家賃収入は副業収入なの? 節税しながら賃料を得る不動産投資とは

2023.04.19

会社員や公務員として本業がある方でも、相続でマンションやアパートなどの収益物件を取得することがあります。また、突然の転勤でマイホームを離れることになり、借家として貸し出して家賃収入を得るケースもあり得ます。

ただ、公務員であったり、副業禁止の会社に勤めている方の場合、家賃収入が副業に該当するのかどうか、心配になることがあるのではないでしょうか。この記事では家賃収入と副業について、副業を取り巻く状況も交えて詳しく解説します。

家賃収入は副業になるのか

そもそも家賃収入が副業に該当するかについては、一概に断言できません。勤務している会社によって、副業をどう規定しているかが異なるからです。

会社の就業規則を確認する

副業の捉えかたについては、会社によって見解が異なります。副業を認める、認めないの判断も会社次第であるため、まずは会社の就業規則を確認しましょう。会社が副業を認めていれば問題はありません。

そもそも副業を持つこと自体は法律などで禁止されているわけではなく、あくまでも会社がそれぞれ基準を決め、就業規則で定めているに過ぎないからです。何をもって副業とするのかは各社の考え方によります。

副業を一切認めていないところもあれば、一定の規模までなら認めているところもあります。副業が認められていたとしても、実際に行う場合に申請する必要があるのかどうかも、確認しておかなければならないでしょう。

就業規則を確認しても判断がつなかいようならば、自分が行おうとしている内容が副業にあたるのかどうか、どのくらいの規模ならば大丈夫なのかなど、あらかじめ会社に相談してください。特に公務員や金融機関などは、副業に関しての規定が厳しいケースが多いため要注意です。

家賃収入は副業に当たらないケースが多い

結論からいうと、不動産投資によって得る家賃収入は副業には当たらないとする会社が多い傾向です。企業が副業を禁止する理由には、安全配慮義務や秘密保持義務、競業避止義務などが根幹にあると考えられます。会社は社員が安全かつ健康に働けるよう配慮する義務を負っています。

しかし、社員が副業を行うことで本業に影響をおよぼす事態になった場合、本人だけの問題にとどまらず、会社やほかの社員の安全が図れない状況にもなりかねません。

また、会社にとって自社が持つノウハウなどが外部に漏れることは大きな問題です。特に業務に関連する副業は情報漏洩のリスクが高く、意識していなくても起こる可能性があります。そのため経営側の判断として、副業の禁止はリスクを回避するための方法として妥当です。会社の不利益になる行為を行わないようにするために、就業規則で競業避止義務を定めている場合もあります。

不動産投資や賃貸経営については、これらの義務には該当しないとするところがほとんどです。ただし、本業に支障がでることを考慮して事業規模を問題にする会社もあります。就業規則だけでは判断が難しい場合、会社の法務部門に問い合わせてみるといいでしょう。

社会で進む副業解禁の流れ

これまでは副業を禁止している企業が多かったのですが、現在では副業解禁の流れが強くなってきています。次に、副業解禁が進んでいる理由と公務員の副業について解説します。

働き方改革の一環として

副業解禁を後押ししている理由のひとつが働き方改革です。2018年に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立し、政府はさまざまな取り組みを進めています。その一環として推進しているのが副業の解禁です。

厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、2022年には改訂版が発表されました。ガイドラインでは副業・兼業促進の方向性や企業の対応、労働者の対応などが示されています。労働者が副業を通じてスキルや経験を得ることで、主体的にキャリアを形成できるとされている点がポイントのひとつです。

労働者にとっては離職せずに副業ができることで、経済的なリスクを負わずにやりたいことにチャレンジできるメリットがあります。副業することで新たな知識を得たり、スキルを磨いたりできれば、キャリアの幅も広がるでしょう。

会社側にとっても社員が辞めてしまうことを防ぎ、定着率をアップさせられるなど、労働力の確保にも有効です。副業・兼業で得た知識やスキルが本業に還元されれば、会社にとってもプラスになります。実際に副業・兼業する際は留意する点があるものの、基本的に会社は副業・兼業を認める方向が適当だとされているのがポイントです。

憲法は職業選択の自由を保障している

従来は多くの企業が副業や兼業を禁止してきましたが、憲法で社員の副業が認められていることが副業解禁の根拠のひとつになります。日本国憲法の第22条1項では「何人も、公共の福祉に反しないかぎり、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と謳われています。

日本国憲法で職業を自由に選択することが保障されているということは、副業を持って複数の職業に就くことも基本的に認められるべきということです。実際に、副業は法律で禁止されているわけではありません。

一般的に副業が禁止されているのは、あくまでも安全配慮義務や秘密保持義務、競業避止義務などを理由として、会社が独自に就業規則で定めているだけです。憲法の解釈によれば、就業時間外などで本業に支障をきたさないのであれば、副業を行うのは個人の自由です。

ただ、会社側にとっても社員が副業をすることでリスクになるようなことは避けなければならないため、これまでは就業規則で副業に関して禁止とするところが少なくありませんでした。

働き方改革の推進もあり、徐々に社員の副業を認める会社が増えています。ただし、後述するように公務員は民間企業とは違い、副業や兼業に関しては法律で一定の制限があります。

公務員は法律上の制限がある

民間企業に勤務する会社員の場合は、憲法で職業選択の自由が認められています。しかし、公務員は国家公務員法や地方公務員法によって副業には法律上の制限があるため、家賃収入を得るような不動産投資を行う際は注意が必要です。

国や地方自治体の職務は国民や住民の信頼があってこそ成り立つものであることから、公務員には守秘義務や職務に専念する義務、私企業からの隔離などが法律で規定されています。それらの法律を根拠に、公務員の副業には制限があります。

人事院規則14-8によると、不動産の賃貸に関しては5棟10室以上、独立家屋以外の建物では居室数が10室以上、家賃収入の年間金額が500万円以上ある場合は営利を主目的とした副業と判断されます。言い換えれば、4棟9室まで、家賃収入の年間金額が500万円未満なら、公務員でも家賃収入を得ることが可能です。

規模が大きいケースでも、収益物件を相続した場合や転勤などでやむを得ず自宅を賃貸に出す場合などは、申請すれば認められるケースがあります。

会社に副業が発覚する原因

就業規則で副業が禁止されている会社に勤めていても、どうしても副業をしたいのであれば、会社に内緒で副業を行うことになります。会社に副業が発覚する原因は、おおよそ以下の3点になります。

住民税の通知

所得税を源泉徴収されている給与所得者の場合、多くは住民税も会社で天引きされています。源泉徴収された所得税は税務署に、天引きされた住民税は市区町村に、会社がそれぞれ納めているため、会社員は自分で手続きをする必要がありません。

住民税の税額は前年の所得の額によって決まります。副業によって所得が増えれば住民税も高くなるため、結果的に会社側に発覚するきっかけになります。不審に思った経理担当者などに事情を聞かれることもあり得るでしょう。

住民税の徴収方法には、会社で天引きされる「特別徴収」以外に「普通徴収」という方法もあります。普通徴収では、市区町村が発行する納付通知書にしたがって自分で住民税を納付することになります。納付のタイミングは年4回となります。

住民税の納付方法を普通徴収に変更することで、住民税の金額が変わっても会社には知られないことになります。変更方法は、確定申告時に「主給与以外の所得を普通徴収で支払う」の欄にチェックを入れるだけです。

ただし、給与所得者は特別徴収が一般的なため、市町村のほうで点検漏れが発生することもありえます。念のため、市町村の担当部署に電話を入れておくと完璧です。

確定申告をしなかった

副業によって本業とは別に所得を得ながら確定申告をしないでいると、税務署から勤務先に問い合わせが入ることもあります。会社員の場合は、年間で20万円を超える所得があれば、確定申告をしなければなりません。

無申告のまま追徴課税にも応じないでいると会社に連絡がいき、副業が発覚することがあります。もし、就業規則で副業を禁止している会社ならば、降格処分や減給、訓戒などの処分が下される可能性があります。

大前提として、一定の所得を得ているならば、適正な納税を行うことは国民の義務となります。副業の収入が発覚するのを恐れて、申告しないのは法律違反になる可能性もあります。万が一、申告漏れが発生する場合は追徴課税が課されるなど、法的にもペナルティを負うことになりかねません。

なお、確定申告が必要になる所得20万円を超える金額とは、家賃収入などの売上から物件の運営に関わる減価償却費や固定資産税などの経費を差し引いた金額です。例えば、家賃収入が23万円あったとしても、かかった費用が5万円なら差し引きは18万円になります。この場合は20万円以下にとどまっているため、確定申告の必要はありません。

副業を同僚・上司などに話した

実は意外と多いのが、副業していることを同僚や上司などに話したことで発覚するケースです。賃貸経営が軌道に乗って家賃収入が増えてくると、嬉しくなったり気持ちが大きくなったりして、つい周囲の人間に自慢してしまうことがあります。

話を聞いているときは和やかに会話を楽しんでいるように見えても、実は自慢話を不愉快に思っているかもしれません。思わぬ妬みから告げ口をされて発覚することもあるため、信頼している相手であっても簡単に話さないほうがいいでしょう。

また、直接話した相手は内緒にしてくれていたとしても、実は近くで偶然耳にしてしまった人が噂を広めてしまう可能性も捨てきれません。「人の口に戸は立てられぬ」という言葉があるように、一度広まってしまった噂が予期しない事態を招くことも考えられます。

近年ではSNSへの投稿も注意が必要なところです。匿名ならば大丈夫だろうと考えるかもしれませんが、油断していると身元が発覚することもあります。就業規則に違反しない範囲で副業をするのであれば問題ありませんが、そうではない場合は副業を行っていることを話すのは避けておきましょう。

不動産収入は副収入として最適

不動産の運用で得た収入は、本業を持っている方の副収入として最適です。その理由として主に以下の3つが挙げられます。

安定した収入を得られる

賃貸経営が軌道に乗れば、長期にわたって安定的に家賃収入を得られます。本業とは別の収入源を確保しておくことで、何か想定外のことが起こったときのためにも備えられるでしょう。

同じ不動産投資でもオフィスビルなどのような事業系の物件の場合は、景気の影響を受けやすく、テナントとして入居している企業の経営判断によって短期での撤退は日常茶飯事といえます。また、一度空室が発生すると、長期間埋まらないという状況も珍しくありません。

一方で、アパートやマンションなど住居系の物件は景気に左右されることが少なく、比較的安定した経営が可能です。入居者様にとっては生活の基盤となる場所であるため、劇的に外部環境が変わらないかぎり短期間で退去することはありません。入居者様の入れ替わりで短期間空室が発生することはありますが、堅実に経営を行っていれば継続して家賃が入ってきます。

融資が有利になる可能性

自己資金のみで不動産投資を行う方もいますが、大きなお金が動く不動産投資は金融機関からの融資を活用して行うのがスタンダードな手法になります。不動産を購入する際に、マイホームを購入するときに利用する住宅ローンではなく、不動産投資の場合は不動産投資ローン(アパートローン)という事業用のローンに申し込むことになります。

融資する側の金融機関にとっては、融資した金額分が滞りなく回収できるかどうかが大事なポイントになります。ローン返済の原資が賃貸経営の収益に関わってくるため、物件の資産価値や収益性も審査の対象になります。

事業用ローンである不動産投資ローンは住宅ローンに比べて審査項目が多く、住宅ローンに比べると審査のハードルは高いのが特徴です。賃貸経営の収益性以外にも、年収や資産、勤務先や勤続年数など、本人の属性も重視されます。

安定した職業に就いている会社員や公務員が不動産投資を行う場合、金融機関の属性評価が高くなる可能性があります。年収が高い、保有する金融資産がある、上場企業に勤めているなどの条件があれば、融資の審査が有利に働く可能性が高くなります。

賃貸管理会社に委託することで本業に支障はない

副業を行ううえで、本業への支障を心配している方もいるでしょう。確かに、所有している物件の管理を自ら行おうとすれば、かなりの労力がかかります。

例えば、設備に不具合が発生すれば、修理の手配などを行う必要があります。入居者様とも連絡を取り、作業できる日程の調整もしなければなりません。空室が出た際の募集業務は、ノウハウがなければ新たな入居者様を見つけるのが難しい可能性があります。家賃の滞納が発生したときの督促も、適切な対応をしなければトラブルになることもあり得ます。

公務員の場合は、自分で所有している物件といえども、自主管理をすると職務専念義務違反になります。

手間のかかる管理業務を信頼できる賃貸管理会社に委託すれば、本業に支障をきたすことなく不動産投資が可能です。管理手数料はかかるものの、ノウハウを持ったプロに任せることで適切に管理でき、賃貸経営や不動産投資のリスク対策を任せられるのは大きなメリットと言えます。

節税を行いながら資産形成ができる

高所得の方は毎年納める税金も高額になるため、不動産投資による節税が可能です。副業として賃貸経営を行っている方の場合、会社員ならば給与所得、自分で事業を行っている方ならば事業所得など、本業による収入があるでしょう。

不動産投資で得た所得は、給与所得や事業所得など他の所得と損益通算できます。もし、賃貸経営で赤字が出た場合は本業の所得から赤字分を差し引けるため、所得税の圧縮が可能です。

特に物件を購入した初年度はさまざまな初期費用がかかります。また、減価償却を計上している間も帳簿上赤字になるケースが多く、節税の効果が期待できます。減価償却は不動産のように何年も使用でき、かつ高価なものを購入した際、何年かに分けて費用計上する仕組みです。

減価償却費は帳簿上、費用として計上されますが、実際にお金が出ていくわけではありません。帳簿上は赤字になっていても実際には手元に残る分があるため、節税しながら資産形成できるのが魅力です。

まとめ

家賃収入は多くのケースで副業に当たらないとされています。不動産投資は会社で認められている場合や、公務員が規定の制限内で行う場合、副収入を得る方法として最適です。ただし、賃貸経営を成功させて安定した副収入を得るためには、信頼できる賃貸管理会社の経営サポートを受けることが重要です。

【リロの不動産】では原状回復工事や日常的な建物の清掃・設備のメンテナンス、入居者様のサポートや空室対策、資産活用や節税対策、相続対策に至るまで、賃貸経営をトータルでサポートしています。本業に支障を出さず、適切に賃貸経営を行うためにも、【リロの不動産】におまかせください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。