家賃収入にかかる税金はいくら?設備投資と損益通算で考える節税対策
2023.01.19「家賃収入」に対して、税金がどれくらいかかるか、気になるところです。給与所得と違って仕組みが少し複雑ですので、家賃収入と税金の関係をしっかり整理しておく必要があります。
そこでこの記事では、家賃収入と税金についての基本を解説しましょう。節税対策を立てるうえでキーポイントとなる「設備投資」や「損益通算」についても合わせて解説します。
目次
家賃収入と不動産所得の違いについて
不動産投資を始めるにあたって、税法上区別される「家賃収入」と「不動産所得」の2つの用語の違いを理解しましょう。
「家賃収入」とは、不動産を人に貸すことで得られる収入のことです。
「不動産所得」とは、「家賃収入」から「必要経費」を引いた金額分を意味します。簡単な数式で表すと、以下のようになります。
不動産所得=家賃収入-必要経費
所得税や住民税といった税金は「不動産所得」に対して課税されます。不動産投資で生じる「必要経費」には、不動産に関して発生する各費用(保険費用や維持管理費用、賃貸管理会社への業務委託費用など)や、不動産そのものに関して生じる税金などが含まれます。
家賃収入と不動産所得の違いについて、計算式を参考にしっかり理解しておきましょう。
家賃収入に関わる税金とは?
家賃収入と関わりのある主な税金を挙げておきましょう。
・所得税・住民税
・消費税
・固定資産税
・都市計画税
・不動産取得税
・登録免許税
・事業税
・収入印紙代(印紙税)
これらの税金のうち、不動産に関連して生じた税金とみなすかどうかで、税法上の扱いが大きく違います。ここでは「所得税・住民税」「消費税」「不動産所得に関わる税金」の3つのカテゴリーに分けて、簡単に解説しましょう。
所得税と住民税
「所得税」は個人の得た所得に課される税金です。まず押さえておきたい点が、所得税は家賃収入から差し引ける「必要経費」には含まれない、という点です。
不動産投資に関する「所得税」は、家賃収入から必要経費を引いた「不動産所得」に対して、法定税率をかけることで算出されます。計算式にすると次のようになります。
不動産投資で生じた所得税額=不動産所得(家賃収入-必要経費)×税率
不動産投資専業ではなく、会社員と投資活動の兼業であれば、「給与所得」と「不動産所得」を合算した所得合計分が、所得税の課税対象です。
兼業のケースでは、オーナー様自ら不動産所得分については確定申告する必要があります。また、給与所得と同様、不動産所得分に対しても住民税が課税されます。
消費税
・住宅用の賃貸物件の場合
所有する物件を住宅用に賃貸する場合、家賃収入に対する消費税は原則非課税となります。収入額が大きくても非課税です。
税法上、住宅用の賃貸物件にあたるかどうかは、以下の要件を基準に判断されます。
➀契約上に住宅用であることを明示すること
②賃貸期間が1ヶ月以上であること
(参考:国税庁タックスアンサーNo.6226住宅の貸し付け)
・事業用の賃貸物件の場合
一方、オフィスや店舗などの事業用賃貸物件の運用に関しては、原則課税対象となります。(ただし、売上高1,000万円未満の免税事業者の場合は納税が免除されます。)
消費税課税業者になると、、その旨を税務署に届け出たのち、消費税課税業者となった2年後に消費税を支払います。2年後時点での家賃収入が1,000万円未満であったとしても、1度発生した納税義務は消滅しません。
不動産の取得に関わる税金
家賃収入を得ると、所得税と住民税、消費税のほかに、「不動産の取得に関わる税金」が発生します。不動産の取得に関わる税金は、所得税・住民税と違い、「必要経費」に含まれる点が大きな特徴です。代表的な税金をあげておきましょう。
・不動産取得税
不動産を取得した際に発生する税金。国の基準をもとに各市町村が評価する「固定資産評価額」に基づいて算出されます。
・固定資産税
土地や家屋など、不動産を所有するすべての方に課される税金。「固定資産評価額」に基づいて算出します。
・都市計画税
都市開発などを積極的に行うために、市街化区域に指定されている地域に土地や建物を所有する方に対して課される税金。
このほかに、登記申請時にかかる「登録免許税」、売買契約書の発行にかかる印紙税(収入印紙代)、さらに不動産投資業という事業活動に対して課される「事業税」なども発生します。
【家賃収入】税金の計算方法と気になる控除
家賃収入を元に税金がどれくらいかかってくるか、簡単な計算方法で計算してみましょう。とくに所得税などの確定申告では、不動産投資での損失分を控除分として計上できる「損益通算」が関わってきますので、基本的な課税の仕組みをしっかり理解しておくことが大事です。
不動産所得税(累進課税制度)と火災保険
会社員と兼業で不動産投資を行う場合、所得の合計額は「不動産所得」と「給与所得」の合算額から各種の所得控除を引いた金額です。この所得の合計額に法定税率をかけて、所得税額を算出します。所得税は所得が多ければ多いほど税率が高くなる「累進課税」方式をとっているので、所得の合計が大きくなるにつれて税率も上がる仕組みです。
(参考:国税庁タックスアンサーNo.2260 所得税の税率)
例えば所得合計1,000万円の場合、
1,000万円(所得合計)×0.33(所得税率)-153万6,000円(控除額)=176万4,000円
が所得税額です。
不動産所得は家賃収入から必要経費を引いた額ですから、必要経費が大きいほど課税対象額が小さくなるため、節税効果が高まります。
必要経費のうち、継続的に計上できるうえに、リスクへッジとしての大きな役割を果たすのが「火災保険」です。
火災保険の多くは「火災保険」だけでなく、「地震保険」、「施設賠償責任保険」、「家賃補償保険」などが含まれます。不動産投資での災害リスクをほぼカバーしてくれるので、法的な加入義務はないとはいえ、火災保険への加入はほぼ必須です。
火災保険料は事業用部分については全額経費にできますが、長期契約のほうが単年よりも安いため、通常5年や10年などの期間分をまとめて支払うケースが多いです。その場合は、契約年数で割った分を毎年、必要経費に計上します。
住民税(所得割と均等割)
住民税も所得税と同じく、不動産投資で得た「不動産所得」だけでなく、そのほかの所得(給与所得など)と合算した金額に対して課されます。住民税には「所得割」と「均等割」の2つの区分があり、それぞれを合算した金額を納税するかたちです。
注意していただきたいのは、住民税は投資用不動産ごとに課されるものではないという点です。多数の不動産をお持ちの場合でも、各不動産から得られた「不動産所得」全体に対し、課税されます。不動産1件ごとではなく、課税事業者1人に対して課税する仕組みです。
「所得割」と「均等割」についても簡単に解説しましょう。
「所得割」とは前年の所得金額に応じて課せられる税額で、基本的に課税所得金額の10%となります。
「均等割」は所得金額にかかわらず、必ず一定の金額で課されます。均等割の額は自治体ごとによって多少異なるのですが、例えば東京都の場合、個人都民税の税額1,500 円と個人区市町村民税の税額3,500 円、2つを合計した5,000円が均等割の税額となります。
仮に課税所得金額が500万円と仮定して、住民税を計算してみましょう。
500万円×0.1(所得割分)+5,000円(均等割分)=50万5,000円
実際には「損益通算」や各種の控除(給与所得控除や基礎控除、生命保険料控除など)を差し引いて、課税所得金額を算出することになります。
(参考:東京都主税局 個人住民税)
家賃収入がある場合は経費計上で節税
所得税の支払い額をなるべく抑えるためには、課税対象である「不動産所得」をできるだけ小さくしたいところです。そこで重要になるのが「必要経費」。必要経費を上手に積み上げていくことによって、節税効果が上がります。
必要経費の中に含まれる項目について、具体的に解説していきましょう。
計上できる経費の種類
家賃収入を得た場合に必要経費となる主な項目を挙げておきます。
・税金(不動産の取得に関わる税金)
固定資産税や都市計画税、不動産購入の際に課される不動産取得税、収入印紙代、登録免許税など。不動産を保有することで発生する税金が中心。
・保険料
火災保険料や地震保険料。各種の保険は火災保険に付帯することが多い。
・管理委託料
賃貸物件の管理を任せている賃貸管理会社へ支払う手数料のこと。
・専門家への報酬
税理士や司法書士などに支払う報酬。確定申告の手続きや登記申請の際に依頼する。
・修繕費
物件の機能維持のために行う工事費が対象。資産価値を向上させるための大規模工事にかかる費用は「減価償却費」として必要経費に含めることが多い。
・ローンの利息
不動産を取得するために組んだローンの金利と融資の手数料(注:元本への支払いは必要経費ではないことと区別すること)。
・そのほかの雑費
交際費や交通費、通信費、消耗品などの雑費など。賃貸管理会社との打ち合わせや物件確認など、不動産投資活動に関する経費に限定される。広告費用なども計上できる。
必要経費はできるだけ多く計上するほうが節税になりますが、あまり過度に経費を計上してしまうのも問題です。キャッシュフローとのバランスについて金融機関から疑問視されてしまうと、融資審査が通らなかったり、税務署調査の対象となったりといったケースも考えられます。あくまでも収益を拡大することを第一に考えながら、適切な経費計上を行うことが重要です。
建物部分における減価償却費
減価償却費とは、マンションなどの減価償却される財産の購入費用を、財産の種類ごとに定められた年数に分けて、経費計上する費用のことです。
例として、RC造の新築マンション一棟を8,000万円で購入した場合を考えてみましょう。今回のケースでは建物の取得費用が8,000万円と仮定します。耐用年数は新築のRC造では47年、償却率は0.022となるので、以下のような計算で金額を割り出せます。
減価償却費(1年あたり)=建物購入価額(8,000万円)×償却率(0.022)=176万円
(参考:国税庁「減価償却費」の計算について)
単年で176万円を、毎年の減価償却費として計上できるということです。なお、減価償却費の適用対象となるのは「建物」となり、経年とともに資産価値に変動のない「土地」の購入費用は減価償却費として計上しません。
また、マンションでは「建物」部分と「設備」部分に分けて計算するなど、実際にはさらに複雑な計算となります。あくまでも、1つのイメージとして、減価償却費の計算について大まかに理解しておいてください。
確定申告はいくらから必要?損益通算はできる?家賃収入があるとき
会社員として受給する「給与所得」に課される所得税は源泉徴収されるので、自分から納税申告をする必要は基本的にありません。一方、不動産投資で得た「不動産所得」は、オーナー様自ら確定申告を行うことになります。
給与所得以外で所得の合計が年間20万円以上あると、確定申告を行わなければなりません。しかし、仮に20万円以下であっても、赤字分と給与所得を合算できる「損益通算」が適用されるので、確定申告を行いましょう。払い過ぎた税金分が戻ってくることがあります。
(確定申告の例1)家賃収入が年間20万円以上ある場合
確定申告とは、「所得」に対して課税する所得税、復興特別所得税、住民税などを計算し、税金を納める手続きのことです。会社員の場合、給与所得以外に不動産所得などの「所得」が年間20万円以上あれば、確定申告が必要です。
注意しておきたいポイントは、不動産投資事業としては赤字だったとしても、必ず確定申告をする必要がある、という点です。投資活動全体での収益結果に関わらず、不動産所得が20万円以上ある時点で、確定申告する義務が生じています。
確定申告の方法には「白色申告」「青色申告」そして「法人の申告」の3つの方法があります。不動産投資においては個人の場合、特別控除や損失の繰り越しが可能な「青色申告」を選択するのが基本です。法人化していれば「法人の申告」を行います。
(確定申告の例2)家賃収入が年間20万円以下の場合でも、損益通算が利用できる
不動産所得20万円以下というケースだと、投資事業としては赤字となっているはずです。しかし、赤字だからといって確定申告をしないのはNG。なぜなら、「損益通算」を利用することができないからです。
「損益通算」とは、必要経費が家賃収入を超えるなど、不動産所得が赤字の場合に、ほかの給与所得と赤字分を合算し、課税対象の合計所得額を減らすことができる仕組みのこと。所得税・住民税の確定申告時に利用します。
例えば給与所得500万円で、不動産所得分は赤字100万円だったと仮定しましょう。このケースでの所得税の課税対象額は、両方の所得を合計した400万円。給与所得のみだと課税対象額は500万円ですから、損益通算によって大幅な節税効果が生じています。
損益通算は源泉徴収によって納税済の場合でも、確定申告することで利用可能です。損益通算されたのち、払い過ぎた税金分を自治体から還付してもらえます。
賃貸経営は【リロの不動産】で賢く節税対策
不動産投資では、節税対策に活かせるさまざまな手法が存在します。しかし、節税効果を追求するあまり、不動産投資事業としてマイナス効果が出るようでは本末転倒です。
ビジネスとしての賃貸経営を成功させるには、節税効果と投資効果を両立させた、賢い節税対策を立てることが大切。具体的に【リロの不動産】【リロの賃貸】が提案する効果的な節税対策をいくつかご紹介します。
『割賦工事』による建築改善
賃貸経営を継続するうえで効果的な節税対策となりうるのが、リノベーション工事や大規模修繕工事です。建物の価値を維持するための修繕費用は必要経費に含めることができ、資産価値を大きく向上させる大規模修繕工事の費用については、減価償却費として数年にわたり必要経費となります。
的確なタイミングと効果的な工事プランの選定によって、資産価値の向上と節税対策をうまく両立させることができるでしょう。
【リロの不動産】ではこれまでに、オーナー様それぞれのケースに合った数多くの工事計画を提案してまいりました。ただ、同時に多くのオーナー様が懸念されるのが、資金調達面の問題です。そこで【リロの不動産】では、「割賦払い」によって工事費を調達する方法をご用意しております。
割賦払い方式では、お手持ちの資金が不足した状態であっても抵当権の設定なし、連帯保証人不要のまま、実質負担0円月々の家賃収入から工事費用を引き落とすことが可能。大規模修繕工事や大型リノベーションなど、費用のかかる工事費の調達にも無理なくご活用いただけます。
『割賦工事』以外にも、金融機関からの借入れなどを含め、【リロの不動産】はオーナー様を資金調達面で全力サポートいたします。資金力でお悩みの際も気兼ねなくご相談ください。
不動産を「駐車場経営」で有効活用
賃貸アパートや戸建てなど、収益物件の資産価値を上げる方法の1つが、駐車場経営です。とくに比較的土地の広さを確保できる地方都市など、郊外地域での賃貸経営では、駐車場のある物件のほうが圧倒的にニーズがあり、高い客付け効果を見込めます。
駐車場経営は比較的低予算で取り組みやすく、時間貸し駐車場・自転車・バイク駐輪場など、活用方法も多岐にわたるため、遊休地を活用する方法としてもおすすめです。
一方で、駐車場は固定資産税の特例である「住宅用地の特例措置」の適用対象外のため、節税効果は少ないとされるのが一般的です。
しかし、うまく工夫すれば節税効果を産み出すこともできます。例えば所有アパートに駐車場を隣接させて、建物と一体利用というかたちにすると「住宅用地の特例」が適用されます。
また、新たに設備投資をして駐車場を開場した場合、設備工事費用を減価償却費にすることで必要経費を積み上げる、といった節税対策も可能です。
駐車場経営は初期費用はあまりかからない分、周辺地域のニーズを把握するための徹底的なリサーチが欠かせません。その点で、【リロの不動産】では周辺地域の調査情報をもとに、立地周辺のニーズを満たす事業地の整備や施工、運営のサポートを行う【リロの駐車場】というサービスもご用意しております。ご興味のある方はぜひご相談ください。
相続対策にもなる「建替え」
【リロの不動産】では、オーナー様の所有される物件の状況や資産活用の展望を判断したうえで、設備の入れ替えや建替えも積極的に提案いたします。とくに建替え工事は相続税対策としてもきわめて効果的です。相続前の建替え工事によって相続税の課税対象額を減らすことにつながり、なおかつ未来へ残す不動産自体の資産価値を上げることが可能です。
例えば資産評価額1億円のアパートを想定しましょう。そのまま相続が発生すると、相続税の課税対象額は1億円のままです。そこで、建替え工事を実施し、工事費用に5,000万円、解体費用に1,000万円かかったとします。
すると、相続税の課税評価額は以下のとおりです。
建替え時の課税評価額
1億円(元からの評価額)+5,000万円×0.6(建替え部分の固定資産評価額)-5,000万円(実際にかかった建て替え費用)-1,000万円(解体工事費)
元の評価1億円に加え、建替え工事によって得られた資産価値を工事費用の60%(建物部分の固定資産評価額)として加算し、そこから実際の工事費用を差し引きます。この計算の結果、相続税の課税評価額は7,000万円となり、工事をしない場合の1億円と比べて3,000万円分も相続税の課税対象額が減少しました。
もちろん、投資額の6,000万円の効果と比較しながら判断することが不可欠なので、実際には相続財産の規模や費用対効果を考慮したうえで、慎重に建替えを検討する必要があります。【リロの不動産】では専門家を交えたうえで、オーナー様個々のケースに合った相続税対策を丁寧にアドバイスいたしますので、ご安心ください。
賃貸経営における税金対策は【リロの不動産】にお任せ!
不動産投資で得られた家賃収入には、さまざまな税金が関係してきます。必要経費の中に含めることができる税金もあるので、賢く節税対策を立てることが大切です。収益を上げるという目標と両立させながら、最適な打ち手を実践していきましょう。
【リロの不動産】【リロの賃貸】では、とくに投資効果と節税効果を両立させやすい「設備入替・リフォーム」と「賃貸経営リノベーション」に注目し、オーナー様のニーズに合った工事プランを提案します。
お手元に十分な資金がない方であっても、手元資金・保証人不要の『割賦工事』で工事をお引き受けする仕組みをご用意しておりますので、節税効果と収益性アップの両方をお考えの際にはぜひご検討ください。
今回ご紹介した税金対策についても、確定申告のポイント、減価償却費の計上や相続税対策など、オーナー様それぞれの事情を丁寧にお聞きしたうえで、的確にアドバイスさせていただきます。
節税対策や土地活用について分からない点や不安な点があれば、気がねなく【リロの不動産】【リロの賃貸】までご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。