サブリースとは?不動産経営や賃貸管理で損しないための6つの注意点

2022.12.12

アパートやマンション経営において、サブリースの仕組みを理解しておくことは非常に大切です。本記事では、サブリースの仕組みやメリットおよびデメリット、さらには注意しておきたい点について解説します。

この記事を読めば、現在利用しているサブリースをこのまま継続するべきか、もしくは今後サブリース契約するべきかどうかが判断できるようになるでしょう。現在アパート経営・マンション経営を行っている方やハジメタばかりの方、またこれから始めようとしている方はぜひ参考にしてください。

サブリース(転貸借)とは?

サブリースとは、賃貸管理会社がオーナー様から保有しているアパートやマンションを一括で借り上げ、賃貸管理会社が入居者様に転貸する管理形態となります。「転貸借」や「又貸し」ともいわれます。

オーナー様にとっては「契約期間中、固定の収入が確約される」点や「管理業務の手間がかからない」点が最大のメリットといえるでしょう。

賃貸管理会社はオーナー様にかわって「入居者様の募集」「内見・契約の仲介対応」「入居者様の対応」「物件の管理」「退去にともなう手続き」「家賃回収」など、管理業務の全てをオーナー様のかわりに対応します。ご多忙なオーナー様や確定収益を得たい方にはマッチする管理形態です。

3つの管理形態の一つ

アパート経営やマンション経営における管理形態は、大きく分けて「自主管理」「一般管理」「サブリース(転貸借)」の3つがあります。それぞれの管理形態の内容については、以下のとおりです。

・自主管理:保有しているアパートやマンションの管理を賃貸管理会社に委託することなく、オーナー様がすべての管理業務を行う管理形態です。管理費用が抑えられるというメリットがあるものの、賃貸経営全体の流れをカバーすることを考えると、オーナー様の運用負担が大きくなってしまう懸念点が残ります。

・一般管理:保有しているアパートやマンションの管理を賃貸管理会社に委託する方法です。集金業務などの管理業務の一部を委託するものと、全ての管理業務を委託する2つの委託方法があります。

オーナー様は管理委託することで、管理手数料として平均的に家賃の5%程度を賃貸管理会社に支払い、賃貸管理会社がオーナー様にかわって入居者様の募集や、入居者間のご案内をする仲介業務のほか、クレーム処理、家賃回収などの業務を代行します。委託先の企業や契約内容により、管理業務の内容や範囲も異なります。

・サブリース(転貸借):サブリースの管理形態は上述のとおりで、賃貸管理会社がオーナー様のかわりに不動産賃貸経営を行うため、業務の手間を大幅に省くことが可能です。サブリースは一括借上と呼ばれることもありますが、厳密には異なる契約になります。不動産会社や賃貸管理会社がオーナー様から建物を「一括借上」する契約と、一括借上した建物を賃借人へ転貸する「サブリース」契約を包括して「一括借上」と表現することもあります。

契約前に業務内容をよく確認しましょう。また、空室や家賃滞納が発生した場合も、賃貸管理会社から一定の金額を支払ってもらえるという保証が設けられているため、オーナー様にとっては収入が安定するというメリットもあるでしょう。安定収益の確保や、物件が遠方にある場合などに利用される方もいらっしゃいます。

サブリースの仕組み

賃貸物件であるアパートやマンションを賃貸管理会社(サブリース会社)が一括借上をして、入居者募集や家賃回収といった管理業務すべてを賃貸管理会社が対応するのがサブリースの仕組みです。

一括借上をするため、仮に空室や家賃滞納があったとしても、オーナー様には賃料の80%~90%程度の保証金額が支払われます。固定の収益が得られる一方で賃貸管理会社にはリスクがともなうため、一般的な管理手数料よりも高い報酬を設定することが多いです。

オーナー様が保有している賃貸物件を自主管理しようすると、空室リスクやトラブル対応はもちろんのこと、建物の修繕・メンテナンスなど規模が大きくなるにつれて負担が大きくなり大変な労力となってしまいます。

その点、一般管理やサブリースを利用すれば、オーナー様が対応しなければならない管理・運営業務の全てを引き受けてもらえるため、大幅に負担を軽減できるのです。サブリースは不動産賃貸経営の知識や経験がない方でも、不動産賃貸経営を始めやすい便利な仕組みといえるでしょう。

サブリースのメリット・デメリット

管理業務の手間が省け、かつ安定収入が見込めるサブリースの管理形態を魅力的に感じる方は少なくないでしょう。しかし、サブリースにはメリットもあれば、もちろんデメリットもあります。サブリースの利用にあたっては、メリットおよびデメリットの内容を把握し、さらに自分の経営スタイルに合っているかどうかも考えながら決めることが大切です。

サブリースのメリット

サブリースのメリットとして代表的なものは、以下の4つです。

管理などの手間がかからず、収入が保証されている

サブリースは、対象の会社がオーナー様からアパートやマンションを一括借上して、アパートやマンションに関わる管理業務や修繕、さらには入退去の手続きなど、管理業務のほぼ全てを代理で行ってもらえるため、オーナー様の手間が省けるといったメリットがあります。

それでいて、契約期間中は最低保証が設けられているため、収入が保証されているという安心感もあるでしょう。ただし、契約期間終了後の更新時の条件変更や、修繕費用を渋った際の賃料下落、工事費用の高騰などが懸念されることは覚えておきましょう。

空室リスクや家賃滞納リスクを避けられ、収入が安定する

不動産経営において、頭を悩ます問題の一つが空室リスクおよび家賃滞納リスクです。空室や家賃滞納が発生すると、その期間収入がなくなってしまうため、オーナー様側としても予期せぬ収入減となります。

しかしサブリース契約を結んでいれば、空室や家賃滞納があったとしても契約先の賃貸管理会社から一定の家賃を支払ってもらえる保証が設けられており、契約期間中の収入を安定させられます。アパート経営・マンション経営を ハジメタばかりで不安な方にとって、リスクを抑えられる上、収入の安定は大きな安心につながるでしょう。

広告費・原状回復費などを軽減できる

入居者様を募集するための広告費や、退去後の原状回復費は部屋数が多いほど、そして入退去の件数が多いほど、オーナー様にとって大きな負担になります。しかしサブリース契約を結んでいれば費用は一般管理と同じくらいかかるものの、賃貸管理会社との契約内容に入居者募集や退去時の再募集及び原状回復などの費用一式が盛り込まれていることが多いです。

一定規模の会社であれば広告費や工事費用を抑えることもできます。また、各種工事はあらかじめ取り決めた契約に準じて迅速に対応するため、煩雑なコミュニケーションコストの軽減も期待できるでしょう。時間を大切にされたい方は、特に注力されるポイントといえます。費用項目によって双方の負担割合が決められるため、自主管理で行う場合にかかる費用より負担を抑えられます。

相続税を抑えられる

サブリースだけでなく一般管理の物件も相続税を抑える節税効果が期待できます。アパートやマンションを相続して相続税が発生する場合、そのアパートやマンションの入居率が高いほど不動産評価額が下がる仕組みになります。不動産は換金性や自由度が低いうえに、経年劣化によって建物の資産価値が下がっていく傾向にあるため、評価額も下がりやすくなっています。

それに加えて、上述のように第三者に貸している不動産は「貸家建付地」という扱いになり、貸し出している割合に応じて評価額がさらに低くなることがあるのです。そのため、不動産賃貸経営を行う物件は相続税を抑えるために有効といえるでしょう。

サブリースのデメリット

では、サブリースのデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。デメリットの代表的なものとして、次の3つが挙げられます。

収入が下がる

サブリースの場合、賃貸管理会社がオーナー様からアパートやマンションを一括借上する仕組みとなっており、保証金額の支払いもあることから入居者様の家賃分全てがオーナー様の収入になるわけではありません。

実際には家賃の10%~20%程度がサブリースをする会社に支払う手数料となるため、自主管理や一般管理と比べて収入が低くなります。中には、入居者様の退去後一定期間を免責期間としているサブリース契約もあります。賃貸管理会社は免責期間中に家賃保証を行ってくれませんので、期間中は家賃収入を得られない点に注意しましょう。

保証される賃料の見直しが一定期間ごとにある

サブリースの魅力の1つである保証金額ですが、家賃の元となる賃料の見直しが2年ごとに行われるなど、一定期間ごとに見直される点には注意が必要です。見直しが行われる場合、築年数の経過に伴い保証される賃料が下がるケースがほとんどだからです。

中には、この賃料の見直しが原因でトラブルに発展することもあります。そのため、サブリースを契約する際には一定期間ごとに家賃の改定があること、そして改定の際には家賃が下がる可能性があることをしっかりと理解しておきましょう。

売却しづらい

サブリース物件は利回りがほかの管理方法のものと比べ低くなることや、サブリース契約を解除した後に、物件の入居率や家賃設定などが変わるかもしれないといった懸念があります。そのため、短期的な出口をご検討されている不動産投資家からは、あまりいい印象を持たれず、選ばれにくいことがあります。その結果、売却がスムーズにいかないというケースも存在します。物件の状態やサブリースの契約状況にもよるため、ご自身の保有期間や出口戦略も視野に入れるといいでしょう。

サブリースで発生しやすいトラブルとは?

メリットの多いサブリースですが、トラブルに発展することも。以下では実際に起こりやすい具体的なトラブル例を3つご紹介します。「なぜトラブルが起こったのか」という原因や、「トラブルを起こさないための対応策は何か」を考えてみましょう。

トラブル事例①保証金額の減額
サブリースの契約期間は、契約する賃貸管理会社によって異なります。10年間と設定している賃貸管理会社もあれば、30年契約など長期に設定しているところもあります。しかし、契約期間と保証金額は同じではありません。

保証金額についても賃貸管理会社によって異なりますが、先述のとおり2年ごとの見直しとしているケースが多くみられます。しかしオーナー様側としては、10年間もしくは30年間など、契約期間と同期間同じ金額で家賃保証を行ってくれると勘違いしてしまうことが多く、後々トラブルに発展してしまう原因となっています。

トラブル事例②契約解除ができない
サブリース契約中であっても、物件を売却する可能性は十分にあり得ます。ただし、購入する側がサブリース契約の解約を望んだ場合は、売却時にオーナー様のほうで契約解除の手続きを進めなければなりません。

しかし、契約内容によっては契約途中の解約が認められないというケースや、解約できるが違約金が発生するといったケースもあり、オーナー様の都合で契約解除が容易にできずトラブルに発展しています。売却を委託する場合はパートナーから事前に相談を受けることがあると思いますが、オーナー様からも相談してみることをおすすめします。

トラブル事例③契約時の必須条件を把握していなかった
サブリース契約先の賃貸管理会社によって、契約時に必須条件が含まれる場合があります。例えばサブリースの提供会社が設定する「〇年に一度大規模修繕工事を行う」といった条件に対して、オーナー様は理解していたつもりでも費用負担の割合や施工業者の選択権の有無など、細かい内容までは把握していないことが多く、結果的にトラブルになってしまう、といったケースが代表例です。

面倒なやり取りに感じますが、トラブルを未然に防ぐためにも契約前の確認や認識のすり合わせが重要だということが分かるでしょう。

サブリース契約する際の注意点

サブリース契約を行う際の注意点について、特にチェックすべき点を以下で解説していきます。サブリース会社と上手に付き合いトラブルを防ぐためにも、事前確認は忘れないようにしましょう。

免責期間

「サブリースのデメリット」でも少し述べましたが、サブリース期間中でも新築時や退去後の一定期間など、保証金額とならず収入を得られない「免責期間」というものがあります。オーナー様としては、急に収入が得られない期間が発生してしまうと、ローンの返済に影響が出たり収支のバランスが崩れてしまったりすることが考えられます。収支計画を整えるためには、契約前に免責期間が設定されているか、設定されている場合の期間はどの程度か、設定された免責期間が適切かを確認しておきましょう。

修繕費用などの負担先

契約期間内の広告費や清掃費用、お部屋の修繕費用の負担割合を確認しておきましょう。物件や諸条件により、契約内容によってはオーナー様の全部負担となっていたり、一部オーナー様が負担するとして割合が決まっていたりとさまざまなケースが考えられます。契約期間内の各項目にかかる費用については、負担先や負担割合を事前にしっかり確認しておきましょう。あわせて大規模修繕の費用負担と実施内容、実施期間についても確認しておくと安心です。

解約条件

不動産賃貸経営は長期で行うことを目的としている方が多いですが、さまざまな事情によって物件を売却する可能性もあります。その際にサブリース契約をスムーズに解約できるのかどうかも、契約時に確認しておきたい項目です。具体的には解約不可とされている期間や解約予告期間、契約の解除が可能となるタイミングについて、契約時に確認しておきましょう。

保証金額の設定・見直し

保証金額の設定が妥当なものかを確認するのも重要なポイントです。家賃の保証率は物件や賃貸管理会社によって異なりますが、一般的な相場は家賃の80%~90%程度といわれています。過去の事例では、サブリース契約時の保証金額を高めに設定し、更新や見直しのタイミングで大幅に減額する、というケースも見られます。トラブルを防ぐためにも、保証金額の設定や見直しが適切に行われているかしっかり確認しましょう。周辺の家賃相場や入居率を分析するなど、どのような根拠で保証金額が決められたのか、見直し周期やいくら変更となったのか、またその見直しについてオーナー様から相談や交渉はできるのかをチェックしておくと安心です。

違約金

サブリース契約だと保証金額があるため違約金が高額になるケースも多く見られます。そのため、サブリース契約の解約の際に違約金は発生するのか、また違約金が発生する場合の金額はいくらなのかを確認しておきましょう。できれば相互に誤解がないようにするため、書面に加えて口頭でも確認することをおすすめします。トラブルが起こらない前提があっても、必ず確認しておきましょう。

信頼できる賃貸管理会社かどうか

一般的に、不動産賃貸経営におけるサブリース契約は長期にわたるため、賃貸管理会社とも二人三脚で運営していかなければなりません。長期間管理やオーナー業務を任せることに対してその賃貸管理会社に不安な点がないか、任せて大丈夫かといった見極めが大切です。過去に問題を起こしているような会社を避けることはもちろん、実績を確認することも忘れないようにしましょう。

契約を結ぶ賃貸管理会社が信頼できる会社かどうかを見極めるポイントは、オーナー様に寄り添った提案をしてくれる賃貸管理会社かどうか、賃貸管理会社の経営は安定しているか、サポート体制は充実しているかなど、多岐に渡ります。じっくりと判断し、本当に任せられる賃貸管理会社だと判断できてから契約を結ぶのがおすすめです。

サブリースを理解したうえで管理方法を決めよう

今回はサブリースの契約内容について詳しく解説しました。サブリースを利用することで不動産賃貸経営の初心者も始めやすく、相続税が抑えられるなどの魅力的なメリットがある一方で、保証金額の見直しや自主管理・一般管理の物件と比べて利回りが下がるなどトラブルに発展しやすいデメリットもあります。

不動産の管理方法はサブリースだけではないので、サブリースを利用する場合の注意点などをあらかじめ理解したうえで、オーナー様の目的や状況に合う管理方法を決めるようにしましょう。

所有物件やオーナー様の目的や考え方次第では、サブリース契約よりも一般管理のほうが向いている場合もあります。また、建物の規模が大きい場合は大規模修繕や設備投資も関係してくるため、ある程度建築に明るいパートナーを選ぶことをおすすめします。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。