不動産取得税と軽減措置の仕組みとは?還付される金額はいくら?
2024.11.28新しく住宅を購入すると課税される「不動産取得税」。一般的になじみのある税金ではないため、一体どれくらいのお金を納付するのか、そもそもどのような税金なのかすらわからない方も少なくないでしょう。
ただ、不動産取得税は仕組みを理解すればそれほど複雑な税金ではありません。一定条件を満たすことで適用される「軽減措置」制度も豊富に用意されているので、大きな負担にならない場合も多いです。
そこで今回は「不動産取得税」について、税の仕組みや計算方法、実際に軽減措置を利用する手順などをわかりやすく解説します。
▼この記事の内容
●不動産取得税とは、不動産を取得したときに一度だけ課税される地方税のこと
●「売買」「贈与」「交換」などでの家や土地の取得、増築や改築で不動産の価値が上がった場合も課税対象となる
●不動産取得税は、原則【不動産取得税=課税標準額×標準税率】の計算式で求められる
●一定条件を満たすことで適用される「軽減措置」制度とその場合の具体的な計算例
●軽減措置の適用を受けるためには、取得者自ら納税手続き時に申請が必要
●申請を忘れた場合も「還付請求」が可能だが、不動産取得の日から5年以内の期限があるため注意!
目次
不動産取得税について
不動産取得税とは、不動産を取得したときに一度だけ課税される地方税です。有償か無償かで違いはなく、「売買」「贈与」「交換」などでの家や土地の取得はもちろん、増築や改築によって不動産の価値が上がった場合も課税対象となります。
課税主体は不動産の所在する都道府県で、新しく不動産を取得した年の翌年4月以降、中古住宅の取得では決済日から6ヶ月以内に納税通知書が送られてきます。
不動産取得税は原則として「不動産の固定資産税評価額の4%」です。ただし、標準税率には特例措置が適用されており、2008年4月1日から2024年3月31日までに取得した「住宅用」不動産については、土地、建物ともに税率3%となっています(地方税法附則第11条の2)。
さらに住宅用の不動産の建つ「土地」については特別に「軽減措置」が実施されていて、固定資産税評価額の2分の1に軽減税率3%を乗算します。
不動産所得税は税制の仕組み上、「建物」と「土地」それぞれで要件や計算方法が異なります。そのため、計算段階から「建物」と「土地」を別々に計算し、最終的にその合計を加算するかたちで進めるとわかりやすいです。
節税効果を考えると「軽減措置」に対する理解は不可欠なので、該当要件の内容や軽減制度の仕組みそのものも一通り理解することが重要です。
なお、不動産の相続・贈与については、以下の記事をご参照ください。
■参考記事
マンション相続の手続きとトラブル防止の事例!手順・税金計算も解説
相続税の基礎控除とは? 各種控除と賃貸不動産を活用した相続税対策
不動産を生前贈与したほうがいいケースとメリット・デメリットを解説
不動産取得税はどのような税金?
不動産取得税は土地や建物などの不動産を取得した際、一度だけ取得者に対してかかる地方税です。不動産の取得時にかかる固定資産税や都市計画税、登録免許税との違いも含めて解説します。
不動産取得税がかかるケース
不動産取得税は、不動産を取得したときに課税される税金です。不動産取得税がかかるタイミングとしては、家を建てるための土地を購入したときや注文住宅を新築したとき、新築の建売住宅や中古住宅を購入したときなどがあります。注意が必要なのは有償か無償かにかかわらず、不動産の所有権を取得すれば課税される点です。
土地や建物を贈与として譲り受けた場合も、不動産取得税はかかってきます。また、自分が所有している不動産と相手の不動産を入れ替える等価交換を行ったケースのように、お金の支払いが発生していない取引にも課税されるため注意してください。登記をしていない不動産を取得した場合や、増築・改築したときも課税の対象になります。
不動産取得税は地方税で、納税先は所有する不動産がある都道府県です。所有者が住んでいる都道府県と不動産が実際にある都道府県が異なる場合は、勘違いしないようにしてください。不動産がある都道府県税事務所から納税通知書が送付されてくるため、期限までに納付します。
固定資産税・都市計画税との違い
不動産取得税は対象の不動産の取得時に、1回だけ課税される税金です。一方で固定資産税は、土地や建物などの不動産を所有している方に対し、毎年納税義務が発生します。固定資産税の納税義務者は、その年の1月1日現在の固定資産(土地・家屋・償却資産)所有者です。
都市計画税も固定資産税と同様に、毎年課税される税金です。ただし、都市計画税の対象は都市計画区域内にある土地や家屋だけであり、都市計画区域以外の場所にある土地や家屋、償却資産には課されません。
不動産取得税も固定資産税・都市計画税も地方税ですが、不動産取得税は都道府県税、固定資産税・都市計画税は市町村税です。ただし、東京23区は固定資産税・都市計画税を都税として東京都が徴収しています。
固定資産税と都市計画税の納付時期は市区町村によって多少違いはあるものの、おおむね4~5月頃、毎年1月1日現在の所有者に納税通知書が発送されます。1年分の税額を4期に分けて納付する仕組みになっていますが、第1期に1年分を全納することも可能です。
なお、固定資産税については次の記事をご参照ください。
■参考記事
固定資産税のポイント還元!クレジットやPayPayでキャッシュレス納税
登録免許税との違い
登録免許税は不動産を取得し、所有権を設定した登記をする際に課税される税金です。納税義務者は登記を受ける方で、不動産の取得時はもちろん、船舶や航空機、会社などの登記、抵当権の設定でも発生します。
土地や中古住宅を購入した場合に行うのは、売主から自分に所有権を移転する所有権移転登記です。まだ一度も登記されたことがない新築の注文住宅や建売住宅、マンションを購入した場合は所有権保存登記を行います。
不動産取得税は都道府県税ですが、登録免許税は国税です。納税は現金納付のほか、近年はキャッシュレス納付もできるようになっています。税額が3万円以下ならば、印紙での納付も可能です。また、登記の手続きは司法書士に依頼することが一般的です。
不動産取得税の計算方法の原則
不動産取得税は固定資産税評価額を用い、計算方法にそって算出します。後述するように新築の住宅や中古の住宅を取得する場合、条件を満たせば軽減税率が適用されますが、まずは原則的な計算方法を押えておきましょう。
なお、不動産取得税についての計算方法については、次の記事もご参照ください。
■参考記事
不動産取得税はどうやって計算する?新築・中古別シミュレーション
課税標準額は固定資産税評価額を用いる
不動産取得税の税額を算出するもとになる金額は、実際の取引価格ではありません。土地も建物も固定資産税を計算するときと同じ、固定資産税評価額を課税標準額として用います。固定資産税評価額は固定資産税評価基準によって算出された、土地・建物の評価額です。
固定資産税評価額は全国の市町村(東京23区は東京都)が個別に決定し、固定資産税課税台帳に登録されています。土地・建物の固定資産税評価額は3年ごとに評価替えが行われ、その間の年度については原則として据え置きです。
土地の価格は時価(地方公示価格など)の約7割程度ですが、土地のある場所や面積、形状などによって多少の違いはあります。建物の固定資産税評価額も、構造や築年数によって違ってきます。新築の建物の場合は、請負工事金額の5~6割程度が目安です。すでに所有している不動産の固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書で確認できます。
不動産取得税の計算式
不動産取得税の計算式は、原則として以下の通りです。
不動産取得税=課税標準額×標準税率
標準税率の原則は4%ですが、特例措置として2027年3月31日までは、土地・建物に対する不動産取得税の税率が3%になっています。軽減税率の特例措置が取られているのは、住宅を取得する際の負担を軽減することによって、住宅の取得や流通を促進するのが狙いです。
なお、3%の特例措置は賃貸アパート・マンションなどの収益物件でも適用されます。
特例措置は状況によって適用が終了したり、延長されたり、新たな特例が始まったりすることがあるため、不動産を取得したタイミングで特例があるかどうかを確認してください。
不動産取得税の算出にあたっては税率の軽減のほか、後述する軽減措置が受けられるケースがあります。土地を購入した場合や家を新築した場合、中古住宅を購入した場合に、それぞれ条件を満たしていれば、課税標準額から一定額が控除されます。
新築における不動産取得税の軽減措置
「新築」の住宅を取得したときに適用される軽減措置制度について、「建物」と「土地」の両方に分けて解説します。要件自体は多めですが、内容を整理したうえで理解しておけば難しくはありません。軽減対象になると大幅な節税につながるので、ぜひこの機会に基本知識を押さえておきましょう。
建物の条件(新築住宅で軽減措置が受けられる場合)
課税床面積が50㎡以上240㎡以下であること
(賃貸マンションの場合は1戸当たり40㎡以上240㎡以下。居住用そのほかも含め住宅全般に適用される。賃貸用マンション・賃貸用アパート・セカンドハウスもOK。)
要件を満たした新築住宅の控除額は1,200万円です。なお、取得した新築建物が「認定長期優良住宅」に認定されるとさらに控除額が100万円上乗せされ、1,300万円の控除額が差し引かれます(長期優良住宅の申請は2024年3月31日まで可能)。
「認定長期優良住宅」は環境負荷の軽減や良質な住宅を将来に残すことを目的に2009年から実施されている認定基準です。構造躯体の劣化対策、耐震性、などの技術的な基準を満たすことで認定されます。
申請から認定まで時間がかかるのがデメリットですが、一度認定を受けると、不動産取得税だけでなく「住宅ローン控除」や「固定資産税」「登録免許税」などでも優遇されるため、お得な制度になっています。国土交通省からパンフレットなどで詳しい中身が公表されているので、ご興味のある方は参考にご覧ください。
(参考)国土交通省 長期優良住宅認定制度の概要について
まとめると、新築住宅の「建物」に課される不動産取得税の計算式は次のようになります。
新築建物の不動産取得税額 = 建物の固定資産税評価額 × 3%- 1,200万円
土地の条件(新築住宅で軽減措置が受けられる場合)
次に新築建物の建つ土地での軽減措置の要件を見ていきましょう。
●新築建物が建つ土地での軽減措置要件
1:建てられた住宅が、新築建物の軽減措置の適用対象
2:先に土地を取得した場合、3年以内に建物を新築すること
3:建物の建築を先行していた場合、新築した人が1年以内にその土地を取得すること
上の要件を満たすと、課税評価額が「住宅の建つ土地の固定資産税評価額の2分の1」に軽減されます(2024年3月31日まで適用)。
計算式は次のとおりです。
新築住宅の建つ土地にかかる不動産取得税 = (固定資産税評価額×2分の1×3%)ー 控除額
ここで問題となるのが「控除額」の部分です。この控除額は「新築住宅及びその敷地の税額の軽減」という軽減制度で計算されます。計算方法をまとめましょう。
●「新築住宅及びその敷地の税額の軽減」制度で適用される控除額
下のA、Bのどちらか大きいほうの金額に決定
A:4万5,000円
B:(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×2分の1)×課税床面積×2(200㎡が限度)×3%
少し複雑なのがBの「課税床面積×2」の部分です。例えば課税床面積が120㎡の場合、
120㎡×2=240㎡
となるので、計算式では200㎡で計算します。
その結果
B=(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×2分の1)×200㎡×3%
上記の数式で、Bの場合の控除額が決定します。
なお、Bの金額はAの4万5,000円以下であれば4万5,000円、Bが4万5000円以上であればBの金額が控除額となります。実務上はBの計算式で控除額が決定することがほとんどです。
新築戸建て・マンションの計算シミュレーション
ここまでの計算式を使って、簡単なシミュレーションをしてみましょう。
例)2020年2月に120㎡の土地を取得後、同年7月に延べ床面積70㎡の家屋を新築した事例
【土地と建物の条件】
・敷地面積が120㎡
・延べ床面積70㎡
・取得者本人の居住用住宅
・土地の固定資産税評価額 1,200万円
・建物の固定資産税評価額 1,400万円
・認定長期優良住宅に該当
【計算シミュレーション例】
・建物の不動産取得税額
1,400万円(固定資産税評価額)-1,300万円(新築建物の控除額)]×0.03(税率)=3万円
延べ床面積が70㎡なので、「50㎡以上240㎡以下」の要件に該当し、控除額の適用を受けます。
・土地の不動産所得税額
[1,200万円(固定資産税評価額)×1/2]×0.03-21万円(控除額)=0万円(▲3万円)
控除額の計算式は、
(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×2分の1)×課税床面積×2(200㎡が限度)×0.03
です。この計算式に数字を当てはめると
(1,200万円÷120㎡×1/2)×140×0.03 = 21万円
4万5,000円よりも大きい金額なので、21万円が控除額となります。
以上の合計で
不動産取得税額=3万円(建物分)+0円(土地分)=3万円
となります。
中古における不動産取得税の軽減措置
続いて中古住宅で適用される軽減措置について解説します。基本的なところは新築住宅と共通ですが、控除額の決め方などで多少の違いがあります。ここでも「土地」と「建物」に分けて、理解しておきましょう。
建物の条件(中古住宅で軽減措置が受けられる場合)
中古住宅の軽減要件では、1982年1月1日以降に建築された建物かどうかが大きな基準となっています。これはいわゆる「新耐震基準」が適用されたのが1981年以降だからです。1981年以前に建てられた建物の場合は、適切な耐震リフォーム工事などを実施したうえで「新耐震基準」を満たさなければ軽減措置を受けられません。それでは具体的な要件です。
●「特例適用中古住宅」の要件
要件の1を満たし、なおかつ2に挙げた要件3つのうちのどれか1つに当てはまることが適用条件です。
1:課税床面積が50㎡以上240㎡以下(賃貸アパート・マンションなど収益物件は適用外。居住用の住宅であれば、賃貸併用住宅、セカンドハウスも対象)
2:以下の3要件のうち、どれは1つの要件を満たしていること
・1982年1月1日以降に建築された住宅
・1981年12月31日以前に建築された場合は、「新耐震基準」を満たす性能であると証明できること(具体的には「既存住宅売買瑕疵保険」への加入が証明できる住宅であること)
・新耐震基準に適合しない場合は、入居までに改修工事などで新耐震基準を満たすこと
以上の要件を満たすと、固定資産税評価額から差し引くことのできる「控除額」が適用されます。新築建物の控除額は1,200万円でしたが、中古住宅の場合は築年度がどの時期にあたるかで控除額が変わってきます。具体的な築年月日の期間と控除額は次のとおりです。
新築年月日 | 控除額 |
1997年4月1日以降 | 1,200万円 |
1989年4月1日~1997年3月31日 | 1,000万円 |
1985年7月1日~1989年3月31日 | 450万円 |
1981年7月1日~1985年6月30日 | 420万円 |
1976年1月1日~1981年6月30日 | 350万円 |
1973年1月1日~1975年12月31日 | 230万円 |
1964年1月1日~1972年12月31日 | 150万円 |
1954年7月1日~1963年12月31日 | 100万円 |
なお、中古住宅の築年月日は、「固定資産課税台帳」に記載された「新築日」でわかります。
基本的に上の表で示したとおりの控除額が適用されますが、控除額の決定方法については都道府県によって異なる基準を設けていることもありますので、一度所在地の都道府県の税事務所やHPでご確認ください。
土地の条件(中古住宅で軽減措置が受けられる場合)
中古住宅の建つ「土地」を対象とする軽減措置の要件も確認しておきましょう。こちらは新築住宅の宅地と基本的に共通です。
●中古住宅の「土地」にかかる不動産取得税の軽減措置の要件
1:宅地上の建物が、建物の軽減措置の要件を満たすこと
2:土地を先に取得した場合は、取得の1年以内に建物を取得すること
3:建物を取に取得した場合は、取得の1年以内に土地を取得すること
軽減要件を満たす建物と土地を2024年3月31日までに取得している場合は、固定資産税評価額の2分の1の税率3%を乗算して税額を計算します。
次に軽減措置が適用される場合の控除額の決定方法です。これに関しては新築住宅の敷地と同じです。
●「住宅とその敷地にかかる軽減制度」で適用される控除額
A、Bのどちらか大きいほうの金額に決定
A:4万5,000円
B:(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×2分の1)×課税床面積×2(200㎡が限度)×3%
まとめると、「土地」にかかる不動産取得税の計算式は以下のようになります。
新築住宅の建つ土地にかかる不動産取得税 = (固定資産税評価額×2分の1×3%)ー 控除額
中古戸建て・マンションの計算シミュレーション
中古住宅を想定した簡単なシミュレーションをやってみましょう。
例)1982年6月築の中古住宅を「贈与」により取得した事例
【土地と建物の条件】
・敷地面積が150㎡
・延べ床面積90㎡
・取得者本人の居住用住宅
・土地の固定資産税評価額 2,400万円
・建物の固定資産税評価額 900万円
・長期優良住宅の認定なし
・築年1982年6月
【計算シミュレーション例】
・建物の不動産取得税額
[900万円(固定資産税評価額)-420万円(新築建物の控除額)]×0.03(税率)=14万4,000円
今回の住宅も床面積50㎡以上240㎡以下で軽減措置の適用対象です。1982年6月築造で新耐震基準を満たしているため、控除対象となりました。
・土地の不動産所得税額
[2,400万円(固定資産税評価額)×1/2]×0.03-48万円(控除額)=0円(▲12万円)
控除額の計算式は
(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×2分の1)×課税床面積×2(200㎡が限度)×0.03
ですので、この計算式を当てはめると
(2,400万円÷150㎡×1/2)×200×0.03 = 48万円
4万5,000円よりも大きい金額なので、48万円が控除額となります。
以上を合計すると
不動産取得税額=14万4,000円(建物分)+0万円(土地分)=14万4,000円
となります。
不動産取得税の軽減措置の申請手続きと還付請求のやり方
不動産取得税の納付では、納付時に軽減措置の申請をあわせて行います。もし申請を忘れてしまい、本来の課税額よりも多めに支払った場合は「還付請求」することが可能です。
軽減措置の申請手続きと還付方法について
不動産取得税には「土地」「建物」に対する各種の「軽減措置」が適用されますが、軽減措置の適用を受けるためには、取得者自ら納税手続き時に申請しなければなりません。
申請手続きの期限は「不動産取得後60日以内」となっており、「不動産取得申告書」と「必要書類」を管轄の都道府県の税事務所に提出し、その後「都道府県税事務所」から届く納税通知書に従い納税する、という流れになります。
通常、納税通知書が届くのは申請から4~6ヶ月後です。「不動産取得」の日は、実際に取得した日時ですので、登記の書き換え日ではない点に注意してください。
万が一、支払い後に「軽減措置」の申請が漏れていたことが判明した場合は、「不動産取得税減額申請書」と「添付書類」を提出することで還付を受けることができます。ただし、還付請求ができるのは、不動産取得の日から5年以内の期限がありますので、払い過ぎがわかった段階で、なるべく早めに還付請求をしましょう。
「不動産取得税の申請」で必要な書類は次のとおりです。
➀不動産取得税申告書
②不動産取得税課税基準の特例適用申告書
③不動産取得税減額適用申請書(土地用)
④不動産取得税減税適用申請書(建物用)
⑤売買契約書(写し)
⑥登記事項証明書
1982年1月1日以前に建てた中古住宅では、耐震基準を満たすことを証明する書類の提出が必要となります。
「不動産取得税の還付請求」手続きで必要な書類は次のとおりです。
①不動産取得申告(報告)書
②住宅用土地に係る不動産取得税減額(還付)申請書
③住宅の登記事項証明書(登記簿謄本)など
④土地の売買契約書など(写し)
⑤印鑑(認印でも可)
申請書類は都道府県の税事務所に用意されているほか、ネット上からダウンロードすることもできます。
なお、「軽減措置」を受けるためには、ここであげた申請書類以外に特別に提出を求められる添付書類がいくつかあります。典型的なケースごとにご紹介しましょう。
土地を取得後、3年以内に住宅を新築した場合に必要な添付書類
注文住宅の新築などで考えられるケースです。以下は東京都のケースですが、工事に関連する書類の提出が求められます。2世帯住宅や貸家などの取得では、さらに別の書類を求められることもありますので、申請前に各都道府県の税事務所で細かい要件をご確認ください。
不動産取得税の申請書以外の必要書類
・売買契約書
・最終代金を支払ったことを証明する領収書
・建築確認済証
・建築確認申請書第3面
・建築工事請負契約書
・登記事項証明書(全部事項証明書)
住宅完成後は
・土地の登記事項証明書(必須)
そして、以下の3つのうちのいずれかの書類
・検査済証
・登記事項証明書(全部事項証明書)(建物)
・建物引渡証明書と請負業者の印鑑証明書(原本)
以上が必要添付書類となります。なお、「認定長期優良住宅」の申請ではさらに専門的な書類を求められますので、工事業者や税事務所に問い合わせたうえで必要な書類を準備しましょう。
中古住宅を敷地と合わせて取得した場合に必要な添付書類
中古住宅と敷地をセットで取得した場合の必要添付書類は次のとおりです。
・売買契約書
・最終代金を支払ったことを証明する領収書
・登記事項証明書 (全部事項証明書・建物部分の証明のため)
・住民票(マイナンバーの記載のないもの)
中古住宅の取得で注意したいのが、1981年以前に建てられた住宅の場合です。1981年以前の建物は「新耐震基準」を満たしていないため、耐震リフォーム工事などによって「新耐震基準」に適合していることを証明しなければなりません。
具体的に必要となる書類は、
・耐震基準適合証明書(原本)
・建設住宅性能評価書
・既存住宅売買瑕疵担保責任保険が締結されていることを証する書類
上の3つの書類のうちいずれかを添付する必要があります。
建売住宅や新築マンションを敷地と合わせて取得した場合に必要な添付書類
最後に建売住宅や新築マンションなど、すでに完成した新築物件を取得した場合です。申請手続きの中では比較的シンプルで、必要書類自体も少なめで済みます。主な必要書類は次のとおりです。
・売買契約書
・最終代金を支払ったことを証明する領収書
・登記事項証明書(全部事項証明書・建物部分の証明のため)
「認定長期優良住宅」の申請では必要書類が増えますが、不動産会社のほうで準備してもらえます。
不動産取得税が免税されることはあるの?相続のときは?
不動産取得税が免税される事例についてまとめておきます。
不動産取得税が免税されるケース1:相続
相続による不動産の取得は非課税となります。不動産を相続で承継した場合は「形式的に所有権が移動したもの」と考えられるため、新たな所有権の発生とはみなされないためです。
ただし、「贈与」での取得は課税対象となる点に注意しましょう。相続税対策として「生前贈与」や「相続時精算課税制度」をご検討の方は、不動産取得税とのバランスを見て、節税効率のよい方法を選ぶ必要があります。
不動産取得税が免税されるケース2:免税点
免税点とは、取得にかかった費用が課税対象に満たない少額の場合に非課税となる基準の事です。「土地」と「家屋」、それぞれに基準が設定されています。
●「土地」と「家屋」の免税点
・土地の取得費用が10万円未満
・家屋を建築した場合の取得費用23万円未満
・売買や建築以外(売買など)で取得した場合の取得費用12万円未満
ただし、上の要件を満たしていても免税点の対象にならないケースがあります。
●免税点(不動産取得税の非課税対象)とならない場合
・土地を取得した方がその土地を取得した日から1年以内に、その土地に隣接する土地を取得した場合
・家屋を取得した方がその家屋を取得した日から1年以内にその家屋と一構となるべき家屋を取得した場合
中古住宅での不正な免税を防ぐための措置で、例えば本来数百万円する土地の支払いを複数年に分割して10万円未満の支払いをする、といった脱法行為を防ぐ目的があります。
不動産取得税のことは「リロの不動産」にお問い合せください
「不動産取得税」は取得時に1度だけ納付する税金なので、申請方法や手続きについて事前に知っておかないと、申請そのものを忘れてしまう恐れもあります。取得した物件によっては意外と大きな金額となるので、基本的な内容については一通り理解しておきましょう。
中でも「軽減措置制度」は大幅な節税につながりますから、簡単なシミュレーションを通じて制度内容を把握しておくことが大事です。
ただ、ここで紹介したような簡単なシミュレーションですむ事例はごくわずかでしょう。不動産ごとに細かな条件が違いますので、正確で細かな税負担を知るためには専門家からアドバイスしてもらうほうが確実です。
また、不動産投資をお考えの方は、投資目的(例えば節税、相続、将来の年金がわりの資産運用など)に合わせた税金対策を考えなければなりません。中古や新築、保有戸数の違い、マンション・アパート一棟投資あるいは一戸建て投資かなど、投資先の属性やオーナー様のライフステージなども考えたうえで、全体的な経営戦略を立てる必要があります。
【リロの不動産】【リロの売買】では、このような不動産の資産活用での悩みについて、不動産の選定から管理、節税対策や相続対策なども含め、多角的なトータルサポートを行っております。オーナー様個々のケースに合わせた適切なアドバイスを全力でご提案いたしますので、資産活用や税金対策でお悩みの方は、ぜひご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。