家賃値上げの相場はどれくらい?正当な理由と成功事例のポイントを徹底解説
2026.04.05
物価の上昇や建物の維持管理費の増加などを背景に、「そろそろ家賃を見直したい」と考えるオーナー様が増えています。しかし、入居者様の反発や退去リスクを考えると、慎重な対応が必要です。相場を知らずに一方的に通知してしまうと、トラブルに発展するおそれもあるため、正確な知識が欠かせません。
本記事では、家賃値上げの相場目安から、「正当な理由がある」と判断されるケース、そして家賃値上げを成功させるための実践的なポイントまでを徹底解説します。適切な根拠と手順を踏めば、オーナー様の負担を軽減しながら収益性を確保することが可能です。家賃見直しを成功に導くための具体策を一緒に確認していきましょう。
▼この記事の内容
●近年、日本の物価は上昇を続けており、インフレ局面を迎えている。消費者物価指数も不動産価格指数も一貫して上昇を続けており、その流れを受けて賃貸住宅の家賃も緩やかな上昇を続けている。
●家賃値上げが認められる正当な理由として、経済事情が変動した、物件の維持費と税金が増加した、近隣相場と比べて家賃が低い、の3つがある。
●家賃値上げが認められない事例としては、近隣相場を大きく超える値上げ要求、オーナー様の一方的な都合のみの場、家賃増額を禁止する特約の存在、などがある。
●オーナー様にとっての家賃値上げのメリットとしては、敷金・更新料も含め家賃収入が増える、売却する時の価格が上がる、などがあり、デメリットとしては、退去が増える可能性がある、入居者に拒否され、法的手段が必要になるリスク、家賃滞納者が発生する可能性、などがある。
●家賃値上げを成功させるための実践ポイントとしては、値上げの根拠を明確にして交渉する、新規募集時に新家賃を設定する、更新時に家賃値上げを行う
家賃値上げ後は入居者満足度の向上を目指す、などがある。
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目次
日本の物価上昇の現状
2025年現在、日本は物価上昇の傾向にあり、インフレ局面に来ているといえます。まずは、日本の物価上昇の現状を公的な統計から確認していきましょう。
生活全体の物価状況

近年、日本の物価は上昇を続けており、国民の生活に大きな影響を与えています。総務省が公表した「2025年9月分の消費者物価指数(CPI)」によると、2020年を100とした場合、総合指数は112.0、生鮮食品を除く総合指数は111.4、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は110.8と、いずれも前年同月を上回っています。
このデータからも、食品・光熱費・日用品などの生活必需品が広く値上がりしていることが明らかです。
出典:2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)9月分(2025年10月24日公表
特に、エネルギー価格の上昇による電気・ガス・水道料金の負担増や、原材料高騰などにともなう食品の値上げが家計を直撃しており、多くの入居者様が「物価高」を実感しています。このような経済状況下では、家賃に対してもより敏感に反応する傾向が強まります。
オーナー様が家賃の見直しを行う際には、こうした社会的背景や入居者様の生活実感を踏まえた説明が不可欠です。単なる収益確保のためではなく、経済情勢を踏まえた合理的な値上げであることを丁寧に伝えることが、トラブルを避ける第一歩となります。
不動産価格の状況
不動産市場でも価格上昇が続いており、オーナー様の経営環境は年々厳しさを増しています。国土交通省が発表した「不動産価格指数(2025年7月時点)」によると、2010年を100とした場合、住宅地は118.6、戸建て住宅は117.3、マンション(区分所有)は216.4、マンション・アパート(一棟)は171.9と、特にマンション価格の上昇が顕著です。
この背景には、建築資材の高騰、職人不足による人件費上昇、さらには円安や海外投資家の需要増といった複合的な要因があります。
屋根や外壁の修繕費、給排水設備の更新費用、共用部の電気代・清掃費なども上昇傾向にあり、以前と同じ賃料設定では採算が合わなくなるケースも少なくありません。さらに、固定資産税や管理委託費、保険料などの経費も上昇しており、オーナー様の利益を圧迫しています。
家賃の見直しは、「物件価値の維持」や「長期的な経営の安定」を目的とした経営判断として位置づけられます。適正な家賃改定は、建物の品質維持や入居者サービスの継続につながる重要な経営戦略といえるでしょう。
統計から見る賃貸住宅の家賃の値上げ相場
全国的に見ると、賃貸住宅の家賃は緩やかな上昇傾向にあります。背景には、建築資材や人件費の高騰、不動産価格の上昇、物価上昇による管理コストの増加などがあり、オーナー様が家賃を据え置きし続けることが難しくなっている現状があります。
家賃の上昇率は地域によって大きく異なります。LIFULLの「住まいインデックス」によると、東京都の賃貸マンション家賃は直近3年間で約11.60%上昇しており、都心部では物価上昇や再開発による需要増が家賃を押し上げています。
出典:LIFULL HOMEs 住まいインデックス 東京都の賃貸マンション
一方、大阪府では約8.14%の上昇にとどまり、首都圏ほどの上昇スピードではないものの堅調な伸びを見せています。さらに地方都市になると上昇幅はさらに緩やかで、福井県では約2.34%の上昇にとどまっています。
このように、地域経済の活発さや人口動態、再開発の有無などによって家賃動向には明確な差が生じています。全国賃貸管理ビジネス協会の「全国家賃動向」でも、家賃上昇は年間1〜3%程度の範囲で推移しており、「物価や維持費の上昇分を反映した適正な改定」であれば、入居者様にも受け入れられやすい傾向にあるといえるでしょう。
オーナー様としては、自分の物件がある地域の相場データを基に、現実的かつ根拠のある家賃設定を行うことが重要です。
家賃値上げが認められる正当な理由
賃貸物件の家賃値上げは、借地借家法に定められた「正当な理由」が必要であり、契約している入居者様から合意を得る必要があります。「経営が苦しい」といったオーナー様の都合だけでは認められづらく、客観的な合理性が求められます。
ここでは、家賃値上げが認められる可能性が高い正当な理由について、具体的に紹介します。
経済事情が変動した
家賃値上げが認められる代表的な理由の一つが「経済事情の変動」です。これは、物価や賃金、物件の需要と供給など、社会全体の経済状況が契約当時から大きく変化した場合に該当します。
近年のように消費者物価指数(CPI)が上昇し、生活必需品やエネルギー費が高騰している状況では、賃貸経営に必要な諸経費も増加しています。このような経済全体の変化を理由に、家賃の改定を求めることは十分に合理的といえるでしょう。
ただし、過度な値上げや、周辺の家賃相場を無視した一方的な改定は、入居者様からの拒否や紛争の原因となりかねません。そのため、総務省や日銀が公表する物価統計、不動産業界の家賃動向データなどを根拠として提示し、「社会情勢の変化に応じた妥当な改定」であることを説明するのが重要です。
物件の維持費と税金が増加した

物件の維持管理費や税負担の増加も、家賃値上げが正当とされる代表的な理由です。
近年は、建築資材や修繕費の高騰に加え、人件費や管理委託費の上昇が続いています。外壁・屋根の修繕、給排水設備の交換、エレベーターや防犯カメラの更新など、老朽化対策にかかる費用は年々増加傾向にあります。
これに加え、地価の上昇にともなう固定資産税や都市計画税の増加、火災保険料の改定など、オーナー様にとっての経営コストは無視できない水準に達しています。
こうした費用増はオーナー様の努力だけで補うのは難しく、適正な家賃改定によってバランスを取ることが必要となるケースも少なくないでしょう。
法律上も、賃貸借契約の当初想定を超える維持費や税負担の上昇は「正当な家賃見直し理由」として認められやすいとされています。家賃値上げを入居者様に伝える際は、実際の支出明細や見積もりなどの具体的な資料を提示し、「費用上昇の実態に基づく合理的な改定」であることを丁寧に説明することが大切です。
近隣相場と比べて家賃が低い
同じ地域内で類似条件の物件と比較し、自分の物件の家賃が明らかに低い場合も、値上げが認められる正当な理由となります。
築年数・間取り・立地・設備がほぼ同等の周辺物件と比べて、家賃が相場より低い場合、賃料の改定を申し出ることは合理的といえます。リフォームや設備更新によって物件の価値が上がった場合は、近隣相場に合わせて家賃を見直すことが望ましいでしょう。
入居者様に対しては「近隣と比べて不当に高い値上げではない」ことを説明し、納得感を得る工夫が求められます。地域別・駅別の平均家賃を住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)などで確認し、客観的な相場データを示す根拠として活用しましょう。
家賃値上げが認められない事例
現在運用している賃貸物件の家賃を上げるためには、契約者である入居者様から合意を得る必要があります。そのため、残念ながらすべてのケースで家賃の値上げが認められるわけではありません。家賃値上げが認められない可能性がある事例についても理解しておきましょう。
近隣相場を大きく超える値上げ要求

家賃の値上げは、客観的な合理性がある場合にのみ認められます。そのため、周辺の相場を大きく上回るような一方的な値上げ要求は、「正当な理由がない」と判断され、入居者様から反対される可能性が高いでしょう。
例えば、同じ地域・同等の築年数や設備を持つ物件の家賃が平均8万円前後であるにもかかわらず、10万円に引き上げるといったケースは、入居者様の生活実態や市場価格との乖離が大きいと見なされます。裁判で争われた場合、認められにくい傾向にあるでしょう。
不動産の賃料は「地域相場に照らして適正であるか」が重視されるため、オーナー様の判断だけで設定するのではなく、住宅情報サイトなどで同条件の物件をリサーチしておきます。
根拠のない大幅な値上げは入居者様の不信感を招きやすく、退去や紛争に発展するリスクがあるため避けるべきです。
オーナー様の一方的な都合のみの場合
オーナー様の個人的な事情や経営上の都合だけを理由に家賃を上げることは、法律上の「正当な理由」としては認められません。
「収益を増やしたい」「ローン返済が厳しくなった」といった理由での値上げは、入居者様に負担を強いる形となり、トラブルにつながるでしょう。賃貸借契約は双方の合意のもとで成り立つものであり、オーナー様側の都合のみでの条件変更は認められません。
経費が増加していても、それが社会経済情勢や物件価値の変化など「客観的な理由」に裏付けられていなければ、法的に認められません。家賃改定を行う際は、物価上昇や維持費の増加など、第三者にも理解できる根拠の提示が大切です。感情的・主観的な判断による値上げは避け、透明性を意識した対応を心がけましょう。
家賃増額を禁止する特約の存在
賃貸借契約書に「契約期間中は家賃を変更しない」といった家賃増額を禁止する特約が記載されている場合、原則として値上げを行うことはできません。
このような特約は、借主の安定した住環境を守るために設けられていることがあり、オーナー様の都合で一方的に変更することは契約違反となります。特に定期借家契約では、契約期間満了までは家賃を固定する内容になっていることが多く、途中での増額請求は法的に無効とされるケースが一般的です。
値上げを検討する際は、まず契約書を確認し、特約条項の有無を把握したうえで進めることが重要です。また、仮に特約がなくても、「契約当初に一定期間は家賃を据え置く」といった口頭での取り決めがあった場合、入居者様との信頼関係を損ねるリスクがあるため注意しましょう。
契約内容を軽視した強行な改定は、信頼を損なうだけでなく、法的トラブルにも発展しかねないため避けましょう。
オーナー様にとっての家賃値上げのメリット
家賃値上げは、正当な理由を持って入居者様とのトラブルを避けつつ行えば、オーナー様にとって大きなメリットがあります。ここでは、単純に賃料収入が増えること以外の家賃値上げのメリットを紹介します。
家賃収入上昇については、以下の関連記事もご参照ください。
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更新料も含め家賃収入が増える
家賃を適正に引き上げることは、単に毎月の家賃収入が増えるだけでなく、更新料などの収入の増加にもつながります。
更新料は多くの場合、家賃額を基準に算出されるため、家賃値上げが少額でも、長期的には大きな収益効果を生み出すことになります。1戸あたり月額5,000円の値上げを行った場合、更新料2ヶ月であれば1万円のプラスになり、経営の安定に寄与するでしょう。
長期的に見て賃貸経営全体のキャッシュフローが改善し、修繕費や設備更新費用を計画的にまかなう余裕も生まれるはずです。
売却する時の価格が上がる
家賃の水準は、物件の売却価格を決定づける重要な要素の一つです。投資用不動産の市場では、購入希望者が「どれだけの家賃収入を得られるか」を基準に利回りを算出し、その結果として売却価格が決まります。したがって、家賃が上がれば想定利回りが改善し、結果的に物件価格が上昇するのです。
適切な家賃水準は「物件管理が行き届いている証拠」として市場からも好評価を受けやすく、売却時に買い手の信頼を得る要因にもなるでしょう。逆に、家賃を長期間据え置いたままだと、物件の稼働率が高くても利回りが低く見え、結果的に評価額が下がってしまうこともあります。
家賃改定は、将来的な出口戦略を見据えた資産価値向上のための重要な経営判断といえるでしょう。
オーナー様にとっての家賃値上げのリスク
家賃の値上げは、家賃収入や売却価格の上昇につながりますが、一方でデメリットやリスクも見逃せません。ここでは、家賃値上げをした際のオーナー様にとってのリスクを解説します。
退去が増える可能性がある
家賃を引き上げる際にまず懸念すべきは、入居者様の退去増加です。
値上げ後に「家計の負担が大きくなった」と感じる入居者様が他の物件への住み替えを検討するケースは少なくありません。近隣に同条件でより安価な物件がある場合、比較されやすく、退去につながるリスクが高まります。入居者様が退去すれば、次の入居者様が決まるまでの空室期間中は家賃収入が途絶えるうえ、原状回復費や募集広告費、仲介手数料など新たなコストも発生します。
結果として、一時的に家賃収入を増やしたつもりでも、長期的には総収益が減少するリスクを抱えることになります。そのため、値上げを検討する際は相場との乖離がないか慎重に見極めることが重要です。
値上げの目的や必要性を丁寧に説明し、「設備更新や共用部の改善に活用する」など、入居者様のメリットにつながる内容を伝えることで、理解を得られる可能性が高まるでしょう。
家賃値上げについて入居者様と交渉する際は、単なる金額交渉という考え方を持つのではなく、「信頼を損なわずに納得感を生むコミュニケーション」を意識することが大切です。
入居者に拒否され、法的手段が必要になるリスク
家賃値上げは、入居者様の同意が得られなければ成立しません。もし入居者様が改定に応じない場合、オーナー様は最終的に裁判や調停などの法的手段を検討せざるを得なくなるケースもあります。
民法や借地借家法では「経済事情の変動」「近隣相場との乖離」など合理的な根拠があれば、増額請求をすること自体は認められていますが、その妥当性を証明する責任はオーナー様側にあります。
そのため、法的手続きを進める際には、相場資料や修繕費の上昇記録、税金や管理費の増加を裏付ける客観的データが不可欠です。訴訟に発展すれば、時間と費用がかかるうえ、入居者との関係も悪化し、結果的に退去や評判の低下につながるリスクもあるでしょう。
法的手段を取ったからといって必ずしも値上げが認められるとは限らず、裁判所の判断によっては一部のみの増額や現状維持になる場合もあります。したがって、まずは誠実な話し合いを重ね、双方が納得できる形で合意を目指すことが現実的な解決策といえるでしょう。
家賃滞納者が発生する可能性がある

家賃の値上げは、家計に余裕のない入居者様にとって負担となるため、支払いの滞納が発生するリスクがあります。単身者や高齢者、非正規雇用の入居者が多い物件では、わずかな金額の上昇でも滞納者が増える可能性があるでしょう。
家賃の滞納が発生すると、督促や催告の手間が増え、精神的にも負担がかかります。滞納期間が長引くと、法的手続きを経て契約解除や明け渡しを求めなければならず、時間的・金銭的コストがさらに膨らんでしまいます。
このようなトラブルを防ぐには、値上げを行う前に入居者層の属性や支払い能力を把握し、慎重に判断することが重要です。例えば、段階的に値上げを実施したり、改定時期を柔軟に設定したりすることで、負担感を軽減できるでしょう。
家賃の適正化は重要ですが、無理な改定で滞納を招いてしまえば本末転倒ともいえます。入居者様の状況に配慮しながら、安定した賃貸経営を維持できるバランスを探ることが大切です。
家賃値上げを検討する前に確認すべきポイント
賃貸物件の家賃値上げは、オーナー様にとって直接的な収入増加のメリットがある一方で、いくつかリスクもあります。そこで、家賃値上げを検討する際には以下のポイントを確認して、慎重に判断しましょう。
周辺相場との比較調査
家賃値上げを検討する際、まず行うべきなのは周辺相場の調査です。物件の立地や築年数、間取り、設備が類似した近隣物件の家賃を比較し、現状の自分の物件が相場より高いのか、低いのかを正確に把握することが重要です。相場の調査を怠ると、家賃値上げをした際に入居者様から不満を持たれたり、退去リスクを高めたりするおそれがあります。
具体的には、住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)を活用し、同じ地域・築年帯・平米数で条件を揃えて比較します。さらに、駅距離や設備グレード(オートロック・宅配ボックス・浴室乾燥機など)も考慮し、相場と照らし合わせて「妥当な改定幅」を見極めましょう。
近隣相場と整合性のある改定は入居者様にも受け入れられやすく、法的にも「正当な理由」として認められやすくなります。相場データに基づいた根拠を示すことで、値上げ交渉を円滑に進められ、トラブルの未然防止にもつながるのです。
入居者属性の分析
家賃値上げの可否を判断するうえで、入居者様の属性分析は欠かせません。入居者様の年齢層、職業、家族構成、収入水準などによって、家賃値上げへの耐性や受け止め方が大きく異なるためです。
家族連れで暮らしている世帯や、公務員など安定した収入層が中心となっている物件であれば、一定の値上げは受け入れられる可能性があります。一方で、学生や非正規雇用者、高齢者世帯が多い場合、わずかな値上げでも退去や滞納につながるリスクが高まるでしょう。
入居者心理を理解した上での慎重な判断が、長期的な経営安定につながります。
物件の状態チェック
家賃を上げるためには、まず物件の現状が値上げ後の家賃に見合う状態かを確認することが不可欠です。
築年数が経過し、内装や設備が劣化している場合、入居者様は値上げを受け入れにくくなります。逆に、定期的なメンテナンスが行き届き、清潔感や快適性が保たれていれば、入居者様も「この家賃なら納得できる」と感じやすくなるはずです。
外壁や共用部の劣化、給排水設備やエアコンなどの不具合などを漏らさず点検しましょう。セキュリティ設備やインターネット環境といった現代的なニーズへの対応も重要です。
仮に古い設備が残っている場合は、値上げと同時に部分的な改修やリフォームを実施することで、入居者様の満足度を高めつつ納得を得やすくなります。家賃は物件価値の反映であり、建物状態の改善なくして持続的な家賃上昇は難しいものです。オーナー様は、家賃見直しの前に「物件価値の再点検」を行い、必要なメンテナンスを同時に計画することが望まれます。
家賃値上げを成功させるための実践ポイント
家賃を改訂する際は、値上げが正当であるという根拠を示したうえで、入居者様から合意を得る必要があります。ここでは、家賃値上げを成功させるための実践ポイントを紹介します。
ちょっとしたアクセントが効果てきめん!プチリフォームで賃料アップ

投資用の分譲マンションをお持ちのオーナー様から、「空室がなかなか埋まらず、このままでは家賃を下げるしかないのだろうか」というご相談をいただきました。
築年数の経過とともに家賃は下がり傾向。しかし、安易に家賃を下げると入居者様の質が落ちてしまうのではないか。そんな不安を抱いていました。
そこで、まず「部屋の価値をどう再定義するか」を一緒に整理しました。対象のお部屋は1階、さらに「渋谷まで自転車で10分」という好立地。この条件を活かし、ターゲットを「自転車通勤をするおしゃれな社会人男性」に絞る戦略を立てました。
・リフォームは低予算ながらも効果が出るポイントに集中。
・グレー基調の大理石風クッションフロア
・アクセントクロス
・ダウンライト
・キッチンのダイノックシート仕上げ
大掛かりな工事はあえて行わず、「低コストで魅せる部屋づくり」を徹底しました。建物の外観が古くても、立地と室内イメージの組み合わせでターゲットの理想の暮らしを感じられる部屋に仕上げることができました。
リフォーム完成後、家賃は 55,000円 から60,000円 へアップし、短期間でターゲット通りの社会人男性が入居を決定しました。
「家賃を下げずに入居者様を確保できた」と、オーナー様にも大変ご満足いただける結果となりました。
家賃アップのその他の改善事例については、以下をご参照ください。
■収益物件の家賃値上げ・賃料アップ事例
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値上げの根拠を明確にして交渉する
家賃値上げを成功させるためには、まず「なぜ値上げが必要なのか」その根拠を明確に示すことが不可欠です。
入居者様にとって、そもそも「家賃が上がる」という事実自体が受け入れ難いものであるため、合理的な理由が提示されてはじめて理解を得られます。物価上昇や光熱費・修繕費の増加、固定資産税の上昇、近隣相場との乖離など、具体的なデータを根拠として提示すると説得力が高まるでしょう。
総務省が発表している消費者物価指数や、国土交通省が発表している地価公示のデータなど、公的な統計資料はより強力な根拠となるでしょう。
交渉時は「一方的な通告」ではなく、誠実な説明と対話の姿勢が重要です。文書で通知するだけでなく、直接話し合いの機会を設け、値上げの背景や今後の建物維持計画を丁寧に説明するのがベターです。
根拠を示した誠実な説明こそが、スムーズな合意形成への近道となります。
新規募集時に新家賃を設定する

家賃改定はタイミングも重要です。新規入居者募集時に新家賃を設定すれば、既存の入居者様との交渉や合意を経る必要がなく、募集時点で新家賃を設定できるため、トラブルのリスクを抑えられます。
退去が発生したタイミングは、物件の清掃や修繕を行ういい機会でもあります。リフォームや設備更新を実施したうえで相場に見合った新家賃を設定すれば、未来の入居者様にとっても納得感のある賃料にできるでしょう。
更新時に家賃値上げを行う
家賃値上げの実施タイミングとしては、契約更新時も一般的です。更新は多くの場合2年ごとに訪れるため、入居者様が住み慣れたタイミングであり、退去よりも更新を選ぶケースが多い傾向にあります。したがって、更新時に適切な理由を提示すれば、比較的スムーズに値上げを受け入れてもらえる可能性があります。
更新時の値上げは法的にも妥当性が認められやすく、手続きも比較的簡便です。長期的な収益性を確保するうえで、現実的な家賃改定の機会といえるでしょう。
家賃値上げ後は入居者満足度の向上を目指す

家賃を上げた後は、入居者様が「値上げしても住み続けたい」と感じる環境づくりが重要です。値上げを実施した直後は、入居者様の不満や不安が高まりやすいため、アフターフォローを徹底することが信頼維持の鍵となります。具体的には、共用部の清掃強化や設備点検の頻度を上げるなど、日常的な管理品質を高めることが効果的です。
季節ごとの挨拶文や掲示物など、入居者様とのコミュニケーションを丁寧に行うことで、安心感や信頼感を醸成できます。「自分たちの声を聞いてくれている」と実感してもらえれば、満足度は大きく向上するはずです。
家賃値上げはゴールではなく、その後の価値提供がともなってはじめて成功といえます。オーナー様が積極的に物件価値の維持・向上に努めることで、長期入居につながり、結果的に安定した経営を実現できるはずです。
まとめ

近年の物価上昇や不動産価格の高騰を背景に、家賃の見直しは多くのオーナー様にとって避けて通れない課題となっています。
しかし、家賃値上げを成功させるには「家賃相場」「正当な理由」「通知・交渉方法」の3点に注意しなくてはいけません。周辺相場を踏まえた適正な改定幅を設定し、経済事情や維持費上昇といった合理的な根拠を明示しながら、入居者様に誠実に説明することが重要です。
無理な値上げや一方的な通告は退去やトラブルにつながるおそれがあるため、慎重な対応が求められます。
以上のようなリスクを防ぎ、円滑に家賃改定を進めるには、信頼できる賃貸管理会社への依頼が確実です。データドリブンに地域相場を把握し、豊富な仲介実績を誇る【リロの不動産】なら、オーナー様の収益改善と入居者満足の両立を実現可能です。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。
