家賃値上げ・賃料増額の進め方を事例で解説!正当事由・交渉方法・法的手段と円満に進める秘訣
2026.08.26
「家賃を値上げしたいが、入居者様に拒否されたらどうしよう」とお悩みのオーナー様は多いです。家賃の値上げは収益性アップに直接的な影響をもたらす一方、入居者様との間でやっかいな交渉を一歩一歩乗り越えなくてはならない、難しい課題でもあります。
そこで今回は「家賃の値上げ」問題について、法律で認められる条件や交渉・通知・法的対応のやり方などをわかりやすく解説します。
▼この記事の内容
●オーナー様からの家賃値上げ交渉は法的に可能。借地借家法には、経済状況や相場変動に応じて家賃を増減できる「家賃増減額請求権」が定められている。適正な設定は、オーナー様だけでなく入居者様にとっても公平な条件を維持することにつながる。
●家賃値上げが認められる正当な理由として、経済事情が変動した、物件の維持費と税金が増加した、近隣相場と比べて家賃が低い、などがある。
●家賃値上げが認められない事例として、オーナー様の一方的な都合のみの場合、近隣相場を大きく超える値上げ要求、家賃増額を禁止する特約を結んでいる、などがある。
●家賃値上げをスムーズに行うコツとしては、家賃値上げの理由を丁寧に説明する、通知のタイミングに配慮する、信頼できる賃貸管理会社に任せる、などがある。
入居者様の立場の記事は、以下をご参照ください。
家賃の値上げは問題ない?!家賃値上げ通知が来た場合の対処方法をご紹介!
近年は家賃上昇が続いている
近年は、物価上昇や建築コストの高騰を背景に、国内の賃貸住宅市場でも家賃上昇が続いています。入居者様にとっては負担増となる一方、オーナー様にとっては、現在の家賃が物件の維持費や周辺相場に見合っているかを見直す機会が増えています。
背景としての物価上昇傾向
家賃上昇の背景には、国内全体で続く物価上昇があります。総務省統計局の消費者物価指数を見ると、2023年1月の生鮮食品を除く総合指数、いわゆるコアCPIは前年同月比で4.2%まで上昇しました。また、2025年平均でも総合指数は2020年を100として111.9、生鮮食品を除く総合指数は111.2となっており、物価が高い水準で推移していることがわかります。
物価上昇は、賃貸経営にも少なからず影響します。建築資材や設備、人件費が上がれば、原状回復工事や修繕、リフォームにかかる費用も増えやすくなります。さらに、固定資産税や保険料、管理委託費などの維持管理コストも積み重なるため、従来の家賃設定のままでは収支が圧迫されるケースもあります。こうした状況から、オーナー様にとって家賃の見直しは、単なる収益拡大ではなく、安定した賃貸経営を続けるための検討事項になりつつあります。
家賃の推移

実際に、賃貸住宅の家賃は上昇傾向にあり、ニュースでも「家賃値上げ」の報道が続いています。消費者物価指数における民営家賃は長らく横ばいに近い状態が続いていましたが、2023年には前年比でプラスに転じ、25年ぶりの上昇となったことが報じられています。物価や建築費、維持管理コストの上昇が、賃貸住宅の家賃にも波及し始めていると考えられます。
また、LIFULL HOME’Sマーケットレポート2025年総括版によると、2025年12月の賃貸物件の掲載賃料は、首都圏のシングル向きで88,294円、前年同月比+24.8%、ファミリー向きで148,682円、同+14.0%でした。近畿圏でも、シングル向きが62,167円、同+7.5%、ファミリー向きが86,230円、同+6.3%となっており、いずれも2020年の計測開始以降で最高値を更新しています。
ただし、家賃相場が上がっているからといって、すべての物件で一律に値上げできるわけではありません。家賃を見直す際は、周辺の類似物件の相場、築年数、設備状況、入居者様との契約内容などを踏まえ、合理的な根拠を整理することが大切です。相場や維持費の変化を確認したうえで、現在の家賃が適正かどうかを慎重に判断しましょう。
出典:LIFULL HOME’Sマーケットレポート2025年総括版
オーナー様からの家賃値上げ交渉は可能
オーナー様(大家側)からの家賃の値上げ要求は、法律で定められた手続きや正当な理由がある場合には認められます。
借地借家法と家賃増減額請求権
最初に家賃の値上げが認められる根拠について説明しましょう。
賃貸借契約の基本となる法律は「借地借家法」です。民法の特別法に位置づけされる借地借家法はあらゆる賃貸借契約に関する手続きのベースとなっています。
では、借地借家法には賃料の増額請求についてどのような条文が定められているのでしょうか。ポイントとなる条文は11条(地代等増額請求権)と32条(借賃増減請求権)です。
要点をまとめると次のようになります。
【原則】
現行での賃料が「不相当」となった時には、契約の条件に関わらず賃料の増減額請求ができる(借地借家法11条1項本文、32条1項本文)
【例外】
一定期間、賃料を増額しない旨の特約がある場合には、賃料増額請求は認められない(借地借家法11条1項ただし書き、32条1項ただし書き)
つまり現行での家賃が客観的にみて「不相当」に低いと判断される場合は、オーナー様(大家)側から家賃の値上げができるということです。
家賃の適正化はオーナー様・入居者様お互いの権利
家賃の増額請求でのポイントとなるのが、借地借家法にある不相当の要件です。現行の家賃が、①土地・建物に対する税金、その他の負担の増減、②土地・建物の価格の上昇や低下、その他の経済的事情の変動、③近隣の建物の家賃との比較、などの理由で不相当であると判断できる場合、是正が認められるのです。
家賃を見直すことは、オーナー様の利益を守ることはもちろん、入居者様にとって公平な条件を維持することにつながると考えられています。そのため、周辺地域の相場に比較してあまりに低い家賃設定の場合は、大家側から家賃増額請求することが認められます。
適正な家賃を設定することは、オーナー様(大家側)と入居者様、お互いに認められた権利といえるでしょう。
家賃値上げが認められる正当な理由
オーナー様からの家賃値上げ請求が認められているとはいえ、オーナー様の一方的な都合を優先した値上げは認められません。あくまでも家賃値上げ請求は、客観的で合理的な根拠がある場合に限られます。
では、具体的にどのような理由が正当な根拠となるのでしょうか。
経済事情が変動した

借地借家法によると、「経済事情の変動」により、近傍類似の土地・建物と比較して家賃が不相当な場合は家賃の値上げ請求ができる、とあります。
ここでの「経済事情の変動」には、物価や金利の上昇など、世界経済による避けられない影響要因が含まれます。
インフレ状況下においては、家賃相場の上昇だけでなく、ローンを含めた金利の上昇が見られます。その影響で賃貸経営におけるランニングコストは上昇しますが、このようなやむを得ない経済事情を理由に家賃の見直しをすることは、法律上でも合理的とされます。
「経済事情の変動」はこれだけではありません。長期にわたって不動産を所有していると、近隣地域に新たな駅ができたり、幹線道路が通ったりといった、再開発の影響を受けることも少なくありません。このようなケースにおいて、周辺地域との相場と比較したうえで家賃の見直しを行うことも合理性があるとされます。
物件の維持費と税金が増加した
借地借家法では「土地・建物に対する租税・その他の公課の増減」によって家賃を増減せざるを得ない場合についても、家賃見直しの正当な理由になるとされます。
「土地・建物に対する租税・その他の公課」といえば固定資産税などが想像しやすいですが、不動産の維持管理に関する費用についても家賃見直しの根拠になると考えられています。
物価高や人件費の高騰などが重なってくると、外壁メンテナンスや新設備の導入などのコストが高額となります。建物の維持管理費用については、入居者様の住環境を安全・安心に保つための必要コストですので、増加分を家賃に上乗せすることも一定の合理性ありと判断されるのです。
増加したコストをどれくらい家賃に上乗せできるかについてはこちらの記事で解説していますので、ぜひご一読ください。
アパート経営の費用完全ガイド|新築・建売・中古別に費用を徹底解説
利便性や用途が変更された
周辺環境の変化によって物件の利便性が高まった場合も、家賃値上げの根拠となることがあります。
近隣に新しい鉄道路線や駅が開業した、駅前再開発が進んだ、大型商業施設や病院、学校などが新設されたといったケースです。こうした変化により通勤・通学や買い物の利便性が高まると、地域全体の需要が増え、近隣の家賃相場が上昇する可能性があります。
建物や部屋の用途が変わった場合も、家賃を見直す理由になり得ます。居住用として貸していた物件を事務所利用に変更する場合、実際の利用価値や収益性が変わるため、従来の家賃水準が適正でなくなることがあります。
ただし、周辺環境が改善しただけで必ず値上げが認められるわけではありません。近隣の類似物件の家賃相場や、物件の立地・築年数・設備状況などを踏まえ、入居者様に合理的な理由を説明できるよう準備しておくことが大切です。
設備の更新やリフォーム/リノベーションを行った

設備の更新やリフォーム、リノベーションによって物件価値が高まった場合も、家賃値上げを検討できるケースがあります。
給排水設備や空調設備を更新した、無料インターネット回線を導入した、防犯カメラや宅配ボックスを設置した、といった場合です。入居者様の生活利便性や安全性が高まる設備投資は、物件の魅力向上につながるため、家賃を見直す根拠になり得ます。
築年数が古い物件であっても、内装や水回りを大幅にリノベーションした場合は、実質的に物件の価値が刷新されたと考えられます。周辺の同程度の設備を備えた物件と比べて家賃が低い場合には、近隣相場に合わせた家賃設定を検討しやすくなるでしょう。
ただし、通常の修繕や原状回復の範囲にとどまる工事では、値上げの根拠として弱い場合があります。家賃改定を行う際は、どの設備を更新したのか、入居者様にどのようなメリットがあるのかを明確にし、工事内容や周辺相場の資料と合わせて説明することが重要です。
賃料を改善した事例はこちらを参照ください。
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近隣相場と比べて家賃が低い
借地借家法32条によると、「近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき」は家賃増額請求してもよいとあります。数十年前に結んだ家賃設定のまま、同じ地域にある類似物件と比べて家賃が相対的に低くなってしまったケースなどが該当します。
家賃交渉においては精密な相場調査と客観的な資料による裏付けを準備することが大切になります。入居者様を納得させるだけの材料を自力で揃えるのはなかなか難しいため、賃貸管理会社などのプロの協力を得て交渉の準備を整える必要があるでしょう。
家賃値上げが認められない事例
オーナー様(大家側)からの家賃値上げが認められないケースもあります。
オーナー様の一方的な都合のみの場合
オーナー様の個人的な事情を理由に家賃を値上げすることは認められません。入居者様に負担を負わせる理由のない家賃値上げは、法的に「正当な理由」なしと判断されます。
例えば単に収益額を増やしたいだけの場合、家賃値上げはオーナー様側の個人的な願望に基づく行為となりますので、入居者様がその負担を負う理由はありません。
また、赤字物件などで収益率改善を目的とする値上げも、賃貸経営上の損失負担を一方的に入居者様に押しつけるかたちとなり不当な請求となります。
家賃の値上げは経済事情の変化や入居者様の使用収益のためのリフォームなど、オーナー様(大家側)の一方的な都合ではない、客観的かつ合理的な理由が必要です
近隣相場を大きく超える値上げ要求

近隣地域の市場相場を無視した家賃値上げ請求は、不当な請求と判断されやすくなります。法律は貸主側と借主側のバランスの取れた契約を期待していますが、どちらかというと立場の弱い借主側の権利や生活の安全を保護することを目的としています。急激な家賃値上げは入居者様の生活基盤を脅かすことにつながりかねませんので、倫理的にも大きな問題となるでしょう。
家賃設定は貸主と借主の間の契約の公平性の確保はもちろん、入居者様(借主)側の生活の安全を担保する視点をもって、バランスの取れた価格に決めることが求められます。
家賃増額を禁止する特約を結んでいる
正当な理由があっても家賃増額請求ができないケースがあります。賃貸契約時に「家賃の増額を行わない」との特約を結んでいる場合です。
借地借家法11条、32条には「増額禁止特約がある場合はその定めに従う」との記載があります。特約があるとその内容が優先されることになりますので、ほかの理由を付けて一方的に家賃を上げることは原則としてできません。
ただし、増額禁止特約がある場合であっても、増額禁止期間があまりにも長期間だったり、経済事情や相場の変化によって不公平な家賃設定が認められたりするケースでは、例外的に家賃の値上げ請求が認められることがあります。
オーナー様にとっての家賃値上げのデメリット
家賃の値上げは収益拡大につながりますが、賃貸経営全体にとってはかえってリスクとなりやすい一面も存在します。
退去が増える可能性がある
家賃の値上げによって、入居者様の退去リスクは高くなってしまいます。
家賃は生活コストの中でも削りづらい「固定費」ですから、どんな入居者様もほぼ例外なくできるだけ安く抑えたいと考えます。そこへ一方的な家賃値上げを通告すると、入居者様は「もっと安い家賃の物件が近くないだろうか」「同じくらいの家賃のところに引っ越そう」と考え始めてしまいます。
もし家賃改定の前に退去されてしまうと、収益拡大どころか空室が増えてかえって損失が出てしまう結果になりかねません。空室が発生すると家賃収入が途絶えるだけでなく、入居希望者を募集するための広告費用など、余分な出費も重なり経営を圧迫します。
家賃の値上げと空室対策については以下の記事でも詳細に解説しています。ぜひご一読ください。
不動産投資の空室リスクの対処法!投資タイプ別の対策と成功事例を解説
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入居者に拒否され、法的手段が必要になるリスク

入居者様に家賃の支払いを拒否され、法的なトラブルに発展するリスクも生じます。
もともと借地借家法は、賃借人の権利に寄り添うかたちに設計されていますから、法的な解決手段を取るとオーナー様(大家)側に不利な局面が多いです。
オーナー様(大家側)は裁判官や調停委員を説得できる「正当な理由」をしっかりと証明する必要があり、問題がこじれると解決が長引く可能性が高くなります。
家賃増額訴訟に勝訴してもなお、家賃の支払いを拒否して居座り続ける入居者様に対しては、強制退去などの法的措置を取ることになるでしょう。
家賃滞納リスク
入居者様の支払い能力を超えて家賃の値上げをしてしまうと、家賃滞納が発生する恐れがあります。家賃滞納は賃貸経営上の重大なリスクの一つです。家賃滞納が発生したからといって、直ちに「追い出し」ができるものではないのです。
毎月の収益が消えるだけでなく、再び家賃を支払ってもらうまでに膨大な手間とコストをかけて問題を解決しなければならなくなります。
万が一家賃滞納が発生した場合は、まず入居者様に支払い状況を確認し、支払いの意思があるかをお聞きします。今後も支払いが滞る状況が続くようなら督促通知や契約解除、場合よっては法的手続きに移行しなければなりません。
家賃滞納についての具体的な対処法については以下の記事でも説明していますので、ぜひこちらの記事もご一読ください。
家賃滞納の時効は何年か? 実際に起きたときの対処法を詳しく解説
交渉の手間とコストがかかる
家賃の値上げには、入居者様との交渉にかかる手間とコストも発生します。
家賃を見直す際は、まず値上げの理由や改定額、改定時期を整理したうえで、入居者様へ書面などで通知する必要があります。その後、入居者様から質問や反対意見が出た場合には、周辺相場や維持管理費の上昇などを示しながら、丁寧に説明しなければなりません。
入居者様の同意が得られない場合は、話し合いが長期化することもあります。状況によっては、調停や訴訟といった法的手続きが必要になるケースもあり、時間的・精神的な負担が大きくなる可能性もあるでしょう。
法的手続きのステージまで来ると、弁護士に依頼することになるため、相応の費用がかかります。家賃を値上げできたとしても、交渉にかかったコストが大きければ、期待したほど収益改善につながらない場合も考えられます。
家賃値上げを検討する際は、値上げによる増収額だけでなく、交渉にかかる手間や費用、入居者様との関係悪化リスクも含めて判断することが大切です。
家賃の値上げ交渉を行う流れ

実際に家賃の値上げを進めるためには、段階的な流れを踏むことが大切です。まずはスムーズな交渉に持ち込むために、手続きの流れを把握しましょう。
家賃の値上げ額と値上げ時期を決める
家賃の値上げ交渉を始めるにあたって、入居者様に値上げについての内容や時期を通知します。できるだけ早めにお知らせすることが大事です。入居者様が時間をかけて検討することができれば、今後の話し合いがこじれるリスクを緩和できます。
具体的な予告期間については慣例や決まりがあるわけではありませんが、賃貸借契約書で定めた契約更新の時期を目安にして、通知書を送付するタイミングを決めるとするとよいでしょう。
更新内容については、周辺の家賃相場や正当な理由に基づく経費の必要性などを説明し、妥当な家賃設定を提示する必要があります。
入居者様に家賃増額の意思を書面で通知する
家賃値上げ交渉では、値上げの根拠となる「正当な理由」の説明が不可欠です。万が一に訴訟となるリスクも見据えたうえで、詳細なデータを盛り込んだ根拠内容をきちんと文書化しておくことが重要になります。
例えば近隣地域の家賃相場の変化を根拠に請求するのであれば、具体的な相場に関するデータを、管理維持費の高騰が根拠となるなら、詳細な経費明細や設備投資の必要性を文書上で明確にしておかなければなりません。口頭ではなく資料として具体的なデータを示して説明することで、入居者様に納得していただきやすくなります。
メールで打診する方法もありますが、メール発信後は必ず郵便で書面を送るようにします。配達証明付きの内容証明郵便であれば、郵便物の内容、発送日、受け取った日付を証明できるため、有効です。
また、値上げ額の内容や値上げ時期についても文書化しておくことも大切です。オーナー様と入居者様、双方の誤解や認識不足を防ぐことにつながります。
入居者様と家賃増額について交渉する
しっかりとした根拠を示して丁寧に事前連絡を行なったとしても、すぐに家賃の値上げに応じてくれるとはかぎりません。入居者様それぞれの事情をくみ取ったうえで値上げに納得していただくことが大事ですから、それぞれのケースで柔軟に対応する必要があるでしょう。
交渉においては、オーナー様側からの丁寧な説明に加えて、入居者様のご意向もしっかり汲み取らなければなりません。可能であれば賃貸管理会社の担当者などを話し合いの場に加えることをおすすめします。話し合いの場での緩衝役となりますし、より客観的な視点から入居者様を説得できる可能性が高くなるからです。
合意が成立した場合は合意書を作成する
家賃の値上げ交渉がうまく進み、入居者様の合意が得られた場合は、その合意内容についてきちんと文書化しておきます。あとで入居者様から合意を覆すような主張をされたとしても、合意書を文書化しておけば反論材料となりえますし、家賃値上げについての明確な証拠として紛争の予防・解決に役立ちます。
合意書の作成については賃貸管理会社などがひな型を準備していますので、プロにお任せしても問題ありません。作成した合意書はオーナー様と入居者様双方に1通ずつ交付し、お互いにきちんと保管しておきましょう。
合意に至らない場合は裁判所に申し立てを検討する
交渉を通じて家賃値上げをお願いしても、借主側が応じない場合は、調停や訴訟などの法的手続きによって解決を図る必要があります。手間や時間、費用もかかることを覚悟して根気強く取り組みましょう。
家賃増額の調停を申し立てる
裁判所の手続きといっても、いきなり訴訟から始まるわけではありません。まずは簡易裁判所に第三者を交えた話し合いの場を設ける「調停」手続きを行います。
調停では裁判官や調停委員といった専門家が第三者として話し合いに加わり、双方の主張の落としどころを探ります。裁判と比べて解決までの時間が短く、費用もあまりかからない点が大きなメリットです。
おおよそ2~3ヶ月ほどで解決することが多く、調停自体の費用そのものは数千円から数万円程度で収まります。ただし、弁護士に相談して交渉を依頼した場合は別途で弁護士費用が必要です。実費としては、最終的には数十万円単位となることもあります。
家賃増額の訴訟を提起する

調停でも解決できなかった場合は、裁判官の判決で決着をつける裁判へと移行します。裁判ですので、自分たちの主張を通すためには基本的に係争に勝たなければなりません。
裁判で勝つためには、家賃値上げの根拠について説得力のある資料を提出し、裁判を有利に進める必要があります。
裁判規模にもよりますが、結審まで1年以上かかることが多く、訴訟にかかる費用も数十万円から100万円ほどと経済的負担も大きいです。
さらに経営者として困るのが、裁判の決着までは係争中の事案についての家賃が入らない点です。訴訟解決までのコストに加えて賃貸経営にも直接的なダメージを与える状況となるため、訴訟による解決はあらゆる手立てを尽くした末での最終手段と考えたいところです。
家賃値上げをスムーズに行うコツ
家賃の値上げ交渉は賃貸経営全体を見渡してもかなり難しい業務の一つです。入居者様への対応を間違えると交渉が難航することもあります。
そこで、家賃値上げをスムーズに進めるための実践的なコツを紹介します。
改善事例については、以下をご参照ください。
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家賃値上げの理由を丁寧に説明する
家賃の値上げで避けなければならないのが、「交渉の長期化」と「入居者様との対立状態」に陥ってしまうことです。このような事態を避けるためには、
・値上げの理由を丁寧に説明すること
・入居者様の許容範囲での値上げに留めること
この2つがポイントとなります。
値上げの理由については客観的なデータを駆使して丁寧に説明することが大事です。話し合いの場では入居者様の意見をお聞きし、お互いが妥協できる家賃設定を探ることを目指しましょう。
また、入居者様に何らかのメリットを提示するのも交渉を成功させるための秘訣です。例えば一定期間は家賃を据え置きのままにする、更新料を減免するなどの特典があれば、入居者様にご納得いただける可能性が高くなります。
通知のタイミングに配慮する
家賃の値上げ交渉でやってしまいがちなのが、入居者様の事情を考えずにオーナー様の都合にあったタイミングで値上げ通知をしてしまうことです。
値上げの通知が届いてから、入居者様は新しい家賃設定を受け入れるか、転居するかの検討に入ります。あまりに急な値上げ通知をすると、入居者様側での資金準備が追い付かなくなる恐れもありますし、入居者様からの信頼を損ねる結果となるでしょう。一度でも入居者様との信頼関係にひびが入ると、その後の値上げ交渉がうまくいかなくなる可能性が高くなります。
家賃の値上げを通知する適切なタイミングは、値上げ時期の1~3ヶ月前、特に更新時期に合わせてその1ヶ月前あたりに通告すれば、入居者様の資金準備のタイミングと重なりやすく、交渉を進めやすいでしょう。
信頼できる賃貸管理会社に任せる

家賃の値上げはオーナー様と入居者様の利益が対立する問題ですから、当事者同士だけでの交渉は難航するケースが多くなります。そこで強力なサポートとなるのが賃貸管理会社の存在です。賃貸管理会社の担当者が交渉の場に参加するだけでも、第三者としてお互いの緩衝役となってくれるので交渉が進みやすくなります。
また、専門知識やデータ、交渉に関するノウハウを豊富に持っているので、家賃交渉を的確にサポートしてくれるでしょう。
信頼できる賃貸管理会社に交渉を任せるメリットは
・交渉材料となる地域情報、データなどの必要な資料を準備してもらえる
・家賃の値上げ交渉に関してはプロなので経験豊富
・第三者としての視点を持ち込めるので入居者様を説得しやすい
・交渉そのものを一任でき、オーナー様の負担軽減になる
などが挙げられます。プロのサポートでオーナー様の負担を軽くできるのは大きなメリットです。
実際に【リロの不動産・賃貸】でも数多くの成功事例があり、そうした膨大な事例をさらにフィードバックすることで、より的確でなサポートを実現しております。
具体的な事例や賃貸管理会社の選び方については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。気になる方はぜひご一読ください。
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まとめ

家賃の値上げは法律上の仕組みにのっとり、正当な理由を提示することで実現できます。客観的なデータや資料に基づき、入居者様との信頼関係を保ちながら丁寧な交渉をすることで、さまざまなトラブルを回避できるでしょう。
実際の実務では交渉・通知・法的手段をバランスよく活用する必要がありますし、交渉経験の豊富さがものをいいます。スムーズに交渉を進めるためには、やはり交渉に長けたプロのサポートが不可欠です。
【リロの不動産・賃貸】はこれまで、賃貸管理のプロとして数多くの家賃交渉に関わってきました。全国トップクラスの管理実績で培った豊富なノウハウとデータを駆使し、オーナー様の賃貸経営を力強くサポートいたします。賃貸管理に関するベスト・パートナーをお探しの際は、ぜひ一度【リロの不動産・賃貸】までご連絡ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。
