アパート経営の修繕費用と少ないコストで効果を出す修繕を事例で解説

2026.02.28

賃貸アパート経営において建物の修繕は避けては通れない取り組みです。建物や設備の老朽化・故障などのトラブルを放置すると入居者様の安全に深刻な影響を及ぼしてしまい、不利な立地では収益物件の価値も下落してしまいます。

そこで今回は賃貸アパートの修繕や各種工事について、アパート経営者なら押さえておきたいポイントを解説します。どのような工事の種類があるのか、リフォーム工事との違いやコスト節約につながる修繕費を抑えるポイントをご紹介しますので、ぜひこの機会にご一読ください。

▼この記事の内容

●アパート修繕工には、予防修繕、事後修繕、大規模修繕、原状回復工事がある。

●民法の規定では、オーナー様に修繕義務があり、入居者様には善管注意義務がある。

●アパートの修繕は、空室リスクの低減、建物の資産価値の保全、入居者満足度の向上のために必要。

●アパートの修繕工事の費用は、修繕費と資本的支出がある。修繕費はは経費として全額経費計上できるが、資本的支出は減価償却を行う。修繕費と資本的支出の判断基準には、20万円未満か、おおむね3年以内の周期で行われるものか、などがある。

●アパートの修繕は計画が重要。当初から修繕計画を立て、修繕の記録を行い、修繕費を地道に積み立てる。資金調達方法には、大規模修繕積立金、割賦工事などがある。

目次

アパート修繕工事の種類

賃貸アパートは工事の規模・目的によっていくつかの種類に分かれます。ここでは代表的な4種類のアパート修繕工事について、それぞれの内容を解説します。

アパート修繕工事:予防修繕

予防修繕とは、本格的な修理が必要となる破損、故障が生じる前に予防的に行う工事のことです。例えば外壁の一部にごく小さなクラック(ひび)が入ったとします。そのまま何年も放置しておいた場合、クラック部分が拡大してしまい、雨水などが建物内部に入って雨漏りが起こるなどの深刻な事態になりかねません。

破損規模が大きくなると外壁の全面改装や内部の躯体補修など、かなり大規模な工事が必要となるでしょう。クラックが小さなうちに補修しておけば数万円程度で済んだものが、予防修繕を怠ったために、あとから数百万規模の工事まで広がってしまった、といった事例を抱えることもお見受けします。

予防修繕は建物や設備が深刻なダメージを受ける前の段階、いわば軽傷の段階で実施する工事ですので、今すぐ工事すべきかどうかの見極めはかなり難しいです。効果的に実施するためには建物管理を行う賃貸管理会社と連携し、普段からこまめに建物の各部分を点検する仕組み作りが大切になります。

アパート修繕工事:事後修繕

事後修繕とは建物に不具合などが生じたあとで、機能が損なわれた部分を修繕をする工事のことです。集中豪雨などによる雨漏り、給水管の経年劣化による不具合、給湯器などの付属設備の故障など、入居者様の生活に直接支障をきたすトラブル後に速やかに工事を行います。

いかに迅速に対応できるかが重要になりますので、普段から賃貸管理会社や工事会社と連携し、スムーズに工事の手配を進められるよう準備しておかなければなりません。

実際には照明設備の交換や小規模な工事ですむことが多く、コスト的には比較的少額で対応可能になります。しかし、事後修繕は最低限の補修や交換で済ませるので、根本的な問題解決にはつながりにくい点がやっかいです。事後修繕ばかりの対応だと、結果的にトラブルの根を絶てないまま大規模修繕工事が必要になってしまったり、入居者様の安全が脅かされたりといった事態も考えられます。

通常は軽微なトラブルへの対応は事後修繕で、リスクの大きなトラブルへの対応は予防修繕で対応することが多いです。修繕部位によって対応策を使い分けることも重要となります。

アパート修繕工事:大規模修繕

大規模修繕とは、物件の築年数による経年劣化への対応として定期的に実施される大がかりな工事のことです。屋根、外壁、給水管、共用部分など建物全体を対象に、通常12~15年に一度ほどのペースで実施します。大規模修繕は費用も高く、工期も長い大がかりなものとなりますが、定期的に実施しておかないと建物の劣化が進んでしまい、長期間にわたって資産価値を保つことができません。

物件としての魅力の低下は空室率の上昇につながるうえ、入居者様の安全を脅かすことになります。賃貸アパート経営においては大規模修繕にかかるコストは「必要コスト」として割り切ることが重要です。

大規模修繕では外壁の塗装・補修工事、屋上やベランダなどの防水工事、廊下や階段、エントランスなど共用部分の補修工事、給水間や配水管などの交換・補修工事などを同時に実施します。建物によっては高所作業も重なるため、足場を組んで大がかりな工事となるケースも多いです。

費用の目安は国土交通省の「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」によると、ごく平均的な木造アパート一棟(10戸建て1LDK~2DK)の場合、築5~10年で約90万円、築11~15年目で約640万円、16~20年目で約230万円、築20~25年目で約980万円となっています。1戸当たり毎月0.6万円程度の修繕費を積み立てる計算になります。

補足となりますが、売却時には修繕積立金や修繕履歴を買主様に開示します。将来の修繕積立金が確保されていない場合は、後から想定外の事態に陥ることもあります。無駄遣いは不要ですが、堅実に修繕リスクに備えておくことで安定した賃貸経営に望めることでしょう。

アパート修繕工事:原状回復工事

原状回復工事とは、入居者様が退去した際に居室を入居前の状態にまで戻すための工事です。トイレや台所などの水回り、内装のクロスやふすま、窓、さらには床やエアコンなど室内の各設備を元の状態にします。

原状回復工事で気になる点は、入居者様やオーナー様など、誰がどの程度の費用負担をいつ負担するのかという費用負担の問題です。実は2020年の民法改正により、通常使用による損耗・経年劣化などは入居者様が原状回復しなくてよいと明文化されました。

つまり、入居者様が故意に損壊した事案以外は基本的にオーナー様の負担ということ。さらに敷金についても「家賃滞納に備えて受け取るお金(改正民法第622条の2)」と明記されましたので、敷金を原状回復費用にあてることも基本的にできなくなっています。原状回復費用に関しては従来よりもオーナー様の負担が重くなった点をご理解ください。

とはいえ、原状回復工事を軽視するのは賃貸経営上の大きなリスクです。室内の状態が悪いと空室状態が長引き、場合によっては家賃設定を下げざるを得なくなることも想定されます。なるべく原状回復工事の費用を抑えるためには、入居者様に部屋を大事に使っていただけるよう、入居時のガイドラインや約束事を明確にしておくなどの対応が重要です。

トラブルを避けるポイントについては、以下の関連記事を参照ください。

原状回復でトラブルにならないためのポイント

オーナー様の修繕義務と入居者様の善管注意義務

賃貸経営においては、建物・設備の修繕責任が誰にあるのかを明確にしておくことが、トラブルの未然防止に必要です。民法では、貸主と借主が負うべき義務の範囲を定めています。それぞれの義務の範囲を詳しく見ていきましょう。

オーナー様の修繕義務

民法606条では、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と規定されています。つまり、オーナー様は、所有しているアパートの建物や設備を修繕しなければならない法的義務を負っているのです。

少しの不具合であれば、できるだけ修繕やメンテナンスの出費を抑えたいと思うこともあるでしょう。修繕時期を少し後に延ばしたいと、考えることがあるかもしれません。しかし、入居者様に安心して生活していただくためにも、オーナー様には環境を整えておく責任があります。

オーナー様の対応によっては、入居者様の不満を招き、トラブルに発展するリスクもあります。そのため、経年劣化や自然災害による不具合については、原則としてオーナー様の責任と負担において、速やかに対応しなければなりません。

ただし、民法606条では「賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない」という例外も規定されています。入居者様が故意に傷つけた、重大な過失があったなど、修繕が必要となった原因が入居者様にある場合、オーナー様が修繕費を負担する必要がないケースもあります。

出典:「e-Gov法令検索(明治二十九年法律第八十九号)」民法606条

オーナー様の修繕義務については、以下の記事もご参照ください。

賃貸人の修繕義務と節税になる修繕費!賃借人が修繕費負担する特約も解説

入居者様の善管注意義務

オーナー様が責任を持って物件を管理しなければならないのと同様、入居者様にも借りている間は責任を持って使う義務があります。それが「善管注意義務」です。

民法400条では、「債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない」と規定されています。アパートの賃貸借契約でいうと、入居者様には退去時の引き渡しまでの間、居室や設備を注意して使ってもらうということです。

出典:「e-gov 民法(明治二十九年法律第八十九号)」民法400条

善管注意義務に照らし合わせると、入居者様の過失や故意によって破損した場合は、修繕費用は入居者様の負担となります。また、異常を放置したことで被害が拡大した場合も、善管注意義務違反です。

善管注意義務については、国土交通省が示したガイドライン「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」が参考になります。善管注意義務については、退去時の原状回復にも関連してきます。法的な原則を理解しておくとともに、入居者様には契約時にしっかり説明しておくことが大事です。

出典:国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)

3段落 アパートの修繕はなぜ必要なのか

アパートの修繕は単なる出費ではなく、長期的な収益を確保するための投資と捉えるべきでしょう。適切なタイミングで手を加えることは、経営の安定化に直結する重要な戦略です。以下の段落では、アパートの修繕がプラスに働くポイントを3つ解説します。

空室リスクの低減

外観や共用部は、外部の方の目にも触れる部分です。そうした箇所が適切にメンテナンスされている物件は、内見時の第一印象も格段に向上します。入居を検討している方にとって、内見時の物件の印象は、入居するかどうかを決定する要素の一つになり得ます。

期待して訪れた物件で汚れが目についたり、不具合が放置されたままになっている状況を見たりすれば、入居希望者の選択肢から外れてしまうかもしれません。もし、似た条件で良好な管理状態の物件があれば、そちらが選ばれても仕方ないでしょう。

逆に、美観を維持しつつ、設備を現代のニーズに合わせることで、競合物件との差別化を図ることができます。築年数が経っていたとしても、快適に暮らせる環境が整えられている物件には入居を希望する方が集まりやすくなります。

賃貸経営において、空室の発生はできるだけ避けたいものです。日頃から清掃などの手入れを欠かさないのはもちろん、定期的なメンテナンスや修繕を適切に施すことが重要です。

建物の資産価値の保全

アパートの建物や設備が、時間の経過とともに劣化するのは避けられません。そのまま放置すれば見た目が悪くなってくるのはもちろん、機能も落ちてきます。しかし、適切な修繕によって建物の構造体を守ることができ、長期の運用も可能になります。

賃貸経営では入居者管理とともに、建物管理が重要になります。建物は老朽化すると腐食する箇所が出てくるほか、雨漏りの発生も懸念されます。各種の設備についても、不具合の出てくる箇所が増えてくるでしょう。

建物や設備の状態が与える影響は、現時点での空室リスクだけにとどまりません。将来、物件を売却する際の売却価格の安定や、融資を受ける際の評価維持にも貢献します。

定期的に修繕を行うことで、建物や設備を良好な状態に保つことが可能です。それだけにとどまらず、資産価値を向上させるリフォームやリノベーションを実施することで、さらに価値を向上させることも叶います。

入居者満足度の向上

建物の状態が良好に保たれているかどうかは、入居者満足度にも影響を与えます。日常的に建物の共用部をきれいに清掃されているだけでも、入居者様にとっては快適に暮らせる環境になるでしょう。

さらに修繕によって建物の外観や内装が美しくなったり、設備が新しくなったりすると、入居者様の住み心地もよくなる可能性が高まります。バリアフリー化するなど、時代によって求められる改修を加えることで、競争が激しい地域では強みとして差別化を図ることも可能です。

共用部の清掃や適切な修繕の実施は入居者様の住み心地を改善し、更新率の向上をもたらします。トラブルへの迅速な対応も、入居者満足度を高める要素です。例えば、設備の故障や不具合が発生したとしても、素早い対応や丁寧な対応をしてもらえると入居者様の満足度は上がる可能性があります。

入居者様の長期入居を促進することは、募集経費や原状回復費用の削減につながり、結果的に経営効率も高めます。

アパートの修繕とリフォームの違い

賃貸アパート経営の修繕に関して「設備交換・原状回復」「リフォーム工事」「リノベーション工事」といった専門用語をよく目にします。通常の「修繕」と「リフォーム/リノベーション工事」にどのような違いがあるのでしょうか。重要なポイントを中心に簡単に解説しましょう。

リフォームについては、以下の関連記事もご参照ください。

【事例付き】原状回復とリフォーム費用を解説! トラブル回避と収益改善

アパート経営で設備投資やリフォームする理由とは?ミニマム投資の秘訣

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性能・機能の回復か改善か

「修繕(設備交換)」や「リフォーム/リノベーション」に明確な定義付けがあるわけではありません。ただ、この2つについては「原状回復」のため工事なのか、「物件のスペック向上」のための工事なのかによって使い分けることが多いようです。

一般的に修繕と表記されている工事の場合、対象の工事内容は原状回復のための工事全般を意味します。具体例を挙げると給水設備や給湯器の取替え、雨漏り部分の屋根、外壁の補修工事などです。定期的に行われる大規模修繕工事も現状の物件価値の維持を目的とするという意味では修繕といえます。

前術の内容に対し「複数設備の交換やリフォーム/リノベーション」は物件のスペックそのものを向上させるために行われる工事です。さらにリフォームとリノベーションの両者でも違いがあり、一般的にリフォーム工事は新築当時の状態に戻すための工事を、リノベーション工事は従来の状態に新しい付加価値を追加するための工事を指します。

中でも近年注目されているのがリノベーション工事です。築年数が古い部屋をバリアフリー化したり、入居者様のニーズに合った間取りに変更したりすることで、スペックの低い部屋を劇的に生まれ変わらせる効果も期待できます。

アパート経営においては入居者様の退去時となる原状回復工事や大規模修繕工事の際に、設備交換/リフォーム/リノベーションを実施します。リノベーション工事は比較的大がかりな工事となるため、資金面も含めて計画的に工事を行うことが重要です。

アパートの修繕工事における会計上の違い

同じような工事であっても性能の原状回復目的か、スペック向上目的かで会計上の取り扱いが違ってきます。

性能の原状回復を目的とした工事にかかった費用は、会計上「修繕費」として扱います。ここでの修繕費は支出した年度の確定申告時にその全額を必要経費として費用計上することが可能です。

一方、建物性能のスペック向上を目的に行った工事の費用は会計上「資本的支出」として扱われます。つまり、スペック向上につながった支出分は新たに設備投資をしたとみなされるのです。大雑把なご説明をしてしまうと、いわば新たな物件や設備を買ったことと同じなので、支出分は減価償却費として会計処理することになります。

具体的にどのような工事がスペック向上目的とみなされるのでしょうか。
その線引きについては次にご紹介をする、国税庁が要件をあげています。

修繕費は経費として計上できる

修繕費は、建物の維持管理費として通常発生する費用や、原状回復のために支出した費用を指します。国税庁の法令解釈通達では、修繕費について「固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額」と規定されています。

修繕費として認められる費用は、その年の経費として一括計上することが可能です。経費として計上できることで、節税にもつながります。

具体的な修繕の例としては、定期的な外壁の塗装や雨漏りの修理、故障した設備の修理などが挙げられます。定期的な点検や取り替え、メンテナンスなども修繕費に該当します。

ただし、修繕にかかる費用でも、すべてが必要経費として処理できるわけではありません。以下の段落で解説する資本的支出と判断される場合は、扱いが異なります。修繕費のイメージとしては、故障や不具合が発生したもの、劣化したものを元の状態に戻すための費用です。

出典:国税庁「第8節 資本的支出と修繕費」

資本的支出は減価償却を行う

資本的支出とは、建物の価値を高めたり、使用可能な期間を延長させたりする支出が該当します。国税庁の法令解釈通達では、「固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額」とされています。

修繕費が元の状態に戻す、元の機能を回復するものであるのに対し、資本的支出は価値を増加させる工事やプラスにするためにかかった費用であるのが特徴です。具体的には、建物に避難階段を新設したケースや設備を高性能なものに取り替える工事、用途変更のための模様替えなどが資本的支出にあたります。

資本的支出は修繕費とは違い、その年の経費として計上はできません。経理処理としては資産として計上したうえで、法定耐用年数にわたって減価償却を行うことになります。

修繕費と資本的支出の判断基準

修繕費と資本的支出の区分は複雑ですが、実務上は金額や目的によって形式的な判断基準が設けられています。どのようなケースでは修繕費となるのか、または資本的支出と認められるのか、それぞれの基準について詳しくみていきましょう。

費用は20万円未満か

資本的支出と修繕費に関わる国税庁の法令解釈通達では、「少額又は周期の短い費用」についての規定があります。通達によると、修理、改良等のために要した費用の額が20万円に満たない場合は、損金に参入できるとされています。

つまり、価値を高めるための支出であっても、1件の支出額が20万円未満であれば、原則として、内容にかかわらず修繕費として処理することが認められるということです。

例えば、古い設備を最新のものに交換するケースを考えてみましょう。高機能の設備に交換すれば、明らかに性能は向上します。しかし、交換にかかった費用が18万円ならば、修繕費として扱えます。

このケースのように修理や交換の費用が少額で収まる場合は、迅速に経費として処理することが可能です。

ただし、1件が20万円未満となっているため、費用を分割した結果、1回の支払いが20万円未満になった場合は該当しません。また、一連の計画として複数の工事を実施する場合は、合計額で判定する必要があります。

おおむね3年以内の周期で行われるものか

国税庁の法令解釈通達では、「その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合」も「少額又は周期の短い費用」であると定義されています。

つまり、おおむね3年以内の周期で定期的に実施される修繕などについては、金額にかかわらず修繕費として経費処理できるのです。そのため、過去2、3年のうちに同様の工事を実施しているようなら、修繕費として考えて問題ありません。

万一、2、3年の周期で実施されていなかったとしても、3年周期程度で一般的に行われるものであれば、周期の短い費用として認められる可能性があります。定期的なメンテナンス費用は資産価値向上ではなく、維持のための支出であるとみなされるためです。

重要なのは、おおむね3年以内で周期的に修繕や交換が必要かどうかです。新しく導入した設備や、耐用年数・交換周期が3年以内かどうか分からない場合は、メーカーや仕入先などに確認しておきましょう。

現状維持のための支出か

修繕費となるのか、資本的支出としてみなされるのか、判断基準として重要なポイントの3つ目は、現状維持のための支出かどうかです。支出の内容が明らかに維持管理に必要なものなのか、または原状回復のためのものなのかを考えてみてください。

破損した部分を元の状態に戻すための支出は、典型的な修繕費です。例えば、故障した給湯設備の部品交換、不具合のあるキッチン設備の部品修理する工事などは、修繕費になります。

原状回復工事で壁紙やフローリングを張り替える場合、元の壁紙やフローリングと同等のグレードのものに交換するのなら修繕費です。また、外壁塗装においても、同等のグレードの塗料で塗り替える場合は修繕費とみなされます。

重要なのは、「元の状態に戻す」ための工事かどうかです。同じ箇所の工事でも、最新の設備へアップグレードする場合は資本的支出とみなされる可能性があります。建物の構造を強化する工事も資本的支出となるため、元の状態に戻すための工事か、アップグレードする工事になるのか注意してください。

資産価値や使用可能期間を増加させるか

判断基準の4つ目は、資産価値や使用可能期間が増加するかどうかです。支出によって機能がアップグレードされたり建物の耐用年数が延びたりなど、明らかに資産価値が増大する場合は資本的支出となります。

例えば、避難階段の設置や用途変更のための改装などは、資産価値を高める行為と判断されます。従来の状態に新しい付加価値を追加するリノベーションは、資産価値を高める工事になるため、資本的支出に該当するケースが多いでしょう。

同じ給湯設備の交換でも、元のものと同等の設備に交換するのであれば修繕費です。しかし、最新のエコ給湯器に交換するなど、資産価値が高まるようなら資本的支出として経費処理する必要があります。

ほかにも、フローリングの工事で機能性が向上する床材に変更する、合わせて床暖房システムを追加するといったグレードアップのための工事は資本的支出に該当します。外壁塗装を光触媒の高機能塗料に変更したり、屋根を高耐久の屋根材に交換したりするなど、耐久性が増加する工事も資本的支出です。

60万円未満か、前期末取得価格の10%以下か

支出金額が20万円未満か、おおむね3年以内の周期で行われるものかという「少額又は周期の短い費用」に該当しなくても、修繕費として扱えるケースがあります。

それが支出金額60万円未満であるか、または前期末取得価格の10%以下であるかという判定基準です。この判定基準は、国税庁の法令解釈通達では「形式基準による修繕費の判定」として規定されています。

維持管理費としても取れる、しかし、グレードアップという側面も含んでいるような気がするなど、修繕のために支出した費用が修繕費なのか、資本的支出なのかが明らかでない場合が前提です。どちらに該当するか明確にしにくいようなら、もう一度、金額による判定を行います。

なお、この基準で用いられる取得価額については、新たな取得価額分だけを指すのではありません。対象となる減価償却資産の当初取得時の取得価額に、前期末までに新たに追加された資本的支出を加えた合計金額となるため注意が必要です。

区分の特例

修繕費か資本的支出か不明な場合、「区分の特例」という基準もあります。

国税庁の法令解釈通達では、「継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める」とされています。

これは上記の基準で修繕費か資本的支出が判断できないケースにおいて、判断の迷いを減らすための実務的な救済措置です。支出額の30%相当額または前期末取得価額の10%のいずれか少ない額を修繕費とし、残りを資本的支出として継続的な処理を認めるという特例的な計算方法です。「7:3基準」とも呼ばれることがあります。

例えば、支出した費用が100万円、前期末取得価額が1,000万円のケースを考えてみましょう。支出額の30%は30万円、前期末取得価額の10%は100万円です。このケースでは金額の少ない30万円が修繕費、残りの70万円が資本的支出となります。

災害の場合の特例

震災や風水害などの災害によって生じた被害の復旧費用については、特例的に修繕費として認められる範囲が広くなっています。これは、被災した資産を原状復旧するために、迅速な事業再開を支援するためです。

国税庁の法令解釈通達では、「災害により被害を受けた固定資産(被災資産)」について、原状を回復するために支出した費用は修繕費に該当すると規定されています。具体的には、被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水や土砂崩れの防止等のために支出した費用が修繕費として柔軟に経費化できるということです。

ただし、支出した費用が修繕費か資本的支出か明らか出ない場合は、その金額の30%を修繕費、残額を資本的支出として経理を認めるとされています。

また、災害の場合の特例には注意点もあります。被災資産を復旧するのではなく、代わりとなる資産を取得した場合などは、修繕費として計上することができません。その場合は新たな資産として計上したうえで、減価償却費として毎年経費処理していく必要があります。

主なアパート修繕の種類と費用の相場

アパート修繕の対象となる箇所はさまざまです。ここでは、大きく建物全体と室内に分けて、修繕の種類とそれぞれの費用相場を紹介します。

リフォームの改善事例については、以下もご参照ください。

リフォームの改善事例 一覧

内装リフォームの改善事例 一覧

水回りのリフォーム改善事例 一覧

設備対応のリフォーム改善事例 一覧

建物全体

まずは建物全体、共用部の修繕箇所から実施内容の種類と費用相場を見ていきましょう。ここで紹介するのはあくまでも一般的な例です。詳細な費用は施工会社、工事内容、工法や物件状態などによって変わります。

屋根・屋上

屋根や屋上は常に雨風にさらされる部分であることから、定期的な塗装の塗り替えが必要です。塗装にかかる費用は100万円以内が目安ですが、経年劣化によって屋根の葺き替えが必要なケースでは100〜150万円程度かかります。

屋根と外壁(このあとで詳しく解説)は、使用する塗料の種類によって費用が大きく異なるのが特徴。耐久性に優れる塗料ほど価格が高くなる傾向にあるため、初期費用とメンテナンス費用のバランスを考慮して、適切な塗料を選ぶようにしましょう。

ベランダ

ベランダやバルコニーの床部分は防水層が設けられており、表面はトップコートと呼ばれる塗料で保護されています。これらも経年劣化していくため、トップコート塗装は5年に一度程度、防水工事は大規模修繕ごとに行うのが基本です。

トップコートも防水層も使用する素材によって費用が異なります。トップコート塗装で一般的なウレタン系塗料を使用した場合の費用相場は1m2あたり2,000円前後、防水工事はFRP(繊維強化プラスチック)で1m2あたり4,000〜8,000円程度です。

階段・廊下

階段や廊下も経年劣化が進みやすい場所です。特にアパート特有の外階段は雨風に直接さらされるので、鉄骨のサビ対策として定期的な塗装を行う必要があります。塗装の頻度は5年に一度程度で、階段1基あたり5〜15万円ほどが相場です。

廊下に関しては、上で紹介したベランダと同様、5年に一度程度のトップコート塗装が必要になります。1回あたりの費用相場は1m2あたり2,000円前後です。

【リロの不動産】が手がけた、アパートの外階段の改善事例はこちらからご覧ください。

階段の改善事例

外壁塗装

建物全体の修繕の中で、大きな費用を要する箇所の一つが外壁塗装です。外壁塗装は使用する塗料のグレードによって費用が大きく変わります。屋根塗装のところで紹介したように、高グレードの塗料になるほどメンテナンス頻度が少なくてすむため、長期的なコストパフォーマンスも考慮したうえで塗料を選ぶのがポイントです。

定番のシリコン塗料などであれば坪あたり1万2,000円程度が相場。塗装の頻度は10〜15年に一度が目安です。一方、耐久性の高いフッ素塗料や無機塗料になると坪2万円を超える場合もあります。ただし、塗装の頻度は15〜20年と低グレードのものよりも少なくてすむでしょう。

【リロの不動産】では、収益物件の外壁塗装も手がけてきました。こちらで事例を紹介しているのでご覧ください。

外壁塗装(大規模修繕)の事例

雨樋

建物を雨から守るため、雨樋も定期的に塗装を行う必要があります。外壁塗装や屋根塗装と同じタイミングで塗装を行い、費用は1m2あたり1,500〜3,000円程度が相場です。雨樋の塗装にかかる費用も、使用する塗料のグレードによって異なるため注意しましょう。

なお、雨樋は大雨や積雪によって大きな負荷がかかると破損してしまう場合があります。こうしたときには、別途費用をかけて緊急的に修繕しなければなりません。

給水管

給水管は30〜40年程度で寿命を迎えるといわれており、そのタイミングで全体的な交換が必要になります。また、水の状態がおかしかったり、水漏れが疑われたりする場合は、配管を一部修繕しなくてはならないこともあるでしょう。

一部のみを修繕する場合の費用相場は1万円程度、給水管を交換する場合の相場は10〜30万円程度です。なお、建物全体で給水管を交換するとなると、より大きな費用がかかります。

排水管

給水管と同じように排水管も定期的なメンテナンスが必要です。排水管は詰まりが発生しやすいため、少なくとも2〜3年に一度程度、高圧洗浄を行うことが推奨されています。高圧洗浄にかかる費用はアパート8世帯あたりで9〜12万円が相場です。

排水管も30〜40年程度で寿命を迎えるので、そのタイミングでは配管の交換が必要になります。専有部の排水管を交換するときの費用相場は1戸あたり40〜60万円程度です。

室内

続いて、室内で必要となる修繕の種類と費用相場について見ていきましょう。こちらも設置する機器や使用する建材のグレードによって費用が変わるため要注意です。

エアコン

入居者様からの希望が多い設備の一つであるエアコン。エアコンが故障したと入居者様から連絡があった場合、至急対応する必要があります。修理の費用相場は、1台あたり1万5,000円〜15万円ほど。故障の内容によって費用は異なりますが、室外機が故障していると相場が高くなる傾向です。

交換が必要な場合、10畳程度の部屋、標準グレードのものであれば1台あたり5〜15万円程度かかります。

【リロの不動産】の管理物件なら、エアコンの不具合にも迅速に対応可能です。事例はこちらをご覧ください。

エアコンに関する改善事例

給湯器

給湯器も故障したらすぐに対応しなければならない機器の一つです。特に冬場は使用頻度が高く、入居者様の快適な生活のためにも迅速な修理が必要です。給湯器の修理にかかる費用は1台あたり6,000〜5万円程度、交換が必要な場合は1台あたり10〜15万円程度を見込んでおきましょう。

【リロの不動産】では給湯器に関する検討も実施し、空室対策や入居者満足度の向上につなげています。事例はこちらを参照ください。

給湯器に関する改善事例

ユニットバス・浴室設備

浴室を重視する入居者様も多く、一部が壊れていたり、古くて清潔感がなかったりすると競争力の低下につながりかねません。壊れた壁や床などの修理にかかる費用は5〜20万円程度ですが、ユニットバス一式を交換するとなると50〜150万円程度かかります。

ユニットバスはグレードによる価格の幅が大きいため、予算やターゲットに合わせて適切なグレードの製品を選びましょう。

【リロの不動産】が手がけた水回りの改善事例はこちらをご覧ください。

水回りの改善事例

トイレ

使用頻度の高いトイレは、室内設備の中でも修理や交換の必要性が高い箇所です。便器を交換する場合、便器本体の費用と交換工事の費用がかかります。トイレも本体のグレードによって価格に差があるものの、本体費用と工事費用の合計で4万円程度から可能です。

なお、高グレードなタンクレストイレを設置しようとすると10万円以上かかるでしょう。

水回りの改善事例

ガスコンロ

キッチンのガスコンロは火を使うので、メーカーが推奨する交換時期を迎えたら、新たな機器に入れ替えたいところです。ガスコンロの交換頻度は8〜10年程度とされており、1台あたり5〜15万円程度で工事が可能。修理が必要になった場合には、1台あたり1,000〜1万円程度で対応してもらえます。

クロス

部屋の雰囲気を大きく左右するのが壁のクロスです。6〜8年程度が張り替えの目安ですが、退去があった場合はそのたびに実施するのが一般的。張り替えにかかる費用は1m2あたり1,000〜1,500円程度が相場であるものの、高機能な壁紙を選ぶとコストは上振れます。

クッションフロア

床のクッションフロアも部屋のイメージに直結します。8〜12年程度経過したら、部屋のイメージを一新するために張り替えるのがおすすめです。クロスと同様、退去者が出たときにも張り替えを基本として考えましょう。費用相場は1m2あたり3,000〜5,000円程度です。

長期修繕計画の例

分譲マンションの場合、区分所有者で構成される管理組合や委託する賃貸管理会社によって長期修繕計画を立てます。計画において、大規模修繕は国土交通省のガイドラインなどによって定められ、おおよそ12〜15年に一度の周期で実施するのが一般的です。

これに対し、賃貸アパートの場合はオーナー様の判断に委ねられています。とはいえ、分譲マンションに準ずる形で実施するのが望ましいでしょう。以下では、国土交通省が示す「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」よりモデルケースを紹介します。

・木造アパート(10戸、1LDK〜2DK)の修繕計画例

築年数修繕箇所(内容)費用目安
5〜10年目ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 排水管(高圧洗浄など)1戸あたり9万円程度 (全体で90万円程度)
11〜15年目屋根・外壁(塗装) ベランダ・階段・廊下(塗装・防水工事) 給湯器等(修理・交換) 排水管(高圧洗浄など)1戸あたり64万円程度 (全体で640万円程度)
16〜20年目ベランダ・階段・廊下(塗装・防水工事) 室内設備(修理) 給排水管(高圧洗浄・交換) 外構等(修繕)1戸あたり23万円程度 (全体で230万円程度)
21〜25年目屋根・外壁(塗装・葺き替え) ベランダ・階段・廊下(塗装・防水工事) 浴室設備等(修理・交換) 排水管(高圧洗浄など)1戸あたり98万円程度 (全体で980万円程度)
26〜30年目ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 給排水管(高圧洗浄・交換) 外構等(修繕)1戸あたり23万円程度 (全体で230万円程度)
31年目以降上記サイクルを繰り返す

すべて足し合わせると、30年サイクルで1戸あたり210万円以上、10戸のアパートであれば全体で2,100万円以上のメンテナンスコストがかかることになります。これだけの費用をすぐに準備するのは難しいからこそ、物件取得当初から計画的に積み立てるのが大切です。

出典:国土交通省 民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック

長期修繕計画の関連記事については、以下もご参照ください。

大規模修繕工事はアパート・マンションになぜ必要?工事内容と費用を把握【総集編】

賃貸アパート・マンションの大規模修繕!長期計画策定と出口戦略を解説

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大規模修繕の関連事例は、以下をご参照ください。

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アパートの修繕は計画を立てておくことが重要

前述のとおり、アパートの修繕にはまとまった費用がかかるため、あらかじめ計画を立てておくことが重要です。修繕計画を立てるにあたって押さえておきたい3つのポイントを解説します。

当初から修繕計画を立てておく

大規模修繕をはじめとした定期的な修繕だけでなく、突発的に発生した不具合に対する緊急修繕のリスクは常に存在します。こうしたリスクは物件を取得した瞬間から生じるものであり、運用を始めたらいつでも対応できるようにしておかなければなりません。

そのため、アパートの修繕計画は取得当初から立てておくようにしましょう。新築であれば建築当初から、中古であれば購入当初から計画を立てて備えることが大切です。

修繕計画を立てるといっても、これまで見てきたように修繕項目は多岐にわたります。判断や予測に高度な専門性を要するものもあり、オーナー様だけで検討するのは難しいでしょう。

計画を考えるにあたっては、修繕項目や項目ごとにかかる費用、費用の積立計画などを専門家と相談しながら進めるのがおすすめです。また、原材料費や人件費の高騰などにより将来コストが上振れるリスクがあるほか、物件の劣化状況も刻一刻と変化しています。専門家の意見を仰ぎつつ、定期的に計画を見直すようにしましょう。

修繕の記録を行う

定期的な修繕の実施とともに大切なのが、修繕内容について記録をしっかり取っておくことです。緊急の修繕を行った場合も、修繕の内容や時期を詳しく記録しておきましょう。修理会社とのやりとりや具体的な流れなど、見積りや報告書には細かく記されない内容まで記録に取っておくと、次回以降の修繕の参考になります。

修繕直後は詳細を覚えていたとしても、数年もすれば忘れてしまいます。修繕記録を蓄積していくことで、今後不動産投資を拡大していったときにも役立つ「自分だけの修繕の参考書」ができあがるはずです。

また、過去の修繕がすべて記された修繕記録は、貴重な「物件の履歴書」にもなります。これを見れば、修繕履歴や今後修繕が必要になりそうな箇所が一目で分かるため、出口で売却する際にも有利になるでしょう。

修繕費を地道に積み立てる

賃貸経営における修繕の重要性を理解していたとしても、いざ修繕が必要になったとき、資金がなければ何もできません。これまで見てきたように小さな修繕でも10万円単位、大きなものだと100万円単位の費用がかかるため、日頃から準備しておく必要があります。

必要な修繕をすぐ実施できるようにするには、修繕計画に基づいて地道に修繕費を積み立てることが大切です。たとえキャッシュフローに余裕ができても無駄に消費せず、想定外の不具合が発生したときのために備えましょう。

大規模修繕積立金

分譲マンションに住んでいると、毎月修繕積立金が徴収されます。これは将来発生する大規模修繕などに備えて、区分所有法やマンション標準管理規約により、各区分所有者から定期的に修繕積立金を徴収することが義務づけられているからです。

一方、賃貸アパートはオーナー様の自主性に委ねられています。修繕積立金を積み立てなくても特段問題はありません。しかし、ここまで紹介してきたメンテナンスの重要性を踏まえると、今後発生する大規模修繕の費用を賃貸経営スタート時から積み立てておくべきでしょう。

地道に積み立てておけば、緊急の修繕が必要になった際もすぐに対応でき、入居者様の満足度向上と定着につながります。

割賦工事などの資金調達方法

修繕積立金を積み立てていたとしても、想定外の不具合が多発するなどして費用負担に困るケースも想定されます。こうした事態に備え、資金調達方法も検討しておくとよいでしょう。

例えば、メンテナンス会社や賃貸管理会社によっては割賦工事に対応している会社もあります。また、不動産投資用リフォームローンを活用したり、リフォームに関する補助金を申請したりするのも有効です。

【リロの不動産】では、手持ち費用ゼロで着手できる割賦工事に対応するなど、空室対策としてのリフォームや大規模修繕に関するトータルサポートを行っています。修繕計画でお悩みのオーナー様はぜひお気軽にご相談ください。

リフォーム・リノベーション・大規模修繕のサポート

アパートの修繕費を抑えるポイント

アパートの修繕は入居者様の安全を守るためだけではなく、物件価値の維持のためにも不可欠ですが、アパート経営の観点からオーナー様と同じ目線や視点で考えると、できるだけコスパ良く済ませたいものです。

そこで、ここからは賃貸アパートの修繕費用を抑えるためのポイントを6つ解説します。

定期的に建物の点検・メンテナンスを行う

定期的な点検・メンテナンス・予防修繕を欠かさず行いましょう。適切な対応を行うことで、結果的にコスト面でお得になることが多いです。一見事後修繕のほうが安上がりに思えますが、劣化を放置することでのちのち深刻なトラブルになってしまい、かえって費用が増大する事例が後を絶ちません。

例えば外壁部分のクラックが生じた場合、比較的浅い段階であれば簡単な処置や外壁塗装で1ヶ所あたり1万円前後で済みます。ところがそのまま放置してしまい劣化が進行すると、補修範囲が広がってしまい約10〜30万円ほど費用がかかる事例も少なくありません。

木造アパートの場合、シロアリ被害も放置しておくと危険なトラブルです。こまめに点検駆除しておけば数万円で済んだところ、被害が大きくなると部材の撤去交換なども含めて100万円を超えることもあります。

大規模補修に関連するトラブルは、結果的に入居者様の安心な生活を脅かすものです。このようなトラブルの芽を摘むためにも、パートナーとなる賃貸管理会社と普段から連絡を取り合い、点検やメンテナンスのスケジュールを立てましょう。

火災保険を利用する

火災保険はカバー範囲が広く、建物の修繕費用の捻出にも利用できます。ただし、保険適用にはある程度の限定条件があります。火災保険のカバー範囲についての主な条件は以下のとおりです。

火災保険による建物修繕のための主な条件(一般的な事例)

1 経年劣化による損害ではないこと(シロアリや虫食いによる被害は適用外)
2 地震被害によるものではないこと(こちらは地震保険でのカバー)
3 契約の補償範囲内の損害であること
4 過去3年以内に受けた被害であること

主に突発的な出来事による破損に対する補修工事は保険の適用範囲内です。水害などの自然災害についても保険適用されるケースが多くなっていますが、地震、津波、噴火などによる破損は火災保険ではなく地震保険の適用対象となります。

火災保険に関してはアパートオーナー様向けの各種特約も用意されているので、契約時によく内容を吟味してください。事故発生の影響で空室となった場合に損失分の家賃を補填してもらえる「家主費用特約」など、修繕費用以外にも利用できる特約が豊富に用意されています。

大規模修繕で必須の足場代を節約する

修繕費の中でも意外と費用がかかるのが「足場代」です。屋根や外壁の工事では必ず足場を組む必要がありますが、その費用はおよそ工事費の10%前後。もちろん大規模な足場を組む必要があればそれだけ高額となります。工事会社によっても価格差が大きく、その費用対効果を見極めるのは難しいです。

足場代を節約するためにオーナー様ができることは、足場を必要とする工事をできるだけ1度にまとめることでしょう。工事のたびに何度も足場を組むのは非効率です。

しかも足場を必要とする工事は屋根工事、外壁塗装工事、雨樋工事など、補修部分がつながっています。単発の工事で分離発注をせず、なるべく1回の工事で包括して対応できれば作業効率も上がり、工事全体の工期短縮やコスト削減に貢献できます。

賃貸仲介をする際に、入居者審査を厳格にする

共用部分はオーナー様や賃貸管理会社の努力によって維持・管理を行うことができます。しかし、共有部分以外の居室状態は入居者様にお任せするしかありません。

万が一マナーの悪い入居者様が入居されると、お部屋を汚されたり、設備を壊されたりといったトラブルが起こります。特に水回りの汚れがひどいようだとアパート全体の環境にも影響してしまい、原状回復費用が高額になるリスクも想定されるでしょう。

居室の状態をできるだけいい状態に保つためには、入居者審査の厳格化が必要です。比較的適切な賃料で、短い空室期間で埋まる見通しがある場合は、リスクの大きな入居者様と最初から契約しない方針も検討しましょう。

見た目や経歴だけではマナーの悪い方なのか判断が難しいので、賃貸管理会社に入居者様の条件を細かく伝えて審査をしっかり行うように伝えてください。マナーのいい入居者様が集まれば入居者様の住み心地の良さにもつながり、物件の価値向上にもつながります。

賃貸経営に適用される補助金・助成金を活用する

民間賃貸住宅の修繕に関して、国や地方自治体の実施する補助金・助成金を利用できることがあります。補助金・助成金は金融機関からの融資と違い返済義務のないお金ですが、給付を受けるには細かな助成条件を満たしたうえで給付機関の審査に合格しなければなりません。

大規模修繕などで活用できる助成金・補助金は耐震工事やバリアフリー工事、環境対策のための改修工事などを対象とする制度が大半です。種類や内容は各自治体、給付期間によってさまざまな種類が存在します。

例えば東京都には「貸主応援事業補助金」というかたちで賃貸アパートを経営するオーナー様向けの補助金事業があります。また国の補助金制度では「長期優良住宅化リフォーム推進事業」などが有名で、省エネ基準を有する住宅に対して上限100万円、補助率3分の1までの工事資金を支援してもらえます。

こうした補助金・助成金制度は全国のそれぞれの自治体ごとに細かな要件が決められていますので、小まめに情報収集することがすることが重要です。募集件数や募集期間にもかぎりがあるため、賃貸管理会社や工事業者と相談のうえで早めに申請準備を整えましょう。

経験豊富な賃貸管理会社に相談する

修繕を工事会社に依頼するうえで、仕事の評判がよくコストも安い会社を選ぶのが理想的です。しかし、どの会社がよいのかを見極めるのは専門知識がないとかなり困難といえます。大規模な工事になればなるほど工事内容も複雑化するため、工事の段取りを組むにも専門的な知見が欠かせなくなるでしょう。

さらに適切な工事を選択するためには賃貸経営の出口戦略(売却を想定しているのか、長期期間で収益物件の運用をするつもりかなど)に合った修繕計画を進める必要があります。近いうちに売却したいのか、相続税対策として売却を考えるのかなどによって大規模工事を実施するべき時期は変わります。長く運用するつもりであれば、リノベーション工事なども検討材料に入るでしょう。

オーナー様おひとりでこのような計画を考えるのは大変ですので、経験豊富な不動産会社、賃貸管理会社などと相談したうえで段取りを進めたほうが無難です。普段から物件の管理を担当している賃貸管理会社なら、どのような工事が必要か正確に判断できるでしょう。

賃貸管理会社の選び方については、以下の関連記事もご参照ください。

賃貸管理会社の探し方と6つのポイント!賃貸経営の収支を握る管理とは

【必読】賃貸管理会社の選び方!運用益と出口戦略を見据える賃貸管理

【賃貸管理会社】大手と地域密着型のどっちがおすすめ?管理会社の選び方

賃貸管理会社の選定基準は手数料の安さか、収益性を高める管理か

賃貸管理会社を変更するベストなタイミングは?事例で学ぶ手順と注意点

まとめ

賃貸アパート経営にとって物件の修繕は避けられない課題です。費用対効果を考えつつ、適切な修繕を実施する判断が必要となりますが、賃貸アパート経営に成功されるオーナー様は例外なく修繕に関する判断が的確といえます。近年は単なる修繕にとどまらないリフォーム/リノベーションなどの選択肢も増えており、空室対策として工事を実施する事例も増えてきました。

お手持ちの収益物件から生み出される収益はいかがでしょうか。目標達成をするために、どのような工事が必要か、その見極めにはオーナー様のご判断はもちろん、物件の実情やオーナー様の意向を理解した専門家のアドバイスが欠かせません。普段から物件の管理業務を委託されている賃貸管理会社であれば、建物の現状に適した各種工事を提案できるでしょう。

リロの不動産】はまさにこの点でベストパートナー。全国トップレベルの管理物件実績に加え、各種の大規模修繕工事やリフォーム/リノベーション工事の経験も豊富にあり、これまでに数多くのオーナー様のご意向に沿った工事計画を提案しております。割賦工事のご提案など資金調達の面でもオーナー様を強力にサポートいたしますので、資金面で不安のあるという方も気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。