空室の原因を解決する『4つの空室対策』とは?14種類の手法を徹底解説!
2024.11.05空室対策は賃貸用不動産をお持ちの方にとって永遠の課題で、「もっと空室率を低く抑えるにはどうすればいいのか?」という悩みを抱える方は少なくありません。
そして、これから不動産投資やアパート・マンションの賃貸経営を始めようと考える方にとっても、空室対策の手法や考えるべき順番、どのような空室対策を行うと高い効果が期待できるのかを知っておくことは、将来のリスクを最小限に抑えるために非常に重要なことです。
実は、空室対策としてよく提案される手法の中には、一時的な効果しか期待できないものや、よく考えずに行ってしまうと逆効果になる可能性があるものも存在するため、安易に取り組んでしまうと後悔する場合もあるでしょう。
本記事では、空室発生の代表的な原因を解決するフレームワークである、『4つの空室対策』である①募集対応、②仲介対応、③管理対応(入居者管理/建物管理)、④設備・工事対応に当てはめて、14種類の空室対策手法について詳しく解説します。
▼この記事の内容
●空室率を低く抑えるための「4つの空室対策」を解説
●①入居者募集対応 ②仲介対応 ③管理対応(入居者管理/建物管理) ④設備・工事対応の4つの要素に関連する対策を漏れなく紹介
●空室対策を怠ると賃貸物件の入居率が低下し、収益低下を招く
●少子高齢化が進み、空室問題はさらに深刻になると予想されている
●4つの空室対策は賃貸経営安定のカギとなる
目次
アパート・マンション経営の要!『4つの空室対策』とは?
まず、全国賃貸住宅新聞「2022年賃貸仲介件数ランキング」にて、全国6位の仲介実績を持つリロパートナーズのブランドである【リロの不動産・リロの賃貸】が推奨する『4つの空室対策』について解説しましょう。
『4つの空室対策』とは、【リロの不動産】が考案した空室発生の代表的な要因を解決するフレームワークとなります。①入居者募集対応、②仲介対応、③管理対応(入居者管理/建物管理)、④設備・工事対応という賃貸経営に必要不可欠な4つの要素に関連する対策を指します。
安定したアパート・マンション経営を継続させるためには4つの対策の優先順位や実施タイミングなど注力するバランスが重要になります。
それぞれの重要性は以下のとおりです。
①【募集対応】入居者の募集力について
物件のお問い合わせを増加する募集力を高める施策が一番大切です。
近年の入居希望者様はインターネットを通じてお部屋探しをされることが主流になっています。住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)に物件を魅力的に掲載する方法や、閲覧数などの数値を基にデータドリブンに改善を続けることは、安定的な賃貸経営を継続するためには必要不可欠です。
そのうえで、自社HPやメディア/SNSなどのデジタルを上手に活用して集客できる賃貸管理会社や、法人や大学との連携など独自の集客ネットワークを活用することで、入居希望者様からのお問い合わせを増加できるでしょう。募集活動を行う前の事前調査や分析も重要です。
地域特性を踏まえ物件の優位性を探す競合物件調査により、募集物件の魅力を引き出す要素を洗い出します。賃貸経営データを活用するターゲット選定や募集内容の精査により入居希望者様に広くお部屋の存在をお伝えいたします。
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②【仲介対応】仲介の対応力について
各物件に合った入居者様をご紹介するためには、近隣の競合物件動向や、地域の需要をよく理解し、顧客管理を適切に実施していることが重要です。
地域で数十年以上の賃貸管理業を営んでいる老舗の賃貸管理会社や不動産屋さんであれば、入居希望者様のご希望とマッチする物件紹介に期待が持てます。仲介業務で大切なことは入居希望者様が大切にされていることを捉え、ご希望の物件をご紹介することではないでしょうか。
管理を一任されている不動産オーナー様からの期待も大きいと思います。だからこそ、顧客満足度を高める工夫が必要です。
例えば、寒い時期にはホッカイロをお渡しする工夫や、顧客管理システムの情報を利用した適切で迅速なフォロー、覆面調査などで顧客への対応力を客観的に把握する取り組み、入居時のアンケートで顧客満足度を定点観測して改善する取り組みなど、複合的な対応が求められる時代になりました。
入居者様にとって、物件の良し悪しだけではなく、対応してくれる担当者の印象も、入居後に安心できるかを測る重要な判断材料となります。
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③【管理対応】入居者満足度を高める賃貸管理について
空室率を低く抑えるためには、入居者様へのトラブルや建物管理の不具合を早期に解消し、管理対応の不満による退去を未然に防ぐことが重要です。ソフト面の入居者管理とハード面の建物管理に焦点を当ててご紹介します。
入居者様のサポートをする「入居者管理」では、24時間365日のトラブル対応窓口が普及してきました。快適な暮らしをするために、入居者目線に立った優待サービスが付帯する賃貸管理会社も存在します。入退去時にアンケートを実施して顧客満足度の向上に努めていれば、前述の対応不備による退去は減少するでしょう。
また、適切な入居者審査を行うことで物件にお住まいになる方々の価値観も近しくなり、様々なトラブルを事前に予防することが期待できます。
ハード面の対応として代表的な「建物管理」では、清掃やメンテナンスを定期的に実施して快適な環境を維持します。清潔感あふれる状態を維持することで内見時に好印象を残し、共有設備の不具合についても早期対策が行いやすくなるでしょう。
ソフト面・ハード面で定期的かつ適切な対応をして、つねに入居者満足度を高めておくことが、空室対策として非常に重要です。
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④【設備・工事対応】原状回復/リフォーム・リノベーション/大規模修繕の対応について
実物資産である不動産は、建物や設備の対策を行わずに長い年月が経過すると、経年劣化により、設備の故障リスクが高まります。時代の経過とともに入居者ニーズも変化するため、近隣の競合物件より古さが目立ち空室が継続する場合は設備・工事関連の対策を検討するタイミングになります。
原状回復時に設備入れ替えやリフォームをすることが多いのですが、入居者ニーズを反映することで投資金額を最小限に抑えることができます。
外部環境の変化が大きい昨今では、実質負担0円で設備投資が行える『割賦対応』により工事資金のバックアップをするパートナーなら、賃貸経営の収支を改善するための大型リフォームや賃貸経営に最適なリノベーション工事のほか、大規模修繕対応も計画的に実施しやすく、大切な物件の資産価値や競争力、収益性を回復させる一手を打つことができます。
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長期的に入居率を高めるおすすめの空室対策!7つの手法とは?
多くの空室対策の中から、入居率を長期的に高めることができる代表的なおすすめの空室対策を費用や手間がかからない順に7つ紹介します。
手法1【募集対応】募集内容の改善と物件情報の露出先を広げる
インターネットでお部屋を探している人の目に留まるように、メディアに掲載される物件情報の順位を上げる各種調整、物件の魅力が伝わるように、文言や写真、図面などを工夫するだけでも、内見希望者の増加が期待できます。
この手法は、基本的にお金をほとんどかけなくても行えるため、早期に実施することをおすすめします。入居希望者様からの反応が少ないようなら、チラシのブラッシュアップや募集の露出先を広げてみるほか、必要に応じて看板の設置を検討することで状況の改善が期待できます。
入居者募集は全て不動産仲介業者に任せているという場合であっても、SUUMO・HOME’S・at-homeなどの住宅情報サイトに、どのようにご所有の物件が掲載されているのかを確認するひと手間が大切です。気になる内容を発見された際は、修正の相談を管理会社にしてみましょう。
実は深い狙いがある見せ方をしている可能性もあるため、管理会社と二人三脚で改善すると早く効果が出るでしょう。なお、後述いたしますが、募集賃料の見直しは最終的な判断として考えることをおすすめします。
手法2【管理対応】清掃を徹底する
共用部と専有部を清潔に保てないと、内見に来られた方に悪い印象を与え、入居先の候補から除外される可能性が高まります。共用部の中では、駐輪場やポスト周り、ごみ置き場などがよく見られています。お住まいになる方の特徴により、共用部は散らかりやすい傾向もあるため、定期的に清掃し、綺麗な状態を保つことが大切です。
お住まいになる専有部も、汚れや損傷が目立つ状態では敬遠されてしまうため、退去後は迅速に原状回復工事を行って、すぐに内見者を迎えられるよう準備を整えましょう。管理戸数の多い賃貸管理会社は定期的に仕事があるため工事対応するパートナーも多く施工期間も短くなる傾向があります。
退去されてから空室期間が長期にわたる場合は、水回り(排水管)のにおいが部屋に充満してしまうことがあります。においが上がってこないように大元となる排水溝を塞ぎ、内見前に空気を入れ替えるようにするなど、ちょっとした工夫で予防することができます。
このように、せっかく内見に来てくださった方に悪い印象を持たれないよう、日頃から清掃を徹底して清潔な状態を保つことが大切です。
手法3【設備・工事対応】人気設備を導入する
近年需要が高い、無料のインターネットや、オートロック、TVモニターフォン、宅配ボックス、浴室乾燥機、最新のエアコンなどの人気設備が導入されていれば、競合物件と比較して優位性が向上します。設備投資には一定の費用がかかるため、優先順位や導入時期を踏まえた対策が必要です。
全国的なトレンドや地域性もありますが、ご入居される方々のニーズを意識することが大切です。導入した設備が入居者ニーズにマッチしない場合、付加価値を感じにくくなり空室対策に寄与しないこともあります。
ミニマム投資でより高い効果を得るためには、入居者アンケートなどで集約したニーズを参考にして、入居者様が求めている設備を優先的に導入することで、入居者募集や仲介業務で訴求力が向上し、リーシング及び空室対策に活かせるでしょう。
また、入居者様の好みがあるからと照明を設置していない物件もありますが、内見に行った物件が暗いことで、セキュリティ上の観点から悪い印象を持たれてしまう可能性もあります。照明は安価で対策ができ、好印象が期待できるため、省エネ対応のLED電球の交換や照明の設置を検討する価値は高いでしょう。
手法4【設備・工事対応】リフォーム・リノベーションを行う
賃貸不動産オーナー様が行う空室対策として、物件を良い状態に保つことは非常に重要です。そのうえで、「原状回復」「リフォーム」「リノベーション」の違いをしっかりと理解しておきましょう。これらの対策を適切に使い分けることで、物件の魅力を高め、入居率の向上が期待できます。
原状回復・リフォーム・リノベーションのそれぞれについて、【リロの不動産・リロの賃貸」の具体的な導入事例を交えながら簡単に紹介します。
原状回復
原状回復は、前の入居者が退去した後、物件を契約時の状態に戻す作業を指します。基本的には、クリーニングや破損箇所の修理、壁紙の張替えなどが含まれます。目的は、新しい入居者が快適に住めるようにすることですが、設備のグレードアップは行いません。
国土交通省によると、原状回復は「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。
賃借人(入居者様)の善管注意義務とは、「善良なる管理者の注意義務」という意味であり、部屋を使用する際に壁や床など建物自体や設備を乱雑に扱ってはいけないということを指します。善管注意義務は民法の原則でもあり、一般的な利用方法として想定される扱いでは起こり得ないような建物自体や設備の損耗・毀損については入居者に原状回復の義務があります。
【原状回復事例】
【リロの不動産・リロの賃貸】では、アクセントクロスや琉球畳を使用して、落ち着きのある大人な空間に手掛けたリフォーム事例がございます。和室を洋室にリフォームする提案だけではなく、地域性やターゲットに応じてご提案をさせていただきます。キッチンや浴室、トイレにこだわりをお持ちの入居者様も多いため、水回りのリフォームも人気です。
<概要>
物件の設備や間取りが、近隣の競合物件よりも大幅に見劣りするようであれば、地域の賃貸需要とトレンドを把握した上で、間取り変更や人気設備の導入をするリノベーションはいかがでしょうか。リノベーションのポイントは、地域性と入居者ニーズを把握し、想定ターゲットの入居者様が求める空間を実現し、付加価値を生み出すことです。
例えば、賃貸物件の検討候補から除外されやすい3点ユニットバスの仕様であれば、トレンドの設備に変更することで、募集時の露出機会を増加させることが期待できるでしょう。あわせて間取りを変更することで快適な居住空間を維持できます。暮らしの在り方を変えることで付加価値が生まれ、賃料アップや空室期間の短期化が期待できます。
間取り変更や設備の入れ替えにかかった費用もまた、原状回復工事の費用と同様に、経費計上が認められています。ただし、金額や耐用年数に応じて、導入した設備を減価償却していくことになるため、導入したその年にかかった費用の全額を経費計上できるわけではない点に注意が必要です。
リフォーム
リフォームは、設備や内装の老朽化に対処するための修繕や改修を行うことを指します。例えば、古くなったキッチンやバスルームの交換、床材の張替えなどが含まれます。原状回復よりも手間とコストがかかりますが、物件の価値を維持するために重要です。
賃貸経営においては、時代や顧客ニーズに応じたリフォームは避けられません。リフォームすべきタイミングに放置してしまうと、外観や設備の劣化・陳腐化によって物件自体の競争力が低下して入居率が下がり、家賃収入の低下を招く恐れがあります。
細かなリフォームを怠ったことにより家賃収入が低下して貯蓄を十分に用意できないと、外壁や屋根などの大規模修繕が必要となった際にも費用を確保できずにより一層の老朽化が進むという「負のスパイラル」に陥ってしまうでしょう。
設備のリフォームとしてポピュラーなものは、部屋の間取りに合わせた3点ユニットバスの分離です。トイレとバスを分離すると、多様な入居者のニーズに応えることができ、大幅な入居率の向上につながるでしょう。
【リフォームの導入事例】
【リロの不動産:賃貸経営リフォーム事例】
3点ユニットバスを、生活スペースを確保しながらバス・トイレ分離しました。間取りを1Kから1Rに変更、オープンクローゼットの採用で、居住空間を広くする工夫を取り入れました。本物件は、実質負担0円でリノベーションができる「割賦・借上プラン」をご提案したリノベーション事例です。
<概要>
リノベーション前の家賃 | 3.1万円 |
リノベーション後の家賃 | 4.5万円 |
構造 | RC造 |
間取り | 1R(17.7㎡) |
築年数 | 33年 |
リノベーション
リノベーションは、物件の価値を大幅に向上させるための大規模な改修を指します。なかでも、お部屋や建物全体をリノベーションすることを「フルリノベーション」と呼びます。間取りの変更や、デザイン性の高い内装への変更、新しい機能の追加などが含まれます。フルリノベーションはコストが高いものの、競争力を大幅に高めることができ、より高い賃料での募集が可能となります。
競争力の向上を狙い、物件自体をよりバリューアップさせるためにフルリノベーションを実施するケースは少なくありません。フルリノベーションを行う場合は、物件の柱や梁、床などの躯体を残していわゆる「スケルトン」状態にしてから改修をします。床材や壁紙、天井、システムキッチンなどの設備を丸ごと一新し、新築に近い見た目に作り変えることで、入居率の向上に大きく貢献するでしょう。
【フルリノベーション事例】
【リロの不動産:賃貸経営リノベーション フルリノベーション事例】
元々倉庫として活用していた部屋を賃貸経営可能なお部屋にコンバージョンしました。フルリノベーションすることで、リフォーム前の賃料0円から6.5万円の賃料収入を得られるようになりました。
工事対応だけではなく、物件の魅力を引き出し企画に伝える入居者募集や仲介業務を包括するリーリング活動や賃貸管理業務や売買・相続などの相談もできるトータルサポートが可能な点も、ご依頼いただくポイントになりました。
<概要>
※リンク
リノベーション前の家賃 | 非賃貸のためなし |
リノベーション後の家賃 | 6.5万円 |
構造 | 木造 |
間取り | 1R(24㎡) |
築年数 | 22年 |
工事・設備投資にかかった費用は不動産賃貸業の経費にできるため、相続税対策を考え始めたタイミングで、節税対策の一環としてリフォームやリノベーションを検討するのもいいでしょう。
手法5【仲介対応】不動産仲介業者との関係を強化する
低い空室率を維持向上するためには、賃貸管理会社や不動産仲介会社と、良好な関係を築くことも大切です。定期報告を受ける際に担当者と積極的なコミュニケーションを図り、優先的に入居者様を案内してもらえるよう工夫してみましょう。
定期的に不動産の専門家と話をすることは、担当者へ積極的に賃貸経営に関わる姿勢を見せることができるだけではなく、法改正の情報や、地域の動向など最新情報を得る絶好の機会にもなります。
現在お任せになっている不動産仲介パートナーの対応に不満があり、空室改善の見込みも低いのであれば、新たな仲介パートナー探しの検討をおすすめいたします。
手法6【管理対応】賃貸管理会社や清掃業者を切り替える
募集や仲介などのリーシング対応や入居者様・清掃・メンテンナンスなどの各種対応に課題が残り、長期間にわたり空室が改善しないようであれば、賃貸管理会社の変更を検討してもよいでしょう。
賃貸管理会社の変更には事前の通知や入居者様に迷惑をかけない準備も必要になります。問題が深刻化する前に、次の賃貸管理会社候補を探し、問い合わせや資料請求をしてみるなど、早めの情報収集をされると安心できるしょう。
手法7【管理対応】顧客満足度を高める入居者管理にこだわる
空室率を低く保つためには、空室が出た際に、早急に対策を打つだけでは不十分です。キャッシュフローを正常に保つためには、空室が発生しないように退去予防になる施策を講じることも非常に重要と考えます。
365日24時間サポートなどが一般化している昨今、こまめなサポートや日々の清掃・点検などを徹底し、入居者様の不満を未然に防止することが大切です。入居者募集戦略を立てたうえで入居審査を徹底し、近しい価値観を保有する入居者様が集う住み心地のよい住環境を提供することができれば、入居者満足度が向上し、長くお住まいいただける可能性も高まります。
入居者様がお引越しされて手間がかかるのが、ライフラインの手続きです。ライフラインのサポートがあると入居してからお困りになることも軽減できるでしょう。
慎重に考えて実施すべき7つの空室対策
空室対策の中には、一度導入すると方針転換が容易にできない施策も存在します。以下に記載する空室対策をお考えの際には、長期的な視点でメリット・デメリットを比較し、慎重に考えて実施するべきです。
手法8【募集対応】フリーレント・キャンペーンを行う
「フリーレント・キャンペーン」とは、契約後1〜2ヶ月など一定期間の家賃を無料にすることで、入居者の初期費用負担を軽減し、物件の魅力を高める手段です。このキャンペーンは、短期間での空室解消や新規入居者の獲得に効果的で、競合物件との差別化にも役立ちます。
しかし、フリーレント期間は収益がゼロとなるため、期間が長すぎると、収益に悪影響を及ぼす可能性があり、適切かつ計画的な期間設定が必要です。キャンペーンが終了した後の家賃収入が安定するよう、契約期間や家賃の調整を十分に検討しましょう。
手法9【募集対応】家具付き物件にする
家具付き物件は、借り上げ社宅などとして法人が用意する物件として人気の施策です。ただし、一般的な賃貸住宅として、家具を用意する場合は、入居者様の好みや破損などの利用状況により、次の入居者募集の際に使いにくくなる可能性も考えられます。
入居者様が退去する際にも、引っ越し時に家具を持って行かれないように、家具管理や契約が必要となるため、慎重に検討する必要がある手法と言えます。
学生に特化している場合や、法人顧客の斡旋に強い企業の紹介がある場合など、やるべき理由を明確にしてから、導入を検討されるとよいでしょう。なお、導入時には募集物件の写真を家具付きで掲載して居住イメージを想起させるという募集強化施策にも利用できます。
手法10【募集対応】ペット可にする
ペット可にする懸念点として、住民トラブルへの発展や、部屋の損傷が激しくなる可能性が考えられます。特に、1棟のうち一部の住居のみをペット可にしてしまうと、トラブルが起こる可能性が高まるため、割り増しで礼金を取るなどの部分的な対策のほか、1棟全てをペット可に変更するなどの施策も検討する必要があります。
1棟全てがペット可であれば、価値観の近い入居者様を集客しやすくなり、ペットのお手洗いを用意するなど、トラブルを軽減する対策も実施しやすくなります。なお、原状回復では想定よりも多くの費用が発生する可能性が高まるため入居者様との契約内容を改めて確認してみてください。経験のある賃貸管理会社と見直すことで、想定できるリスクをコントロールできるでしょう。
手法11【募集対応】楽器可にする
防音対策を講じずに楽器可にしてしまうと騒音問題に発展する可能性が高まります。古い住宅の場合は、完全防音にすることが難しい可能性が高く、多額の施工費がかかる場合もあります。
工事費用を節約するために、防音対策が十分にできていないと、たとえ楽器を演奏できる時間帯が限定されていたとしても、さまざまな人が密集して暮らす都心などはクレームに繋がる可能性もあるので注意が必要です。
また、楽器可としている物件需要が少ない地域で、楽器演奏をする音大生専用やアーティスト向けの物件にしてしまうとミスマッチが起こります。物件の立地や特性によって向き不向きが分かれる手法といえるでしょう。
手法12【募集対応】外国人労働者向けにする
少子高齢化の影響を受け外国人労働者の需要が高まってきています。入居者募集に強い物件やセキュリティ意識の高い地域では厳しい募集条件を設定する傾向があります。そのような募集条件にマッチしない外国人を受け入れることで、一時的に空室が埋まる可能性は高くなります。懸念事項として、文化の違いから起こる住民トラブルが考えられます。
「ペット可」「楽器可」「外国人労働者向け」など、ターゲットを絞る施策をご検討する場合は、1棟物件やマンスリーマンション・シェアハウスなど価値観の近いコミュニティを形成する仕組みを構築することで、トラブルが起きるリスクを軽減することができるでしょう。
手法13【募集対応】敷金・礼金などの初期費用を減額する
敷金・礼金の減額や、一定期間の家賃を無料にするフリーレントにより、入居者様の初期費用の負担を軽減することで、空室改善が期待できます。
しかし、初期費用が少額ですむゼロゼロ物件には家賃滞納や退去費用の支払いでトラブルになるケースも存在し、予期せぬトラブルが起こりやすくなることが懸念されます。
安定した賃貸経営を続けていく上で、計画的に大規模修繕や設備投資の工事費用を貯蓄することも重要なポイントになります。毎月の賃料はもちろん敷金・礼金などでも原状回復や設備・工事資金を確保する方が健全な賃貸経営を行いやすいでしょう。物件の状態や実施タイミングによりメリットデメリットも異なるため、導入される前に賃貸管理会社と一緒に慎重にご検討ください。
手法14【募集対応】家賃を値下げする
いろいろ手を尽くしても入居者様が決まらない場合は、最後の手段として家賃の値下げを検討しましょう。
短期的な視点で考えた場合、家賃の値下げは最もシンプルな対策です。ただし、入居付けを焦って闇雲に値下げをするのではなく、地域の家賃相場や競合物件などと照らし合わせ、相応と思われる家賃に調整しましょう。
賃貸経営を行う上で、家賃の減額はおすすめしません。賃料を維持するリフォーム対応や、付加価値を加え収益も考慮する賃貸経営リノベーションなど、賃貸経営の収支を最適化する然るべき対応が安定的な収益をもたらします。
近隣の競合物件の賃料相場や設備を把握するレポートを提供する賃貸管理会社も存在します。賃貸管理会社と定期的なコンタクトを図り、現状把握するための材料を共有できると、より計画的な賃貸経営を行えるのではないでしょうか。
適切な空室対策が必要な理由
さまざまな手法をご紹介してきましたが、空室発生の代表的な原因を解決するフレームワーク『4つの空室対策』の視点が欠けていたら、どのようなリスクが高まるのかあらためて考えてみましょう。
①『募集対応』の視点が欠けていたら、限られた人にしか物件情報が届かなくなり、魅力的な物件情報を広く伝えられず、募集のお問い合わせと内見希望者が減少するでしょう。空室期間が長期化するリスクもあります。
②『仲介対応』の視点が欠けていたら、契約には至りません。また、物件と入居者様のミスマッチが起こり、クレームや入居者間トラブルのほか、早期退去などのリスクが懸念されます。
③『管理対応』の視点が欠けていたら、入居者様のトラブルサポートや建物の清掃が行き届かない状況になり、快適にお過ごしいただくことが難しくなります。入居者満足度が低くなり、長くお住まいいただく入居者様が減少するのではないでしょうか。間接的に仲介力の低下に結びつくリスクも懸念されます。
④『設備・工事対応』の視点がかけていたら、募集にも影響し空室期間が想定より長くなるでしょう。迅速な原状回復や設備投資・リフォーム・リノベーション工事が適切なタイミングで対応できない場合は、「負のスパイラル」に陥る可能性が高まります。周辺の競合物件とご自身の物件で比較した際、物件の競争力が低下することで家賃の減額対応を検討する必要も出てくるでしょう。
さらに、適切な修繕や工事対応を怠ると、より大きな費用をともなう工事に発展するリスクも存在します。
このように、4つの空室対策はどれが欠けてもいけないことがわかります。
空室対策を怠ると、賃貸物件の入居率が低下して、不動産投資における収益の低下を招いてしまいます。空室期間が長引けば家賃収入が減少し、費用が利益を圧迫します。さらに、空室が多いと物件の評判が悪化し、新たな入居者を確保するのもどんどん難しくなるでしょう。適切な空室対策を行えば、安定した収益を確保し、不動産投資の成功につながります。
さらに、空室対策の必要性が高まっている原因として、下の2つも念頭に入れておきましょう。
人口動態と空室率の上昇
日本の人口動態は不動産市場に大きな影響を与えます。2022年1月1日現在の住民基本台帳によると、全国の人口は総計1億2,592万7,902人であり、2009年をピークに13年連続で減少しています。人口増減のトレンドは簡単には変わらないため、今後も人口は減少していくことが予想できます。
特に地方都市や郊外では、人口減少が顕著であり、それにともない空室率が上昇しています。国土交通省のデータによると、2018年の全国平均の空室率は13.6%でしたが、地方ではこの数値がさらに高くなることが多いです。
人口減少は、特に若年層の減少と高齢化を伴います。これにより、賃貸住宅の需要が減少し、空室が増えるという状況が生まれます。このような人口動態の変化は、不動産投資家にとって空室対策を強化する必要性を高めています。入居者を確保するためには、物件の魅力を高めることや、柔軟な賃貸条件を提供することが求められます。
今後も少子高齢化が進むことで、空室問題はさらに深刻になると予想されています。
『4つの空室対策』を参考にして対策をバランスよく実行し、入居希望者様から選ばれる物件及び管理品質の維持向上に努めることは、空室問題を乗り越える上で重要な意味を持つといえるでしょう。
増加する賃貸住宅ストック
近年、賃貸物件の供給が増加していることも空室対策が必要な要因の一つです。
「平成30年住宅・土地統計調査」では空き家総戸数が848万戸で、そのうち51%が賃貸用であり、全国で432万戸もの賃貸住宅の空き家があることになります。
また、東京都の住宅着工統計によると、東京都内だけで毎年数万戸の新築賃貸物件が供給されており、供給過多が懸念されています。その一方で、リノベーションやリフォームによる中古物件の再活用も進んでおり、さまざまな要因から賃貸住宅の競争が激化しているといえます。
このように賃貸住宅ストックが増加している状況では、物件の質や価格、立地などで競争力を持たない物件は空室が続くリスクが高まります。さらに、経済状況の変動やライフスタイルの多様化により、入居者のニーズも変化しています。これに対応するためには、物件の設備やサービスを適宜継続的に見直していくことが重要です。
増加する賃貸物件ストックの中で不動産経営を成功させるためには、物件の差別化が不可欠です。リフォームにより入居者様が求める設備の導入や、リノベーションによる新しいターゲット層へのアプローチ。家具付き・ペット化の物件など独自の特徴を持たせることで、入居者様の関心を引きやすくなり、空室率を低下させて安定した賃貸経営ができるでしょう。
【リロの不動産・リロの賃貸】なら『4つの空室対策』で賃貸経営をトータルサポート!
今回は、空室発生の代表的な原因を解決するフレームワークである、『4つの空室対策』(募集対応/仲介対応/管理対応(入居者管理/建物管理)/設備・工事対応)の中で代表的な手法に重点を置いてご紹介しました。
空室対策といってもすぐに対応できるものから、費用や時間がかかるものや賃貸経営のパートナーとともに進める施策まで多種多様な手法が存在します。対策を行う目的や、どのくらいの期間保有する前提なのか、ご相続を考慮すべきかどうかなどによっても、おすすめする施策の優先順位や手法にも違いが生まれます。
空室対策により、住む人が快適さや満足を感じられる住まいにすることは共通していますが、賃貸経営では経営者としての視点を持ちながら空室対策を考えなくてはなりません。
費用対効果の高い空室対策やリーシングを行うためにも、ぜひ一度、【リロの不動産・リロの賃貸】へご相談ください。
当社は賃貸経営に必要なサービスをトータルサポートする賃貸管理会社として、入居者ニーズを的確に捉え、地域の特長を熟知し、大手のノウハウを用いたご提案を行います。ご依頼の管理物件については、入居者募集時・仲介時に魅力訴求を行い、成約率向上に向けてバックアップします。
空室対策と関連するリーシング(入居者募集・仲介業務)や管理対応(入居者管理・建物管理)のほかにも、収益物件の売却・買取・購入サポート、資産活用やご相続及び節税対策など、賃貸経営にまつわるトータルサポートが可能です。ぜひ一度、【リロの不動産・リロの賃貸】にご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。