賃貸アパートの改修工事や大規模修繕費用はいくら?改修項目別に解説

2023.06.14

アパートを所有し賃貸経営を行っている方の中には、大規模修繕を行う際に、どのような改修項目があるのか、また費用の相場はどのくらいなのかを知りたい方も多いのではないでしょうか。大規模修繕は工事期間も長期にわたるため、事前にしっかりと計画しておくことが大切です。

今回は賃貸アパートの大規模修繕における改修項目や費用の目安について解説します。

▼この記事の内容

●賃貸アパートの修繕費用は築年数によって変わり、1戸あたり9万円〜98万円と幅がある
●大規模修繕には建物の状態を回復させる「修繕」と、機能をアップグレードする「改修」がある
●改修工事は物件価値の向上や空室改善、家賃水準の維持、節税などのメリットがある
●大規模修繕を行うときは「経年劣化診断」「耐震診断」「収益性診断」「配管劣化診断」など診断結果をもとに、長期修繕計画を立てることが大切
●アパートの改修工事やリフォーム、大規模修繕を頼むときは、賃貸経営の流れを意識し目的を持って行うとよい

賃貸アパートにおける改修工事の費用は?気になる金額相場

賃貸アパートにおける大規模修繕の費用相場はどのくらいなのでしょうか。一般的な賃貸アパート(1棟10戸程度)を想定した場合の、築年数ごとの費用相場は以下のとおりです。

● 築5~10年:約90万円(9万円/戸)
● 築11~15年:約640万円(64万円/戸)
● 築16~20年:約230万円(23万円/戸)
● 築21~25年:約980万円(98万円/戸)
● 築26~30年:約230万円(23万円/戸)

■参考:国土交通省「賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」

アパートの修繕費用は、大規模修繕を実施するタイミングで高くなる傾向があります。詳しくは後述しますが、大規模修繕に含まれるのは設備工事や屋根・外壁の塗装、防水工事などです。大規模修繕は10〜15年ほどのスパンで実施されることが多く、そのタイミングでまとまった費用がかかります。

加えて日本の「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」では、新築の住宅に最低10年の保証を付けることが義務付けられており、10年目まではハウスメーカーなどの建築会社が設ける保証の範囲内で修繕を行い、費用を抑えるオーナー様も多くいらっしゃいます。アパートの築年数によって改修工事の費用相場は異なるため、あらかじめ修繕計画を立て、予算を確保しておくことが大切です。

アパートの大規模修繕の時期やタイミング、流れについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

■参考記事

大規模修繕工事はアパート・マンションになぜ必要?工事内容と費用を把握【総集編】

大規模修繕の改修項目と修繕費の目安

大規模修繕には大きく分けて「修繕」と「改修」があります。

大規模修繕における「修繕」とは、既存の建物について新築時の性能や機能の状態を維持、回復させるための工事をいいます。一方で、大規模修繕における「改修」とは建物の劣化や損傷を修理および修復するだけでなく、新築時の状態よりも建物の性能および機能をより高いものにアップグレードさせるための工事をいいます。

具体的な改修工事の例として、これまでなかったバリアフリー設計を導入したり、断熱効果のある塗料を使用することで建物の断熱性を向上するなどが挙げられます。

この章では、アパートの大規模修繕において、どのような改修項目があるのか詳しくまとめ、解説します。

なお、大規模修繕では『足場代』がアパートの規模に応じて高額になります。折角なら、足場を利用して対策できる工事をまとめたほうがトータルコストを抑えることができます。そのため、『防水工事:屋根/ベランダ/廊下』『塗装工事:屋根/外壁/雨樋/外廊下/外階段(手すり含む)』はまとめて対応することをおすすめします。

建物に関わる工事

まずは建物本体に関する工事について解説します。建物本体に関わる工事としては、外壁や屋根、ベランダ、階段や廊下、雨樋が挙げられます

外壁

外壁の塗装費用は、アパートの高さや塗装面積によって金額が異なります。目安としては以下のようになっています。

● 2階建てのアパート:180万~300万円
● 3階建てのアパート:250万~500万円

さらに屋根の塗装でも必要になるとおり足場の設置費用などがかかります。また、使用する塗料によっても費用が変わります。

一般的に使用されるシリコン塗料は一番費用も安くすみますが、耐用年数が7~15年と短い点がデメリットです。ほかには、「ラジカル塗料」や「セラミック塗料」「フッ素塗料」「光触媒塗料」「無機塗料」などがあります。選定する塗料により価格も異なり、耐用年数や得られる効果も変わります。

費用がかからない塗料は耐用年数が短いため、耐用年数と費用を考えながら、最終的に利用する塗料を決めるといいでしょう。費用が安くても耐用年数が短いため、何度も塗り直しの工事が発生するなら、多少費用が高くても耐用年数の長い塗料を使ったほうが、費用を安く抑えられる可能性もあります。

■事例

収益物件の外壁塗装事例

屋根

屋根も外壁と同様に利用する塗料の種類によって費用が異なります。さらに足場を組む必要がありますので、1棟につき30万~120万円程度の費用がかかります。この費用は足場の費用も含まれているため、屋根を塗装する際には外壁の塗装も合わせて行うと費用を抑えられます。

陸屋根の場合は防水工事の費用として㎡あたり8,000~1万円程度必要になります。また、20年を超えると葺き替え工事が必要になり、最低でも100万円程度の費用がかかります。

ちなみに最も費用を抑えられるのは「アクリル塗装」で、25万~35万円程度で行えます。ただ、耐用年数が3~6年程度と短く、何度も塗り直しが必要になります。

「ウレタン塗装」は少し高く30万~40万円程度かかりますが、こちらも耐用年数は6~9年程度です。

「シリコン塗料」になると耐用年数は8~10年程度に延びますが、その分費用も高額になり、35万~50万円程度になります。

「フッ素塗料」は耐用年数が15年程度に延び、費用も50万~70万円程度かかります。

そして、耐用年数が10~15年程度まで延びるのが「遮熱塗料」と「断熱塗料」ですが、どちらも費用が65万~90万円程度と高額になります。

ベランダ

ベランダの防水加工は経年劣化に伴い修繕が必要です。通常、屋根や屋上、ベランダには防水加工が施されており、定期的に修繕が必要になります。頻度はおよそ10~15年ごとですが、1㎡あたり7,000~1万円程度の費用がかかります。

メンテナンスとして推奨されているのは5年に一度ですが、5年に一度ベランダの防水加工を行うのは費用的にも難しいケースもあるでしょう。5年に一度の対応が難しい場合は大規模修繕の際にベランダの床表面の塗装工事も行いましょう。ウレタン塗装を使った工事だと、費用の目安は1㎡あたり3,000~5,000円程度です。

階段・廊下

アパートの外階段には鉄骨が使われていることが多く、立地によっては錆びが酷いこともあります。錆びをそのまま放置しておくと、溶接部分が剥離して、事故を起こしかねません。入居の決定率や損害賠償請求のリスクヘッジのためにも、十分に対策を行っておきたい箇所です。

階段の塗装は5年に一度を目安に行います。修繕費用の目安は5万~30万円を考えておきましょう。

また、廊下もベランダと同様に10~15年に一度の防水工事と5年に1度の表面塗装が必要です。

ただ、現実的に5年に一度の修繕を行うのは費用的にも難しい面があるでしょう。その場合には大規模修繕のときに合わせて対応することをおすすめします。

■事例

階段の改善事例

雨樋(あまとい)

雨樋(あまとい)とは、屋根に降った雨水を集め、地面または下水に流す部材のことです。雨樋の工事は内容によって金額が異なり、目安は以下のようになっています。

● 雨樋の交換(1mあたり):3,000~5,000円程度
● 雨樋の継ぎ手補修(1箇所あたり):5,000~2万円程度
● 雨樋の掃除:1万~3万円
● 雨樋の交換(全部):15万~60万円

雨樋の耐用年数は20年といわれており、耐用年数を超えると外れたり穴が空いて雨漏りを引き起こすことがありますので、耐用年数を加味したうえで、大規模修繕のタイミングで必要に応じて、掃除・塗装・交換などの対応をしましょう。

室内の設備工事

続いて室内の設備に関わる工事について解説します。室内の設備には、給湯器やエアコン、浴室設備、トイレ、キッチン、洗面台などがあります。これらは大規模修繕として行うのではなく、入居者様が退去した際の原状回復、つまりリフォームの一環として行われることが多いものです。

ただ、入居者様がいるときに壊れることもありますので、その際には迅速かつ適切な対応が必要になります。

給湯器

各部屋で使用する給湯器については、オーナー様もしくは賃貸管理会社が修繕費用を負担します。給湯器の寿命は7~10年といわれており、適度なタイミングでの交換が必要です。

リース契約をしている場合は、リース契約の中のサービスの1つとして点検や交換が行われます。

実費で用意している場合は、実物を交換しなければならず、費用も1台あたり10万~20万円です。また交換しないにしても修理が発生した場合は、修理費として6,000~5万円程度の費用がかかります。

■事例

給湯器の改善事例

エアコン

エアコンの修理には部屋の中にある本体だけでなく、室外機の修理も含まれます。

エアコンの寿命も7~10年となっており、設置費は1台あたり5万~7万円程度になります。修理費用は特に室外機が高く、しかもエアコンは年中使用するものですので、入居者様が使用中に壊れることがよくあります。そのため、すぐに交換できるよう準備しておく必要があるでしょう。

■事例

エアコンの改善事例

浴室設備

浴室設備の修理では、シャワーヘッドや水洗、浴室ドアなどの交換が一般的です。

シャワーヘッドや水洗交換だと、それぞれ1箇所あたり1万~3万円程度、浴室のドアのみを交換するのであれば、1箇所あたり5万~8万円、ドア枠を含む交換だと1箇所あたり7万~15万円が相場です。

そのほか、リフォーム費用として浴室塗装や壁の張り替えのほか、浴槽交換などが発生するケースもあります。バランス釜の浴槽を一般的な浴槽にリフォームするような浴槽交換だと1回で10万~50万円程度の費用がかかるほか、別途費用が発生するケースもあります。

■事例

水回りの改善事例

トイレ

トイレの修繕というと、水が流れなくなったり、排水が詰まったりなどの軽度なトラブルの修理になります。

交換代金については軽度なトラブルであれば1万円程度ですみますが、トラブルの内容によっては1万円以上の費用がかかるケースもあります。作業料金に加えて出張費用や部品代がかかることも覚えておきましょう。

■事例

水回りの改善事例

キッチン

水回りの耐用年数が経過した場合、キッチンの修理が必要になることもあります。キッチンの工事ではレンジフードやコンロなどの設備など交換する商品の価格に加え、工事費がかかります。また、システムキッチンのレンジフードだけの工事やコンロ部分だけの取り替えは可能ですが、シンクのみの取り替えはできません。システムキッチンを丸ごと入れ替える場合には50万~100万円程度の費用が必要です。

ちなみにレンジフードの取り換えなら、1万~5万円程度で行えます。吊り戸棚の交換などでは約10万円程度かかると考えておけばよいでしょう。

レンジフードやコンロなどの設備などの交換工事の目安としては、5~10年で修理、11~15年そして21~25年で部分交換となります。

■事例

水回りの改善事例

洗面台

洗面台も日々使用する設備ですので、故障が発生したらすぐに直す必要があります。また、工事の目安はキッチンと同じと考えておいてよいでしょう。

費用の目安は、洗面台を交換する場合は5万~30万円、パイプ交換なら2万~4万円です。洗面所を一式リフォームするなら20万~100万円程度かかります。

賃貸アパートなら、ユニットタイプの洗面台がよく利用されており、比較的安く修繕ができます。ただ、洗面台は10年が寿命といわれていますので、寿命の時期を迎える前に交換することを考えておきましょう。洗面台の利用状況によっては、塗装やちょっとした手直しでキレイに仕上がることもあります。

■事例

水回りの改善事例

給排水管に関わる工事

給排水管のトラブルは生活するうえで非常に影響が大きいものですので、定期的なメンテナンスが必要です。

排水管はさびが発生しない特徴がありますので、メンテナンス期間は5年ごとが目安といわれています。排水管を洗浄する費用は、小規模のアパート(10戸程度)で約5万~10万円です。

給水管は経年劣化によって継手の部分が腐食するため、30年に一度交換工事を行います。大規模な工事になるため、300万円ほどの費用がかかると思っておきましょう。

ただ、最近では排水管も錆びない素材で作られているものもありますので、その場合は特に交換工事は考えなくてもいいでしょう。

そのほか、必要になる工事は?

そのほか、修繕を考えなければならない箇所として、各部屋の玄関のドアやサッシそして網戸などの外部建具の交換や、外部道路やフェンスなどの外構があります。

玄関のドアやサッシ、網戸については防さび対策が行われていることが多いため、点検や工事は10年に一度で問題ないでしょう。費用は工事の箇所によって異なりますが、玄関のドア交換だと1箇所で1万5,000円程度です。

逆に外構は、さまざまな視点で修繕計画を立てておかなければなりません。外構は約20年で交換や工事が必要になりますので、駐車場の再舗装などもそのタイミングで行うようにしましょう。再舗装の費用は1㎡あたり7,000~9,000円が目安といわれています。

アパートの改修工事を行うメリット

アパートの修繕には多くの種類があり、中には100万円以上の費用がかかる大掛かりなものもあります。お金や労力、手間などの問題から、つい後回しにしてしまうこともあるでしょう。

しかし、改修工事にはさまざまなメリットがあり、資産価値の向上や空室改善などにつながるケースもあります。以下でアパートの改修工事を行うメリットについて解説するので、改修工事を行うか悩んでいるオーナー様は参考にしてください。

家賃水準を高く維持しやすい

住まいを探している方の中には「家賃が多少高くても、綺麗な家に住みたい」と思う方も少なくありません。建物の美観を保ち、適切な設備を導入することで、近隣の競合物件と比較されたときも賃料水準を維持しやすくなります。

賃料の下落スピードを緩やかにすることは、インカムゲインを狙う賃貸経営でも非常に重要な取り組みといえるでしょう。

入居率が向上する

外壁塗装は、アパートの第一印象を左右する重要な役割があります。建物の見た目を美しく保つことで、入居希望者様によい印象を与えられるからです。

入居希望者様をアパートにご案内したときのファーストインパクトが入居の決め手となり、契約につながるケースも多く見受けられます。適切な改修工事によってアパートを綺麗な状態にしておくことで、賃貸仲介率向上や入居率アップが期待できるでしょう。

資産価値の向上につながる

大規模修繕は単に古くなった建物や設備を修繕するだけではありません。建物をバリアフリー化したり、間取りを変更したりと、リノベーションによって資産価値を向上させた事例も多く見受けられます。

資産価値は、賃料や物件の売却金額に大きな影響を与えます。大規模修繕によって資産価値を向上し、築年数が古くても築浅物件と同等の家賃設定ができたケースや、売却時に利益が発生したケースなども珍しくありません。大規模修繕を行うときは、物件の出口戦略や将来の賃料などを考慮したうえで内容を決めることが大切です。

事故防止につながる

改修工事は、アパートでの事故を防止する役割もあります。築年数が経過した古いアパートは、外壁の落下や手すりの破断などで、入居者様が怪我をする恐れがあるからです。

アパート事故でオーナー様が損害賠償請求を受け、治療費や慰謝料などの支払いを求められたケースもあります。賃貸経営を安定させるためには、収支を守りながら将来の予期せぬリスクを回避することも重要なポイントです。

建物の寿命を延ばせる

大規模修繕は建物の収益性を高められるメリットがあります。修繕によって建物の寿命を延ばすことができれば、その分家賃収入を得られる期間も長くなるということです。

大規模修繕にはある程度の費用がかかりますが、ローン返済後は家賃収入がそのままオーナー様の収入となるため、長期的に見ると多くの収益を得られる可能性があります。

減価償却の対象になる

大規模修繕の費用は、工事の内容によって「修繕費」と「資本的支出」に分けられるのが一般的です。20万円未満の修繕や原状回復工事などは修繕費に、物件価値を高めるリノベーションや、建物の寿命を延ばすための修繕などは資本的支出に該当します。

修繕費は全額を経費として計上でき、資本的支出は減価償却費として毎年経費計上することになります。経費が増えるほど所得を圧縮できるため、節税対策としても効果的です。

住環境がよくなる

改修工事によって住環境を向上することもできます。例えばドアや窓、床などの工事で防音性を高めたり、エントランスにオートロックを設置したりと、住み心地を向上させるリフォームを行うケースも少なくありません。「生活音が気にならず静かに過ごせる」「セキュリティ設備が充実していて安心」など、入居者様が長く住みたいと感じる設備を積極的に導入し、空室改善につなげた事例もあります。

どれぐらい劣化している?建物診断で分かること

建物診断を行うことで、マンションの劣化具合を知ることができます。建物診断では、「経年劣化診断」や「耐震診断」「収益性診断」「配管劣化診断」などが行えます。その診断結果をもとにして、長期修繕計画を考えられるのです。

建物診断を行う目的は、大規模修繕の実施時期の検討や建物の劣化・不具合状況の把握、概算の工事費用の算出、長期修繕計画の見直しです。建物の状況や不具合の有無を確認できることから、あらかじめ修繕の必要性を把握することで、購入後のリフォームや修繕などのメンテナンスや費用の見積もりが立てやすくなるメリットがあります。

また、新築アパートについては建築時にあらかじめ大規模修繕計画を組み込んでおくことで、将来必要になる修繕の時期や工事内容についての詳しい見積もりを取ることが可能です。

建物診断の費用はアパートの規模によって異なりますが、一般的なアパート(10戸程度)なら20万円程度を目安としておけばいいでしょう。経年劣化診断・耐震診断・収益性診断などの対応項目によっても金額が変わるためご留意ください。

アパートの改修工事・リフォーム・大規模修繕を頼むポイントは?

アパートの改修工事や大規模修繕を行う意義やコストについてご紹介してきました。具体的に検討する際に、どの様なポイントに気を付けてパートナーを選べばよいか迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

賃貸経営では一般的なお住いとは異なる評価軸が存在します。「入居者様の居住空間を良くする視点」があれば、満室経営を目指せるかもしれません。

しかし、賃貸経営では「収支の視点」も非常に重要です。空室改善する知恵を盛り込むリフォームなどの改修工事。資産価値を維持向上する大規模修繕。改修工事が終わった後は「入居者募集と賃貸仲介」にどの様に反映するのかなど、賃貸経営の流れに合わせて改修工事・リフォーム・大規模修繕を頼むポイントをご紹介します。

空室改善につながる改修工事・リフォーム

アパート経営では、地域やターゲットにより間取りや設備の優位性に差が生まれます。一般的には築年数の経過に伴い、新しくできた競合物件のほうが「入居者様のニーズ」を反映しているケースが多くみられます。

改修工事のひとつである「リフォーム」とは老朽化した個所を元に戻すことをいいます。原状回復や設備入替えなどもリフォームと同じ意味で使われることもあり、収益物件では入居者様が退室した場合に、対象のお部屋を入居者様が住む前の状態に戻す原状回復と、老朽化した建物のキッチンやトイレなどの設備を新築の状態に戻すリフォームを併用して行います。

個別で対応すると工事費用が高額になってしまうため、まとめて工事対応を行うことで、ミニマムコストで空室改善に対応できます。

アパート経営において、入居者様に選ばれなければ空室が続き、賃料収入を得られません。だからこそ、「入居者様のニーズ」にあった設備導入や間取りを取り入れるためにリフォーム対応を行い、空室を改善し、適正賃料の収入を永く得る対応をしておく必要があります。

一般的なお住まいとは異なり、特別な理由がなければ、過剰投資する必要はありません。賃貸経営やアパート経営で注力するポイントは2つです。

1.収益のバランスを取る投資に抑える
2.入居者様のニーズを満たす投資をする

地域特性や物件の魅力を考え抜いたうえで、入居者様が求める付加価値の高い設備投資やリフォームを行えば、ミニマム投資で最大限の費用対効果を狙えるでしょう。

資産価値を守る大規模修繕

大規模修繕は建物の劣化を防ぎ、資産価値をできるだけ長く維持するためには必要な工事です。しかし、ここまで解説してきたように外壁塗装や防水工事、各種設備の取替など工事箇所は多岐にわたり、工事費用も高額になります。工事期間も小規模アパート、中規模アパート、大規模アパートで異なりますので、綿密な修繕計画が必要です。

基本的には修繕計画を建てた際のパートナーがいると思います。ただし、適切な修繕積立金がプールされているのか、定期的な大規模修繕のたびに然るべき対応を実行してきたか、修繕内容に過不足はないかなど、今までの対応状況を鑑みて依頼するとよいでしょう。

基本的には賃貸管理会社から紹介を受けたパートナーが望ましいでしょう。本来は安定的な賃貸経営を行うために大規模修繕を行います。賃貸管理会社と大規模修繕の会社が異なる場合、対応項目が手落ちになり、空室改善に繋がらない場合もあります。責任をもって入居者募集と賃貸仲介をしてもらうために、賃貸管理会社に一任することをおすすめします。

リーシング(入居者募集・賃貸仲介)

アパートの改修工事も大規模修繕も、突き詰めれば「適正賃料を永く得る」ために実施します。空室が改善されなければ投資回収期間も伸びてしまいます。

最後の重要ポイントです。改修工事により生まれた魅力を入居希望者様にお伝えし、「入居者募集」による集客が改善され、ご案内から契約に至る「賃貸仲介」までのリーシング活動まできっちり対応できているか確認することをおすすめします。

単発の対策ではなく「空室を改善する活動」を一気通貫で行うことで、資産保全だけではなく本来の目的である「適正な賃料収入を永く得る」対策になります。

アパートの改修工事事例

アパートの改修工事は、空室改善や資産価値の維持、リーシングなどの目的を持って行われるのが一般的です。以下では、改修工事によってオーナー様の悩みを解決した事例や、空室率が改善した事例などを紹介します。

長年の蓄積した汚れを大規模修繕とあわせて一掃した事例

宮城県で築25年の1棟アパートを経営するオーナー様は、外壁や屋根をはじめとした大規模修繕を検討していました。「物件全体の診断と修繕を行いたい」との相談を受け、建物を確認したところ、建物北側に水垢と苔が溜まっていることが分かりました。

外壁・屋根塗装に加えて外構部分の高圧洗浄を行ったところ、建物の印象が見違えるように明るくなり、清潔感もアップしました。

事例:高圧洗浄で築25年の汚れを一掃!大規模修繕と一緒に対応で費用削減

■リノベーション事例

価値向上(リノベーション)

ミニマムリフォームにより空室改善した事例

東京都にある築26年の1棟アパートで、空室改善リフォームを行った事例です。建物の老朽化によって長期の空室が発生しており、オーナー様は「入居が決まる部屋にしてほしい」とお悩みでした。浴室とトイレの分離や洗濯機置き場の設置、壁・床・建具の一新などのフルリノベーションを実施。

部分的にコストダウンしつつグレードアップするなど、リフォーム費用を抑えて工事を実施できたことにもご満足いただいています。新築のようなお部屋に再生し、改修後の入居率は100%に達しています。

事例:オーナー様の負担を軽くした割賦払いとミニマムリフォームで空室改善

■リフォーム事例

内装(リフォーム)

■リノベーション事例

間取り変更(リノベーション)

入居者ニーズを満たしたリノベーションにより競合物件と差別化できた事例

東京都にある築31年の1棟アパートで、競合物件との差別化を図る空室対策リノベーションを行いました。施工のポイントは、3点ユニットバスを独立トイレとシャワースペースへ変更したことです。

3点ユニットバスを1点または2点ユニットバスへ変更する場合、浴室のスペースを広げる必要があります。しかし、独立トイレとシャワースペースであれば広さを変える必要がなく、近隣物件との差別化にも効果的です。

事例:室内の内装リフォームと3点ユニットバスリフォーム工事で空室改善

■リフォーム事例

水回り(リフォーム)

設備対応(リフォーム)

アパートの改修工事は【リロの不動産】へお任せください

賃貸経営の工事対応は一般的な住宅と異なり、空室対策で重要な業務である、入居者様の募集に関する業務である「入居者募集」や、ご案内から契約締結まで対応する「賃貸仲介」にも影響を与えます。工事対応をした後の集客や仲介業務にはじまり、収益物件の売却もふまえて、賃貸経営の流れを俯瞰した一気通貫の対応をすると、高い効果を生み出すでしょう。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。