不動産の名義変更手続きの基礎知識!必要な手順や書類、費用を紹介
2024.11.24不動産の所有者が変わる際は、名義変更の手続きが必要です。はじめて名義変更を行う方にとっては、なぜ手続きする必要があるのか、どのような方法で行うのかなど、分からないことが多いのではないでしょうか。名義変更は不動産の権利を正確に反映させるために必要であり、適切に行わないと後々のトラブルにつながることもあります。
この記事では、はじめて不動産を取得する方や名義変更の方法を知らない方に向けて、不動産の名義変更が必要となるケースや具体的な手続きの流れ、注意したいポイントを詳しく解説します。手続きをスムーズに進めるための参考にしてください。
▼この記事の内容
●不動産の所有者が変わるときは、法務局にて名義変更の手続きが必要
●名義変更が必要なケースは「売買」「相続」「贈与」「離婚による財産分与」の4つ
●名義変更をしないと、自分が所有者であることを公的に証明できない
●名義変更の手続きの流れは ①必要書類の準備 ②登記申請書の作成 ③法務局に申請 ④法務局から書類を受領する
●名義変更でかかる費用は主に書類の取得費用、登録免許税、司法書士報酬、その他税金
●自分で名義変更を行うことも可能だが、資産に関する大切な手続きのため司法書士や物件を管理している賃貸管理会社などの専門家に依頼するのが無難
目次
不動産の名義変更とは
不動産の名義変更とは、特定の不動産の所有者を変更するために必要な登記手続きのことを指します。主に売買や贈与、相続などによって、不動産の所有者が変わる際に実施される手続きです。
所有権は不動産を所有する権利であり、登記を行うことでその権利が公式に証明されます。旧所有者の名前のままでは、税金や管理の責任が旧所有者に残り、実質的な所有者であっても売却したり担保設定したりすることはできません。さらに、将来的に法的なトラブルに巻き込まれる可能性もあるため、名義変更は安心して不動産を利用するために欠かせない手続きといえるでしょう。
名義変更に要する期間
不動産の名義変更にかかる期間は、1ヶ月程度を目安にしましょう。申請後、法務局で行われる審査には通常1~2週間程度かかります。申請期間に加え、申請前の必要書類を揃える準備期間や、申請後に不備が見つかった場合の修正・再提出にかかる期間も考慮しておくことが大切です。
特に権利関係が複雑なケースでは、通常よりも名義変更にかかる期間が長くなる可能性があります。中でも相続による名義変更には期限が設けられているため、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。
名義変更を行う場所
不動産の名義変更は、該当する不動産を管轄する法務局で行います。法務局に出向いて窓口で申請するほか、郵送やオンライン申請も可能です。窓口・オンラインともに対応は平日のみで、時間は以下のとおりです。
- 窓口:8:30~17:15
- オンライン:8:30~21:00
※参考:法務局
名義変更手続きは申請場所や時間がかぎられているため、余裕を持って手続きできるよう計画的に準備を進めるようにしましょう。
不動産の名義変更が必要なケース
不動産の名義変更が必要になる代表的なケースは次の4つです。
- 売買
- 相続
- 贈与
- 離婚による財産分与
ここからは、それぞれの概要について解説します。
売買
不動産の売買取引成立後は、「所有権移転登記」による名義変更を行います。所有権移転登記は、買主が第三者に対して自分が対象不動産の所有者であることを証明する重要な手続きです。所有権移転登記によって公に売主から買主に所有権が移転され、登記簿上の名義が更新されます。
所有権移転登記は、売買取引の決済・引き渡し時に行われるのが一般的です。売買契約後、決済・引き渡しのタイミングまでに必要書類を揃えておく必要があります。
相続
相続により不動産を取得した場合、被相続人から相続人へと名義を変更する手続きが「相続登記」です。名義を変更してはじめて相続人は正式に不動産の所有者として認められ、今後の権利行使が可能になります。
注意したい点は、相続登記に期限が設けられていることです。相続登記が行われないままでいると、不動産の所有者が明確でない状態が続きます。近年、所有者不明の空き家が増え続けていることが社会問題となっており、所有者不明の不動産がある状態を解消するために相続登記を義務化する法改正が2024年4月1日に施行されました。
不動産を相続した場合、被相続人が亡くなってから3年以内に名義変更を完了しなくてはならず、登記を怠った場合には過料が科されます。
不動産相続の詳細については、以下の記事も参考にしてください。
■参考記事:不動産相続の流れと必要経費 遺産分割の方法と注意点も解説
贈与
不動産を贈与した場合、贈与者から受贈者に名義が変更されることで、登記簿上の所有者が正式に受贈者に移ります。贈与の名義変更にあたっては、贈与契約が成立した時点で行うのが一般的です。
受贈者には贈与された財産に応じて贈与税が課税されます。年間110万円を超える贈与が行われた場合、超過分に対して贈与税が発生するので、事前に税金の負担を考慮することが重要です。
相続税対策として生前贈与を利用するケースもありますが、不動産の生前贈与にはメリットとデメリットがあります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
■参考記事:不動産を生前贈与したほうがいいケースとメリット・デメリットを解説
離婚による財産分与
財産分与は民法に定められた制度で、離婚をした者の一方が他方に対して共有財産の分与を請求できる権利です。基本的には夫婦間の話し合いによるため、財産分与が行われないケースもありますが、夫婦のいずれか一方の名義になっている財産でも、婚姻中に取得したものは共有の財産と見なされます。
そのため、婚姻中に購入した自宅に離婚後も夫婦のどちらかが住み続ける場合には、状況に応じて名義を変更しなくてはなりません。共有名義の場合は特に注意が必要で、名義変更を行わずにそのままにしておくと、知らないうちに名義人が不動産を売却するなどのリスクが生じます。今後のトラブルを避けるためにも、適切なタイミングで名義変更を行うことが重要です。
不動産の名義変更をしないとどうなる?
上述のとおり、名義変更を行わないかぎり不動産に対する自分の権利を主張できません。旧名義のままでは第三者に不動産を勝手に売却されたり、担保に入れられたりする可能性があり、法的に不利な状況に陥ることがあります。
また、自分の資産であることが証明できないため、反対に自ら不動産を売却したり担保にして融資を受けたりすることも不可能です。相続税の控除を受ける際にも名義変更が必要で、適切に手続きを行わなければ高額な税金を支払う羽目になりかねません。
リスクを避けるためにも、不動産の名義変更は適切に行うことが重要です。たとえ期限に余裕がある場合でも、速やかに手続きを進めるようにしましょう。手続きが複雑で面倒に感じる場合は、早めに専門家に相談するのがおすすめです。
不動産の名義変更の流れ
不動産の名義変更手続きの流れは、以下のとおり発生原因によってやや異なります。
発生原因 | 一般的な流れ |
売買 | 1.売買契約書作成 2.必要書類収集 3.登記申請書作成 4.法務局に申請 5.登記識別情報などの書類を受領 |
相続 | 1.必要書類収集 2.登記申請書作成 3.法務局に申請 4.登記識別情報などの書類を受領 |
贈与 | 1.贈与契約書作成 2.必要書類収集 3.登記申請書作成 4.法務局に申請 5.登記識別情報などの書類を受領 |
離婚(財産分与) | 1.離婚届提出 2.必要書類収集 3.登記申請書作成 4.法務局に申請 5.登記識別情報などの書類を受領 |
ここからは、共通する4つのステップについて解説します。
必要書類を揃える
まず行うことは、名義変更に必要な書類を揃えることです。どのような書類が必要なのかは後ほど紹介しますが、役所や各種機関で取得するものと、すでに手元にあるものがあります。必要な書類が分からない場合や紛失してしまった場合には、不動産会社や司法書士に相談しましょう。
揃えた書類は名義変更の申請時に法務局に提出します。手続きをスムーズに進めるためにも、漏れや不備がないようにしっかりと確認・準備しておくことが大切です。
登記申請書を作成する
登記申請書は法務局の窓口やホームページで入手できます。申請書には、所有者や不動産の情報、名義変更の理由などさまざまな記載項目があります。記入内容は正確である必要があり、不備があると手続きが遅れるため、申請書の作成にあたって不明点がある場合には法務局に相談することが重要です。
なお、司法書士に名義変更の手続きを依頼する場合は、申請書の作成も含まれます。専門家の手にかかれば書類の誤りや不備を防げるので、手続きをスムーズに進めるために助けを借りるのも一つの方法といえるでしょう。
法務局に申請する
必要書類と登記申請書が揃った時点で、不動産を管轄する法務局に提出します。申請方法は窓口・郵送・オンラインの3種類から選べるため、都合に合わせて方法を選択できます。
司法書士に手続きを依頼している場合は、登記申請書の作成から法務局への申請まで代行してくれるため、手間を大幅に軽減できるでしょう。法的な手続きに関する専門家であり、必要書類の確認や申請手続きに精通しているため、安心して任せられます。不動産に抵当権が設定されている場合は、名義変更と同時に抵当権抹消登記を行うのが一般的です。
登記識別情報などの書類を受領する
名義変更の申請後、問題がなければ通常は2週間程度で登記が完了し、法務局から登記識別情報などの書類が返却されます。
登記識別情報は将来的に不動産を売却したり、担保に入れたりする際に必要なものであり、紛失すると自分が所有する不動産であっても権利を証明できなくなってしまいます。紛失や盗難などに十分注意して、大切に管理するようにしてください。
不動産の名義変更に必要な書類
不動産の名義変更手続きに必要な書類は、以下のとおり発生原因によって異なります。
【売買】
売主 | ・住民票または戸籍の附表(登記上の住所と住民票の住所が異なる場合) ・印鑑証明書 ・本人確認書類(運転免許証やパスポートなど顔写真つきのもの) ・登記済権利証または登記識別情報通知 ・固定資産評価証明書 |
買主 | ・住民票 ・印鑑証明書 ・本人確認書類(運転免許証やパスポートなど顔写真つきのもの) |
【相続】
被相続人 | ・戸籍謄本(故人が生まれてから死亡するまで連続したもの) ・住民票の除票または戸籍附票(故人の最後の住所地が分かるもの) |
相続人 | ・戸籍謄本(法定相続人全員) ・遺産分割協議書 ・印鑑証明書(相続人全員) ・住民票(不動産を取得する相続人) ・相続する不動産の固定資産評価証明書 ・相続する不動産の登記事項証明書 |
【贈与】
共通 | ・贈与契約書 |
贈与者 | ・印鑑証明書 ・登記済権利証または登記識別情報通知 ・固定資産評価証明書 ・住民票または戸籍附表(登記上の住所と住民票の住所が異なる場合) |
受贈者 | ・住民票 |
【離婚(財産分与)】
不動産を渡す側 | ・印鑑証明書 ・登記済権利証または登記識別情報通知 ・固定資産評価証明書 ・住民票または戸籍附表 (登記上の住所と住民票の住所が異なる場合) ・戸籍謄本(離婚日が記載されているもの) |
不動産をもらう側 | ・住民票 ・固定資産評価証明書(裁判離婚の場合) ・調停調書、和解調書など(裁判離婚の場合) |
上記のうち住民票や印鑑証明書は、申請からさかのぼって3ヶ月以内に取得したものが求められるため、取得のタイミングに注意してください。なお、状況によっては上記以外にも書類の提出を求められる可能性があるので、事前に司法書士に確認することをおすすめします。
登記識別情報
登記識別情報は、不動産の登記名義人ごとに発行される12桁の符号です。登記手続き後に法務局から「登記識別情報通知書」として交付され、符号には目隠しシールが貼られています。登記識別情報は再発行や変更ができないため、厳重に保管する必要があります。
- 取得場所:不動産の所在地を管轄する法務局
- 取得方法:窓口または郵送で申請
登記原因証明情報
登記原因証明情報とは、不動産の名義変更の理由を証明するための書類です。具体的には売買契約書や贈与契約書、相続の場合は遺産分割協議書のことを指します。
売買契約書や贈与契約書は取引時に、遺産分割協議書は合意した時点で作成し、手元に保管するのが一般的です。登記原因証明情報は、登記申請の際に名義変更の正当性を示すために使用します。
固定資産評価証明書
固定資産評価証明書とは、不動産の固定資産税評価額を証明する書類です。不動産の評価額のほか、所在地や所有者の情報が記載されており、名義変更手続きの際に必要となります。
- 取得場所:不動産が所在する市区町村役場
- 取得方法:窓口または郵送(一部自治体ではオンライン申請も可)
住民票
住民票は個人の住所や氏名、性別、生年月日などの基本情報が記載された公的な書類です。不動産の名義変更手続きでは、申請者の本人確認や名義変更先の情報を証明するために使用します。なお、コンビニ交付サービスを実施している自治体の場合、マイナンバーカードを利用して最寄りのコンビニから取得することが可能です。
- 取得場所:居住地の市区町村役場
- 取得方法:窓口または郵送(一部自治体ではオンライン申請も可)
印鑑証明書
印鑑証明書は、特定の印鑑が本人のものであることを証明する公的な書類です。不動産の名義変更手続きでは、申請者の本人確認や契約書に押印した印鑑の正当性を確認するために使用します。住民票と同じく、自治体によってはコンビニ交付サービスで印鑑証明書を取得することが可能です。
- 取得場所:居住地の市区町村役場
- 取得方法:窓口または郵送(一部自治体ではオンライン申請も可)
本人確認書類
本人確認書類とは、申請者の身元を確認するための公的な書類を指し、運転免許証やパスポート、健康保険証などが該当します。不動産の名義変更手続きにおいては、本人確認のために必要です。本人確認書類は既に所有している場合がほとんどなので、特別に取得する必要はありません。ただし、有効期限が切れているものは使用できないため、有効期限内の書類を用意するようにしましょう。
遺産分割協議書
遺産分割協議書とは、相続人全員が合意のもとで遺産を分割する内容を文書化したものです。遺産分割協議書は、相続による不動産の名義変更手続きにおいて必要不可欠で、相続人全員の署名・押印が求められます。
相続人の間で合意を得た内容を文書化するだけですが、公正証書として作成すると法的な効力が高まります。公証役場で手続きが可能なので、必要に応じて利用するとよいでしょう。
戸籍謄本
戸籍謄本は、個人の出生・婚姻・死亡などの基本情報が記載された公的な書類で、家族構成を示すものです。相続や贈与などの理由で不動産の名義を変更する場合、所有者の身分を確認するのに使用します。
- 取得場所:居住地の市区町村役場
- 取得方法:窓口または郵送(一部自治体ではオンライン申請も可)
売買契約書、財産分与契約書、贈与契約書
売買契約書や財産分与契約書、贈与契約書には、それぞれの取引の条件や合意内容が明示されています。所有権移転の根拠となるため、不動産の名義変更手続きに欠かせない重要な書類の一つです。
契約書は関係者の合意のもとに作成されるもので、住民票などの公的書類のように何度も発行できるものではありません。そのため、取引時に受領した書類は大切に保管しておく必要があるでしょう。
不動産の名義変更にかかる費用
不動産の名義変更にかかる費用には、以下のように発生原因にかかわらず必ずかかる費用と、原因別に発生する費用があります。
発生原因 | 必要な費用 | 原因別に発生する費用 |
売買 | ・書類の取得費用 ・登録免許税 ・司法書士報酬 | ・不動産取得税 ・譲渡所得税 |
相続 | ・相続税 | |
贈与 | ・贈与税 | |
離婚(財産分与) |
ここからは、それぞれの内容と金額の目安について解説します。
書類の取得費用
不動産の名義変更に必要な公的書類の取得にかかる費用の目安は、以下のとおりです。
書類 | 1通あたりの費用 |
住民票 | 300円 |
印鑑証明書 | 300円 |
戸籍謄本 | 450円 |
固定資産評価証明書 | 200~400円 |
登記事項証明書 | 480~600円 |
書類発行にかかる費用は取得方法や自治体によって異なるため、事前に確認するようにしてください。
登録免許税
登録免許税は、不動産の名義変更や抵当権設定などによって登記する際に発生する税金です。税率は下記のとおり、登記の種類によって異なります。納税額は「固定資産税評価額×税率」で算出します。(抵当権設定登記の場合、「債権額×税率」)
発生原因 | 登記の種類 | 税率 | 軽減税率 |
売買 | 所有権移転登記(土地) | 2.0% | 1.5%(2026年3月31日まで) |
所有権移転登記(家屋) | 2.0% | 0.3%(2027年3月31日まで) | |
抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1%(2027年3月31日まで) | |
相続 | 所有権移転登記 (土地・家屋) | 0.4% | なし |
贈与 | 所有権移転登記 (土地・家屋) | 2.0% | なし |
離婚(財産分与) |
登録免許税は申請時に法務局で納めるため、いくらくらいになるのかを事前に確認しておきましょう。
司法書士報酬
不動産の名義変更にかかる司法書士報酬は、登記手続きにおける専門的なサポートに対する費用です。司法書士は登記申請書の作成や必要書類の確認・提出を行い、手続きがスムーズに進むようにサポートします。
報酬は名義変更の発生原因や不動産の所在地、手続きの複雑さによって異なりますが、一般的には5万〜10万円程度が目安です。実際の報酬額は司法書士によっても異なるため、事前に見積もりをとって確認するようにしましょう。
その他
不動産の名義変更を行った結果、原因別に税金が発生する可能性があります。どのような税金がかかるのか、納税額はいくらくらいなのかを把握して、事前に準備することが大切です。
不動産取得税
不動産取得税は、新たに不動産を取得した際に課される地方税です。税率は「不動産の評価額×4%」ですが、2027年3月31日までは軽減税率(3%)が適用されます。
不動産取得税の納付については、通常、登記後数ヶ月以内に自治体から納税通知書が届きます。支払期限が記載されているため、期限内に所定の方法で納めるようにしてください。
譲渡所得税
譲渡所得税は、不動産を売却して得た利益に対して課される税金です。売却価格から取得費用や譲渡にかかった費用を差し引いた利益に対して課税されます。税率は不動産の所有期間に応じて、以下のとおり異なります。
所有期間 | 区分 | 所得税 | 住民税 |
売却した年の1月1日現在で5年を超える | 長期譲渡所得 | 15% | 5% |
売却した年の1月1日現在で5年以下 | 短期譲渡所得 | 30% | 9% |
税額は譲渡所得の計算に基づき、確定申告で納付しましょう。2037年までは復興特別所得税(税率2.1%)をあわせて申告・納付する必要があるため、注意が必要です。
相続税
相続税は、不動産を含む相続財産の総額の評価額に基づき、基礎控除(3,000万円+法定相続人1人あたり600万円)を超える財産に対して発生する税金です。税率は相続財産の総額が大きくなるほど高くなり、10~55%までの累進税率が適用されます。相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内で、一括または分割での納税が可能です。
なお、特定の条件を満たす不動産については優遇措置があり、税額控除を受けられることがあります。実際の納税額は相続人の人数や相続分によって変動し、計算方法も複雑です。申告期限が定められているため、相続発生後は速やかに税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
※出典:財産を相続したときの税金|国税庁
贈与税
贈与税は財産を贈与した際に発生する税金で、贈与を受けた側に納税義務があります。課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があり、いずれかの課税方法を選択することが可能です。税率は10〜55%の累進課税で、評価額は相続税の評価基準から基礎控除(110万円)を差し引いた額を用います。不動産の場合、路線価や固定資産税評価額を用いて算出します。
贈与税の納付は、贈与を受けた年の翌年の確定申告で行わなければなりません。暦年課税か相続時精算課税かによって、また誰から贈与されたかによって計算方法が異なるため、相続税と同じく税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。
※出典:財産をもらったときの税金|国税庁
不動産の名義変更手続きの期限と納税の期限
先述のとおり、不動産の名義変更手続きには期限が設けられているものがあり、早めの対応が必要です。また、名義変更によって発生する税金の納付にも、以下のように期限があります。
発生原因 | 名義変更期限 | 税金納付期限 |
売買 | ー | ・不動産取得税:納税通知書に記載された納付期限 ・譲渡所得税:取引の翌年2月16日~3月15日(確定申告) |
相続 | 相続開始から3年以内 | 相続税:相続開始の翌日から10ヶ月以内(税務署) |
贈与 | ー | 贈与税:贈与を受けた翌年2月16日~3月15日(確定申告) |
離婚(財産分与) | ー | 贈与税:分与を受けた翌年2月16日~3月15日(確定申告) |
不動産の名義変更に期限があるのは相続のみです。しかし、名義変更しないかぎりは自分に所有権があることを証明できないため、早めに手続きを終わらせることをおすすめします。
確定申告は例年2月16日~3月15日に行われますが、その年の暦によって日程がずれることがあります。事前に国税庁のホームページなどで確認しましょう。
特に注意したいのは相続税です。相続登記は遺産分割協議がまとまってからでなければ行えないため、3年以内という期限が設けられています。一方、相続税の申告は相続財産が分割されていない場合でも上記の期限内に行う必要があります。各相続人が民法に規定する相続分を受け取ったものとして申告・納税し、協議がまとまって相続財産の分割が行われてから修正申告または更生の請求を行いましょう。
不動産の名義変更は自分でもできる?
不動産の名義変更は自分で行うことも可能です。手続きを自分で行えば、司法書士への報酬分が節約できます。平日の日中に時間が取れる方や、不動産・法律関連の専門知識がある方、手続きの手間を感じない方は自分で行うのもよいでしょう。
ただし、登記内容に誤りがあったり書類に不備があったりすると、スムーズに手続きが進みません。必要な知識がないとトラブルに発展する可能性もあるため、不安な場合は登記の専門家である司法書士や物件を管理する不動産会社に任せるのが無難です。賃貸経営をしている収益物件の場合は、賃貸管理会社がトータルサポートしている会社もあるのでご確認ください。
不動産の名義変更をする際のポイント
不動産の名義変更手続きをスムーズに行うために、以下のポイントを押さえておきましょう。
現在の登記名義人を確認する
不動産の名義変更を行う際、現在の登記名義人を確認することが重要です。売買の場合、名義変更手続きは売主が登記名義人であることが前提であり、相続の場合は被相続人が登記名義人でなければ手続きが進みません。
登記名義人を確認するには、法務局で登記事項証明書を取得する必要があります。オンラインでも申請できるため、事前に取り寄せて確認しておきましょう。
まとめ 名義変更によって取得する不動産の資産活用も考えよう
不動産の名義変更は、売買や相続、贈与などさまざまなケースで必要となる手続きです。名義変更を行わないと、権利関係の不明確さによってトラブルが生じるリスクがあるため、速やかに手続きを行いましょう。手続きが不安な場合、専門家である司法書士に依頼することをおすすめします。
【リロの不動産】では、名義変更の手続きをサポートする司法書士を紹介できるほか、必要に応じて取得した不動産の最適な活用方法の提案が可能です。不動産についてのお困りごとがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。