必要な老後資金をシミュレーション!資産形成に不動産投資が選ばれる理由
2023.04.24一時期話題となった老後資金2,000万円問題。現在では話題に上ることはなくなりましたが、老後への不安が消えたわけではありません。逆に増えているといってもいいでしょう。
今回は老後に必要な資金はどのくらいなのか、そしてそれを準備するにはどのような方法があるのかについてシミュレーションを行いながら解説します。
目次
老後資金が不安になる根拠
老後資金に対する不安を抱えている人は多くいます。ほとんどの人が抱えているといっても過言ではありません。では、なぜ老後資金に対して不安を抱えるのでしょうか。その根拠について考えてみましょう。
平均寿命と健康寿命に差がある
平均寿命とは正確にいうと「0歳における平均余命」のことで、0歳の乳幼児が生存するだろうと考えられる平均年数のことを意味します。平均余命とはその年齢の人がその後何年生きられるかという期待値をいいます。最新の統計は厚生労働省が発表している「2021年 簡易生命表」から読み取れます。
2021年の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳で前年から比べるとわずかに下回っています。
そして問題となっているのは平均寿命よりも健康寿命です。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことで、介護状態になることなく日常生活が過ごせる年齢を指します。そして、最新の統計は同じ厚生労働省が発表している資料から読み取ることができますが、2019年のデータですので平均寿命のデータと若干差があることはご承知おきください。
2019年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっており、2021年の平均寿命との差は男性8.79年、女性12.19年です。つまり、男性の場合約9年、女性の場合約12年の期間は何らかの介護を必要とし、日常生活が制限される期間といえます。そしてこのことが老後の生活を不安にさせる根拠になっているといえるでしょう。
退職金の減少
退職金が減少傾向にあることも、老後に対する不安の要因になっています。実際に2003年では2,499万円だった大学・大学院卒の勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者の1人あたり平均退職金は、2018年には1,788万円となっており、約30%減少しています。
また、退職金の制度がない企業が19.5%存在することも大きな要因でしょう。
退職金の制度がない企業の割合は会社の規模が小さいほど大きく、30人~99人の会社の場合22.4%、100人~299人の会社は15.1%、300人~999人は8.2%、1,000人以上の会社だと7.7%です。
業種別にみると、宿泊業・飲食サービス業が最も多く40.3%となっています。次いで生活関連サービス業・娯楽業が34.7%、運輸業・郵便業が28.7%です。
退職金が減った理由として挙げられるのは、これまでは勤務年数によって決まっていた退職金の額が、その人が企業に勤めている間に企業にどれだけ貢献したかによって決まる「成果主義」に移行したことです。成果は企業側で自由に設定できることから、業績によっては評価を下げるなどの措置を取る企業もあるとみられています。
さらに、現在では退職金を自分で確保する確定拠出年金の制度を導入する企業が増えています。それまでは企業が運用して給付していた確定給付年金の割合を少なくし、その分従業員が自分で運用して退職金を準備する確定拠出年金の割合を増やすことで、企業の退職金に対する負担も少なくなります。
しかし、これまで運用に対する教育を受けていない日本人にとって、いきなり退職金を自分で運用して準備しろと言われても戸惑いを隠せないのは当然のことでしょう。
自分がもらえる退職金の額が分からない、運用次第では少なくなる可能性があるといった状態では不安になるのも仕方がありません。
年金制度への不安
公的年金制度は、現役世代がリタイア世代を支える「賦課制度」が採用されています。そしてこの制度がこれから迎える超少子高齢社会によって揺らぐのではないかという不安を多くの人が持っています。日本は世界でもトップレベルの人口減少社会であることから、将来への強い不安は拭えないのです。
ちなみに賦課制度においては65歳以上の世代を現役世代が支えることを前提としており、支える現役世代の人数は確実に減少しているものの、65歳以上の労働者人口が以前よりも増えていることから、支え手としての数はそこまで減少しているわけではありません。
ただ人口減少の数字だけをみると、不安になるのは否定できないでしょう。
2021年の人口推計をみると、総人口は64万4千人の減少となっており、減少幅は比較可能な1950年以降過去最大です。さらに15~64歳の現役世代の人口の割合は59.4%で、比較可能な1950年以降過去最低水準に達しています。それに対し、65歳以上の人口の割合は28.9%、75歳以上の人口の割合は14.9%でそれぞれ過去最高となっています。
この現状からも老後の収入源となる年金制度への不安を感じる人が増えているのです。
老後2,000万円問題はその後どうなったのか
老後の生活資金問題としてかつて話題になった「老後2,000万円問題」。その根拠とその後の状況について解説します。
老後2,000万円不足の根拠
老後2,000万円問題の発端は2019年に発表された「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」の内容でした。
「高齢社会における資産形成・管理」というタイトルの報告書(※)には、問題が表面化してきた高齢化や単身世帯の増加、認知症の増加などに触れたあと、「平均的な高齢夫婦無職世帯の毎月の赤字額は約5万円」と断言し、赤字額については自分たちの保有する金融資産から補填しなければならないと記載されています。
毎月の赤字額約5万円が20年間続くと約1,300万円、30年間続くと約2,000万円の取崩しが必要になると報告書では指摘しています。
ただし、報告書には65歳時点の平均保有資産も記載されており、夫婦世帯では2,000万円を超えていることから新たに2,000万円を準備しなければならないという意味ではなく、自分が理想とする老後生活のレベルや退職金の額によっては老後資金が不足する可能性があると捉える方が正解だったといえるでしょう。
※ 出典:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」
老後2,000万円問題は消滅?
また、月に必要な生活費は年によっても異なります。実際に2020年の65歳以上の無職高齢夫婦世帯の1月あたりの収入と支出を比べてみると、可処分所得が22万5,501円、消費支出は224,390円と収入の方がわずかですが多くなっており、結果的に1,111円の黒字です。2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で消費が落ちたことも影響していると考えられるため、2021年のデータもみてみましょう。
2021年では可処分所得が21万5,107円、消費支出が22万7,585円で毎月約1万2,000円の赤字です。毎月1万2,000円を30年間と考えると約432万円となり、2,000万円とはほど遠い数字になることがわかります。
こうみると、計算上では老後2,000万円問題は消滅したことになります。
ただ、忘れてはならないのはインフレリスクです。今後の物価の上昇にともない、年金額はどのように変化するのか、そして65歳時点で2,000万円貯まっていたとしてそれを取り崩すだけでは物価の上昇に追い付かず、予想よりも早く資金が尽きてしまう可能性もあることを認識しておく必要があります。
必要な老後資金をシミュレーションしてみる
実際に老後にいくら必要なのかは、その人の属性(単身世帯なのか夫婦世帯なのか)や老後の生活をどのように過ごしていきたいのかなどの考え方によって異なります。
自分の老後生活に必要な資金をシミュレーションしてみましょう。
必要な老後資金はライフスタイルによって異なる
シミュレーションを行う前に前提として考えておかなければならないのは、必要な老後資金はその人のライフスタイルによってまったく異なることです。持ち家なのか借家住まいなのかで必要な住居費がまず異なりますし、趣味に使いたいお金があるのかも影響します。
さらに子どもや孫にかかる費用も考えておかなければなりませんし、持ち家なら家の修繕費も必要です。人によっては持病が悪化した際の医療費や介護費用の心配を抱えることもあるでしょう。
老後の主な収入は年金になりますので、その範囲で暮らしていけるのか、それともどのくらいの資金が必要で65歳までに準備できるのかを考える必要があります。
このことをふまえたうえで、統計の平均値などを参考にシミュレーションしていきます。
必要な老後資金の計算式
必要な老後資金は以下の計算式で求められます。
必要な老後資金=(老後の毎月の消費支出-老後の毎月の可処分所得)×12×老後の平均余命+一時的な費用
老後の平均余命は2021年のデータでは65歳の男性で19.85年、女性は24.73年です。
男性で20年、女性は25年の平均余命として計算しましょう。
そして、毎月の支出および可処分所得についても2021年の統計値をあてはめると、
毎月の可処分所得が21万5,107円、消費支出が22万7,585円で、約1万2,500円です。
一時的な費用は病気や介護のための費用や趣味、さらに子どもや孫にかかる費用ですが、ここでは約500万円と想定します。
そうなると、必要な老後資金は夫婦2人でいる間は
(12,500円✕12✕20年)+500万円=800万円です。
そして夫が亡くなったあと、妻だけの生活になった際には毎月約9,500円の赤字になることが統計上で読み取れますので、
9,500円✕12✕5年=57万円の老後資金があると安心です。
最終的に必要な老後資金は800万円+57万円=857万円となります。
シミュレーションの実例
ただ、上の試算は平均的な生活を送る際に必要な資金と家族に残す資金を考えた金額になります。夫婦2人でゆとりのある生活を送りたい場合はどうでしょうか。公益財団法人生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査」によると、毎月37万9,000円が必要とのことですので、この数値で老後に必要な資金を計算してみましょう(※)。
毎月の可処分所得が21万5,107円、そしてゆとりのある生活を送るための生活費が37万9,000円と考えると毎月の不足額は約16万円です。
一時的な費用を500万円と仮定し、計算しやすいように平均余命を夫婦ともに20年とすると、老後に必要な資金は(16万円✕12✕20年)+500万円=4,340万円と2,000万円の倍額以上の資金が必要になります。
65歳の時点で貯まっている資金が約2,000万円ということからも、ゆとりのある老後を送りたいなら、65歳時点でさらに2,000万円以上の資金を用意していなければならないといえるでしょう。
※公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
老後資金のシミュレーションツール
老後に必要となる資金を計算するのはかなり面倒な作業です。ただ、この面倒な計算を一瞬で行えるシミュレーションツールがあります。
詳しくシミュレーション(LIFE PLAN SIMULATION)
一般社団法人全国銀行協会が運営するシミュレーションサイトです。入力する項目が多く、ライフプランによって多様なシミュレーションが可能なところが特徴ですが、シンプルな「きほんシミュレーション」もあります。
「きほんシミュレーション」だと、年齢と年収および貯蓄額、そして配偶者は子どもの情報、ライフスタイルと自分の性格を回答するだけでシミュレーションが行えます。
シミュレーション結果はグラフとイラストで見やすく、さらに家計のプロのアドバイスをみることもできます。
くわしくシミュレーション ※2024年7月31日をもって掲載終了いたしました。
老後資金シミュレーション(JAバンク)
JAバンクが提供しているシミュレーションで、入力項目は基本的なものです。
老後に受け取れる公的年金の額や退職金の額、配偶者の収入やそのほかの収入を入力し、さらに支出額として必要だと思われる額を入力します。必要に応じて子どもや孫にかかる費用やイベント費用も入力できます。ローンの残高がある場合はその額も入力します。
最後に年齢を入力するとシミュレーション結果が表示されます。
シミュレーション結果は65歳から5歳刻みで表示され、そのときに必要な老後資金が表示されます。
老後のお金シミュレーション(スゴい住宅ローン探し)
リクルートが運営しているシミュレーションです。ねんきん定期便やねんきんネットの記載内容をもとにシミュレーションを行いますが、ねんきん定期便やねんきんネットがなくてもシミュレーションを行えます。
自分の情報と公的年金の情報、企業年金や個人年金、資産や住居費の情報を入力すると、65歳からの収支結果が表示されます。
老後資金を貯めるための資産運用方法
シミュレーションの結果、老後資金の準備が必要だとわかった場合、どのような方法で老後資金を準備していけばいいのでしょうか。
ここでは、老後資金の準備方法として比較的確実なものを紹介します。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
iDeCoは国が創設した個人型の私的年金制度です。毎月決まった額を拠出し、自分で運用商品を選んで運用し、原則として60歳から受け取れます。
最低拠出金額は5,000円で、1,000円単位で設定できます。属性によって毎月の拠出額に上限が設定されていますので、上限額を超えないように注意しましょう。
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となるほか、運用期間中の運用益は非課税です。さらに受取時には受取方法に応じて退職所得控除もしくは公的年金等控除などの税制優遇が受けられます。
老後資金の形成を目的としているため、60歳まで引き出せないことや、加入したら途中で止めることができない点がデメリットですが、逆に確実に老後資金を貯められる仕組みといえます。
20歳から加入でき、2022年10月からは企業型確定拠出年金制度の加入者でも条件を充せばiDeCoとの併用が可能になり、65歳までの加入が認められることになりました。
つみたてNISA
つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。金融庁が認めた購入手数料無料などの手数料の安いインデックス投資信託への積立が可能です。
年間のつみたて限度額は40万円ですが、最大20年間非課税で運用できます。
長期運用を前提とした制度ですので、短期間でみると元本割れになる可能性もありますが、長期視点でみるとマイナスの局面が消え、運用益を得られる可能性が高くなります。
NISA制度にはつみたてNISAと一般NISAがあり、一般NISAでは年間120万円まで非課税で運用でき、株式なども購入できます。つみたてNISAと一般NISAは選択制で、併用はできません。
なお、NISAの制度は2023年度税制改正で大幅な拡充が予定されています。
具体的には、つみたて投資枠と成長投資枠が設けられ、2つの枠は併用可能です。また、非課税で保有できる期間が無期限かされます。非課税保有限度額は総額で1,800万円となり、これまでよりも効率的な資産形成が可能になりそうです。
2023年末までに現行の一般NISAもしくはつみたてNISAを利用して投資した商品については、新しい制度の外枠で現行制度による非課税措置を適用することになっています。
財形貯蓄制度
勤務先の企業が福利厚生の一環として財形貯蓄制度を導入しているなら、利用を検討してもいいでしょう。財形貯蓄制度とは、会社を通して提携する金融機関に給与の一部を積み立てることで、確実に貯蓄ができる制度です。
「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3つが用意されており、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄には2つの貯蓄の元利合計550万円(財形年金貯蓄のみの場合で、生命保険又は損害保険の保険料、生命共済の共済掛金、簡易保険の掛金等に係るものにあっては払込ベースで385万円)の利子が非課税になる優遇措置があります。
一般財形貯蓄は複数の契約が可能ですが、財形住宅貯蓄および財形年金貯蓄は1人1契約のみです。また一般財形貯蓄は3年以上、財形住宅貯蓄および財形年金貯蓄は5年以上積み立てなければならないとされています。
財形貯蓄制度を利用することで、住宅購入時には財形持家融資を利用できるなどのメリットがありますので、積極的な利用をおすすめします。
不動産投資
収益物件を購入し、賃貸に出すことで賃料収入を得る不動産投資は、前述した資産運用方法に比べて資産が拡大するスピードが早く、節税と資産運用を同時にできるメリットが魅力で選ばれる投資方法です。物件と入居者様のニーズが合う地域なら、長期にわたって安定した家賃収入が見込めるでしょう。
物件によっては管理業務が発生しますが、信頼できる賃貸管理会社に管理を依頼することで、管理の手間や賃貸経営のリスクヘッジができる点もメリットです。
不動産投資の詳細については、次章で解説します。
老後資金不足問題には不動産投資が選ばれる理由
老後資金が不足することがわかっており、準備する方法を検討しているなら不動産投資を選ぶことをおすすめします。ではなぜ不動産投資が老後資金を形成する方法として有効なのでしょうか。不動産投資が老後資金を確保する投資として選ばれる理由を解説します。
長期・安定した収益を見込める
賃貸住宅を運用する不動産投資によって得られる収入は、生活に基盤を置く家賃収入なので入居者様次第では長期かつ安定した収益が期待できます。そのためには入居者様のニーズが多い立地や物件を選ぶことが重要ですが、立地や物件の状況を読み間違えなければ安定して一定の家賃収入を得られる可能性が高くなります。
不動産投資は、他の老後資金形成方法と比べると家賃収入で長期的に安定した収益を得られることから、低リスクでの運用ができるといった特徴もあります。
ただし、物件によっては入居者様がいない間は無収入となる可能性もありますので、物件を複数所有し、空室リスクを軽減する方法を考えることが大切です。
インフレに強い実物資産
現物投資の不動産投資は、インフレに強いという特徴があります。そもそも不動産自体にインフレに強いという側面があり、物価上昇と合わせて不動産の価値も上昇する傾向にあります。
現在ではコロナ禍明けの影響もあり、世界中でインフレに対する懸念が高まっています。現に物価の上昇が続いており、今後もインフレの状態が続くと予想されています。そのような中、前述した老後資金の準備方法のように資産を現金で保有しておくと、インフレによって資産の価値が減少してしまいますが、不動産で保有することにより逆に資産価値を増やすことにつなげられます。
また、インフレに強いことから、エリアの需要によっては物価の上昇に合わせて賃料の上昇も期待できます。今後の収益増加を考えるにあたり、インフレに強い資産を保有しておく考え方は非常に大切だといえます。
専門知識がなくても始められる
不動産投資を行う際には、さまざまな管理業務が必要です。具体的には入居者様の募集や家賃回収、家賃滞納の際の催促などの対応のほか、物件の共有部分の清掃や設備のチェック、不備がある箇所の修繕など多岐にわたります。そしてそれを一人で行うのはかなりの労力を必要とします。
しかし、これらの管理業務については信頼できる賃貸管理会社に管理を委託することで解決でき、管理に対する専門知識がなくても始められます。
賃貸経営に関わる勉強は必要不可決ですが、賃貸経営を行いながら学べる環境がある点は非常に恵まれているといえるでしょう。賃貸管理会社との情報交換を密に行うことで、管理業務や売買や税金など、賃貸経営全般に関連する知識も深められます。
融資を活用してレバレッジをかけられる
不動産投資では物件の購入が必要ですが、一棟アパート・一棟マンションでは数億円の資金が必要になることもあります。自己資金で購入できる額としては大きな金額になるため、必然的に不動産投資ローンを利用することが多くなります。じつは、この不動産投資ローンの活用が重要です。端的な表現をすると、金融機関からの融資を受けることが不動産投資における最大のポイントなのです。
物件購入時に負担する自己資金を少なくし、金融機関から融資を受けることで、自己資金だけでは購入できない物件も購入できるようになります。部屋数の多い物件を購入できれば、それだけ家賃収入も大きくなります。
つまり、自己資金で購入できる範囲の区分マンション1室を購入するよりも、融資を受け1棟アパートを購入することによって、少ない資金で大きな利益を生むことになるのです。このことをレバレッジ効果といい、不動産投資における大きな特徴といえます。
レバレッジ効果を利用できることにより、自己資金が比較的少なくても始められ、資産形成のスピードを早める効果を生むのです。
節税効果がある
不動産所得に帳簿上の赤字が発生した場合、他の給与所得や事業所得と赤字を相殺する損益通算が可能です。また、不動産投資を目的に不動産を購入した場合は、購入した不動産(建物)の減価償却を行います。
減価償却は、購入した年に購入費用を一括費用として計上するのではなく、不動産の建物の耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した額を毎年の経費として計上する仕組みが取られています。つまり減価償却費は実際には支出していない額であるにもかかわらず、経費として計上できる額ということです。
この減価償却の仕組みを利用することにより、課税所得の圧縮ができ、所得税の節税につながるというわけです。
また、不動産投資は相続税対策としても利用可能です。相続が発生した際には、相続財産を評価する必要がありますが、現金や有価証券などはそのときの時価で計算されます。
しかし、不動産の評価は時価ではなく路線価や固定資産税評価額を用いて計算されるため、時価と比べて70%程度に圧縮されます。さらにその不動産が賃貸不動産である場合は、借家権割合や借地権割合によってさらに評価額を下げられるのです。
生命保険代わりになる
不動産投資ローンを利用して不動産投資を行う場合、多くのケースで「団体信用生命保険」に加入することになります。不動産投資ローンの場合、金融機関によっては住宅ローンと異なり団体信用生命保険への加入が任意となっていることもありますが、団体信用生命保険に加入することで、自分に万が一のことがあった場合や高度障害の状態になった際には、その後のローンの支払いが免除されます。
さらに相続までを視野に入れているなら、団体信用生命保険に加入することで相続が発生した際にはローン残債のない収益物件を遺族に残すことができます。
保険料の支払い面でもメリットがあります。通常の生命保険に加入する場合は保険料の支払いが発生しますが、不動産投資ローンを利用した団体信用生命保険であれば、保険料の支払いは家賃収入で賄えるからです。
不動産投資のリスクとその対策を把握する
不動産投資にはさまざまなリスクが存在します。代表的なリスクに空室リスクや家賃滞納リスク、修繕/老朽化リスクなどがありますが、リスクの内容を把握して問題が大きくなる前に対応することでリスクコントロールが可能になります。
空室リスクと「4つの空室対策」
空室リスクは不動産投資における最も代表的なリスクです。空室になってしまうと、家賃収入がなくなってしまい、支出だけが発生する状態になってしまいます。
対策としては、利便性が良く賃貸需要がある立地の物件を選ぶことが挙げられます。
また、物件以外にも『4つの空室対策』ができる賃貸管理が大きなポイントになります。
『4つの空室対策』とは、空室発生の代表的な要因を解決するフレームワークです。賃貸経営に必要不可欠な4つの要素に関連する対策を指します。
①入居者募集対応
物件のお問い合わせを増加する募集力を高める施策。
②仲介対応
入居希望者様のご希望とマッチする物件の紹介からご案内から契約までの対応。
③管理対応(入居者管理/建物管理)
入居者様へのトラブル対応、建物や設備の問題を早期解消、退去時の対応。
④設備・工事対応
入居者ニーズを反映した原状回復/設備・リフォーム/リノベーション/大規模修繕の実施。
など、入居希望者様の集客から契約、運営管理や工事対応まで幅広くサポートを受けることで、効率的に早期対応を行い、大きな問題を未然に防ぐことができます。
家賃滞納リスクと「入居者審査・保証会社」
家賃滞納リスクとは、入居者様が家賃を払ってくれないリスクです。滞納が発生すると迅速に催促などの対応を行わなければなりませんし、それでも家賃を払わず退去もしない状態であれば財産の差し押さえなどに発展し、裁判費用などがかかってしまいます。
家賃滞納リスクを避けるためには、事前に入居者様の審査をしっかりと行うことや家賃保証会社への加入などが効果的です。
一般的に家賃設定が低い物件ほど家賃の滞納が発生するリスクが高まることから、物件を選ぶ段階からグレードや家賃設定を考慮しておくことが大切です。
修繕リスク・老朽化リスクと「設備・工事・修繕対応」
修繕リスクとは、修繕や設備費用が発生するリスクのことです。収益物件は経年劣化によりどうしても修繕の必要が発生します。また、物件の価値を向上させる目的でリノベーションを実施するなら、その費用の調達も考えなければなりません。
老朽化リスクは建物の経年劣化などから資産価値を回復させるために工事や修繕のコストが発生するリスクをいいます。老朽化リスクを回避するためには修繕積立金を積み立てておくことや、賃貸経営向上のために収支を考えた設備交換やリフォーム、リノベーションを計画し実施することが必要です。
入居者ニーズを反映する対応に注力することで、収益につながる対策になり得ます。
老後資金対策としての不動産投資
老後資金を準備する方法にはさまざまなものがあります。ご自身の状況や目的に応じて選択された資産運用がベストですが、余剰資金がある場合は、融資によるレバレッジ効果を得て、節税効果を狙える不動産投資は、老後資金を捻出するおすすめの方法として選ばれています。
不動産投資を行う際には、ここまでお伝えしてきた内容を踏まえ、管理業務を信頼できる賃貸管理会社に委託することも重要なポイントです。信頼できる賃貸管理会社を見つけることで、出口戦略も相談に乗ってくれる賃貸経営に寄り添う戦略的なパートナーになり得ます。
不動産投資や賃貸経営の管理業務については、豊富な実績をもつ【リロの不動産・リロの賃貸】にぜひお任せください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。