賃貸人の修繕義務と節税になる修繕費!賃借人が修繕費負担する特約も解説
2024.01.02賃貸住宅の修繕リスクには、オーナー様、入居者様どちらが費用負担するかでトラブルになりがちです。然るべき対応をとる賃貸経営を行うためにも、修繕義務や費用負担の基本ルールをよく理解する必要があります。
そこで、この記事では賃貸住宅の修繕に関して、法律や国土交通省のガイドラインなどで定められた内容を中心に解説します。また、修繕費用は節税対策に役立てることもできますので、基本知識と合わせて税法上の考え方も理解しておきましょう。
▼この記事の内容
●賃貸住宅に関するトラブルで最も多いのが、原状回復費用の負担をめぐる問題。トラブルの原因は、オーナー様と入居者様の負担に関する認識の違い。
●修繕費負担の基本は、オーナー様(賃貸人)の修繕義務と入居者様(賃借人)の善管注意義務。
●原状回復をめぐってはトラブルが多いので、国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を発行して注意喚起をしている。
●貸主と借主の双方の同意があれば、賃貸借契約時に原状回復費用の負担割合を変更した特約を結ぶことができる。
●一定の要件を満たした修繕費は必要経費扱いとなるため、節税につながる。物件の資産価値を高める支出は資本的支出となり、減価償却の会計処理を行う。
目次
賃貸アパート・マンションで修繕トラブルが多発
賃貸住宅に関するトラブルで最も多いのが、修繕費用の費用負担をめぐる問題です。
原状回復費用について貸主側と借主側の情報共有が不十分だと、費用請求時にトラブルになりやすいです。
国民生活センターへの相談件数が1万件以上
賃貸住宅に関する原状回復トラブルはどれくらい生じているのでしょうか。国民生活センターの公表によると、原状回復についての相談件数は2021年度は14,112件、2022年度は12,884件、2023年度は13,247件にのぼります。
国民生活センターには毎年、賃貸住宅に関するトラブル相談が3万件以上寄せられますが、その実に約4割が原状回復に関する相談とのことです。国民生活センターに相談されない事案も相当多いはずですので、実態としてはかなり多くの件数で原状回復トラブルは発生していると推測できます。
原状回復に関するトラブルは、主に室内の破損・汚れの原因をめぐる認識の違いで生じることがほとんどです。
トラブルの原因は認識の違い
原状回復トラブルはオーナー様と入居者様、双方の修繕負担に関する認識の違いが原因で起こります。そこで、国土交通省はトラブルの予防・防止を目的とした「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を定めました。このガイドラインによって、原状回復費用についてオーナー様と入居者様のどちらが負担するかの基準を明確にしています。
しかし、実務ではオーナー様と入居者様ともにガイドラインの内容を理解していなかったり、特約事項の中身を把握していなかったりなど、お互いの認識不足を原因とするトラブル事例があとを絶ちません。破損個所の現況や傷のできた時期などの情報をきちんと記録しておくなど、物件の現況について双方が正しく情報共有する必要があります。
オーナー様には修繕義務がある
修繕費の負担を考えるうえでの基本となる「オーナー様(賃貸人)の修繕義務」について解説します。まずは法律上の規定を把握し、オーナー様にどのような法的義務が生じるのか理解することが重要です。
民法の規定
賃貸住宅のオーナー様には、物件に不具合が生じた場合に建物を修繕する義務があります。その根拠となる規定が民法606条です。
民法606条
1 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。
賃貸借契約において、賃貸人(オーナー様)は賃借人(入居者様)に対して、物件を使用収益させるべき義務を負います(民法601条)。オーナー様は入居者様に対し、物件を適切に使っていただく環境を整えなくてはならないということです。民法606条の規定は民法601条を前提にしていますので、建物の修繕行為も「賃借人(入居者様)に対して物件を使用収益させるべき義務」に含まれます。
仮に物件に不具合が生じた場合、修繕のための工事の実施とその費用負担義務があるのは賃貸人(オーナー様)です。雨漏りや外壁の破損、給排水設備の故障などの報告があれば、オーナー様が主導して工事会社を手配し、速やかに工事を行わなければなりません。
一口に修繕といってもその原因はさまざま。物件に生じたあらゆる破損についてオーナー様側が一方的に修繕義務が生じるのは不公平でしょう。そこで重要となるのが賃貸人(オーナー様)の「修繕範囲」に関する法的基準です。
基準は使用収益に耐えうるかどうか
賃貸人(オーナー様)の修繕義務が生ずる破損はどこまでの範囲なのか、その基準となるのが「使用収益に耐えうる破損」にあたるかという点です。東京地裁の判例によると、賃貸人に修繕義務がある破損の基準は「修繕しないと入居者様が契約どおりの使用収益を行うことができない(生活できない)もの」とされています(東京地裁平成25年1月29日)。
例えば雨漏りや配管の詰まりなどは、入居者様がまともに生活できないトラブルにあたりますので、オーナー様の責任で速やかに修繕しなければなりません。一方、内壁の一部破損、室内の照明やパッキンの交換といったトラブルは入居者様の生活に支障をきたすものではないため、オーナー様の修繕範囲に入らないということになります。
工事の程度にも基準があります。オーナー様に修繕義務が生じる工事内容は「使用収益ができる状態にするために必要な限度にとどまる」程度までです。仮に排水設備が故障した場合、元の状態まで戻す修繕はオーナー様の負担となりますが、設備一式を最先端のものに交換する義務まではない、ということです。
なお、賃貸住宅の修繕に関するトラブルについては以下の記事も参照ください。
賃貸住宅の原状回復とは? トラブルになりやすい費用負担の考え方
入居者様には善管注意義務がある
賃貸物件の使用については入居者様側にも「善管注意義務」があります。「善管注意義務」は原状回復費用の負担に大きく関わってきますので、法的な原則や仕組みについて一通り理解しておきましょう。
善管注意義務とは
「善管注意義務」とは民法400条に規定されている「善良な管理者の注意義務」のことです。民法400条は以下の内容となります。
民法400条
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
賃貸借契約にあてはめると、債務者にあたる賃借人、つまり入居者様は引渡しのあるとき(賃貸借契約終了後、オーナー様に物件を明け渡す)まで、善良な管理者の注意をもって物件を保存しなければならない、ということです。
善管注意義務に関する具体的な内容については国土交通省の示したガイドラインが参考になります。このガイドラインによると、賃借人(入居者様)は「社会通念上要求される程度の注意をもって賃借物を使用しなければならない」とされており、善管注意義務に違反する事例については以下のような事例を列挙しています。
善管注意義務に違反している事例
➀通常の掃除を怠ったことによって、特別の清掃をしなければ除去できないカビ等の汚損を生じさせた場合
②飲み物をこぼしたままにする、あるいは結露を放置するなどにより物件にシミ等を発生させた場合
③物件や設備が壊れたりして修繕が必要となったにもかかわらず、賃貸人(オーナー様)に通知を怠った結果、物件等に被害が生じた場合
出典:国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン再改訂版
入居者様が故意に設備や内装を破損したり、適切な対応をとらずに状態を悪化させたりした場合には善管注意義務違反となり、入居者様側が修繕費用を負担することになります。
原状回復はトラブルになりやすい
原状回復費用の負担については、実際にトラブルとなることが多いです。まずは基本ルールを定めた国土交通省のガイドラインを読み、原状回復についての基本的なルールを把握しましょう。
原状回復の定義
国土交通省の定めた原状回復についての定義を確認します。
原状回復の定義
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」
(国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より引用)
内容を簡単にまとめると、入居者様の故意・過失によって後発的に生じた室内の汚れ・傷の修繕費用は「入居者様の負担」によって、入居前の状態に戻すことが義務づけられています。
しかし、入居者様の故意・過失以外の原因となる破損、例えば「経年劣化」による内装の汚れや、入居前から存在する破損などの修繕費用は、オーナー様が負担しなければなりません。
さらに定義内容で注意したいのが「通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」の部分です。契約内容や常識的な使用を大きく逸脱して生じた損傷部分は入居者様に原状回復義務が生じる一方、通常使用による劣化部分については入居者様ではなく、オーナー様に原状回復義務が生じる点に注意しましょう。
原状回復のガイドライン
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」については、現状の賃貸契約に関する原状回復についての基本指針となっているので、必ず一度目を通しておくことをおすすめします。
参照:国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
このガイドラインは、原状回復に関するトラブルを未然に防止することを目的に1998年に取りまとめられたものです。賃貸住宅標準契約書の基本理念や実際の裁判例、賃貸借契約取引の実務、さらには裁判事例やQ&Aなどが追加され、適宜改訂が行われています。
賃貸経営実務では国土交通省のガイドラインに加えて、自治体がより細かなガイドラインを定めている場合があります。例えば東京都は条例によって、原状回復に関する特約事項の中身を具体的に指定しています。物件の存在する自治体でこのような独自のガイドラインが存在する場合は、その指定内容を元に、各不動産会社が「賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書」を作成することが通例です。
参照:東京都住宅政策本部「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン第4版(令和4年12月)」
原状回復費用負担の特約
原状回復費用の基本ルールでは、通常の経年劣化による室内の傷・汚れの修繕についてはオーナー様(貸主側)の負担となっています。しかし、いくら経年劣化といっても、入居者様が長年使用した後のクリーニング代すべてをオーナー様負担とするのはいささか不公平です。
そこで、実務上では入居者様にも一定の費用負担を請求できるよう、賃貸借契約時に慣習としての「特約事項」を定めます。賃貸借契約はあくまでも当事者同士の自由契約ですので、ガイドラインと異なる内容であっても貸主・借主の双方が合意していれば契約内容として有効です。例えば経年劣化などの原因を問わず、退去時のハウスクリーニング費用を一定額請求すると特約で決めておくことができます。
ただし、特約内容はあくまでも貸主と借主の公平な費用負担のために定めるものですから、不公平で一方的な内容だと無効です。特約を有効に活用するためには、特約に関する考え方や基本ルールをよく理解しなければなりません。次の項目でより詳しく解説します。
修繕に関する特約についての考え方
原状回復費用の負担についてまとめると、入居者様の故意・過失による破損は入居者様の負担、それ以外の経年劣化や建物構造的な問題が原因の破損部分はオーナー様側に修繕義務があります。
ただし、実際の事例においてはその線引きが難しいことも多々あり、オーナー様と入居者様で見解の食い違いが見られることもが少なくありません。
そこで、実務で重要視されているのが「特約」の存在です。特約によって物件特有の事情に合った具体的内容を定めることができ、結果的にトラブルの発生を予防することができます。
修繕費を入居者様負担とする特約
原状回復にかかる修繕費の負担は、経年劣化が原因の破損や入居者様の生活に支障をきたす破損したものは貸主(オーナー様)、借主(入居者様)の故意や不注意による破損は借主(入居者様)の負担となるのが原則です。しかし、実務上は必ずしも法律やガイドラインに沿った基準で契約する必要はありません。貸主と借主の双方の同意があれば、負担割合を変更した特約を結ぶことができます。
民法は原則として「契約自由の原則」のもと、当事者同士の合意内容を法律に優先させます。当事者同士の合意で問題解決が難しい場合は、民法の規定に従って事案を処理するのが基本的な流れです。
契約当事者双方が合意した内容であれば、オーナー様(貸主側)の費用負担を減らす特約を結ぶことも可能です。例えば修繕部分の原因に関わらず、原状回復費用の負担はすべて貸主(入居者側)とする内容も有効となります。
ただし、特約の内容があまりに不公平だったり、公序良俗に反したり、他の法律に抵触したりする中身であれば無効扱いとなってしまいます。国土交通省のガイドラインにおいて「特約が有効となるための3つの要件」が示されていますので、以下にあげておきましょう。
特約が有効となるための3つの要件
①特約の必要性と客観的・合理的理由があること
②入居者様が特約の存在・内容を認識していること
③入居者様が特約による義務を負担する意思表示をしていること
➀の要件によって、どちらかにとって一方的に不利な内容や、相場とかけ離れた費用負担を強いる特約は無効となります。
②の要件においては、特約の存在や内容を契約当事者同士が明確に認識していることが必要です。契約書や重要事項説明書の提示段階で、入居者様に特約内容をしっかり伝えなければなりません。
そして③の要件において、入居者様が特約内容について明確に合意する意思を示していることが重要となります。入居者様の合意のない特約はどんな内容であれ無効です。
この3要件を満たすかぎり、特約内容は自由です。特約内容はより細かく具体的なものでも構いません。例えば「ハウスクリーニングは入居者様の負担」「エアコン、給湯器の交換費用はオーナー様の負担」といった内容でもOK。特約内容に具体性を持たせることで、当事者同士での見解の食い違いを防ぐこともできます。
一般的には消耗品類を対象とする
実務上ほとんどの特約においては、消耗品の交換・修繕にかかる費用は入居者様の負担となっています。常識的に考えて消耗品の交換までをオーナー様が負担するのは不公平ですし、利便性も低いためです。
例えば電球・蛍光灯・ヒューズの交換などは日常的に行いますので、そのたびに費用請求するのは非効率でしょう。また、入居者様の利便性や好みによって交換する機会も多いですから、そのすべての費用をオーナー様が費用負担するのは不公平です。
給水栓・排水栓の取替えなども小まめに掃除していれば頻繁に起こるものではなく、トラブルが起こるのは入居者様の管理に問題がある事例がほとんどといえます。
消耗品や備品の費用負担については異論も出にくいので、特約によって入居者様の負担とするのが一般的です。
入居時の賃貸借契約で丁寧な説明を
具体的な内容は、賃貸契約締結時に交付する重要事項説明書で明示します。
原則としてエアコンやトイレ、給湯器などの設備本体の修理・交換は貸主(オーナー様)側の負担、消耗品の修理・交換は貸主(入居者様)側の負担と記載されることが多いです。消耗品の中身をより明確にしたい場合は、具体的な備品を特約上に記載します。
賃貸経営で負担する修繕費と節税の関係
物件の修繕で負担した費用のうち、一定の条件を満たすものは勘定項目の修繕費として計上できます。修繕費は税務申告時に必要経費扱いとなるため、節税につなげることが可能です。
ここでは修繕費となるための要件を中心に、修繕費用と税金の関係性について解説します。
なお、賃貸アパート・マンションの修繕費の相場に関しては、こちらの記事を参照ください。
賃貸アパートの改修工事や大規模修繕費用はいくら?改修項目別に解説
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小規模なものは修繕費として経費計上可能
修繕にかかった費用のうち、必要経費として申告できる修繕費となる要件は以下の通りとなっています。
➀かかった費用が20万円以下のもの
②修繕の周期が3年以内で実施されるもの
③通常の維持管理・原状回復のために支出されるもの
④品質が向上する場合であっても60万円未満、あるいは固定資産取得価格(前事業年度終了時点)の10%以下のもの
原則として、物件の価値を維持するためにかかった修繕費用は修繕費となります。小規模な補修や原状回復工事、必要最小限のメンテナンスなどはほぼすべて該当するでしょう。
また、工事によって物件のスペックが上がる場合であっても1件当たり60万円以下、または固定資産取得価格(前事業年度終了時点)の10%以下であれば「修繕費」としての計上が可能です。
具体的に修繕費として計上できる工事例を挙げておきましょう。規模の大小にかかわらず、マンションやアパートのスペック維持を目的とした工事が中心です。
・雨漏り補修のための外壁工事・屋根の改修工事
・耐久性能や断熱性能が補修前と同程度の塗料を使用した外壁塗装工事
・室内の原状回復で、入居者様の入居前の状態に戻すための内装工事
・エアコン・給湯器など、交換前と同程度の性能・品質の製品への再交換
修繕費に含まれる工事の規模は比較的小さいものが多いですが、アパート全体でかかった費用を合計すると不動産所得の圧縮効果は高いです。毎年税務申告時に経費計上ができるため、安定した節税効果も期待できます。
資産価値を高めるものは資本的支出
外壁塗装、屋根の張替えなどの大規模修繕や新型モデルへの設備交換、大幅なリノベーション工事など、物件そのものの価値向上につながる支出全般は「資本的支出」として扱われます。
資本的支出は修繕した資産の耐用年数に応じた減価償却率を掛けて計算しますので、複数回に分けて計上することになります。
例えば、保有物件が築28年の鉄骨造アパート(鉄骨の厚さ3〜4mm)と仮定します。工事費用が270万円の外壁、屋根の大規模修繕を実施しました。鉄骨造建物の法定耐用年数は27年ですので、この物件は耐用年数を過ぎており、減価償却期間は5年で計算されます。
結果として、270÷5=54で、工事費用は5年間54万円減価償却費として計上されます。このように、修繕費と資本的支出では会計上の処理が異なるので、納税を含めたキャッシュフロー計算では十分にご注意ください。どのような種類の工事を、どのタイミングで実施するかの見極めは、賃貸経営上きわめて重要となります。
一括償却資産特例
例外的に資本的支出にあたる支出であっても修繕費として計上できる特例があります。
1つめの特例が「一括償却資産特例」です。対象となるのは取得価額20万円未満の減価償却資産で、一括または3年で均等に割った金額を償却することができます。
一括償却資産特例は比較的利用条件が緩い点がメリット。適用範囲の制限が少なく、1年あたりの上限設定もありません。基本的に誰でも利用でき、例えば個人投資家であっても雑所得での適用が可能となっています。また、資産費用の内訳に関係なく対象金額すべてを必要経費として計上できるので、会計処理も簡単です。
少額減価償却資産の特例
2つめの特例が「少額減価償却資産の特例」です。この特例は中小企業を対象にした制度で、青色申告中の法人が行った1件30万円未満の工事について、当該年度の工事費用合計額が300万円を上限に全額経費計上できます。
この特例については2年ごとに適用期限が延長されており、現状での期限は2024年までとなっています。対象となる企業の要件が細かく決まっていますので、気になる方は国税庁のホームページでご確認ください。
出典:国税庁 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
少額減価償却資産の特例は、1件当たり30万円(年度の合計額300万円上限)以下に抑えた複数の工事をまとめて経費計上することに強みがあります。例えば、新型の給湯器1台25万円を10台分交換した場合、総額250万円分を全額経費計上できることになります。
なお、実際のリフォーム事例については以下の記事を参照ください。
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まとめ
アパートやマンションの修繕は物件の価値を維持するのに必要不可欠です。お手持ちの物件の価値を高めるための投資だと考え、無理のない範囲で効果的に投資する必要があります。
修繕問題は原状回復費用などをめぐって入居者様とトラブルになりがちです。法律上のルールを理解したうえで、トラブルを未然に防ぐための対策を取る必要があるでしょう。税金面においても修繕費用が修繕費にあたるか、資本的支出にあたるかによって違う点にもご注意ください。
賃貸経営における修繕費用の扱いは複雑です。工事そのものだけでなく法的安全性、節税対策の知識などの専門的な知見が必須といえます。少しでも不安がある場合は、賃貸管理会社などの不動産の専門家に相談してみましょう。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。