地主が借地権買取をする交渉ポイント!底地権者の借地権買取相場と注意点を解説

2026.02.28

地主として土地を所有していても、借地権が設定されていることにより自己活用できなかったり、固定資産税の支払いだけが発生していたりと、なにかと悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

この状況を解決する方法の1つに、地主が借地権を買い取る「借地権買取」というものがあります。

本記事では地主が借地権を買い取るための手順や相場、資金調達の方法について解説します。買取後の土地活用の具体例もご紹介しますので、所有する土地を活用できず悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

▼この記事の内容

●地主による借地権の買取のメリットとしては、土地の完全所有権化によって資産価値が向上する、土地活用の自由度が増す、借地人とのトラブルを未然に防止できる、収益性が改善する、相続・資産承継対策になる、などがある。

●地主による借地権の買取のデメリットとしては、まとまった資金が必要になる、相続税評価額が上昇する、などがある。

●地主が借地権買取をする場合、相対取引なので相場は事実上ない。ただし、土地評価額に借地権割合をかけたものが基準となる。

●地主に借地権を買い取る資金がない場合は、金融機関の融資を利用する、住宅ローンを利用する、不動産投資ローンを利用する、底地と借地権を等価交換する、などの方法がある。

目次

地主による借地権買取とは何か

まずは、借地権とはどのようなものなのか、地主が借地権を買い取ることでどのようなメリットがあるのかを知っておきましょう。

借地権とは

借地権とは、第三者から借りた土地の上に建物を建てる権利のことです。借地権を持つ人のことを借地権者、土地の所有者のことを地主(借地権設定者または底地人)と呼び、借地権者は地主に対して毎月地代を支払います。

現存している借地権は、借地権が設定された年によって適用される法律が異なります。

「旧借地法」による借地権では、現行の新借地借家法よりも借地権者の権利が強く守られていました。地主と借地権者とのトラブルが絶えなかったことから、1992年8月に施行されたのが現行の「新借地借家法」です。

新借地借家法に基づく借地権には、普通借地権と定期借地権という2つの種類に分類されます。新しく設定される借地権のほとんどが定期借地権で、借地権者は期間経過と同時に土地を更地にし、地主に返還する義務があります。

新借地借家法は、地主と借地権者双方の便宜を図るために改正されたものです。しかし旧借地法に基づいて設定された借地権は、存続期間が更新を迎えても、新借地借家法に自動的に変更されるものではありません。そのため、現在でも旧借地法と新借地借家法の土地が混在しているというのが実情です。

地主は借地権が設定されている土地(底地)の所有権を持っていますが、土地を利用する権利は借地権者にあります。つまり、借地権が設定されている土地は、通常の土地と比べて活用したり売却したりすることが難しいのです。

地主による借地権買取という問題解決

地主が借地権の設定された土地の活用で頭を抱えるケースが多い理由は、借地権者の権利が法律により強く守られていることが理由です。

借地権者は新借地借家法と旧借地法いずれにおいても、正当事由制度によって保護されています。地主側に土地を利用する正当な事由がない限り、地主からの契約解除は事実上不可能ということです。

ただし、底地権者である地主が、借地権者から借地権を買い取ることは可能です。この場合、借地権のみを買い取る方法と、借地権にプラスして建っている建物を合わせて買い取る方法の2つのパターンがあります。

借地権のみ買い取る方法では、建っている建物の解体費用は借地権者負担になるため、交渉のハードルとしては高めです。それに対して借地権と建物を合わせて買い取る方法は、借地権者への交渉のハードルは下がるものの、建物の解体費用を地主が負担しなければなりません。

地主による借地権の買取のメリット

地主が借地権を買い取り、権利を完全所有権として一本化することには、土地の資産価値向上や運用効率の改善といった大きな利点があります。以下では、地主が得られる5つのメリットについて解説します。

土地の完全所有権化によって資産価値が向上する

借地権を買い取る最大のメリットは、利用制限の多い「底地」が、資産価値の高い「完全所有権」の土地へと生まれ変わり、担保価値や流動性が劇的に向上する点です。

底地単体での売却は買い手が専門会社などに限られるため、実際の取引価格が評価額の半値程度まで下落することも珍しくありません。しかし、地主が借地権を買い戻し権利を100%集約できれば、こうした減価要因を排除し、本来の更地価格としての適正な評価を取り戻すことが可能です。

土地の価値が回復すれば、金融機関からの担保評価も大幅に改善し、アパート建築などの融資が有利になるほか、売却時にも一般市場で適正価格での取引が可能となります。権利の分散状態を解消することは、土地の資産としてのポテンシャルを最大限に引き出す有効な手段といえます。

土地活用の自由度が増す

借地権を解消する大きなメリットは、地主自身の判断で自由に土地を使えるようになり、売却や建築などの選択肢が飛躍的に広がることです。

借地権設定中は、たとえ所有者でも無断で建築や更地化はできません。しかし、完全所有権となれば、土地のポテンシャルを最大限に活かした運用が可能になります。

定番のアパート経営に加え、広大な敷地なら商業施設や老人ホーム、不整形地ならトランクルームなど、立地特性に合わせた高収益事業もできるようになります。詳細なスキームは記事後半で解説しますが、制限のない土地であればこそ、多様な選択肢から最適な事業を選べるのです。

自ら活用せずとも、権利関係のクリアな更地としてデベロッパーなどへ売却できるため、買い手が見つかりやすく、現金化のスピードも格段に向上します。土地の支配権を取り戻すことは、市場ニーズに即した柔軟な資産運用への第一歩となります。

借地人とのトラブルを未然に防止できる

借地契約を完全に終了させることで、地代や更新料、建て替え承諾などをめぐる借地人とのトラブルや、将来的な紛争リスクから解放されます。

底地の管理は、金銭的な利害対立が起きやすいのが実情です。地代の値上げ交渉が難航したり、建物の増改築や借地権譲渡に伴う承諾料で揉めたりするケースも少なくありません。また、借地契約の更新時に更新料支払いを拒否される、あるいは法的な「建物買取請求権」を拡大解釈して建物の高額買取を要求されるといったトラブルに発展することもあります。

さらに、リスクは時間の経過とともに増大します。借地人に相続が発生すると、建物名義が変更されず放置されたり、相続人が複数いて交渉窓口が不明確になったりと権利関係が複雑化しがちです。最悪の場合、借地人が行方不明になるケースさえあります。

借地権を買い取り関係を解消してしまえば、こうした人間関係の摩擦や将来の法的リスクを根本から断てるため、精神的な安定を得られる点も大きなメリットです。

収益性が改善する

低廉な地代収入に留まっていた土地を、市場価格に見合った賃貸経営や事業用地として再稼働させることで、収益構造を劇的に改善できます。

地代収入のみでは、固定資産税や都市計画税を差し引くと手元に残る利益は非常に少なく、土地の資産価値に対して収益性が極めて低いのが実情です。さらに、地代の値上げ交渉は借地借家法の壁により極めて難しく、長期間にわたり相場より低い金額に固定化されやすいという構造的なデメリットも抱えています。

借地権を買い取って権利を一本化すれば、こうした制約から解放されます。過去の経緯に縛られた「地代」ではなく、現在の市場ニーズを反映した「実勢賃料」で収益を得られるようになるため、収入が数倍に跳ね上がるケースも少なくありません。固定費(税金)の負担感も相対的に軽くなり、単に土地を維持するだけの「守り」の運用から、資産効率を最大化する「攻め」の運用へと転換できるのが大きな魅力です。

相続・資産承継対策になる

権利関係を完全所有権として整理しておくことは、底地特有の「相続時の扱いにくさ」を解消し、次世代への円滑な資産承継を実現します。

借地権がついたままの底地は、換金性が極めて低く、相続税の納税資金に充てにくい「負動産」になりがちです。また、兄弟など複数の相続人がいる場合、利用制限のある底地は公平な遺産分割が難しく、誰が引き継ぐかを巡って親族間トラブルの原因にもなりかねません。

しかし、生前に借地権を買い戻して権利を一本化しておけば、選択肢は大きく広がります。例えば、広い土地なら分筆して一部を売却し相続税の納税資金を確保したり、アパートや老人ホームを建てて貸家建付地として相続税評価額を下げたりといった、具体的な節税対策が可能になります。

複雑な権利関係を次世代に残さず、資産価値と活用法の明確な不動産として引き継ぐことは、地主ができる最も有効な相続対策の一つといえるのです。

地主による借地権の買取のデメリット

借地権の買い戻しは土地の自由度を高める手段である一方で、多額の資金調達が必要となる点や、将来の相続税負担が増すといったデメリットも生じます。

まとまった資金が必要になる

借地権の買い取りには、土地の更地価格の半値以上とも言われる高額な取得費用に加え、交渉次第では立ち退き料などの追加コストが発生するため、多額の資金準備が必要です。

一般的に、地主が借地権を買い取る際の価格相場は更地価格の50~60%程度が目安ですが、地主側から買取を提案した場合は足元を見られ、70%近くなるケースも珍しくありません。さらに、交渉を円滑に進めるためには、借地人の引越し費用や新居の入居費用などを「立ち退き料」として上乗せする必要が出てくる場合もあります。

また、忘れてはならないのが諸経費です。売買契約時には価格の10%程度の手付金が必要になるほか、印紙税や仲介手数料といった現金支出も発生します。建物ごと買い取る場合は、将来の解体費用に加え、建物に対する不動産取得税も課税されます。

このように、単なる権利の対価以外にも多額の資金がかかるため、銀行融資を利用する場合は事前に審査を通しておくことや、万が一融資が否認された場合に備えて契約書に「融資利用特約」を盛り込んでおくなど、綿密な資金計画とリスク管理が不可欠です。

相続税評価額が上昇する

借地権を買い戻して完全所有権に戻すことで、土地の相続税評価額が大幅に上昇し、将来発生する相続税の負担が増える可能性があります。

借地人が土地を使用している状態(底地)では、地主は土地を自由に使えないため、相続税評価額は「更地評価額」から「借地権割合」を差し引いた低い金額で評価されます。借地権割合は地域ごとに国税庁が定めており、30~90%の幅があります。

しかし、借地権を買い取って自用地(自分で使う土地)にすると、借地権割合分の減額がなくなり、評価額が100%の更地評価に戻ります。借地権割合が大きい地域ほど、底地の状態であれば評価額が低く抑えられていた分、買い戻しによる評価額の上昇幅も大きくなります。

したがって、買い戻した土地をただの更地や自宅用地として持っておくと、相続発生時に多額の税金がかかるリスクがあります。税負担を軽減するためには、買い取り後にアパートなどを建築して「貸家建付地」とし、再び評価額を下げる対策をセットで検討する必要があります。

地主による借地権買取までの流れ

地主が借地権を買い取る際、以下の流れで進めていきます。

・不動産仲介会社に相談
・不動産査定
・借地権者と交渉
・売買契約の取り交わし
・融資審査の申込み
・借地権の引渡し

地主による借地権の買取には長い期間がかかるケースもありますので、全体の流れを把握したうえで行動しましょう。

地主の借地権買取の流れ 不動産仲介会社に相談

借地権の買取を検討し始めたら、借地権者への直接交渉ではなく、不動産仲介会社への相談から始めることが重要です。

借地権の買取は複雑な専門知識が必要なうえ、特に譲渡価格でもめるケースが多く見られます。最初から借地権者に買取を持ちかけてしまうと、思わぬトラブルに発展する可能性があります。そのため、まずは不動産仲介会社(宅建業者)に相談し、アドバイスをもらいましょう。

売買される借地権は、厳密には「不動産」ではなく「権利」に分類されます。しかし借地権の設定されている土地には建物が建っていることも多いため、相談先は不動産の専門家である不動産仲介会社で問題ありません。

地主の借地権買取の流れ 不動産査定

借地権者に借地権の買取を提案する前に、不動産仲介会社の担当者が対象となる不動産の査定を行います。

不動産査定では、借地権と建物の両方を買い取る可能性を想定し、土地と建物それぞれの価値を算出します。土地の査定では、現地調査と市区町村役場のそれぞれで、主に下記のポイントをチェックします。

現地調査・土地の形状
・土地の面積
・前面道路の幅員
・隣地との境界線
・周辺環境
市区町村役場での確認・路線価
・法令上の制限
・建築可能な建物の用途、構造、規模
・建替えの可否

上記の内容を基に対象となる土地の借地権価格を査定し、借地権者に対して買取を提案する際の根拠とします。

地主の借地権買取の流れ 借地権者と交渉

査定が完了したら、借地権者に借地権買取の提案と交渉をします。

借地権者と交渉する内容には、譲渡金額のほかにも以下のようなものがあります。

・借地権のみの買取か、借地権と建物の買取か
・借地権のみの買取の場合、建物の解体費用をどちらが負担するか
・借地をいつ引渡すか

「土地を利用する権利を買い取らせてほしい」と提案し、なおかつ金銭が絡む交渉になりますので、地主と借地権者だけで買取について協議することにはリスクがともないます。のちに大きなトラブルに発展させないためにも、不動産会社に仲介を依頼して交渉を進めましょう。

地主の借地権買取の流れ 売買契約の取り交わし

借地権者と契約条件について合意に至ったら、地主と借地権者との間で売買契約を締結します。売買契約書を作成するのは、仲介に入る不動産会社です。

売買契約締結時に、地主(買主様)から借地権者(売主様)に対して支払うのが手付金です。手付金は売買契約が成立したことを示す証拠金のような意味合いがあり、万が一地主が買取をとりやめる場合は、支払った手付金を放棄することで契約を解除することができます。

手付金の金額は売買価格の5〜10%程度が相場で、不動産の引渡し時に行う残金決済で売却金に充当されます。

地主の借地権買取の流れ 融資審査の申込み

借地権買取時に金融機関の融資を利用する場合は、締結した売買契約書を金融機関に持参し、融資審査の申し込みをしましょう。

融資の審査には売買契約書のほか、申込者の属性や経済状況・不動産の情報がわかる書類などを準備する必要があります。利用する融資によっては、本審査の前に事前審査を行っている場合もありますが、審査の内容や書類の提出状況などによっては、申し込みから審査結果が出るまで1ヶ月程度かかる場合もあるため注意が必要です。

借地権の買取で利用できる融資の種類については、後ほど詳しく解説します。

地主の借地権買取の流れ (必要に応じ)建物の解体工事

借地権の買取で更地での引渡しが条件となっている場合、建物の解体は、融資審査が通過し、売買契約を締結し、代金決済と引き渡しが完了した後に行うのが一般的です。融資を利用して借地権を買い取る場合は、金融機関の手続きや抵当権設定の準備などを経て、決済日に代金が支払われる流れになるため、決済が完了してから解体工事に着手します。

売買契約を締結していても、決済が終わるまでは取引は完了していません。融資の実行日程の変更や書類手続きの遅れなどにより、決済日が動くことも実務ではあります。建物の解体は元に戻せないため、決済前に行うと、取引が完了していない段階で借地人側だけが建物を失う状態になります。

そのため実際の取引では、解体工事に着手する時期、解体費用をどちらが負担するか、引渡し日と工事日程の関係、工事完了後の更地確認の方法などをあらかじめ具体的に定め、決済後に解体へ進む段取りを組むのが通例ということを認識しておきましょう。

地主の借地権買取の流れ 借地権の引渡し

金融機関の審査にとおったら、売買契約書で定めた期日に融資実行と残代金の決済、借地(および建物)の引渡しが行われます。

すべて決済日に手続きを行いますが、建物もあわせて買い取る場合は、建物の所有権移転登記も行う必要があります。

なお借地権に関わる登記ですが、借地権登記がされている場合は地主への所有権移転登記を行います。借地権登記がされていないときは、特に必要ありません。借地権者は建物の所有権登記をもって第三者に借地権を対抗できるので、実務上は借地権登記をしていないケースがほとんどです。

また、建物は不動産取得税(土地や建物を取得した際に、取得者に対して課される税金)の課税対象です。後日納税通知書が郵送されてきますので、期日までに忘れずに納付しましょう。

地主が借地権買取をする相場

借地権の買取を検討している方の中には、所有する土地の借地権を買い取るにはいくら必要なのか知っておきたいという方もいるでしょう。ここでは借地権の相場と、一般的な計算方法について見ていきます。

相対取引なので相場は事実上ない

借地権の買取価格には、明確な相場が存在しません。その理由は、借地権の売買が相対(あいたい)取引によって行われるためです。

相対取引というのは、価格などの取引条件を、売主と買主が直接話し合って決定する取引のことを指します。不動産売買はもともと相対取引ですが、特に借地権の売買においては、立地や地主の買取に対する意向の強さなど、個別の事情が大きく影響する傾向にあります。

借地権の売買事例自体が少ないという点も、相場が事実上存在しないとされる理由です。

土地評価額に借地権割合をかけたものが基準

取引相場がないとはいえ、価格交渉の際の基準が全くないというわけではなく、一般的には下記の計算式を基に算出した金額を基にします。

更地の土地の評価額×借地権割合

価格交渉の際に重要になるのが借地権割合です。

借地権割合というのは、相続税路線価(相続税額の算出時に用いられる土地の価格)に記載されている、借地権の割合を示す数字のことです。国税庁のホームページで公開されている「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認でき、土地ごとに30〜90%の間で設定されています。

借地権買取価格の目安は上記の計算式で求められますが、実際の現場では対象となる土地の個別事情も考慮されます。抵当権設定の有無や立地、地代の価格などによっても変動するという点は押さえておきましょう。

地主に借地権を買い取る資金がない場合

借地権の買取には多額の資金が必要なため、場合によっては自己資金だけでの買取が難しいケースもあります。資金が足りない場合は、金融機関の融資を利用する、あるいは底地と借地権を等価交換するという方法も検討しましょう。

金融機関の融資を利用する

不動産の購入時の資金調達としてまず思い浮かぶのが、金融機関から融資を受ける方法です。金融機関が取り扱っているローン商品には、住宅ローンと不動産投資ローンの2種類があります。

住宅ローン

住宅ローンは、ローン契約者自身が住む住宅を建てる、または購入する場合に利用できるローン商品です。

借地権買取の場合は、自宅を建てる目的で借地権を買い取る場合、あるいは合わせて買い取る建物を自宅として利用する場合に限られます。

更地の状態で借地の引渡しを受ける場合、借地権の買取から自宅を新築するまで期間が空くこともあるでしょう。その場合は、建物部分が完成していない状態で利用する「土地先行融資」や、住宅ローンの融資実行までのつなぎとして利用する「つなぎ融資」という選択肢もあります。

金融機関によって扱っている住宅ローンの種類が異なるため、利用を検討している場合は早めに相談に行くことをおすすめします。

不動産投資ローン

自宅以外の用途を目的として借地権を買い取る場合に利用できるのが、不動産投資ローン(アパートローン・事業ローン)と呼ばれるローン商品です。

具体的な用途としては、マンションやアパートを建築して賃貸経営をしたり、駐車場として経営したりといったケースが該当します。

不動産投資ローンはその名のとおり、収益不動産を対象としたローン商品のため、審査時には担保となる不動産の収益性が重視されます。住宅ローンと比較して審査基準が厳しく、金利も高く設定されていることがほとんどのため、利用する場合は入念な資金計画やシミュレーションを行う必要があります。

不動産投資ローンも住宅ローンと同様、金融機関によって融資限度額や金利、返済期間などが異なるため、必ず複数の金融機関を比較して自分に合ったものを選びましょう。

底地と借地権を等価交換する

借地権の買い取り資金がない場合の対策としては、底地と借地権の等価交換もあります。分割した底地の一部を借地権者に譲渡する代わりに、借地権の一部を返還してもらうという方法です。

底地と借地権を等価交換するメリットは、地主と借地権者の双方が土地の完全所有権を得られるという点にあります。土地の所有者と借地権者が異なる土地は、活用法に制限があるため売却時に不利になるケースが多いですが、等価交換により完全所有権を得ることで、スムーズに高値で売却できるようになります。

また、原則として等しい価値の底地と借地権を交換するため、現金を用意せずに取引を行えるという点も大きな利点と言えます。

交換する割合は土地の評価額などから算出した価格を基に、借地権者と地主で協議して決定します。

借地権買取の交渉をするためのポイント

借地権の買取交渉を成功させるには、単なる価格の提示だけでなく、条件面の詳細なすり合わせが不可欠です。交渉を有利かつ円滑に進めるための重要ポイントを解説します。

借地上の建物の処分を決める

交渉の初期の段階で、借地上にある建物を現況(建物付き)のまま買い取るのか、解体して更地にしてから引渡すのかを、明確に取り決める必要があります。

地主にとって避けるべきは、解体費用の負担や引渡し時期が曖昧なまま契約を進めてしまうことです。原則として借地人には原状回復義務がありますが、交渉をスムーズに進めるために、地主が解体費用の一部を上乗せして買い取るケースも多くあります。

ただし、地主が建物付きで買い取ると、建物に対して不動産取得税や登録免許税が課税されるほか、将来的な解体費用も地主負担となります。

一方で、借地人に解体してもらってから更地として引き渡しを受ければ、税金の負担や建物の解体にかかる手間も削減できます。

どちらの方法にするかは、トータルの出費と税務上のメリット・デメリットを比較して決定し、必ず書面で合意することが重要です。

等価交換や同時売却などのオプションも考えておく

交渉においては、資金負担の重い買取だけにこだわらず、「同時売却」や「等価交換」といった別の選択肢を提示することで、交渉の膠着状況を打開できる場合があります。

借地権の買い戻しにはまとまった資金が必要となりますが、資金調達が難しい場合は、地主と借地人が協力して第三者に土地と建物をセットで売却する同時売却が有効です。この方法であれば、地主は現金を支出することなく、底地部分を適正価格で現金化できます。

また、土地が広い場合は等価交換も有効な手段です。これは底地の一部と借地権の一部を交換し、お互いに完全な所有権の土地を持ち合う方法です。金銭の授受を最小限に抑えつつ、互いに土地の所有権を100%確保できるため、将来の相続対策としても有効な解決策となります。

上記2つを交渉の手札として用意しておくことで、借地人にとってもメリットのある提案が可能になります。

専門知識を持った不動産仲介会社に依頼する

借地権の買取交渉は、当事者同士で行うと感情的な対立や金銭トラブルにもなりかねないため、借地権取引に精通した不動産会社への依頼が不可欠です。

地主と借地人が直接交渉すると、「土地を返してほしい」「高額な立ち退き料が欲しい」といった本音がぶつかり合い、関係が悪化するリスクが高まります。特に地主側から買取を提案する場合、借地人には応じる法的義務がないため、足元を見られて相場より高い金額を要求されることも少なくありません。

専門家であれば、路線価や近隣の取引事例にもとづいた客観的な適正価格を算出し、冷静に交渉を進められます。また、価格面だけでなく、「更地渡し」か「現況渡し」かといった解体費用の負担区分や、税務・登記などの複雑な実務手続きも漏れなく調整してくれるため安心です。

万が一、買取交渉が難航した際にも、同時売却や等価交換など双方が利益を得られる代替案をスムーズに提案してもらえ、解決への道筋が大きく広がります。

借地権買取にかかる経費・税金

地主が借地権を買い取る際には、借地権者へ支払う買取対価以外にも諸経費が発生します。正確な資金計画のためにも、経費や税金の内訳を理解しておきましょう。

不動産仲介手数料

借地権は土地そのものではなく「土地を利用する権利」ですが、その売買取引は通常の不動産売買と同様に扱われます。そのため、不動産会社(宅地建物取引業者)の仲介によって借地権買取が成立した場合は、成功報酬として仲介手数料を支払う必要があります。

手数料の上限額は宅地建物取引業法で定められており、売買金額が400万円を超えるケースでは「(売買価格×3%+6万円)×消費税」という速算式で算出されます。例えば、借地権を1,000万円で買い取った場合は、39万6,000円が仲介手数料の上限ということです。

個人間取引の場合は仲介手数料は不要ですが、権利関係が複雑な借地権取引ではトラブル防止のために不動産会社の仲介を入れるのが一般的であり、必要な経費として見込んでおくべきです。

印紙税

借地権の売買契約は法的な課税文書に該当するため、契約書に記載された取引金額に応じた収入印紙を貼付・消印して納税する必要があります。

印紙税額は契約金額によって階段状に決まっており、買取金額が500万円超1,000万円以下の場合は5,000円、1,000万円超5,000万円以下の場合は1万円の印紙税がかかります(軽減措置適用の場合)。

通常、契約書は売主用と買主用の2通を作成するため、地主と借地人がそれぞれ1通分ずつ負担します。また、契約書に記載された金額が1万円未満のものについては、非課税です。

売買金額と比較すると些細な金額に見えますが、必ず発生する経費ですので資金計画に入れましょう。

出典:国税庁 「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について

登録免許税

借地権の買取にともない、登記内容を変更する際に国に納める税金です。通常、借地権の抹消登記にかかる費用は、借地人が負担するケースが一般的ですが、契約内容によっては地主が負担することもあります。

一方、地主が負担する登録免許税は、買取資金を銀行融資で調達する場合の抵当権設定登記があります。また、借地権上の建物を解体せずに現況のまま買い取る場合は、建物の所有権移転登記が必要となり、固定資産税評価額に応じた税金が発生します。

登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、税金とは別に司法書士への報酬も必要となる点には注意しましょう。

(建物を取得する場合は)不動産取得税

地主が借地権を買い取る際、更地ではなく建物付きで買い取った場合にのみ、建物に対して都道府県から課税される地方税です。借地権自体が地主に戻るだけでは不動産取得税はかかりませんが、建物の所有権が地主に移転すると、家屋の固定資産税評価額に税率(本則税率4%、2027年3月31日までの取得で軽減税率3%)を掛けた金額が課税されます。

そのため、将来的に解体する予定であっても、引渡し時点で建物が存在していれば課税対象となる点には注意が必要です。

出典:総務省 不動産取得税

地主が借地権を買い取って土地の有効活用を

借地権を買い取り完全な所有地となれば、さまざまな用途で土地を有効活用できます。

ここでは土地の活用法として多くの方が検討される、賃貸アパート・マンション、戸建て賃貸住宅、駐車場経営に焦点を当てて、メリットとデメリットについて解説します。

なお、下記のページでは不動産投資に関する記事や、不動産売買のさまざまな改善事例をご覧いただけます。あわせてご活用ください。

■不動産投資・収益物件関連のコラム・売買事例
不動産投資の関連記事

売買の改善事例・お客様の声

賃貸アパート・マンション

土地活用の王道とも言えるのが、マンションやアパートを建設して賃貸経営を行うという方法です。

マンションやアパートを建てるメリットは、何といっても安定した賃料収入を得られるという点にあります。運用開始からしばらくの間は、建設費用の回収がメインになりますが、将来的には安定した不労所得を得られるようになるのは大きな魅力でしょう。

その他のメリットとしては、インフレに強い現物資産を手に入れられる点や、固定資産税の軽減措置が適用される点、相続税対策ができる点などが挙げられます。自宅としての住居を建てるよりも、マンションやアパートを建てた方が節税効果は高いということは押さえておきましょう。

ただし、空室が埋まらず家賃収入が得られなくなったり、建物の修繕のために多額の支出が発生したりといったリスクがあるということも理解しておく必要があります。こうした賃貸経営のリスクに備えるためにも、下記に挙げる『4つの空室対策』を行うことが重要です。

・入居者募集対応
・仲介対応
・管理対応(入居者管理・建物管理)
・設備、工事対応

信頼のできる賃貸管理会社を見つけることが、マンション経営・アパート経営には不可欠と言えます。
『4津の空室対策』や空室対策については以下の記事や改善事例で詳細をご紹介しています。あわせてご活用ください。

■空室対策・賃貸管理の関連記事
空室の原因を解決する『4つの空室対策』とは?14種類の手法を徹底解説!

空室対策 賃貸経営の関連記事 一覧

■空室対策の改善事例
空室対策の改善事例・お客様の声 一覧

戸建て賃貸住宅

賃貸経営を行うのであれば、戸建て住宅を建築して貸し出すという方法もあります。

戸建て賃貸住宅を建てるメリットとしては、駅から離れた立地の土地でもニーズがある点が挙げられます。戸建て住宅のターゲットとなるファミリー層は、駐車場を確保でき、かつ居住面積の広い物件を求める傾向にあるためです。

マンションやアパートは主に単身者がターゲットで、入退去のスパンが短い傾向にあります。ファミリー層は一度入居すると長い期間住み続けてもらえるため、より安定した家賃収入を見込めるという魅力があります。そのぶん一戸のみの所有では空室リスクが高まるということは、理解しておく必要があるでしょう。

また、空室が発生した際のメンテナンス費用やリフォーム費用が高額になる点はデメリットです。マンションやアパートと比較して賃貸面積が大きいため、経年劣化部分や通常使用による摩耗の修繕であっても費用がかさむ傾向にあります。間取りの変更や屋根・外壁・基礎部分の修繕などが発生すると、さらに一度に多くの費用が必要になるため注意が必要です。

■戸建て賃貸住宅の関連記事

戸建て賃貸経営のメリット・デメリット! 新築・中古別の成功戦略を解説

■戸建て賃貸住宅の改善事例

戸建て賃貸住宅の関連事例 一覧

駐車場経営

建物を建てるほかにも、月極駐車場やコインパーキングとして経営するという活用法もあります。

駐車場経営を選択するメリットとしては、少ない初期費用で始められる点が挙げられます。マンションや戸建て住宅を建てるには多額の資金が必要で、多くの方が資金調達のために住宅ローンや不動産投資ローンを利用します。その点駐車場経営は、アスファルト舗装や車止め・料金収受機の設置などの費用を確保できれば始められるため、銀行の融資を利用する必要がない方も多くいます。

建物が建っていないということは、土地をほかの用途に転用したくなった場合でも、すぐに切り替えられる点は魅力です。その代わり、固定資産税や都市計画税の優遇措置が受けられないため、税金の負担が多くなります。

また、投資額が少なく賃料が低いということは、マンションやアパートと比較して高い収益は見込めないということです。ローリスク・ローリターンの投資手法ということを理解したうえで検討しましょう。

■土地活用・駐車場経営 資産活用の関連記事
駐車場経営・コインパーキング関連記事 一覧

■土地活用・駐車場経営 資産活用の改善事例
駐車場経営・コインパーキングの改善事例 一覧

トランクルーム経営

トランクルーム経営は、変形地や狭小地、駅から遠い立地など、アパート経営には不向きな土地でも収益化できる手法です。

近年、都市部での住宅狭小化やテレワークの普及により、収納スペースへの需要は年々増加しています。トランクルームには、空調完備のビル内で運営する「屋内型」と、更地にコンテナを設置する「屋外型」の2種類があり、土地の形状や周辺環境に合わせて選択できます。

経営方式としては、主に事業者が一括して借り上げて毎月固定の賃料を支払う「一括借上方式(サブリース)」と、集客や管理を委託しつつ稼働率に応じた収益を得る「管理委託方式」があります。初期費用を抑えたい場合は、事業者に土地のみを貸す「事業用定期借地方式」を選ぶことで、コンテナ設置費用やメンテナンスのリスクを事業者に負担してもらうことも可能です。

一度契約すると長期間利用される傾向があり、安定した収益が見込める半面、住宅ではないため、固定資産税の軽減措置が受けられない点には注意が必要です。

高齢者施設

急速な高齢化が進む日本において、高齢者施設による土地活用は、将来にわたり高い需要が見込め、かつ相続税対策としても有効な選択肢です。

高齢者施設には、要介護度やサービス内容に応じて「介護付き有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」「グループホーム」「デイサービス」など多様な種類があります。必要な土地の広さは施設タイプにより異なり、老人ホームなやサ高住なら200~300坪、グループホームやデイサービスなら100坪程度から建築可能です。

高齢者施設による土地活用の強みは、駅から離れたバス便エリアや閑静な住宅街など、一般的な賃貸住宅では敬遠される立地でも運営が成り立つ点です。また、建物を建てることで更地よりも相続税評価額が下がるほか、住宅用地の特例により固定資産税も大幅に軽減されます。

運営は専門会社に一括借り上げしてもらうのが一般的ですが、事業者が撤退するリスクや、特殊な構造ゆえに他用途への転用が難しい点も考慮し、実績豊富な事業者を選定することが重要です。

商業施設

人の往来が活発なエリアや、交通量の多い幹線道路沿い(ロードサイド)の土地を所有している場合、高い収益性を期待できるのが商業施設としての活用です。

商業施設には、コンビニやドラッグストア、飲食店、あるいはそれらが集まるショッピングセンターなどがあります。これらの施設は、アパートやマンション経営と比較して賃料を高く設定できる場合が多いため、収益性が高くなる点が最大の魅力です。

地主が建物を建てて事業者に賃貸する方法が一般的ですが、建設協力方式(リースバック)を利用すれば、テナントから建設資金を借り入れて初期投資を大幅に抑えることも可能です。

一方で、商業施設は景気変動の影響を受けやすく、テナントの退去リスクには留意しなければなりません。店舗特有の造作があるため、一度退去が発生すると、次の入居者が決まるまで長期間の空室期間が生じやすいという特徴があります。

テナントの退去リスクへの対応方法として有効なのは、土地のみを事業者に貸し出す事業用定期借地権です。事業用定期借地権であれば、契約期間を通じて安定的な地代収入を確保できます。事業用定期借地権の契約期間は10年以上50年未満と定められており、満了後は更地で返還されます。解体費用の負担がなく、将来的な土地の転用も可能です。

まとめ

借地権が設定されている底地は、地主にとって不利益になる場面が少なくないのが実情で、そのまま相続すると相続人にかえって迷惑をかけてしまいます。

所有する土地が賃貸需要の高い場所にある場合は、借地権を買い取って有効活用したほうが、長い目で見て大きな利益になることもあります。

多くの地主様とのネットワークを持つ【リロの不動産】では、土地の相続対策や売却、賃貸管理など、土地活用に関するすべてのお悩みに対応しております。ぜひ一度ご相談いただき、ご自身に最適な土地の活用法を見つけましょう。

関連する記事はこちら

地主が土地を売却するときの注意点を解説!広大な土地や底地の売却方法

【地主必見】借地権の種類と概略、底地の制限や問題点を徹底解説!

不動産買取で利益を生む方法とは?後悔しない買取と仲介の選択を

収益物件をできるかぎり早く・高く売る秘訣|パートナー選びのポイントは?

不動産の相続税評価額の計算方法とは? 相続税が節税できる理由を解説

土地の評価額とは? 相続した土地の評価額算出方法と節税の仕組みを解説

不動産売却税とは?信頼できるパートナーと考える効果的な節税対策

投資用マンションの売却時期は?出口戦略を見据える高値売却ポイント

収益物件を高値で売却する秘訣と注意点|出口戦略の立て方も解説!

不動産売却はどこがいい? 大手・地域密着の特徴と仲介会社の選び方

不動産売却の見積もりとは? 査定のポイントと注意点を徹底解説!

空き家売却で後悔しないポイント!高値売却と費用負担削減のコツ!

地主のジレンマを解決!底地の売却方法と借地権の問題点を徹底解説

おすすめのサービス

資産活用・駐車場経営

アバター画像

この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。