【事例付】不動産売却の期間を短縮方法!自宅や収益物件の注意点を解説

2024.10.15

不動産の売却にかかる平均的な期間は、持ち家やマンションなど物件の種類によって異なります。

不動産投資において収益物件の売却は重要な出口戦略の一つですが、物件の状況によってはなかなか買い手が見つからず売却までに時間がかかってしまう可能性もあります。

この記事では、自宅や収益物件の売却にかかる期間を紹介しながら、特に収益不動産の売却と不動産投資の出口戦略に焦点を当てて解説していきます。

なお、投資用不動の売却事例については、以下で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

▼投資用不動産・収益物件の売却事例
賃貸経営・不動産投資の売却事例・お客様の声

物件の種類による売却期間の違い(居住用不動産編)

不動産の売却にかかる期間は、物件の種類によって大きく異なります。「居住用 or 投資用」「マンション or 一戸建て」など、物件の種類によって購入者層や金額相場などが異なるためです。

まずは、居住用不動産(実需物件)の売却にかかる平均期間を、統計から確認していきましょう。

マンションの売却期間

居住用の分譲マンション(区分所有建物)は流動性が高く、ほかの物件と比較すると短い期間で売却できる傾向があります。

特に都心や首都圏など、通勤通学に便利な立地のマンションにはつねに一定数のニーズがあり、また立地さえよければ新築でなくても構わないという購入者層も多く存在するため、居住用の中古マンションは比較的売却しやすい物件といえます。

東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」によると、中古マンションは、指定流通機構登録(物件情報の公開)から、売買成約に至るまでの平均日数が80.1日となっており、およそ3ヶ月弱で売却できるケースが多いことがわかります。

出典:東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2023年)

戸建て住宅の売却期間

居住用の戸建て住宅の売却期間についても、東日本不動産流通機構の同じ統計を参考にしてみましょう。

統計によると、物件情報の公開から売買の成約までの期間は、新築の戸建て住宅では90.4日、中古の戸建て住宅では83.3日となっています。

マンションと比較すると多少の期間はかかりますが、やはり戸建て住宅も居住用であれば約3ヶ月程度で売却できる可能性が高いといえるでしょう。

出典:東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2023年)

物件の種類による売却期間の違い(収益不動産編)

収益不動産は、居住用不動産とは購入者層も異なるため、売却までにかかる期間も変わってきます。まずは、物件の種類ごとに、収益不動産の売却にかかる平均的な期間を確認していきましょう。

区分マンションの売却期間

区分マンションとは、投資用に購入するマンションの一室のことです。

区分マンションの売却までにかかる期間は、統計上は分譲マンションの売却期間と同じく平均で80.1日となっています。

立地や築年数、物件の状態によっても売却までの期間は変わりますが、収益不動産の中ではもっとも早く売れる部類に入るといえます。

一棟丸ごとアパートやマンションを購入するよりも、費用も抑えられて管理の手間もかからないなどの理由から、不動産投資の入り口として区分マンションを選択する方が多いという実情もあります。

区分マンションは、専門の投資家だけではなく、会社勤めのかたわら大家業を営もうと考えている方などにも人気があるため、つねに市場に一定のニーズがあり、売却までの期間も短くなりやすいです。

戸建て賃貸住宅の売却期間

戸建ての賃貸住宅の売却にかかる期間も、居住用の戸建て住宅と同じく新築であれば90.4日、中古では83.3日となっています。

区分マンションほどではありませんが、収益不動産の中では比較的早く売却できるほうといえます。

また、区分マンションと戸建て賃貸住宅は、ともに売却の際に入居者様がいない状態であれば、実需物件として売却することも可能なので、出口戦略に幅があるというメリットもあります。

一般的には、実需物件の売却価格は取引事例比較法(または積算法)によって決まりますが、収益物件の売却価格は収益還元法で決まります。どのように売却するかによって価格の決まり方も異なり、基本的には実需物件として売却したほうが高く売れる傾向にあると覚えておきましょう。

一棟アパートの売却期間

一棟アパートは、区分マンションや戸建て賃貸住宅と比較すると売却まで時間がかかりやすい傾向にあります。建物一棟まるまるの購入なので価格が数千万円〜数億円と高くなりやすく、購入者層が基本的に投資家に限られるためです。

実際に、一棟アパートを売却した経験がある方向けのライフルホームズのアンケート調査(2021年)によると、一棟アパートの売却までの期間は以下のようになっています。

売却までの期間割合
3ヶ月未満7.3%
3~6ヶ月20.1%
6~9ヶ月18.7%
9~12ヶ月17.7%
1年~2年16.6%

このアンケート結果から分かるとおり、半数以上の方が売却までに3ヶ月~1年ほどの期間を要しています。

区分マンションや戸建て賃貸住宅の売却では、3ヶ月未満が一番多かったですが、一棟アパートを3ヶ月未満に売却できた方はわずか7.3%とかなり少数であることがわかります。

一棟マンションの売却期間

一棟マンションの売却期間に関する統計はありませんが、一棟アパートの売却よりもさらに長く、6ヶ月~2年程度の時間がかかるとみておくべきでしょう。

一棟アパートと比較しても物件価格が数億円以上とさらに高額になり、購入者も投資家の中でもほんの一部に限られます。また、買主様が吟味する点としても、単純な物件の立地や内装だけではなく、利回りや引渡し条件など多岐にわたるため、希望の価格で早く売却するのはなかなか難しいといえます。

なお、一棟アパートと一棟マンションの全国平均価格は、一棟アパートは7,886万円なのに対して、一棟マンションは1億7,111万円となっています。

出典:健美家 収益物件 市場動向 年間レポート 2023年

売却期間が長くなる収益不動産とは

収益不動産の中でも一棟アパートや一棟マンションは、ほかの物件と比較すると売却までの期間がかかりやすいです。

さらに、以下のような条件に当てはまる物件は、買い手を見つけるまで長い期間を要することになる可能性が高いです。

・立地条件が不利である
・物件の魅力に乏しい
・築年数が経っている
・価格が市場から乖離している
・販売活動がうまくいっていない

それぞれ、わかりやすく解説していきます。

立地条件が不利である

一棟アパートや一棟マンションなどの収益不動産を購入した買主様は、購入後に入居者様を募ることになります。立地条件が不利な物件は、必然的に入居率が悪くなり、家賃下落リスクや空室リスクを警戒するため、買い手が付きづらいといえます。

具体的には、以下のような立地条件の物件は、売却まで期間を要するといえるでしょう。

・最寄り駅やバス停が遠いなど交通の便が悪い
・大型商業施設やスーパー、コンビニなどが近隣になく生活に不便
・風俗店、パチンコ店、廃墟ビルなどが周囲にあり、治安が悪い
・海沿いや谷底平野、旧河道など、災害リスクが高い

また、人気がある立地で賃貸需要が高い地域であっても、競合物件が乱立している場合は売却まで時間がかかる可能性が高くなります。

物件の魅力に乏しい

収益不動産の買主様は、入居率が悪い物件には食いつきにくいため、入居者様にとって魅力的に映らない物件も売却まで時間がかかりやすいです。

具体的には、以下のような物件は魅力に欠け、入居率が悪くなりやすく、売却までに時間を要するでしょう。

・オートロックや宅配ボックスなど、現代的な設備が備わっていない
・外観や共用部の手入れが不十分で建物自体の劣化が目立つ
・テレビ付きインターホンがついていない
・インターネット、Wi-fiが準備されていない

なお、無料インターネットを利用した空室対策については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

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築年数が経っている

築年数が経っている築古物件は、築浅に比べると人気が下がり空室リスクも大きくなるため、売れづらいといえます。修繕/老朽化リスクもあるほか、金融機関でローンを組む際の担保評価も下がる傾向にあり、買い手が付きづらいでしょう。

特に、旧耐震基準の建物は売却が難しくなります。

1981年5月31日以前に建築されたマンションは、旧耐震基準に基づいて建てられており、耐震性が弱いというイメージがありどうしても売れにくくなります。

旧耐震基準時代の建物でも、耐震診断を行なって現行の耐震基準を満たしていると証明できれば売れやすくなりますので、費用はかかりますが試して見る価値はあります。

■投資用不動産・収益物件の減価償却に関連する記事
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価格が市場から乖離している

当然ながら、価格が市場から乖離している物件も売却が長引きやすいです。

収益不動産を売却する際には、不動産会社に査定を依頼して適正な売出価格を決めてもらうケースがほとんどです。

自分が売ろうとしている分野に関して知見がない不動産会社に依頼してしまうと、市場相場から乖離した価格で売りに出されて、なかなか売却できないという可能性もあります。

特に、一棟マンションなど購入者層が限られて売却が難しい物件に関しては、適正な価格で売りに出してもらえるように、信頼できる不動産会社に依頼するのが重要です。

なお、不動産売却においては交渉が起こりやすいので、売出価格は相場よりも高めに設定するという戦略もあります。不動産会社にアドバイスを受けながら、適正な売却価格を見定めるようにしましょう。

■投資用不動産・収益物件の売却査定に関連する記事
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販売活動がうまくいっていない

不動産の売却がスムーズに進むかどうかは、不動産仲介会社の手腕によるところが大きいと言えます。仲介会社の販売活動がうまくいっていない場合にも、不動産売却まで時間を要してしまうでしょう。

ひとくちに不動産売却といっても、物件の種類や状況によって訴求する相手を変えていく必要があります。例えば、一棟マンションや一棟アパートは、購入層が基本的に投資家に限られるため、ポスティングや一般向けの住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)への情報掲載などでは戦略として不適切であると言えます。

不動産を適正な価格で早めに売却するためには、自分の売却しようとしている不動産の取引経験が豊富な不動産仲介会社に相談をするのが非常に重要です。

■投資用不動産・収益物件の売却に関連する記事
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収益不動産の売却期間を短縮する方法

収益不動産は、売却までに時間がかかると売れ残っているという悪い印象がつき、どんどん売れづらくなってしまうため、できるかぎり早めに売却するべきです。

収益不動産の売却期間を短縮するためには、以下のような対策を取るのがおすすめです。

・賃貸需要と将来性のある立地の物件を取得する
・物件の魅力を向上させて売却する
・出口戦略まで含めて投資計画を立てる
・収益不動産の売却に強い不動産仲介会社に依頼する

それぞれどのような内容なのか簡単に解説していきます。

賃貸需要と将来性のある立地の物件を取得する

収益物件を取得する際には、何よりも立地にこだわることが重要です。

不動産投資において、賃貸収入を安定させるために立地条件のいい物件を選ぶことが大切ですが、売却したあとは次のオーナー様が賃貸物件として運営していくため、売却においても立地は重要になってきます。

収益不動産を購入する際には、現状の賃貸需要がある物件であることはもちろんのこと、都市計画や交通アクセスなどの面から、その立地に将来性があるのかどうかという点も加味して検討する必要があります。

また、明らかに立地がいいと思える土地であっても、競合物件が乱立している場合には、投資対象として購入するのには慎重になるべきです。

物件の魅力を向上させて売却する

すでに物件を購入してしまっている場合には、立地条件を変更するのは不可能です。

立地条件が不利な収益不動産を売却する際には、売却前に物件の魅力を向上させて、入居率を上げるのが重要です。収益不動産の次のオーナー様も、ほぼ確実に賃貸物件として運営していくため、入居率の高さは大きな判断基準となります。

最新鋭の設備を導入したり、リフォームや外観の修繕を行なうことで入居率を上げれば、利回りもよくなり、買い手がつきやすくなるでしょう。また、相場より高く売れる可能性も出てくるため、一石二鳥といえます。

ただし、一棟マンションなどの大規模修繕には数千万円と大きな費用が必要になる可能性もあるので、費用対効果を充分に検討しておきましょう。

出口戦略まで含めて投資計画を立てる

不動産投資においては、物件の購入・運用とともに、売却などの出口戦略まで考えて投資計画を立てることが重要です。

例えば、一棟アパート・マンションの出口戦略として以下のような選択肢が考えられます。

・収益不動産として次のオーナー様に売却をする
・建物を解体して更地にして、売却する
・建物を解体して別の建物に建て替えてから売却する

出口戦略の策定にあたっては、インターネット上の情報などを集めるだけではやはり不十分で、専門家の助言を聞くのがおすすめです。賃貸経営をサポートしてくれる賃貸管理会社の協力があると心強いでしょう。

売却の仲介を依頼しながら、もし買い手が見つからなかった場合には買取対応に切り替えてくれるという「買取保証」に対応できる不動産仲介会社に相談しておくこともおすすめです。

特に、収益不動産を相続した場合には相続税対策として有効活用するのもおすすめですが、売却を検討している方は相続後3年間の売却期限があるため、買取保証に対応してくれる会社に売却の仲介を依頼するのが安心でしょう。

■投資用不動産・収益物件の売却時期と出口戦略に関連する記事
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収益不動産の売却に強い不動産仲介会社に依頼する

収益不動産は、実需の分譲マンションや戸建て住宅と比較すると、購入者層が限られるため売却まで時間がかかりやすい傾向にあります。

そのため、収益不動産をスムーズに売却するためには、収益不動産の売却に特化した不動産仲介会社に依頼するのが非常に重要です。

投資家への売却のネットワークを持っており、売却の実績が豊富である不動産仲介会社に相談して仲介を依頼しましょう。また、場合によっては不動産会社に買取を依頼するのもおすすめです。

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まとめ

不動産投資は、売却によってはじめて完結するため、売却などの出口で失敗するとトータルで見ても失敗となってしまいます。いたずらに売却期間が長引くと、別の好条件の物件を発見しても投資ができない機会損失につながることにもなりかねません。

少しでも売却期間を短縮しつつ適正価格で売却するためには、賃貸管理会社や不動産仲介会社の協力が必要不可欠です。

【リロの不動産】は、一棟マンションなどを含めた収益不動産に対する購入意欲を持った賃貸オーナー様との強固なネットワークを有しており、不動産売却において強力なパートナーとなれます。ぜひ一度ご相談ください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。