アパート経営を成功させるには?メリット・リスク・費用・収益改善のポイントを解説
2026.09.28
これからアパート経営や賃貸経営を始めたいとお考えの方やアパート経営にまだ慣れていない方の中には、「アパート経営にどのようなメリットやリスクがあるのかよくわからない」、「どんな人に向いているのだろう」といった疑問や不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
この記事ではそのような方へ向けて、アパート経営とほかの不動産経営の違い、アパート経営のメリットやリスク、アパート経営に向いている方の特徴などを解説します。
▼この記事の内容
● アパート経営とは、アパートを購入して、賃貸用物件として他人に貸し出し、家賃収入を得るビジネスのこと
● アパート経営のメリットは主に7つ!①不労所得と定年後の生活資金の確保 ②生命保険代わりになる ③所得税・相続税の節税効果 ④高いレバレッジ効果 ⑤景気に左右されにくい ⑥家族に資産を残せる ⑦売却益を得られる
● 一方、空室や入居者トラブル、家賃滞納、老朽化、自然災害などのリスクも
● アパート経営の成功の秘訣は、①賃貸経営を行う目的・目標の明確化と長期的な視点 ②購入前の入念な下調べ ③アパート経営のリスクを理解する ④バランスのいい空室対策 ⑤信頼できるパートナー探し
アパート経営とほかの不動産経営との違いは?

アパート経営は、収益物件であるアパートを運用して家賃収入を得る、不動産賃貸経営の代表的な手法です。一口に不動産経営と言っても、一棟マンション経営や区分マンション経営、戸建て賃貸経営といった選択肢があり、それぞれに必要な資金や収益性、リスクの性質が異なります。
ここではアパート経営の基礎知識を押さえつつ、ほかの不動産経営との違いを整理しましょう。
収益物件(アパート経営)の基礎知識
アパート経営とは、大家業、不動産賃貸業のことで、アパートを購入して、賃貸用物件として他人に貸し出し、家賃収入を得る、賃貸経営を行うビジネスです。長期的な資産収入が期待できるため、老後の資金不足を補う資産収入目的で始められる方が多く、相続税や所得税の節税にも有効な資産形成の手段です。
アパート経営は融資を利用してレバレッジを利かせることができる数少ない投資の一つです。レバレッジとは「てこの原理」を意味する言葉で、資産運用では小さな投資で大きな資産を得るという意味で使われます。収益性の高い物件や個人の属性により金融機関などから融資を利用できるのは大きなポイントです。
運用中の入居者募集活動や契約を行う仲介業務などの空室対策や、入居者様や建物の管理は賃貸管理会社に委託するケースが主流です。これにより、大きな手間をかけることなくアパート経営を行う不動産オーナー様が多くいます。
賃貸経営に関わる煩雑な業務を信頼して任せることができる優秀なパートナーが見つかれば、自分の手間を省きつつ、安定した賃貸経営を実現させることができるでしょう。
アパート経営と一棟マンション経営との違い

一棟マンション経営とは、マンションを建物ごと購入または新築して賃貸する手法です。一棟の収益物件を丸ごと運用する点はアパート経営と変わりません。マンションとアパートの違いに法的な定めはありませんが、一般的には、木造や軽量鉄骨造で2階建てまでの建物をアパート、RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の3階建て以上の建物をマンションと呼び分けています。
一棟マンションは、アパートに比べて戸数が多く建物の規模も大きいため、資産規模も大きくなります。また、建物構造が異なるので、減価償却期間のベースとなる法定耐用年数も異なります。具体的には、木造アパートの法定耐用年数は22年、RC造のマンションの法定耐用年数は47年。新築では実に2倍以上の差があることになります。
耐用年数の長いRC造・SRC造の一棟マンションは、長期所有が前提です。長年かけて家賃収入を積み上げることができるほか、立地や維持管理次第では資産価値の向上も見込めるでしょう。
一方で、物件価格が数億円規模になることも珍しくなく、融資のハードルは高めです。金融機関の審査において、物件の担保価値の面ではプラスに働くものの、年収や保有資産といった投資家本人の属性にも高いレベルが求められます。初期投資を抑えて一棟経営を始めたい方にとっては、アパート経営のほうが現実的でしょう。
アパート経営とマンション経営の違いについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
アパート経営とマンション経営の違いとは? メリット・リスクと投資戦略
一棟アパート購入から始める不動産投資!成功者が確認する指標と利回りも解説
アパート経営と区分マンション経営の違い
区分マンション経営とは、区分マンションの1室を購入して第三者へ賃貸し、家賃収入を得る不動産投資のことです。投資対象となる部屋はワンルームタイプが中心のため、「ワンルームマンション投資」とも呼ばれます。新築・中古のどちらでも始めることができ、中古であれば数百万円台から購入できる物件も少なくありません。
区分マンション経営のメリットは、少ない資金でも始めやすいこと。マンションなので担保価値も評価されやすく、金融機関の融資が比較的下りやすいというメリットもあります。加えて、専有部分のみを管理すればいいので、オーナー様の管理にかかる手間も少なくて済みます。
その反面、一棟所有に比べると資産規模は圧倒的に小さく、利回りも低めになりがちです。また、1室だけの所有だと、空室になった途端に家賃収入がゼロになってしまうというリスクもあります。複数の部屋から家賃収入を得られるアパート経営に比べ、リスク分散がしにくいといえるでしょう。
区分マンションの購入・売却については、以下の事例が参考になります。あわせてご参照ください。
アパート経営と戸建て賃貸経営の違い
戸建て賃貸経営とは、戸建て住宅を購入または建築し、賃貸に出して家賃収入を得る投資手法です。主な入居者様はファミリー層で、一度入居すると長く住み続けてもらえるケースが多いため、安定した収入を得やすい傾向にあります。
中古の戸建て住宅であれば物件価格が手頃なものも多く、融資を使わず自己資金だけで始められるフットワークの軽さが魅力です。物件を安く取得して賃貸需要をうまく捉えられれば、大きな利回りを狙うこともできるでしょう。
ただし、築年数の古い中古戸建ては金融機関の融資が下りにくく、現金で一括購入しなければならないケースも少なくありません。そうなると、借入によって小さな資金で大きな投資効果を得るレバレッジ効果は期待しにくいというデメリットがあります。また、1戸のみの運用では空室が生じるとそのまま収入が途絶えてしまう点も、複数のお部屋を持つアパート経営にはないリスクです。
戸建て賃貸経営に関しては、以下の事例で紹介しています。参考になりますので、ぜひご参照ください。
▼戸建て賃貸の改善事例
自主管理時代に数年続いた空室とも、おさらば!入居者募集の違いを実感
オーナー様のご自宅である4階建ての一戸建をシェアハウスに変身!
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アパート経営によるメリット

アパート経営にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ほかの投資や資産形成と比較しながらアパート経営のメリットを解説します。
安定した不労所得と定年後の生活資金を確保できる
不動産投資では入居者様がいるかぎり、家賃収入が見込めます。この毎月入ってくる収入が老後資金の不足分を補ってくれます。保有する戸数にもよりますが、アパート経営と区分マンション経営で比較する場合、一般的には1棟所有するアパート経営の家賃収入のほうが大きくなります。
区分マンション経営で1部屋のみ所有する場合は空室期間の収入はゼロ円となりますが、アパート1棟であれば空室が出ても、ほかの部屋の賃料収入でローンや諸経費の支払いを賄えるでしょう。また、1棟オーナーの場合は入居条件を決定する自由度も高まるので、空室対策を行いやすくなります。
生命保険代わりになる
団体信用生命保険(団信)に加入することで、万が一の事態に備え、遺族にローン残債を残してしまう事態を避けられます。一般的な団信では、「死亡」「高度障害状態(規定あり)」「余命6か月以内の診断」の場合に残債分の保険金が受け取れ、ローンの完済が可能になります。
また「がんと診断された場合」に、残債が免除になる「がん団信」や、がんだけではなく心筋梗塞をはじめとする心疾患や脳卒中を代表とする脳血管疾患の三大疾病にも備えられる「三大疾病保障付き団信」、糖尿病や肝硬変、高血圧性疾患、慢性腎臓病などの生活習慣病を発症した際にも補償を受けられるタイプの団信もあります。
団信に加入していれば、オーナー様の死亡時、遺族はローンの残債がゼロになった物件を取得できます。残債がない不動産は、賃貸経営を継続して賃料収入を生活費にあてることも、遺族が賃貸経営を望まない場合は売却することも可能です。
不動産が立地する地域や物件の規模、築年数、状態によりますが、一般的にアパートは数千万円以上の価格で取引されるため、売却すれば遺族へまとまったお金を残すこともできます。なお、相続対策の一環としてあらかじめ専門家と一緒に取り決めをしておくと、心配事も軽減されるでしょう。
所得税・相続税の節税効果が見込めるアパート経営と資産管理法人
アパート経営を行うことで所得税・相続税の節税効果が見込めます。
アパート経営が所得税・住民税の節税になる理由は、アパート経営にかかる費用や、減価償却費などの経費計上と、不動産所得と本業の損益通算が認められているから。これらの仕組みによりアパート経営が帳簿上の赤字であれば、本業の所得と合算することで、課税所得を抑えられて節税につながります。
さらに、現預金の相続税評価額よりも不動産の相続税評価額が低いのもポイントです。投資用の不動産の相続税評価額は現預金の場合の半分程度になるケースが多いため、高い相続税の節税効果が見込めます。
不動産を活用して所得税や相続税の節税を行う方法には、資産管理法人を活用した節税スキームも存在します。5棟10室を超える「事業的規模」でアパート経営をされている方におすすめの方法です。高所得者の場合は、個人にかかる所得税よりも法人にかかる法人税の方が税率が低くなります。そのため、不動産の名義を法人にするなどし、不動産所得を法人に集中させることで節税になるといわれています。
不動産には分割しにくいというデメリットがありますが、株式会社の株式であれば均等に相続させることが可能です。法人の価値が低いうちに株式を生前贈与することで相続税対策の効果も期待できます。
加えて、法人で得た家賃収入の一部をお子様に役員報酬として支払うことで、所得を分散し、ご家族全体で支払う所得税を大幅に節税できるでしょう。
ローンの活用で高いレバレッジ効果が期待できる
アパート経営は融資を利用して行うのが一般的です。原則自己資金で行う株式投資などと異なり、レバレッジを利かせて行うことができる数少ない投資の一つです。レバレッジとは、てこの原理を意味する言葉。アパート経営においては、金融機関からの融資を活用することで、少ない自己資金で効率よく大きな投資ができることをレバレッジ効果といいます。
株などの信用取引でもレバレッジという言葉が用いられますが、不動産投資でいうレバレッジとは意味が大きく異なります。株式投資の場合は、種銭となる入金額の約3倍までの株取引ができるというものですが、アパート経営などの不動産は実物資産となるため、金融機関から年収の数倍の融資を得るレバレッジ効果を得ることができます。同じ投資でも種銭の有無やレバレッジ効果に大きな違いが生まれます。
不動産投資におけるレバレッジについては、以下の記事もご参照ください。
不動産投資のレバレッジ効果を事例で解説!自己資本利回りの仕組みとリスク・注意点
インフレに強く、景気に左右されにくい
インフレ(正式名称:インフレーション/Inflation)の元となる「inflate」は、「膨張」という意味を持つ言葉。インフレといった場合、一般的に物価上昇局面を指します。
2026年8月現在、食料品や日用品の値上げが相次いでおり、インフレの進行を実感しているオーナー様も多いのではないでしょうか。インフレによって物価が上昇すると、それまで1,000円で買えていた物が、1,200円支払わなければ手に入らなくなるという風に、お金の価値が下落します。
日本人の資産の多くは、現預金や生命保険など、インフレに弱い資産で構成されています。一方、実物資産であるアパートやマンションなどの不動産は物価上昇時に価値が下がりにくく、インフレに強いという特長を持ちます。
さらに、物価が高くなることは、家賃の上昇要因にもなり、大幅な物価上昇が起こった後には、家賃も高くなる傾向があります。
そして、家賃収入が増えても、借入金額は変わらないため、金融機関からの借入金額が実質的に目減りする効果も期待できます。
不動産は、インフレに強く、生活の要であるため景気による需要の変化が少ない資産です。現預金や保険商品など、日本人の資産の多くを占める金融商品はインフレに弱いものが多いため、リスク性格の異なる不動産をポートフォリオに組み込むことで、リスク分散になるというメリットもあります。
所有物件の地域や物件の維持管理状態が家賃に影響を与えます。過剰投資をせずに計画的な賃貸経営を行い、最適な提案と行動ができるパートナーを選ぶことで、将来のインフレリスクにも適切に対応できるでしょう。
家族に資産を残せる
アパート経営なら、家賃収入を生み続けるアパートという実物資産をそのまま家族に残せます。不動産は現預金に比べて相続税評価額を低く抑えられるうえ、第三者へ賃貸中の物件は、通常の住宅よりもさらに評価額が低くなりやすいのが特徴です。
具体的には、アパートなどの賃貸物件に使われる土地は「貸家建付地」として評価され、相続税評価額が減額されます。建物も「借家権割合」が加味されるため、相続税評価額が低くなります。こうした仕組みにより、相続する家族の税負担を軽減できるのです。
売却益を得られる
投資で得られる利益には、インカムゲインとキャピタルゲインの2種類があります。アパート経営をはじめとする不動産投資で得られる利益は、長期的かつ安定的な家賃収入というインカムゲインが中心です。
また、タイミングを見計らって売却することでキャピタルゲイン(売買差益)も期待できます。不動産相場は常に変動しています。購入時よりも高く売れそうだと感じた時点で売却を検討するのも、アパート経営の一つの戦略といえるでしょう。
ここまで、アパート経営の主な7つのメリットを紹介しました。マンションや戸建てなど、アパート以外の賃貸経営でも同様のメリットが得られます。詳しくは以下の記事をご覧ください。
賃貸経営の成功法を伝授!代表的なリスクと6つの成功ポイントとは
アパート経営のデメリットとリスクコントロール方法

アパート経営には多くのメリットがある反面、さまざまなリスクも存在します。リスクコントロールのために注力すべきポイントや対策とあわせて解説します。
空室リスクと「4つの空室対策」
空室リスクはアパート経営最大のリスクといわれ、安定したアパート経営を続けていくために空室対策は欠かせません。
空室が増えてから空室対策を行うケースも少なくありませんが、本来は空室が増える前に対策を講じておくことが望ましいでしょう。例えば、空室になりにくい駅近など好立地の物件を選ぶことや、優秀な賃貸管理会社に入居者募集や賃貸仲介などのリーシング業務を依頼することでリスクを軽減できます。
『4つの空室対策』とは、空室発生の代表的な要因を解決するフレームワークです。
①入居者募集対応:物件のお問い合わせを増やす募集力を高める施策
②仲介対応:入居希望者様のご希望とマッチする物件の紹介、近隣の競合物件動向・地域の需要の把握
③管理対応(入居者管理/建物管理):入居者様のトラブル・建物管理の不具合の早期解消、退去予防
④設備・工事対応:入居者ニーズを反映した原状回復/設備・リフォーム/リノベーション/大規模修繕の実施
という賃貸経営に必要不可欠な4つの要素に関連する対策を指します。
安定したアパート・マンション経営を継続させるためには、上記の4つの対策の優先順位や実施タイミングなどのバランスが重要になります。
詳細は以下の参考記事と事例をご覧ください。
空室の原因を解決する『4つの空室対策』とは?14種類の手法を徹底解説!
リーシング・空室対策に強い賃貸管理会社とは?入居者募集力と仲介力から確認
入居者トラブルリスクと「入居者管理」
賃貸経営では、入居者様の困りごとに迅速に対応する必要があります。設備不良が起きた際の個別対応をはじめ、ごみ箱や自転車・駐車場など共有部の定期清掃や、騒音などのトラブルに対するサポートが必要になることもあります。入居者様や退去する方にアンケートを行い、顧客満足度調査や物件を改修するヒントを収集することで顧客満足度の向上に利活用できるでしょう。
「入居者管理」では厳格な入居者審査を行うことで、トラブルが起こる確率を減少させる効果が期待できます。
ここでは、わかりやすく「ペット可」の物件をイメージしてみましょう。
アパート経営では一棟をまるごと管理しているため「ペットと同居する入居者様専用」の条件を一棟全体で適用しやすくなります。ペット関連のトラブルは、ペットを飼っていない方や動物が苦手な方も入居される一般的なアパートと比べて、大幅に少なくなるでしょう。お互いにご家族の一員であるペットに対する理解もあり、条件となる制約が安心につながることもあります。
入居者様と真摯に向き合うほど入居者ニーズを深く理解できるもの。空室対策のポイントになる入居者募集や仲介業務のほか、修繕・工事対応などの業務も包括して任せられる賃貸管理会社を選べば、オーナー様の負担はより軽くなり、委託による高い効果が期待できるでしょう。
トラブルに関する参考記事と改善事例は、以下を参考にしてください。
【事例付き】入居者管理の基本から実務対応を徹底解説!賃貸経営を安定させる管理手法とリスク対策
【トラブル事例】賃貸管理会社に求められる対応力とは? 起こりうるリスクも紹介
家賃滞納リスクと「入居者審査・保証会社」
入居される方の金銭事情によって家賃の滞納が起こる場合もあります。こうしたときに備えて保証会社を利用するのが一般的ですが、入居者審査でも家賃滞納の発生可能性を下げることができます。空室を埋めるために、入居条件を緩める提案を行う不動産会社も存在しますが、トラブルや家賃滞納などのリスクが高まるため、慎重な判断が必要です。
長年蓄積してきた賃貸管理実績の取引データを基にした、独自の入居者審査項目を設けている賃貸管理会社に対応を依頼することで、家賃滞納などの金銭トラブルが起こる確率を下げることができます。万が一トラブルが起こってしまった場合でも保証会社を利用していれば、損失補填を受けられるでしょう。
家賃滞納リスクをヘッジするオプションのある賃貸管理会社に入居者様の管理を任せ、保証会社を利用して万が一に備えることで、家賃滞納への対応力が大きく向上します。
家賃滞納への対応については、以下の事例をご参照ください。
建物と外構の管理リスクと「建物管理(清掃・メンテ)」
日々の清掃やメンテナンスを怠ると、物件の競争力が低下し、「選ばれない物件」になってしまうリスクがあります。また、築年数がある程度経過してくると、建物管理の質により建物や設備の寿命に差が生まれます。適切な建物の維持保全は、空室対策や建物の寿命にも影響する大切な業務です。
共用部分の清潔感を維持しているか、していないかで物件の美観や資産価値は大きく変わります。日々、入居者様がご利用するエントランス・ゴミ置き場・駐輪場・階段・廊下などは入居希望者様をご案内する際にも見られるポイントです。
部屋の内部の状態や賃貸条件がよくても、共有部分の管理が行き届いていないために、別の物件を選ぶ方も少なくありません。特に、小さいお子様のいるファミリーや学生、新社会人向けの物件では必ずと言っていいほど確認される部分です。そのため、清掃が行き届いていることは空室対策にもなるのです。
また、廊下の電球切れや設備の破損、建物のクラックなどのチェック、防火管理関連設備、建物の定期的な確認やメンテナンスにより、建物の健康状態を定点観測することも大切です。定点観測を続けていれば、大きな問題が起きて資産価値を大きく棄損してしまう前に、対処できることも多くあります。「日々の目視で細かなクラックを見つけたことで、浸水被害が生じる前に事前対応ができた」というようなケースはよくある話です。
建物の外観や共用部を丁寧に掃除したりメンテナンスしたりすることで、入居者様の満足度を高めることができます。さらに、入居希望者様にも好印象を与えられます。
清掃の行き届いた清潔な建物では、お住まいの入居者様の人柄や、住まいに対する意識の持ちようも大きく変化するものです。先述した入居者審査でも、同じような価値観を持つ方々が集まりやすくなり、結果的に「建物をきれいに使おう」という住民意識の醸成につながります。
建物とお部屋の老朽化リスクと「設備・工事・修繕対応」
アパート経営において、建物の老朽化を避けることはできないため、一定の設備投資や修繕費を想定した資金計画を立てる必要があります。
大規模修繕工事を計画的に実施するとともに、入居者ニーズや周辺の物件との比較も踏まえながら、適宜、リフォームや設備投資、リノベーションなどを行います。建物を長く安心して使い続けられるよう、継続的にメンテナンスを実施することで、長期的な収益性は大きく変わってくるでしょう。
しかし、思い切った修繕や更新をかけようとするとまとまった費用がかかるため、資金面で踏み切れないオーナー様も少なくありません。そのような場合には、初期費用0円・費用の持ち出しなしで工事ができる『割賦払い』など、工事資金の支援も行っている賃貸管理会社を選ぶのがおすすめ。資金繰りを心配することなく、賃貸経営の安定化を図れます。
リフォーム/リノベーション/大規模修繕については、以下の事例が参考になります。あわせてご参照ください。
地域需要が変わる立地リスクと「売買戦略・募集戦略」
大学生向けや大企業の社員向けの需要を取り込んでいた物件が、大学や企業・工場の移転といった周辺環境の変化により、入居者募集に苦労するようになる事態も考えられます。
立地リスクを軽減するためには、大学や企業など特定の需要に依存しない賃貸経営戦略を立てることが大切です。
長く立地している大学や企業が移転するという事態はそれほど多くありませんが、今は不確実性の高い時代です。将来的な移転・閉鎖の可能性も考慮し、最初から投資回収期間を短くできるような収支計画を立てることも求められます。また、ターゲット変更が可能な募集戦略をバックアッププランとして用意するなど、賃貸需要の変化を見据えて、複数の出口戦略を想定しておくと万が一の際の損失を最小限に抑えられるでしょう。
空室対策や売却に関する事例については、以下をご参照ください。
地震や火災などの自然災害リスクと「保険対応」
アパートは実物資産のため、地震や火災、水害などの災害が起こった場合に、建物が被害に遭うリスクがあります。
災害で建物が損傷してしまうと、修理に多額の費用がかかるだけではなく、損傷の度合いによっては使い続けるのが困難になるケースもあるでしょう。そうなれば、現在の入居者様に退去してもらい、新たな入居者様が住み始めるまで、相当の空室期間が発生することも考えられます。
自然災害リスクには火災保険や地震保険で備えるのが一般的です。地震保険は火災保険とセットで契約する必要があり、加入は任意です。ただし、地震による火災は火災保険の補償対象外となっており、地震保険に加入していないと補償を受けられません。水害も火災保険で備えられる場合がほとんどですが、オプション加入を求められる商品もあるため注意が必要です。
災害が原因で入居者様が住み続けられなくなった場合に備え、家賃収入が途絶える期間の収益減を補う「家賃補償特約」を付けておくのも効果的です。この特約は、火災保険のオプションとして選択できます。
自然災害は避けられないものの、立地を選べばリスクを抑えられる可能性があります。物件購入前にハザードマップや災害履歴などを確認し、災害リスクが少ない立地を選ぶ視点も忘れないようにしましょう。
金利上昇リスクと「返済シミュレーション」
変動金利でローンを借り入れている場合、返済期間中の金利上昇によって返済負担が増大するリスクをともないます。
金利上昇リスクを抑えるには、返済期間中の金利が変わらない「固定金利」や、毎月一定の元金を返済することで期間後半の負担を抑える「元金均等返済」を選ぶといった方法が有効です。ただし、それぞれにデメリットがあることも理解しておきましょう。
まず、固定金利を選んだ場合、返済期間中に一括返済を行うと「繰り上げ返済違約金」が発生することがあります。繰り上げ返済違約金が発生するかどうかは金融機関や返済方法によって異なり、すでに融資がスタートしているのであれば、融資時に取り交わした契約書で確認することが可能です。
また、固定金利は金利変動の影響を受けない分、借入当初の金利が変動金利より高めに設定されるというデメリットもあります。
返済方法を元金均等返済にした場合の注意点としては、購入直後のキャッシュフローが悪化しやすいことが挙げられます。完済時まで元金を均等に返済していくため、残高の大きい初期は利息が高くなり、元金と合わせた毎月の支払額が膨らみやすいのです。返済方法やプランを選ぶ際には、詳細な返済シミュレーションを行ったうえで、どの方法が最適な選択か比較検討しましょう。
昨今は金利上昇局面が鮮明になっており、こうしたリスクが顕在化しています。収益の改善や節税を通じて手残りを増やし、キャッシュをプールしておくことが、金利上昇リスクへの大きな備えになります。加えて、先述の突発的な修繕などにも対応しやすくなるでしょう。
収益悪化リスクと「賃貸経営戦略」
賃貸経営をめぐる環境や建物の状況は、年を経るごとに変化します。それにもかかわらず、募集方法や仲介対応などのソフト面と、お部屋の設備や内装などのハード面を見直さずにいると、時代やターゲットニーズの変化に適応できなくなります。結果的に空室が発生しやすくなるでしょう。
こうした状態が続くと、空室発生による収益悪化で修繕や更新が難しくなり、さらなる空室発生を招くという「負のスパイラル」に陥るおそれもあります。
収益の悪化スピードを緩めるためには、ターゲットのニーズを読んだ設備の入れ替えや、リフォーム、リノベーションを行うなど、マーケットに合った物件であり続けるための工夫や長期的な視点での収支計画を考えることが不可欠です。
オーナー様が1人で詳細なシミュレーションを行い、空室対策、入居者募集、リフォーム・リノベーション、節税、相続対策、売却など多種多様な賃貸経営の判断を行うことは、非常に大きな労力と心理的負担をともなうでしょう。
「今後も安定的に家賃収入を得ていきたい」「将来的に事業拡大を狙っていきたい」とお考えのオーナー様は、賃貸経営をトータルでサポートしてくれる会社をパートナーに選び、二人三脚で資金計画や経営戦略を検討していくのがおすすめです。
アパート経営のメリット・デメリットについての詳細は、以下の記事も参照ください。
【アパート経営・賃貸経営入門】メリット・リスク・成功の秘訣をわかりやすく解説!
土地あり・なしで変わるアパート経営
アパート経営は、土地をすでに所有しているか、これから新たに取得するかによって、必要な初期費用も進め方も大きく変わってきます。アパート経営の始め方を4パターンに分け、特徴やリスクをみていきましょう。
所有している土地にアパートを新築する

もともと所有している土地にアパートを建てる方法で、いわゆる土地活用の代表例です。土地の取得費がかからないため初期費用を抑えやすく、土地探しの時間も削減できます。
更地を所有している場合、建物を建てたほうが固定資産税や相続税を低く抑えられる可能性があります。そのため、相続対策や固定資産税の節税を目的に、遊休地や駐車場をアパートに転換するオーナー様も少なくありません。
ただし、どんな土地でもアパート経営を始められるわけではありません。立地的に十分な賃貸需要が見込めなければ、どれだけ立派な建物を建てたところで入居者様は集まりません。また、既存の土地を活かして建てるため、建物プランに制約が出る点もネックです。
建築前に周辺の人口動態やマーケットを徹底的に調査し、賃貸需要があるのか、ターゲットに見合った計画になっているのかを見極める必要があります。土地活用に強い不動産会社に相談し、客観的なデータで判断するとよいでしょう。
土地を購入してアパートを新築する
新たに土地を購入し、アパートを新築する方法です。この方法では、土地代と建築費の両方がかかるため、4つのパターンの中では初期投資が最も高額になります。とはいえ、アパート経営の成否を占う「立地」を自分で選べることは、ほかの方法にはない魅力です。
賃貸需要の高い地域を選んで建てられれば、長期にわたって安定した家賃収入が期待できます。借入額が大きくなる分、金融機関の審査は厳しめですが、そこさえ通過できれば、資産規模を一気に広げるチャンスにもなるでしょう。
一方で、土地探しから建物の完成までには長い時間がかかることも多く、その間は費用の支払いだけが続きます。土地代を含めた総投資額で収支が成り立つのか、融資実行まで耐えられるだけの自己資金を用意できるのかなど、綿密な資金計画を立てたうえで臨みたいところです。
建売アパートを購入する
建売アパートとは、不動産会社が土地の仕入れから建物の企画・建築までを一括で手がけ、土地とセットで販売する新築アパートのことです。これを購入すれば、土地探しや建築会社選びの手間をかけずに、完成された商品としてのアパートですぐに賃貸経営を始められます。
不動産のプロが需要を見込める土地を選定し、入居者ニーズをふまえて商品開発を行っているため、アパート経営初心者の方にとっても始めやすいでしょう。融資の相談から賃貸管理会社の紹介までまとめて任せられるケースも多く、本業で忙しい会社員の方でも取り組みやすい手法といえます。
ただし、購入価格には不動産販売会社の利益が含まれる点には注意が必要です。また、完成品を購入するため、間取りや設備を選ぶ自由度はありません。
中古アパートを購入する

中古アパートを購入する方法は、土地・建物を同時に、しかも新築より割安な価格で手に入れられるのが強みです。物件価格を低く抑えられるので、高い利回りを期待できるのも中古ならではの魅力といえます。これまでに運用されてきた実績があるため、新築に比べて収支を予測しやすい点もメリットです。
また、すでに入居者様がいるオーナーチェンジ物件であれば、購入した当初から家賃収入を得られます。
一方で、建物や設備の老朽化が進んでいる場合は、購入後に修繕費がかさむ可能性があります。残りの法定耐用年数が短いと、減価償却費を多く計上できる反面、融資期間が短くなって返済負担が重くなりやすい点にも注意が必要です。
購入前には建物の状態と修繕履歴を必ず確認しておきましょう。心配な場合は、専門家による建物調査(インスペクション)を活用するのも一つの手です。
中古アパートを購入する際の注意点やリスク、対策については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
【事例付】中古アパートを購入するときの注意点と対策を事例と一緒に徹底解説
アパート経営を始める前に準備しておくこと
アパート経営は、多額の資金を投じて行う長期の事業であり、走り出してから方向転換するのは簡単ではありません。融資の相談や物件取得といった具体的なフェーズに入る前に、次の7つの準備を一つずつ固めておきましょう。準備の進め方や相談先に迷ったら、以下の記事も参考にしてください。
アパート経営の相談先はどこがいい?建築/購入/運用/売却で異なるポイントを事例で解説
目的・目標を明確にする

節税、老後の年金代わり、家族への資産承継など、アパート経営を始める目的によって、選ぶべき物件や地域は大きく変わります。目的が曖昧なまま計画を進めると、途中で判断基準がぶれてしまい、将来性が見込めなかったり、収益性が低かったりする物件を選んでしまうおそれもあるでしょう。
「何のために・いつまでに・どのくらいの資産拡大や収入規模を実現したいのか」を最初に言葉にしておくことが大切です。目的がはっきりすると、経営方針や物件選びの軸が定まり、万が一計画がうまくいかないときが来ても軌道修正しやすくなります。資料化して家族や専門家に見せられる状態にしておけば、相談がスムーズになり、アドバイスの精度も上がるでしょう。
関連コラムについては以下を参照ください。
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一棟アパート購入から始める不動産投資!成功者が確認する指標と利回りも解説
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相続前提の場合は家族・関係者と話し合う

相続対策としてアパート経営を検討する場合、オーナー様ご本人だけで計画を進めるのはおすすめできません。相続を前提とするのであれば、「誰が物件を引き継ぐのか」「引き継いだ後は運用を続けるのか売却するのか」「その判断を誰がどのように下すのか」といった点まで、相続人たちと意識を共有しておくべきだからです。共有しないまま相続を迎えてしまうと、相続人同士のトラブルに発展しかねません。
アパートは、現金と違って簡単には分割できない資産です。計画段階から家族や関係者とよく話し合い、必要に応じて税理士や弁護士などの専門家も交えて方針を固めておくと、将来の無用な争いを防ぎやすくなります。遺言書の作成や生前贈与など、アパート経営以外の相続対策と組み合わせて考えると、より安心して備えられるでしょう。
ターゲットとなる入居者像を決める
単身者、ファミリー、学生などメインターゲットとする入居者様の属性によって、好まれる間取りや必要な設備、適正な家賃設定などは異なります。
単身者向けなら駅からの近さや無料インターネットなどの通信環境、ファミリー向けなら収納の充実度や周辺の教育環境などが重視される傾向にあります。ターゲットが好む間取りや設備を備えていれば、家賃水準がアップしたり、高い入居率を維持できたりする可能性があるでしょう。一方、ターゲットの求めていない設備ばかり設けたところで、期待するだけの投資効果は見込めません。
ターゲットを最初に絞り込んでおけば、設計プランや募集戦略に一貫性が生まれ、空室リスクも抑えやすくなります。ターゲット設定は、その後の収支計画や空室対策の土台になる重要な準備です。迷ったときは、周辺で稼働率の高い物件がどの層に選ばれているかを調べてみると、判断のヒントを得られるでしょう。
地域の賃貸需要を調査する
どれほど質の高い物件を建てても、その地域に賃貸需要がなければ入居者様は集まりません。人口動態や世帯構成の変化、周辺にある競合物件の家賃、空室状況、駅やバス路線などの交通利便性、大学・企業・工場といった需要の源泉となる施設の立地状況などを事前に調査し、十分な需要を見込める立地かどうかを見極めましょう。
賃貸需要を調査するには、次のような方法が有効です。
・物件ポータルサイトなどで周辺物件の家賃単価を調べる
・国勢調査や人口動態調査などで、自治体ごとの人口推移を確認する
・国が提供する統計マップ「jSTAT MAP」で地域の統計データをチェックする
このほか、自治体が公表する人口推計や周辺物件の募集状況も、賃貸需要を測る手がかりになります。個人でのリサーチには限界もあるため、地域の実情に詳しい不動産会社に相場観を聞いてみるのもおすすめです。
厳密な収益計画を立てる

物件広告などに記載されている利回りの多くは、表面利回り(グロス利回り)です。これは、年間を通して満室だった場合の収入を物件価格で割ったもので、アパート経営にかかる諸経費が一切考慮されていません。
表面利回りだけで判断すると、修繕費や税金、空室による収入減などをすべて見落とすことになり、想定と実際の収支が大きくかけ離れてしまいます。家賃は経年とともに下落する前提で、空室率や大規模修繕工事の費用も織り込んだ長期のキャッシュフローを試算し、事業として成立するかを入念に検討しましょう。
その際、金利が上昇した場合や入居率が想定を下回った場合など、複数のシナリオで検証しておくと安全性が高まります。試算は一度やって終わりではなく、運用開始後も実績と照らして定期的に見直すことも重要です。
アパート経営におけるシミュレーションの具体的な方法は、以下の記事をご覧ください。
アパート経営のシミュレーション方法!不動産投資の指標とリスク管理を事例で解説
複数の建築プランを比較する
アパートを新築する際、1社のプランだけを見て契約を決めてしまうと、建築コストや仕様が適正かどうかを判断する材料が不足しがちです。同じ土地・同じ予算でも、依頼するハウスメーカーや工務店によって、提案される間取りや建物の構造、建築費、想定家賃などは異なります。また、外観デザインや仕様も入居希望者様の判断に影響するため、比較すべきポイントです。
必ず複数社からプランと見積もりを取り寄せ、建築費の総額だけでなく、長期的な収益性の見込みや修繕のしやすさまで含めて比較検討してください。もし「価格が高い」と感じても、見積もりが1社分だけだと交渉する根拠がありません。相見積もりを取ること自体が価格交渉の材料にもなり、結果として建築費の適正化につながる可能性があるのです。
金融機関に融資相談をする
ほとんどのアパート経営は、金融機関から融資を受ける前提の計画です。そのため、金利や融資期間といった条件次第で、事業全体の収益性はまったく異なったものになります。同じ物件でも金融機関によって担保価値の評価は異なるため、物件の候補が絞れたら、早めに複数の金融機関へ相談し、融資条件と必要な自己資金の目安を比較しましょう。
ここで重要なのが、家賃収入が多少減っても返済を続けられる、無理のない返済計画を立てることです。10年、20年と賃貸経営を続けていれば、家賃収入が一時的に少なくなる事態も考えられます。そういったときでも返済し続けられる計画にしておくことが、長く安定的な経営につながるのです。
アパート経営・賃貸経営に必要な資金とかかる税金

資金計画を立てるうえで、アパート経営にかかる費用の全体像を把握しておくことが大切です。ここからは、アパート経営・賃貸経営に必要な資金とかかる税金について解説します。
アパート経営・賃貸経営に必要な資金
アパート経営を行う際は、不動産投資ローン(アパートローン)を借り入れて物件を購入するのが一般的です。ローンを利用する場合、頭金として、アパート建築費の10~30%程度を目安に自己資金を準備しておくとよいでしょう。まずは、アパートの建築・購入、維持にかかる費用について解説していきます。
アパートの建築費
建築費は建物の構造と規模によって異なります。アパート建築の坪単価の目安は以下のとおりです。
●木造:50万円~100万円
●軽量鉄骨造:60万円~120万円程度
●RC造:100万円~200万円程度
なお、家賃を決める際には建築費や経費などとのバランスを考える必要がありますが、その指標の一つとなるのが「利回り」です。アパート経営における利回りの考え方は、以下の記事を参考にしてください。
【総集編】アパート経営の利回りの目安は?不動産投資の指標と注意点
アパート建築費以外の初期費用
初期費用は新築でアパート建築費の約5~7%、中古で物件価格の10%程度かかるのが一般的です。アパートの建築・購入にかかる諸経費としては、以下のようなものが挙げられます。
●印紙税
●登記費用(登録免許税+司法書士報酬)
●仲介手数料
●ローン手数料
●不動産取得税
●火災保険料 など
印紙税の具体的な税額は、国税庁のホームページに一覧が掲載されているので確認しておきましょう。
参考:印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
不動産会社の仲介で中古アパートを購入した場合、仲介手数料の上限は「物件価格×3%+6万円+消費税(物件価格400万円以上の場合)」。不動産取得税は、原則として「固定資産税評価額×3%(軽減税率)」で算出されます。ローン手数料や火災保険料は金融機関・保険会社によって条件が変わるため、事前に問い合わせておくと安心です。
では、こうした諸経費を含めて、自己資金はいくらくらい用意すればいいのでしょうか。
アパートローンを利用する場合でも、頭金で物件価格の10〜30%程度、諸経費は新築で5〜7%程度、中古で物件価格の10%程度が目安。合計で10〜40%程度の資金計画を準備しておきましょう。5,000万円の中古アパートを購入する場合で考えると、500万~1,500万円の資金計画が必要ということです。
オーナー様の属性や物件の収益性・担保評価によっては、自己資金なしのフルローンで購入できる可能性もあります。しかし、借入額が大きくなる分だけ毎月の返済負担が重くなり、空室や家賃下落が生じた際、収支が赤字へ転落しやすくなります。金融機関の審査も厳しくなるため、ある程度の自己資金を用意して返済比率を抑えるほうが、経営の安定度は高まるでしょう。
自己資金の考え方と出口戦略については、以下の記事で詳しく解説しています。
アパート経営に必要な初期費用と自己資金!出口戦略と資金計画を徹底解説
アパート経営で発生する維持費
アパートを維持する費用には、毎月かかるものと定期的にかかるものがあります。
【毎月かかる費用】
●共用部分の水道光熱費や清掃費
●管理委託費(賃貸管理会社に管理を委託する場合)
【定期的にかかる費用】
●消防設備点検費
●修繕費
●賃貸成約時の仲介手数料
このほか、退去時の原状回復工事費、新規入居者募集の広告費などが必要です。こうした維持費の合計は、家賃収入の15~20%程度が目安です。あらかじめ織り込んでおけば、資金計画に大きなズレは生じにくくなります。
維持費とともに押さえておきたいのが、ローン返済とキャッシュフローです。キャッシュフローとは、実際のお金の動きのこと。毎月の家賃収入から維持費などの必要経費とローン返済額を差し引いた残りが、オーナー様の手元に残るお金となります。
このあと詳しく紹介しますが、毎年の所得税や住民税の算出に使われる「不動産所得」は家賃収入から経費を差し引いて求めます。しかし、ローンの元金返済は経費になりません。一方で、実際の支出をともなわない減価償却費は経費になるという特徴があります。
つまり、帳簿とキャッシュフローは一致しないことがあるのです。「帳簿は黒字なのに、手元の現金が足りない」という事態を避けるためにも、両者を分けて把握しておきましょう。
アパート経営は初期投資の回収に時間がかかる事業です。黒字化を早めるには、上記の仕組みをしっかりと理解し、キャッシュフローを改善する取り組みが欠かせません。黒字化を早めるポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
アパート経営は何年で黒字化する?黒字化のポイントと注意点を事例で解説
また、アパートの維持に欠かせない修繕についての詳細は、以下の記事を参考にしてください。
【事例付き】アパート経営の修繕と費用相場!収益を生み出す修繕内容
アパート経営でかかる税金
次に、アパートの建築・購入時や保有時、売却時にかかる税金について解説します。アパート経営で家賃収入を得るオーナー様は個人事業主となるため、確定申告が必要です。以下の記事を参考に知識を深めておきましょう。
家賃収入にかかる税金はいくら?設備投資と損益通算で考える節税対策
アパート建築・購入時
アパートの建築・購入時には、次のような税金が発生します。
●建物の建築・購入にかかる消費税(土地は非課税)
●印紙税
●登録免許税
●不動産取得税
印紙税は上述のとおり、課税文書に記載される契約金額によって異なります。
登録免許税は、登記を行う際にかかる税金です。登記の種類ごとに税率が定められており、土地の売買にともなう税率には軽減措置が適用されます。土地の所有権移転登記の本則税率は2.0%ですが、軽減税率が適用されるため「固定資産税評価額×1.5%」で求められます。
また、新築で建物の所有権保存登記を行う場合は「固定資産税評価額×0.4%」、中古アパートを購入して所有権移転登記を行う場合は「固定資産税評価額×2.0%」で算出可能です。
参考:国税庁「土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る 登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」
不動産取得税は先述の計算方法になりますが、新築アパートの不動産取得税には軽減特例があります。条件を満たせば課税対象となる固定資産税評価額から、1戸あたり1,200万円を控除できます。詳しくは下記の記事を参考にしてください。
不動産取得税はどうやって計算する?新築・中古別シミュレーション
アパート保有時
アパートを保有する間は、物件ならびに不動産所得に対して次の税金が課されます。(個人の場合)
●固定資産税:固定資産税評価額×1.4%
●都市計画税:固定資産税評価額×0.3%
●所得税:課税所得金額×所得税率(5~45%)−税額控除
●住民税:(課税所得金額×10%−税額控除)+均等割額(基本は5,000円)
固定資産税と都市計画税は地方税であり、自治体によって税率が異なります。
家賃収入がある方は、原則として毎年確定申告を行い、不動産所得を申告する必要があります。アパート経営を副業で行っている会社員のオーナー様も、給与以外の所得(不動産所得を含む)が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。その後、申告内容から算出された所得税と住民税を納めなければなりません。
ちなみに、会社員の場合、住民税の支払い方法として、勤務先の給与から天引きされる「特別徴収」を選択できます。ただし、この方法だと給与所得以外に所得があることを勤務先に知られることになります。知られたくない場合は「普通徴収」で別途納める方法がありますが、絶対にバレるのを防げるとはかぎりません。
副業でのアパート経営を検討されている方は、事前に勤務先の就業規則や勤務規定を確認しておきましょう。
確定申告には白色申告と青色申告があります。節税を考えるなら青色申告がおすすめです。
事業的規模(おおむね5棟10室以上)でアパート経営をしているオーナー様であれば、複式簿記により記帳し、e-Taxで申告するなどの要件を満たすことで、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。このほか、赤字を翌年以降3年間繰り越せる、家族へ支払う給与を経費にできる(青色事業専従者給与)といった優遇措置も魅力です。
申告内容や経費の計上方法など、会計に関する専門知識が求められるため、判断に迷ったときは税理士など税の専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
不動産所得における経費の考え方や確定申告に関する内容は、こちらの記事もあわせてご確認ください。
【一覧表】不動産所得を節税する経費とは?減価償却費など代表的な経費を解説
家賃収入の確定申告は必要?節税できる経費と必要書類の書き方・申告方法まで解説
アパート売却時
譲渡所得税は、キャピタルゲイン(売買差益)をベースに計算される「課税所得」へ課される所得税・住民税です。個人で賃貸経営を行っている場合に課税されます。アパートの所有期間が5年(売却した年の1月1日時点)以内の「短期譲渡所得」か、5年を超える「長期譲渡所得」かで税率が大きく異なるため、売却時期には注意しましょう。
譲渡所得税の計算方法などの詳細は、以下の記事を参考にしてください。
不動産売却税とは?信頼できるパートナーと考える効果的な節税対策
アパートの経営者年収

2024年分の「申告所得税標本調査」によると、不動産所得者の平均所得金額は666万円でした。
賃貸物件のオーナー様といっても、区分マンション一室のみを所有する方から複数棟のアパート・マンションを所有する方までさまざまです。データからは所有する物件の種類や数は分からないため、あくまで平均値として捉えてください。
また、アパート経営は医師や経営者、上場企業の役職者など、高収入の方が節税対策として始めるケースが多い傾向にあります。専業大家として複数棟を所有するオーナー様も少なくありません。アパートをはじめとした賃貸経営で成功したい方は、ぜひ以下の記事もご参照ください。
【保存】不動産経営の種類や収支を学ぶ!リスク回避する成功の秘訣とは?
アパート経営に向いている方の特徴

アパート経営で成果を上げているオーナー様には、いくつかの共通点があります。ここでは、アパート経営に向いている方の特徴を3つ紹介します。これからチャレンジしようと考えている方は、自分に当てはまるかどうかチェックしてください。
金融資産を多く所有している方
アパート経営を融資で始める場合、金融機関の審査を通過しなければなりません。審査では年収や属性はもちろん、保有資産がどれだけあるかも重視されます。基準は金融機関ごとに異なるものの、数千万円規模の金融資産を所有していると、融資額や金利などの条件面で有利になりやすいといわれています。
金融資産に余裕があれば、頭金を多めに入れて借入額と毎月の返済負担を抑えられるだけでなく、突発的な修繕やトラブルが発生したときにも、自己資金を充当して落ち着いて対応できます。攻めと守りの両面で選択肢が広がるため、金融資産を多く持っている方はアパート経営に向いているといえるでしょう。
地主で賃貸需要のある土地を所有している方
すでに土地をお持ちの方は、土地購入費用を負担することなくアパート経営をスタートできるため、初期投資を大幅に抑えることができます。土地を担保にできるので融資も受けやすく、土地なしの方に比べて有利といえるでしょう。
所有する更地にアパートを建てれば、固定資産税や相続税の評価額が下がるなど、節税や相続対策の効果も期待できます。
ただし、所有地に賃貸需要があることが絶対条件です。需要のない場所にアパートを建てても、空室が埋まらずにローン返済だけが残ってしまいます。所有地の需要に不安がある場合は、建てる前に賃貸管理会社などへ相談し、ほかの活用方法や売却も含めて幅広く検討しましょう。
地主のアパート経営については、こちらの記事で解説しています。あわせてご参照ください。
【事例付き】地主のアパート経営が資産保全・税金対策に有利な理由と注意点を解説
アパート経営を事業として取り組める方
アパート経営にかぎらず、不動産投資は「投資」というより「事業」としての性格が強いものです。物件の取得から、家賃設定、空室対策、修繕のタイミング、そして売却まで、経営者としての判断を求められるシーンが繰り返し訪れます。成果が上がるかどうかは、物件そのものだけでなく、オーナー様の判断の積み重ねにもかかっているのです。
だからこそ、つねに学ぶ姿勢を持ち、責任を持って事業に取り組める方が向いています。市場の動向や法改正といった情報収集を怠らず、必要に応じて専門家の力を借りつつも、最終的な判断は自分で考えて下す。そうした経営者意識を持ち続けられる方なら、長期にわたって安定した賃貸経営を実現しやすいでしょう。
以下の参考記事も参照ください。
公務員の副業はなぜ禁止?不動産投資できる条件と公務員に有利な理由を解説
医師の不動産投資は節税と資産形成を両立可能! メリットと注意点を解説
サラリーマン・会社員が副業で始めるアパート経営 メリット・デメリットから成功の秘訣まで
アパート経営で成功する秘訣

アパート経営で成功されているオーナー様の共通点から、不動産投資・アパート経営で成功する秘訣が浮かび上がってきます。次に紹介する5つのポイントを押さえて、成功確率を高めましょう。
目的・目標を明確に、長期的な視点で考える
アパート経営は目指すべきゴールが明確なほど、戦略が立てやすく、求められる収益のレベルや資産拡大に向けた道筋を具体的に描けます。何のためにアパート経営をするのかという目的や目標をはっきりさせたうえで始めることが、アパート経営で成功する秘訣です。アパート経営は短期間での利益を狙う投資手法ではありません。短期的な目線だけで投資判断を行うのではなく、長期的な計画に基づいて最善な判断を下すことが成功につながります。
購入前に入念な下調べを行う
アパート経営において物件選びは非常に重要です。長期的に高い需要が見込める、地域のニーズに合致した物件を購入することができれば、入居者様を集めやすくなり、安定的な収入が期待できるでしょう。
好条件な物件ほど価格も高くなりやすいものです。購入前に地域の人口推移や周辺環境などの下調べを入念に行い、物件価格に対して十分な収益を得られる見通しが立つかどうかを見極め、慎重に投資判断する必要があります。
リスク許容度を知る
アパート経営のリスクは、あらかじめ性質を理解して、効果的な対策を打つことが重要です。考えられるリスクとしては、主に次のようなものがあります。
・空室リスク
・入居者トラブルリスク
・家賃滞納リスク
・建物と外構の管理リスク
・老朽化リスク
・地域需要が変わる立地リスク
・地震や火災などの自然災害リスク
・金利上昇リスク
・家賃下落リスク
こうした不動産投資特有のリスクについて理解を深め、所有物件や今後購入予定の物件にどのようなリスクが潜んでいるのかを把握しましょう。
成功されているオーナー様が行っている対策(「4つの空室対策」「入居者管理」「入居者審査・保証会社」「建物管理(清掃・メンテ)」「設備・工事・修繕対応」「売買戦略・募集戦略」「保険対応」「返済シミュレーション」「賃貸経営戦略」)を講じ、許容できる範囲以上に大きなリスクを背負わないようにすることが肝要です。
入居者目線と経営者目線を合わせ持つ、バランスのいい空室対策を講じる
空室対策を検討する際、入居者ニーズを正しく捉えることが重要です。どんなに高額で素晴らしい仕様の住宅でも、想定ターゲットにマッチしない場合は入居者様のニーズを満たせず、空室リスクが高まります。
周辺の人気物件の状況や地域動向を把握し、入居希望者様が求めている対策を講じることで、最小限のコストで、最大限の効果を得る、費用対効果の高い空室対策が実現可能です。管理物件において入居者アンケートを定期的に行い、日頃から入居者ニーズの把握に努めている企業からの情報などを、有効活用するとよいでしょう。
アパート経営を包括的にサポートできるパートナーを探す
アパート経営で検討すべき計画や運営管理業務は多岐にわたります。オーナー様が一人ですべてを担うには、ハードルが高いと言わざるを得ません。だからこそ、オーナー様と二人三脚で賃貸経営を考えてくれるパートナーが必要です。
次のような視点で賃貸管理会社を比較し、包括的にサポートしてくれる会社をパートナーに迎えるとよいでしょう。
・経験と実績に基づく戦略を提案できるか
・目的にマッチするアパートの建築サポートができるか
・ターゲット選定や資金計画を立てられるか
・空室対策やリーシングに強く賃貸募集力や賃貸仲介力があるか
・オーナー様と入居者様の間に立つ顧客満足度の高い賃貸管理ができるか
・入居者ニーズを捉えたリフォームやリノベーションができるか
・需要の高い収益物件を購入・売却するサポートができるか
・資産活用や相続対策、節税対策など専門的知見を備えたフォローをしてもらえるか
長期にわたって関係を築いていくためにも、管理手数料の安さではなく、サービスの質や提案力とのコストバランスで選ぶことが重要です。
信頼できる賃貸管理会社の選び方については、こちらの記事が参考になります。あわせてご参照ください。
【必読】賃貸管理会社の選び方!運用益と出口戦略を見据える賃貸管理
【賃貸管理会社】大手と地域密着型のどっちがおすすめ?選び方とは
賃貸管理会社の選定基準は手数料の安さか、収益性を高める管理か
管理会社の変更はあり?賃貸経営安定化のためにオーナー様がなすべきこと
アパート経営のことなら【リロの不動産】にお任せを

アパート経営に特有のリスクは、事前に適切な対策を講じれば予防できるものが少なくありません。物件で起こり得るリスクを把握し、タイミングを見極めながら対策を行いましょう。
こうしたリスク対策を計画的に実施し、アパート経営の成功確率を上げるためには、オーナー様と二人三脚で伴走してくれる優秀なパートナーが欠かせません。蓄積されたデータやノウハウに基づいた提案をしてくれるパートナーなら、さまざまな場面で頼りになり、自ずと賃貸経営も安定化するでしょう。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。
