不動産投資ローンと住宅ローンの違い!審査基準や注意点を徹底解説

2023.06.21

自宅を購入するときと同じように、収益用物件も融資を受けて購入するのが一般的です。ただし、利用できるのは住宅ローンではなく「不動産投資ローン(アパートローン)」です。自宅も収益用物件も住居であることは変わらないのに、なぜローンを使い分けなくてはならないのでしょうか?

そんな疑問を解消すべく、この記事では住宅ローンと不動産投資ローンの違いについて詳しく解説するとともに、不動産投資ローンを組むときの注意点や審査に通りやすくなるコツなどを紹介します。

不動産投資ローンと住宅ローンの違いを比較

不動産投資ローンとは、アパートなど投資用物件の購入・建築に利用できるローンのことをいいます。不動産投資を行うことは不動産賃貸業という事業を行うことを意味します。これらの理由から不動産投資ローンは「事業用ローン」になるため、ご自宅の購入に利用する住宅ローンとは全くの別物として扱われます。ここでは、どのような違いがあるかを把握していきましょう。

返済原資(借入金の返済にあてる資金)

不動産を購入した返済に充てる原資が大きく異なります。「住宅ローン」では、基本的に給与や事業収入など個人の労働によって得るお金を支払いに充てます。

一方、「不動産投資ローン」の返済原資は毎月の家賃収入です。賃貸経営が安定すると入居者様から得る賃料収入が発生するので、そこから不動産投資ローンの支払いを行います。なお、賃貸経営では管理費・修繕費などの物件を維持・管理するための経費も発生します。

また、自宅と同じく、所有する間は固定資産税・都市計画税の納付義務のほか、ローンの金利分の支払いもありますが、事業にかかるこれらの費用は家賃収入から捻出します。

借入の目的

「住宅ローン」は自宅の購入や増改築にあてるためのローンです。借入する本人や家族の住居にかかる費用を補填することが目的であり、それ以外の用途には使えません。住宅ローンの「金銭消費貸借契約書」にも用途が記載されており、住宅ローンで投資用物件を購入することは重大な契約違反にあたります。

反対に、不動産投資ローン返済中の物件を自宅にすることも認められません。金融機関は家賃収入からの返済を期待して融資を承認します。そのため、自分で住むことになり家賃収入が得られなくなった場合には、金融機関への報告が必要です。その際、残りのローンについて一括返済を求められることもあります。

なお、自宅と賃貸住宅が一つになった賃貸併用住宅の場合、条件によっては住宅ローンの借入が可能になります。賃貸併用住宅の概要は下記関連記事をご覧ください。

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融資金額の上限

融資金額の上限は、住宅ローンより不動産投資ローンのほうが高額です。返済原資は給与などの収入に家賃収入が加わるため、返済できる金額が高いと見なされ、不動産業を行うための高額融資が期待できます。

ちなみに、住宅ローンの融資上限は年収の5~8倍程度、不動産投資ローンは年収の10~20倍程度といわれています。年収や貯蓄が少なくても相続した不動産などがあれば、共同担保にして融資額の交渉をすることも可能です。

よく「住宅ローンを組んでいると不動産投資ローンは受けられないのでは?」という声が聞かれますが、金融機関が重視するのは「確実に返済できるかどうか」の一点です。そのため、返済能力があると認められれば、住宅ローンと不動産投資ローンを同時に利用することに問題はありません。

返済能力を判断する材料のひとつが、年収にしめる年間返済額の割合を表す「返済比率」です。返済額には自動車ローンや教育ローン、カードローンなども含まれ、住宅ローンや不動産投資ローンを加えた時点で基準を超えると融資が受けられません。比較的少額の借入は、できるだけ不動産投資ローンを申し込む前に完済しておくことをおすすめします。

また、賃貸業の元になる物件の収益性も大事なポイントです。融資の基準は金融機関によって異なりますが、収益性の高い物件を選定するほうが審査への影響が少なくなるでしょう。金融機関の立場から考えると、フルローンの場合は貸し倒れリスクが懸念されます。購入を予定している物件価格の10~30%程度の自己資金を準備していると、希望の融資枠が下りやすくなります。

融資の金利

不動産投資ローンは事業用融資のため、個人向けの住宅ローンと比較すると高めの金利が設定されています。また、住宅ローン減税のような税制上の優遇措置もありません。

お伝えしたとおり、不動産投資ローンの返済原資は家賃収入です。ただし、空室や家賃滞納などが発生して家賃が得られない場合、返済が滞る可能性があります。金融機関の目線で見ると、高めの金利は貸し倒れのリスクヘッジといえるでしょう。

なお、不動産投資ローンの金利は金融機関によって大きく異なります。なるべく有利な条件でローンを組むためにも、各金融機関の金利相場をこまめにチェックすることや不動産投資のパートナーに確認することが大切です。

不動産投資の節税効果

不動産投資ローンでは住宅ローン減税を受けることはできませんが、不動産投資を行うことにより所得税・住民税・贈与税・相続税の減税効果が期待できます。詳しくは下記の関連記事をご覧ください。

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審査の難易度

住宅ローンよりも不動産投資ローンのほうが、融資審査の難易度は上がります。住宅ローンの審査は個人属性について行われるのに対し、不動産投資ローンでは個人属性に加えて事業性が審査されるためです。利益が出せないようでは事業といえません。そのため、購入しようとしている物件からどのくらいの利益が期待できるか、しっかりとした事業計画が立てられているかなどがチェックされます。

不動産投資ローンの審査基準とは

ここからは、不動産投資ローンの審査基準をさらに掘り下げていきましょう。個人属性と物件について、それぞれどのような点が評価されるのかを解説します。

個人の属性に関する信用度

個人に関する審査では、主に次のような項目が調査されます。

● 年収
● 勤務先・勤続年数
● 資産状況

このほか、借入時の年齢や家族構成、健康状態なども調査の対象です。

年収

年収は、借入可能額を決める際の基本的な要素です。金融機関によって異なりますが、融資上限額は年収の7~10倍を目安に考えるとよいでしょう。ただし、職業や勤務先、資産状況などによっては、年収の10倍以上の融資を受けられるケースもあります。

なお、融資の申し込み条件に最低限必要な年収が設けられていることもあるので注意してください。一般的には年収500万円未満では融資は下りにくいといわれています。

近年、まだ収入の少ない若い方を対象に、住宅ローンで収益用物件の購入を勧める事例が多発しています。前述のとおり、住宅ローンで収益物件を購入することは重大な契約違反であり、発覚した時点で残債の一括返済を求められます。住宅ローンでの収益用物件購入を持ちかけられたら、きっぱりと断るようにしてください。

勤務先・勤続年数

勤務先や勤続年数は、収入の安定性を測る目安となります。個人事業主や自営業者と比べると、毎月安定した収入が約束されている給与所得者のほうが有利です。特に公務員や上場企業の会社員は、勤務先の安定性が高く、審査に通りやすい傾向にあります。

基本的には正社員でないと借入は難しく、派遣社員や契約社員の方は収入の安定性が念入りにチェックされることを覚えておきましょう。個人事業主や自営業者の方は、事業と収入の安定性を示す必要があります。

勤続年数については最低2~3年以上が必要という金融機関がほとんどです。そのため、転職したばかりの方はたとえ年収が高くても審査に通るのは難しいかもしれません。

保有資産の状況

預貯金や有価証券、不動産などの資産を多く所有していることは審査にプラスに働きます。年収や職業が基準を満たさない場合、資産が多いことをアピールするとよいでしょう。金融機関では借入額が少ないほど貸し倒れのリスクが低いと見積もります。十分な自己資金があり、頭金を多く入れられることを示せば、審査に通る可能性が高まるかもしれません。

また、資産状況においては前述の返済比率も重要視されます。不動産投資ローンを申し込む前に、完済できるものや売却できるものは整理して返済比率を下げておくことをおすすめします。

そのほか

健康状態や金融事故の履歴なども審査の対象に挙げられます。

住宅ローン同様、不動産投資ローンでも借入時に団体信用生命保険(団信)に加入するのが一般的です。返済中に契約者にもしものことがあったときに、ローンの残債が団信で支払われる仕組みのため、健康上の問題があって団信に加入できない場合は融資を受けられない可能性が高まります。団信加入・不加入を選べる金融機関もあるので、事前に確認してください。

また、融資の申し込みを受けた際、金融機関では個人信用情報を照会します。過去にローンの延滞や債務整理などがあった場合、金融事故(ブラックリスト)として記載されているため、審査に通らなくなる可能性が高いです。なお、発生から10年経過していれば情報は削除されるといわれているため、直近10年に問題がなければ審査への影響はないと考えられます。

収益不動産の資産性に関する調査

物件に関する調査では、主に「収益性」と「担保価値」を確認します。具体的には、物件の立地・構造・築年数・管理状況・周辺の賃貸需要などが評価の対象となります。金融機関が気にするのは、「貸したお金が確実に返済されるかどうか」です。そのため、空室リスクが懸念される物件は評価が低い傾向にあります。

また、返済不能となった場合に残債を回収できるだけの価格で売却できるかも重要視されます。基本的に建物の価値は築年数の経過とともに下がっていきます。たとえ築年数が浅いとしても、定期的かつ適切なメンテナンスが行われず劣化が目立つ物件は高い評価が得られません。

なお、返済期間は建物の法定耐用年数に応じて決まるとされています。法定耐用年数とは、建物や機械設備などの固定資産について、国が「資産価値がなくなる期間」と定めた年数です。建物の耐用年数は用途・構造によって定められ、中古物件を購入する場合は「法定耐用年数-経過年数」で返済期間が決まります。

もちろん法定耐用年数を超えていても建物の使用は可能ですが、収益性の低い物件の場合は資産価値がないと見なされて審査落ちするケースが多いといわれています。

【住居・事務所の法定耐用年数】

出典:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁

不動産投資ローンで融資を受ける流れ

不動産投資を利用して物件を購入する流れは以下のとおりです。

  1. 物件を選ぶ
  2. 買付証明書を提出
  3. 金融機関による事前審査(仮審査)
  4. 金融機関による本審査・売買契約の締結
  5. 金銭消費貸借契約の締結
  6. 融資実行・決済・引渡し

これら6つのステップでどのようなことを行うのか、具体的に解説します。

購入希望物件における収益面の調査

購入したい物件が見つかったら、空室状況や家賃相場などを調べて利回りを計算します。仲介業者に物件に関する資料を集めてもらい、収支シミュレーションを行いましょう。

購入前によく見る利回りは、「表面利回り」「実質利回り」の2種類です。表面利回りは収益性をざっくりと確認したいとき、実質利回りは賃貸経営を運用している実態に近い数値を出したいときに用います。

● 表面利回り(%)=満室想定年間賃料収入÷物件価格×100
● 実質利回り(%)=(満室想定年間賃料収入-年間支出)÷(物件価格)×100

年間支出には、固定資産税や管理費・修繕積立金、火災保険料、ローンの金利分などが含まれます。購入費用とは、仲介手数料や登記費用など購入時にかかる諸経費を指します。支出には実際に運用してみないと分からない費用もありますが、中古物件はそれまでの実績があるので具体的な数値が分かるはずです。

頭金の額や金利を変えて複数パターンのシミュレーションを行い、融資が下りやすい条件を探っていきましょう。

買付証明書(購入申込書)を提出する

購入の意思が固まったら、売主に「買付証明書」を提出します。買付証明書とは、売主に対して購入の意思を表す購入申込書です。人気の物件には多くの購入希望者が集まるため、迅速に買付証明書を提出して物件を押さえてもらう必要があります。

記載する項目は、購入希望金額、買主の情報、希望する条件などです。一般的には不動産業者が書類を用意してくれるので、必要事項を埋めるようにしてください。

買付証明書に法的な拘束力はなく、提出によって購入が約束されるわけではありません。ただし、話が進んでから自己都合でキャンセルすると、不動産会社から、良い収益物件を優先的に紹介してもらう確立が下がります。安易な気持ちではなく、購入を慎重に検討したうえで提出するようにしましょう。

金融機関に融資の事前審査(仮審査)を申し込む

金融機関に融資の仮の審査となる事前審査を申し込みます。融資審査は事前審査と本審査の2回に分けて行われ、事前審査では個人の信用情報と返済能力がチェックされます。事前審査の結果が分かるまで1~2週間程度かかるのが一般的です。

審査に通らなかった場合に備え、いくつかの金融機関に事前審査を申し込むようにしましょう。融資不可という結果が分かってから別の金融機関にあらためて事前審査の申し込みをすると、時間にロスが生じます。複数で同時に審査を受けることにより、より条件のよい金融機関を選択できるメリットもあります。

なお、ほかの金融機関でも審査を受けていることは隠さず伝えるようにしてください。高い評価が得られた場合、金融機関の間で競争心理が働き、金利引下げや借入期間延長などの好条件が提示されるかもしれません。

本審査、売買契約の締結

事前審査に通ったら、融資を申し込みたい金融機関を選び、本審査へと進みます。本審査では保証会社も加わって、契約者の健康状態や物件の収益性・担保価値についての審査が行われます。審査にかかる期間の目安は1〜2週間程度です。

本審査の結果を待つ間に売主と日程を合わせ、売買契約を締結します。このとき、契約書に「ローン特約」が記載されているかを確認しましょう。ローン特約とは、融資が受けられなかった場合に契約の白紙解除と手付金の返還を約束するものです。ローン特約がない契約では、本審査に落ちたときにキャッシュで物件を購入することになってしまうので、十分注意してください。

不動産投資ローンの金消契約を締結する

本審査に通ったら、不動産投資ローンの「金銭消費貸借契約」を締結します。金銭消費貸借契約とは、金融機関とローン契約者との間に締結される借入条件についての契約です。返済計画や設定金利なども契約書に記載されているので、内容をしっかり確認してからサインしましょう。

不動産投資ローンの融資実行を受ける

不動産投資ローンの融資実行を受けると同時に、残代金の決済・物件の引渡しを行います。所有権移転登記と抵当権設定登記が行われるのもこのタイミングです。抵当権は、返済が滞ったときに金融機関が物件を差し押さえられる権利です。抵当権を外すには、ローンを完済して抵当権抹消登記を行う必要があります。

審査を申し込んでから融資が実行されるまで、2週間から1ヶ月ほどかかるのが一般的です。事前審査にかかる期間は1~2週間程度、本審査で1〜2週間程度を目安に手続きを進めるようにしてください。

不動産投資ローンを組むときに注意すべきこと

ここでは、不動産投資ローンを組む際に注意すべきこととして、金利と返済期間の考え方を解説します。

融資返済期間の目安は投資目的によって変える

すでにお伝えしたとおり、返済期間は建物の耐用年数を基準とするため、構造や築年数によって融資の期間は異なります。耐用年数が最も長いのは鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の47年ですが、状況によっては20年以上の借入期間になる可能性もあります。

短期間での返済には、利息の支払い額が少なくなり、同じ借入額でも総返済額を少なく抑えられるメリットがあります。借金から早々に解放され、家賃収入の多くが手元に残ることになります。

一方で、返済期間中のキャッシュフローが少なくなることには注意すべきでしょう。不動産投資では空室リスクや家賃滞納リスク、修繕リスクなどへの対策として、ある程度の事業資金を手元に残す必要があります。返済期間を短縮して月々の返済額が大きくなった場合、キャッシュフローの確保は難しくなりがちです。賃貸経営を継続できなくなる可能性もあるため、余裕をもった返済計画を立てることが大切です。

なお、出口戦略を検討する際の原則論としては、デットクロスの前後が売却検討に適したタイミングになります。デッドクロスを迎えた後は、キャッシュフローが悪化し物件を保有し続けるメリットは少なくなるので、デッドクロスの前後は売却を考えるのに適したタイミングの一つといえます。ただし、物件やご状況により条件も変わるので出口戦略とあわせて返済計画を検討してみてください。

【CASE】
30代男性
老後に向けた資産形成の手段として不動産投資を選択しました。これから子どもの教育にもお金がかかるため、できるだけ自己資金を抑えて、節税をしながら長期間で返済していく予定です。出口戦略としては資産形成以外にも学費を捻出する際の保険として、資産価値と流動性が高い物件を選択しました。

シミュレーションでキャッシュフローの計算をする

不動産投資ローンを組む際に重要なのが、しっかりとしたシミュレーションでキャッシュフローの計算を行うことです。目標から逆算して現実的な収支計画を立てることにより、物件の収益性が判断できるだけでなく、融資審査にも有利に働く可能性があります。安定した利益が期待できることを具体的な数値で表せば、融資担当者を説得しやすくなるためです。

そもそも不動産投資ローンは事業用融資のため、事業計画書や決算書などの提出が求められます。普段から数字に触れておくことで、健全な賃貸経営に備えるだけではなく、金融機関向けにも説得力のある審査書類が作れるのではないでしょうか。

【CASE】
40代男性
収益物件の購入前に「購入時~運用時~売却または相続時」の3つのフェーズに分けてシミュレーションをすることで、ある程度のリスクを許容しつつ、賃貸経営の目的を達成するイメージが具体的になりました。購入時にかかる費用やランニングコスト、空室対策を含めたリフォームや大規模修繕など、出口戦略を見据えた賃貸経営に必要なシミュレーションにより、融資担当者とも良好な関係を構築できたと思います。

賃貸需要があるエリアからキャッシュフローが出る物件を紹介された際に、明確な基準ができていたので即決することができました。大規模修繕や工事対応など、不測の事態に備えて、効率的に資金をプールすることもできて満足しています。

イールドギャップは1.5~3.0%以上になるよう設定する

イールドギャップとは物件の実質利回りと借入金利との差を表す数値で、投資効率を判断するために欠かせない指標です。イールドギャップはレバレッジ効果を簡単に測れる指標になるため、金融機関からの融資を活用して不動産投資をする方は、チェックしておきたい指標になります。

● イールドギャップ(%)=実質利回り(%)−ローン金利(%)

イールドギャップが大きいほど投資効率が高く、魅力的な投資先であることを表します。運用中に金利が上がったりコストが増えたりしてイールドギャップが著しく下がった場合は、改善の一手を打つか、手放すことを視野に入れるタイミングかもしれません。

ちなみに適正値は1.5~3.0%以上です。物件の諸条件により基準も変わりますが、適正値を下回ると得られる利益が少なくなり、突発的な修繕や金利上昇に備えることが難しくなります。

【CASE】
40代女性
「利回りだけで投資判断をしない」という大前提があっても、「どの程度の基準」で、「どんな種類の不動産投資」を行うべきか悩んでいました。不動産投資の目的は明確だったので、イールドギャップのチェックはわたしにマッチする条件の物件を選ぶ際に役立ちました。

イールドギャップの大きさだけではなく、不動産投資の安全性と出口戦略を考慮し、キャッシュフローがどれだけ残るかにこだわることができて良かったです。

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不動産投資ローンの審査に通るコツ

いくつかの金融機関に融資を申し込んだものの、なかなか審査を通過できず、お困りの方もいるかもしれません。ここからは不動産投資ローンの審査に通るコツとして、次の3点を紹介します。

● 自己資金(頭金)を準備する
● 複数の不動産を共同担保にする
● 投資物件の見直し

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自己資金(頭金)を準備する

年収など属性に不安がある場合は、自己資金を蓄えておくようにしましょう。物件価格の1~3割以上の自己資金があるのが理想です。不動産の購入にかかる諸費用の目安は、新築で物件価格の3~7%、中古で6~13%とされています。

融資の条件として「物件価格の2割程度の頭金が必要」という金融機関が多いため、諸経費も考えて3割程度の自己資金があると安心です。頭金を上乗せすれば借入額を少なく抑えられるので、審査に通る可能性も高まるでしょう。ただし、自己資金が多すぎるとレバレッジ効果が低くなり投資効率が悪くなるため、不動産投資の目的に応じて考えるようにしてください。

区分ワンルームマンションなど、比較的購入金額が低い小さな物件から不動産投資を始めるのもひとつの方法です。状況によっては年収は多いのに勤続年数の短さや職業(個人事業主や自営業者)がネックとなって審査が通りにくい可能性もあります。賃貸経営を実際に体験しながら次に購入する物件の頭金をためられるので、一石二鳥といえます。

複数の不動産を共同担保にする

共同担保とは、ひとつの債権に対する担保として、複数の土地・建物に抵当権を設定することをいいます。提示された融資額が借入希望額に満たない場合、共同担保によって融資額を引き上げることが可能です。

共同担保に活用できるのは、自宅、相続した不動産、すでに所有している収益用物件など。所有者の承諾が得られれば親名義の不動産も共同担保にできます。なお、以下の条件を満たしていることで共同担保をつけやすくなります。

● ローンを完済している、または残債が少ないこと
● 融資を申し込む金融機関が担当する地域内の不動産であること

おすすめできませんが、フルローンを希望するときも共同担保を差し入れることで審査に通り易くなる場合があります。ただし、ハイリスクな方法であることは覚えておきましょう。もし返済が続けられなくなったとき、金融機関は抵当権を実行して貸したお金を回収します。自宅を共同担保にした場合、購入した物件はもちろん自宅も差し押さえられてしまいます。

理想的な物件と出会えることはなかなかありません。しっかりとしたシミュレーションのもと、共同担保を入れてでも購入すべきかを検討するようにしてください。

投資物件の見直し

年収や勤務先などに問題がないのに審査に通らないとしたら、購入しようとしている物件に問題があるのかもしれません。その場合は物件の見直しが必要です。

前述のとおり、建物の築年数は担保価値に影響します。法的耐用年数を超えている、または法的耐用年数が残り少ないといった理由から融資を断られるケースがあります。人口が少なく賃貸需要が期待できない、生活の利便性が低いなど立地条件が影響している可能性もあるでしょう。

審査基準は金融機関によって異なるため、なにが問題になるのか一概にはいえません。審査落ちの理由は融資担当者から教えてもらえるので、次回に備えて確認するようにしてください。

余談ですが、法的耐用年数が残り少ない物件でも融資してくれる金融機関は存在します。税制上は減価償却期間を求めるために中古物件の耐用年数を次のように考えます。

  1. 法定耐用年数の全部を経過した資産
    その法定耐用年数の20パーセントに相当する年数
  2. 法定耐用年数の一部を経過した資産
    その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数

出典:No.5404 中古資産の耐用年数|国税庁

築40年のマンションを例にすると次のようになります。

● 法定耐用年数:47年
● 返済期間:47年-40年=7年
● 減価償却期間:(47年-40年)+40年×20%=15年

基本的な考え方(法定耐用年数-経過年数)では返済期間が7年しかありませんが、金融機関によっては減価償却期間の15年まで返済期間を延ばしてくれます。一定の属性が求められるものの、法定耐用年数を過ぎた物件に融資してくれるケースもあります。金融機関により対応が異なるため、築年数が古い物件への投資を考える場合は、ローン金利とあわせて返済期間も確認することをおすすめします。

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住宅ローンの審査対象は個人の信用度を重視するのに対し、不動産投資ローンでは物件の収益性と担保価値も審査対象に加わります。審査は住宅ローンよりも厳しくなるため、融資申し込みに不安を抱える方は多いのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。