【事例付】区分マンション売却の注意点!売却手順や売却時期も徹底解説

2024.08.27

区分マンションを所有している方の中には、将来売却することを視野に入れている方も多いのではないでしょうか。特に区分マンションを投資用として購入し、売却を考えている場合は、収益性を考慮しながら売却のタイミングを慎重に検討する必要があります。

そこで 今回は、区分マンションの売却方法や売却の流れ、売却にかかる費用、注意点などを紹介します。すでに区分マンションの売却を検討し始めている方や、現在所有している区分マンションの出口戦略について悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

また、区分マンションの売却にはさまざまな事例がありますので、以下から事例を確認してみてください。

■投資用不動産・収益物件の売却事例

区分マンションの売却事例

区分マンションを売却する主な理由

所有している区分マンションを売却する理由はさまざまですが、多く見られるのは以下のようなタイミングです。

● 相続が発生したため、現金化する必要がある
● 新たに買い替える物件が見つかった
● 投資物件として所有していたが、家賃が下がり利益が上がらなくなった
● 元々10年経過した時点で売却すると決めていた
● 経年劣化による修繕費が負担になってきた
● キャッシュフローが改善されない
● 入居者様が退去し空室になった

例えば、長期にわたって入居していた入居者様が退居したことにより、次の入居者様を見つけるためには大規模なリフォームが必要になるケースがあります。入居者様の使用状況によっては、退居のたびに大がかりなリフォームが必要になるため、いっそのこと売ってしまおうと考えるオーナー様も少なくありません。

ただし、そのまま汚れた状態では買い手が見つかりにくくなります。適切なリフォームを行ったうえでリフォーム費用を相場と大きくズレないように売却価格に上乗せしましょう。参考になる事例を以下に紹介します。

【参考事例】
これまで賃貸にしていたマンション!退去したら汚いから売っちゃおう

区分マンションを売却する方法

区分マンションを売却する方法には、仲介と買取の2種類があります。ここでは、それぞれの特長やメリット・デメリットについて解説します。売却を考える際は、仲介と買取の違いをしっかりと理解したうえで、どちらの方法で売却するかを決めるようにしましょう。

区分マンションの売却方法 1.仲介

仲介とは、不動産会社が仲介業者となって、オーナー様から依頼された売却物件の購入希望者様を探し、売買契約を締結する方法です。仲介を利用するメリットには、以下のようなものが挙げられます。

● オーナー様が自分で買い手を見つける手間が省ける
● 不動産会社が査定や内見なども行ってくれる
● 不動産会社に依頼することで物件の適正価格が判断しやすくなり、予想していたよりも高く売却できる可能性がある
● 不動産会社のネットワーク次第では多くの購入希望者様に知ってもらえる
● 契約手続きに関する書類作成なども不動産会社が行ってくれるため、自分で行うよりも法的なトラブルを防げる

ただし、以下のデメリットがある点にも注意しておきましょう。

● 仲介してくれた不動産会社に対して、成約時に仲介手数料を支払う必要が発生する
● 仲介を依頼したからといって、すぐに買い手が見つかるわけではない

仲介での売却方法は、時間がかかっても売却にかかる手間を省きたいと考えている方に向いています。仲介業者の選び方については、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
不動産売却はどこがいい? 大手・地域密着の特徴と仲介会社の選び方

区分マンションの売却方法 2.買取

買取とは、不動産会社が買い手を見つけてくれる仲介とは異なり、不動産会社が物件を直接買い取る方法です。買い手が見つかるまで待つ必要がなく、すぐに現金化できるというメリットがあるほか、仲介手数料を支払わなくてもいい点もオーナー様にとって魅力です。

また、仲介だと売りに出したことを周囲に知られる心配がありますが、買取の場合は心配ありません。ほかにも、リフォームの必要がない点や資金計画が立てやすい点、不動産会社が買主となるため、オーナー様が契約不適合責任を負わなくてもいい点がメリットとして挙げられます。

ただし、買取の場合だと仲介よりも売却価格が低くなる可能性がある点には注意が必要です。一般的に、買取だと市場価格の70~80%程度になるといわれています。加えて買取に対応している不動産会社が少ないため、売却価格が少し低くなっても構わないから早く売却したい、と考えている方に向いているといえるでしょう。 買取を利用した事例については、以下を参考にしてください。

【参考事例】
相続財産管理人である弁護士からの依頼による入札方式で最高値で買取!
買取希望の連絡から契約・転居・引渡しまでわずか24日の売却・買取実績

区分マンション売却のタイミング

区分マンションを売却するのに適したタイミングとして、主に以下で紹介する5つのタイミングが挙げられます。区分マンションにかぎらず投資用不動産の売却時期について考える際は、以下の記事も参考にしてください。

【参考記事】
投資用マンションの売却時期は?出口戦略を見据える高値売却ポイント
不動産投資における減価償却とは?節税額の計算方法と注意点を解説!

税金が安くなるタイミング

売却時にかかる費用を抑えるために、税金が安くなるタイミングで売却するのがおすすめです。ここでいう税金とは、譲渡所得税のことです。譲渡所得税は、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えれば長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得として扱われ、税率が異なります。

譲渡所得の金額は売却によって得た金額から物件の取得費や売却にかかった費用を差し引き、さらに一定の要件を満たす場合は特別控除額を差し引いて求めます。

短期譲渡所得の場合の税額は譲渡所得金額に39.63%を掛けて計算されますが、長期譲渡所得の場合は20.315%と税率が安くなるため、所有期間が5年を超えるタイミングで売却することで支払う税金を抑えられるでしょう。税金が安くなるタイミングでの売却事例については、以下を参考にしてください。

■投資用不動産・収益物件の売却事例・お客様の声
所有期間が5年過ぎたからこのマンション売却しちゃって。。。

マイナスの収支が続いているタイミング

区分マンションを収益物件として運用している場合、物件の築年数が古くなると家賃を引き下げざるを得ない状況になることもあります。当初は黒字経営だったとしても、物件の維持管理費や修繕積立金が値上がりしていくことや家賃が下がる傾向にあることが原因で、赤字経営に陥りかねません。

リフォームやリノベーションを行うことで今までよりも高い家賃で入居者様を募集することもできますが、リフォーム費用を回収するまでに一定の時間を要します。区分マンションの場合は建物全体が古くなっても個人の判断で修繕することはできず、老朽化にともない見栄えが悪くなり、入居者様がなかなか見つからずにキャッシュフローが改善されない状態が続くことも予想されます。

マイナスの収支が続き、改善の余地が見られないときには思い切って売却を考えてみてもいいでしょう。

大規模修繕の前後のタイミング

マンション全体の大規模修繕を行った場合、毎月の修繕積立金では不足するケースも考えられます。不足分については追加で支払わなければならず、場合によっては1世帯あたり数十万~百万円程度のまとまった金額になる可能性もあります。しかし、大規模修繕前に売却することで、追加費用の支払いリスクを防ぐことが可能です。

また、大規模修繕はほかの区分所有者の合意が得られなければ大規模修繕自体が実施できず、マンション全体の資産価値を下げる要因にもなり得ます。ただし、大規模修繕後に売却することによって、資産価値が向上したマンションとして売却価格が高くなる可能性も考えられるので、大規模修繕を行う前後は売却を検討するタイミングといえるでしょう。

築20年を超える前のタイミング

売却のタイミングを見計らうには、マンションの築年数にも着目する必要があります。一般的に、築20年を超えなければ35年間でのローンの借入が可能です。

毎月のローンの返済額は借入期間が長いほど少なくなるので、築20年を超えてしまうと長期の借入が難しく、月々の返済額も高くなり、利息負担も大きくなってしまう可能性があります。築20年を超える前に売却するほうが、キャッシュフローの改善につながるでしょう。

区分マンションの市場相場が上がっているタイミング

周辺環境の変化によって、区分マンションがある周辺地域の相場が上がることもあります。市場相場が上がったタイミングで売却することで、予想よりも高く売れるかもしれません。タイミングを見計らうには市場価格の動向をこまめにチェックする必要がありますが、相場が上がったときに早めに決断できるよう、不動産会社などの専門家にも相談しておくと安心です。

区分マンション売却の流れ

不動産を売却するにあたっては、いくつかの手順を踏む必要があります。ここでは、区分マンションの売却に関する一連の流れについて、以下で詳しく紹介します。

売却相場を調べる

区分マンションを売却する際には、まずどのくらいの価格で売れるのか相場を調べることが大切です。売却価格の相場を把握することで、より具体的な売却のタイミングが分かるほか、仲介を依頼する際の査定額が妥当な金額かを判断できます。

売却相場を調べる方法はいくつかありますが、住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)を利用して周辺地域の類似物件を検索するほか、国土交通省の土地総合情報サイトを活用する方法を取り入れてみましょう。

売却を依頼する不動産会社を探す・査定依頼する

売却相場を把握したら、次に売却を依頼する不動産会社を探し、査定を依頼します。一般的には売却の相談と同時に査定依頼を行います。依頼する不動産会社は、できるだけ区分マンションの売却を専門としている不動産会社を選ぶようにしましょう。

また、1社だけに依頼するのではなく、査定額を比較するためにも2~3社程度に依頼し、査定してもらうことをおすすめします。不動産売却にあたっての査定のポイントや注意点については、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
不動産売却の見積もりとは? 査定のポイントと注意点を徹底解説!

不動産会社を選定し、媒介契約を結ぶ

売却を依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を締結します。媒介契約には以下の3つの種類があり、専属専任媒介契約が最も拘束力があり手厚いサポートが受けられます。

● 一般媒介契約
● 専任媒介契約
● 専属専任媒介契約

専属専任媒介契約と専任媒介契約は1社としか契約できませんが、一般媒介契約は複数の不動産会社と契約できるため、買い手を探せる範囲が広くなるといったメリットがあるものの、サポート面で不満を感じることがあるかもしれません。それぞれの利点や懸念点があるため、オーナー様の目的に合わせて契約の種類を選ぶようにしましょう。

売却活動を始める

媒介契約を締結し、売却価格を決めたら売却活動が始まります。いつまでに売りたいのか、時間は気にせず希望価格で売ることを重視するのかなど、要望をしっかりと伝えておきましょう。あまり高い価格を設定すると買い手が見つからない可能性があるので、相場に応じた価格設定を心がけることが大切です。

売却活動では、不動産会社がインターネット上に広告を出してくれるほか、チラシの配布などを行ってくれますが、広告内容について事前に確認させてもらうようにしましょう。検討する方が出てきたら、不動産会社によって内見などの対応を行います。

購入希望者様と売買契約を締結する

購入希望者様が申し込み、条件の折り合いがついたらオーナー様と売買契約を結びます。売買契約時には「不動産売買契約書」に貼付する印紙が必要になるほか、本人確認書類なども準備しておかなければなりません。

契約時には買主に対して重要事項説明が行われ、契約内容を確認した後に署名・捺印を行って完了です。買主はオーナー様に対し、契約締結時に手付金として物件価格の10%程度の手付け金を支払う必要があります。

残代金の受領・物件の引渡し

売買契約の際に支払われた手付金以外の残りの代金が支払われたら、買主に物件が引き渡されます。一般的に不動産売買契約の締結から引渡しまでの期間は1ヶ月程度と考えておきましょう。引渡しの日までに物件の中を綺麗にしておく必要があります。余裕を持って片付けをすませておくようにしましょう。

確定申告をする

区分マンションを売却したことによって利益が出た場合、確定申告を行わなければなりません。申告時期は売却した年の翌年の2月16日から3月15日までです。また、損失が発生した場合も不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得との損益通算が可能なので、事業所得などで利益が出ているなら確定申告することで所得税を抑えられます。青色申告なら、さらに青色申告特別控除が適用されます。

区分マンション売却にかかる費用

区分マンションの売却にはさまざまな費用がかかります。ある程度まとまった金額がかかり、現金で準備しなければならない可能性もあるので、事前にどのくらいの費用がかかるのかを把握しておきましょう。以下の記事のように信頼できる賃貸管理会社をパートナーに持つことで、節税効果も期待できます。

【参考記事】
不動産売却税とは?信頼できるパートナーと考える効果的な節税対策

仲介手数料

仲介手数料とは、仲介によって不動産売買契約が成立した際に不動産会社に支払うもので、成功報酬として支払われます。仲介手数料は以下の式で求めた金額が上限です。

● 売却価格が200万円以下の部分:売却価格の5%+消費税
● 売却価格が200万円超400万円以下の部分:売却価格の4%+2万円+消費税
● 売却価格が400万円超の部分:売却価格の3%+6万円+消費税

上記のように売買価格によって計算式が異なり、必ずしも上限額を支払う必要はありません。交渉によって上限内で金額を決めることが可能です。仲介手数料を支払うタイミングは売買契約締結時に50%、引渡し時に残りの50%を支払うケースと、引渡しの際に一括で支払うケースがありますので、不動産会社に確認しておきましょう。

印紙税

不動産売買契約締結にあたって作成する不動産売買契約書は課税文書のため、契約書に記載されている売却価格に応じた印紙税を納めなければなりません。納税額に応じた収入印紙を契約書に貼付して納付します。

印紙税は契約書に記載される金額に応じて以下のように決まっています(一部掲載)。

記載された金額印紙税軽減措置(2025年3月31日までに締結されるもの)
100万円を超え500万円以下2,000円1,000円
500万円を超え1千万円以下1万円5,000円
1千万円を超え5千万円以下2万円1万円
5千万円を超え1億円以下6万円3万円

軽減措置は2025年3月31日までに締結される不動産売買契約書に適用されますので、期限内は軽減後の印紙税を支払うようにしましょう。

抵当権抹消登記費用

売却金額によってローンを完済した場合、抵当権は抹消されます。抵当権抹消登記の手続きと、それにともなう登録免許税の支払いが必要です。抵当権抹消登記の手続きは物件の引渡しまでに行う必要があり、完済と同時に行われることが一般的です。通常は司法書士に手続きを依頼しますが、登録免許税と合わせて司法書士に支払う報酬が発生するため、1万~2万円程度の費用を考えておくとよいでしょう。

ローン一括返済手数料

売却する区分マンションにローンの返済が残っている場合、売却価格や自己資金で残債を完済して物件を引き渡さなければなりません。完済時には一括繰り上げ返済を行うことになりますが、事前に金融機関への連絡が必要なことと、手数料が発生するケースが多いため注意しましょう。一括繰り上げ返済の手数料は金融機関によって異なりますが、5,000円~3万円程度が目安です。

譲渡所得税

売却して利益が得た場合、所有期間に応じた譲渡所得税が発生します。譲渡所得金額を計算する際には、自宅を売却した際など特別控除が適用されるケースもありますので、投資用物件に適用される特別控除がないか確認してみましょう。

区分マンション売却の注意点

区分マンションを売却する際には、必要に応じた売却方法を選択するなどの注意点を押さえておくことが大切です。ここでは、区分マンションを売却する際の注意点について解説します。区分マンションを含む収益物件の効果的な売却方法については、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
収益物件を高値で売却する秘訣と注意点|出口戦略の立て方も解説!
収益物件をできるかぎり早く・高く売る秘訣|パートナー選びのポイントは?

自己判断でリフォーム・リノベーションしない

売却予定の区分マンションが空室の場合、オーナー様の自己判断だけでリフォームやリノベーションを行うと、買主を決めづらくなったり売却金額が上がらなくなったりするなど、逆効果になる可能性があります。購入希望者様の中には、購入後にリフォームを行おうと考えている方もいるかもしれません。

売却価格を上げる目的で、多少お金がかかってもリフォームやリノベーションを行いたいと考えているオーナー様は、プロの目線でアドバイスしてくれる不動産会社や賃貸管理会社に相談してから決めるようにしましょう。

必要に応じた売却方法を選択する

時間がかかってもできるだけ高く売却したい、という理由で仲介にこだわりすぎると、最善の売却のタイミングを逃してしまう可能性があります。また、査定時に最も高い査定額だったという理由だけで不動産会社を選ぶのも得策ではありません。

場合によっては、買取でも相場と変わらない金額で買い取ってくれる不動産会社もあります。どの不動産会社にどの方法での売却を依頼するか、オーナー様の目的や物件の状況などに合わせて検討するようにしましょう。

室内の状態を把握し、正直に申告する

不動産売買において、売主であるオーナー様は買主に対して契約不適合責任を負います。トラブルを防ぐためにも室内の状態を把握し、不具合がある箇所については正直に申告するようにしましょう。虚偽の申告により売却後に発覚することがあった場合、損害賠償請求や契約解除になる可能性もありますので、嘘偽りなく申告することが大切です。

不具合については、目で見て分かるキズや汚れだけでなく、設備の故障や雨漏りの有無、近隣トラブルなど、住んでみないと分からない部分についても漏れなく申告するようにしましょう。

まとめ 区分マンションの売却はタイミングとパートナーへの相談が重要

投資用の区分マンションを売却する際には、オーナー様にとって経営状況が赤字であっても黒字であっても、売却することによって現在の経営状況をよりよい方向にしていくことが目的です。よりよい売却を行うためには、売却するタイミングの見極めと信頼できるパートナーへの相談が不可欠です。

リロの不動産】は投資家だけではなく、地主のお客様も多くおられます。売却にかぎらず相続対策や賃貸管理など全てにおいて対応が可能なため、収益物件の相続対策や出口戦略のご相談も可能です。区分マンションの売却に悩んだ際は、ぜひ【リロの不動産】にご相談ください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。