賃貸管理の委託契約ポイントとは?管理契約の確認事項や選び方を事例で解説
2025.11.30
アパートやマンション経営を始める場合、賃貸管理をどうするのかは投資家にとって避けて通れない重要な課題です。
入居者募集や家賃回収、建物の維持管理など、賃貸経営には日常的な業務が多く、すべてを自分でこなす「自主管理」か、専門会社に任せる「管理委託」か、あるいは「サブリース」を利用するのかで、収益性や手間のかかり方が大きく変わります。管理方式や契約内容をよく理解せずに決めてしまうと、思わぬトラブルや損失につながりかねません。
本記事では、賃貸管理の基本的な役割から、自主管理・管理委託・サブリースそれぞれの特徴と委託契約で失敗しないためのポイントなどを解説します。長期的に安定した賃貸経営を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
▼この記事の内容
●アパート・マンションの資産価値維持のために賃貸管理は極めて重要。適切な賃貸管理は家賃収入を安定させ、物件の資産価値の維持・向上に寄与する。また、オーナー様は民法第601条にもとづいた「賃借人へ使用収益させる義務」を負っている。法的義務にもとづいた適正な管理が必要になる。
●賃貸管理は大きく分けて、オーナー様自身が管理を行う「自主管理」と賃貸管理会社に委託する「管理委託」がある。管理委託には、一括委託型(包括管理)、一部委託型(特定業務委託)、サブリース(一括借上)がある。さらに、サブリース契約にはパススルー型と家賃保証型(定額保証型)がある。
●賃貸管理契約のチェックポイントとしては、業務内容の明確化と範囲の確認、管理手数料の透明性と内訳をチェック、中途解約条項と条件の確認、違約金と責任範囲の把握、報告と連絡体制の確認がある。
●信頼できる賃貸管理会社選びのポイントとしては、豊富な実績と経験を見極める、得意分野と専門性を確認する、入居者募集力と空室対策を見極める、設備・工事対応力を見極める、収益物件売買のサポート力を見極める、入居者管理能力をトラブル・クレーム対応力と解決実績で評価する、滞納家賃が発生しない仕組みや問題解決能力を確認する、顧客対応とコミュニケーション能力を確認する、管理費用の妥当性を判断する、がある。
目次
アパート・マンションの資産価値維持のために賃貸管理は重要
賃貸経営を成功させるためには、物件の適正な管理が求められます。適切な建物のメンテナンスと入居者対応が、収益の安定化と物件の資産価値の維持につながります。
ここでは、賃貸管理の重要性とメリット、国土交通省が示す標準管理委託契約書などについて解説します。
賃貸経営成功の鍵は賃貸管理にあり
不動産投資は物件を購入して終わりではありません。収益物件であるアパートやマンションは、所有してから入居者募集や家賃回収、建物の維持・修繕などの管理業務が必須となり、適切な管理がなされなければ安定した賃貸経営は実現できません。
清掃や修繕が行き届かない物件は入居者様の満足度が低下し、退去につながります。クレーム対応が遅れると、近隣トラブルや訴訟に発展するリスクもあります。こうしたリスクを避けるためには、日常の管理業務を適切に行い、物件を良好な状態に保つことが重要です。
近年は、オーナー様による「自主管理」よりも、賃貸管理会社へ委託して効率的に運営するスタイルが主流になっています。賃貸管理を徹底することで、長期的な収益を確保しながら、不動産の資産価値の維持・向上ができるのです。
適正な管理業務がもたらすメリット
適正な管理業務は、オーナー様に以下のようなメリットをもたらします。
●収入の安定化
●資産価値の維持・向上
●法的リスクの低減
それぞれについて、具体例を挙げながら解説します。
収入の安定化
適切な賃貸管理を行うことで、家賃収入の安定化が期待できます。
入居者様を募集して適正賃料で空室を埋めて、定期的な清掃や点検を実施して物件の美観を保てば、入居者様の満足度が高まり、長期入居につながるでしょう。長期の入居者様が多ければ空室リスクが減り、広告費や原状回復費といった余計なコストの発生を抑えられます。
こうした積み重ねが結果として家賃収入の安定をもたらし、キャッシュフローを確保しやすい環境をつくるのです。
資産価値の維持・向上

賃貸管理の大きな役割の一つは、物件の資産価値を維持し、向上させることです。外壁のひび割れや水漏れを早期に修繕すれば、不要な大規模工事を避けられます。
定期的な点検や修繕をおこなえば劣化や故障を早期に発見して対応できるため、建物全体の状態を良好に保つことができ、修繕コスト削減だけでなく、将来的な売却の際にも有利に働きます。
法的リスクの低減
物件の賃貸人であるオーナー様は、民法第601条にもとづき賃借人に対して目的物を使用収益させる義務を負います。簡単にいうと、オーナー様はアパートやマンションの設備や建物自体の状態を良好に保ち、入居者様が安心して住める環境を提供しなければならないということです。
適切な賃貸管理を怠り、雨漏りや給排水設備の故障などのトラブルを放置すれば、賃借人との契約不履行とみなされ、損害賠償請求や家賃減額請求に発展することもあります。法令にもとづく定期点検や修繕を怠ったことで事故が発生すれば、オーナー様が法的責任を問われるリスクもあるでしょう。
このような事態を防ぐためにも、信頼できる賃貸管理会社に業務を委託し、法的義務にもとづいた適正な管理を継続的に行うことが重要です。
国土交通省の「賃貸住宅標準管理委託契約書」
賃貸管理を賃貸管理会社に委託する場合、契約内容の不明確さからトラブルが生じる場合があります。
こうしたリスクを防ぐため、国土交通省は「賃貸住宅標準管理委託契約書」を作成・公表しています。これは、オーナー様と賃貸管理会社の間で結ぶ委託契約のひな形であり、家賃回収・清掃・修繕・クレーム対応など、管理業務の範囲や責任分担を明確にすることが目的です。
標準管理委託契約書に沿った契約を結べば、双方の認識のずれを防ぎ、公平な取引を行いやすくなるでしょう。特にはじめて賃貸管理会社に委託するオーナー様は、標準管理委託契約書を基準に契約内容を精査することで、不要な費用やトラブルを回避し、安心して賃貸経営を任せられるはずです。
賃貸管理の種類とそれぞれの特徴
賃貸経営には、大きく分けて「自主管理」「管理委託」「サブリース」という3つの管理方法があります。どの方式を選ぶかによって、オーナー様が担う業務の範囲やリスクの大きさは異なります。自分の投資スタイルや物件規模、ライフスタイルに合わせて最適な方法を選ぶことが、安定経営の第一歩です。
ここでは、3つの賃貸管理の種類それぞれの特徴について詳しく解説します。
自主管理

自主管理は、オーナー様が物件の管理をすべて行う方法です。入居者募集、契約手続き、家賃の回収、清掃・修繕の手配、クレーム対応まで、管理業務の全責任を負います。
最大の特徴は、賃貸管理会社への委託費用が不要で、収益を最大化しやすい点です。自分で入居者様を探せば広告費も抑えられ、運営コストを低く保てます。物件を自分の裁量で管理でき、入居者様と直接的な関係を構築できるというメリットもあります。
ただし、十分な管理体制を整えるためには専門知識と時間が必要です。入居者対応や設備トラブル、滞納督促といった業務は時間も労力もかかり、場合によっては休日・夜間の緊急対応なども必要となります。賃貸借契約や法令に関する知識がなければ、トラブルが発生した際に不利な状況に陥る可能性もあるでしょう。
賃貸物件の自主管理は、コストを抑えられる点は大きなメリットですが、その分リスクもあるのが事実です。小規模な物件や、自宅近くにアパートを1棟のみ所有する場合などにおいて、選択肢になる管理方法といえます。
管理委託
管理委託は、賃貸管理会社に物件管理の一部または全部を任せる方法です。家賃回収や入居者対応、清掃・点検などの業務を委託することで、オーナー様の手間を大幅に減らしつつ、専門知識にもとづいた適切な管理やトラブルへの迅速な対応が可能となります。
家賃収入の3〜8%程度の管理委託料がかかりますが、入居者募集時の広告活動や契約手続きも代行してもらえるため、遠方に住むオーナー様や複数物件を所有する投資家にとっては非常に便利です。ただし、賃貸管理会社の質によってサービス内容が左右される可能性があるので注意しましょう。単純に入居者様を募集するだけではなく、物件やオーナー様のお考えによって、厳しい入居者審査や賃料アップの提案など実利につながる部分で大きな違いが生まれます。
委託契約の範囲を明確にしておかないと双方の合意を得ていない想定外の追加費用を請求されるケースもあるため、契約内容をしっかり確認しておきましょう。ここでは、管理委託について「一括委託(包括管理)」「一部委託(特定業務委託)」の2種類に分けてさらに詳しく解説します。
一括委託型(包括管理)

一括委託型(包括管理) とは、入居者募集から賃貸借契約、家賃集金、クレーム対応、退去時の精算、原状回復工事の手配、設備点検まで、賃貸管理業務をすべて賃貸管理会社に任せる管理形態です。
最大のメリットは、オーナー様の負担が少ない点で、賃貸管理会社の専門知識とノウハウをフル活用できるため、複数物件を所有する投資家や遠方の物件を抱えるオーナー様に適しています。
管理委託料は一部委託型よりも高めに設定される傾向があり、細かな意思決定が賃貸管理会社を介するため、自分の意向を即時に反映しにくい側面もありますが、もっとも多い契約形態です。
本業が忙しく物件管理に時間を割けないオーナー様や、効率的な経営を重視する投資家にとって、一括委託型は安心して賃貸経営を任せられる最適な選択肢となります。特に、売却を視野に入れている方や相続を念頭に置かれている方には、建物の資産性を守りつつ、より有効な運用方法を勘案して提案いただきやすいでしょう。
一部委託型(特定業務委託)
一部委託型(特定業務委託) とは、賃貸管理業務のうち、オーナー様が希望する特定の業務だけを賃貸管理会社に任せる方式です。
「入居者募集のみ」「家賃集金のみ」「建物管理のみ」「トラブル対応のみ」など、必要な業務を選択して委託できます。一部委託であれば、一括委託と比較して管理委託料を抑えられるとともに、オーナー様が関わりたい分野を残し、自分の得意分野を活かせるのが大きなメリットです。
ただし、委託しなかった業務はオーナー様が直接対応する必要があり、一定の負担が残ります。委託部分と自主管理部分の間で連携が取りづらいため、緊急時に対応漏れが生じるリスクも意識する必要があります。
一部委託は手間がある程度かかる一方で柔軟性が高いため、時間に余裕があり、自宅近くに所有物件があるオーナー様におすすめできる選択肢といえます。
ただし、すべて自己責任となるため賃貸経営に慣れているベテラン向きの契約になります。自主管理や格安の手数料で管理していた方が、適切な修繕積立金をご用意できずにご相談をいただくケースも存在するので、ご留意ください。
サブリース(一括借上)

サブリースとは、賃貸管理会社がオーナー様から物件を一括で借り上げ、入居者様に再度貸し出す仕組みです。オーナー様は空室の有無に関係なく、契約で定められた家賃を毎月受け取れるのが最大の魅力です。空室リスク・家賃滞納リスクを低減できるため、安定収益を求めるオーナーに選ばれやすい方法です。
サブリースには、主に「パススルー型」と「家賃保証型」の2種類があります。契約内容を十分理解し、長期的な視点で検討しましょう。
パススルー型
パススルー型は、サブリース契約の一種でありながら、実際の入居状況に連動した家賃が支払われるのが特徴です。「実績賃料連動型」とも呼ばれ、事業用物件で採用されているケースが多く、居住用物件ではまだ導入が少ないのが実情です。手数料が家賃保証型と比較すると割安で、家賃の5〜10%程度が相場です。
パススルー型の大きなメリットは、市場家賃上昇の恩恵を受けやすい点にあります。固定型サブリースでは、契約時に決められた家賃が据え置かれるため、周辺相場が上昇しても収入は変わりません。パススルー型では実際の賃料に応じて収入が増加するため、家賃相場が上昇している地域や今後の上昇が見込まれる地域で有利です。
ただし、家賃下落局面では保証賃料も連動して減少するため、家賃相場の変動には敏感に反応します。収益の上昇可能性とリスク分散の両立を図りたいオーナー様や、好立地で将来的に家賃上昇が見込まれる物件を所有している方に向いている管理方式といえるでしょう。
家賃保証型(定額保証型)
家賃保証型(定額保証型)は、サブリース契約の中でももっとも安定性の高い方式で、賃貸管理会社がオーナーに対して毎月一定額の家賃を保証する仕組みです。空室が出ても滞納があっても、契約時に定めた保証額が必ず支払われるため、賃貸経営のキャッシュフローが安定するのが最大のメリットです。オーナー様は入居者様の募集や家賃回収の心配から解放され、収益の見通しを立てやすくなります。
保証額は市場家賃と比べて低めに設定され、相場よりも10〜20%程度少ない家賃となります。空室リスク・家賃滞納リスクがヘッジされるかわりに、満室経営であっても本来得られるはずの収益より少なくなる点は理解しておく必要があります。
家賃保証型は、空室リスク・滞納リスクの低減を最優先に考えており、客付けが難しい地方物件や、早期に満室稼働を実現したい新築物件のオーナー様に適しています。収益性よりも安定性を重視したい場合に有効な選択肢といえるでしょう。
賃貸管理契約で失敗しないためのチェックポイント

賃貸管理を外部委託する場合は、トラブルを未然に防ぐために契約内容をしっかり確認する必要があります。賃貸管理会社と契約締結する際は、以下の6点をよくチェックしましょう。
●業務内容の明確化と範囲を確認する
●管理手数料の透明性と内訳をチェックする
●中途解約条項と条件を確認する
●違約金と責任範囲を把握する
●報告と連絡体制を確認する
●個人情報保護と機密保持を確認する
それぞれについて具体的に解説します。
業務内容の明確化と範囲を確認する

賃貸管理契約を結ぶ際、まず重要なのが業務内容の明確化と範囲の確認です。
管理委託と一言でいっても、家賃回収・入居者募集・清掃・修繕・クレーム対応など、実際の管理業務は多岐にわたります。契約書に具体的な業務内容が記載されていないと、「これは契約に含まれていない業務です」と追加料金を請求されるケースがあり、オーナー様と賃貸管理会社の間でトラブルになりがちです。
業務内容と範囲を確認する際に、入居者募集に強い根拠や、家賃滞納が起きない工夫、問題が起きた場合の事例などを確認しておくと具体的なイメージをお互いに共有できるでしょう。
また、どの程度の修繕まで管理費用に含まれるのか、原状回復の発注や見積もりは誰がするのかなど、細部まで確認する必要があります。どこまでが業務内容に含まれるのかを契約段階でしっかり確認することで、後々の不要な誤解や費用負担を避けられます。
管理手数料の透明性と内訳をチェックする
管理委託契約では、賃貸管理会社に支払う管理手数料が設定されていますが、その算出基準や内訳が不明瞭だと、後で思わぬ費用が発生する可能性があります。
契約書や見積書の中に、管理委託料の計算方法や、支払いタイミング、別途発生する費用が明確に記載されているかの確認が重要です。家賃の◯%という決め方が一般的ですが、募集業務の広告費用や原状回復で発生するコストなど、どの項目を、どの条件の時に負担しなければならないのかなどの詳細も決定しておきます。
手数料の透明性が確保されていないと、予期せぬコストが積み重なり利益を圧迫するリスクがあるため注意が必要です。契約前に納得できる説明を受け、書面で明記してもらいましょう。
中途解約条項と条件を確認する
賃貸管理会社と契約を結んだものの、サービスが不満だったり別の会社に変更したくなった場合、中途解約の条件が重要になります。
契約書によっては「解約は6ヶ月前までの通知が必要」「契約期間中の解約は不可」など、オーナー様にとって不利な条項が設定されているケースがあります。契約解除による違約金が発生するケースも少なくありません。サブリース契約やリフォームとセットで管理契約を行う場合など、オーナー様の契約条件により契約内容も千差万別です。
契約締結前に解約可能な時期、解約の方法、通知の期限、違約金の有無や金額を必ず確認しておきましょう。これを怠ると、不満を感じても長期間契約を継続せざるを得なくなる可能性があります。オーナー様が柔軟に賃貸管理会社を変更できるよう、解約条件が適正かを事前に精査することが必須です。
違約金と責任範囲を把握する
管理契約には、オーナー様や賃貸管理会社が契約内容に違反した場合の違約金や責任範囲が定められていることがあります。
賃貸管理会社が入居者様からの家賃を回収できなかった場合の責任の所在や、オーナー様が工事費の支払いを滞らせた場合、どのような違約金が発生するのかなどが挙げられます。違約金の内容や責任範囲が曖昧なまま契約すると、トラブル時に大きな金銭的負担を強いられる危険があります。
修繕や契約違反時の費用負担は誰がどこまで責任を負うのかを明確にしておくことが大切です。
報告と連絡体制を確認する

賃貸管理会社に業務を委託する場合、どの頻度で、どのような方法で報告や連絡があるのかを確認しておくことは重要です。
家賃回収の状況、空室の状況、修繕の進捗、入居者様からのクレーム内容など、オーナー様にとって把握すべき情報は多岐にわたります。報告が不十分だと、入居者様とのトラブルや修繕を必要とする箇所の発生などに気づかず、対応が遅れることもあります。
また、連絡方法(メール・電話・書面など)や報告書のフォーマットなども事前に確認すると安心です。 「何かあったときにすぐ報告がくる体制か」「定期報告は月1回か」といった内容を契約書に明記してもらえば、経営状況をリアルタイムで把握しやすくなり、賃貸管理会社への信頼性も高まります。
個人情報保護と機密保持を確認する
賃貸管理では、入居者様の氏名、連絡先、銀行口座情報など、センシティブな個人情報を扱います。そのため、賃貸管理会社が個人情報保護の体制を整えているかを確認することは欠かせません。
適切なセキュリティ対策や情報管理体制がなければ、情報漏えいリスクが生じ、オーナー様の信用にも傷がつきます。オーナー様の収支情報や物件に関するデータも扱われるため、機密保持契約(NDA)の有無や、情報の使用範囲を明確にしておくことも重要です。
契約時には、 「第三者への情報提供はしないか」「退職した社員が情報を持ち出すリスクをどう防いでいるか」 なども確認し、安心して管理を任せられる会社か見極めましょう。
賃貸管理で重要な建物管理とは
賃貸経営を長期的に成功させるためには、入居者募集や家賃回収だけでなく、建物自体の管理を徹底することが不可欠です。適切な建物管理がおこなわれるかどうかで、資産価値や入居率は大きく変わります。
ここでは、建物管理における4つの重要なポイントを解説します。
日常清掃
収益物件の印象は、共用部分の清掃状況によって大きく左右されます。
エントランスや廊下、階段、ゴミ置き場などが汚れていると、入居者様の満足度は下がり、退去や空室の原因となることも少なくありません。日常清掃によって美観を維持し、建物全体の雰囲気を良好に保てます。清掃時にはゴミの不法投棄や破損箇所の早期発見も可能で、トラブルを未然に防ぐ役割も果たします。
ファミリー向け物件や高級賃貸では、共用部の清掃レベルが入居希望者の判断基準になることも多く、定期的かつ丁寧な清掃は資産価値を守る基本中の基本です。賃貸管理会社に委託する場合は、頻度や清掃範囲(外周や駐車場を含むか)も契約で明確にしておきましょう。
設備管理

建物のエレベーター、照明、防犯カメラ、給排水設備、消防設備などは、日常的な点検・管理が欠かせません。
防犯カメラやオートロックなどの共有設備をはじめ、エアコンや給湯器などの専有部分の設備トラブルに対する一時対応や修繕手配の体制などは入居者様の満足度に直結するため、十分に確認しておきましょう。
設備の不具合や故障を放置すると、入居者様の安全を脅かすだけでなく、修理費が高額になったり、法的な責任を問われるリスクもあります。消防法で定められた年1回の消防点検や、貯水槽の定期清掃などは法令で義務づけられているため、点検を怠ると行政指導や罰則の対象になる可能性もあります。
設備管理は安全性と快適性、そして資産価値を維持するための重要な要素であり、専門会社による定期的な点検と迅速な対応が求められます。
建物本体の維持管理
外壁、屋根、バルコニー、共用廊下など、建物本体のメンテナンスも極めて重要です。定期的な建物診断を行うとともに、長期修繕計画の立案・実行が大切です。
外壁のひび割れは、雨水の侵入を招き構造部分の腐食やシロアリ被害につながる可能性があります。外観の美しさは入居希望者の印象を大きく左右するため、定期的な補修や塗装が欠かせません。共用廊下や階段のコンクリートが欠けていると事故の原因になり、法的責任を問われることもあります。
建物の劣化は見えないところから進むため、定期的な点検を行い、小さな補修を重ねることが物件の資産価値を維持・向上させるために大切です。
大規模修繕の準備
アパート・マンションはおおよそ12〜15年ごとの周期で大規模修繕を実施するのが一般的です。大規模修繕工事としては、外部塗装工事、屋上・バルコニー防水工事、手すりなど金属部の塗装工事、給排水管交換工事、ガス管交換工事などが挙げられます。
大規模修繕では数百万円〜数千万円単位の費用が一度に発生するため、積み立てなどの準備を怠るとキャッシュフローを圧迫してしまいます。
賃貸管理会社や工務店と連携し、12〜15年先を見すえた修繕計画を立て、大規模修繕積立金を準備します。補助金や税制優遇を活用できるケースもあるため、制度の最新情報を把握しておきましょう。
大規模修繕の詳細は、以下の関連記事・改善事例もご参照ください。
賃貸経営に欠かせない建物管理とは? 信頼できる賃貸管理会社を見極めるポイント
賃貸物件のメンテナンスを解説!賃料と空室改善に寄与する建物管理
建物管理・メンテナンスで資産を最大化!収益物件のメンテナンスとは
信頼できる賃貸管理会社選びのポイント
賃貸管理会社は、物件の収益性や資産価値を左右する重要なパートナーです。しかし、会社によって得意分野や対応力、サービスの質には大きな差があります。契約後に「思っていたサービスと違った」と後悔しないためには、選定段階で複数の観点から契約先を見極める必要があります。
ここでは、信頼できる賃貸管理会社を選ぶために注目すべき9つのポイントを解説します。
豊富な実績と経験を見極める

賃貸管理会社を選ぶうえで、まず確認すべきは実績と経験の豊富さです。管理物件数が多い会社や、創業年数が長い会社は、積み重ねたノウハウや対応力が強みになります。
数百戸以上の管理実績を持つ会社であれば、家賃滞納や設備トラブル、入居者様からのクレームといった多様な問題を解決してきた経験があり、迅速で的確な対応が期待できるでしょう。自分の物件と同種・同地域で実績のある会社は信頼できます。一方、実績が乏しい会社では、予期せぬトラブル時に対応が後手に回りやすい傾向があります。
管理戸数や管理地域、管理している物件の種類(アパート・マンション・戸建て賃貸住宅など)を確認し、自分の物件と相性がいいかどうかを見極めましょう。
得意分野と専門性を確認する
賃貸管理会社にはそれぞれ得意分野があります。単身世帯向け物件を得意とする会社もあれば、ファミリー層向けマンションや事業用ビルのテナント管理を専門とする会社もあります。自分の所有物件のタイプと賃貸管理会社の専門性が一致しているかを確認し、自分の理想とする管理体制を提供してくれる会社を選びましょう。
得意分野を把握すれば、募集戦略や管理方針が物件に合致しやすく、結果的に高い入居率や長期入居を実現できます。公式サイトやパンフレット、担当者へのヒアリングを通じて、賃貸管理会社の専門性をしっかり確認するようにします。
入居者募集力と空室対策を見極める
賃貸経営でもっとも重要なのは空室を減らし、安定した家賃収入を確保することです。そのため、賃貸管理会社が持つ入居者募集力は選定時の大きな判断基準になります。住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)の掲載力、自社サイトの集客力、地域の仲介店舗とのネットワークなど、どのような募集経路を持っているかを確認しましょう。
また、「募集対応」「仲介対応」「管理対応」「設備・工事対応」の4つの空室対策を十分にとっているかどうかも判断基準となります。提案力と行動力のある賃貸管理会社なら、競合物件との差別化を図り、入居率を高める戦略を実行してくれるはずです。
設備・工事対応力を見極める
賃貸管理会社の設備管理・工事対応力も大きな評価ポイントです。
建物や設備は時間とともに劣化するため、定期点検や修繕対応がスムーズかどうかは、入居者様の満足度と物件価値に直結します。時代の経過とともに入居者様のニーズも変化するため、時代に合わせた設備の導入を積極的におこなっているかも大切です。
賃貸管理会社が提携する工事会社の質や対応スピード、見積もりの透明性や、トラブルが起きたときに迅速に対応できる体制が整っているか、24時間対応の窓口があるかなども合わせて確認しておきましょう。費用面でオーナー様に過剰な負担がかからないよう、複数社から見積もりを取る姿勢があるかもチェック項目です。
物件の資産価値保全のためにも、「4つの空室対策」に含まれる設備・工事対応力を持っているかどうかは必ず確認しておくべきポイントです。
設備・工事対応力については、以下の改善事例も参考にしてください。
収益物件売買のサポート力を見極める
賃貸管理会社によっては、賃貸管理だけでなく物件売買のサポートにも強みを持つ会社があります。将来的に物件を売却して資産を入れ換える、または追加購入して規模を拡大したいと考えているオーナー様にとっては、このサポート力が大きなメリットになります。
信頼できる賃貸管理会社は、地域の賃貸市場動向を把握しているため、市場動向や収益性を踏まえた売却のタイミング、購入のアドバイスを提供してくれます。物件購入や売却などの出口戦略においてもデータドリブンに対応してくれる賃貸管理会社は心強いパートナーとなるはずです。
収益物件の売却・購入については、以下の事例も参考にしてください。
入居者管理能力をトラブル・クレーム対応力と解決実績で評価する

入居者対応は、賃貸管理会社の能力が如実に表れる分野です。騒音トラブル、ゴミ出しマナー違反、ペット飼育問題、近隣クレームなど、現場での対応力が求められる課題は多岐にわたります。
賃貸管理会社が過去にどんなトラブルをどう解決してきたか、その実績や対応方針を確認しましょう。弁護士との連携体制やオーナー様への報告・連絡・相談の頻度や内容なども、信頼できる会社を見つけるうえで参考になります。
解決が早ければ入居者様の不満が積み重ならず、長期入居につながる一方、対応が遅いとクレームが増加し、退去や悪評の原因となります。 「解決の実績」「担当者の裁量」「対応のスピード感」 を具体的にヒアリングして、安心して任せられるかを判断すべきです。
賃貸管理会社に求められるトラブル対応力については、以下の記事や改善事例も参考にしてください。
【トラブル事例】賃貸管理会社に求められる対応力とは? 起こりうるリスクも紹介
大家さんが直接賃貸管理する際の業務とは?よくあるトラブルや改善事例も紹介
滞納家賃が発生しない仕組みや問題解決能力を確認する
家賃滞納は、オーナー様にとって大きなリスクです。賃貸管理会社がどのように滞納を防止し、発生した場合にどう対応しているかを必ず確認しましょう。
入居者審査や入居者管理に力を入れている会社を選べば、家賃滞納に関するトラブルを未然に防止できます。家賃保証会社との提携や、独自の保証制度、弁護士との連携の仕組みがあるかどうかも重要なポイントです。滞納が発生した場合の督促フロー(電話・訪問・法的手続き)や、未収金をどこまで回収するのかも事前に把握すべきです。
対応が甘い会社だと、滞納が長期化しオーナー様の収益に直接悪影響を及ぼします。滞納リスクを最小化できる体制を持つかどうかが、賃貸管理会社選びの鍵です。
家賃滞納トラブルに関しては、以下の関連記事や改善事例も参考にしてください。
家賃滞納の時効は何年か? 実際に起きたときの対処法を詳しく解説
賃貸経営における滞納保証とは? 家賃保証や一括借上との違いを解説
顧客対応とコミュニケーション能力を確認する

賃貸管理会社との日常的なやり取りの質も、長期的な信頼関係を築くために欠かせません。問い合わせへの返答が早いか、報告が丁寧か、問題発生時にきちんと連絡してくれるかなど、コミュニケーションの質を見極めましょう。定期報告の頻度や内容、担当者の専門知識や説明力も重要な判断材料です。
契約書や報告書の内容を専門用語ばかりで説明するのではなく、オーナー様にわかりやすい言葉で伝えられるかも大切です。オーナー様の疑問に親身に応じ、的確なアドバイスをしてくれる会社であれば、信頼関係を築きやすいでしょう。
初回相談や打ち合わせの段階で、担当者の説明力や対応姿勢をよく観察し、安心して任せられる会社かどうかを判断しましょう。
管理費用の妥当性を判断する
管理費用の妥当性についても確認が必要です。単純に価格だけを比較するのではなく、サービス内容とのバランスを見極めましょう。
安い手数料は魅力的に見えますが、サービスが限定的で結果的にオーナー様の負担が増える可能性があります。管理費にどこまでの業務が含まれているのか、追加費用が発生するケースは何か、内訳を明確にすることが重要です。
複数の会社を比較し、費用だけでなくサービス内容とのバランスを見極めれば、長期的に安心できる契約が可能です。
管理費用については、以下の改善事例もご参照ください。
必要な賃貸管理契約を理解しよう

賃貸管理契約は、オーナー様が安定した家賃収入を得ながら物件の資産価値を長期的に維持するために欠かせない仕組みです。
契約内容を十分理解せずにサインしてしまうと、想定外の費用やトラブルに直面するリスクがあります。業務範囲や管理手数料、解約条件、トラブル対応の体制など、契約時のチェックポイントを一つ一つ確認し、信頼できる賃貸管理会社を選ぶことが成功の鍵です。
賃貸経営をスムーズに進めるには、経験豊富でサポート体制の整った専門家との連携が不可欠です。長年の実績とデータドリブンなアプローチを強みとする【リロの不動産】では、『4つの空室対策』という独自のノウハウを活かし、全国のオーナー様の賃貸経営を力強くサポートしております。賃貸経営にお悩みの方は、ぜひ一度【リロの不動産】へ一度ご相談ください。
おすすめのサービス
おすすめのお役立ち情報
この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。
