古いアパートにリノベーションは必要?効果的な賃貸経営とは
2023.02.23古いアパートを所有するオーナー様の中で、空室対策や現状よりも家賃収入を増やすことを目的にして、リフォームではなくリノベーションを検討している方も多いのではないでしょうか。
リフォームは部分的な改善に留まるため、築年数の経過に伴い入居者様のライフスタイルの変化に対応しきれないこともあります。ニーズを捉えたリノベーションを行えば、築浅物件や近隣物件との差別化を図り、長期空室でお悩みのお部屋でも、満室経営や賃料アップによる収益改善や資産性の向上が図れます。
リノベーションには多額の費用がかかると思われがちですが、コストを抑えた施工もできます。お金をかければいいわけではなく、入居者様が快適に過ごせる空間となり、賃貸経営の収支を改善する必要があります。賃貸経営リノベーションのポイントは2つ。「入居者ニーズを満たす物件価値の向上」により「収支を改善」することです。
この記事では、人気がある賃貸物件の条件や効果的なリノベーション方法について詳しく解説します。今よりも高い収益を目指したい方や老朽化リスクによる空室対策を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
賃貸アパートで人気の物件の条件とは
築年数に関係なく常に満室状態をキープできるアパートは、一定の条件を満たしている傾向があります。そこで、一般的な賃貸アパートで需要の高い人気物件の条件を以下で紹介します。所有する物件や購入予定の物件の条件に当てはまっているか、比較してみましょう。
駅からの距離
賃貸物件を探す際に、最寄り駅からの距離を重視する方は多いです。通勤・通学の時間を短縮できるという理由により、駅から徒歩10分以内に位置する物件が好まれます。駅に近づくほど利便性が高くなるため、家賃が少々高めでも選ばれやすくなるでしょう。
学生・社会人・ファミリー層・ご年配の方など、入居されるお客様のタイプによっても、距離に求める価値が変わります。地域性を加味して賃貸需要にマッチするターゲットのイメージを膨らませましょう。
所有するアパートが駅から離れているのであれば、不便さを補えるようなメリットや強みを見つけてアピールする必要があります。車通勤の方なら駅までの距離よりも駐車場の有無が重要になり、ペットを飼育している方であればペット可の物件を探しているため、エリアの競合物件やご入居されるお客様のニーズにに合致させた物件にするなど、付加価値を向上する工夫が必要です。
周辺施設
物件の周囲や徒歩圏内に利用しやすい施設が揃っているかどうかも、物件探しの際の重要な判断材料になっています。一般的にはスーパーやドラッグストア、コンビニなど、日常生活に便利な施設がある物件のほうが選ばれやすい傾向です。ほかにも近隣にあるとうれしい施設は、入居者様の年代や家族構成、ライフスタイルなどで異なります。
近くに大学がある物件には一人暮らしをする学生からのニーズが、大きな工場や企業の支店などがある場合はそこで働く方からのニーズがあります。ファミリー層では公園や病院だけでなく、子どもの学区を重視する方も多いでしょう。
間取り・設備
住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)で物件を探す際、㎡数や間取りタイプを指定して検索することが多く、一人暮らしの場合はワンルーム、1K、1LDKなどの条件で検索するでしょう。
古いアパートではトイレとバスルームが一体になった3点ユニットが多く見られますが、近年は賃貸経営を行う物件も増加したため、一人暮らし向けでもトイレとバスルームが別になっている物件のほうが好まれます。
部屋の配置によって実際の㎡数よりも広く見えたり狭く見えたりすることもあるので、間取りや設備は重要な条件の1つといえます。
賃料
賃料は家計の中でも大きな割合を占めるものです。駅からの距離や築年数、間取りなどの条件が似ているなら、誰もが少しでも賃料の安い物件を選ぶでしょう。基本的に賃料は新築時から減少し続けます。
エリアの賃貸需要は一定の価格で推定できるため、空室がなかなか埋まらない場合は、周辺の類似物件と比べて家賃設定が割高なのかもしれません。リーシング活動(入居者募集・賃貸仲介)がうまくいかない場合は、賃貸経営に必要な対策を必ずやり切りましょう。賃料を下げるのは最後の手段です。
賃料のほか、管理費や駐車場・駐輪場など、毎月かかる費用がトータルで適切かどうかを確認することも大切です。
古いアパートと築浅アパートの違い
リノベーションを計画するにあたり、近年の賃貸物件のトレンドやニーズを把握しておく必要がありますが、築年数の古いアパートと築浅のアパートにはどのような違いがあるのでしょうか。違いがわかりやすく出るポイントについて、以下で詳しく紹介します。
賃料
築年数の古いアパートと築浅のアパートを比較して、大きく差がでるものの1つとして挙げられるのが賃料です。同じ地域内で条件が近い物件を比べてみると、築30年前後と築10年前後の物件とでは平均して1万円~2万円前後の差がみられます。
建物には経年劣化という考え方があり、築年数が経過するにつれて資産価値が下がる傾向にあります。同時に家賃相場も下がるのが一般的ですが、リノベーションによって資産価値が高まれば家賃アップも期待できます。
耐震性
1981年5月以前に完成したアパートは建築基準法改正前の耐震基準で建てられています。旧耐震基準の建物の場合は新耐震基準に比べて耐震性が低いので、賃貸物件を探す方には避けられがちです。また、築年数の古いアパートの中には防音性や断熱性が低い物件もあります。
アパートは木造で建てられていることが多く、木造住宅の法定耐用年数は22年とされています。あくまで減価償却を計算するための数値であり、建物の寿命を表すものではありませんが、法定耐用年数を超えている建物で修繕やメンテナンスが十分でない場合、築浅のアパートとは見た目だけでなく耐震性が大きく異なり、入居者様に不安を与える要素となるでしょう。
一定の条件を満たす必要がありますが、各自治体によっては補助金や助成金を活用して耐震補強工事ができる場合もあるので有効活用してください。
住宅設備
住宅設備の仕様や充実具合も大きな違いの1つとして挙げられます。古いアパートでは、和式トイレやバランス釜など旧式の設備がそのまま残っていることがあり、問題なく使用できれば交換する必要はありませんが、あまりにも利便性が悪く日常生活に支障をきたすような場合では入居者様に不安を与えてしまいます。
また、そもそも備わっている設備が少なかったり、キズや汚れが目立ちやすくなってしまったりすることも多くみられるでしょう。
一方、築浅アパートは建築時の最新設備が導入されていることが多く、高い利便性に加えて清潔感や安心感があります。節水や省エネ機能がある設備なら、水道光熱費の節約にもつながるでしょう。
室内に限らず、宅配ボックスの設置など共有設備の違いも含めて入居者様は物件をよく吟味しています。少々家賃が高くても、日常生活を意識した使いやすさや便利さを優先して築浅アパートを選ぶ方が多い傾向にあります。
和室か洋室か
古いアパートでは必ずといっていいほど和室が取り入れられているのに対し、築浅のアパートではすべての居室が洋室となっているのが近年の傾向です。
和室に用いられる畳には調湿効果があり、古くから日本の気候に合った床材とされてきましたが、定期的に貼り替えたり床から持ち上げて風を通したりとお手入れが必要です。補修やメンテナンスを怠ってしまうと色あせや汚れが目立ち、古さを助長してしまう恐れがあります。
和室と比べてフローリングやクッションフロアなどの洋室の場合は、ほとんど手間がかからない点が魅力です。
掃除がフローリングシートで容易にできるので、アレルギーやハウスダスト対策としても好まれるうえ、フローリングの色を白や木目のベージュにして部屋全体を明るい雰囲気にすることもできます。和室か洋室かで部屋の雰囲気が大きく変わるため、お部屋探しの条件に選ばれることも少なくありません。
古いアパートにおすすめのリノベーション方法
ここからは、築年数が古いアパートの入居率を高めるのに効果的なリノベーションについて考えていきましょう。多額の費用をかけなくても、古い物件にありがちなデメリットを解消するだけで空室率の低下につながることも多くあります。所有するアパートに不足しているものがあれば、取り入れてみてください。
昔ながらのいい素材を活かす
古い木造アパートの雰囲気を活かし、レトロモダンな内装を目指してみてはいかがでしょうか。ヴィンテージ感を演出するために古材を集めたり、エイジング加工がされた木材を使用したりなどの手間をかけることがありますが、昔ながらのいい素材が使われているアパートならそのまま再利用できます。
柱のくすみや汚れが気になる場合、あく洗いで明るくナチュラルな色合いを取り戻すことができますし、きれいに塗装して室内のアクセントにするのもおしゃれです。再利用できるものを積極的に使うことで、材料費の節約にもつながります。
収納を増やす
収納スペースの数や広さは、入居者様が物件を選ぶ際に重視するポイントの1つです。リノベーションの際に部屋全体の収納力を見直してみましょう。特に女性をターゲットにしている場合、収納スペースの多い物件が好まれます。
コストを抑えたい場合は、壁に棚をつけるだけでも収納力がアップします。洗面台まわりやトイレの上などのデッドスペースは徹底的に活用して、収納スペースにするとよいでしょう。
水回りの設備を新しくする
先述したとおり、水回りの設備は新しいほうが好まれます。浴室のバランス釜や和式トイレなど古さを象徴するものは、新しい設備に交換しましょう。古さが目立つものや汚れがひどい場合は最新設備に交換するのがよいですが、そこまで古くはないが汚れやキズが目立つといった場合には、表面塗装やコーティングがおすすめです。
水回り一式を交換するとなるとコストがかかりますが、表面塗装やコーティング、壁紙の貼り替えなどはコストを抑えつつ清潔感を出すのに有効です。
間取りを広く見せて開放感がある印象にする
かつては部屋をしっかり仕切ったプライベート重視の間取りが一般的でしたが、近年は開放感のある広い空間が人気を集めています。2DKから1LDKに、3DKから2LDKなど、間仕切りを撤去して広い空間につくりかえてみてはいかがでしょうか。
もともと壁があったところに引き込み戸を設置すれば、必要に応じて部屋を仕切れて便利です。最上階の部屋は天井を抜くことで、縦の空間に広がりが生まれます。ダイナミックな開放感を演出できるだけでなく、ロフトを設置すれば収納スペースも確保できます。
リノベーションの規模が大きくなればそれなりの工事費用がかかりますが、人気の間取りで入居者ニーズを満たす付加価値をつくることで、空室の解消はもちろん賃料アップも期待できるでしょう。
部屋全体を明るい印象にする
古いアパートは経年劣化の影響もあり、水回りは黄ばみや汚れが目立ちやすくなります。また、フローリングや部分的な木部にダークブラウンのような暗めの色が用いられていることが多いため、部屋全体に暗い印象を与えがちです。
リノベーションによって白を基調とした内装にすれば部屋全体が明るくなり、綺麗で新しい印象の部屋に生まれ変わるでしょう。白は膨張色になるため空間を広く演出する効果も期待できます。
デザイン性を高めておしゃれな空間にするには、壁の一部にアクセントクロスを用いたり、人気の無垢材風のシートをフローリングに使用したりするのがおすすめです。和室を活かす場合はカラーバリエーションが豊富なデザイン畳を選んではいかがでしょうか。洋室にもなじみやすく、内装に統一感が生まれます。
賃貸経営に必要なリノベーションは、目的から逆算して考えると内容や予算が立てやすくなります。とにかく空室を解消したいのか、それとも価値を高めて家賃アップを狙うのか、エリアの賃貸需要なども見極めながら考えてみましょう。
賃貸経営リノベーションを検討される際は「入居者ニーズを満たす物件価値の向上」と「収支を改善」すること。工事完了後に入居者募集・仲介を行う「リーシング活動」をどのように対応するかも念頭に置いておきましょう。
工事もリーシング活動も一手にサポートしてくれるパートナーであれば、入居者募集や賃貸仲介を行う際に、新しい付加価値を余すところなく伝え、空室改善に寄与してくれるので安心です。
補足となりますが、売却を前提としたリノベーションをご検討の場合は、工事完了後に売却できない事態や、売却後の収益がマイナスにならないように注意しましょう。賃貸経営のパートナーに意見を求めながら進めていくことをおすすめします。
古いアパートに有効な空室リスク対策
リノベーションを施せば築年数の古いアパートにも付加価値が加わり、新たな需要を取り込める工夫ができることがわかりました。ただしリノベーションにはある程度の費用がかかるため、資金の準備やリノベーション内容の検討期間が必要です。
リノベーション以外にも、今すぐできる空室対策は存在します。以下で詳しく紹介しますので、できる対策から始めていきましょう。
入居者ニーズを捉えるコンセプトで費用をかけずに空室改善
空室リスク対策で重要なのは、入居者ニーズを捉え、無理のない範囲でアップデートする基本対応を徹底することになります。わかっていても、費用の捻出が難しい場合もあるのではないでしょうか。
アパート経営の賃貸管理は1棟全て同じ管理会社を利用していることも多いため、規約変更を比較的行いやすいです。アパートのコンセプトを振り切ることで費用をかけずに入居率を高める空室改善も一考の余地があります。代表的な方法をご紹介します。
ペット可物件にする
需要があるにも関わらず、ペット可の賃貸物件はいまだに多くありません。ペット可の物件数は賃貸マーケット全体から見ると不足しているため、駅から離れているなどの懸念点があっても、部屋がすぐに埋まる可能性があるでしょう。
ただし、すでにほかの入居者様が住んでいる場合は、ペット可の物件にすることを事前に説明し、理解してもらう必要があります。ペットが苦手な方がいればトラブルになる可能性があるため、ペットの種類や頭数に制限を設け、規約をつくるなどの工夫が必要です。
なお、防臭・消臭効果の高い壁紙に貼り替えたり、共有の足洗い場を設置したり、ペット向けのリノベーションやリフォーム工事が必要になる場合もあるため、多少コストがかかる点も理解しておきましょう。
外国人・高齢者の入居を受け入れる
外国人や高齢者は賃貸物件の入居審査が厳しくなる傾向にあり、「入居先がなかなか決まらない」という悩みを持つ方が多いです。受け入れ可能な賃貸物件があれば、入居を決める可能性は高いでしょう。また外国人や高齢者の場合、ある程度の清潔感があり普通に生活できれば築年数の古さは気にしない方が多いため、大規模なリノベーションは不要でコストを抑えられます。
外国人や高齢の入居者様について、文化の違いや意思疎通の難しさ、孤独死のリスクなどを不安に感じるオーナー様は多いでしょう。適切な入居者管理により家賃滞納リスクや文化の違いによるトラブルを軽減する、経験豊富な賃貸管理会社に管理を依頼する、孤独死に対応する保険に加入するなどの対策が必要です。
DIY可物件にする
古いことを逆手にとって、DIY可能な賃貸物件にするという方法もよいでしょう。入居者様がそれぞれ自由に手を加えられるため、オーナー様が室内をリノベーションする手間がかからないのも魅力の1つです。近年DIYが流行っていることから自分好みの内装にしたい入居者様は多いものの、賃貸物件でDIYが認められているところは多くありません。
入居者様が自ら手を加えることで部屋に愛着が湧き、入居期間が長期になるケースが多く、安定した家賃収入が期待できます。
DIY可能な賃貸物件にする場合、部屋によって内装にバラつきが出てしまう点には注意が必要です。個性的な内装になると好みが分かれてしまうため、次の入居者探しに影響が出てしまう可能性もあるでしょう。また、退去時にDIYした内容を残すのか、原状回復することが前提なのかを決めることで、ターゲットや契約時の管理規約も大きく変わります。
賃貸管理会社の見直しを行う
賃貸管理会社の見直しも、空室率や退去率を下げるために重要な対策の1つです。賃貸管理会社に委託している業務の取り組み方は、オーナー様だけでなく入居者様にも影響を与えます。実際に入居者様とのやり取りが多いのは賃貸管理会社のため、賃貸管理会社の対応が悪ければ入居者様が不快に感じ、早々に退去してしまうかもしれません。
日常的な清掃・点検も含め、物件管理がきちんと行われているかも確認しましょう。室内だけでなく、建物の印象や共有施設は非常にみられています。入居希望者様をご案内する際の決定率に影響します。業務内容などを確認し、空室や退去の理由が賃貸管理会社の対応に関係していると判断した場合は、管理委託先を変更するなどの対策を取ることをおすすめします。
古いアパートの賃貸経営はリノベーションでさらに収益を上げられる?
築年数が30年を超えるアパートでも、躯体の状態が健康で適切なメンテナンス対応をしていれば収益を上げることは可能です。ご相談を頂く際に多いケースは、相続によって譲り受けたアパートのメンテナンスを先延ばしにした結果、空室が増加し、賃料の下落にストップをかけられない状態になっているケースです。
空室を埋めるために賃料を低く設定して募集するという方法もありますが、それでは期待する収益の改善が見込めないことも多くあります。賃料を下げるのは最後の手段にしましょう。
リノベーションにより入居されるターゲットの間口が広がることで、リーシング活動(入居者募集・賃貸仲介)の反応は大きく変わるでしょう。リノベーション前よりも高い賃料で募集して入居付けできる可能性が上がります。「空室が目立ってきた」「以前に比べて次の入居者様が決まるまでの期間が長くなった」と感じたら、リノベーションを検討するタイミングと考えるとよいでしょう。
古いアパートには築浅物件とは違う趣きがあるため、効果的なリノベーションを施せば差別化を図って一定の需要を確保できます。賃貸経営の目的や物件の特徴によりますが、大切な資産を長く活用し、高い収益を目指すためにもリノベーションは有効な手段といえるでしょう。
まとめ 効果的なリノベーションを行うなら【リロの不動産】がおすすめ
古いアパートの賃貸経営は、リノベーションによるお部屋の改善や入居者様の受け入れ条件を見直すことで「空室リスク」や「老朽化リスク」の対策になるうえ、収益アップも期待できます。ただし、費用をかければかけるほど入居率や収益が上がるわけではありません。大切なのは「入居者ニーズを満たす物件価値の向上」により「収支を改善」することです。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。