レントロールとは? 収益物件の購入前に必ず確認したい確認事項を解説

2025.08.24

不動産投資において、収益物件を購入する前に必ず確認すべき書類のひとつが「レントロール」です。

レントロールは、物件に入居している借主・テナントの賃貸条件や契約内容などが一覧でまとめられた資料で、収益性や安定性、将来のリスクを判断するための重要な手がかりとなります。物件によっては、レントロールを十分に確認しておかないと購入後に「思っていたより収益が出ない」「リスクが高かった」といった失敗につながるおそれもあるので注意しましょう。

この記事では、レントロールとは何か、記載項目の意味、そして確認すべき重要ポイントをわかりやすく解説します。不動産投資の判断材料として、レントロールを正しく活用できるようになりたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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▼この記事の内容

●レントロールとは、収益物件の賃貸借条件を一覧表にした文書。物件の収入の実態把握ができ、不動産投資における物件購入判断に不可欠のもの。

●レントロールの用意に法的義務はなく、入居者様の個人情報が記載されているため、売主と守秘義務契約を締結しないと入手できない。

●レントロールの記載されている項目としては、家賃(賃料)、共益費、敷金(保証金)、号室、面積、間取り、用途、現況、入居者様の属性、契約開始日(更新日)、備考がある。

●レントロールには書かれていない項目の中で重要なものに、滞納状況、敷地外駐車場、水道光熱費、インターネットやケーブルテレビ、携帯基地局や自動販売機などの副収入、修繕履歴がある。

●レントロールでチェックすべきポイントとしては、同じ間取りで家賃にバラつきがあるか、家賃は相場の範囲内で設定されているか、入居時期の違いはどれくらいあるか、一括借上契約があるか、特定の法人の契約が多くないか、預かり敷金があるか、がある。

レントロールとは

レントロールとは、収益物件における各入居者様の賃貸借条件や契約状況を一覧で記載した書類を指します。家賃収入の安定性や投資の利回りを把握するために、レントロールを読み解く力は欠かせません。

ここでは、レントロールの役割や位置付け、入手方法について解説します。

不動産投資におけるレントロールの役割

不動産投資では、物件価格に対してどれだけの家賃収入が得られるかという「利回り」が重要な指標になります。その利回りを判断するために欠かせないのがレントロールです。

レントロールには、入居者様ごとの賃料、契約開始日・終了日、敷金・礼金、共益費、滞納状況などが記載されており、現時点での家賃収入の実態を明確に把握できます。中古の収益物件では、表面利回りだけで判断するのではなく、レントロールを通じて「実質の収益力」や「入居者様の安定性」まで見極めることが重要です。

戸建て賃貸や区分ワンルームマンションなどの場合は、1つの建物に1人の借主しか存在しないため、基本的にレントロールは必要ありません。一方で、複数のテナントが入居する商業ビルやアパート・マンションの場合、契約期間のばらつきや退去のリスクを予測するためにも、レントロールの確認は欠かせないといえます。

レントロールに法的な義務はない

レントロールは不動産投資家にとっては重要な資料ですが、実は決まった雛形がないだけでなく、不動産取引において作成や提出が法律で義務付けられているわけではありません。

そのため、売主や不動産仲介会社によってはレントロールを用意していない場合や、情報が不完全なケースも見受けられます。しかし、投資判断をする上で欠かせない情報であることに変わりはなく、買主側としては必ず提出を求めるべき資料です。

レントロールがない場合や情報が曖昧な場合は、その物件の収益性やリスクが不透明なままとなり、結果的に想定外の空室や滞納に悩まされるリスクが高まります。法的義務がないからこそ、買主自身がしっかり確認する姿勢が重要です。

レントロールの入手方法

通常、個人情報まで含むレントロールは、守秘義務契約役を締結した後に交付されます。まずは、気になる収益物件をピックアップし、不動産会社や売主に対して「レントロールを確認したい」と明確に要望を伝えることが大切です。

入手したレントロールを検証したのち、購入を見送る場合も、売主側の指示に従って破棄や返還が求められるため、レントロールの取り扱いには十分注意しましょう。

レントロールの記載されている項目と意味

レントロールには、物件に入居している各テナントの情報が一覧で整理されており、項目ごとに収益性やリスクのヒントを読み取ることができます。ここでは、レントロールに記載される代表的な項目を取り上げ、それぞれの意味や確認ポイントを解説します。

家賃(賃料)

家賃は、入居者様やテナントが毎月支払う使用料で、賃貸経営の主な収益源です。レントロールには各部屋ごとの家賃が記載されており、物件全体の収益水準や平均家賃の確認に役立ちます。

家賃については、設定された家賃が周辺相場と比べて高すぎないか、逆に安すぎて利回りが低下していないかをチェックしましょう。また、家賃にばらつきがある場合は、更新や値下げ交渉、キャンペーンなどの影響が考えられるため、売主に確認しておくべきです。将来的な家賃収入の安定性や上昇余地を判断する上でも、現在の家賃の確認は不可欠です。

共益費

共益費とは、建物の共用部分(廊下・エントランス・エレベーターなど)の維持管理費用として、入居者様が家賃とは別に支払う金額を指します。大規模修繕に向けた積み立て費用として共益費を徴収しているケースもあります。レントロールでは、家賃と共益費がそれぞれ分けて記載されていることが多く、合計して実質の収入額を把握することが可能です。

共益費が高額な場合は、設備やサービスの充実度が影響している可能性がありますが、投資家としては「収益の一部」として見なせるため、合計で収支計算するのが一般的です。共益費が適切に設定されているかどうかを確認することで、物件の維持費と収益のバランスを測る指標になります。

敷金(保証金)

敷金や保証金は、入居者様が退去時の修繕費や滞納家賃に備えて、契約時に預けるお金です。レントロールには各入居者ごとの敷金額が記載されており、オーナーの返還義務がある「預かり金」として扱われます。

物件を取得する際には、敷金の合計額が引き継がれることが一般的で、売買価格や引渡し時の精算に影響するため、正確な確認が必要です。また、敷金が設定されていない場合や、著しく少額な場合には、トラブルや滞納リスクへの備えが不十分な可能性もあるため、注意が必要です。

号室

号室は、入居者が住んでいる部屋番号を表す項目です。レントロールでは、各部屋の号室ごとに表で記載されていることが一般的です。

賃貸物件においては「4」が不吉な数字とされ、101,102,103の次が105となっているケースもあるため、階ごとの部屋数をしっかり確認しておきましょう。

物件全体における入居状況を確認する上で、号室の情報は非常に役立ちます。たとえば、レントロール上で特定の階や特定の部屋だけが空室になっている場合、その部屋の条件や立地に問題がある可能性が浮かび上がります。また、号室ごとの家賃の違いを比較することで、角部屋や日当たりの良い部屋が高く設定されているかなど、家賃設定の根拠も把握できます。

面積

面積は、各部屋の専有部分の広さを示すもので、家賃設定や収益の見込みに大きく影響します。レントロールに記載されている面積は、基本的に壁の内側の寸法で測られた面積である「内法面積」が使われており、単位は平方メートルで表示されます。同じ家賃でも面積が広ければ割安、狭ければ割高という判断ができるでしょう。

面積情報を活用することで、賃料単価(1㎡あたりの家賃)を算出し、周辺物件との比較や物件全体の効率性を測ることが可能です。面積によってはファミリー向け・単身者向けといったターゲット層も異なり、空室リスクや再募集時の戦略にも関わる項目といえます。

間取り

間取りは、ワンルーム・1K・1LDK・2LDKなど、部屋の構成を示す情報です。レントロールには面積とあわせて記載されていることが多く、投資家にとっては「どの間取りが一番入居率が高いか」「将来の入居ニーズに合っているか」を見極める材料になります。

たとえば、単身者向けのエリアで2LDKなど広すぎる間取りが多い場合は空室リスクが高くなり、逆にファミリー層が多い地域で1Kばかりだと長期入居が期待できないこともあります。

間取り構成のバランスを確認することで、エリアとニーズのミスマッチがないかを判断するうえで重要なチェックポイントになります。

また、レントロールには記載項目が定められていないため、間取りの記載がない物件もあります。その場合は、各部屋の専有面積からおおよその間取りを推測するか、住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)の情報を活用して検討しましょう。

用途

用途は、その部屋や区画が何に使われているかを示す項目です。主に「住居」「事務所」「店舗」「倉庫」などに分類されます。用途が住居であれば個人向けの居住用不動産、店舗や事務所であれば事業用不動産としての性質が強くなり、収益の安定性や契約期間、賃料の増減にも影響します。

たとえば、店舗や事務所の場合は賃料が高めに設定される傾向がありますが、景気や立地の影響で空室リスクも高まることがあります。逆に住居は比較的安定した需要があります。

投資対象としてどの用途が多いかを確認することで、将来的な収益の予測や管理方針の検討に役立ちます。

現況

現況は、部屋の現在の入居状態を示す項目です。具体的には「入居中」「空室」「退去予定」などと記載されていることが多く、空室リスクや収益性を判断するための重要な情報となります。

空室が多いと利回りが大きく低下するため、物件を再評価する必要があります。また、「退去予定」の部屋が多ければ、近々修繕費や募集コストがかかる可能性があり、投資判断に大きな影響を及ぼすでしょう。レントロールを見る際は、単なる表面利回りではなく、現況に基づいた実質利回りを意識することが大切です。

入居者様の属性

入居者様の属性は、入居している人が法人か個人かなどを示す情報です。入居者様の属性は個人情報であるため、職業などまで詳細に記載されているケースはほとんどありません。

契約者が法人で住居用の場合は、社宅として貸していると判断でき、長期的に安定した収益が見込めるでしょう。

契約開始日(更新日)

契約開始日や更新日は、入居者様がいつからその部屋を借りているか、また直近で契約が更新された時期を示す項目です。これにより入居期間の長さや契約更新の頻度がわかります。

長く住んでいる入居者様は定着率が高く、安定した収益が見込めると判断できます。一方、契約開始日が最近であれば、入居直後の退去リスクが残っているとも言えます。また、更新日が近づいている場合には、更新料収入が見込めると同時に、更新の有無や退去の可能性も視野に入れておくべきです。

投資家にとっては、こうした契約のタイミングを把握することが、キャッシュフローの精度を上げるカギになります。

備考

備考は、レントロールの中でも自由記述欄であり、特記事項や補足情報が記載される欄です。たとえば「ペット飼育可」「滞納履歴あり」「法人契約」「更新料2ヶ月」など、定型の項目ではカバーしきれない詳細情報が含まれます。備考欄が存在しない場合もあります。

レントロールには書かれていない項目

レントロールは不動産投資の判断材料として重要な書類ですが、あくまで家賃や契約情報を中心に記載されているため、すべてのリスクや実態を把握できるわけではありません。

ここでは、レントロールには書かれていないものの、物件の収益性を判断する上で重要な項目について詳しく解説します。状況に応じて、追加資料の請求なども検討しましょう。

滞納状況

レントロールには基本的に「現況:入居中」「賃料:〇万円」などが記載されていますが、入居者様が実際に滞りなく家賃を支払っているかどうかまでは書かれていません。

滞納がある場合、利回りが実質的には維持できず、キャッシュフローが悪化する恐れがあります。滞納が発生している部屋は、法的措置や退去交渉などのリスクが発生するため、必ず賃貸管理会社などを通じて「滞納履歴」の有無を確認しましょう。

入居者様の属性と合わせて滞納リスクを把握することで、より現実的な収益予測を立てられます。滞納者がいる場合は、物件の管理体制にも問題がある可能性があるので要注意です。物件購入前には、過去数ヶ月の入金状況の明細なども確認しておくと安心です。

敷地外駐車場

駐車場の有無や賃借料は収益に大きく関わりますが、レントロールでは基本的に「敷地内の駐車場」しか記載されません。物件によっては、敷地内に駐車場がなかったり、あるいは台数が十分でなく、オーナー様が物件近くの土地を借り上げて駐車場として入居者様に貸しているケースもあります。

特に郊外のファミリー向け物件では、敷地外駐車場の契約状況が入居者ニーズに直結します。物件の近隣に月極駐車場の契約があるかどうか賃貸管理会社や売主に確認し、契約条件や収益にどのように影響しているかを把握することが重要です。

駐車場が別契約の場合は、入居者様の利便性や退去リスクにも関わるため、軽視できません。駐車場料金をオーナー様が一部補填しているケースもあるため、費用負担の有無も必ずチェックしましょう。

水道光熱費

レントロールには家賃や共益費は記載されていますが、入居者様やオーナー様が水道・電気・ガスなどの光熱費をどのように負担しているかまでは記載されていません。

例えば、入居者様の水道使用料金が家賃に含まれており、水道局へはオーナー様が一括で支払っているケースもあります。このような場合は、家賃や共益費から水道料金を差し引いた金額が正味の家賃収入となるため注意しましょう。

また、空室時でも基本料金がかかる設備もあるため、物件全体の光熱費支出を正確に見積もっておくことが重要です。

インターネットやケーブルテレビ

近年は「無料インターネット完備」「CATV視聴可」といった物件も増えていますが、これらの設備にかかるコストや契約内容は、レントロールには反映されていないことがほとんどです。

入居者様には無料提供しているが、オーナー様が月額契約料を支払っているケースでは、その分の費用が固定的に発生します。逆に、ケーブルテレビ会社から設置協力金が支払われる場合は、副収入として計上される可能性もあります。

こうした情報はレントロールだけでは読み取れないため、設備契約書や支払明細を確認しておく必要があります。インターネットやケーブルテレビの契約は入居者募集における魅力にはなる一方、コストがかかる契約内容もあり、慎重に見極めるべきです。導入している機器の老朽化や解約条件も事前に把握しておきましょう。

携帯基地局や自動販売機などの副収入

レントロールには、通常の家賃や共益費しか記載されておらず、以下のような副収入は記載されないのが一般的です。

●携帯電話の基地局設置による賃料
●敷地内自販機の売上分配金
●太陽光発電の売電収入
●看板広告の広告収入 など

これらはオーナー様にとって有利な収益源である反面、契約内容によっては予告なく終了されたり、機器の撤去費用が発生するリスクもあります。また、収入が月ごとに変動する性質のものも多いため、安定収益として見込むのは避けるべきです。

副収入がある場合は、金額・契約期間・解約条件などをしっかり確認し、正確なキャッシュフロー計算に反映させましょう。特に自販機については、電気代がオーナー様負担になっていないかの確認も必要です。契約書類の提出を求めて、確実な収益として見積もれるかどうか精査しましょう。

修繕履歴

修繕履歴は、物件の維持管理状態や今後の追加費用の予測に関わる重要情報ですが、レントロールには一切記載されません。

過去にどのような工事が実施され、次の修繕時期がいつ頃かを知ることで、大規模修繕費や突発的な補修コストを事前に見積もることが可能です。築年数が経過した物件では、給排水管・屋上防水・外壁塗装などの履歴を確認しておかないと、購入後に多額の出費が発生するおそれがあります。

購入前には必ず売主や賃貸管理会社に依頼して修繕履歴書を確認しましょう。

レントロールでチェックすべきポイント

レントロールは収益物件の実態を把握するうえで欠かせない資料ですが、記載されている情報を適切に読み解く力がなければ、将来の収益やリスクを見誤るおそれがあります。単に賃料の一覧を見るだけでは不十分で、注意すべき観点が複数存在します。

ここでは、購入判断の際に着目すべき6つの具体的なチェックポイントを紹介します。

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同じ間取りで家賃にバラつきがあるか

同じ間取り・広さの部屋であっても、家賃に大きなバラつきがあるかどうかは確認しておくべきです。

同じ間取りで家賃にバラつきがある物件は、築年数の経過に応じて適正家賃が下がっていることを示しています。つまり、今後空室を埋めるために新たに入居者募集をかける際は、同じ間取りの中でも低い家賃以下で募集を欠けざるを得ないケースがほとんどです。さらに、現在住んでいる入居者様が退去した際には、新たに入居者様が見つかったとしても数千円〜1万円程度家賃収入が減少することになるかもしれません。

レントロール上で家賃のバラつきが確認できた場合は、万が一現在の入居者様すべてが退去して再度満室になった際の家賃収入についても計算し、十分な収益性が確保できるかシミュレーションしておくことが大切です。

家賃は相場の範囲内で設定されているか

家賃が周辺相場と比べて高すぎたり低すぎたりすると、入居率や収益性に大きな影響が出ます。レントロールを見る際には、記載されている家賃がエリアの相場と整合しているかを確認しましょう。

周辺相場より高すぎる場合、しばらくすると新たな退去が発生し、家賃収入の低下が予想されます。また、レントロール自体に虚偽の記載がある可能性も否定できないので注意しましょう。もし相場より著しく高い家賃が設定されている場合、オーナー様が無理に利回りを良く見せようとしている可能性があります。

一方、相場より極端に安い場合は、過去に空室が続いたなどの事情があるかもしれません。家賃は一度下げると元に戻すのが難しいため、相場に即した金額で設定されていることが安定した運用につながります。住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)を使って近隣物件の募集家賃と比較し、相場と乖離していないかを必ず確認しましょう。

入居時期の違いはどれくらいあるか

レントロールには各部屋の「契約開始日」または「入居日」が記載されています。通常物件に住んでいる期間はバラバラなのが自然ですが、退去者が出ると次の家賃が下がることを見越しておく必要があります。

また、同時期に入居している人が多い物件は、売主が売却のためにフリーレントなどで無理に客付けをした可能性もあります。フリーレント期間が終了すると一斉退去も考えられるので注意が必要です。逆に、入居時期がバラけている物件は、退去リスクが分散されているため、収益が安定しやすいといえます。

入居時期だけでなく、入居年数についてもしっかり確認しておきましょう。数年以上住み続けている入居者様が多い場合は、定着率が高く、長期収益を見込める好材料となります。反対に、短期間で入退去を繰り返している場合は、物件や周辺環境に問題がある可能性もあるため、原因の分析が重要です。

一括借上契約があるか

レントロールの中には「一括借上契約(サブリース)」が含まれている場合があります。一括借上とは、賃貸管理会社などがオーナー様から物件を一括で借り上げ、空室の有無に関係なくオーナー様に一定額の家賃を支払う契約形態です。

一見、一括借上契約は安定収入が得られる仕組みに思えますが、家賃の見直し条項や中途解約条項がある場合、実質的なリスクが高くなることもあります。また、サブリース会社が倒産するリスクや、将来的に家賃を引き下げられる可能性も念頭に置くべきです。

レントロールには一括借上の記載があったとしても詳細は書かれていないケースも多いため、契約書を取り寄せ、保証賃料や契約期間、更新条件などを確認する必要があります。購入前には「オーナーにとって本当に有利な契約なのか」を見極めることが不可欠です。

特定の法人の契約が多くないか

レントロールを確認する際、入居者様が法人名義になっているかどうかにも注目しましょう。

法人契約が多いと安定した賃料収入が得られる反面、特定の企業に依存しすぎていると、契約終了時の空室リスクが非常に高まります。たとえば、10部屋中8部屋が同一企業による契約だった場合、その企業の業績や人事の方針次第で、一斉に退去が発生する可能性もあります。

法人契約自体は悪いことではありませんが、その偏りの度合いや企業の信用力、契約条件まで含めて慎重にチェックすべきです。可能であれば、企業との契約書の有無や更新予定も確認するとよいでしょう。

預かり敷金があるか

預かり敷金があるかどうかも、物件購入の際には注意すべきポイントです。敷金(保証金)、入居者様に返還義務のある預かり金のため、基本的に新しいオーナー様がその返還義務を引き継ぎます。返還義務を引き継いだあとは、入居者様の退去時に敷金を返還するケースが一般的ですが、商習慣の異なる関西などでは「敷金持ち回り式」といって、売主から買主に敷金は引き継がれずに物件の売買代金で敷金を含めた金額を決済します。

また、敷金が記載されていない、あるいは「0円」となっている部屋が多い場合も注意しましょう。敷金がない契約は入居者様の初期負担が軽いため、入居が決まりやすい一方で、退去時に原状回復費用の支払いがスムーズに行われないリスクが高まります。仮に修繕費が高額になった場合でも、入居者様から回収できないリスクが出てきます。

敷金の有無は、物件の資金繰りやリスク対応力に関わるため、見逃せないポイントです。

レントロールは賃貸経営の重要な情報源

レントロールは、賃貸経営において物件の収益性やリスクを見極めるための重要な情報源です。家賃や入居状況、契約内容などの項目を正しく読み取り、同じ間取りで家賃にバラつきがないか、家賃水準が相場と合っているかなどのチェックポイントを押さえておくことで、購入後のトラブルや収益の想定外を防ぐことができます。

また、レントロールだけでなく、修繕履歴書や設備点検記録といった資料もあわせて確認し、物件の実態を多角的に把握することが大切です。さらに、長期的な安定経営を目指すためには、入居者対応や管理業務を任せられる信頼できる管理会社との連携も欠かせません。

物件購入や管理に不安がある方は、賃貸管理の実績豊富な【リロの不動産】にぜひご相談ください。収益物件の購入時のセカンド・オピニオンにも協力させていただきます。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。