一棟マンションの売却は価格上昇局面が鉄則!不動産市況と出口戦略も解説

2024.09.10

近年は、ビジネスパーソンとして働きながら不動産投資をしている方も増えています。中には、マンションを一棟まるまる購入し、居住用の賃貸物件として貸し出して収入を得ている方もいるのではないでしょうか。

一棟マンションを所有している方は、正しいタイミングを見計らって売却すれば多額の資金を一度に手にすることができます。ただし、一棟マンションを売却する場合、分譲マンションの一室のみを売却するケースとは売却額も購入者層も大きく異なるため、事前に正しい知識を備えておくことが重要です。

この記事では、一棟マンション投資において一区切りとなる売却について、高く売るコツや注意点などを交えながら詳しく解説していきます。

一棟マンションと区分マンションの違い

一棟マンションとは、マンションのすべての部屋と共用部分を含めた建物全体を指します。不動産投資には、マンションの建物全体を購入する「一棟マンション投資」と、マンションの部屋単位で購入する「区分マンション投資」の2種類があります。

まずは、不動産投資における一棟マンションと区分マンションの違いについて、確認しておきましょう。

一棟マンション投資と区分マンション投資

一棟マンション投資では、賃貸マンションを一棟丸ごと購入して、賃貸物件として貸し出して家賃収入を得ます。

それに対して区分マンション投資とは、マンションの1室を購入し、その部屋を賃貸して家賃収入を得る投資方法です。

一般マンション投資と区分マンション投資は、いずれも賃貸物件として家賃収入を得るという点は同じですが、それぞれメリット・デメリットがあり、以下のように比較できます。

一棟マンション投資は、投資や運営のコストはかかりますが、安定した収入を得やすく自由度の高い運営ができるという点が特徴です。

売却の側面から見た一棟マンションと区分マンション

次に、一棟マンション投資と区分マンション投資について、売却の側面について比較してみましょう。

一棟マンションの売却・売却時の相場は数千万〜数億円
・売却時に買い手が見つかりづらい
区分マンションの売却・売却時の相場は数百万〜数千万円
・流動性が高く売却しやすい
・近年は価格上昇が顕著でキャピタルゲインを狙える立地もある

賃貸物件として運用して家賃収入を得るという点では、一棟マンション投資のほうが安定した収益を期待できますが、売却の際には買い手が見つかりづらいなどのリスクもあります。

一棟マンションの売却を考える際には、適切なタイミングを見定めつつ、少しでも高く売るためのコツを抑えておく必要があると覚えておきましょう。

不動産市況から見た一棟マンション売却

不動産の市場価格は、社会情勢の変動を受けながら常に変化し続けています。ここで、近年(2024年2月現在)の不動産市況を鑑みながら一棟マンションの売却タイミングについて確認していきましょう。

マンション価格が上昇している局面で売却するのが鉄則

一棟マンションと区分マンションどちらについてもいえることですが、不動産投資においては、不動産市況が好調でマンションの価格が上昇している局面で売却をするのが鉄則です。

近年では一棟・区分ともに投資用マンションの価格は上昇傾向にあるため、売却タイミングとしては適していると言えます。

不動産の売却については、以下の記事も参照ください。

■投資用不動産・収益物件の売却に関連する記事
不動産売却の見積もりとは? 査定のポイントと注意点を徹底解説!

一棟マンション

一棟マンションの価格変動について、統計を見ながら確認していきましょう。

国土交通省報告の「不動産価格指数(令和5年第3四半期分)」によると、2010年以降マンションおよびアパート一棟の売却価格は上昇を続けており、2010年と比較すると約1.5倍の価格で取引をされています。

出典:国土交通省 Press Release

もうひとつ、健美家の「収益物件 市場動向 年間レポート 2023年」から、一棟マンションの価格推移も見てみましょう。

出典:健美家 収益物件 市場動向 年間レポート 2023年

価格推移から確認できるとおり、ほぼ毎年数%ずつ売却価格が上昇している傾向にあります。以上の統計からも、2024年現在は一棟マンションの売却タイミングとしては適していると判断できます。

区分マンション

続いて、比較のために区分マンションの価格推移についても確認しておきましょう。

区分マンションは、一棟マンション以上に2010年頃から価格上昇を続けており、2010年と比較すると約1.93倍の価格で取引をされています。

出典:国土交通省 Press Release

また、区分マンションについても健美家の「収益物件 市場動向 年間レポート 2023年」で売却価格の推移を見てみます。

出典:健美家 収益物件 市場動向 年間レポート 2023年

区分マンションの価格上昇は顕著であり、年度によっては10%以上も上昇しているケースもあります。

価格上昇以外の一棟マンション売却のタイミング

不動産投資においては、市場価格が上昇しているタイミングで売却するのが一つの鉄則です。しかし、一棟マンションの売却は、区分マンションとは規模や購入希望者の層も異なるため、市場の価格上昇のみを判断基準にするのはおすすめできません。

具体的には、価格上昇に加えて、以下のような状況であれば、一棟マンションの購入に踏み切ることを検討するべきと言えます。

・大規模修繕実施の前
・周辺環境の変化が予想されるとき
・一棟マンションの減価償却期間が終了したとき
・資産整理で一棟マンションを手放そうと思ったとき

それぞれ簡単に解説していきます。

大規模修繕実施の前

大規模修繕とは、一定の周期(13~15)年で建物の外壁や共用施設など規模が大きい修繕を行うことを指します。

大規模修繕は、建物の劣化を防ぎ資産価値を維持するためには必須の取り組みですが、一棟マンションの大規模修繕ともなると数千万円以上の多額の資金が必要になるケースがほとんどです。

すでに大規模修繕が済んだばかりのマンションであれば買い手が見つかりやすくなるという考え方もありますが、そのためだけに数千万円という資金をつぎ込むのはリスクがあるでしょう。

現在所有している一棟マンションが築10~15年ほどで、そろそろ大規模修繕を検討しなくてはいけないタイミングになったら、建物自体の売却も視野に入れるべきといえます。

周辺環境の変化が予想されるとき

不動産投資では、「経年劣化」だけではなく「経年優化」についても考慮する必要があります。

建物自体については、経年劣化しかあり得ませんが、立地や周辺環境については以下のような要因により経年優化が起きて、売却価格が上昇する可能性があります。

・周辺に新しく大規模な商業施設ができる
・周辺に新しく大学やオフィスなどができる
・最寄駅に快速や特急が止まるようになる
・都市の再開発により商店街が活性化する

これらの変化が起きた際には、建物自体の需要が大きくなるために売却価格が上がる可能性があります。価格が上がったタイミングで売却をして、その資金を元手にさらに利回りのいい物件に乗り換えるなども一考の価値があります。

逆に、商業施設の撤退が予測されたり、周辺住民が遠のくような都市開発が行われるなどの事情があった際には、空室リスクが増加するため売却価格が下がってしまいます。売却価格の低下が見込まれる際にも、実際に下がる前に売却をしてしまうべきです。

不動産投資の中でも、特に一棟マンション投資においては、周辺環境やニュースなどに敏感になって、売却価格に影響する情報を見逃さないようにしておくことが大切です。

投資用マンションの売却時期については、以下の記事も参照してください。

■投資用マンション売却時期の関連記事
投資用マンションの売却時期は?出口戦略を見据える高値売却ポイント

一棟マンションの減価償却期間が終了したとき

マンションの建物や設備などは償却資産と呼ばれ、年数が経過するにしたがって資産価値が下がっていきます。その下がっていく部分は、減価償却費として必要経費に計上でき、減価償却費は所得から差し引けるため、マンション投資は節税効果があるとご存知の方も多いのではないでしょうか。

しかし、建物自体や設備などの資産には、減価償却ができる期間である法定耐用年数が定められています。それを過ぎると経費計上ができなくなり節税メリットはなくなってしまうため、マンションの減価償却期間が終了したタイミングで売却を検討するのもおすすめです。

不動産の建物や設備の減価償却期間は以下のとおりです。

一棟マンションの場合は、RC・SRC造が多いため、建物自体の減価償却期間の終了を待たずに売却をするケースが多いです。

マンションに含まれる各設備については15年で減価償却が終わるものも多いため、設備の減価償却が終わる築15年のタイミングで売却を検討するのもひとつの手と言えます。

不動産売却については、以下の記事も参照ください。

■投資用不動産・収益物件の売却に関連する記事
不動産売却税とは?信頼できるパートナーと考える効果的な節税対策

資産整理で一棟マンションを手放そうと思ったとき

資産整理とは、所有する資産をすべて洗い出して、財産目録を作成することです。資産整理の目的としては「相続の準備」「自己破産などの債務整理」の2つが考えられますが、資産整理のタイミングで、一棟マンションなどの不動産を現金に換えておくケースもあります。

収益物件などの不動産は、複数の相続人がいた場合に遺産分割が難しいため、現金化をしておいたほうがトラブルを防げる可能性が高くなります。

また、一棟マンション経営に行き詰まったり、賃貸経営以外の事業がうまくいかずに大きな借金を背負ったなどの理由で債務整理の手続きに入った場合には、所有する物件を売却して負債の返済にあてることを余儀なくされます。

一棟マンションの売却で注意すべきポイント

一棟マンションは売却価格が数千万〜数億円と高く、買い手がつきにくいというリスクがあります。一棟マンションを少しでも高くかつスムーズに売却するためには、以下のようなポイントを抑えておく必要があります。

・一棟マンションの入居率を高めておく
・一棟マンションの建物の外観や管理状態を良好にしておく
・時代のニーズに合った設備を一棟マンションに導入する
・信頼できる不動産会社に仲介を依頼する

それぞれ確認していきましょう。

一棟マンションの入居率を高めておく

少しでも買い手がつきやすくするためには、一棟マンションの入居率を100%に近づけておくことが重要です。

不動産物件の価格は、収益還元法で算出されることが基本であり、利回りを上げておけばそれだけ売却価格も高くなります。入居率が高いマンションであれば、買い取った後もすぐに収益化できると判断できるため、その分買い手からしても魅力的に映るといえるでしょう。

積極的に入居者様募集の広告を打ったり、退去者が出た場合にルームクリーニングなどの作業を迅速に対応するなど、空室が出ないような運営を心がけておくことが、売却時にも必ず役立ちます。

一棟マンションの建物の外観や管理状態を良好にしておく

一棟マンションの買い手は、数千万円〜数億円の資産をつぎ込むことになるため、建物の外観や管理状態をすみずみまでチェックするはずです。

日頃のメンテナンスを行いつつ、売却前に物件の外観を整える工事を行うことで、買主の心証がよくなり、購入に繋がりやすくなるでしょう。逆に、破損している設備があったり、外観が古くなっているなど、管理状態が悪い物件の場合には、購入後にメンテナンスや修繕のために費用がかかることも考えられるため、買い手がつきづらくなります。

また、手入れや管理が行き届いている物件であれば、必然的に入居率も高くなってくると考えられます。入居者管理と建物管理を並行して行い、良好な状態に保つことで買主の満足度を向上させられると覚えておきましょう。

時代のニーズに合った設備を一棟マンションに導入する

何ごとにも流行はつきものですが、一棟マンションなどの不動産においても同じことがいえます。

新築時は最先端の設備であったとしても、時代の変遷によってニーズが変わり、現代では陳腐になってしまっているものもあります。時代のニーズに合った設備を一棟マンションに導入すれば、入居率や家賃の上昇に繋がり、売却時にも有利に働く可能性が高まります。

ターゲットにしている住民層によっても異なりますが、現在では以下のような設備が人気です。

・エントランスのオートロック
・宅配ボックス
・風呂の追い焚き機能
・浴室乾燥機
・無料インターネット
・カメラ付きインターホン など

ただし、近隣の競合物件との兼ね合いもあるため、設備の導入やリフォーム・リノベーションはむやみに行なわず、現在の入居者様のニーズを抑えて対応することがおすすめです。

信頼できる不動産会社に仲介を依頼する

一棟マンションを売却する際に、自分で買い手を探す方はほとんどおらず、多くの方が不動産会社に仲介を依頼するはずです。その際に、一棟マンション売却を得意とする信頼できる不動産会社に仲介を依頼するのが大切です。

不動産の売却が成功するかどうかは、不動産仲介会社の販売力によるところが大きいです。不動産会社はたくさんありますが、それぞれ「実需物件の売買が得意」「中古物件の買取に特化している」「投資家向けのネットワークを持っている」など特色が異なります。

一棟マンションは収益物件なので、分譲マンションなどの実需物件とは異なり、基本的に投資家が購入層となります。そのため、一棟マンションを売却するには、投資家向けに販売するノウハウを持っている不動産会社に仲介を依頼するのが重要です。

投資用不動産・収益物件の売却については、以下の記事も参照ください。

■投資用不動産・収益物件の売却に関連する記事
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不動産売却はどこがいい? 大手・地域密着の特徴と仲介会社の選び方

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まとめ

大きな資金が動く一棟マンション売却は、不動産投資の中でも慎重な判断が必要になるものです。オーナー様が自分が相場を把握し、正しい情報をもとにした適切な判断をすることが求められます。

同時に、一棟マンションの売却実績が豊富で、信頼できる不動産仲介会社に相談することも重要です。【リロの不動産】は、賃貸オーナー様のネットワークがあり、データドリブンな売却が可能です。

一棟マンションの売却を検討している方は、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。