家賃収入を増加するポイントとは?節税効果・確定申告・損益通算を知る

2022.12.12

家賃収入を得る目的で賃貸経営を行いたいと思っている方や、賃貸経営を始めており、家賃収入を得ている方にとって、家賃をどのように増やすかは共通の悩みではないでしょうか。

本記事では、家賃収入を得る基本的な流れや収益を増加させるポイントについて詳しく解説するとともに、家賃収入があるときの確定申告や損益通算についても紹介します。

家賃収入で生計を立てるやり方は?不動産投資の仕組み

第二の収入源として家賃収入を得るために不動産投資を考えている方が増えています。老後の資産を自助努力で形成しなければならない現代において、収入の柱を複数用意しておくことは大切な考え方です。
では、家賃収入とはどのようなものなのでしょうか。実際に家賃収入を得るまでの流れも合わせて解説します。

家賃収入とは

家賃収入とは、保有しているアパートやマンションなどの賃貸物件について、入居者様から得られる賃料収入のことです。ただし、家賃収入がそのまま全て収入になるのではなく、家賃収入から不動産賃貸事業にかかる経費を引いたものが、最終的な所得となります。家賃収入で得た所得は不動産所得として扱われ、オーナー様の実質的な利益になります。

家賃収入は入居者様さえいれば一定の収入が得られることから、労働(就労)所得と反対の意味で「不労所得」ともいわれます。しかし、いくら不労所得だからといっても、家賃収入を得るにあたって、オーナー様は何もしなくてもいいというわけではありません。家賃収入を得るためには、オーナー様は日頃から物件の情報収集や入居者管理といった業務を行わなければならないのです。

家賃収入を得るための流れ

実際に家賃収入を得るためには、物件の購入から入居者様の募集を経て、最終的に入居者様から家賃をいただくという一連の流れが必要です。それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

物件を購入する

まず、家賃収入を得るためには、入居者様がいてくれてはじめて家賃収入が発生するのですから、入居者様が借りてくれる賃貸物件を購入する必要があります。中には相続で賃貸物件を入手する方もおられますが、ここでは一般的な購入について解説します。

土地を相続もしくは購入し、その土地に建物を建てるという方法もありますが、最初は賃貸経営を始めている中古の物件(収益物件)を購入するケースが多く見られます。また、購入する収益物件は、賃貸経営の目的によって異なります。

例えば、老後に備えて暮らすのか、贅沢に暮らしたいのか、さらには賃貸経営のみで生活したいのかといった理想の姿や、資産拡大や節税・相続税対策などの賃貸経営を行う目的によって、必要な賃貸収入額や保有戸数はもちろん、建物の構造などマッチする物件が異なります。ちなみに保有戸数によって生活のイメージは以下のように異なります。

(保有戸数による生活のイメージ)
・老後に備えて暮らしたい(1~3戸)
・気ままに生活したい(4~6戸)
・贅沢に暮らしたい(7~9戸)
・賃貸経営のみで生活したい(10~15戸)
・資産運用のみで生活したい(16戸以上)

このように、どのような生活を送りたいかで、保有戸数の目安や賃貸収入の目標が分かります。目的によっては区分所有よりも1棟アパートや1棟マンションを購入する必要が発生しますが、最初は区分マンションといった小規模の物件購入からはじめ、売却益を利用して一棟アパートを目指す不動産投資家の方が多く見られます。

物件を購入する際には、金融機関からの融資を必要とするケースも多いため、金融機関との交渉や借り入れに関する手続きも必要となります。

賃貸物件の入居者様を募集して空室を埋める

物件を購入したら、次は入居者様を探さなければいけません。黙っていても入居者様が現れるわけではありませんし、入居者様がいないかぎり家賃収入を得ることはできません。

入居者様を募集する方法としては、オーナー様が直接不動産の仲介会社に募集を依頼する方法もありますし、入居者様の募集だけでなく、入居や転居の際の手続きや物件の管理まで委託できる不動産賃貸管理会社に依頼する方法もあります。

不動産賃貸事業には、多くの管理業務があり、全てをオーナー様が行うには負担が大きいでしょう。その点、募集だけでなく、管理業務まで合わせて委託できれば、オーナー様の負担軽減にもつながります。

不動産賃貸業務において、家賃収入が減少しないように、空室対策を考えることが大切です。「募集」、「仲介」、「入居者管理や建物管理」、さらには「原状回復や設備交換、リフォーム・リノベーション・大規模修繕などの工事」といった4つの対策をバランスよく実施することが重要だと覚えておきましょう。

入居者様から家賃の入金

入居者様から家賃の入金があってはじめてオーナー様の収益になります。ただし、賃料回収業務を不動産賃貸管理会社に委託している場合は、入居者様から入金された家賃から、不動産賃貸管理会社に支払う管理料や手数料などが引かれてオーナー様の手元に入ります。

そして年間の家賃収入から、その年にかかった不動産賃貸業務にかかる経費を差し引いた額が最終的な不動産投資から得た所得、つまり「不動産所得金額」ということです。

入居者様から家賃の入金があるからこそ、オーナー様の元に家賃収入が入ることになるため、家賃滞納といった事態は避けたいところです。そのためにも、『賃料滞納リスクを解消』するための、『入居者審査』に対応する『入居者管理の重要性』や『保証会社の活用』は見逃せないポイントといえるでしょう。

【マンション・アパートの賃貸経営】家賃収入の内訳

家賃収入は単に賃料だけではありません。アパートやマンションの賃貸経営における家賃収入の内訳にはどのようなものがあるのか、詳しくみていきましょう。

家賃と共益費

家賃は一律ではなく、物件ごとに異なる価格が設定されています。そして、家賃は賃貸経営における利益の大部分を占めています。一般的に家賃はオーナー様が指定した期日までに入居者様が振り込む形を取っています。そのため、オーナー様は月の末日に、入居者様全員から家賃がきちんと振り込まれているかを確認する必要があります。

仮に空室がでた場合は、その分家賃収入が減ることになってしまうため。オーナー様はいかに空室を減らすかを考えることが重要になります。

共益費とは、アパートやマンションといった集合住宅の共有部分を維持もしくは管理するために必要な費用で、多くは家賃と一緒に徴収します。入居者様から徴収した共益費は、賃貸物件の共用部分の電気代や水道代、定期清掃費にあてられるケースが多く見られます。

敷金・礼金

敷金や礼金は入居者様がオーナー様と最初に賃貸借契約を締結したときに初期費用として支払う費用です。

敷金とは、契約を締結し、入居してから退去するまでの間、オーナー様に預けておくお金です。入居者様が入居中になんらかの理由で家賃を払えなくなった際や、入居者様が負担すべき修繕費用が発生したときに備えて預けておくものですので、いわゆる担保的な性質を持っているといえるでしょう。

通常、家賃の未払いや入居者様負担の修繕費用が発生しなかった場合、退去ときには敷金が返還されます。しかし、入居時に締結した賃貸借契約書の特別条項に「敷金償却」が定められている場合は、敷金の一部が返金されません。「敷金償却」とは、簡単にいうと「資金の一部を返還しない」という特約です。

そのため家賃の未払いや入居者様負担の修繕費用が発生しなかったとしても、敷金の全額が返還されることはありません。賃貸借契約の書面で敷金償却の特約を設けることは特段違法ではなく、最高裁でもその効力を認めています。

礼金については、入居者様への返還はありませんので、そのままオーナー様の手元に入る形になります。礼金の相場は一般的に家賃の1~2ヶ月分といわれていますが、最近では、空室リスク対策として、入居者様の負担を減らす目的で、礼金を0円に設定しているケースも多く見られます。

物件により対応方法に工夫の余地が生まれるポイントになります。敷金そして礼金については、自分が保有している物件の空室状況を確認し、どのくらいに設定するかを考えましょう。

更新料

更新料とは、賃貸契約を更新する際に入居者様がオーナー様に対して支払うものです。一般的に賃貸借契約は2年ごとに更新するように設定されているケースが多く、更新の際には家賃の1ヶ月~2ヶ月分の更新料を支払います。

例えば家賃が8万円の物件なら、更新時に8万円~16万円の更新料を払わなければならないことになり、入居者様にとって一時的な負担になる点は否めません。また、この更新料は礼金と同じ扱いになるため、退去時に入居者様に返還する義務はありません。

返還されないため、、更新料を支払うよりも転居を考える入居者様もおります。エリアや物件の健康状態によりますが、礼金と同様の観点から空室リスクを懸念し、更新料を徴収しないとしているオーナー様もおられます。

【マンション・アパートの賃貸経営】支出の内訳

続いて、アパートやマンションの賃貸経営における支出について、どのようなものがあるのか。項目とその詳細について見ていきましょう。

賃貸経営にかかる税金(課税)

賃貸経営を行うにあたって、課税される税金は以下のとおりです。
・固定資産税
・都市計画税
・所得税
・住民税
・事業税
・賃貸物件となる不動産を購入する際の不動産取得税
・登録免許税
・収入印紙代
など

賃貸経営は事業として行うわけですから、事業に関係する税金は経費として計上する事ができます。

また、費用として計上できるのはあくまでも賃貸経営という事業に関係する部分のみです。プライベートで利用した費用については計上できませんので、税金の内訳を事業分とプライベード分とで分け、きちんと整理しておくように心掛けましょう。

火災保険や地震保険などの損害保険料

一般的に、保有している賃貸物件は、万が一のことに備えて火災保険や地震保険など損害保険に加入しているケースが多く見られます。その際、賃貸物件に対してかかっている損害保険料も経費として計上することができます。

ただ、損害保険の保険料は契約期間や補償の内容によって異なります。仮に数年単位で契約し、保険料を一括支払っている場合は、その保険料を計約年数で割り、1年ごとの費用を算出したのち、その年分の額を費用として計上する点に注意してください。仮に5年契約で120万円の保険料を支払っている場合、1年間の保険料は24万円です。その年の保険料として計上できるのは24万円となります。

賃貸経営の管理業務に係る委託料

賃貸経営を行うにあたり、物件の管理を不動産賃貸管理会社に委託するケースもあります。管理業務を不動産賃貸管理会社に委託し、業務委託契約を交わしている場合、その契約書に記載された金額を毎月不動産賃貸管理会社に支払う必要があります。

委託する管理業務にはさまざまな項目がありますが、代表的なものとして挙げられるのは、以下のものです。

・賃貸物件の共用部分の清掃業務
・賃貸物件の共用部分の設備点検業務
・入居者様募集活動業務
・内見を始めとする契約までに関わるお客様対応業務
・入居者様対応業務
・退去時の対応および入居者様の再募集にかかる手配業務
など。

管理業務を不動産賃貸管理会社に委託する方法には「一般管理」と「サブリース契約」がありますが、「一般管理」の場合であれば、業務委託料の相場は家賃の5%といわれています。

ただし、業務委託料については、委託する業務の内容や契約形態、さらには物件が持つ特徴により変化しますので、手数料だけで不動産賃貸管理会社を比較するのではなく、ご自身で考えている中長期目線での賃貸経営計画を把握したうえで、将来に備えた契約内容を選択することをおすすめします。

建物部分・設備部分にかかる減価償却費

賃貸物件を購入した際、建物や付属設備に関する部分については、費用ではなく資産として計上し、法定耐用年数に応じた償却率で減価償却を行います。ここで注意したいのは、減価償却できるのは、建物および建物付属設備に関する部分のみで、土地は減価償却の対象とはならない点です。

減価償却費は、支出を伴わない経費として節税対策に有効とされており、特に賃貸経営における投資金額の中で不動産の購入費用が大きな割合を占めることから、減価償却の仕組みをしっかりと理解し、適切に計上することは重要なことです。そのため、所有している物件の構造や、建物付帯設備にはどのようなものがあるのかをあらかじめ確認しておきましょう。

賃貸経営にかかる減価償却費については、取得価額に法定耐用年数に応じた償却率を乗じることで求められます。

修繕費やローン金利

賃貸物件であるアパートやマンションの修繕にかかる費用については、修繕費として経費計上が可能です。修繕費として最も多く挙げられるのは、「入居者様が退去した後のハウスクリーニング費用」や、「壁紙の張り替え費用」などの原状回復費用ですが、ほかにも破損した建物付属設備(窓ガラスや給湯器など)の修理費用や排水溝などの修理費用も修繕費に含まれます。

ただし、修繕費として積み立てている費用については、資産の価値を高めるといった目的や、使用年数の延長といった目的をもった支出と考えられ、費用ではなく資産として扱われるため、基本的に経費として計上することはできません。

また、賃貸物件(建物)を購入する際にローンを利用した場合や、物件購入時の建物の設計費用や、解体費用などもローンに組み入れるケースがあります。その場合、利息分のみ経費計上できます。

不動産投資における収入シミュレーションの計算と目安

例えば、年間800万円の家賃収入を目指している場合、目標達成にあたり、どのような規模で賃貸経営を行えばよいのでしょうか。以下に例を示しますので、参考にしてください。

物件価格:8,000万円
利回り:10%
家賃収入:800万円
ローン返済額:400万円/年
経費:240万円(収入の30%として計算)
年間キャッシュフロー=800万円-(400万円+240万円)=160万円
800万円÷160万円=5ですので、年間800万円の家賃収入を達成するためには、8,000万円の当該物件と同等の条件で5棟必要になります。

そして、年間800万円の収入を達成するまでには、

1年目:手取り160万円
2年目:1年目の手取り160万円+160万円=320万円
3年目:2年目までの手取り320万円+160万円=480万円
4年目:3年目の手取り480万円+160万円=640万円
5年目:(2棟目の物件購入640万円-初期費用560万円)+320万円=400万円
6年目:5年目の手取り400万円+320万円=720万円
7年目:(3棟目の物件購入720万円-初期費用560万円)+480万円=640万円
8年目:(4棟目の物件購入640万円-初期費用560万円)+640万円=720万円
9年目:(5棟目の物件購入720万円-初期費用560万円)+800万円=960万円

計算上、物件購入にあたっては、フルローンとし、初期費用が物件価格8,000万円の7%程度必要になるものとします。結果、9年目からは、目標としている年間800万円の家賃収入を達成でき、キャッシュフローも900万円を超えることになります。

今回の計算で、年間800万円の家賃収入を達成するには9年の時間が必要になることがわかりました。早く始める優位性があることを知識として持ち、物件を金融機関からの融資で購入するため収益性が高い物件選定に備えるとよりマッチするでしょう。

家賃収入があるときの確定申告はいくらから?

家賃収入があるときの確定申告は、個人事業主として賃貸経営を主に行っている方と、本業がサラリーマンで給与所得があり、副業として賃貸経営を行い、家賃収入を得ている方で条件が異なる点に注意しましょう。

【副業】サラリーマンなど給与所得者の場合

本業がサラリーマンで、賃貸経営を副業として行っている場合は、給与所得以外の所得が20万円超となる場合に確定申告の義務が発生します。そして、副業で得た所得はこと業的規模であるかどうかを問いません。

賃貸経営で得た家賃収入は不動産所得として扱われますが、不動産所得金額は、家賃収入から賃貸経営にかかる費用を差し引いた額になる点に注意してください。その年の家賃収入が100万円あったとしても、賃貸経営にかかる費用が90万円だった場合は、不動産所得金額は10万円となり、確定申告は不要となります。

ただし、確定申告が不要となるのは、年末調整で所得税の徴収が完了する場合のみです。例えば寄付金控除(ふるさと納税)や住宅ローン控除(1年目)など、医療費控除など確定申告が必要な場合は、不動産所得も含めた金額で申告しなければなりません。

【副業】公務員の場合

公務員は国家公務員法そして地方公務員法により、副業が禁止されています。ただし、公務員でも、条件を満たすことで不動産を活用した賃貸経営に取り組むことができます。

公務員が賃貸経営に取り組める条件とは以下のとおりです。

(独立家屋の賃貸について)
・家屋の数が5棟以下であること

(独立家屋以外の建物の賃貸について)
・区分室数が10室以下であること

(土地の賃貸について)
・賃貸契約件数が10件以下であること

(駐車場の賃貸について)
・駐車台数が10台以下であること
・駐車場が建築物もしくは機械設備を設けていないこと

(収入について)
不動産または駐車場の賃貸にかかる賃料収入の額が年間500万円以下であること

【個人事業主】家賃収入を得ている場合

個人事業主として家賃収入を得ている場合は、副業として行っている給与所得者などと異なり、所得の金額に関係なく確定申告が必要です。上で説明した給与所得以外の所得が20万円を超える場合に確定申告が不要となるのは、年末調整にて所得税の徴収が完結する給与所得者のみに適用されるものです。

また、個人事業主の場合、その賃貸経営の業務内容によっては、不動産所得ではなく事業所得に該当する可能性もありますので、自分の所得区分がどのようになるのかについても注意しておきましょう。

確定申告時の損益通算による節税効果

賃貸経営による収入を確定申告することで、節税効果を得られるケースがあります。

よく知られているのは、減価償却費を利用した節税効果でしょう。不動産投資では、減価償却費を経費計上できます。支出を伴わない費用であることから、収入額を減少する効果が大きく、家賃収入よりも減価償却費の方が大きい場合は、赤字となります。

赤字となった場合には確定申告をしなくてもいいのかというとそうではありません。不動産所得が赤字になった場合は、ほかの給与所得などと損益通算をすることができるのです。この場合は確定申告を行うことで、税金の還付を受けることができます。さらに、この損益通算の仕組みを利用し、全体の課税所得金額が赤字になった場合は、その損失を3年間繰り越すこともできます。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。