建物管理・メンテナンスで資産を最大化!収益物件のメンテナンスとは

2023.11.07

アパートやマンションの建物管理を行うビルメンテナンス(BM)は、入居者様が安全に暮らせる住まいを提供するために、賃貸経営を行うにあたってはなくてはならないものです。しかし建物管理の業務は非常に多岐にわたり、何をすればいいのか・必ずやらなければならないことはあるのかなど、多くの疑問や不安を抱えているオーナー様も少なくありません。

本記事では建物管理(メンテナンス)とは具体的にどのような業務があるのかを具体的に解説します。記事の後半には賃貸経営で資産価値を最大化するための「建物管理・メンテナンス」に焦点を絞って意識したい4つの重要なポイントもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

建物管理(メンテナンス)は賃貸管理の重要な業務

収益物件(アパートやマンション)の管理全般を指す言葉に「賃貸管理」というものがあります。賃貸管理を大別すると「入居者管理」と「建物管理」という2つの軸で成り立っており、これらが適切に行われることで円滑な賃貸経営が可能になります。

入居者管理とは

賃貸経営において入居者様に関する管理のことを「入居者管理」と呼びます。賃貸経営はマンションやアパートを第三者に貸し出すことで家賃収入を得ることが最大の目的であるため、賃貸経営のノウハウを持つ賃貸管理会社に管理を依頼するのが一般的です。

そして収益物件で得られる収益を最大化する運営管理のことを「プロパティ・マネジメント(PM)」といい、入居者管理もプロパティ・マネジメント業務の一部です。

入居者管理業務の具体的な内容としては、空室対策を含む入居者募集・賃貸仲介の契約業務や契約更新業務のほか、入居者様に対する家賃回収や滞納時の支払督促、退去時の敷金精算や原状回復などがあります。また入居者間のトラブルやクレームへの対応も、入居者管理を行う賃貸管理会社の役目です。

賃貸経営において収益を最大化するためには、空室が存在する期間をできるかぎり減少することが最も重要です。適切な入居者管理は入居者様の満足度を向上させ、早期の空室解消と退去率の低下につながります。

建物管理(メンテナンス)とは

建物管理は建物のメンテナンスのことを指し、建物自体や付随設備の管理が該当します。賃貸経営におけるハード面の管理のことでビルマネジメント(BM)とも呼びます。

建物の耐久性や耐震性は適切なメンテナンスがおこなわれているかに大きく左右されます。賃貸経営では入居者様に安全な暮らしを提供することが求められるため、定期的な点検や必要に応じたメンテナンスを行うことが大切です。築20年以上の物件からメンテナンス対応による違いが顕著に表れ始めます。

建物管理が適切におこなわれているマンションやアパートは、築年数が経っていても美しい外観と内観を維持できます。特に入居者募集にあたっては清潔感のある物件かどうかを重視する方も多く、入居率の維持向上という観点でも建物管理の重要性がわかります。

建物管理(メンテナンス)の具体的業務

ひとくちに建物管理(メンテナンス)といっても、業務内容は多岐にわたります。日常的に行うべき業務以外に、一定の期間ごとに点検や修繕が必要な個所もあるため、それぞれの業務について概要を知っておきましょう。

日常清掃・定期清掃

入居者様に気持ちよく暮らしてもらうための日常清掃は欠かせない業務です。廊下や階段の掃き掃除やゴミの回収作業、駐輪場の整理整頓などといった共用部を美しく保つための清掃が該当します。

日常清掃では手が届かない場所の掃除や、特殊な機械を使用した清掃作業は、専門会社に依頼して定期清掃として実施します。具体的には高所を含むガラス窓の清掃や、床の高圧洗浄など。頑固な汚れを放置していると建物の老朽化が早まる原因にもなるため、日常清掃だけでなく定期清掃も必ず行うようにしましょう。

美しく清掃されたマンションやアパートは住み心地もよく、入居者の満足度向上にも繋がります。

外構・庭の手入れ、草刈り、水やり

建物管理には建物そのものの管理だけでなく、建物の周辺環境に関する業務も含まれます。

建物の外にある外構や庭は、入居者様だけでなく来訪者や近隣の人の目にも触れる部分です。手入れが行き届いていればいい印象を与えられますが、管理がおろそかだと近寄りがたいイメージを持たれてしまうため注意しましょう。

植栽も物件の第一印象を決める要素の一つです。季節によっては成長が早く伸び放題になってしまうため、定期的に剪定を行うようにしましょう。あわせて花への水やりや草むしりもしておくようにします。

建物の周りに植物を植えていると害虫が発生することもあるため、発見したらすぐに害虫駆除会社を呼ぶことをおすすめします。入居者の身の安全にもかかわるため、早めに対処しなければなりません。

消防設備点検

建物管理には法律で実施が義務付けられている法定点検がいくつかあり、消防設備点検もその法定点検のうちの一つです。

物件のオーナー様や管理会社は専門の有資格者による点検を実施したのち、管轄の消防署へ点検内容を報告しなければならないと定められています。点検する設備は、消火器・スプリンクラー・自動火災報知設備・避難はしごなどです。

消防設備点検は6ヶ月に1回行う「機器点検」と、1年に1回行う「総合点検」の2つがあります。機器点検は消防設備の設置状況と簡単な機能チェックを行うものです。総合点検は実際に消防設備を稼働させ、設備ごとに決められた点検項目にそって機能をチェックします。

総合点検は機器点検と合わせて行うため、賃貸物件での消防設備点検は年2回行われると考えて問題ありません。

電気設備点検

一般的な電気設備の場合は、設置した電力会社の責任で点検・維持管理を行うことが原則です。しかし屋外型の高圧受電設備(キュービクル)を設置しているマンションの場合は、オーナー様の自主点検が義務とされています。

電気事業法により定められている高圧受電設備の点検には3つの種類があり、月次点検は1ヶ月に1回または3ヶ月に1回、年次点検は1年ごと、精密点検は約3年ごとに行わなければなりません。

これらの点検や報告業務を行うには「電気主任技術者」という資格が必要なため、賃貸管理会社が専門会社に委託するのが一般的です。

給排水設備点検

給排水設備も法定点検の対象です。これは建築基準法第12条第2項に基づくもので、建築設備検査員か、もしくは一級・二級建築士によっておこなわれます。周期は1年に1回です。

給水タンクや給水ポンプが適切に設置されているかを確認し、問題なく給水されるかをチェックします。

給排水設備の不具合や老朽化を放置していると、水漏れや悪臭の原因にもなり、入居者の満足度の低下や入居者間のトラブルにも繋がるため、賃貸管理会社を通じて確実に実施するようにしましょう。

出典:e-gov 建築基準法

貯水槽点検・清掃・水質検査

入居者に安心安全な水を提供するためには、水を貯めておく貯水槽の点検や清掃が必要不可欠です。貯水槽には常に水が入っているため、定期的に清掃を行わなければカビやバクテリアが発生し、入居者の健康をおびやかす危険性もあるためです。

賃貸マンションの多くに設置されている10立法メートルを超える貯水槽の場合、水道法により1年に1回の清掃と水質検査を行わなければならないと定められています。自治体によっては水道法の基準を下回る小規模な貯水槽に対しても、1年に1回の清掃を義務とするケースも増えてきています。

なお水道法に基づく点検・清掃・水質検査が行われていない場合、100万円以下の罰金が課されるため注意が必要です。

防災設備点検

近年の日本では地震や自然災害が多く発生していることもあり、賃貸アパート・賃貸マンションに防災設備を設置するオーナー様も増えてきています。いざという時に防災設備を確実に使用できる状態にしておくには、日頃から点検やメンテナンスを行っておくことが重要です。

入居者様の身の安全を守る設備には、「消防法」と「建築基準法」の2つの観点によるものがあります。消防法における防災設備は、先に解説した自動火災報知機やスプリンクラーのような、火災の早期発見や消火活動に関連するものです。一方で建築基準法においては、延焼拡大防止や避難の支援を目的としており、非常用エレベーターや非常用照明などが該当します。

いずれも消防設備点検の一環として、設置状況や作動状況の確認を行います。

エレベーター点検

エレベーターの点検は大きく分けて「定期検査報告」と「保守点検」という2つの種類があります。

「定期検査報告」は6ヶ月から1年ごとに点検を実施し、点検完了後に交付される定期検査報告済証の交付を受けなければなりません。実施できるのは一級・二級建築士や昇降機等検査員といった資格者に限定されます。

一方「保守点検」は使用頻度に応じて実施するとされているだけで、定期検査報告のような実施義務はありません。しかし実施義務がないからといって保守点検を行わなかった場合、万が一事故が発生した場合にオーナー様の管理責任が問われることになりかねません。

エレベーターを設置している賃貸マンションの場合は、性能維持と安全保持のためにも定期的に点検を行うことが肝心です。

空調設備点検

共用部に空調設備を設置している場合は、空調設備点検を行うことも忘れてはいけません。

クリーンな空気や適切な温度が保たれている共用部は、入居者様だけでなくアパート・マンションを訪れる方に対しても気持ちのいい印象を与えるためです。

また空調設備は定期的にメンテナンスや清掃を行わないと、フィルターの目詰まりなどにより空調効率が悪くなってしまいます。特に共用部の空調は1日中・1年中稼働していることも多く、空調効率が賃貸経営にかかるランニングコストに大きく影響します。

場合によっては最新機種に交換したほうがトータルのコストを下げられる可能性もあるため、賃貸管理会社と打ち合わせながら検討するようにしましょう。

その他の日常点検・修繕

上記で紹介した法定点検や大きな設備・機器の点検以外にも、建物全体の点検は日常的に行うようにしましょう。

例えば共用部の電気が切れていればすぐに交換したり、オートロックの調子が悪ければ修理業者を手配します。塗装の剥がれが見つかった場合も、放置してしまうと外観が悪いだけでなく破損やサビの原因になるため、できるだけ早く補修・修繕するのが望ましいと言えます。

細かい部分まで管理の行き届いた賃貸物件は、既存の入居者が気持ちよく暮らせるだけでなく、内見に来た人に対してもプラスの印象を与えます。結果的に空室の解消にもつながるため、目についたところがあれば適宜対処することが大切です。

大規模修繕計画の策定及び工事

賃貸経営を安定的に続けていくためには、建物の経年劣化への対処も必須となります。

大規模修繕は13~15年に一度という長期のサイクルで、建物外観の塗装や防水工事・補修工事を行うというものです。

建物の外観を美しく生まれ変わらせるだけでなく、耐久性や耐震性にも大きく影響します。まとまった費用がかかるため、大規模修繕の実施に尻込みをされるオーナー様がいるのも事実です。

しかし同じ築年数のマンションであっても、大規模修繕が行われているマンションとそうでないマンションを比較すると、前者のほうが入居率だけでなく家賃水準も維持することが可能になります。また、大規模修繕は出口戦略にも大きく影響します。

大規模修繕を適切に行うためには、賃貸経営のパートナーとも言える賃貸管理会社選びが重要です。長期に渡り安定した家賃収入を得るためにも、賃貸管理会社選びは慎重に行いましょう。

その他の建物管理・メンテナンス業務

賃貸物件の規模によっては、エントランスに管理人やコンシェルジュを常駐させたり、警備スタッフによる巡回を行ったりするケースもあります。最近では防犯意識の高まりから、防犯設備の設置を検討するオーナー様も増えてきました。

入居者様が安心して暮らせる設備やサービスを導入したら、不具合は起きていないか・費用は適切かなども含めて日常的にチェックするようにしましょう。

建物管理(メンテナンス)の4つのポイント

賃貸経営のかなめとも言える建物管理(メンテナンス)は、4つのポイントを押さえることで資産価値を最大限に引き出すことが可能です。賃貸経営を行う際には、想定されるトラブルを予測・回避しながら、安定的な収入を確保するためにも、必ず意識しましょう。

ライフサイクルコスト(LCC)で考える

賃貸経営によって十分な利益を確保するには、ただ目先の空室率や家賃にとらわれず、ライフサイクルコスト(LCC)の観点から考えることが重要です。

賃貸経営におけるライフサイクルコストとは、収益物件や設備を購入してから賃貸経営を行い、売却・廃棄処分するまでにかかる費用の総額のことをさします。いくら相場よりも高い家賃で貸し出しを行えたとしても、設備投資や建物の維持管理に莫大な費用がかかってしまっては、トータルの利益は少なくなってしまいます。

そのため賃貸経営で確実に収益を上げるためには、ライフサイクルコストの最小化を考える必要があります。

ライフサイクルコストの削減のためには、耐久性の高い設備を導入したり日常的に適切な点検・メンテナンスをおこなったりすることで、設備の交換や大規模修繕の頻度を減らす工夫が求められます。

また賃貸経営の成功のためには出口戦略も意識しなければいけません。賃貸管理会社の中には賃貸管理だけでなく、収益不動産の購入から売却まで一貫したサポートをおこなっている会社もあるため、委託先の選定の際に意識して比較しましょう。

資産価値を最大化させる

建物管理(メンテナンス)を適切に行うことで、収益物件の資産価値を最大化させることにもつながります。

不動産の資産価値は建物の劣化具合によって大きく変動します。維持管理が十分にされていない建物は劣化スピードが早く、同じ築年数の建物と比較したときに資産価値が低いものとみなされるのが一般的です。

さらに建物の状態の悪さは収益性にも影響します。管理の行き届いていない物件は住み心地が悪く入居者が定着しないため、頻繁に空室が発生し、新しい入居者を見つけることも容易ではありません。空室率の増加は家賃の値下げを引き起こし、結果的に家賃収入の減少にもつながります。

収益物件は建物の状態と資産価値という両方の側面から資産価値を判断されるため、資産価値を維持向上、ひいては最大化できるような建物管理(メンテナンス)を目指すことが重要なのです。

法令を遵守する

賃貸物件の設備には、法令で定期的な点検や報告が義務付けられているものもあります。消防設備や給排水設備、貯水槽などの設備は、入居者様が安心かつ安全に生活できるよう、建物の所有者や管理者の責任において法定点検を実施しなければなりません。

法定点検は専門的な知識を持つ資格者でなければおこなえず、また1年に1回・半年に1回といった一定の期間ごとに実施する必要があります。点検を行う専門会社へはオーナー様自らが依頼することも可能ですが、日常点検や清掃・メンテナンスを委託している賃貸管理会社であれば、法定点検の手配もあわせて対応してもらえます。

法定点検は入居者様に安全な暮らしを提供するために必ず行わなければならず、実施されないことで入居者様がトラブルに巻き込まれるようなことがあれば、オーナー様が管理責任に問われることにもなりかねません。

賃貸管理会社に建物管理(メンテナンス)を依頼するときはもちろん、運用中であっても定期的に法定点検の実施状況を確認するようにし、法令を遵守した賃貸経営を行うようにしましょう。

信頼できる賃貸管理会社に依頼する

賃貸経営を円滑におこない十分な収益を得るためには、空室対策に強く適切な入居者管理の技術と建物管理(メンテナンス)をおこなえる賃貸管理会社に依頼することが大切です。

ここまで解説してきたとおり、賃貸物件の管理業務は非常に多岐にわたるため、オーナー様ご自身で賃貸管理における「入居者管理」と「建物管理」のすべてを行うことは現実的ではありません。信頼と実績のある賃貸管理会社に物件の管理を委託することで、膨大な管理業務の負担をなくすだけでなく、物件や入居者様の特徴にあわせた賃貸経営が実現できます。

入居者管理と建物管理を別々の会社に委託するケースもあります。しかし賃貸経営による収益を最大化するには、入居者管理と建物管理を一気通貫している会社に依頼するのがおすすめです。賃貸管理のソフト面とハード面を合わせて管理してもらうことで、入居者の満足度の向上と収益性の増大が期待でき、出口戦略を検討する際にも大きな違いが生まれます。

賃貸管理会社は賃貸経営におけるパートナーとも言える存在です。収益物件の管理会社を選ぶ際には会社の規模や管理委託費だけでなく、業務内容や担当者の対応力も比較しながら、信頼できる賃貸管理会社を選ぶようにしましょう。

まとめ

建物管理(メンテナンス)は賃貸経営の大部分を占める重要な要素であり、成功の鍵を握っていると言っても過言ではありません。そして賃貸管理会社を選ぶ際には、建物管理だけでなく入居者管理も一気通貫でおこなってもらえ、賃貸経営の目的や保有資産・オーナー様のご事情にあわせた提案ができる賃貸管理会社を探すことが重要です。

【リロの不動産】はオーナー様の悩みの種になりやすい空室対策に強い入居者管理(入居者募集/賃貸仲介/入居者管理)に加え、手間のかかる建物管理や各種工事や売買まで、賃貸経営に関わる業務を一気通貫でサポートしております。オーナー様のご状況にあわせて建物管理のみをご選択いただけるプランもご用意しており、柔軟な賃貸管理プランをご提案させていただいております。

これから賃貸経営を始めようと考えている方だけでなく、いま現在、賃貸管理にお悩みのオーナー様からのご相談も大歓迎です。思い描いた理想の賃貸経営を目指すなら、ぜひ一度【リロの不動産】にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。