医師の不動産投資は節税と資産形成を両立可能! メリットと注意点を解説
2023.04.05開業医や勤務医などの医師の中で不動産投資を始めている人が増えています。医者が不動産投資を行うメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は、医師が不動産投資を行うことで得られるメリットと注意点について解説します。
▼この記事の内容
●医師と不動産投資は非常に相性がいい。その理由は①節税効果が得られる、②融資を得られやすい、③本業が多忙でもおこなえることにある
●不動産投資は減価償却という会計処理と損益通算を行うことで、所得税・住民税の大きな節税効果を得られる。また、相続税の圧縮にも効果がある
●節税効果を高めるためには、損益通算のために個人で物件を取得する、減価償却を取りやすい物件を選ぶ、建物部分の価値が大きい物件を選ぶ、売却時は長期譲渡所得となるようにするというポイントがある
●不動産投資には節税以外にも、長期・安定した収益を得られる、生命保険代わりになる、インフレに強い実物資産を得られる、レバレッジにより資産形成が進むというメリットがある
●医師が不動産投資に失敗する理由として、知識不足のまま営業トークに乗せられてしまった、節税だけを考えて儲からない物件を選んでしまった、勤務医がクリニックを開業する際の融資が難しくなったケースがあるので注意する
目次
医師に不動産投資が選ばれる理由
実際、医師と不動産投資は非常に相性がいいといわれています。その理由は大きく分けて、
・節税効果が得られる
・融資を得られやすい
・本業が多忙でもおこなえる
の3つです。3つの理由の詳細について、次項で詳しく説明します。
節税効果が大きい
一般的に医師は高所得者の部類に属します。高所得者であるということは、所得税の負担が大きいという悩みにつながりますが、不動産投資を行うことで節税効果を得られることが、医師が不動産投資を行う大きな理由です。
私たちが納める所得税の税率は、所得が大きくなるにつれ高くなる累進税率が採用されています。そのため、高所得者である医師だと収入の半分以上が税金で取られてしまうケースも珍しくありません。医師にとって節税対策は深刻な問題だともいえるでしょう。
節税効果の詳細は後述しますが、不動産所得の帳簿上の赤字を損益通算することで、本業の医師業から得る課税所得額を圧縮させる方法と、不動産投資を行うにあたり発生する費用を経費として計上し、最終的に不動産所得を減少させる方法があります。そして、節税効果を高めるために減価償却費が大きな意味を占めることも重要なポイントです。
属性の高い医師は融資審査が通りやすい
医師という職業は高年収であり、失業のリスクが他の業種よりも低いことから属性が高く、金融機関としても厚い信頼を寄せています。そのため、低金利および長期間での借り入れといった好条件での融資が通りやすくなっています。
不動産投資においては、収益物件の購入にあたってまとまった資金が必要となります。中古の区分マンションや中古戸建て住宅なら現金で購入できることもありますが、一棟アパート・一棟マンションでは億単位の資金が必要なときがあります。
その際は多くのケースで融資を受けて購入することになるわけですが、医師という属性から金融機関の審査が通りやすく、しかも長期間および低金利といった好条件で融資を受けられる可能性が高いのです。
金融機関から融資を受けて不動産投資を行うことには、ある重要な意味が含まれています。重要な意味とは、少ない資金で大きな利益を得られる「レバレッジ効果」が期待できることです。レバレッジを効かせることで、同じ利回りでも年間の収益を大きくすることができ、最終的な実質利回りを大きくすることにつなげられます。
例えば、
①1,000万円の物件(表面利回り8%)を自己資金で購入して運用する場合と、
②4,000万円を借り入れて5,000万円の物件(表面利回り8%)を購入して運用する場合
を比較してみましょう。
①の1,000万円の物件では年間の収益が80万円ですが、②の5,000万円の物件の賃料は400万円になります。4,000万円を借り入れた際の金利が2%、返済期間が20年、元利均等返済方式の場合、ローンシミュレーターによると年間返済額は2,428,236円ですので、実質的な利益は4,000,000円-2,428,236円=1,571,764円となります(※)。
これを「自己資本利回り」という指標で計算してみます。自己資本利回りは年間キャッシュフローを自己資金で除したものですので、計算式は以下になります。
1,571,764÷10,000,000×100≒15.7(%)
自己資本利回りは15.7%となり、現金で購入したときの約2倍の投資効率になります。
本業が多忙でも取り組みやすい
医師の業務は診療だけではありません。学会への出席や論文の読解など、つねに業務に追われている状態です。
そのうえで不動産投資、特にアパートやマンションなど集合住宅物件の経営を行うとなると、管理業務が非常に大変で手が回らないと思われるかもしれません。確かに、賃貸経営には入居者管理や入居者募集、建物の修繕や日々の点検に空室対策など管理業務は多岐にわたります。
しかし、管理業務を全て自分で行う必要はまったくありません。信頼できる賃貸管理会社を見つけ、管理業務を委託することで解決できます。
このように不動産投資は経営を仕組み化して分業体制で望めるため、本業が多忙な医師でも取り組みやすく、相性がいいといえます。
不動産投資による節税の仕組み
不動産投資は節税効果が高いといわれています。しかし、その仕組みまでしっかりと理解している人は少ないのではないでしょうか。この章では不動産投資によって得られる節税の仕組みについて解説します。
不動産所得とほかの所得との損益通算
勤務医なら、普段得ている収入は給与所得となり、不動産投資で得た収入は最終的に不動産所得になります。不動産所得の額は不動産投資で得た収入から、不動産投資を行うにあたって必要な経費を差し引いた額になります。
不動産投資で経費として計上できる費用にはさまざまなものがあり、管理費や修繕費、修繕積立金のほか、賃貸管理会社への委託料や不動産投資ローンの利息も経費計上可能です。また不動産購入時にかかった不動産取得税や減価償却費、損害保険料なども経費として計上できるため、特に不動産投資を始めた初年度には不動産購入時の諸費用を差し引けるため、赤字になるケースが多くみられます。
そして、不動産所得の赤字分はほかの所得つまり給与所得と損益通算(相殺)が可能です。損益通算を行うことにより、高額な所得になりがちな給与所得の課税所得額を減少させることができ、最終的に所得税および住民税を抑えることが可能になります。
開業医の場合は事業所得になりますが、事業所得も給与所得と同様に不動産所得との損益通算が可能です。
減価償却
減価償却とは、不動産投資のために購入した建物のように、時が経つにつれて価値が減少するような資産について、取得金額を取得時に全て経費として経費計上するのではなく、耐用年数の全期間にわたって分割して経費計上する方法になります。具体的には、取得金額に耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した額を毎年経費(減価償却費)として計上します。
例えば4,000万円で購入した築10年の建物(耐用年数47年)の償却率は0.022です。そのため、4,000万円✕0.022=88万円を毎年減価償却費として計上できます。
ここでポイントとなるのは、減価償却費は実際には支出していない金額であるにもかかわらず経費計上できることです。減価償却費は毎年費用として計上できるため、支出していない金額分だけ節税効果を得られます。ただし、土地は非減価償却資産とされており、減価償却の対象とならない点に注意が必要です。
不動産投資を行うにあたり、減価償却の仕組みを知っておくことはとても重要ですので、しっかりと理解を深めておきましょう。
相続税の節税も可能
実は不動産投資は相続税の節税対策としても利用可能です。相続税も所得税と同様に累進税率が採用されており、課税遺産評価額が高いほど相続税も高くなる仕組みが取られています。そして、遺産の評価額の計算方法は遺産の種類によって異なります。
例えば現金や株式ならばその金額や相続が開始したときの時価がそのまま評価額となります。しかし不動産として資産を保有しておくことで、実際の価値よりも低く評価される仕組みがあるのです。
そもそも不動産は相続税を計算するうえでの評価額の計算において路線価もしくは固定資産税評価額を用いるため、市場で実際に取引されている価格よりも30%程度評価額が低くなります。さらに収益物件であれば、50%以下まで評価額を下げられることからも、資産を現金で持っておくよりも不動産に変え、収益物件として活用しておくことで最終的な相続税額を下げることにつなげられます。
生前贈与にかかる贈与税についても、相続税と同じく軽減できます。収益物件を先に相続人となる予定の方に生前贈与しておくことで将来の相続財産を減らすことができ、家賃収入を相続人予定者の方が受け取るようにしておくことで、相続税の支払い原資にすることができます。
相続税の節税を視野に入れているなら、生前贈与にも合わせて取り組むことをおすすめします。
所得税・住民税節税を最大化する方法
一般的に高収入であり、納税額も大きい医師にとって、不動産投資における節税メリットは非常に大きいといえます。所得税や住民税に対する節税効果を最大化するには、以下のコツを押さえておきましょう。
・損益通算のために個人で物件を取得する
・減価償却を取りやすい物件を選ぶ
・建物部分の価値が大きい物件を選ぶ
・売却時は長期譲渡所得となるようにする
それぞれ簡単に紹介します。
損益通算のために個人で物件を取得
医師が所得税・住民税の節税効果を狙って不動産投資を行う場合は、個人名義で物件を取得します。個人の不動産所得が帳簿上赤字となった場合、損失を他の所得と合算(損益通算)すれば、その分課税所得が減る結果となり、節税につながります。医師はもともと所得が大きいため、損益通算により所得が減額できれば大きな節税効果が期待できるでしょう。
例えば、医師の給与所得が3,000万円の場合、所得税額は約770万円、住民税額は約260万円となります。 この医師が、不動産所得で帳簿上1,000万円の赤字となった場合、損益通算を行えば所得は2,000万円となり、所得税が約370万円、住民税が約160万円となり、約500万円減額できるのです。
不動産投資は法人を設立して行う方法もありますが、医師個人の節税を図るためには、個人で行います。
減価償却を取りやすい物件
不動産投資における節税効果を最大化するためには、減価償却を取りやすい物件を選ぶことが重要です。減価償却はあくまでも会計上の処理であり、不動産所得が帳簿上赤字になるといっても実際にはキャッシュアウトしないので、節税に有効に働きます。
減価償却の取りやすい物件とは、具体的には、法定耐用年数が超過した築古の物件が該当します。木造は法定耐用年数が22年、軽量鉄骨造(4mm以上)が34年、軽量鉄骨造(3~4mm)が27年、軽量鉄骨造(3mm未満)が19年となり、狙い目となります(※)。
法定耐用年数を経過した木造物件は、減価償却期間が4年間となるため、1年で建物部分の1/4が減額償却費となります。
法定耐用年数を経過した軽量鉄骨造物件は、次のようになります。
軽量鉄骨造(4mm以上)の減価償却期間:6年間
軽量鉄骨造(3~4mm)の減価償却期間:5年間
軽量鉄骨造(3mm未満)の減価償却期間:3年間
このように、所得税・住民税の節税を図るには、単年で多額の減価償却費を計上できる物件を取得する必要があるのです。
建物部分の価値が大きい物件
減価償却を大きく取るためには、建物部分の価値が大きい物件を選ぶ必要があります。取得した物件のうち、建物部分は減価償却の対象となり、土地部分は減価償却できません。建物の価値が大きい物件を選べば、より多くの減価償却費を計上できるため、節税効果が高くなります。
建物部分の価値が大きい物件とは、一般的に土地の価格が安い地域にある物件と考えられます。土地の価格が安いということは、都市部よりも地方や郊外の物件が該当するケースが多いといえます。
ただし、投資すべき物件は収益性も重要な要素となるため、バランスの取れた選択が求められます。
売却時は長期譲渡所得に
不動産投資では、出口戦略としての売却方法も重要です。収益物件は、最終的に売却して売却益を得ることでトータルの収益を確定させます。
物件の売却益については譲渡所得税が課税されるのですが、譲渡所得税の計算においてこれまで計上してきた減価償却費が取得費から差し引かれるため、結果として納税額が大きくなります。物件の売却方法を間違えると、これまでの節税効果が「帳消し」となってしまいかねません。
売却時の利益が「長期譲渡所得」として扱われるようにすれば、節税効果を高められます。長期譲渡所得とは、売却した年の1月1日における所有期間が5年を超過した後に売却した場合に適用される所得区分で、税率が20.315%となります。所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」の税率は39.63%ですので、約半分となります。
長期譲渡所得と短期譲渡所得では、納税額に天と地の差がありますので、絶対に間違えないようにしましょう。
医師が不動産投資に取り組むことによる節税以外のメリット
医師が不動産投資を行うことにより節税効果を得られることについては上で述べたとおりですが、不動産投資には節税以外にも、以下に述べるような長期的かつ安定した収益を得られることやインフレに強い資産を保有できるといったメリットも存在します。
実際の収益物件の経営については、以下の購入事例を参照してください。
長期・安定した収益を得られる
収益物件を購入し、賃貸に出す経営手法の不動産投資には、長期にわたって安定した収益を得られるというメリットがあります。入居者様の賃貸ニーズが高い立地や物件を選ぶことが求められますが、立地や物件の状況を読み間違えなければ安定して家賃収入を得られる可能性は高くなります。
不動産投資は、他の投資商品と比べると価格の値動きが緩やかな傾向がある一方、家賃収入で長期・安定した収益を得られることから、ミドルリスク・ミドルリターンの投資方法とされています。
もちろん不動産投資には特有のリスクがあり、そのコントロールが必要ですが、賃貸経営が軌道に乗ってくれば長期で安定した家賃収入を確保できるでしょう。
生命保険代わりになる
金融機関から融資を受けて不動産投資を行う場合、多くのケースで「団体信用生命保険」へ加入することになります。融資の種類は住宅ローンではなく不動産投資ローンになるため、団体信用生命保険への加入は任意のこともありますが、団体信用生命保険に加入することで、自分に万が一のことがあった場合や高度障害の状態になった際には、その後のローンの支払いが免除されます。
相続までを視野に入れているなら、団体信用生命保険に加入していることでローン残債のない収益物件を遺族に残すことも可能です。
また、通常の生命保険に加入する場合は保険料の支払いが発生しますが、不動産投資ローンを利用した団体信用生命保険であれば、保険料の支払いは家賃収入で賄えるというメリットもあります。
インフレに強い実物資産を得られる
現物投資の不動産投資は、インフレに強い点が特徴です。そもそも不動産にはインフレに強いという側面があり、地域によっては物価上昇と合わせて不動産の価値も上昇する傾向にあります。
最近では物価の上昇が続いており、今後もインフレの状態が続くと予想されています。そのような中で資産を現金で保有しておくと、資産価値が減少してしまいますが、不動産で保有することにより逆に資産価値を増やすことにつなげられるのです。
実際に消費者物価指数は過去70年間の間に約8倍まで上昇しています。つまり、現金の価値は70年間の間に約8分の1まで減ってしまっていることになります。その点、不動産は消費者物価指数に連動して上昇するため、物件選びさえ間違えなければ確実に資産価値を増やすことができるでしょう。
土地を保有する開業医などの場合は、相続を見越した病院経営としての土地活用として賃貸経営と病院経営を併用することも一考の余地があります。
レバレッジにより資産形成が進む
医師が不動産投資を行う際の節税以外の大きなメリットとして、レバレッジを利用することによって資産形成を加速させられる点があげられます。レバレッジとは、借り入れを利用して自己資金以上の投資を行い、その運用益によって資産を増やす手法を指します。
不動産投資では、金融機関による不動産投資ローン(アパートローン)を利用して自己資金の数倍にあたる物件を購入するのが一般的です。
例えば、現金2,000万円をそのまま投資して2,000万円の物件を購入した場合、利回り5%であれば年間家賃収入は100万円となります。それに対して、自己資金2,000万円に融資8,000万円をプラスして1億円の物件を購入した場合は、同じ利回り5%でも年間家賃収入は500万円となり、仮にローン返済がその半分であったとしても250万円のキャッシュフローを得ることができます。
特に、医師は信用力が高いため、有利な条件で融資を受けやすくなります。レバレッジを適切に活用することで、医師は自己資金を効率的に運用し、早期に資産形成を進めることができるのです。
医師が不動産投資に失敗してしまう理由
不動産投資も投資である限り、不幸にも失敗してしまう事例がありえます。医師が不動産投資に失敗してしまう理由として代表的なものは、以下の3つが挙げられます。
・知識不足のまま営業トークに乗せられてしまった
・節税だけを考えて儲からない物件を選んでしまった
・勤務医がクリニックを開業する際の融資が難しくなった
それぞれ解説します。
知識不足のまま営業トークに乗せられてしまった
知識不足のまま不動産会社の担当者の営業トークに乗せられてしまって、不動産投資に失敗する方は一定数います。
残念ではありますが、不動産会社が投資家に対して物件を販売する際に、魅力的な利回りや節税効果ばかりを強調して、リスクやデメリットについて十分に説明しないケースも一定数あります。医師は本業が忙しいため、不動産投資に関する勉強や市場調査を十分に行う時間が取れない方も多く、その結果、営業担当者の言葉を信じて投資を決定してしまう場合もあるのです。
投資対象の物件に関するリスクを十分に理解せずに購入を決定すると、後になって想定外の問題が発生する恐れがあります。建物・設備の管理やメンテナンス費用が予想以上にかかったり、空室が続いて収益が想定を下回ったりするケースがあるでしょう。
このような失敗を避けるためには、不動産投資に関する基本的な知識を習得し、購入の意思決定前にしっかりと調査を行うのが重要です。また、信頼できる専門家のアドバイスを受けることで、営業トークに惑わされずに、冷静な判断を下せるでしょう。
節税だけを考えて儲からない物件を選んでしまった
不動産投資を行う医師の中には、節税効果を期待して物件を購入する方が多いのですが、節税のみを目的とし、収益性の低い物件を選んでしまうと不動産投資失敗の原因になります。
節税効果は不動産投資において重要な要素ですが、それだけに囚われてしまうと、物件そのものの収益性や将来性を見落としてしまい、結果的に物件が利益を生んでくれず、節税のための行動が単なる「損失」となる可能性があります。
例えば、節税だけを考えて減価償却を大きく取れる築古物件に飛びついてしまう方もいるかもしれません。購入した物件の立地条件や賃貸需要、管理費用の観点から投資物件として収益性が弱い場合、負担だけが残ることになります。
不動産投資においては、節税効果だけでなく、物件の収益性や市場価値の安定性を総合的に評価することが必要です。総合的にメリットのある物件を選ぶことで、長期的に見て成功する不動産投資が実現できるでしょう。
勤務医がクリニックを開業する際の融資が難しくなった
勤務医が不動産投資を行う際は、将来的にクリニックを開業する際の融資が難しくなるリスクがある点に注意が必要です。
クリニックの新規オープンには、通常数億円の資金が必要となるため、一般的には金融機関からの融資が必要になります。不動産投資により大きすぎる負債を抱えている場合は、金融機関の与信枠(貸付限度額)を縮小させることになってしまいます。金額によっては、融資を断られるリスクが高まるでしょう。
将来的にクリニック開業を視野に入れている勤務医は、不動産投資を計画する際に、自己資金と借り入れのバランスを慎重に考える必要があります。金融機関は賃貸経営の収益性も重視しますので、節税だけではない収益性のある不動産投資がここでも求められます。
クリニック開業の際の資金計画も重要です。不動産投資と開業資金の確保を両立させるためには、長期的な視野で資産形成と負債管理を行い、無理のない投資計画を立てる必要があるといえるでしょう。
医師が不動産投資を成功させるための注意点
医師が不動産投資を成功させるためには、以下の3点に注意してください。
・不動産投資について最低限の勉強をする
・リスクコントロールをつねに意識する
・賃貸経営をサポートする賃貸管理会社とパートナーを組む
それぞれ解説します。
不動産投資について最低限の勉強をする
医師が不動産投資を成功させるためには、最低限の知識の習得が不可欠です。
不動産投資は、物件の選定やローンの組み方、税金の計算など専門的な知識が必要です。不動産関連の法令についてや、リスクマネジメント、建築の知識などが求められるケースも多いでしょう。これらの知識がないまま投資を行うと、不動産会社の営業トークに乗せられてリスクの高い物件を購入してしまう可能性が高まります。また、収益性の低い物件に手を出してしまい、長期的に見て資産が減少する恐れもあるでしょう。
不動産投資は入居者様に住環境を提供する不動産賃貸業であり、株式やFX(外国為替証拠金取引)など他の投資とは異なり、事業の側面が強いものです。「資金を投下したら終わり」ではなく、賃貸経営を継続して収益を積み重ねるものなので、勉強を通じて経営の工夫が発揮できるものでもあります。
成功させるためには、医師として多忙な日々を過ごしながらでも、書籍やセミナーを通じて基本的な不動産投資の知識を学ぶ努力を欠かさないようにしましょう。専門家のアドバイスを受ける際にも、基礎的な知識があれば適切な質問を行えるため、自分にとって最適な選択をする助けとなります。
リスクコントロールをつねに意識する
医師が投資を成功させるためには、リスクコントロールをつねに意識することが重要です。
リスクコントロールとは、予測可能なリスクを事前に把握し、そのリスクを最小限に抑えるための対策を講じることを指します。不動産投資には、空室リスク、家賃滞納リスク、修繕/老朽化リスクなど特有のリスクがともないますが、多くのリスクは事前に対策が可能で、適切な予防策によって低減化することが可能です。
例えば、空室リスクに対しては、「①入居者募集対応」「②仲介対応」「③管理対応(入居者対応/建物管理)」「④設備・工事対応」の、『4つの空室対策』を意識する必要があるでしょう。
災害リスクに備えて保険に加入したり、複数の物件に分散投資したりして、リスクを軽減することも考慮すべきです。リスクを適切に管理することで、投資の安定性を高め、長期的な成功を収めることができるでしょう。
賃貸経営をサポートする賃貸管理会社とパートナーを組む
不動産投資を成功させるためには、信頼できる賃貸管理会社とパートナーを組むことが非常に重要です。医師として多忙な生活を送りながら、物件の管理や入居者対応をすべて自分で行うのは現実的ではありません。そのため、効率的に賃貸経営をするためには信頼できる賃貸管理会社への業務の委託が必要不可欠といえます。
賃貸経営を適切にサポートしてくれる賃貸管理会社は、入居者募集や契約手続き、賃料の回収、物件のメンテナンスなど、幅広い業務を代行してくれるうえ、不動産投資におけるさまざまなリスクコントロールにおいても強力なパートナーとなってくれるでしょう。
特に、入居者管理やトラブル対応は、専門知識が必要であり、迅速かつ適切な対応が求められるため、プロフェッショナルに任せることで安心感を持って不動産投資に取り組めるはずです。
賃貸管理会社の実力を見極めるために、「管理戸数」と「賃貸仲介件数」に着目してみましょう。
基本的には、管理戸数が多ければ多いほど多様な入居者ニーズに対応できると考えられます。物件の管理対象地域を全国としているか、特定地域としているかでも変わってきます。
仲介件数とは、客付けに成功した実績を表す数値になります。そこでは、入居希望者様の多様なライフスタイルにマッチする物件の魅力をプレゼンする「提案力」が求められます。仲介件数は物件のよさだけで計ることはできません。入居希望者様とのコミュニケーションが決め手になります。
まとめ
医師と不動産投資は非常に相性がいいですが、万が一失敗すると大きなダメージになります。失敗を回避するためにも信頼できる賃貸管理会社をパートナーに選ぶことが大切です。
【リロの不動産】は医師のオーナー様との協働実績も豊富ですので、医師のオーナー様だからこそ提案できる内容もございます。
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特に空室問題を解決するための代表的なフレームワークである『4つの空室対策(募集/仲介/入居者管理/設備・工事)』を徹底して実行しております。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。