不動産取得税はどうやって計算する?新築・中古別シミュレーション
2024.11.26不動産を新たに取得したときに1度だけかかる「不動産取得税」。普段あまり接する機会のない税金ですので、具体的な税金の中身についてイメージできない方も多いのではないでしょうか。
この記事では「不動産取得税」についての基本知識や具体的な計算方法などを解説します。不動産投資を始めてみようとお考えの方、あるいはすでに不動産投資を始めている方も、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
▼この記事の内容
●不動産取得税とは、土地や家屋などの不動産を取得したときに1度だけ課税される地方税のこと
●家や土地の購入、新築・増築、自分の不動産と相手の不動産所有権を入れ替える「交換」や「贈与」による取得も課税対象
●不動産取得税の税額は「土地」と「建物」それぞれ個別で計算し、その合計額で決定される
●「建物」の不動産取得税額=(固定資産税評価額 ― 控除額)× 税率3%
●「土地」の不動産取得税額 = (土地の固定資産税評価額)×1/2 × 税率3%
目次
不動産取得税とはどのような税金?
不動産取得税とは、土地や家屋などの不動産を取得したときに、1度だけ課税される地方税です。
不動産取得税の税額は「土地」と「建物」それぞれ個別で計算し、その合計額で決定します。不動産の規模、評価額によっては高額となるケースもあるので、事前の準備が大切です。
不動産取得税がかかるケース
不動産取得税は、不動産を取得した時に課税されます。総務省によると、不動産の取得とは「不動産所有権の取得」を指すため、有償か無償かにかかわらず、不動産の所有権を取得した際に課税義務が生じます。
家や土地の購入はもちろん、自分が持っている不動産と、相手が持っている不動産の所有権を入れ替える手続きである「交換」や「贈与」による取得の際も、不動産取得税はかかります。
新築の建物を建てたり、増築したりする場合も課税対象であり、未登記の不動産を取得した場合も課税されます。
一方で、不動産を「相続」によって取得した場合は、不動産取得税の課税対象外となります。法人の合併による取得や、公共目的のための不動産の取得(地方自治体の用地買収など)も同様に非課税です。「贈与」による取得が課税対象となることと混同しやすいので、この点はくれぐれもご注意ください。
また、不動産取得税の納付先は都道府県となっています。
なお、不動産の相続・贈与については、以下の記事をご参照ください。
■参考記事
マンション相続の手続きとトラブル防止の事例!手順・税金計算も解説
相続税の基礎控除とは? 各種控除と賃貸不動産を活用した相続税対策
不動産を生前贈与したほうがいいケースとメリット・デメリットを解説
不動産取得税申告のタイミング
不動産取得税は、不動産を取得した日から原則として60日以内に、取得した不動産の所在地の管轄である都道府県税事務所に申告しなければいけません。不動産取得税が未納となると、滞納した期間と金額に応じて延滞金が課されるため、不動産を取得した際は取得税の申告期限を必ず都道府県のHPなどから確認しておきましょう。
ただし、東京都は不動産を取得した日から30日以内に登記を申請した場合には、原則として申告は不要となります。他の自治体でも、登記を要件に申告が不要になるのが通常です。
不動産取得税の納付方法
不動産取得税の納付方法は、自治体ごとにさまざまですが、現金以外でも納付できるケースが多くなります。
金融機関窓口やコンビニでの払込、e-TAXなどの電子納税、クレジットカード決済や口座振替、最近ではスマートフォンの決済アプリ(LINE Payなど)でも納付できる自治体が増えています。
スマートフォンの決済アプリで納税をした場合は、ポイントがつく可能性もありますが、ポイントがつくかどうかはアプリによって異なります。不動産取得税は数十万円の支払いになるケースも多く、それにともない大きなポイントを取得できるため、ポイントを取り逃がさないように事前にしっかりと確認しておきましょう。
不動産取得税はいくら?計算方法とポイント
ここからは不動産取得税の計算方法について、具体的に解説します。計算式自体は複雑ではありませんが、計算の根拠となる「課税標準額」や各軽減制度の要件については、一通り押さえておきましょう。
「土地」と「建物」それぞれで計算方法、軽減措置の適用要件など違ってきますので、2つの制度をしっかり分けて理解することが重要です。
なお、不動産取得税の軽減措置については、次の記事をご参照ください。
■参考記事
不動産取得税と軽減措置の仕組みとは?還付される金額はいくら?
固定資産税評価額(課税標準額)を用いる
不動産取得税の計算式は次のとおりです。
不動産取得税=課税標準額×標準税率
計算式は土地と建物共通で、標準税率は原則4%です。ただし、2008年4月1にから2024年3月31日までに取得した住宅用の不動産については、宅地と住宅の両方に対する税率が3%となっています(居住用の不動産を取得した場合、後で解説する特例・軽減措置などを利用するため、計算結果よりもさらに低い金額になります)。
「課税標準額」は土地、建物ともに「固定資産税評価額」を使います。固定資産税評価額は総務大臣の定める「固定資産評価基準」を元に、各市町村が個別に決定する評価額のこと。家や土地を所有していると毎年送付されてくる「納税通知書」に付属した「課税明細書」に記載されています。納税通知書のない物件については、役場で縦覧・閲覧できる「固定資産課税台帳」でも確認可能です。
「土地」の固定資産税評価額は国土交通省が毎年発表する「公示地価」の約70%、「建物」の固定資産税評価額は建築費の50~70%程度で算出されていて、3年ごとに見直しが行われます。実際の購入価格や相場価格と比べて低い金額となる場合がほとんどです。
建物の不動産取得税
不動産取得税の標準税率は4%ですが、特例により土地、建物ともに3%に軽減されます(ただし、住宅用以外の建物は4%のまま計算します)。
建物の不動産取得税を計算する式は以下のとおりです。
建物の不動産取得税額=(固定資産税評価額 ― 控除額)× 税率3%
計算式に「控除額」とありますが、これが住宅を購入した場合に適用される軽減措置で定められた金額です。新築住宅は1,200万円(長期優良住宅の認定を受けると100万円上乗せの1,300万円)が控除額となります。控除額の基準は築年月日ごとに細かく決まっていて、新築だけでなく中古住宅も一定の控除額が適用されます。
詳しくは後述の中古住宅のシミュレーション例で解説していますので、そちらを参考にしてください。
なお、取得費用が低すぎる場合は、そもそも課税されません(これを「免税点」といいます)。具体的には新築、増築、改築による取得金額23万円未満、売買、交換、贈与などによる取得費用12万円未満だと課税対象外となります。
土地の不動産取得税
土地の不動産所得税の計算式は次のようになります。
土地の不動産取得税額 = (土地の固定資産評価額)×1/2 × 税率3%
固定資産評価額に2分の1を乗算していますが、これは2024年3月31日までに宅地とともに取得した土地に適用される軽減措置によるものです。なお、土地についても免税点が設定されています。具体的には取得費用10万円未満の場合が非課税です。
ただし、次にあげるような場合は、隣接する土地や家屋とセットで不動産を取得したとみなされ、免税点が適用されません。
・土地を取得した方がその土地を取得した日から1年以内にその土地に隣接する土地を取得した場合
・家屋を取得した方がその家屋を取得した日から1年以内にその家屋と一構となるべき家屋を取得した場合
免税点の適用除外は不正な免税を防ぐための決まりです。例えば本来は数百万円する土地を分割し、10万円未満で分割購入する、といった脱税行為を防ぐために設定されています。
不動産取得税の計算方法(新築の場合)
それでは「新築」と「中古」の事例ごとに整理し、もう少し具体例を挙げてみましょう。基本的に考え方は同じですが、要件などで若干異なる点もあります。特に大幅な減税につながる「軽減措置」について理解することが重要です。
新築住宅で軽減措置が受けられる場合
不動産取得税の軽減措置の対象となる建物を「特例適用新築住宅」といいます。具体的な要件を挙げると以下のとおりです。
●「特例適用新築住宅」の要件
課税床面積が50㎡以上240㎡以下であること
(賃貸マンションの場合は1戸当たり40㎡以上240㎡以下)
居住用そのほかも含め住宅全般に適用されます(セカンドハウスや賃貸用マンションも含みます)。
建物にかかる不動産取得税は、上の条件を満たせば特例対象となり、固定資産税評価額から1,200万円控除されます。
なお、取得した新築物件が「認定長期優良住宅」の場合、さらに100万円上乗せされるため、控除額は1,300万円です(「認定長期優良住宅の認定申請は2024年3月31日まで可能)。「認定長期優良住宅」は耐震性、省エネルギー性、居住環境などの各項目を満たすことで認定される住宅で、不動産取得税以外にも住宅ローン控除や固定資産税、登録免許税などでも優遇されています。
ご興味のある方は国土交通省のパンフレットを参考にしてください。
(参考)国土交通省 長期優良住宅認定制度の概要について
新築建物が建っている「土地」についての軽減措置の要件もあらためて確認しておきましょう。
●新築建物が建つ土地の軽減措置要件
1:建てられた住宅が、「特例適応新築住宅」の要件を満たしていること
2:先に土地を取得した場合、3年以内に建物を新築すること
3:先に建物の建築をしていた場合、1年以内にその土地を取得すること
上の要件を満たす場合、住宅が建っている土地の固定資産税評価額が2分の1となります(適用期限は2024年3月31日まで)。さらに先ほどのシミュレーション時にご紹介した「住宅とその敷地にかかる軽減制度」で計算した控除額を適用します。
●「住宅とその敷地にかかる軽減制度」で適用される控除額
A、Bのどちらか大きいほうの金額に決定
A:4万5,000円
B:(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×2分の1)×課税床面積×2(200㎡が限度)×3%
新築住宅における不動産取得税の計算シミュレーション
それでは、実際に、新築住宅における不動産取得税の計算シミュレーション例を紹介しましょう。
計算シミュレーション(1)
例)2018年2月に300㎡の土地を取得後、同年6月に延べ床面積200㎡の家屋を新築した事例
【土地と建物の条件】
・敷地面積が300㎡
・延べ床面積200㎡
・取得者本人の居住用住宅
・土地の固定資産税評価額 3,000万円
・建物の固定資産税評価額 2,000万円
・長期優良住宅ではない
【計算シミュレーション例】
・建物の不動産取得税額
[2,000万円(固定資産税評価額)-1,200万円(新築建物の控除額)]×0.03(税率)=24万円
延べ床面積が200㎡なので、「50㎡以上240㎡以下」の要件に該当するので、控除額の適用対象です。
・土地の不動産所得税額
[3,000万円(固定資産税評価額)×1/2]×0.03-30万円(控除額)=15万円
控除額の計算式は、
(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×2分の1)×課税床面積×2(200㎡が限度)×0.03
ですので、この計算式を当てはめると
(3,000万円÷300㎡×1/2)×200×0.03 = 30万円
4万5,000円よりも大きい金額なので、30万円が控除額となります。
以上を合計すると
不動産取得税額=24万円(建物分)+15万円(土地分)=39万円
となります。
計算シミュレーション(2)
例)2020年2月に100㎡の土地を取得後、同年7月に延べ床面積60㎡の家屋を新築した事例
【土地と建物の条件】
・敷地面積が100㎡
・延べ床面積60㎡
・取得者本人の居住用住宅
・土地の固定資産税評価額 1,000万円
・建物の固定資産税評価額 1,250万円
・長期優良住宅の認定あり
【計算シミュレーション例】
・建物の不動産取得税額
[1,250万円(固定資産税評価額)-1,300万円(新築建物の控除額)]×0.03(税率)=▲1.5万円≒課税額0円
長期優良住宅の認定を受けているため、控除額が1,300万円となった結果、固定資産税評価額を上回る控除額となっています。このような場合は課税額は0円です。
・土地の不動産所得税額
[1,000万円(固定資産税評価額)×1/2]×0.03-18万円(控除額)=0円(-3万円)
控除額の計算式は
(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×2分の1)×課税床面積×2(200㎡が限度)×0.03
ですので、この計算式を当てはめると
(1,000万円÷100㎡×1/2)×120×0.03 = 18万円
4万5,000円よりも大きい金額なので、18万円が控除額となります。
以上を合計すると
不動産取得税額=0円(建物分)+0万円(土地分)=0円
となり、不動産取得税額は実質0円となります。
不動産取得税の計算方法(中古の場合)
次に「中古住宅」の取得における不動産取得税の計算方法について、軽減措置の仕組みを中心に解説します。基本となる考え方は新築住宅と同じですが、建物の控除額の決定方法に築年月日が関わる点を理解しておきましょう。
中古住宅で軽減措置が受けられる場合
中古住宅が軽減要件にあたるかのポイントは、1981年6月以降に適用された「新耐震基準」を満たしているか、という点です。もし新耐震基準を満たしていない中古住宅の場合は、耐震リフォーム工事を実施して新耐震基準をクリアしていないと、軽減措置の適用を受けられません。
●「特例適用中古住宅」の要件
下の要件を満たしたうえで、2に挙げた要件のどれか1つに当てはまる必要があります。
1:課税床面積が50㎡以上240㎡以下(住宅用の賃貸マンションは適用外。居住用の住宅であれば、賃貸用住宅やセカンドハウスも軽減対象です。)
2:以下のうちの、いずれか1つを満たすこと
・1982年1月1日以降に建築された住宅であること
・1981年12月31日以前に建築された場合は、新耐震基準を満たす住宅と証明できること(具体的には「既存住宅売買瑕疵保険」への加入が証明できる住宅であること)
・新耐震基準に適合しない場合、入居までに新耐震基準を満たすための改修工事を実施する予定であること
新築年月日ごとの控除額は次のとおりです。
新築年月日 | 控除額 |
1997年4月1日以降 | 1,200万円 |
1989年4月1日~1997年3月31日 | 1,000万円 |
1985年7月1日~1989年3月31日 | 450万円 |
1981年7月1日~1985年6月30日 | 420万円 |
1976年1月1日~1981年6月30日 | 350万円 |
1973年1月1日~1975年12月31日 | 230万円 |
1964年1月1日~1972年12月31日 | 150万円 |
1954年7月1日~1963年12月31日 | 100万円 |
新築年月日は「固定資産課税台帳」に記載された新築日で判断できます。
控除額については都道府県によって若干異なる場合がありますので、上にあげた数字を参考に、各自治体の税事務所などでご確認ください。例えば東京都のように、新築した日に応じて「固定資産税評価額」から金額が控除される自治体もあります。
次に中古住宅の建つ「土地」にかかる軽減措置の要件です。新築住宅と基本的に同じです。
●中古住宅の「土地」にかかる不動産取得税の軽減措置の要件
1:建てられた住宅が、「特例適用中古住宅」の要件を満たすこと
2:先に土地を取得した場合、1年以内に建物を取得すること
3:先に建物を取得した場合、1年以内にその土地を取得すること
新築の場合と同様に、2024年3月31日までに取得した土地であれば固定資産税評価額が2分の1となります。また、控除額の決定方法も新築住宅と共通です。
●「住宅とその敷地にかかる軽減制度」で適用される控除額
A、Bのどちらか大きいほうの金額に決定
A:4万5,000円
B:(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×2分の1)×課税床面積×2(200㎡が限度)×3%
中古住宅における不動産取得税のシミュレーション
中古住宅を取得した場合の、不動産取得税額をシミュレーションしてみましょう。
計算シミュレーション(1)
例)2005年4月築の中古住宅を3,000万円で買った事例
【土地と建物の条件】
・敷地面積が80㎡
・延べ床面積70㎡
・取得者本人の居住用住宅
・土地の固定資産税評価額 1,200万円
・建物の固定資産税評価額 1,100万円
・長期優良住宅の認定なし
・築年2005年
【計算シミュレーション例】
・建物の不動産取得税額
[1,100万円(固定資産税評価額)-1,200万円(新築建物の控除額)]×0.03(税率)=0円
1982年1月1日以降に建てられており、床面積も50㎡以上240㎡以下なので、軽減措置の適用を受けます。先ほどの表を参考にすると、1997年以降に建てた住宅の控除額は1,200万円です。以上をふまえて計算した結果、建物の不動産取得税額は0円となります。
・土地の不動産所得税額
[1,200万円(固定資産税評価額)×1/2]×0.03-31万5,000円(控除額)=0円(▲13.5万円)
控除額の計算式は
(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×2分の1)×課税床面積×2(200㎡が限度)×0.03
ですので、この計算式を当てはめると
(1200万円÷80㎡×1/2)×(課税床面積70㎡×2)×0.03 = 31万5,000円
4万5,000円よりも大きい金額なので、31万5,000円が控除額に決定します。
以上を合計すると
不動産取得税額=0円(建物分)+0万円(土地分)=0円
となり、不動産取得税の合計課税額は0円です。
計算シミュレーション(2)
例)1988年4月築の中古住宅を「贈与」で取得した事例
【土地と建物の条件】
・敷地面積が200㎡
・延べ床面積150㎡
・取得者本人の居住用住宅
・土地の固定資産税評価額 2,000万円
・建物の固定資産税評価額 800万円
・長期優良住宅の認定なし
・築年1988年4月
【計算シミュレーション例】
・建物の不動産取得税額
[900万円(固定資産税評価額)-450万円(新築建物の控除額)]×0.03(税率)=13万5,000円
今回の住宅も床面積50㎡以上240㎡以下で軽減措置の適用対象です。しかし、1988年4月築と築年数が古く、該当する控除額は450万円となります。
・土地の不動産所得税額
[2,000万円(固定資産税評価額)×1/2]×0.03-30万円(控除額)=0円(ジャスト0円)
控除額の計算式は
(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×2分の1)×課税床面積×2(200㎡が限度)×0.03
ですので、この計算式を当てはめると
(2,000万円÷200㎡×1/2)×200㎡×0.03 = 30万円
4万5,000円よりも大きい金額なので、30万円が控除額となります。
以上を合計すると
不動産取得税額=13万5,000円(建物分)+0円(土地分)=13万5,000円
となります。築年数が古いと建物部分の控除額が小さくなるため、税額が生じる可能性があるので注意しましょう。
不動産取得税が非課税になるケース
不動産を取得した際には、有償か無償かにかかわらず不動産取得税が課税されるケースがほとんどです。一方で、一部例外的に不動産取得税が非課税となるケースも存在します。
ここでは、不動産取得税が非課税になるケースを紹介していきます。
相続人が不動産を相続した場合
相続によって不動産を取得した場合は、不動産取得税は非課税となります。不動産を相続すると相続税が課されるケースがありますが、相続税と不動産取得税は異なる税金です。相続税が課されるからといって、不動産取得税まで課されるわけではありません。
ただし、例外的に遺贈によって不動産を譲り受けた場合は、不動産取得税が課税されるケースがあるので注意してください。
被相続人の遺言によって、不動産などの財産を遺贈する方法には「包括遺贈」と「特定遺贈」の2パターンがあります。
包括遺贈 | 「○○に自分の財産の2分の1を遺贈する」というように、割合を指定して財産を遺贈する |
特定遺贈 | 「○○に自宅不動産を遺贈する」というように、割合ではなく財産そのものを指定して遺贈する |
包括遺贈によって不動産を相続した場合には不動産取得税は課税されませんが、特定遺贈によって、相続人以外の方が不動産を遺贈された場合は不動産取得税が課税されます。
また、「死亡を原因として無償で不動産を贈与する」という死因贈与の場合も、不動産取得税が課税されます。
不動産の価格が免税点未満の場合
取得した不動産の価値が低い場合は、不動産取得税が免税となる可能性があります。具体的には、取得した不動産が以下の免税点のいずれかに当てはまる場合は、不動産取得税は非課税となります。
・10万円未満の土地
・23万円未満の新築・増築・改築した建物
・12万円未満の取得した建物
ただし、次の場合は、それぞれその前後の土地又は家屋の取得をあわせて一つの土地の取得または一戸の家屋の取得とみなして、価値を判断します。
・土地を取得した方がその土地を取得した日から1年以内にその土地に隣接する土地を取得した場合
・家屋を取得した方がその家屋を取得した日から1年以内にその家屋と一構となるべき家屋を取得した場合
このように、もともとは不動産取得税が非課税であった土地や建物にも、不動産取得税が課税されるケースもあるため注意しましょう。
不動産取得税に関することは「リロの不動産」にご相談ください
ここまで、不動産を取得した場合に課税される「不動産取得税」の仕組みについて解説しました。「売買」「贈与」「交換」での不動産取得は課税対象になる一方で、「相続」による取得は非課税となることや、「土地」と「建物」に分けて計算することなどを、しっかり把握しておきましょう。
そのうえで、住宅用の不動産にはさまざまな軽減措置制度が適用される点を押さえておけば、不動産取得税の制度全体をつかめます。
ただ、実際の不動産取得税の計算においては、シミュレーションのような簡単な事例はあまりありません。オーナー様それぞれのご事情により、税額の計算方法も細かく異なり、取るべき対策も変わってきます。そして「節税」だけにこだわりすぎるのではなく税金の問題は「賃貸経営」の一部ですので、賃貸経営全体を見通したうえで、適切な対策を立てることが大事です。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。