空室の原因を解決する『4つの空室対策』とは?14種類の手法を徹底解説!

2023.03.02

空室対策は賃貸用不動産をお持ちの方にとって永遠の課題で、「もっと空室率を低く抑えるにはどうすればいいのか?」という悩みを抱える方は少なくありません。

そして、これから不動産投資やアパート・マンションの賃貸経営を始めようと考える方にとっても、空室対策の手法や考えるべき順番、どのような空室対策を行うと高い効果が期待できるのかを知っておくことは、将来のリスクを最小限に抑えるために非常に重要なことです。

実は、空室対策としてよく提案される手法の中には、一時的な効果しか期待できないものや、よく考えずに行ってしまうと逆効果になる可能性があるものも存在するため、安易に取り組んでしまうと後悔する場合もあるでしょう。

本記事では、空室発生の代表的な原因を解決するフレームワークである、『4つの空室対策』である①募集対応、②仲介対応、③管理対応(入居者管理/建物管理)、④設備・工事対応に当てはめて、14種類の空室対策手法について詳しく解説します。

目次

アパート・マンション経営の要!『4つの空室対策』とは?

まず、全国賃貸住宅新聞「2022年賃貸仲介件数ランキング」にて、全国6位の仲介実績を持つリロパートナーズのブランドである【リロの不動産・リロの賃貸】が推奨する『4つの空室対策』について解説しましょう。

『4つの空室対策』とは、【リロの不動産】が考案した空室発生の代表的な要因を解決するフレームワークとなります。①入居者募集対応、②仲介対応、③管理対応(入居者管理/建物管理)、④設備・工事対応という賃貸経営に必要不可欠な4つの要素に関連する対策を指します。安定したアパート・マンション経営を継続させるためには4つの対策の優先順位や実施タイミングなど注力するバランスが重要になります。

それぞれの重要性は以下のとおりです。

①【募集】入居者の募集力について

物件のお問い合わせを増加する募集力を高める施策が一番大切です。

近年の入居希望者様はインターネットを通じてお部屋探しをされることが主流になっています。住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)に物件を魅力的に掲載する方法や、閲覧数などの数値を基にデータドリブンに改善を続けることは、安定的な賃貸経営を継続するためには必要不可欠です。

そのうえで、自社HPやメディア/SNSなどのデジタルを上手に活用して集客できる賃貸管理会社や、法人や大学との連携など独自の集客ネットワークを活用することで、入居希望者様からのお問い合わせを増加できるでしょう。募集活動を行う前の事前調査や分析も重要です。

地域特性を踏まえ物件の優位性を探す競合物件調査により、募集物件の魅力を引き出す要素を洗い出します。賃貸経営データを活用するターゲット選定や募集内容の精査により入居希望者様に広くお部屋の存在をお伝えいたします。

②【仲介】仲介の対応力について

各物件に合った入居者様をご紹介するためには、近隣の競合物件動向や、地域の需要をよく理解し、顧客管理を適切に実施していることが重要です。

地域で数十年以上の賃貸管理業を営んでいる老舗の賃貸管理会社や不動産屋さんであれば、入居希望者様のご希望とマッチする物件紹介に期待が持てます。仲介業務で大切なことは入居希望者様が大切にされていることを捉え、ご希望の物件をご紹介することではないでしょうか。

管理を一任されている不動産オーナー様からの期待も大きいと思います。だからこそ、顧客満足度を高める工夫が必要です。例えば、寒い時期にはホッカイロをお渡しする工夫や、顧客管理システムの情報を利用した適切で迅速なフォロー、覆面調査などで顧客への対応力を客観的に把握する取り組み、入居時のアンケートで顧客満足度を定点観測して改善する取り組みなど、複合的な対応が求められる時代になりました。

入居者様にとって、物件の良し悪しだけではなく、対応してくれる担当者の印象も、入居後に安心できるかを測る重要な判断材料となります。

③【管理対応】入居者管理と建物管理に主軸を置く管理対応について

空室率を低く抑えるためには、入居者様へのトラブルや建物管理の不具合を早期に解消し、管理対応の不満による退去を未然に防ぐことが重要です。ソフト面の入居者管理とハード面の建物管理に焦点を当ててご紹介します。

入居者様のサポートをする「入居者管理」では、24時間365日のトラブル対応窓口が普及してきました。快適な暮らしをするために、入居者目線に立った優待サービスが付帯する賃貸管理会社も存在します。入退去時にアンケートを実施して顧客満足度の向上に努めていれば、前述の対応不備による退去は減少するでしょう。また、適切な入居者審査を行うことで物件にお住まいになる方々の価値観も近しくなり、様々なトラブルを事前に予防することが期待できます。

ハード面の対応として代表的な「建物管理」では、清掃やメンテナンスを定期的に実施して快適な環境を維持します。清潔感あふれる状態を維持することで内見時に好印象を残し、共有設備の不具合についても早期対策が行いやすくなるでしょう。

ソフト面・ハード面で定期的な対応をするからこそ、物件の現状を客観的に把握することが可能となり、不動産オーナー様に行っている賃貸経営のパートナーとしてのアドバイスや適切な判断をしていただくための情報提供の精度も向上します。

④【設備・工事対応】原状回復/設備・リフォーム/リノベーション/大規模修繕の対応について

実物資産である不動産は、建物や設備の対策を行わずに長い年月が経過すると、経年劣化により、設備の故障リスクが高まります。時代の経過とともに入居者ニーズも変化するため、近隣の競合物件より古さが目立ち空室が継続する場合は設備・工事関連の対策を検討するタイミングになります。

原状回復時に設備入れ替えやリフォームをすることが多いのですが、入居者ニーズを反映することで投資金額を最小限に抑えることができます。

外部環境の変化が大きい昨今では、実質負担0円で設備投資が行える『割賦対応』により工事資金のバックアップをするパートナーなら、賃貸経営の収支を改善するための大型リフォームや賃貸経営に最適なリノベーション工事のほか、大規模修繕対応も計画的に実施しやすく、大切な物件の資産価値や競争力、収益性を回復させる一手を打つことができます。

長期的に入居率を高めるおすすめの空室対策!6つの手法とは?

多くの空室対策の中から、入居率を長期的に高めることができる代表的なおすすめの空室対策を費用や手間がかからない順に6つ紹介します。

手法1【募集/仲介】募集内容の改善と物件情報の露出先を広げる

インターネットでお部屋を探している人の目に留まるように、メディアに掲載される物件情報の順位を上げる各種調整、物件の魅力が伝わるように、文言や写真、図面などを工夫するだけでも、内見希望者の増加が期待できます。

この手法は、基本的にお金をほとんどかけなくても行えるため、早期に実施することをおすすめします。入居希望者様からの反応が少ないようなら、チラシのブラッシュアップや募集の露出先を広げてみるほか、必要に応じて看板の設置を検討することで状況の改善が期待できます。

入居者募集は全て不動産仲介業者に任せているという場合であっても、SUUMO・HOME’S・at-homeなどの住宅情報サイトに、どのようにご所有の物件が掲載されているのかを確認するひと手間が大切です。気になる内容を発見された際は、修正の相談を管理会社にしてみましょう。

実は深い狙いがある見せ方をしている可能性もあるため、管理会社と二人三脚で改善すると早く効果が出るでしょう。なお、後述いたしますが、募集賃料の見直しは最終的な判断として考えることをおすすめします。

手法2【管理】清掃を徹底する

共用部と専有部を清潔に保てないと、内見に来られた方に悪い印象を与え、入居先の候補から除外される可能性が高まります。共用部の中では、駐輪場やポスト周り、ごみ置き場などがよく見られています。お住まいになる方の特徴により、共用部は散らかりやすい傾向もあるため、定期的に清掃し、綺麗な状態を保つことが大切です。

お住まいになる専有部も、汚れや損傷が目立つ状態では敬遠されてしまうため、退去後は迅速に原状回復工事を行って、すぐに内見者を迎えられるよう準備を整えましょう。管理戸数の多い賃貸管理会社は定期的に仕事があるため工事対応するパートナーも多く施工期間も短くなる傾向があります。

退去されてから空室期間が長期にわたる場合は、水回り(排水管)のにおいが部屋に充満してしまうことがあります。においが上がってこないように大元となる排水溝を塞ぎ、内見前に空気を入れ替えるようにするなど、ちょっとした工夫で予防することができます。

このように、せっかく内見に来てくださった方に悪い印象を持たれないよう、日頃から清掃を徹底して清潔な状態を保つことが大切です。

手法3【設備・工事】人気設備を導入する

近年需要が高い、無料のインターネットや、オートロック、TVモニターフォン、宅配ボックス、浴室乾燥機、最新のエアコンなどの人気設備が導入されていれば、競合物件と比較して優位性が向上します。設備投資には一定の費用がかかるため、優先順位や導入時期を踏まえた対策が必要です。

全国的なトレンドや地域性もありますが、ご入居される方々のニーズを意識することが大切です。導入した設備が入居者ニーズにマッチしない場合、付加価値を感じにくくなり空室対策に寄与しないこともあります。ミニマム投資でより高い効果を得るためには、入居者アンケートなどで集約したニーズを参考にして、入居者様が求めている設備を優先的に導入することで、入居者募集や仲介業務で訴求力が向上し、リーシング及び空室対策に活かせるでしょう。

また、入居者様の好みがあるからと照明を設置していない物件もありますが、内見に行った物件が暗いことで、セキュリティ上の観点から悪い印象を持たれてしまう可能性もあります。照明は安価で対策ができ、好印象が期待できるため、省エネ対応のLED電球の交換や照明の設置を検討する価値は高いでしょう。

手法4【設備・工事】リフォーム・リノベーションを行う

基本的な対応ができていても継続して空室が続き、近隣の競合物件と比較して設備、間取りなどが現代にマッチしていない場合は、お部屋の改善を検討する時期かもしれません。築年数の経過にともなう設備投資は避けられませんが、リフォームやリノベーションを行うことで、入居が早まり空室期間をを短縮するほか、対応内容によっては賃料の改善が期待できます。

リフォームとリノベーションの違いにも触れておきましょう。

「リフォーム」とは、不具合を改善し、経年劣化により故障した設備の入れ替えや、悪い状態を原状回復する対応のことです。マイナスの要素をゼロにする修繕工事や設備の入れ替えなどがイメージしやすいのではないでしょうか。賃貸経営におけるリフォームは「長く快適に過ごす、入居者様に選ばれる部屋づくり」と言い換えてもいいかもしれません。

「リノベーション」とは、元々の状態に戻すのではなく、お住まいになる方が快適に暮らせる機能を追加するなど、新たに価値を付加する大きめの工事を意味します。キッチンのある一角を刷新するほか、間取りをガラッと変えてターゲットを変更するなどの対応により賃料改善が期待できます。

賃貸経営をする物件でリフォームやリノベーションを行う際は、投資回収を意識しましょう。自分が住むための住宅ではないため、優先順位を付けて取り組むことが重要です。空室改善や賃料改善のほか、売却や相続など、賃貸経営の目的とゴールを考えることで、優先順位や取り組むべき範囲のイメージがつきやすくなるでしょう。

物件の構造や使い方にもよりますが、長期的に高い収益を得られるようにするためには、15~20年に1度程度の頻度での設備の入れ替えや、リフォームやリノベーションを検討する必要が出てくるでしょう。特に屋根や外壁などの修繕を怠ると、腐食などにつながり、物件を長持ちさせることができなくなります。大規模修繕のタイミングに合わせてご検討ください。

以下に3種類のリフォーム・リノベーション事例を紹介しますので、参考にしてください。

リフォーム・原状回復

原状回復工事とは、賃貸借契約が終了した物件を、入居前の状態に戻す工事を意味します。

ただし、国土交通省が取りまとめた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、そのほか通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されているため、少しでも汚したり傷つけたりしたら、入居者様が費用を負担して借りた当時の状態に戻さないといけないわけではありません。

一般的な負担内容をご紹介すると、経年劣化や通常使用による自然損耗による部分の修繕費用はオーナー様負担、入居者様の故意過失で損傷した部分の修繕費用は入居者負担とされています。

例えば新築時から3年間その物件に住んでいた方が、法定耐用年数は6年のものを、故意または不注意で汚したり、壊してしまい、新しいものへ交換が必要になった場合であれば、同等のものに交換するのにかかる費用のうち50%は入居者負担、残りの50%はオーナーが負担する形で、退去費用を計算するのが一般的です。

先述のとおり、リフォームは設備不良時の設備入替や悪い状態を原状回復する取り組みになります。リフォーム単体の工事よりも原状回復工事が必要になったタイミングで一緒に対応ができると、工事費用も削減され計画的なお部屋のアップデートに対応できます。

原状回復する際は、以前と全く同じ内容で対応するのではなく、アクセントクロスなど少しの工夫を盛り込むことで上質な空間に変えるという選択肢もあります。原状回復工事のタイミングは、安価にお部屋のイメージチェンジを図るのに絶好のタイミングですので、細かな改修ができないか検討してみましょう。

また、リフォーム・原状回復工事にかかった費用は必要経費(修繕費)として経費計上することが認められているため、節税にも一定の効果を発揮するというメリットもあります。

【リフォーム・原状回復事例】

【リロの不動産・リロの賃貸】では、アクセントクロスや琉球畳を使用して、落ち着きのある大人な空間に手掛けたリフォーム事例がございます。和室を洋室にリフォームする提案だけではなく、地域性やターゲットに応じてご提案をさせていただきます。キッチンや浴室、トイレにこだわりをお持ちの入居者様も多いため、水回りのリフォームも人気です。

<概要>

Before
After

リノベーションで間取り変更・人気設備の導入

物件の設備や間取りが、近隣の競合物件よりも大幅に見劣りするようであれば、地域の賃貸需要とトレンドを把握した上で、間取り変更や人気設備の導入をするリノベーションはいかがでしょうか。リノベーションのポイントは、地域性と入居者ニーズを把握し、想定ターゲットの入居者様が求める空間を実現し、付加価値を生み出すことです。

例えば、賃貸物件の検討候補から除外されやすい3点ユニットバスの仕様であれば、トレンドの設備に変更することで、募集時の露出機会を増加させることが期待できるでしょう。あわせて間取りを変更することで快適な居住空間を維持できます。暮らしの在り方を変えることで付加価値が生まれ、賃料アップや空室期間の短期化が期待できます。

間取り変更や設備の入れ替えにかかった費用もまた、原状回復工事の費用と同様に、経費計上が認められています。ただし、金額や耐用年数に応じて、導入した設備を減価償却していくことになるため、導入したその年にかかった費用の全額を経費計上できるわけではない点に注意が必要です。

【間取り変更・人気設備の導入事例】

【リロの不動産:賃貸経営リノベーション事例】

3点ユニットバスを、生活スペースを確保しながらバス・トイレ分離しました。間取りを1Kから1Rに変更、オープンクローゼットの採用で、居住空間を広くする工夫を取り入れました。本物件は、実質負担0円でリノベーションができる「割賦・借上プラン」をご提案したリノベーション事例です。

<概要>

※リンク

リノベーション前の家賃3.1万円
リノベーション後の家賃4.5万円
構造RC造
間取り1R(17.7㎡)
築年数33年

フルリノベーション

フルリノベーションとは、お部屋や建物全体をリノベーションすることを意味する言葉です。大きく分けて、梁や柱など構造だけの状態まで戻して、新たな間取りや設備を導入するスケルトンリノベーションと、壁や床、各種設備など見える部分だけ新築同然の状態にする表層リノベーションがあります。

賃貸用の集合住宅の場合は、ほかのお部屋との兼ね合いや、費用対効果の側面から、表層リノベーションを実施するのが一般的です。広い範囲で改修が必要な場合は、スケルトンリノベーションを検討するとよいでしょう。

フルリノベーションを行うことで、賃料や資産価値の向上のほか、節税効果も期待できます。長期間の空室や、各種設備の法定耐用年数を大幅に過ぎ老朽化したタイミングで検討されることの多い選択肢です。収支を加味する必要がありますが、相続前の段階で、古くなった物件を、手元資金を活用してフルリノベーションすれば、不動産の相続税評価額は、現金の場合よりも大幅に安くなるため、相続税対策の一つとしても効果を発揮します。

【フルリノベーション事例】

【リロの不動産:賃貸経営リノベーション フルリノベーション事例】

元々倉庫として活用していた部屋を賃貸経営可能なお部屋にコンバージョンしました。フルリノベーションすることで、リフォーム前の賃料0円から6.5万円の賃料収入を得られるようになりました。工事対応だけではなく、物件の魅力を引き出し企画に伝える入居者募集や仲介業務を包括するリーリング活動や賃貸管理業務や売買・相続などの相談もできるトータルサポートが可能な点も、ご依頼いただくポイントになりました。

<概要>

リンク

リノベーション前の家賃非賃貸のためなし
リノベーション後の家賃6.5万円
構造木造
間取り1R(24㎡)
築年数22年

工事・設備投資にかかった費用は不動産賃貸業の経費にできるため、相続税対策を考え始めたタイミングで、節税対策の一環としてリフォームやリノベーションを検討するのもいいでしょう。

手法5【仲介/管理】不動産仲介業者との関係を強化する

低い空室率を維持向上するためには、賃貸管理会社や不動産仲介会社と、良好な関係を築くことも大切です。定期報告を受ける際に担当者と積極的なコミュニケーションを図り、優先的に入居者様を案内してもらえるよう工夫してみましょう。定期的に不動産の専門家と話をすることは、担当者へ積極的に賃貸経営に関わる姿勢を見せることができるだけではなく、法改正の情報や、地域の動向など最新情報を得る絶好の機会にもなります。

現在お任せになっている不動産仲介パートナーの対応に不満があり、空室改善の見込みも低いのであれば、新たな仲介パートナー探しの検討をおすすめいたします。

手法6【募集/仲介/管理】賃貸管理会社や清掃業者を切り替える

募集や仲介などのリーシング対応や入居者様・清掃・メンテンナンスなどの各種対応に課題が残り、長期間にわたり空室が改善しないようであれば、賃貸管理会社の変更を検討してもよいでしょう。賃貸管理会社の変更には事前の通知や入居者様に迷惑をかけない準備も必要になります。問題が深刻化する前に、次の賃貸管理会社候補を探し、問い合わせや資料請求をしてみるなど、早めの情報収集をされると安心できるしょう。

実施前によく考えたほうがいい空室対策7つの手法とは?

空室対策の中には、導入すると方針転換ができない施策も存在します。
以下に記載する空室対策をお考えの際には、長期的な視点でメリット・デメリットをお考えの上、実施をご検討ください。

手法7【募集】広告料を用意する

長期間空室の状態にするよりも、早く入居中にしたほうが収支の向上が見込めます。このような理由から、広告料の負担を賃貸管理会社からお願いされたことのある不動産オーナー様も多くいらっしゃることでしょう。

不動産業界で広告料と呼ばれるものには2種類あります。

1つは、ネット上などに広告を出すための費用で、ほかの業界でも同じ意味で使われています。広告料を負担し、メディアの露出を増やすと、メディアの募集力が格段に上がるため、賃料や設備面で競合に見劣りしない場合は一定の効果が期待できます。

もう1つの広告料は、ADと呼ばれる入居者様を優先的に紹介してもらうために不動産仲介会社に対して払う費用のことです。広告料(AD)は不動産仲介業者にとって重要な収入源になるため、その金額が大きくなるほど、不動産業者が頑張って決めようと動いてくれると言われ、特に閑散期によく用いられます。ただし、この手法の効果はどちらもそのときかぎりで、根本的な問題が解消できていないと、次の空室時にはまた同じ問題に直面する可能性が高いと考えられます。

手法8【募集/仲介】家具付き物件にする

家具付き物件は、借り上げ社宅などとして法人が用意する物件として人気の施策です。ただし、一般的な賃貸住宅として、家具を用意する場合は、入居者様の好みや破損などの利用状況により、次の入居者募集の際に使いにくくなる可能性も考えられます。入居者様が退去する際にも、引っ越し時に家具を持って行かれないように、家具管理や契約が必要となるため、慎重に検討する必要がある手法と言えます。
学生に特化している場合や、法人顧客の斡旋に強い企業の紹介がある場合など、やるべき理由を明確にしてから、導入を検討されるとよいでしょう。なお、導入時には募集物件の写真を家具付きで掲載して居住イメージを想起させるという募集強化施策にも利用できます。

手法9【募集/仲介】ペット可にする

ペット可にする懸念点として、住民トラブルへの発展や、部屋の損傷が激しくなる可能性が考えられます。特に、1棟のうち一部の住居のみをペット可にしてしまうと、トラブルが起こる可能性が高まるため、割り増しで礼金を取るなどの部分的な対策のほか、1棟全てをペット可に変更するなどの施策も検討する必要があります。

1棟全てがペット可であれば、価値観の近い入居者様を集客しやすくなり、ペットのお手洗いを用意するなど、トラブルを軽減する対策も実施しやすくなります。なお、原状回復では想定よりも多くの費用が発生する可能性が高まるため入居者様との契約内容を改めて確認してみてください。経験のある賃貸管理会社と見直すことで、想定できるリスクをコントロールできるでしょう。

手法10【募集/仲介】楽器可にする

防音対策を講じずに楽器可にしてしまうと騒音問題に発展する可能性が高まります。古い住宅の場合は、完全防音にすることが難しい可能性が高く、多額の施工費がかかる場合もあります。工事費用を節約するために、防音対策が十分にできていないと、たとえ楽器を演奏できる時間帯が限定されていたとしても、さまざまな人が密集して暮らす都心などはクレームに繋がる可能性もあるので注意が必要です。

また、楽器可としている物件需要が少ない地域で、楽器演奏をする音大生専用やアーティスト向けの物件にしてしまうとミスマッチが起こります。物件の立地や特性によって向き不向きが分かれる手法といえるでしょう。

手法11【募集/仲介】外国人労働者向けにする

少子高齢化の影響を受け外国人労働者の需要が高まってきています。入居者募集に強い物件やセキュリティ意識の高い地域では厳しい募集条件を設定する傾向があります。そのような募集条件にマッチしない外国人を受け入れることで、一時的に空室が埋まる可能性は高くなります。懸念事項として、文化の違いから起こる住民トラブルが考えられます。

「ペット可」「楽器可」「外国人労働者向け」など、ターゲットを絞る施策をご検討する場合は、1棟物件やマンスリーマンション・シェアハウスなど価値観の近いコミュニティを形成する仕組みを構築することで、トラブルが起きるリスクを軽減することができるでしょう。

手法12【募集/仲介】敷金・礼金などの初期費用を減額する

敷金・礼金の減額や、一定期間の家賃を無料にするフリーレントにより、入居者様の初期費用の負担を軽減することで、空室改善が期待できます。

しかし、初期費用が少額ですむゼロゼロ物件には家賃滞納や退去費用の支払いでトラブルになるケースも存在し、予期せぬトラブルが起こりやすくなることが懸念されます。

安定した賃貸経営を続けていく上で、計画的に大規模修繕や設備投資の工事費用を貯蓄することも重要なポイントになります。毎月の賃料はもちろん敷金・礼金などでも原状回復や設備・工事資金を確保する方が健全な賃貸経営を行いやすいでしょう。物件の状態や実施タイミングによりメリットデメリットも異なるため、導入される前に賃貸管理会社と一緒に慎重にご検討ください。

手法13【募集/仲介】家賃を値下げする

いろいろ手を尽くしても入居者様が決まらない場合は、最後の手段として家賃の値下げを検討しましょう。

短期的な視点で考えた場合、家賃の値下げは最もシンプルな対策です。ただし、入居付けを焦って闇雲に値下げをするのではなく、地域の家賃相場や競合物件などと照らし合わせ、相応と思われる家賃に調整しましょう。

賃貸経営を行う上で、家賃の減額はおすすめしません。賃料を維持するリフォーム対応や、付加価値を加え収益も考慮する賃貸経営リノベーションなど、賃貸経営の収支を最適化する然るべき対応が安定的な収益をもたらします。

近隣の競合物件の賃料相場や設備を把握するレポートを提供する賃貸管理会社も存在します。賃貸管理会社と定期的なコンタクトを図り、現状把握するための材料を共有できると、より計画的な賃貸経営を行えるのではないでしょうか。

退去予防策を講じてキャッシュフローを改善させよう

手法14【管理】顧客満足度を高める入居者管理にこだわる

空室率を低く保つためには、空室が出た際に、早急に対策を打つだけでは不十分です。キャッシュフローを正常に保つためには、空室が発生しないように退去予防になる施策を講じることも非常に重要と考えます。

365日24時間サポートなどが一般化している昨今、こまめなサポートや日々の清掃・点検などを徹底し、入居者様の不満を未然に防止することが大切です。入居者募集戦略を立てたうえで入居審査を徹底し、近しい価値観を保有する入居者様が集う住み心地のよい住環境を提供することができれば、入居者満足度が向上し、長くお住まいいただける可能性も高まります。

入居者様がお引越しされて手間がかかるのが、ライフラインの手続きです。ライフラインのサポートがあると入居してからお困りになることも軽減できるでしょう。

適切なバランスの空室対策が必要な理由

さまざまな手法をご紹介してきましたが、空室発生の代表的な原因を解決するフレームワーク『4つの空室対策』の視点が欠けていたら、どのようなリスクが高まるのかあらためて考えてみましょう。

①『募集対応』の視点が欠けていたら、限られた人にしか物件情報が届かなくなり、魅力的な物件情報を広く伝えられず、募集のお問い合わせと内見希望者が減少するでしょう。空室期間が長期化するリスクもあります。

②『仲介対応』の視点が欠けていたら、契約には至りません。また、物件と入居者様のミスマッチが起こり、クレームや入居者間トラブルのほか、早期退去などのリスクが懸念されます。

③『管理対応』の視点が欠けていたら、入居者様のトラブルサポートや建物の清掃が行き届かない状況になり、快適にお過ごしいただくことが難しくなります。入居者満足度が低くなり、長くお住まいいただく入居者様が減少するのではないでしょうか。間接的に仲介力の低下に結びつくリスクも懸念されます。

④『設備・工事対応』の視点がかけていたら、募集にも影響し空室期間が想定より長くなるでしょう。迅速な原状回復や設備投資・リフォーム・リノベーション工事が適切なタイミングで対応できない場合は、「負のスパイラル」に陥る可能性が高まります。周辺の競合物件とご自身の物件で比較した際、物件の競争力が低下することで家賃の減額対応を検討する必要も出てくるでしょう。さらに、適切な修繕や工事対応を怠ると、より大きな費用をともなう工事に発展するリスクも存在します。

このように、4つの空室対策はどれが欠けてもいけないことがわかります。

そして、空室対策の必要性が高まっている原因は次の2つです。

少子高齢化にともなう空室問題の深刻化

少子高齢化により、日本の人口が大幅に減少することが予想されています。総務省が5年ごとに調査を行っている住宅・土地統計調査(2018年)によると、日本全国の空き家は848万9,000戸あり、その半数が賃貸用物件です。空き家率は13.6%と過去最高を記録するなど、地域によっては賃貸住宅の需要よりも賃貸住宅の供給数が多くなっています。

首都圏でも一部の地域では、既に借り手市場となり、入居希望者は複数の候補物件の中から、気に入ったものを選ぶことができる状況にあります。このような環境だからこそ、特に空室対策を行っていない物件は、必然的に入居希望者から選ばれにくくなると考えられます。

今後も少子高齢化が進むことで、空室問題はさらに深刻になると予想されています。

『4つの空室対策』を参考にして対策をバランスよく実行し、入居希望者様から選ばれる物件及び管理品質の維持向上に努めることは、空室問題を乗り越える上で重要な意味を持ちます。

経年劣化による競争力の低下

不動産は実物資産のため、経年劣化を避けることはできません。例えば築年数が同じ、隣接した2つの建物があるとしましょう。もし、一方だけがキレイな外観で新しい設備を導入している場合、賃料や設備、構造、立地条件などの諸条件が同等であれば、キレイで新しい物件が魅力的に映り、多くの方に選ばれるのではないでしょうか。

ネット環境の整備などで選択肢が変わることもあるでしょう。このように築年数が経過していても、適切な対応をすることで物件の競争力は大きく変わります。経年劣化を放置し、古びた印象を与えてしまうと、競争力の低下につながります。大規模修繕に関連する外装や屋根などは、足場を設置する必要があり、比較的費用が嵩みやすい箇所ですが、計画的な対応によりリスクを回避できます。

適切な修繕を行わずに放置してしまうと、浸水などの原因となり、建物の寿命を縮める原因になります。定期的な点検や日々の建物管理や、無駄のないミニマム投資などの改善を積み重ねることで、物件の競争力を維持向上できるでしょう。ご売却やご相続を見据えた資産価値を保つ取り組みにもなるため、最終的に残る収益を最大化できるよう戦略的に空室対策を行いましょう。

安定したアパート・マンション経営を目指すなら空室対策は必須!

今回紹介した、空室対策の手法の中でも、①募集、②仲介、③管理対応(入居者管理/建物管理)、④設備・工事対応の『4つの空室対策』は、どれが欠けても、安定した賃貸経営の継続が難しくなってしまいます。

空室対策とひと言で言っても、さまざまな手法があり、中には十分にその費用対効果を考えて行わないと後悔につながる可能性が高いものも存在します。優先順位を決めて、より低い労力や費用負担で高い効果を得られるものから順番に取り組むことをおすすめします。

【リロの不動産・リロの賃貸】なら『4つの空室対策』で賃貸経営をトータルサポート!

今回は、空室発生の代表的な原因を解決するフレームワークである、『4つの空室対策』(募集対応/仲介対応/管理対応(入居者管理/建物管理)/設備・工事対応)の中で代表的な手法に重点を置いてご紹介しました。

空室対策といってもすぐに対応できるものから、費用や時間がかかるものや賃貸経営のパートナーとともに進める施策まで多種多様な手法が存在します。対策を行う目的や、どのくらいの期間保有する前提なのか、ご相続を考慮すべきかどうかなどによっても、おすすめする施策の優先順位や手法にも違いが生まれます。

空室対策により、住む人が快適さや満足を感じられる住まいにすることは共通していますが、賃貸経営では経営者としての視点を持ちながら空室対策を考えなくてはなりません。

費用対効果の高い空室対策やリーシングを行うためにも、ぜひ一度、【リロの不動産・リロの賃貸】へご相談ください。当社は賃貸経営に必要なサービスをトータルサポートする賃貸管理会社として、入居者ニーズを的確に捉え、地域の特長を熟知し、大手のノウハウを用いたご提案を行います。ご依頼の管理物件については、入居者募集時・仲介時に魅力訴求を行い、成約率向上に向けてバックアップします。

空室対策と関連するリーシング(入居者募集・仲介業務)や管理対応(入居者管理・建物管理)のほかにも、収益物件の売却・買取・購入サポート、資産活用やご相続及び節税対策など、賃貸経営にまつわるトータルサポートが可能です。ぜひ一度、【リロの不動産・リロの賃貸】にご相談ください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。