不動産投資に税理士への依頼は必要? 費用や不動産に強い税理士の見つけ方

2023.04.24

不動産投資を始め収入を得るようになると、不動産投資の収入に対する確定申告が必要になります。あわせて税金のことも考えなければなりません。不動産投資を行うにあたり、税理士への依頼は必須なのでしょうか。

今回は不動産投資において、税理士に依頼することの重要性について解説するとともに、不動産投資に強い税理士を探す方法についてもご紹介します。

不動産投資と税金は深い関係にある

不動産投資は、実は税金と深く関わっています。具体的にどのような税金と関わっているのかについて、詳しく解説します。

不動産投資に関わる税金

不動産取得時にかかる税金

不動産を取得するときには、以下の税金がかかります。

・印紙税
不動産を購入する際には、さまざまな契約書を締結します。基本的には、それぞれの契約書に記載されている金額に応じた印紙税を、収入印紙を契約書に貼付することで納付します。

・登録免許税
登録免許税は登記を行う際に必要になる税金です。登録免許税は、登記申請の際に申請書に収入印紙を貼付して提出することで納付できます。

・不動産取得税
不動産取得税は、不動産を取得した際に1度だけかかる地方税です。取得後半年くらいたってから納付書が送られてきますので、それを基に支払います。

・消費税
土地の取引には消費税はかかりませんが、建物の取引には消費税がかかります。建物価格に応じた消費税を支払わなければなりません。

不動産保有時にかかる税金

不動産を保有している間にも、以下の税金が毎年発生します。

・固定資産税、都市計画税
固定資産税は、毎年1月1日の時点で不動産を保有している人に対して課税されるものです。都市計画税は、原則として市街化区域内の不動産に課税されるもので、固定資産税とあわせて納税通知書が送られてきます。

・所得税、住民税
不動産投資によって収入を得た場合、その収入から不動産投資にかかる経費を引いた所得金額に応じた所得税そして住民税を払わなければなりません。

・個人事業税(不動産賃貸業が事業と認定された場合)
不動産投資の規模によっては、不動産貸付業に認定されるケースがあります。不動産貸付業に認定されると、不動産投資が事業とみなされ、個人事業税が発生します。

不動産売却時にかかる税金

不動産を売却する際にも税金がかかります。

・譲渡所得税
不動産を売却し所得を得た場合は、その所得(譲渡所得)に対する所得税および住民税が発生します。

・抵当権抹消登記が必要な場合は登録免許税
売却によって抵当権を抹消する登記が必要になる場合は、登記手続きを行わなければならず、登録免許税が必要です。

相続や贈与時にかかる税金

亡くなった人から遺産を相続した際に、遺産を受け取った相続人に対して相続税がかかります。また、生きている個人から財産を贈与されると、贈与税が課税されます。

・相続税
相続税を計算する際には、すべての相続財産の課税評価額から法定相続人の数に応じた基礎控除額を差し引き、該当する税率を乗じて求めます

・贈与税
贈与税には「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」を利用した2つがあり、どちらの制度を利用しているかでその年に支払う贈与税額が異なります。

不動産投資と節税

不動産投資には、所得税と相続税への節税効果があることが知られています。。ここで、もう一度内容を振り返っておきましょう。

所得税の節税

不動産投資・賃貸経営による不動産所得は総合課税ですので、他の事業所得や給与所得の金額と損益通算ができます。不動産所得が帳簿上赤字になった場合、事業所得や給与所得の課税所得を圧縮することになります。

不動産所得の計算では、「減価償却費」を計上でき、この減価償却費が所得税の節税効果を高めています。

減価償却とは、建物や建物附属設備など価格が大きく、何年にもわたって使える資産について、購入した年に一括費用計上するのではなく、耐用年数に応じて計算した額を毎年経費として計上できる会計処理のことです。実際にお金が出ていっているわけではないけれど、経費として計上できるため、不動産所得を抑える効果があります。

相続税の節税

相続税を計算する際には、それぞれの相続財産の評価額を求めますが、求め方は相続財産の種類によって異なります。現金や有価証券などは相続発生時の時価で計算されますが、不動産の場合、土地は「路線価方式(または倍率方式)」、建物は「固定資産税評価額」を用いて計算されるため、土地だと公示価格の80%程度になります。

そして、対象の不動産が賃貸に出されている場合、建物だと評価額の70%、土地だと「小規模宅地の特例」によって50%まで減額できます。

ただ不動産として持っているよりも、不動産投資として賃貸に出していることが、評価額を抑えることにつながっているのです。

税理士は税金のプロ

税理士は「税務の代行」、「税務書類の作成」、「税務相談」の3つの独占業務を持っています。不動産投資と深く関わる税金については、その道のプロである税理士にまかせたほうが業務処理上安心です。

また、不動産投資に関する節税効果も、税金の仕組みが分かっていないと正しく使うことができず、効果が最大限発揮できません。相続発生時にも税理士は心強い存在になります。

不動産投資の規模にもよりますが、日々の帳簿付けや毎年の確定申告、相続税、贈与税の申告を一人で行うには限界があります。なんといっても知識が備わっていないことによって、節税効果が得られないことは、大きな損失です。

そこで頼りになるのが、税金のプロである税理士です。税理士のサポート受けることで、機会損失を回避することができます。

不動産投資で税理士に依頼する業務とメリット

不動産投資を行う際に税理士に諸業務を依頼することで、「確定申告をスムーズに行える」ことや、「税務調査に対応してもらえる」などのメリットがあります。

確定申告がスムーズになる

不動産投資を始めると、毎年確定申告を行わなければなりません。確定申告書を作成するにあたり、毎月の収支を計算して最終的な所得金額を算出するわけですが、青色申告で行う場合は決算書の作成も必要です。もちろん会計ソフトを利用して自分で行ってもいいのですが、かなり面倒な作業になるため、普段本業を行っている人は作業時間を捻出すること自体が難しいケースも考えられます。

確定申告の作業を税理士に依頼することで、記入漏れや不備などをなくすことができ、スムーズに行える点は大きなメリットです。特にはじめて確定申告を行うならば、税理士に依頼すると安心です。

税務調査に対応してもらえる

個人事業主だとしても、確定申告の内容について、税務署が税務調査に入ることがあります。税務調査とは、確定申告の内容が正しいかどうかを税務署の職員が調査することで、調査に入る場合は事前に通知があります。

自分一人で調査に対応するよりも、税理士がついていてくれたほうが安心でしょう。特に確定申告書を作成したのが税理士なら、税務署の質問にも適切に回答してくれるはずです。

税務調査は予測できるものではないため、常に「調査が入るもの」だと意識しておくとともに、調査が入っても大丈夫なように正確な内容を申告することを心掛けることも大切であると認識しておきましょう。

節税メリットを活かせる

不動産投資、つまり賃貸不動産特有の節税メリットをプロの視点でサポートしてもらえる点も大きなメリットです。特に減価償却の仕組みを理解して節税効果を得るには、税務のプロの協力が必要です。

収益物件は高額なものであるため、減価償却を計算する際の建物価格や設備価格などは正確に把握しておかなければなりません。

日々の会計処理や確定申告だけでなく、相続発生時や贈与時にも税理士のもつ知識は非常に役立ちます。特に相続時には収益物件の評価額を押さえる仕組みがあり、きちんと申告しなければ適用されません。

総合的に考えると、不動産投資におけるさまざまな税金関係のサポートだけでなく、マネジメントを行ってもらえることからも、税理士に依頼するメリットは十分にあるといえるでしょう。

不動産投資で税理士に依頼するデメリット

不動産投資を行うにあたって、税理士に依頼するメリットは大きいものの、税理士に依頼することで、「費用が発生する」ことや、「不動産投資に強い税理士でなければメリットが出ない」といったデメリットもあります。

費用が発生する

税理士に不動産投資の税金におけるさまざまな業務を依頼することで、費用が発生します。税理士に依頼する費用のおおよその相場は以下のとおりです。

・税務相談:初回は無料のところが多い。相談料は相談内容によって価格が異なる。
・確定申告:10万円~20万円程度

年間を通してサポートを受ける「顧問契約」を結ぶと、毎月1万円~5万円程度の顧問料の支払いが発生することに加え、決算書作成費用などは別途料金が加算されるところもあります。

もちろん、依頼するにあたって、顧問契約を結ばなければならないという決まりはありませんので、帳簿作成を自分で行えるのであれば、確定申告のみを依頼する「単発契約」という選択肢もあります。

不動産投資が不得意な税理士だとマイナスに

税理士は税務のプロですが、すべての分野に精通しているわけではありません。相続に強い税理士や企業のみを相手にしている税理士もいます。税理士にも得意な分野や不得意な分野がありますので、不動産投資を得意とする税理士に依頼しないと、不動産投資特有の節税効果をよく知らず、確定申告時に高額な税金を払う結果になる可能性もあります。

また、得意なだけでなく、不動産投資の税務処理の実績が多い税理士を探すことも大切なポイントです。あわせて、相続税や贈与税についても詳しい税理士だとなお安心です。

依頼する税理士は誰でもいいというわけではありません。自分が不動産投資を行ううえで不足している税務知識を持っており、それをきちんと活用でき、さらに不動産投資に対するアドバイスをもらえる税理士を探すようにしましょう。

税理士に依頼したほうが良い人

不動産投資の税務関連業務を税理士に依頼したほうがいい人とは、以下の特徴に当てはまる人です。

節税メリットを最大限にしたい人

不動産投資に関わる税金には、有意義に活用できる節税効果があります。どのように利用すれば、節税効果を最大限に発揮できるかは、プロである税理士の手腕にかかっているといっても過言ではありません。

逆に節税効果を得られることを知らないことで、多くの税金を払う結果にもなりかねません。納税は国民の義務ですが、用意されている節税方法があるなら、最大限使用したいと誰もが思うことでしょう。その思いを確実に叶えるためにも、税理士の存在は重要だといえます。

節税効果は毎年の確定申告だけではなく、相続発生時にも関係します。したがって、相続や贈与も含めた節税対策が確実に行える税理士をパートナーに備えることが、節税メリットを最大限活かすためのポイントです。

本業が多忙な人

税理士に依頼するには費用がかかります。費用をできるだけ抑えるために、毎月の会計処理だけでも自分で行うことを考える人もいるでしょう。もちろん、会計処理を自分で行うことで知識が身についていくことからも、有意義な方法ではありますが、問題はその時間が取れるかどうかです。

本業が忙しく、会計処理を行う時間がないまま確定申告の時期を迎える状態になると、確定申告書を始めとした決算書類を作成することは難しいでしょう。

時間が取れないなら、会計処理を始めとした税務関係すべてを税理士にまかせることで、安心して本業に集中できます。

特に確定申告は、期限を過ぎて申告すると延滞税などのペナルティの対象になることも忘れないようにしておきましょう。

投資規模を拡大したい人

将来的に、不動産投資の規模を拡大したいと思っているなら、収益物件を多く持ち、より多くの賃料収入を得ることを考えるでしょう。不動産投資事業を拡大する際は、新しく収益物件を購入する際に考えなければならない節税対策や、収益物件が増えることによって増加する会計処理業務への対策も考慮しなければなりません。

事業と認められるまで規模が拡大した場合、会計処理を始めとした税務処理を一人で行うのは至難の業です。本業があるなら両立はまず不可能でしょう。

ご自身で業務を抱えて憔悴する前に、プロである税理士に依頼することで、有益な時間も確保でき、規模が拡大して処理業務が多くなったとしても対応できるようになります。

あわせて節税対策も忘れずに行うことが期待できるでしょう。

不動産投資に強い税理士を見つけるには

税理士に業務を依頼するなら、不動産投資に強い税理士に頼みたいものです。実際に不動産投資に強い税理士はどのように探せばいいのでしょうか。

不動産会社・賃貸管理会社に紹介してもらう

不動産会社と提携している税理士を紹介してもらう方法があります。収益物件だけでなく、多様な物件を販売している不動産会社には、提携している税理士がいるケースが多くみられます。信頼できる不動産会社があるなら、税理士の紹介を頼んでみましょう。

もちろん、不動産会社と提携してしているからといって、自分が絶対的な信頼を寄せられるとはかぎりません。きちんと会って話してみて、自分が思い描く不動産投資のスタイルに合っていると感じる税理士をパートナーに選ぶことが大切です。特に今後不動産投資事業を拡大したいと考えているならなおさらです。

もう一つ、付き合いのある賃貸管理会社に紹介してもらう方法もあります。賃貸経営や不動産投資を行う目的やオーナー様のご事情により、おすすめする優先順位や内容も異なるはずです。賃貸管理会社は中立的な存在のため、オーナー目線で不動産投資に強い税理士を紹介してもらえる可能性が高いと言えます。

相性の問題もあるので、じっくりとパートナーを選ぶことをおすすめいたします。

不動産投資の先輩に紹介してもらう

不動産会社や賃貸管理会社からの紹介やセミナーに参加しても、依頼したいと思える税理士が見つからない場合は、同じ不動産投資を行っている仲間や先輩に紹介してもらう方法もあります。

不動産投資に強い税理士を見つけられる可能性が高まりますが、複数の税理士を比較して最終的に自分に合った税理士を選ぶことになるため、決定までに時間や手間がかかることはあらかじめ覚悟しておきましょう。

逆に税理士を選ぶ時間に余裕がある方や、時間をかけてでも信頼できる税理士を選びたいと思う方にはおすすめの方法です。

相続までのサポートを視野に入れているならなおさらでしょう。

ホームページ、YouTubeなどで探す

今では自分で税理士を見つけられるよう、税理士紹介サイトが用意されています。代表的な税理士紹介サイトに、以下のものがあります。

・税理士ドットコム https://www.zeiri4.com/
・税理士紹介エージェント https://www.zeirishi-shoukaicenter.com/
・税理士紹介センター・ビスカス https://www.all-senmonka.jp/

Webサイト以外にもYouTubeで積極的に情報発信をしている税理士もいますので、あわせてチェックしてみることをおすすめします。もちろんサイトやYouTube上だけでは分からないこともありますので、最終的には実際に会って話してから決めることが大切です。

途中で税理士を変えることは可能ですが、前任者からの引継ぎを嫌がる税理士も存在します。できれば最初から信頼できる税理士を選び、その人にずっとまかせる方法を取るほうが安心です。

税金の勉強をすることも必要

税理士に税務関係の業務を依頼したからといって、知識ゼロのままでいいとはいえません。税理士のサポートやアドバイスを受けながら、一緒に税務の知識をつけていくことで、不動産投資家としても成長することにつながります。

税法や不動産業界の動向は日々変化しますので、常に最新の情報を得ながらオーナー様ご自身がどのように賃貸経営や不動産投資を行うかを考えることも大切です。

税理士はあくまでも自分をサポートしてくれる存在だと認識し、不動産投資を行ううえでの最終的な責任者は自分であるという自覚も必要です。一定基準の知識を持ちながら賃貸経営を行っていくことを心掛けると、リスクヘッジや経営判断がスピーディーになり、今よりも楽しく、安全に不動産投資に取り組むことができるでしょう。

まとめ 不動産投資に強い税理士の紹介も【リロの不動産】におまかせ

税理士は賃貸経営における税務関係のパートナーですが、賃貸管理会社も同じです。【リロの不動産・リロの賃貸】はオーナー様の税務相談にも専門家を紹介するなどの対応を行っています。

不動産投資を行うにあたって、賃貸管理会社そして税理士の選定に悩んだ際には、ぜひ【リロの不動産】にお任せください。オーナー様の意向に沿った税理士選びのお手伝いをさせていただきます。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。