空き家売却で後悔しないポイント!高値売却と費用負担削減のコツ!

2023.08.17

近年、全国的に増え続ける空き家が問題視されています。両親が他界して実家を相続したものの、誰も使用せず空き家のままになっているなど、予期せず放置してしまうことも少なくありません。思い入れのある不動産であるほど、適切な処分方法が分からず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

使われない建物は劣化が進みやすく、資産価値がどんどん下がってしまうため、将来的に利用される予定のない空き家であれば、早めに売却するのが無難です。しかし、大切だからこそなかなか手放すことができないのが心情ではないでしょうか。

そこでこの記事では、空き家を放置するリスクや空き家の売却方法、一般的な売却の流れ、売却時の注意点などをまとめて解説します。空き家を所有したままでお悩みの方や納得のいく売却をしたい方は、ぜひ最後までご一読ください。

空き家問題の現状

総務省発表の「住宅・土地統計調査」によると、2018年の空き家の数は846万戸で、1998年からの20年間で約1.5倍に増加しています。ここでいう空き家は、長期にわたって不在かつ使われる予定のない「居住世帯のない住宅」です。

都道府県別の空き家率は山梨県(21.3%)が最も高く、次いで和歌山県(20.3%)、長野県(19.5%)となっています。空き家問題は主に地方で発生しているものと思われがちですが、東京都(10.6%)、神奈川県(10.7%)、千葉県(12.6%)など人口の多い首都圏でも空き家は増加傾向です。

都市部は住宅数が多いため、10.6%と割合が低くても空き家の実数はかなりの数にのぼります。地方を中心に都市部でも空き家が年々増え続けており、空き家問題は深刻といえるでしょう。

出典:平成30年住宅・土地統計調査|総務省統計局

空き家を放置するリスク

空き家は高齢化社会の影響や所有者による放置など、さまざまなことが原因となって増えつつあります。空き家の放置は地域に多くの弊害をもたらす可能性があり、問題が発生した際には所有者の責任が問われてしまうため注意が必要です。以下で紹介するような、空き家を放置した場合に起こり得るリスクを把握しておきましょう。

景観が悪化する

人の出入りがなく手入れがされない建物は、老朽化のスピードが早まります。劣化した建物や草木が生い茂る庭は周囲の景観を損ね、地域を訪れる方にネガティブな印象を与えてしまうでしょう。また景観が悪化することで、後述するようなさまざまなリスクの要因にもなりがちです。

ゴミが不法投棄されやすくなる

外観が荒れていかにも空き家といった風情の建物は、ゴミを不法投棄されやすくなります。放置されたゴミから悪臭が出たり、害虫・害獣が発生したりするため衛生上の問題が発生しやすく、近隣の迷惑になることが考えられます。

放火の可能性がある

空き家には燃えやすい枯草や紙ゴミ、木材などが散乱していることが多く、不審者による放火のターゲットになりがちです。放火されたとしても人が住んでいないことから発見が遅れやすくなり、空き家であることが原因で被害が大きくなってしまう可能性があります。発見が遅れると建物が全焼するだけでなく、近隣への延焼で被害が拡大するケースも少なくありません。

犯罪に利用されやすい

放置された空き家は、不法侵入や窃盗、薬物取引など犯罪の温床となる可能性があります。犯罪集団に隠れ家として利用されたケースもあり、近隣住民は怯えながら生活しなくてはなりません。空き家の場合、不法侵入があっても気付かれにくいことが利用されやすくなる原因となります。

倒壊の可能性がある

築年数がある程度経過した建物については、定期的な修繕やこまめなメンテナンスを行わなければ建物全体がもろくなり、倒壊する可能性が高まってしまいます。先述のとおり、人が住まない建物は劣化スピードを早めます。台風や強風で屋根材の一部が飛ばされたり地震によって倒壊したりすることで、周囲の建物や歩行者に被害を与えてしまう可能性があるため注意しましょう。

維持費がかかり続ける

空き家といえども、所有権がある間は固定資産税や都市計画税の納付義務があります。加えて最低限の安全を確保するための建物の老朽化を防ぐために、維持管理や修繕費がかかることも免れません。特別な理由があるかもしれませんが、現在利用しておらず、将来的にも利用の予定がない建物であるならば、現在支払っている費用をより有意義な未来を描くために利用することもできるでしょう。

資産価値の低下

一般的に、建物は築年数が経つにつれて資産価値が下がる傾向にあります。売却時に少しでも高く売却したい場合、定期的にメンテナンスを行い資産価値を維持しなくてはなりません。建物には、減価償却資産の耐用年数である法定耐用年数が決められています。利用される展望がある場合は、修繕を行う際に法定耐用年数を目安にするとよいでしょう。

立地により再販目的でリフォームやリノベーションを検討される方もいますが、市場のニーズを捉えて売却し、想定内の収益を得るのは難しいといえます。何もしない状態で、資産価値が大きく減少する前に対策することをおすすめします。

固定資産税が高くなる

以下に該当するような状態で空き家を放置すると「管理に問題がある」とされ、「特定空き家」に指定されます。

● 倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態
● 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
● 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
● 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

特定空き家に指定された土地は非住宅用地と見なされ、勧告に対して必要な措置を講じなかった場合に特例から外れ、住宅用地にかかる固定資産税・都市計画税の軽減措置が適用されなくなってしまいます。固定資産税は約6倍、都市計画税は約3倍になり、空き家を維持し続ける負担はさらに増大することになるため、ご留意ください。

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法の概要|環境省

空き家を売却するメリット

空き家を放置したままだとさまざまなリスクと隣り合わせになり、近隣住民にもご迷惑をかけてしまう可能性があります。利用される予定がないのであれば、リスクを防ぎあらゆる問題を解決するためにも、空き家を売却することがベストです。ここでは、空き家を手放すことで得られるメリットを紹介していきます。

維持費の負担がなくなる

特定空き家の認定を避けるには、費用をかけて定期的にメンテナンスを行う必要があります。また、所有者が住んでいないからといって固定資産税などの支払いを拒むことはできません。売却してしまえば所有権は他者に移動し、保有・管理・修繕などの維持費を削減できます。

一般的には建物が古くなるほど修繕箇所が多くなり、メンテナンスの費用負担も大きくなるためできるだけ早く手放すことをおすすめします。

管理の手間を省ける

実家など思い出の多い建物は手放すのに躊躇しがちです。ご両親が残してくれたお家がなくなってしまうことに、寂しさや罪悪感を感じる方も多いでしょう。しかし、空き家の管理は年月が経つほど負担が増えて大変です。月に数回窓を開けて空気を入れ替えたり、水道管の劣化を防ぐために水を流したりしなくてはなりません。

また現在の住まいと空き家の距離が遠い場合には、通うのに時間と交通費がかかります。仕事が多忙になったり体調不良になったりして足が遠のけば、建物はみるみるうちに劣化していくため、資産価値があるうちに売却を検討される方が多くなっています。

近隣トラブルを防げる

前述のとおり、放置された空き家には放火や倒壊などの危険性があり、近隣住民にとっては不安のタネとなります。自治体に通報される可能性もあり、火災や自然災害で周囲に迷惑をかけた場合は、損害賠償請求の可能性も考えられるでしょう。

近隣トラブルを防ぐためにも、管理しきれない空き家は売却するのが無難です。購入者によってリフォームや解体工事が実施されれば、近隣住民に迷惑をかけることは少なくなるでしょう。

空き家の売却方法

空き家の売却には、主に次に挙げる4つの方法があります。

● そのままの状態で売却
● リフォーム・リノベーションをして売却
● 賃貸用の収益物件として売却
● 解体して売却

それぞれの概要と注意点を以下で紹介していきます。

そのままの状態で売却

空き家をそのままの状態で「中古住宅」あるいは「古家付土地」として売却する方法です。築年数が古い建物は需要がないと思われがちですが、「昭和レトロ」「古民家テイスト」など、あえて古さを活かすデザインには一定の人気があります。「建物を安く購入して自分の好きなようにリフォームやリノベーションをしたい」と考える方もいるため、そのままの状態でも売却できる可能性は十分にあるでしょう。

ただし、ニッチな市場になるため、買主が見つかるまで時間がかかる可能性があります。敷地内や建物内が荒れたままではイメージが悪いため、残置物は早めに処分したり適度なクリーニングを行ったりと、清潔感を保つようにしておくとよいでしょう。

さらにインスペクション(建物状況調査)で検査済み物件であることをアピールすれば、早く買主が見つかるかもしれません。買主がリフォーム・リノベーション費用や解体費用、測量費用などを負担することになることが多いため、ほかの売却方法と比べて売却価格は安くなる傾向にあります。

リフォーム・リノベーションをして売却

空き家をリフォームし、購入後にすぐ住める状態にして売り出すのも一つの方法です。木造住宅の法定耐用年数は22年で、一般的には耐用年数を過ぎると資産価値はないものと見なされます。市場相場が低い金額になるものの、リフォームによって資産価値をある程度回復させられます。

築年数の古い建物は耐震性に不安がありますが、1981年6月以降に建築確認を行った建物であれば新耐震基準をクリアしているので安心です。外観は古くても室内に最新設備を取り入れていたりモダンな雰囲気を演出したりできれば、買主を見つけやすくなります。

注意したいのはリフォームやリノベーションを検討する場合です。資産価値が回復するといっても新築と同じ水準になることはほぼありません。リフォームやリノベーションなどの工事に費用をかけすぎると最終的にマイナスになる可能性があるので、中古相場を意識しつつ売却価格を設定し、逆算してリフォームやリノベーションにかけられる費用を算出しておきましょう。

また、施工内容によっては購入者が限られてしまうことも考えられます。デザインや間取りは人によって好みが分かれるため、万人受けしやすい仕上がりになるよう、入居者ニーズを満たせる付加価値をもたらす工事が、適切な工事規模と施工範囲で想定した費用に収まるか確認することが極めて重要になります。リフォーム・リノベーションなど工事を担当するパートナーに相談しながら人気の設備や内装などを選ぶことをおすすめします。

賃貸用の収益物件として売却

戸建て賃貸として賃貸経営を行い、収益物件として売却する方法です。人口が多く賃貸需要が見込まれる地域であれば、賃貸として貸し出すことで不動産の価値が向上する可能性があります。賃貸用にリフォームや修繕を行うため、ある程度の初期投資や全体の収益が回収できるような収支シミュレーションに準じた対応が必要です。

また、リフォームや修繕などの工事費用や入居者募集のための手間や費用がかかりますが、賃貸管理会社に任せることもできます。物件が遠方にある場合や十分な時間が取れない場合は賃貸管理会社に依頼するようにしましょう。

売却のターゲットは収益物件オーナー様になるため、相場から乖離しすぎる高値売却は難しく、売却時には収支シミュレーションと適切な出口戦略が大切です。物件の状態によっては工事をしないほうがいい場合もあるので、賃貸経営の知見があるパートナーに相談してみましょう。

解体して売却

空き家の老朽化が激しい場合は、建物を解体して更地の状態で売却する方法もあります。解体に手間や費用がかかりますが、購入後すぐに利用でき、売却時の見栄えがよくなるというメリットがあるため、建物が残る状態よりも売却しやすくなります。土地には建物のように経年劣化という考え方がなく、資産価値が下がることもないため、ほぼ相場の価格での売却が可能です。

なお、建物が撤去された土地は住宅用地の特例が適用されず、固定資産税・都市計画税の負担が大きくなります。なるべく少ない負担ですむよう、解体から売却までを計画的に進めていきましょう。

「仲介」と「買取」売却方法の違い

不動産を売却するとき、不動産会社に「仲介」を依頼するのが一般的ですが、「買取」という選択肢もあります。買取とは売主と買主の間に仲介が入らず、不動産会社が買主となって直接契約を交わすことです。買取業者は購入した物件をリフォームやリノベーションで生まれ変わらせ、再び販売します。

買取には「即時買取」と「買取保証」の2種類があり、それぞれ売却にかかる期間や売却価格などが異なってきます。「即時買取」はその名のとおりすぐに買い取ってもらう方法で、早くて2週間から1ヶ月ほどで売却が完了するなど売却期間が短い点が最大のメリットですが、相場より低い価格になってしまうことは免れないでしょう。

一方「買取保証」は最終的な買取価格を決定したうえで、一定の期間仲介を行い一般の買主を探す方法です。買取を保証して売却活動ができるため、「少しでも高く売却したい」という希望と「確実に売れる」という確信が持てるいいとこ取りの売却方法です。ただし、買取保証に対応している仲介業者は限られているため、依頼する前に確認する必要があるでしょう。

買取には次のようなメリット・デメリットがあります。

【メリット】

● 短期間で現金化できる
● 仲介手数料がかからない
● 契約不適合責任が免除される
● 近隣の方に知られることなく売却できる
● 物件に諸問題があっても現金化できる

【デメリット】

● 買取不可の物件もある
● 市場価格より1~3割ほど安くなる

仲介の場合、販売活動をスタートしてから成約まで3~6ヶ月程度かかるのが一般的ですが、買取の場合は販売活動をする必要がなく、金額や条件で折り合いがつけば即成約となり、約1ヶ月程度で現金が手元に届きます。売却価格が相場より安くなっても早く現金化したい場合に、向いている売却方法といえるでしょう。

ただし、建物の状態や物件によっては買取してもらえないケースもあり、買取を行う不動産業者はリフォームやリノベーションを前提に購入して再販売することが多いため、相場より1~3割ほど安くなってしまいます。近隣トラブルや特殊な問題を抱えた物件の場合も、問題解決能力がなければ受けられないことがあります。時間がかかっても高く売却したい場合には、仲介での売却を選択するようにしましょう。

空き家を売却する流れ

ここからは、空き家を売却する際の一般的な流れを紹介していきます。ステップごとにどのようなことを行うのかを把握しておきましょう。

査定依頼をする

はじめに不動産会社に査定を依頼し、いくらぐらいで売れそうか金額を把握します。1社のみでは査定額が妥当かどうかわからないため、特定の会社に希望がなければ複数社に査定を依頼するのが一般的です。不動産会社を選ぶときは査定額の高さではなく、査定の根拠や販売活動の進め方などを確認し、信頼できそうな会社を選ぶのがポイントです。

なお、売却時期にリミットがある場合は、買取保証をしてくれる不動産会社を選ぶと安心です。高値売却をねらいつつ、リミットまで買主が見つからない場合は提示された買取金額で確実に売却できます。

媒介契約を結ぶ

売却を依頼する不動産会社が決まったら媒介(仲介)契約を締結します。媒介契約には3種類あり、違いは以下の表を参考にしてください。

売却活動の開始

媒介契約を締結した後に、売却活動のスタートです。不動産会社は買主を見つけるために、次のような販売活動を行います。

● 不動産ポータルサイト、自社Webサイト、住宅情報誌などに物件情報を掲載
● 各種広告(新聞折込、店頭での物件情報掲示など)
● 内見希望者を現地に案内
● 問い合わせ対応 など

広告への反響や活動状況は1~2週間に1回程度のペースで売主に報告され、金額設定や条件などを見直しながら進めていくのが一般的です。

売買契約の締結

購入希望者が見つかったら、売買契約に向けて条件交渉を行います。引渡し日などの細かい取り決めを行い、売主・買主の双方合意のうえで契約締結となります。契約時には、買主が売主に手付金として、売買代金の一部を支払うのが一般的です。また、売主・買主それぞれが不動産会社に対して仲介手数料の半額を契約時に支払う場合があります。

基本的には指定された場所に足を運び、関係者立会いのもと契約締結となりますが、2021年9月施行のデジタル改革関連法と2022年5月施行の改正宅建業法により、オンライン契約ならびに売買契約書・重要事項説明書などの電子交付が可能になりました。移動の手間や時間が削減できる便利な仕組みですが、未対応の不動産会社もあるので確認してみてください。

引き渡し

売主が買主から売買代金の残代金を受領し、売主から買主へ物件の鍵と必要書類を引き渡したら売買取引が完了となります。残代金の決済と引き渡し日を同日に行うのが基本です。引き渡し・決済日は、買主の住宅ローン審査などにより契約締結日から1~2ヶ月後になることが多いですが、双方の合意を得られれば、契約時に決められた引き渡し期日より前倒しにすることも遅らせることもできます。

確定申告

売却益が出た場合は、売却した翌年の確定申告で譲渡所得税を申告・納付します。譲渡所得税を求める計算式は次のとおりです。

譲渡所得税=(売却価格-取得費-譲渡費用)×税率

● 取得費:物件の購入価格(減価償却分を差し引く)、購入時にかかった仲介手数料などの経費、印紙代や登録免許税などの税金など

● 譲渡費用:売却時にかかった印紙代や登記費用など

相続した不動産など取得費がわからない場合は、「売却価格の5%」を取得費とすることができます。譲渡所得税の税率は、売却した年の1月1日時点での保有期間が5年以下か5年を超えるかで、次のように異なります。

※2013~2037年まで復興特別所得税が上乗せされた税率を適用

また、税金対策に特例を利用する場合も確定申告が必要です。申告期限もあるため、早めに準備をしておきましょう。

空き家の売却にかかる費用

空き家を売却する際に発生する代表的な費用として、次の3つが挙げられます。

● 仲介手数料
● 税金(登録免許税、印紙税、譲渡所得税)
● 解体費用(更地渡しの場合)

それぞれどのような費用なのかを押さえておきましょう。

仲介手数料

仲介を通じて買主が見つかった場合、成約時に仲介業者に支払う成功報酬です。宅地建物取引業法によって上限額が定められており、範囲内であればいくらでもよいですが、一般的には上限額が請求されます。成約価格から上限額が割り出せるため、あらかじめ確認しておきましょう。

仲介手数料はあくまでも成功報酬なので、成約に至らなかった場合に支払う必要はありません。不動産会社が買主となる買取の場合も、仲介手数料の支払いは不要です。

税金

不動産の売却時には、次のような税金が発生します。

【登録免許税】

登記内容を書き換える際に国に納める税金です。売却時には「所有権移転登記」を行いますが、一般的には買主が費用を負担します。売却する物件に抵当権が設定されている場合は「抵当権抹消登記」を行い、費用負担は売主となるのが一般的です。抵当権抹消登記では、土地・建物それぞれに1,000円の登録免許税がかかります。なお、土地は1筆ごとに登録免許税を納めます。

【印紙税】

売買契約書に貼付する印紙代のことです。税額は契約金額によって変わりますが、2024年3月31日までに作成される不動産売買契約書は軽減措置の対象となっています。

【譲渡所得税】

売却益が出たときにかかる所得税・住民税です。一定の要件を満たす場合には、特別控除や減税・還付などが適用される特例もあります。

解体費用(更地渡しの場合)

更地にして引き渡す場合は、建物の解体ならびに撤去費用がかかります。建物の大きさや構造、解体業者などによって費用は異なりますが、一般的な木造戸建て住宅の場合、100万円程度かかることを想定しておくとよいでしょう。

解体にかかる費用を土地の価格に上乗せすることもできますが、相場よりも高額になると売却しづらくなるため注意してください。

売却時の費用負担を少なくする方法

売却時にかかる費用を抑えるためには、次の3点を押さえておきましょう。

● リフォームせずそのままの状態で売却する
● 空き家解体の補助金制度や税金控除の特例を活用する
● 不用品の処分をしておく

以下にてそれぞれの内容を解説します。

リフォームせずそのままの状態で売却する

リフォームしてから売却するのも一つの方法ですが、できるだけリフォームせずそのままの状態で売却することをおすすめします。築浅の戸建てであればリフォームが不要、もしくは一部のリフォームのみですませられますが、築20年以上などある程度経過していると、リフォームを要する箇所も増えていきます。

数十万~数百万円の費用が想定されますが、リフォームにかかった費用を売却価格に上乗せしても相場価格と大きく乖離してしまい、買主が見つからず売却できないという事態にもなりかねません。中古物件を選ぶ方には「自分好みにリフォームしたい」というニーズもあり、リフォームしたことが敬遠される理由になりがちです。

リフォーム内容によって購入するターゲットが狭まる可能性や、販売まで時間がかかること、工事費用を節約できるという点でも、リフォームなしで売却することを最初に考えたほうがメリットが多いといえるでしょう。

空き家解体の補助金制度や税金控除の特例を活用する

空き家問題を解消するため、多くの自治体では空き家解体の補助金制度を設けています。例えば東京都品川区の制度では、建物の床面積1平方メートルあたり3万1,000円(上限1,550万円)または実際にかかった費用のうち、金額の少ないほうが助成金額になります。助成金額や要件は自治体ごとに異なるので、空き家が所在する自治体に確認してみましょう。

また、相続した空き家の売却で譲渡所得(売却益)が発生した場合、特例により3,000万円までを譲渡所得から控除できます。特例を受けるには、相続した日から3年を経過する年の12月31日までに売却しなくてはなりません。共有名義の場合、相続人全員の合意が必要になるため、通常よりも売却に時間がかかる可能性があります。適用要件や必要書類も細かく指定されているので、早めに準備を始めるようにしましょう。

不用品の処分をしておく

不用な残置物の処分を解体業者や買取業者に依頼すると、処分費を高く見積もられたり、売却代金から処分費を差し引かれたりする可能性があります。自分で業者を手配して処分したほうが安くすむことが多いため、売却時には残置物がない状態にできるよう、事前に処分しておきましょう。

業者ごとに料金やサービス内容が異なるので、できるだけ複数社から見積もりをとって比較するようにすることをおすすめします。

空き家を売却する際に押さえておきたい3つのポイント

空き家を放置することや所有し続けるリスクやメリット・デメリットに注意点をお伝えしました。売却の流れと注意点についても理解を深めることで、空き家の売却を検討する気持ちが強くなった方もいるのではないでしょうか。そこで、ここからは空き家を売却する際に押さえておきたい3つのポイントを紹介していきます。

売却期間に余裕を持っておく

なるべく高く売却したい場合は、売却期間に余裕を持っておくようにしてください。空き家となる建物を残した状態での売却は、更地と比べて販売が難しい傾向にあります。買主様が見つかるまで1年くらい待つつもりで、じっくりと取り組みましょう。

ただし、早く現金化する必要がある場合や譲渡所得税の特例を受けたい場合は、それほど時間をかけることができません。早期売却を目指すのであれば、価格を妥協して買取を選ぶか、高値売却を期待しつつ一定期間で確実に売却できる買取保証を選ぶとよいでしょう。

名義変更しておく

相続時は原則として相続登記(所有権移転登記)が必要ですが、期限の定めがないため、手続きを忘れてしまうことも少なくありません。実際に、登記簿上の所有者が実際の所有者と異なるケースは珍しいことではありませんが、売却できるのは所有権を持つ名義人のみです。登記簿の名義が亡くなった方のままになっているのであれば、司法書士に依頼して相続登記をすませておきましょう。

なお、2024(令和6)年4月からは相続登記の申請が義務化され、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。正当な理由がないまま放置すると、10万円以下の過料が科されることもあるため注意が必要です。

出典:法務省 不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~

空き家の売却実績が豊富な不動産会社を選ぶ

不動産会社によって売却する不動産のジャンルに得手不得手があるため、空き家の売却実績が豊富な不動産会社に依頼して販売活動を行うと、効率的かつ好条件で売却できる可能性が高くなります。複数の不動産会社に査定依頼して、提案内容やサポートの充実度などを見比べるようにしてください。

買取や買取保証に対応する不動産会社は、一般的な仲介に比べて多くありません。買取を視野に入れている場合は、対応可能かどうかを事前に確認するようにしましょう。

まとめ 空き家の売却にはパートナー選びが重要

杓子定規な表現となりますが、空き家を放置したままにしておくと、リスクが高まるばかりでメリットはほとんどありません。将来使用する予定がないのであれば、早めの売却をおすすめします。売却する際はポイントを押さえたうえでパートナーとなる不動産会社を慎重に選べば、納得のいく売却ができるでしょう。

不動産売買の実績が豊富な【リロの不動産】では、空き家の売却に関するアドバイスやサポートはもちろんのこと、賃貸物件として活用したいというご要望にも対応可能です。立地や建物の状態などにもよりますが、即時買取や買取保証も対応しています。所有する空き家について不安やお悩みがある方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。