収益物件を高値で売却する秘訣と注意点|出口戦略の立て方も解説!
2022.12.22投資目的で不動産を所有している方や、これから不動産投資を始めたいと考えている方の中には、「収益物件を将来的に手放すことになった場合、高く売ることができるのだろうか」「投資用の不動産を高く売るためのコツが知りたい」「不動産が高く売れるタイミングはいつなのか」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では収益物件を売却する流れや、より高く売却するコツ、高く売却するために知っておきたい注意点、出口戦略の立て方などを解説します。
目次
収益物件はどのように売却すればいいのか?高く売る秘訣は?
収益物件はどのような流れで売却すればいいのでしょうか。高く売却するポイントもあわせて解説します。
①不動産業者を探す・物件査定を受ける
どのような業者に売却を任せるかで、収益物件が高く売れるかどうかが決まるといっても過言ではありません。そのため業者選びは収益物件の売却の成否を決めるうえで、とても重要なポイントになります。
収益物件の売却サポートが受けられる不動産業者には、不動産仲介業者・不動産買取業者・不動産買取+仲介を行っている業者に大別できます。
それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、複数の業者に査定を依頼し、相場を把握することが収益物件の売却の第一歩となるでしょう。
不動産仲介業者に売却を依頼するメリット・デメリット
不動産仲介業者に売却を依頼するメリットは、不動産買取業者に依頼する場合よりも高く売却できる可能性が高いことです。
ただし、仲介は買取よりも成約するまでに時間と手間がかかる場合が多く、仲介手数料の負担をともなうこと、個人に売却する場合は、契約不適合責任など引き渡し後の保証が求められるなどのデメリットもあります。
マイホームとしての需要が高い物件や、駅近・築浅の収益物件など条件がよく担保評価が高いために個人でも融資を引きやすい物件の場合は、不動産仲介業者に売却を依頼することはおすすめの選択肢です。
しかし、現金化を急いでいる場合には向かない可能性が高く、築古の物件や変形地など売りにくい物件だと、仲介で思うような結果が得られないリスクも考えられます。
不動産仲介業者に売却を依頼し、高値で売却を成立させるためには、正しく需要を見極めることが大事なポイントです。地域の需要やニーズを把握するために地域事情に詳しい不動産会社から情報収集を行いましょう。
不動産買取業者に売却を依頼するメリット・デメリット
不動産買取業者に売却を依頼するメリットは、不動産仲介業者にかかる仲介手数料(売却価格×3%+6万円が上限)などの手数料負担がなくなること、契約不適合責任を負わなくてよいこと、売却にかかる時間と手間が最小限ですむことなどが挙げられます。
手間をかけずに早く確実に売りたい方や、物件の築年数が古いなど売りにくい収益物件の売却を希望している場合におすすめの選択肢です。
一方で、不動産買取業者に売却を依頼するデメリットは、不動産仲介業者に依頼する場合ほど高くは売れない可能性があることです。そこである程度、時間に余裕があれば、不動産仲介業者などほかの選択肢も検討されることをおすすめします。
不動産買取+仲介を行っている業者に売却を依頼するメリット・デメリット
多少の時間的な余裕はあるものの、いつまでに売りたいという期限がある場合は、仲介+買取を行っている業者を選ぶとよいでしょう。
買取価格を把握したうえで、高値売却をするために仲介の依頼をするなどの選択肢が生まれるため、高く売れる可能性があります。ただし、仲介・買取のいずれかに適さない物件も存在するので、所有の物件が仲介と買取の両方を検討可能であるかどうか事前に確認しましょう。
②不動産業者と媒介・代理契約を結ぶ
よい業者が見つかったら、不動産業者と契約を結びます。契約方法には媒介契約と代理契約の2種類があります。それぞれどのような契約で、どのような場合に向いているのか解説します。
媒介契約とは?
不動産売買における媒介契約とは、売買契約を成立させるための営業・宣伝活動や契約などの手続きを不動産会社に依頼する契約のことです。不動産売買における媒介契約には、1社の不動産会社に限定して売買の仲介を依頼する「専任媒介契約」と複数の不動産会社に買主探しを依頼できる「一般媒介契約」の2種類があります。
一般媒介契約には、複数の不動産会社と契約を締結できるメリットのほか、仲介手数料を受け取れるのは契約を成立させた1社だけのため、一般媒介契約を結ぶ不動産会社同士に競争意識が生まれ、早期の売却が実現する可能性が期待できます。
しかし、不動産会社から見て仲介をする魅力が高い物件でなければ、競争意識が生まれず、積極的なサポートが得られない可能性も考えられます。
一方で、専任媒介の場合は、物件の売却を1社のみに任せるという性質上、専任媒介契約を結ぶ不動産会社にとっては、高い確率で仲介手数料が見込めるため、積極的な営業活動につながります。
専任媒介契約には、7日以内の指定流通機構登録義務と、14日に1回以上の販売状況報告義務があるので、よい業者が見つかった場合には、進捗状況が把握しやすく、比較的早く好条件で売れる可能性がある専任媒介契約がおすすめです。
ただし、不動産会社の中には、自社で利益を独占するために、物件情報の露出を制限する企業も存在するので注意しましょう。物件情報の囲い込みが発生してしまうと、機会損失につながり、売却にかかる時間が長期化するリスクをともなうため、専任媒介契約を結ぶ不動産会社は慎重に選ぶ必要があります。近隣に売却活動を悟られたくないケースの場合は専任媒介の利用をおすすめします。
代理契約とは?
不動産売買における代理契約とは、オーナー様のかわりに第三者(買主)と売買契約を締結する権利(代理権)を、オーナー様が不動産会社に対して与え、オーナー様のかわりに不動産売買契約を締結してもらう契約方法です。
代理契約の場合、代理人である不動産会社に不動産の売買契約書を交わす権利も与えられる点が媒介契約と異なります。
不動産の売買においては、遠方で契約手続きが難しいなど契約が行えない特別な事情がある場合に選択される方法で、手間を省く目的のみであれば、専任媒介契約を結ぶのが一般的です。
また代理契約には双方代理の禁止という、売主と買主両方と代理契約を結んではいけないルールが存在します。代理契約を選択する場合も、大きな権利を与えることになるので、専任媒介契約同様に不動産会社は慎重に選ぶ必要があります。
③売却の戦略を立てる
周辺地域の動向やニーズをもとに、いくらで売り出すのか、誰をターゲットとするのかなど売却の戦略を立てます。税金や手数料を見積もり、希望金額で売却できた場合、手元にいくら残るかこのタイミングでシミュレーションを行います。
データドリブンに高値売却の根拠を示し、具体的なターゲット設定ができるほど、物件と広告の訴求内容が一致してお問い合わせの増加につながるでしょう。地域の情報や入居者様のニーズを熟知した不動産会社をパートナーに選べば、必要な情報収集が容易にでき、物件の魅力を最大限に引き出すことで、収益物件を高く売却できる可能性が高まります。
④販売活動を行う
業者独自のネットワークや、広告などを活用して買い手を見つけます。お問い合わせや内見希望があった場合に対応するだけではなく、オーナー様でも反響状況を定期的に確認し、反応が少ないようであれば、契約している不動産会社の担当者と相談しながら計画を見直すことも必要です。
一般的な居住用の物件と収益物件では購買層や購買力が異なるため、どのような販路で販売活動を行うかも重要なポイントです。既に賃貸経営をはじめている不動産オーナー様が、収益拡大のために買増しやステップアップの物件購入をするケースも多くあります。オーナーチェンジの需要を狙うためにも、不動産オーナー様へ売却情報を伝えるネットワークや仕組みを利用できると安心です。
例えば、収益拡大したい不動産オーナー様から優先的に物件情報を紹介することで、希望に近い価格で売却できる可能性が高まります。
⑤条件調整・売買契約を締結する
購入申し込みがあったら、購入希望者の掲示した条件を確認し、具体的な交渉に入ります。不動産会社は売主および買主双方の希望を確認し、それぞれの条件を調整します。このことを「条件交渉」といいます。
売主および買主の合意が得られたら、売買契約を締結しましょう。契約の際には、「本人確認書類」「登記済権利証」「印鑑証明書」「収入印紙」「印鑑(実印および認印)」を準備しておきます。
そして契約締結の際には、認識のずれがないよう、契約内容を細部まで確認するなど、細心の注意を払いましょう。このタイミングで、賃貸管理会社や金融機関へ物件を売却することを伝え、所有者変更に必要な手続きを行います。
補足となりますが、賃貸管理会社が売買の支援を行うケースもあります。より好条件での売却を行うためにも販売活動を行う前に管理会社に打診することで、オーナーチェンジができる可能性が高まります。
⑥物件を引き渡す
決済と同時に物件を引き渡します。決済日当日は、以下の流れで進みます。
- 司法書士が売主および買主の本人確認および所有権移転登記に必要な書類の確認を行う
- 買主側から売主側へ残代金が支払われる(売主は確認後領収書を発行する)
- 鍵および必要書類の引渡しを行う
- 司法書士への報酬および不動産会社への仲介手数料を支払う
収益物件を個人に売却する場合は、契約不適合責任など引き渡し後の保証が必要となるケースもあるため注意が必要です。
収益物件の売却時にはどのような手数料や税金がかかるのか?
収益物件の購入時に諸費用や税金がかかることは一般的に知られていますが、売却時にも仲介手数料や抵当権抹消登記の費用、印紙税・登録免許税・譲渡所得税などの税金が発生します。どのような手数料や税金がかかるのかを理解し、手数料や税金をふまえたシミュレーションを行いましょう。
収益物件の売却時にかかる税金
売却時にかかる税金には、印紙税、登録免許税、譲渡所得税、消費税がかかります。それぞれどのような税金で費用負担の目安はいくらくらいを想定しておけばよいのか解説します。
印紙税
不動産の売買契約では、売買契約書に印紙を貼る必要があります。売主保管用と買主保管用の計2通の売買契約書を作成し、1通分の印紙税を売主と買主で負担するのが一般的です。
印紙税の金額は、売買価格が1,000万円超5,000万円以下の場合は2万円、5,000万円超1億円以下の場合は6万円と決まっていますが、1997年4月1日から2024年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書は、税率の軽減があるため、1,000万円超5,000万円以下の場合は1万円、5,000万円超1億円以下の場合は3万円になります。(出典:国税庁サイト|不動産の譲渡・消費貸借等に関する契約書)
登録免許税
登録免許税とは、不動産登記上の所有者の名義が変わる場合に発生する税金のことで、売却時にアパートローンの残債がある場合には、抵当権抹消登記の費用が発生します。
抵当権抹消登記の費用は不動産1件につき1,000円で、土地と建物を売却する場合は2,000円の登録免許税がかかります。
(参考:国税庁サイト|登録免許税の税額表:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁 (nta.go.jp))
譲渡所得(所得税・復興特別所得税・住民税)
譲渡所得には譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える土地建物を譲渡する場合「長期譲渡所得」と所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」があり、不動産の売却で利益が出た場合に譲渡所得税が課せられます。
長期譲渡所得の場合は所得税15%と住民税5%の合計20%の税金がかかりますが、短期譲渡所得は税率39%(所得税30%+住民税9%)と税負担が重くなります。当該理由により、取得してから5年以内に売却を考えているのであれば注意が必要です。
土地や建物を譲渡する場合は分離課税の対象となり、ほかの所得との損益通算は一定の場合を除き認められていません。
譲渡所得は以下の計算式で求めることができます。
譲渡所得=不動産の売却価格 -(取得費+譲渡費用)
消費税
土地の売却は非課税ですが、仲介手数料、建物には消費税がかかります。消費税の課税事業者でなければ免税のため、副業として小規模で不動産投資を行っている方など、消費税を払う必要がない場合もあります。
消費税の課税事業者とは、事業を行っており、「前々年の課税売上が1,000万円を超えている方」、もしくは「前年の1月~6月の課税売上が1,000万円を超え、さらに支払給与額の合計が1,000万円を超えた方」が対象です。
そのため、課税事業者が建物を売却した場合は、消費税がかかります。さらに、売却を不動産仲介会社を通して行った場合は、不動産仲介会社に対して仲介手数料の支払いが発生します。この仲介手数料にも消費税が課税されます。
そのほか、ローンの一括繰り上げ返済手数料や司法書士に登記を代行したもらった際の報酬にも消費税がかかることを覚えておきましょう。
収益物件の売却時にかかる手数料
収益物件の売却時には、税金だけではなく、不動産業者や金融機関に支払う手数料も発生します。
引き渡し前の原状回復工事費用やクリーニング費用なども売主が費用を負担して行うのが一般的で、土地の形状や広さ、境界などを明らかにするための測量費の負担が必要になる場合もあります。
もし収益物件にオーナー様が住んでいた場合には、引っ越し費用などもかかりますので、忘れずに見積もっておきましょう。
不動産業者に支払う手数料
不動産業者へは広告料や仲介手数料などを支払う必要があります。仲介手数料の上限は売買価格の3%+6万円+消費税です。
チラシの作成やポスティング、ネット掲載などにかかる広告料は仲介手数料に含まれるのが一般的ですが、大手メディアへの広告掲載料など「特別に依頼した広告」にかかる広告料はオーナー様が承認したものにかぎり、オーナー様の実費負担となります。
金融機関に支払う手数料
アパートローンの残債がある場合には、アパートローンの一括返済手数料がかかるのが一般的です。ただし、ネットバンクなど手数料が無料の金融機関も存在します。
一括返済にかかる手数料だけではなく、ローン残債より売却価格が低い場合には、差額を現金で準備しなければいけないことも理解しておきましょう。
司法書士に支払う手数料
先述の抵当権抹消登記は司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士報酬は2~3万円程度が相場といわれています。
司法書士の主な仕事の1つに「土地や建物の登記」があり、代理人として登記を行う場合は司法書士しか行えないことになっています。そのため、自分が登記を行えない場合は、司法書士に依頼する必要があります。
司法書士に依頼することで、売買の当事者の本人確認や意思確認も行えるので、スムーズに登記手続きを進める意味でも、司法書士に依頼する方がいいでしょう。
収益物件の売却で注意すべきポイントとは?
収益物件を売却するうえでどのような点に注意しておく必要があるのでしょうか。ここでは理解しておきたい重要なポイントを解説します。
現金化できるまでに一定の時間がかかる
一般的に収益物件の売却には時間がかかります。売れるまでに半年以上の時間を要することも珍しくありません。収益物件の売却に時間がかかる要因には、以下の内容が挙げられます。
・収益物件の購入者が少ない
・ご家族や関係者との合意形成
・物件の地域や建物などの調査
・物件価格
不動産投資を実施する方は相続や一定以上の収入を持つ方が多く、一般的な居住物件と比較すると購入可能な方は少ないです。ご相続関係での売却を検討される場合は、関係者との合意形成に時間がかかることもあります。
大規模修繕の履歴や設備の詳細調査も含めると、販売までに調査の時間が必要になります。賃貸需要の少ない地域にある物件や、相場に比べて販売価格を高く設定しているケースだと、なかなか買い手がつかない可能性は十分に考えられるでしょう。
収益物件の売却で最も時間がかかるのは売却を開始してから条件交渉がまとまるまでの期間で、通常3ヶ月から6ヶ月程度かかるといわれています。査定を申し込んで売買契約の締結、引渡しまでの期間を合わせると、9ヶ月程度かかるケースや、1年以上かかるケースもあります。
どうしても現金化を急がなければいけない事情がある場合には、不動産会社に直接買い取ってもらうことも検討しましょう。
マイホームとは査定方法が異なる
収益物件とマイホームとでは、査定の方法に大きな違いがあります。マイホームの場合は、立地のよさや築年数、建物の現状、周辺物件の売買相場をもとに「取引事例比較法」で売買価格を査定するのが一般的です。
一方で、収益物件の場合は、マイホームで一般的に用いられる「取引事例比較法」だけではなく「原価法」「収益還元法」で査定が行われ、築年数や立地だけではなく、物件の持つ収益力が売買価格を大きく左右する要因となります。
「原価法」とは、査定時点の収益物件の再調達価格(同等の新築物件を購入する場合にかかる費用)を算出し、経年劣化等を差し引いて、現在の収益物件の価格を求める方法です。
「収益還元法」とは、収益物件を購入することで見込まれる将来の利益(家賃収入)から買取価格を割り出す方法です。査定時の空室率、家賃、築年数などを基に収益力を計算するため、空室率が低く、新築時よりも家賃の下落が少ない物件や、適切な修繕が施されている物件のほうが、査定価格が高い傾向にあります。
売却するタイミングによって利益・損失は大きく異なる
売却するタイミングを間違えると、売却価格が大幅に下がってしまうリスクもあります。売却に適したタイミングとは、いつなのでしょうか。
売却に適したタイミングとは?
収益物件を売却するのに適しているのは「大規模修繕の前」「不動産価格が上がっているタイミング」「収益物件が満室稼働しているタイミング」が考えられます。
マンションの場合、築10年~15年頃に一度目の大規模修繕を行うことが一般的です。基本的に12年に1度のペースで行う認識でいるとよいでしょう。
大規模修繕には、外装工事やエレベーターの修理費用など、多額の費用がかかります。修繕積立金の値上げによって対応することも考えられますが、工事費用の値上がりによって、修繕積立金だけでは賄えず、不足分はオーナー様が負担しなければならないケースもあります。まとまった追加費用が必要になるようであれば、大規模修繕前が売却を検討するタイミングの1つになるでしょう。
また12年に1度という大規模修繕が行われるタイミングは別の意味でも重要な意味を持ちます。不動産価値の下落スピードは築年数が経過するにつれて緩やかになり、築20年以降は、ほぼ横ばいになります。割安になった築20年前後の不動産を狙って購入する不動産投資家も多いため、収益物件の買い手が見つかりやすいタイミングでもあるのです。
ただし、築年数が経つにつれて金融機関の融資を利用しにくくなるというデメリットもあります。不動産の需要が高まり、不動産価格が上がっているタイミングが、収益物件を高く売りやすいタイミングであるのは言わずもがなですが、空室率が低いことも収益物件の査定において重要な意味を持ちます。
満室状態で、かつ設定している家賃が相場よりも高い時も、収益物件の売却に適したタイミングといえます。
売却に向かないタイミングとは?
購入・相続直後のタイミングでは、特段の事情がないかぎり売却をおすすめしません。
購入から5年以内の売却は、短期譲渡所得の課税対象となり税負担が重くなる可能性があります。新築の収益物件を購入した場合には、最も資産価値の目減りが大きい時期のため、高く売却することは難しいと考えられます。相続直後の売却も、故意に相続税を低く申告したと相続税の計算が否認されるリスクがあるため、避けたほうがよいでしょう。
また、空室が増えているタイミングや賃料を下げてしまった後で売却しようと考えると、収益力が低い物件と評価され、高く売却することが難しくなります。空室対策として家賃の減額を提案されることもありますが、売却を検討する場合には、初期費用の減額、入居条件の見直しなど月々の収益を減らさないほかの空室対策を行ったほうが、売却査定に大きな影響を与えにくいとされています。
ローンが通らない物件は売りにくい
物件を個人の不動産投資家に売却したいと考えた場合、現金で購入できる方は限られているでしょう。ローンの利用にあたっては、金融機関から一定の評価を得られる物件であることが必須条件となり、ローンが通らない物件の売却は困難になることが予想されます。
耐用年数を超えてメンテナンスや大規模修繕が行き届かない築古物件などは、アパートローン審査に通らない可能性が高いため、注意が必要です。
所得税の節税目的で築古の木造物件を購入し、節税効果を享受してから売却しようとしたがうまくいかなかった失敗事例もあります。出口戦略で売却を想定している場合は、最初から将来的にも金融機関の融資が付きやすい物件を選ぶようにすることが失敗を避けるポイントになります。
基本はそのまま売却しよう
建物を取り壊して更地にする際には、入居者様に立ち退いてもらうための立退料がかかる場合もあります。
そもそも、日本では借地借家法によって入居者様の権利が保護されており、正当な理由がないかぎりオーナー様側から賃貸契約の解約はできません。正当な理由とは、以下のような内容が挙げられます。
● 債務不履行
● 建物の老朽化
● 立ち退き料の支払い
立ち退き料の交渉については、契約期間が終了する6ヶ月前までに入居者様に解約を申し入れ、入居者様が納得いくまで話し合う必要があります。立ち退き料の相場は家賃の6ヶ月分といわれていますが、交渉次第で変わります。
入居者様全員に立ち退いてもらうまでには、かなりの手間とコストがかかります。そこで、基本的にはそのまま売却することを前提にして考えましょう。条件によっては販売会社や管理会社と相談のうえ、責任をもって売却してもらうことを前提に、物件に手を加えて販売する選択肢もあります。
不動産投資における出口戦略の重要性と上手な出口戦略の立て方
不動産投資は入口と出口が最も失敗しやすいポイントといわれ、不動産投資の成功には出口戦略が重要になります。不動産投資で失敗しないためには、まず目的や目標をしっかりと決め、その目的に合った収益物件を購入することが大切です。そして購入の際には収益だけを考えるのではなく、売却するときのことも意識しておかなければなりません。
不動産投資を行うにあたり、大切なことは、購入前から長期視野に基づいた出口戦略を考えておくことです。
例えば、売却益や相続を目的として収益物件を購入する際には、売却したいときに売りやすい物件や相続税対策に有効な物件を選べるかどうかで、不動産投資の成功確率は大きく変わります。そのためには、できるだけ高く売れるタイミングや、将来的な需要があるかの見極めが重要になるでしょう。
また、出口は売却だけではありません。節税効果を考え、不動産投資を引き継いでくれる相続人がいる場合は収益物件を保有し続けて相続する、もしくは経営管理も合わせて生前贈与するなど、考えられるだけの出口戦略を持っておくことも忘れないようにしましょう。
まとめ
収益物件の売却にあたっては、問題が差し迫ってから焦って売却しようと考えるのではなく、購入時から売却を想定した戦略を立て、計画的に売却することが収益物件を高く売却するポイントになります。
出口戦略は物件の種類や築年数、売却時の物件の状態によって異なるため、長期的な視野で計画を立てておきましょう。収益物件を高く売却するには、業者選びや売却タイミングを間違えないことが大切です。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。