【事例付】賃貸経営の家賃保証とは? サブリースとの違い・メリット・デメリットを解説
2025.11.11
近年では、多くの賃貸不動産で「家賃保証への加入」を契約の必須条件にしています。民法改正でさらに拡大するともいわれていますが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
今回は、家賃保証制度について混同しやすい家賃保証とサブリースの違いも踏まえて解説します。
▼この記事の内容
●家賃保証とは、家賃保証会社が入居者様の連帯保証人のかわりとなるシステム。2020年施行の改正民法で連帯保証人の弁済に「極度額」が設定されたことをきっかけに、家賃保証会社への加入が条件となる賃貸住宅が増えた。
●家賃保証の利用には、入居者様にとって、連帯保証人を探す手間が省ける、帯保証人を頼める人がいない人でも入居できる、もしものときの備えになるというメリットがある。オーナー様にとっては、家賃滞納リスクが減少する、入居者様の幅が広がる、入居者審査が向上するというメリットがある。
●家賃保証の利用によるデメリットとしては、入居者様にとって、保証料の支払いが必要になる、立替金は後日支払う必要があるなどがある。オーナー様にとっては、入居者様が敬遠することがあるなどがある。
●家賃保証とサブリースを混同する人もいるが、両者の仕組みはまったく異なる。サブリースは、収益物件のオーナー様と不動産会社などのサブリース事業者との間で結ばれる転貸借契約。
●家賃保証会社を選ぶポイントとしては、家賃債務保証登録業者の確認、保証限度額、保証内容の充実度、家賃の立替時期、家賃保証会社の経営状況がある。
目次
家賃保証とは
まずは、家賃保証の仕組みを押さえていきましょう。
家賃保証の仕組み
家賃保証とは、家賃保証会社が入居者様の連帯保証人のかわりとなるシステムです。入居者様が家賃を支払えないときには、家賃保証会社が一時的に家賃を立て替えてオーナー様に支払います。
家賃滞納が発生した場合の代表的な流れをご説明します。最初に督促状で支払いを促し、次に内容証明郵便で再度督促をします。それでも支払われない場合は裁判、最終的には財産を差し押さえて滞納分を回収、そして賃貸住宅の明渡しを実行するという手順を踏むのが一般的です。多大な時間と労力を要しますが、それでも全額回収できるとはかぎらず、オーナー様にとっては頭の痛い問題です。
家賃保証会社をご利用の場合は、オーナー様から家賃滞納の連絡を受けて「代位弁済(立替払い)」を行います。立替えた家賃は保証会社が家賃滞納者へ直接請求するため、オーナー様の手を煩わすことはありません。
保証の範囲は会社ごとに異なりますが、代表的なパターンをご紹介します。
・家賃のみを保証(共益費、駐車場などは対象外)
・共益費なども含む月額賃料を保証
・上記に加えて原状回復費用や裁判費用なども保証
保証されるのはあくまで家賃滞納に関わる費用で、事故や災害などの損害賠償は含まれません。
保証料は原則として入居者様が負担します。相場は以下のとおりです。
| 支払い | 項目 | 目安 |
| 契約時 | 初回保証委託料 | 家賃の50~100% |
| 2年目以降 | 保証委託契約更新料 | 次のいずれか ・年払:家賃の20~100% ・年払:定額1~2万円 ・月払:家賃の1~2% |
民法改正で家賃保証会社の利用が拡大
これまでの賃貸借契約では入居者様に連帯保証人を立てるのが一般的でしたが、最近は家賃保証への加入を必須にするものが増え、連帯保証人を必要とするケースは少なくなりました。
連帯保証人には抗弁権(支払いを拒絶できる権利)がなく、実際の債務者と同等と見なされます。「安易に連帯保証人になったがために自己破産に追い込まれた」などの話も珍しくありません。
それではあまりに連帯保証人の負担が大きいため、2020年4月に施行された改正民法では連帯保証人の弁済に「極度額」を設定し、契約書に明記することが義務付けられました。極度額に法的なしばりはなく、オーナー様と連帯保証人との話し合いで決めることができます。
出典:2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります|法務省
ここで注意したいのが、極度額をいくらに設定するかということです。例えば100万円とした場合、それ以上の損失があっても連帯保証人からは100万円しか回収できません。オーナー様にとっては不利な条件になる可能性があるため、なるべくなら入居者様に複数人の連帯保証人を立ててもらうのがおすすめです。
家賃滞納については、家賃保証への加入を必須条件にするのが有効です。家賃保証はすでに多くの物件で採用されていますが、今回の民法改正をきっかけにいずれ標準になるかもしれません。
家賃保証の利用によるメリット
では、家賃保証を利用するとどのようなメリットが得られるのか、入居者様・オーナー様それぞれの立場について解説します。
入居者様にとって
連帯保証人を探す手間が省ける

連帯保証人は本人と「連帯」して債務を負う存在です。お金が絡むことなので、お互いに強い信頼がないと成り立ちません。連帯保証人になることを承諾してくれる方を探すのも大変ですし、もし引き受けてくれた場合にはかなり気を遣うはずです。
例えば、契約書に署名押印をもらう際はお願いする側が出向くのがマナーです。遠方で郵送する場合は返信用の封筒と切手を同封するなどの配慮も欠かせません。
家賃保証を利用する場合は基本的に連帯保証人を立てずに済みます。連帯保証人を探す手間が省け、気分的にも楽に感じるのではないでしょうか。
連帯保証人を頼める人がいない人でも入居できる
連帯保証人は親族にお願いするケースが多いと思いますが、年金暮らしの高齢者や収入が不安定な自営業者・フリーランスにはなかなか頼みにくいものです。普段は疎遠な親戚にいきなり連帯保証人をお願いするのも気が引けます。
友人・知人にお願いするという手もありますが、人間関係にひびが入る可能性もあります。「連帯保証人を頼める人がいない」という方は、たとえ理想の物件が見つかっても契約を諦めざるを得ず、物件選びの幅が狭められてしまいます。
その点、家賃保証が利用できれば、連帯保証人を気にすることなく自由に物件選びができます。実際に連帯保証人を条件にする物件はかなり減っていて、約8割は家賃保証を契約条件にしています(※)。
※ 出典:家賃保証業者、管理会社の利用が8割に 国交省調査、ニーズ高まるも認知度課題
https://fk-online.jp/archives/2458
もしものときの備えになる
病気やケガなどで一時的に収入が減ったり、予定外の出費が重なったりして、家賃の支払いが難しいときがあるかもしれません。家賃保証に加入していれば、「今月はピンチ!どうしようもできない!!」というときにも家賃保証会社が家賃を立て替えてくれるので安心です。
後日、家賃保証会社から立替分の請求がくるので、そのときに支払えば問題ありません。事前に管理会社へ一報しておくことで不要なトラブルも回避できます。
オーナー様にとって
家賃滞納リスクが減少する
オーナー様にとっての最大のメリットは、何といっても家賃滞納の心配がなくなることです。お伝えしたとおり、滞納家賃の回収には大変な手間と時間がかかります。家賃滞納者と連帯保証人が揃って支払いに応じない場合は裁判を起こすことになりますが、その費用はオーナー様負担です。
「夜逃げ」をしてしまい連絡がとれなくなるような悪質なケースでは、経済的にも精神的にも大変なダメージを負うことになります。
前述の負担は家賃保証会社がすべて引き受けてくれるので、オーナー様は安心して賃貸経営を行えます。裁判や原状回復工事、夜逃げしたときの残置物撤去などの費用面もサポートしてくれるプランもあり、万一の備えにおすすめです。
入居者様の幅が広がる
連帯保証人がネックになって申し込みができなかった入居希望者様も、家賃保証会社を利用すれば入居できる可能性があります。特に高齢者や外国人などは個人の連帯保証人を立てるのが難しいケースが多く、申し込みを断られることが少なくありません。
家賃保証会社の利用でハードルが下がれば入居者様の幅が広がり、空室率を下げることにも役立ちます。
入居者審査が向上する

申し込みの際、不動産会社または賃貸管理会社が入居希望者様の審査を行いますが、家賃保証を利用する場合は家賃保証会社でも審査を行います。ダブルチェックになるため、より精密な審査結果が期待できるでしょう。
なお、全国賃貸保証業協会に加盟している家賃保証会社では、会員間で過去の利用者についての情報共有を行っています。今回の入居希望者様のデータがあれば滞納の有無などはすぐに調べられるので、悪質な家賃滞納者かどうかを見抜くのに役立ちます。
家賃保証の事例について詳細を確認したい方は、こちらの事例もあわせてご参照ください。
初期費用なしのリノベーションで新品の設備!家賃保証で安定収入確保
疎遠だった親族の物件!家賃保証リフォームで賃料アップの空室改善!
家賃保証の利用によるデメリット
家賃保証は入居者様・オーナー様双方にメリットがあることが分かりました。反対にデメリットにはどのようなものがあるのか、こちらも入居者様・オーナー様それぞれの立場について解説します。
入居者様にとって
保証料の支払いが必要になる
家賃保証会社へ支払う保証料は入居者様が負担します。基本的には保証料の分だけ契約時の諸費用は高くなります。賃貸住宅の契約時には下記のような費用をまとめて支払うため、家賃のおよそ5~6ヶ月分に相当するお金が必要です。
・初月家賃
・敷金
・礼金
・仲介手数料
・共益費
・鍵交換代 など
家賃保証に加入する場合は、初回保証委託料として家賃の50~100%相当が加算されます。さらに契約期間中には、定期的に保証委託契約更新料を支払わなくてはなりません。入居者様の負担が大きいため、問題なく連帯保証人を用意できる方からは「貸す側の都合なのに、なぜ借りる側が費用負担するの?」といった不満の声も多く聞かれます。
オーナー様にとって、家賃滞納は死活問題です。連帯保証人がいても回収不能なケースもあるため、できるだけ安全な方法を選択したいと考えるのも無理はありません。入居者様にとっても連帯保証人を探す手間が省けるなどのメリットがあるので、割り切って考えたいところです。
立替金は後日支払う必要がある

たまに思い違いをしている方がいますが、家賃保証は「弁済」であり、家賃が「免除」されるわけではありません。賃貸借契約は貸主・借主の信頼関係に基づくものです。法律で借主の権利が保護されているとはいえ、信頼関係が損なわれる原因が借主にある場合は契約解除に応じなくてはなりません。
過去の判例では、「家賃保証会社が支払っているのだから家賃滞納ではない」と主張する借主に対して、貸主が要求する「契約解除・明け渡し」が認められています。
家賃保証会社が立て替えた家賃は後日、手数料(代弁手続き費用)とともに請求されます。手数料は家賃保証会社ごとに異なり、中には高額な手数料を請求するところもあるようです。余計な出費を抑える意味でも家賃は遅滞なく支払うことが大切です。
なお、家賃保証会社からの請求を無視していると滞納情報が共有され、次の賃貸物件を借りるときに契約を断られることになります。さらに、金融機関がチェックする個人信用情報に金融事故として記載されるケースもあります。いわゆる「ブラックリスト」です。
ブラックリストに登録されると、ローンが組めない、クレジットカードが作れないなど実生活に影響します。何かの事情があって家賃の支払いが難しい場合は、請求を放置するのではなく早めに家賃保証会社に相談するようにしてください。状況によっては分割払いや支払いの猶予が認められるかもしれません。
オーナー様にとって
入居者様が敬遠することがある
家賃保証への加入を必須とした場合、保証委託料など借主側の負担が増えるため、連帯保証人を用意できる入居希望者様から敬遠される可能性があります。
家賃保証会社の審査の仕組み

入居者様が家賃保証会社を利用する際には、賃貸管理会社による入居者審査とは別に、独自の審査を受ける必要があります。ここでは、基本的な家賃保証会社の審査の流れや審査項目、必要書類などについて詳しく見ていきましょう。
基本的な審査の流れ
家賃保証会社への申し込みから契約締結までは、一般的に次の流れで進みます。
①入居申し込みと同時に家賃保証会社に利用を申し込む
②必要書類を提出する
③家賃保証会社による審査が行われる
④入居希望者様に本人確認の連絡が入る
⑤審査結果が通知される
⑥審査が通れば、保証委託契約を締結する
審査の期間
家賃保証会社の審査にかかる期間は、通常1週間程度です。会社によって審査期間は異なり、即日で審査結果がわかるケースもあります。最終的な審査結果が通知される前に、入居希望者様に本人確認の電話が入ります。この電話に出られないと本人確認が遅れ、審査にさらに時間がかかってしまうため注意しましょう。
書類に不備があったり、必要書類の準備に時間がかかったりした場合も、審査スケジュールが後ろ倒しになってしまいます。入居手続きをスムーズに進めるには、このあと紹介する必要書類を、迅速かつ漏れなく準備することも重要です。
審査項目
家賃保証会社の審査で重視されるのは「家賃を継続的に支払う能力があるかどうか」という点です。支払い能力の有無をチェックするため、次のような項目が審査されます。
・仕事の職種
・雇用形態(正規雇用か非正規雇用か)
・勤務先(上場企業は安定的と見なされる)
・勤続年数(長いほど安定的と見なされる)
・本人の年齢
・本人の収入
・信用情報(過去に滞納がないか)
・物件の所在エリア
特に「家賃比率」(収入に占める家賃の割合)は大切な基準です。家賃比率が30%を超えていると、審査に通らない可能性が高まるといわれます。ただし、銀行口座残高が十分にある場合、家賃比率が高くても審査に通るケースもあるようです。
このように、一つの項目のみではなく、複数の項目を組み合わせて総合的に判断されます。
必要書類
先述のように、家賃保証会社の審査をスムーズに進めるためには、必要書類を早めに準備する必要があります。提出が求められるのは次のような書類です。
・家賃保証会社の申込書
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)のコピー
・源泉徴収票や確定申告書などの収入証明書類
・在籍証明書などの勤務先証明書類
収入証明書類や勤務先の証明書類は準備に時間を要するケースもあるので、家賃保証会社を利用する必要が出た時点で、準備を進めておくとよいでしょう。
家賃保証とサブリースの違い

家賃保証と聞いて、「サブリース」を思い浮かべるオーナー様は多いかもしれません。どちらも家賃滞納のリスク対策に活用できますが、その仕組みはまったく異なります。ここからは、家賃保証とサブリースの違いについて解説します。
サブリースについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【事例付】サブリース新法を徹底解説! 契約時の注意点とメリット・デメリット
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家賃保証は入居者様との契約・サブリースはオーナー様との契約
ここまで紹介したとおり、家賃保証は入居者様と家賃保証会社との間で結ばれる契約で、家賃の弁済を目的としています。
サブリースは、主に一棟アパート・一棟マンションのオーナー様と不動産会社や賃貸管理会社などのサブリース事業者との間で結ばれる転貸借契約です。「一定の家賃収入を保証」するという意味でサブリースでも家賃保証という言葉が使われますが、家賃滞納よりも空室対策を主目的として用いられます。
サブリース(sublease)を日本語に訳すと「転貸」「又貸し」となります。サブリース事業者が第三者に転貸することを目的にオーナー様から建物または居室を一括借上することを指す言葉で、オーナー様と事業者との契約を「マスターリース契約」と呼びます。
サブリースの仕組み
サブリースには「賃料保証型」と「パススルー型」の2種類があります。違いは以下のとおりで、サブリース事業者がオーナー様から物件を一括借上する点は同じです。
・賃料保証型:空室や家賃滞納に関係なく、毎月一定の家賃収入が保証される
・パススルー型:実際に回収できた賃料が家賃収入として支払われる
それぞれにメリット・デメリットがありますが、ほとんどのサブリース契約では賃料保証型を採用しています。
サブリースのメリット
サブリース(賃貸保証型)の主なメリットとしては、以下の点が挙げられます。
・空室リスク・家賃滞納リスクを軽減できる
・管理業務を委託できる
・確定申告が簡素化できる
それぞれ以下にて解説します。
空室リスク・家賃滞納リスクを軽減できる
空室や家賃滞納による家賃減収は、賃貸経営に大きく影響します。減収が長期になれば、ローンの返済に自己資金をあてることにもなりかねません。その点、毎月安定した家賃収入が約束されているのは大きなメリットといえるでしょう。
空室リスクや空室対策について詳細を確認したい方は、こちらの記事もあわせてご参照ください。
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空室の原因を解決する『4つの空室対策』とは?14種類の手法を徹底解説!
不動産投資の大敵・空室をなくす! 空室改善の方法をわかりやすく解説
管理業務を委託できる
入居者募集、家賃回収、クレーム対応、共用部分の清掃、修繕など、管理業務はすべてサブリース事業者が対応します。手間のかかる業務をプロに任せられるので手間がかかりません。
確定申告が簡素化できる
家賃収入と経費が一定額になるため、確定申告時に必要な収支管理が簡素化されます。
サブリースのデメリット
サブリースにはメリットがある一方でデメリットも多く、内容をよく理解しておかないとトラブルになる可能性があります。サブリースを検討する際に注意したいデメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
・家賃収入が最大化できない
・入居者を選べない
・家賃保証の見直しがある
・契約解除が難しい
それぞれ詳しく解説します。
家賃収入が最大化できない
家賃から手数料が引かれるため、オーナー様が受け取るのは本来の家賃の80~90%になります。なお、賃貸経営では礼金や更新料も収益に含まれますが、サブリースではオーナー様が礼金や更新料を直接受け取ることができません。
家賃保証の見直しがある
サブリースでは数年ごとに家賃保証の見直しが行われます。時期などは契約書に明記されるはずなので、しっかり確認しましょう。順調に稼働していたとしても、一定の品質を担保する必要もあるため工事・修繕対応を求められることもあります。近隣の競合物件に比べ、経年劣化が著しく進んでいることなどを理由に見直しを求められる可能性もあります。
入居者様を選べない
サブリース事業者は空室でもオーナー様に保証した家賃を支払わなくてはならないため、審査のハードルを低くして入居付けを行う可能性があります。その結果、オーナー様にとって好ましくない入居者様が住むことになるかもしれません。
契約解除が難しい

サブリース契約では、オーナー様が貸主・サブリース事業者が借主という立場になります。借主は借地借家法で保護されているため、オーナー様の都合で賃貸借契約を解除することは難しいと考えられます。一方、借主であるサブリース事業者は、契約期間中でも賃料の値下げや契約解除の要求が可能です。
家賃保証とサブリースの違いと使い分け
同じように見えても、家賃保証会社では滞納家賃を弁済する、サブリース事業者は空室や滞納に関係なく一定の家賃を保証するという違いがあります。家賃保証はすでに多くの賃貸物件に導入されていますが、2020年の民法改正を受けて今後ますます拡大することが予想されます。家賃滞納に備え、積極的に活用することをおすすめします。
一方、サブリース契約にはいくつかのメリットがありますが、不安要素も少なからずあります。トラブルに発展する可能性もあるため慎重な検討が必要です。まずは物件力を高めることに注力し、それでも空室リスクが予想されるときに利用を検討するとよいでしょう。
なお、サブリース事業者が信頼できる会社であることが前提となります。同様にサブリース事業者からオーナー様を信頼してもらうために、満室経営に取り組む姿勢があると友好な関係を構築しやすくなります。目指すのは同じゴールであるはずです。実績や評判などをしっかりと調べ、複数社の話を聞いたうえで信頼性の高い会社を選ぶようにしましょう。
家賃保証会社を選ぶポイント
家賃保証会社は数多く存在しますが、どのように選べばよいのでしょうか。ここでは、オーナー様が家賃保証会社を選ぶ基準となるポイントを紹介します。信頼できる家賃保証会社を見つけるには、5つのポイントをそれぞれ比較検討する必要があります。
家賃債務保証登録業者の確認
家賃保証会社の業務水準を高めるため、国土交通省は「家賃債務保証登録制度」を設けています。登録されるには、安定的に業務できるだけの経済基盤があること、コンプライアンス遵守のための研修を実施していること、事務所代表者の業務経験が1年以上あることなど、一定の基準を満たしている必要があります。登録は5年ごとの更新制となっており、基準を継続的に満たしていなければなりません。
登録業者については、業務適正化のためのルールが設けられています。虚偽広告や誇大広告の禁止、違約金などに関する契約の制限、重要事項説明の徹底などがルールとして定められているため、登録業者を選べば、トラブル発生時にも一定の信頼性を期待できるでしょう。
登録業者は入居希望者様からの信頼も得やすく、契約率の向上につながるかもしれません。
保証限度額
家賃保証会社による保証内容のなかでも重要なのが、家賃がどの範囲まで保証されるのかという点です。
1ヶ月や2ヶ月の短期的な滞納であれば影響は限定的ですが、未払いが長期化した場合には、オーナー様の収入が大きく減ってしまいます。そもそも家賃が高額な物件では、短期の滞納でもキャッシュフローへの影響は大きいでしょう。こうしたケースでは、家賃保証会社による保証限度額が不十分だと、オーナー様の負担が重くなってしまいます。
保証限度額は「月額賃料の24ヶ月分」が一般的な水準です。なかには「12ヶ月分」や「48ヶ月分」という会社もあるため、家賃水準やオーナー様の収支計画に応じて、適切な限度額の会社を選びましょう。
保証内容の充実度

家賃保証会社が保証してくれるのは、入居者様の未納家賃だけではありません。入居者様が家賃に付随して支払う管理費・共益費・駐車場料金、退去時の原状回復費用や残置物撤去費用、契約の更新料、強制退去のための訴訟費用など、その保証内容は多岐にわたります。
会社によっては、水光熱費をはじめとする変動費や、入居者様が室内で亡くなった場合の原状回復費用を保証してくれたり、オプション保証を設けたりしているケースもあります。
万が一の事態に備える観点でいえば、保証内容が充実しているほうが、当然安心感は高まるでしょう。しかし、保証内容を重視するあまり、保証料が相場よりも高くなってしまうと、入居希望者様に敬遠されてしまうおそれがあります。
オーナー様の物件の価値と家賃保証会社の保証内容、保証料の金額を比較検討し、費用と内容のバランスが優れた家賃保証会社を選ぶことも重要です。
家賃の立替時期
いくら保証限度額が高く、保証内容が充実している会社でも、滞納家賃の発生から立替までに時間がかかるようでは、オーナー様の資金繰りに支障をきたしてしまいます。
立替日数も会社によって異なり、滞納の発生から数日中に振り込まれる場合もあれば、月末に振り込まれる場合もあります。管理手数料やローン返済などの引き落としのタイミングを考えると、できるだけ早めに立て替えてもらえるほうが安心です。滞納によるオーナー様のキャッシュフローへの影響をなるべく抑えるためには、家賃の立替日数の短い会社を選ぶとよいでしょう。
オーナー様や入居者様からの問い合わせに迅速に答えてくれるかどうかも、家賃保証会社選びで重視したい点の一つです。オーナー様への報告や各種問い合わせ対応が迅速な会社は、信頼できるといえます。
家賃保証会社の経営状況

いざというときに滞納家賃や原状回復費用をしっかりと保証してもらうには、経営状況の安定した家賃保証会社を選ぶ必要があります。もし契約していた家賃保証会社が倒産するようなことがあれば、オーナー様の負担が増えてしまう可能性があるのです。
実際、過去には当時業界有数の規模を誇った家賃保証会社が倒産し、契約していたオーナー様に大きな影響が生じたこともありました。会社が倒産すれば、入居者様との保証契約は消滅してしまうため、入居者様の家賃保証がない状態になってしまいます。この状況で家賃滞納が発生すると、オーナー様は適切な保証が受けられず、家賃収入が減ってしまうでしょう。
このようなリスクを軽減するには、十分な資本金があり、財務状況が安定している家賃保証会社を選びましょう。
まとめ

家賃保証を利用すれば、滞納があっても家賃保証会社から確実に家賃が支払われ、回収の手間やストレスから解放されます。賃貸不動産のオーナー様にとってメリットが大きい制度といえるでしょう。保証料は入居者様負担となりますが、これまで連帯保証人を立てられず部屋探しに苦労していた方には歓迎されるのではないでしょうか。
家賃保証も含めた入居者管理は、経験・実績豊富な賃貸管理会社の管理能力がものをいいます。サブリースの利用も、信頼できる賃貸管理会社を選ぶことでトラブルを避けられるはずです。これを機に賃貸管理会社の見直しを行ってみてはいかがでしょうか。
【リロの不動産】では長年蓄積した独自のデータを活用して、賃貸経営と不動産に関わる「お客様のお困りごと」を解決に導きます。賃貸管理に関しては、お客様からのご意見と膨大な賃貸経営データをもとに、「賃貸管理契約」と「サブリース契約」の基本プランを2種類ご用意しております。ぜひお気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。
