収益物件購入時の注意点とは? 収益物件の種類とリスクへの対策を解説
2026.09.28
不動産投資にチャレンジするためには、収益物件を購入するという手順が必ずあります。収益物件と聞くと区分マンションや一棟アパートをイメージしやすいですが、実際にはオフィスビルや商業施設など多様な選択肢があります。
この記事では収益物件の種類を紹介するとともに、収益物件を購入するにあたっての注意点や収益物件特有のリスクへの対策も解説します。
以下では、不動産投資の売買事例やお客様の声を紹介していますので合わせてご覧ください。
▼改善事例紹介
賃貸経営・不動産投資の改善事例・お客様の声
▼この記事の内容
●収益物件は金銭的な収益を得ることを目的とした物件。収益物件は、オフィスビル、商業施設、居住用不動産に大別できる。主な居住用不動産としては、区分マンション、一棟アパート、一棟マンション、戸建て賃貸住宅がある。
●収益物件投資のメリットとしては、安定した家賃収入が得られる、融資の活用でレバレッジ効果を得られる、インフレに強い実物資産を持てる、所得税節税と相続税対策になる、生命保険がわりになる、などが考えられる。
●収益物件を購入する際の注意点として、賃貸需要が高く競合物件が少ない立地を選ぶ、ターゲットとなる入居者層を意識する、リスクコントロールを意識する、売却などの出口戦略を考える、賃貸管理会社は慎重に選ぶ、などが考えられる。
収益物件とは何か
収益物件とは、金銭的な収益を得ることを目的として所有する物件のことです。賃貸アパート、賃貸マンション、賃貸オフィスビルなどの不動産を指します。収益物件における収益の柱は入居者様からの賃料収入です。
入居者様から安定的な賃料収入を得るには、物件を適切に管理することが求められます。そのため、管理を委託する賃貸管理会社に対する手数料、修繕積立金、メンテナンス費用、固定資産税などの維持費がかかります。収入からこうした費用を差し引いたものが、オーナー様の手元に残る仕組みです。
なお、収益物件の対義語にあたるのが「実需物件」です。実需物件とは、マイホームや企業の自社ビルといった自己使用目的で所有する物件のこと。実需物件は自己使用がメインなので、第三者からの賃料収入が入ることは基本的にありません。ただ、メンテナンス費用や固定資産税など、一定の維持費は収益物件と同様に負担する必要があります。
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収益物件の種類
収益物件(収益不動産)にはさまざまな種類がありますが、大きくオフィスビル・商業施設・居住用不動産の3つに分類できます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
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オフィスビルの収益物件

オフィスビル賃貸では、企業などの事務所用としてオフィスを貸します。一般的にオフィスは住宅などに比べて広い面積を必要とすることに加え、都心や駅前商業地など利便性のいい立地が求められることから、高額な賃料収入を得られる傾向があります。
事務所は移転に大きなコストがかかるのも特徴。そのため、いったん入居すると比較的長期間にわたって賃料収入を得られる点がオフィスビルの魅力です。東京都心におけるオフィスビルの利回りは3〜5%程度が相場です。
一方、地価の高い土地をまとまった規模で使用するので、物件価格自体も居住用不動産などに比べて高額になります。
コロナ禍を経て働き方が多様化しており、企業によってはオフィス規模や事務所の数を縮小する動きも見られます。このように、景気動向や社会情勢による影響を受けやすいのがオフィスビル賃貸の弱みといえるでしょう。
商業施設の収益物件

商業テナントに賃貸して賃料収入を得る、商業施設の収益物件もあります。飲食店、コンビニエンスストア、都市部のアパレルショップ、ロードサイドの小売店舗といった一般的な「お店」から、ホテルや物流倉庫にいたるまで、用途や規模は多種多様です。
特に飲食店などは出店に大きな費用がかかるうえ、事務所と同様、移転するにも大きなコスト負担が発生します。そのため、一度テナントが見つかれば、長期にわたって賃料収入を得られる可能性があるでしょう。
テナントが多種多様なので、立地特性やターゲットによって適切な業種・業態が異なります。経営やサービスレベルなどで売上が大きく変わるのも商業施設ならではの特徴です。その場所にマッチする業態で、かつ経営やサービスがうまく回っているテナントが入居すれば、大きな収益を長く得ることができます。
一方、テナントの経営状況が芳しくないと、思ったように収入を得られないリスクがあります。「商売は水物」といわれるように、商業系のテナントはマクロな経済動向だけでなく、ミクロな地域経済の動向なども受けやすく、先が見通しづらい点にも注意が必要です。
商業施設はオフィスビルに比べて不確実性が高いと考えられることから、利回り相場は東京都心の一等地で3〜4%程度、郊外で5〜7%程度と少し高めです。
居住用不動産の収益物件
3種類ある収益物件の中で最も一般的なのが居住用不動産です。人が住むための住宅は景気の波を受けにくく、需要が安定している強みがあります。物件の規模や形態によっていくつかの種類があり、一棟アパート、区分マンション、一棟マンション、戸建て賃貸住宅、シェアハウスなどが挙げられます。
東京都心における利回り相場は、新築ワンルームマンションが4%前後、中古が5〜6%程度。ファミリーマンションの場合は新築で4%前後、中古だと3〜20%程度と幅が大きくなっています。
区分マンション
居住用不動産の収益物件の中でも、比較的初期投資額を低く抑えられるのが区分マンション投資です。区分マンションの1戸もしくは複数戸を購入、第三者に賃貸することで家賃収入を得る投資手法です。
都市部や学生の多い地域における単身者向けのワンルームマンションに投資するのが主流ですが、中にはファミリータイプの区分マンションを対象に投資するケースもあります。
区分マンション投資には新築と中古があり、物件価格の安い中古物件のほうが通常利回りは高くなります。中古区分マンションであれば、数百万円程度の初期投資で始められるでしょう。
区分マンションの購入・売却については、以下の事例もご参照にしてください。
一棟アパート
アパートを一棟丸ごと購入して運用し、入居者様からの家賃収入を得る投資手法が一棟アパート投資です。「一棟もの」とも呼ばれます。
アパートとマンションを区別する厳密な定義は存在しませんが、集合住宅のうち、木造もしくは軽量鉄骨造の2〜3階建て物件をアパートと呼ぶケースが多くなっています。これに対し、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造などの頑強な構造で、かつ3階建て以上の規模がある集合住宅はマンションとされるケースが大半です。
一棟アパートは規模が比較的小さく、建物も木造や軽量鉄骨造の安価なものであるため、一棟マンションほど投資額は大きくありません。一棟アパートも新築・中古があり、築古の木造アパートだと少額からでも投資を始められる可能性があります。
一棟アパートの購入・売却については、以下の改善事例もご参照ください。
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一棟マンション

一棟アパートと同様、集合住宅を丸ごと購入し、各住戸からの家賃収入を得る投資手法が一棟マンション投資です。上述のとおり、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造で、3階建て以上の比較的規模の大きな集合住宅がマンションと呼ばれます。
アパートに比べて戸数が多い傾向にあるうえ、共用部が充実していることなどからアパートより高めの賃料設定となるケースも多く、毎月得られる家賃収入は高くなります。
その反面、物件の規模が大きく、アパートに比べて初期投資額が高くなる点は要注意。メンテナンスコストや固定資産税などの維持費も高めなので、いかに入居率を高い状態でキープするかが重要になります。
ほかの収益物件と同様、一棟マンションにも新築・中古があります。通常新築よりも中古のほうが価格は安く、利回りは高くなる傾向です。
一棟マンションの購入については、以下の事例が参考になります。あわせて、ご参照ください。
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戸建て賃貸住宅
居住用不動産の収益物件はアパートやマンションといった集合住宅だけではありません。郊外や地方を中心に、戸建て賃貸住宅の収益物件も多く見られます。購入した戸建て住宅を第三者へ賃貸し、家賃収入を得る投資手法です。
戸建て賃貸住宅にも新築・中古がありますが、特に中古戸建て住宅は安く購入できるのがメリット。築古物件を安価で購入し、DIYなども織り交ぜながらリフォームを施したうえで賃貸すれば、初期投資額をかなり低く抑えることができ、高い利回りを得ることができます。
戸建て賃貸住宅のメインターゲットとなるファミリー層は、子どもの通学や引っ越しのハードルの高さなどから、いったん入居すると長く住み続けてくれる傾向にあります。そのため入居付けさえできれば、長期的に家賃収入を得られるのが魅力です。
一方、中古物件では金融機関の融資がつかない例もあり、不動産投資の優位な点であるレバレッジを効かせられないのが難点。効率的な資産拡大を求めるのであれば、アパートやマンションへの投資と組み合わせる必要があるでしょう。
戸建て賃貸住宅の売却については、以下も参考になります。ぜひご参照ください。
その他、土地活用系の収益物件
収益を得る方法には、オフィスビルや居住用不動産のように建物を貸し出す以外にも、土地や簡易な設備を活用する方法があります。代表的な選択肢は、駐車場、トランクルーム、コインランドリーです。それぞれ必要な設備や管理負担、期待できる収益が異なります。
駐車場

駐車場経営は、土地を月極駐車場やコインパーキングを運用し、賃料や利用料金を得る方法です。アパートやマンションを建築する場合と比べて、初期投資を抑えやすい特徴があります。
月極駐車場は、区画を一定期間貸し出して毎月の賃料を得る方式です。契約者を確保できれば収入を見通しやすく、精算機などの大がかりな設備も必要ありません。
コインパーキングは時間単位で料金を受け取る方式です。駅や商業施設の近くなど、短時間利用の需要が多い場所では高い稼働率を期待できます。一方、精算機やロック板などの設置費、保守費用が必要です。
建物を建てないため、将来の売却や別用途への転換を比較的行いやすい点もメリットです。
トランクルーム
トランクルーム経営は、個人や法人へ収納スペースを貸し出し、月額利用料を得る方法です。住宅の収納不足や、事業者による備品・書類の保管などの需要に対応します。
建物内の区画を利用する屋内型と、土地へコンテナなどを設置する屋外型があります。屋外型はアパートのような大規模建築を必要としない場合がありますが、コンテナの設置方法によっては建築物として扱われる可能性があります。用途地域や建築確認、消防関係の規制について、自治体や専門家へ確認しましょう。
住居の賃貸と比べて、利用者からの問い合わせや設備トラブルが少なく、比較的少ない手間で運営しやすい点が特徴です。一方で、利用者が定着するまで時間がかかる場合があります。
コインランドリー

コインランドリー経営は、洗濯機や乾燥機を設置し、利用料金を収益とする方法です。基本的には無人で営業できるため、常時スタッフを配置する店舗より人件費を抑えやすくなります。
単身世帯や共働き世帯、子育て世帯が多い住宅地、集合住宅が集まる地域などでは、安定した需要を見込める可能性があります。大型の洗濯機や乾燥機を設置すれば、布団や毛布などを洗いたい利用者の需要にも対応できます。
業務用設備の購入や給排水・電気・ガス工事など、まとまった初期投資が必要な点には注意しましょう。運営開始後も、水道光熱費、清掃費、設備の保守・修理費などが継続的に発生します。
収益物件で得られる利益の仕組み
収益物件から得られる利益は、保有中に継続して受け取る「インカムゲイン」と、売却時に得られる「キャピタルゲイン」に分けられます。両者の特徴を理解すると、物件選びや保有期間、売却時期を判断しやすくなります。
インカムゲイン
インカムゲインとは、収益物件を保有している間に得られる家賃や賃料などの収入です。居住用不動産では家賃や共益費、駐車場では月額賃料や時間料金、トランクルームでは月額利用料などが該当します。
入居者様や利用者を安定して確保できれば、毎月継続的な収入を得られます。売却による一時的な利益とは異なり、長期的な資産形成の土台になりやすい点が特徴です。
ただし、受け取った賃料がそのまま利益になるわけではありません。管理委託手数料、固定資産税、火災保険料、清掃費、修繕費などが発生します。融資を利用している場合は、ローン返済も必要です。
空室や家賃滞納が発生すれば収入も減少します。インカムゲインを評価する際は、満室時の賃料だけでなく、空室や運営費を差し引いた営業純収益と、ローン返済後のキャッシュフローが重要です。
キャピタルゲイン

キャピタルゲインとは、購入した収益物件を売却した際に得られる利益です。購入後に地価や物件価格が上昇し、取得にかかった金額を上回る価格で売り渡した場合に発生します。
一度にまとまった利益を得られる可能性がありますが、売却価格が購入価格を上回るとは限りません。築年数の経過、賃料や入居率の低下、周辺環境の変化などにより、購入時より価格が下がる場合があります。
実際の売却益を計算する際は、売却価格と購入価格の差だけで判断できません。購入時・売却時の諸費用、減価償却費、取得費、譲渡所得に対する税金なども考慮する必要があります。
キャピタルゲインだけを前提に購入せず、保有中のインカムゲインで経営が成立する計画を立てましょう。
収益物件投資のメリット
収益物件の種類を紹介しましたが、ここからは比較的小さな投資からでも始められ、安定的な家賃収入を得やすい一棟アパート投資(一棟もの)を念頭に、収益物件投資のメリットを紹介します。
安定した家賃収入が得られる

収益物件投資によるメリットとして最初に挙げられるのが、毎月安定した家賃収入を得られることです。
一棟アパート投資の場合、たとえ空室が発生したとしてもほかの部屋からの家賃収入が入ってくるので、全住戸が一斉空室にならないかぎりは安定した収入を得られます。賃貸住宅の賃貸借契約は2年間で更新可能という設定が一般的であり、入居者様がいれば長期的に家賃収入が期待できるのもポイントです。
また、居住用不動産の家賃収入は景気や物価の動向に左右されにくく、比較的安定しているという特長があります。経済状況の影響を受けやすいオフィスや商業施設では、状況に応じて賃料を下げるなどの対応が必要になりますが、一棟アパート投資でそういった事態は起こりにくいでしょう。
新築物件だと入居者募集を一から始めなければならないのですが、中古物件であればオーナーチェンジ物件となります。オーナーチェンジ物件とは、すでに入居者様がいる状態でオーナー様のみ変更となる中古物件のこと。新たに入居者様を募集しなくても、購入直後から収入を得られるのが魅力です。
融資の活用でレバレッジ効果を得られる
不動産投資はレバレッジ効果を得られるのが大きなメリットとされます。レバレッジ効果とは「てこの原理」を意味し、投資の世界では「少ない資金で大きな投資効果を得られること」を指します。
例えば、株式投資を行うときは信用取引など特別な方法を除き、自己資金の範囲内で投資するしかありません。通常の株式投資において、自己資金500万円を持っている方が3,000万円分の投資をすることはできません。500万円で配当利回り2%の株式に投資したとすると、500万円×2%=年間10万円の利益を得られます。
これに対し、不動産投資は物件を購入するために金融機関の融資を利用できます。自己資金500万円を頭金として2,500万円の融資を受ければ、3,000万円の物件を購入することも可能です。当物件の利回りが5%だとすると、3,000万円×5%=年間150万円の収入を得られることになります。(ただし、ここから借入金の返済を行う必要があります。)
不動産投資では上記のようなレバレッジ効果が働くため、資産形成のスピードアップが期待できます。
インフレに強い実物資産を持てる
不動産は実物資産です。実物資産は物価が上昇するとそれに比例して価格が上昇する傾向にあり、収益物件を所有することでインフレから資産を守ることができます。
インフレとは物価が上昇することであり、言い換えれば、通貨の価値が下落することです。現金や預貯金類は額面どおりの価値しかないため、通貨の価値が下落すれば資産額は目減りしてしまいます。
これに対して、不動産は実物資産なので、物価上昇におおむね比例する形で価格も上昇。インフレの状況下でも資産価値が目減りしません。収益物件を購入することは、インフレからの資産防衛策になるのです。
所得税節税と相続税対策になる
収益物件投資は所得税の節税につながるのもメリット。なぜなら、収益物件から得られる不動産所得はほかの所得との損益通算が認められているからです。損益通算とは、一定の種類の所得で生じた損失をほかの所得金額から差し引ける仕組みのこと。これにより所得税算出のベースになる課税所得を圧縮できます。
特に、アパート投資では減価償却費による大きな節税効果が見込めるでしょう。減価償却は物件取得にかかった費用を法定耐用年数に応じて、複数年にわたって分割して経費計上する会計処理です。減価償却費を毎年計上しつつ、実際に費用がかかるのは取得時の1回のみ。
つまり、実際には支出が生じていないにもかかわらず、会計上は経費計上し、収支を赤字として処理することができるのです。減価償却と損益通算の組み合わせにより、所得税の大幅な節税が可能になります。
加えて、収益物件投資は相続税対策としても有効です。現金や金融資産の課税評価は時価どおりであるのに対し、不動産は独自の相続税評価額に対して課税されます。不動産の評価額は時価よりも大幅に低くなるため、現金や預貯金を使って収益物件投資を行えば、相続人の負担を大きく軽減できるでしょう。
生命保険がわりになる

収益物件購入にあたって不動産投資ローンを利用する場合、団体信用生命保険(団信)に加入するケースが一般的です。
団信は、住宅ローンや不動産投資ローンの加入者のみが加入できる生命保険です。団信に加入していると、契約期間中に死亡したり高度障害状態になったりしてローン返済が困難になったとき、残債が保険金から支払われます。残債の返済が免除されるため、遺族に負担をかけることがありません。
残債がなくなれば、遺族が賃貸経営を引き継いで家賃収入を得ることもでき、不要であれば売却して現金化する選択肢も採れます。収益物件の購入は自分の身に万が一のことがあった場合の備えとして、生命保険がわりにもなるのです。
収益物件の運用に必要な利回りの考え方

収益物件の投資効率を判断する指標には、表面利回り、実質利回り、FCR、CCRなどがあります。単年の収益だけでなく、融資や売却まで評価する指標もあります。収益物件の運用に必要な利回りとは何かを考えていきましょう。
表面利回り(グロス利回り)
表面利回りは、年間の家賃収入を物件価格で割って求める指標です。「グロス利回り」とも呼ばれ、不動産会社の販売資料や収益物件のポータルサイトに表示される利回りの多くが該当します。
表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100
例えば、物件価格5,000万円、満室時の年間家賃収入が500万円の場合、表面利回りは10%です。計算が簡単であるため、複数の候補物件を大まかに比較する際に役立ちます。
年間家賃収入には、満室を前提とした想定額が使用されるのが一般的です。空室や家賃滞納による減収は反映されません。管理費、税金、火災保険料、修繕費などの運営費も含まれていないため、表面利回りがそのまま利益率になるわけではありません。
表面利回りが高い物件には、空室が多い、修繕費がかかるなどの事情が隠れている可能性もあるため注意しましょう。
実質利回り(ネット利回り)
実質利回りは、年間の賃料収入から空室損失や運営経費を差し引いた営業純収益を、物件価格で割って求める指標です。「ネット利回り」や「NOI利回り」と呼ばれる場合もあります。
実質利回り(%)=営業純収益(NOI)÷物件価格×100
営業純収益は、NOI(Net Operating Income)とも呼ばれます。家賃などの収入から、空室・滞納による損失、管理委託手数料、固定資産税、損害保険料、共用部の光熱費、修繕費などを差し引いて算出します。
表面利回りよりも実際の運営状況に近い収益性を確認できる点がメリットです。ただし、分母には物件価格を使用するため、購入時の仲介手数料や登記費用などは反映されません。
候補物件を比較する際は、空室率や経費率、NOIに含める項目を統一しましょう。
総収益率(FCR)
FCRは「Free and Clear Return」の略で、物件価格と購入時諸費用を含む投資総額に対して、どれだけの営業純収益を得られるかを示す指標です。
FCR(%)=営業純収益(NOI)÷投資総額×100
投資総額には、物件価格のほか、仲介手数料、登記費用、印紙税、融資手数料、不動産取得税などを含めます。購入直後に必要な改修費を含める場合もあります。
物件価格だけを分母にする実質利回りよりも、購入時に投じる金額を広く反映できるため、投資効率をより厳密に比較できます。諸費用や初期改修費の異なる新築物件と中古物件を比較する際にも役立つでしょう。
ただし、FCRはローン返済前のNOIを用いるため、融資条件によるキャッシュフローへの影響は分かりません。融資を利用する場合は、後述するCCRやローン定数、イールドギャップも合わせて確認する必要があります。
自己資本利回り(CCR)
CCRは「Cash On Cash Return」の略で、オーナー様が投じた自己資本(頭金)に対して、年間キャッシュフローをどれだけ得られるかを示す指標です。
自己資本利回り(%)=年間キャッシュフロー÷自己資本×100
年間キャッシュフローは、NOIからローンの年間返済額を差し引いて算出します。例えば投資総額5,000万円のうち頭金1,000万円・融資額4,000万円で、年間キャッシュフローが100万円の収益物件であれば、CCRは10%です。
FCRが物件全体の収益力を確認する指標であるのに対し、CCRはオーナー様が実際に投じた自己資本の運用効率を評価します。融資を利用する収益物件では、重要な判断材料となります。
CCRの高さだけで融資条件を決めず、空室や家賃下落が生じた場合も返済を継続できるかを確認しましょう。
投資収益率(ROI)

ROIは「Return On Investment」の略で、投資総額に対して、年間キャッシュフローをどれだけ得られるかを示す指標です。
投資収益率(%)=年間キャッシュフロー÷投資総額×100
年間キャッシュフローは、NOIからローンの年間返済額を差し引いた金額です。投資総額には、物件価格だけでなく、購入時の諸費用なども含めます。
CCRとの違いは分母です。CCRは自己資金を用いるため、借入額によるレバレッジ効果が大きく反映されます。ROIは自己資金と借入金を含む投資総額を用いるため、収益物件全体の投資回収力を確認しやすい指標です。
ROIが高いほど、投じた総額を短い期間で回収できる可能性があります。ただし、ROIの利益や投資額の定義は、資料によって異なる場合があります。物件を比較する際は、税引き前・税引き後のどちらを使用するか、売却益や修繕費を含めるかなど、計算条件を統一しましょう。
ローン定数(K)
ローン定数は、ローン残高に対して年間返済額が占める割合を示す指標です。金利だけでなく、融資期間を含めた年間の返済負担を確認できます。
ローン定数(K%)=ローン年間返済額÷ローン残高×100
同じ借入額と金利でも、返済期間が短ければ年間返済額が増え、ローン定数は高くなります。反対に、返済期間が長ければ、毎月・毎年の返済額を抑えやすくなります。
金利が低い融資ほど有利に見えますが、融資期間が短ければキャッシュフローを圧迫する可能性があります。金融機関から条件を提示された際は、金利だけでなく年間返済額とローン定数を確認しましょう。
比較する場合は、当初借入額と現在のローン残高のどちらを分母にするかを統一する必要があります。変動金利を利用する場合は、現在の金利だけでなく、金利上昇後の年間返済額も試算してください。
イールドギャップ
イールドギャップは、物件の総収益率であるFCRと、融資の返済負担を示すローン定数との差分です。融資によって収益を上乗せできる余地があるかを確認できます。
イールドギャップ(%)=FCR-ローン定数
例えば、FCRが6%、ローン定数が4%の場合、イールドギャップは2%です。FCRがローン定数を上回っていれば、借入による正のレバレッジ効果を期待できます。
反対に、ローン定数がFCRを上回る場合は、融資の返済負担が物件の収益力を超えている状態です。借入によって自己資本利回りが低下し、キャッシュフローが悪化する可能性があります。
イールドギャップは、一般的に言われる「利回りと借入金利の差分」ではありません。ローン定数には元金返済と融資期間の影響が含まれるため、金利差より返済負担を現実的に評価できます。
正味現在価値(NPV)
NPVは「Net Present Value」の略で、収益物件から将来得られるキャッシュフローを現在価値へ割り戻し、初期投資額を差し引いた数値です。保有中の収入だけでなく、売却による収入も含めて投資価値を評価できます。
NPV=将来得られるキャッシュフローの現在価値の合計-初期投資額
将来受け取る100万円は、現在受け取る100万円と同じ価値とはかぎりません。現在受け取った資金はすぐに運用できるほか、将来の収入には不確実性があります。NPVでは「割引率」を設定し、この時間的価値を反映します。
NPVがプラスであれば、設定した割引率を上回る投資成果が期待できると判断できます。マイナスの場合は、同じ割引率を前提とすると、投資額に見合う収益を得られない可能性があります。
計算には、毎年の家賃収入、運営費、ローン返済、修繕費、売却代金、売却費用などを反映します。割引率や売却価格の設定によって結果が変わるため、複数の条件で試算します。
内部収益率(IRR)

IRRは「Internal Rate of Return」の略で、NPVがゼロになる割引率です。投資期間中に発生する収入と支出、売却収入を反映し、資金の時間的価値を含めて投資効率を評価します。
同じ総利益を得られる物件でも、早い時期に多くのキャッシュフローを得られる物件は、IRRが高くなる傾向があります。一般にIRRが高いほど、投じた資金を効率的に回収できる投資と判断できます。
IRRの計算式は複雑ですが、Excelなどの表計算ソフトにあるIRR関数を利用できます。毎年同じ間隔で発生するキャッシュフローにはIRR関数、日付が不規則な場合はXIRR関数を使用するとよいでしょう。
IRRも、家賃、空室率、修繕費、売却価格などの予測によって変わります。投資期間が異なる物件を比較する場合は、保有期間や売却条件を揃える必要があります。
表面利回りだけでなく、FCR、CCR、ROI、NPV、IRRまで確認すると、物件の収益力、融資効果、出口戦略を多角的に判断できます。
収益物件を購入する際の注意点
収益物件投資には多くのメリットがあるものの、物件の購入にあたっては気をつけるべき注意点もあります。5つのポイントを順番に見ていきましょう。
賃貸需要が高く、競合物件が少ない立地を選ぶ
不動産投資で十分な利益を得るためには、空室のない状態をできるだけ保つ必要があります。賃貸ニーズを左右する大きな要素として挙げられるのが立地です。収益物件の良し悪しは立地で決まるといっても過言ではありません。収益物件の購入を検討する際は、利益を上げられるだけの賃貸ニーズが見込める立地の物件を選ぶようにしましょう。
アパートの場合、交通アクセスや生活施設の利便性が高い立地が望ましいところです。大学や大規模工場の周辺など、常に一定の居住ニーズが見込まれる立地も検討の価値があります。また、住宅地としてブランド価値がある地域、再開発や新線開業が見込まれるなど将来性のある地域も狙い目です。
しかし、いくら好立地でも競合物件がひしめいていると、限られたターゲット層の奪い合いになってしまいます。好立地でありつつ、競合物件が少なく共倒れを防げるような地域にある物件だとなおよいでしょう。
収益物件投資の鍵を握る空室リスクに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
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ターゲットとなる入居者層を意識する
収益物件を購入する際は、地域で需要のある入居者層を把握し、その層に合った物件を選ぶことが重要です。単身者、ファミリー、学生、社会人などによって、求められる間取りや設備、家賃水準は異なります。
大学や専門学校の近くでは学生向けのワンルーム、企業や駅へのアクセスがよい地域では社会人向けの単身物件が選ばれやすいでしょう。学校や公園、商業施設が充実している地域では、ファミリー向け物件の需要を見込める可能性があります。
ターゲットと間取りが合っていても、家賃や設備が周辺相場とずれていれば入居者様は決まりにくくなります。競合物件の募集条件、空室期間、インターネット環境、宅配ボックス、駐車場などを比較しましょう。
現在の需要だけでなく、人口や世帯構成、大学・企業の移転、再開発なども確認します。地域の需要層に合った物件を選び、変化に応じて設備や募集条件を見直すことで、空室期間を短縮しやすくなります。
リスクコントロールを意識する
収益物件の購入にあたっては、賃貸経営に特有のリスクを把握したうえでリスクコントロールを意識することも重要です。代表的なリスクとしては次のようなものが挙げられます。

これらのリスクは事前に想定しておくことで、一定のリスクコントロールが可能です。
中古物件を購入する際はレントロールをしっかり精査するとともに、キャッシュフローに問題がないか、修繕積立金が十分に積み立てられているかを確認しておきましょう。十分な修繕積立金があれば、たいていの修繕・老朽化リスクには対応できます。
賃貸経営において重要な大規模修繕については、こちらの記事をご覧ください。
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売却などの出口戦略を考える
収益物件は、保有中の家賃収入だけで投資成果が決まるわけではありません。最終的な売却価格やローン残高、売却費用を含めて、投資全体の収益が確定します。購入時点から出口戦略をシミュレーションしておくことが重要です。
主な出口には、入居者様がいる状態で収益物件として売却する方法、更地にして売却する方法、建て替えて運用を続ける方法などがあります。選択肢は物件の立地、築年数、構造、土地の用途によって異なります。
収益物件として売却する場合は、入居率、賃料、NOI、修繕履歴などが買主の判断材料になります。適切な管理と修繕を続け、経営資料を整理しておけば、売却時に物件の収益力を説明しやすくなります。
資産価値が下がりにくい地域や、買主が融資を受けやすい物件を選ぶ視点も必要です。ただし、将来の価格上昇を確実に予測することはできません。複数の売却時期と価格を設定してNPVやIRRを計算し、保有継続と売却のどちらが投資目的に合うか定期的に見直しましょう。
賃貸管理会社は慎重に選ぶ

収益物件を購入するにあたって、もう一つ気をつけなければならないのが賃貸管理会社選びです。
繰り返しになりますが、収益物件に投資するということは賃貸経営を行うことにほかなりません。いかに安定的な賃貸経営を行えるかどうかが投資効果に直結します。
日々の管理運営を自分だけでこなすのは難しく、多くの場合、賃貸管理会社に管理を委託するはずです。賃貸管理会社の手腕によって賃貸経営の良し悪しが決まるといえるため、賃貸管理会社選びはとても重要です。
賃貸管理会社を賃貸経営におけるパートナーと位置付け、信頼できるパートナーを見つけるようにしましょう。賃貸経営に伴走してくれる賃貸管理会社がいれば、安心して投資できます。
まとめ

不動産投資において、物件の良し悪しは収益性や将来性に絡む重大な要素であり、収益物件の購入が大きなイベントであることは間違いありません。
しかし、それと同時に購入前・購入後にも大事なステップが多くあります。とりわけ購入後の賃貸管理は賃貸経営の要ともいうべきものであり、適切な管理があってはじめて、安定的な賃料収入を得ることができるのです。
不動産投資を安心して行うには、賃貸管理を信頼して委託できる賃貸管理会社を見つけることが大切。信頼できるパートナーを探しているなら、これまでに数多くの収益物件の賃貸管理を手がけてきた【リロの不動産】へぜひご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。
