会社からギャランティをもらって情報を発信しているケースもあります。憧れの存在とはいえ妄信しないことが大切です。

ファイナンシャルプランナー(FP)

お金の悩みや疑問について相談するなら、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するという手もあります。現在の収支は適切か、家計にムダがないかなどを相談すれば、投資にあてる資金を捻出できる可能性が広がります。購入しようとしている物件が自分に合っているかも、収支シミュレーションをもとにアドバイスしてくれます。

本来、お金について中立的な意見を期待できる存在ですが、日本では独立した第三者の立ち位置で活動しているファイナンシャルプランナーはそれほど多くありません。不動産会社や保険会社などと提携して、その企業の商品を薦めることもあるので注意してください。また、不動産に特化しているわけではないので、物件購入の見極めなどは別の専門家への相談が必要です。

税理士

不動産投資と税金は切っても切れない関係です。物件購入時には不動産取得税、所有する間は固定資産税や都市計画税、売却時には譲渡所得税、相続時には相続税など、多額の税金が発生します。少しでも負担を少なくするには、税金のプロフェッショナルである税理士に相談するのが一番です。

また、不動産投資を始めると確定申告の義務が生じますが、税理士に依頼すれば手間がかかりません。税理士を味方につけることで、安心して不動産投資を行えるでしょう。

ただし、税理士にも得意・不得意があります。税理士は税金のプロですが不動産投資のプロではありません。相談する前に不動産投資への知見があるかどうかを確認してください。自分でも不動産投資の経験があるか、顧客に不動産投資家がいるか、不動産関連のご紹介をよく受けているかなどを尋ねてみることをおすすめします。

信託銀行

信託銀行とは、通常の銀行業務に加えて「信託業務」と「併営業務(へいえいぎょうむ)」を行う金融機関です。信託業務は、個人や企業から信託を受けた財産を定められた目的にしたがって受益者のために管理・運用することをいいます。

また、併営業務では、遺言書の保管や遺言執行業務などの相続関連、企業の株主名簿を管理するなどの証券代行業務、不動産売買の仲介業務などを行います。なお、併営業務は信託兼営(しんたくけんえい)の金融機関でしか行えない業務です。

信託銀行での融資相談は、専門の不動産投資アドバイザーがいることもあり、話が早いというメリットがあります。

行政書士

行政書士には不動産投資そのものの相談というより、賃貸経営にまつわる書類の作成や手続き全般を依頼するイメージです。さらに、不動産投資に詳しい行政書士に出会えれば、安心しておまかせすることができるでしょう。

不動産投資でよくある相談事例・Q&A

ここからは、不動産投資でよくある相談事例を紹介します。主な5つの相談をQ&A形式にまとめたので参考にしてください。

Q1.自己資金はいくら必要か?

A1.物件の種類、築年数、投資家の属性、金融機関の融資姿勢などによって異なりますが、一般的には物件価格の1~3割の自己資金が必要といわれています。不動産購入時には、物件価格のほかに登記費用や印紙代、仲介手数料などを現金で用意しなくてはなりません。諸費用の目安は、新築で物件価格の3~7%、中古は6~10%ほどです。

頭金の目安は金融機関によって異なりますが、物件価格の2割程度あると融資審査にとおりやすい傾向にあります。フルローンが組めるケースもないわけではありませんが、その分リスクが高くなるので、投資経験のある方以外は避けたほうがよいでしょう。

賃貸経営がスタートしてからは、家賃収入がローンの返済や維持費の原資になります。ただし、思うように入居付けができず、しばらく家賃収入が得られないということも考えられます。物件購入に自己資金の全額を使い果たしてしまっては、生活費などから支払いを続けなくてはなりません。事業資金として、ある程度のお金は手元に残しておくようにしてください。

Q2.不動産投資を始める年収の基準はあるか?

A2.金融機関が評価する投資家の属性のひとつに「本業の年収」があります。賃貸経営が不調になったときも、本業の収入からローン返済が継続できるだろうという理由からです。年収の基準は、一般的に「区分マンションで年収500万円以上」「一棟もので年収1,000万円以上」といわれています。

ただし、金融機関の姿勢、投資家の保有する金融資産額、不動産投資の経験の有無などによっても異なります。個人の年収が低くても世帯年収が基準を超えていたり、担保にできるご自宅を保有されている場合は、審査に通る可能性が上がります。融資審査に通るかどうか不安な方はお金をしっかりためて、十分な自己資金があることをアピールするとよいでしょう。

なお、購入しようとしている物件も審査対象になります。「担保価値が低い」「返済比率が高い」などの理由で融資を断られるケースがあるので、注意してください。返済比率とは「年収に占める年間返済額の割合」のことで、不動産投資においては「家賃収入に対するローン返済額の割合」を表します。返済比率が低いほど投資の安全性は高くなるため、50%以下を目安に物件を選ぶようにしましょう。

Q3.おすすめの金融機関はあるか?

A3.不動産投資に前向きな金融機関と、あまり積極的ではない金融機関があります。不動産投資会社が紹介してくれる金融機関は融資に前向きであり、比較的有利な条件でローンを組める可能性があるので、相談してみるとよいでしょう。また、投資家の属性や購入しようとしている物件の資産価値などによっても利用できる金融機関が違ってきます。

現在、不動産投資ローンを可能とする主な金融機関は以下のとおりです。年収別に利用できる金融機関をまとめたので、参考にしてください。

Q4.新築と中古、どちらがよいか?

A4.自分で住むのなら新築を選ぶ方が多いでしょうが、投資として考える場合は目的によって選ぶべき物件が違ってきます。例えば、数万円でも家計にプラスになればいいのか、将来に向けて資産形成をしたいのか、現在の納税額を抑えたいのかなど、投資に期待することは人それぞれです。

資産状況によっては購入できる物件もかぎられるため、どちらがよいかは一概にいえません。新築と中古それぞれの主なメリット・デメリットを以下に簡単にまとめますので、自分が選べる物件・選ぶべき物件の判断材料にしてください。

Q5.物件の管理はどうすればよいか?

A5.物件の管理方法には、オーナー様が自らが管理を行う「自主管理」と、賃貸管理会社に管理業務を委託する「管理委託」の2種類があります。どちらかに決める前に管理業務について理解しておく必要があるでしょう。賃貸物件の管理業務には、次のようなものが含まれます。

【入居者管理】ヒトの管理

● 入居者募集・審査
● 契約書の作成と契約締結の仲介業務
● 家賃回収
● 入居者様からの問い合わせ・クレーム対応
● 退去時の立ち会い など

【建物管理】建物やお部屋の管理

● 原状回復工事の手配
● 共用部分の清掃や修繕
● 共用設備の点検・修理・交換
● 大規模修繕工事の計画・実施
● 室内リフォーム など

ざっと並べただけでもかなりの仕事量であり、専門的な知識を要するものも多数あります。管理委託では家賃収入の3~5%程度の手数料が毎月発生しますが、賃貸運営の専門知識を持つプロに管理を任せられるという安心感から、ほとんどのオーナー様が管理委託を選択しています。

信頼できる不動産会社を見極めるポイント

不動産投資の総合的な相談先となるのが不動産投資会社です。しかしながら、良質な会社でなければ不動産投資は成功しません。信頼できる不動産会社を見極めるために、少なくとも以下の4つのポイントを押さえるようにしてください。

● 実績があるか
● 賃貸管理や入居者募集にも対応しているか
● リスクも含めた説明をしてくれるか
● 契約を急かしていないか

実績があるか

まずは不動産投資会社のWebサイトを検索してください。Webサイトのない会社がすべて怪しいというわけではありませんが、なるべくなら選択肢から外すことをおすすめします。

会社のWebサイトが見つかったら、業歴、販売実績や管理戸数・仲介実績などをチェックしましょう。業歴が長く取引件数が多い会社は、豊富なノウハウとお客様の信頼を蓄積している会社といえます。「お客様の声」も重要なチェックポイントのひとつです。ポジティブな感想だけでなく、クレームなども掲載されている会社のほうが信頼できるのではないでしょうか。

Webサイトだけでなく、ネット上でクチコミを検索するとより確実です。また、「区分マンションしか扱っていない」「一棟投資のみ」といったように会社ごとに対応範囲が異なるため、どのような物件を取り扱っているかも確認してください。

賃貸管理や入居者募集にも対応しているか

物件を購入する不動産投資会社とは別に、管理委託する賃貸管理会社を選ぶ必要がありますが、はじめから購入後のフォローまで、賃貸経営に必要な対応を全てしてくれる会社を選べば手間がかかりません。

ただし、会社によって業務の範囲や内容が異なるため、どこまでフォローしてくれるのかはきちんと確認しておきましょう。理想は購入から賃貸管理、経営サポート、売却まで一気通貫で対応してくれる会社です。

賃貸経営が成功するかどうかは、賃貸管理会社によって決まるといっても過言ではありません。安定した経営を行うために、『4つの空室対策(募集/仲介/入居者管理/設備・工事)』を意識している会社を選ぶようにしてください。

リスクも含めた説明をしてくれるか

どのような方法でも投資にリスクはつきものです。不動産投資には主に次のようなリスクがあります。

● 空室リスク、家賃滞納リスク:想定していた家賃収入が得られない
● 老朽化リスク:老朽化により建物の資産価値が下がる
● 修繕リスク:建物や設備の不具合・故障で予定外の修繕費がかかる
● 自然災害リスク:台風や地震などで建物が被害をうける
● 金利上昇リスク:金利の上昇によりローンの返済負担が増える

こうしたリスクがあることを伝えず、メリットばかりを並べる不動産投資会社には注意してください。予想されるリスクやデメリット、さらに具体的な対策まで説明してくれる会社を選ぶようにしましょう。

一見良さそうな物件でも、意外なリスクが隠れている可能性があります。購入してから「こんなはずではなかった…」と悔やむことがないように、不安や疑問は遠慮せずに質問し、納得するまで説明してもらうことが重要です。

契約を急かしていないか

担当者が成績稼ぎに走り、物件を売りたいばかりに無理に契約を急がせるケースもあります。こうした不動産投資会社はお客様のことを考えていないので避けたほうがよいでしょう。特に「絶対に稼げます」「確実に儲かります」などの営業トークには要注意です。以下のとおり、宅地建物取引業法では「絶対」「確実」といった断定的表現を禁止しています。

第四十七条の二 宅地建物取引業者又はその代理人、使用人その他の従業者(以下この条において「宅地建物取引業者等」という。)は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。

出典:宅地建物取引業法|e-Gov法令検索

ほかにも「掘り出し物」「早い者勝ち」などといって契約を急かすケースがあります。とはいえ、一般的な住居の住宅もそうですが、本当に魅力的な収益物件はすぐに売買が完結します。投資に期待する効果は人によって異なるため、中には自分にとってのよい物件があることも事実です。

大切なことは、判断基準を明確にして置くことです。自分に最適な物件を手に入れ易くするために、あらかじめ条件を明確にして判断基準をクリアにしましょう。条件が明確なほど、有益な情報も集まりやすくなります。

まとめ

不動産投資の相談は、まずは購入先である不動産投資・不動産売買会社にすることになります。世の中には数多くの不動産投資会社が存在しますが、どこでもいいというわけではありません。会社のWebサイトなどを確認して、自分に合う会社を選ぶようにしてください。

仲介・販売業務だけでなく、購入後のフォローをしてくれる会社が望ましいです。賃貸管理や賃貸経営全般についても相談できるかを確認しましょう。

【リロの不動産】は、物件選びにはじまり空室対策に強い賃貸管理、出口戦略のアドバイスなど、賃貸経営のトータルサポートが可能です。そのほかにも資産活用・相続・節税対策など、不動産に関するお悩み全般に対応できます。お困りの際は、おひとりで悩まず、ぜひお気軽に【リロの不動産】にお問い合わせください。誠心誠意、伴走させていただきます。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。