不動産投資のレバレッジ効果を事例で解説!自己資本利回りの仕組みとリスク・注意点

2026.01.01

「不動産投資の優位性はレバレッジにあり」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。節税や相続税対策にフォーカスされがちなイメージのある不動産投資ですが、レバレッジの理解を深めることで、無理のない不動産投資を適切に行えます。

そこで、不動産投資におけるレバレッジの基本知識から、総収益率(FCR)・自己資本利回り(CCR)・イールドギャップ(YG)など、不動産投資で大切な指標の意味と計算方法に加えて、レバレッジを効かせるメリットや注意すべきポイントまで詳しく解説します。ぜひ、不動産投資の参考にご活用ください。

▼この記事の内容

●レバレッジには「てこ」の意味があり、投資の世界では少ない原資を活かして、大きなリターンを得ることを「レバレッジが効く」と表現する。不動産投資におけるレバレッジは、投資用の収益物件を購入する際に金融機関から融資を受けることを意味する。

●レバレッジをかけて投資をした場合に指標として参考にできるものに、自己資本利回り(CCR)、イールドギャップ(YG)、借入金比率(LTV)、債務回収比率(DCR)がある。

●レバレッジによるメリットとしては、自己資金が少なくても投資ができる、投資効率が良い、自己資金を手元においておくことができる、インフレ時の債務者利得がある、団体信用生命保険(団信)に加入できる、がある。

●イールドギャップを高める方法としては、利回りを高くする、融資の金利を低くする、融資期間を長くする、がある。

●レバレッジのリスク・注意点としては、綿密なシミュレーションのもと資金計画を立てる、金利上昇リスクと利回りが低下するリスクに注意する、融資を断られることがある、がある。また、突発的な費用の発生に注意し、イールドギャップのみで物件を判断しないようにする。

レバレッジの基本知識

最初に、レバレッジとはどのような意味を持つのでしょうか。金融資産における投資のレバレッジと、実物資産における不動産投資のレバレッジ、自己資本利回りとイールドギャップなどの基本知識から解説します。

金融資産の投資におけるレバレッジ

レバレッジには「てこ」の意味があり、もともとは小さい力で大きな力を生み出せる物理の「てこの原理」がもとになっている用語です。投資などの金融業界では、少額の投資資金で大きなリターンが期待できることを指します。

少ない原資を活かして、大きなリターンを得ることを「レバレッジが効く」と表現します。

株式投資では「信用取引」の利用により、保証金を担保として手元にある資金よりも大きな取引が可能になります。信用取引では保証金の最大3.3倍の取引ができることで、同じ資金でも得られる利益が違います。

例えば、株の売買代金から30%の委託保証金を差し入れて取引する場合を考えてみましょう。100万円の原資を担保にした場合は、信用取引では3.3倍の約330万円まで投資が可能になります。仮に10%株価が上昇したと仮定すると、330万円なら利益は33万円になりますが、レバレッジを効かせずに原資の100万円分の株式を購入した場合なら利益が10万円にしかなりません。

実物資産の不動産投資におけるレバレッジ

不動産投資におけるレバレッジは、投資用の収益物件を購入する際に金融機関から融資を受けることを意味します。実物資産である不動産投資では、収益物件を購入するために大きな金額が必要になることが多く、お手持ちの資金だけで購入できる物件は限られます。特にアパートやマンションを一棟丸ごと購入する場合は、自己資金だけで購入するためにはかなりの資産が必要になるでしょう。

しかし、金融機関からの融資を活用してレバレッジをかけると、自己資金だけでは手が届かない物件を投資対象にできるため、不動産投資戦略の幅が広がります。

具体的な例として自己資金(頭金)を500万円用意し、不動産価格の異なる利回り8%の物件を購入するケースを考えてみましょう。

自己資金だけで500万円の物件を購入した場合は、「500万円×利回り8%」となり、年間収益は40万円得られます。

次に、金融機関から2,500万円の融資を受け、自己資金の500万円を足して、3,000万円の収益物件を購入した場合の年間収益は「3,000万円×8%」で年間利回りは240万円になります。同じ利回り8%の収益物件でも、融資を活用してレバレッジを効かすことで、得られる年間収益に6倍の違いがでるのです。

自己資本利回り(CCR)

レバレッジをかけて投資をした場合、指標として参考にできるものに「自己資本利回り」があります。

CCR(Cash On Cash Return)とも呼ばれ、年間キャッシュフローを自己資金で割った数字です。自己資金として出した金額に対してどのくらい利益が出たのかを表す目安となるもので、「自己資本利回り(%)=年間キャッシュフロー÷自己資本×100」の計算式で算出します。

前項の例で試算しましょう。自己資本を500万円投入し、返済率50%と仮定すると「3,000万円×8%×50%」で年間キャッシュフローは120万円になります。自己資本利回りの計算式を計算すると「120万円÷500万円×100」で自己資本利回りは24%です。

自己資本利回りは自己資本がどのくらいの利回りで運用できているのかを示す指標であるため、投資を効率よく行えているかどうかの判断材料になります。

不動産投資と利回りについての考え方は、以下の関連記事をご参照ください。

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ローン定数(K%)

「ローン定数(K%)」は、ローン残高に対する年間返済額の割合を示す指標であり、以下の計算式で求められます。

ローン定数(K%)=ローンの年間返済額÷ローン残高×100

ローン定数が高いほど、残高に対する年間返済額の割合が高い=返済負担が大きい、と考えられるでしょう。不動産投資ローンに限らず、ローンを借り入れる際は金利に目が行きがちですが、実際には返済期間の長さによっても返済負担は大きく変わります。

イールドギャップ(YG)

イールドギャップ(YG)とは、投資における利回りとローン金利の差を数値で示したものです。両者を比べることによって、融資を効率的に活用できているかどうかを判断できます。

差分が大きいほど利益が大きくなるため、融資を効率的に活用できている、つまり、レバレッジの効果が具体的な数値で測れる指標です。同じ利回りなら、当然ローン金利の低いほうが投資効率は高くなるでしょう。ローン金利が同じケースでは、利回りが高いほうが効率的に投資できていることが分かります。

ただし、ローン金利は融資期間の長短によって月々の返済額が変わるため、イールドギャップの計算では一般的な金利ではなく、ローン定数(K)で計算するのが一般的です。イールドギャップは「実質利回り÷ローン定数(K)」で求めます。実質利回りは賃貸経営にかかった年間の費用を差し引いた純営業利益をもとに計算する利回り、ローン定数の計算式は「年間返済額÷総借入金額」です。

なお、イールドギャップは2.5~3.0%以上であることが理想だとされています。

借入金比率(LTV)

借入金比率(LTV:Loan to Value)とは、物件価格に対してどれだけ借入金を利用しているかを示す指標です。借入返済の安全性を判断するために利用され、金融機関からは融資の際の担保掛目として重視されます。

計算式は、

借入金比率(LTV)= 借入金額 ÷ 物件価格×100

となっており、「%」で表示されます。

LTVが高ければ高いほど借入金の割合が高い、つまり自己資金が少ない状態で物件を運用している(レバレッジ効果が効いている)と判断できます。例えばLTVが100%であれば、フルローンで投資運用している状態ということです。

不動産投資では頭金として物件価格の10~30%ほどが目安とされていますので、LTV=70~90%程度が初期段階での目安となるでしょう。

一般的には借入金の割合が大きいと金利上昇リスクも高くなるため、金融機関によってはLTVに上限を定めている場合があります。

ただ、LTVの数値に明確な目標設定や法的な決まりがあるわけではありません。あくまでも指標の一つですので、実際の融資判断においてはオーナー様の信用力、資金計画の確実性などから総合的に判断されることになるでしょう。

債務回収比率(DCR)

債務回収比率(DCR:Debt Service Coverage Ratio)とは、物件の収益力が返済額に対してどれだけ余裕があるかを示す指標のことです。

具体的には「どのくらい余裕をもって不動産投資ローンを返済しているか」「収益に対して返済が重すぎないか」などを判断するための指標として利用されます。DSCRと表記されていることもあり、日本語訳も「借入金償還余裕率」「返済余力率」など、さまざまな表記のされ方をするので、混乱しないように注意してください。

DCRの計算式は、次のとおりです。

営業純収益(NOI)÷ 年間返済額(元本+利息)

数字が大きければ大きいほど余裕を持った返済状況と判断され、目安として1.2を超えていれば比較的健全な経営とされます。

例えば家賃収入からの純利益が年間120万円の場合、DCR1.2以上の数値は年間返済額100万円以下であれば達成可能です。

逆に年間返済額が120万円を超える、つまりDCRが1以下だと、純利益だけでは返済額をカバーできないことを意味し、投資経営は危険水域にあるのではないかと判断されます。

不動産投資のレバレッジをシミュレーションする

ではレバレッジの基本が分かったところで、次に、具体的な不動産投資の事例をもとにレバレッジをシミュレーションしてみましょう。

物件概要と条件の整理

レバレッジのシミュレーションを行う物件概要と試算条件を以下のとおりとします。

物件価格 5,000万円
購入時諸費用 250万円
年間家賃収入 500万円
年間諸経費 150万円
自己資金 750万円
借り入れ 4,500万円
金利   2%
返済期間 30年

自己資金750万円に対して4,500万円の融資を受け、購入時諸費用を含めて5,250万円の物件に投資するケースです。自己資金だけに比べると、7倍の価格の物件に投資できています。この物件の事例をもとに、以下の段落で実質利回りと総収益率(FCR)、自己資本利回りとイールドギャップの計算をしていきます。

実質利回りと総収益率(FCR)の計算

レバレッジのシミュレーションをするために、まずはこの物件の実質利回りと総収益率を出す必要があります。利回りにはいくつかの種類があり、「年間家賃収入÷物件価格×100」で算出される「表面利回り」が最初に見る利回りになります。グロス利回りとも呼ばれる表面利回りは年間コストが反映されていないため、現実の状況を正しく反映しているとはかぎりません。

一方、より現実的な利回りを把握できるのが、年間家賃収入から維持管理費や固定資産税などの年間コストを差し引いて計算する「実質利回り」です。実質利回りは「営業純利益÷物件価格×100」で計算するため、今回のシミュレーションでは「(年間家賃収入500万円-年間諸経費150万円)÷5,000万円×100」で7%になります。

続いて、購入時にかかったコストも加味して算出する総利益率(FCR)を計算すると、「(年間家賃収入500万円-年間諸経費150万円)÷(物件価格5,000万円+購入時諸費用250万円)×100」で総利益率(FCR)は6.67%です。

自己資本利回りの計算

続いて自己資本利回りの計算をしてみましょう。ローン返済額は借入金額4,500万円、金利2%、返済期間30年、元利均等返済方式で算出すると年間のローン返済額は約200万円になります(※)。

自己資本利回りを計算するためには、年間キャッシュフローの金額も出す必要があります。実例で考えてみると、年間キャッシュフローは年間家賃収入500万円から年間諸経費の150万円、上記で計算した年間ローン返済額200万円を差し引いた金額で150万円になります。

自己資本利回りは年間キャッシュフローを自己資本で割ったものです。計算式「年間キャッシュフロー÷自己資本×100」に当てはめると、「(年間家賃収入500万円-年間諸経費150万円-年間ローン返済額200万)÷自己資本750万円×100」で20%になります。

現金で諸費用を含めて5,250万円の物件を購入した場合、営業純利益が350万円あっても投資回収まで15年かかります。融資を活用するとローン返済額を差し引いた150万円の利益でも、750万円の融資を5年で返済可能です。これが資産拡大スピードを上げる、融資を活用した不動産投資のレバレッジ効果です。

※出典:ke!san「ローン返済(毎月払い)」

イールドギャップの計算

イールドギャップのイールド(yield)は利回りを表す言葉であり、イールドギャップは利回りと融資の金利の差のことです。不動産投資で耳にする金利には表面利回りや実質利回りなどがありますが、イールドギャップの計算では収益物件の経営にかかる費用や購入時にかかった費用も含めた「総収益率(FCR)」を使います。

ただし、ローンの年間返済額は融資期間が長ければ小さく、短ければ大きくなるため、イールドギャップの計算では融資期間を加味することがポイントです。

そこで、まずは計算式「年間ローン返済額÷総借入金額」を用いて、ローン定数(K)を算出します。具体的に実例の金額を入れてみると「200万円÷4,500万円×100」で、ローン定数は4.44%です。

イールドギャップは総収益率FCRからローン定数を引いた数値になるため、「総収益率FCR6.67%-ローン定数(K)4.44%」で、2.23%となります。理想の水準を超えているので数字上は投資に値すると判断できます。

レバレッジによるメリット

レバレッジ効果をうまく活用できれば、不動産投資を行うにあたっていくつかのメリットがあります。次にレバレッジによる代表的なメリットを3つ紹介します。

自己資金が少なくても投資ができる

金融資産の投資と異なり、不動産投資の大きなメリットは、レバレッジ効果により自己資金が少なくても投資が可能なところです。レバレッジを効かせない場合は、希望条件に見合う収益物件が見つかっても、自己資金が不足していれば、投資を諦めざるを得ないこともあるでしょう。

投資に値する収益物件が見つかり、融資を受けられれば不動産投資を開始できますが、自己資金が足りないために投資を諦めるのは「投資の機会損失」にも繋がります。前提として、全ての希望条件を満たす収益物件になかなか出会えません。また、一般的な住宅よりも収益物件は早く決まる傾向になります。

不動産投資ビジネスの特徴を活かしてレバレッジを効かせることで、チャレンジのハードルを下げて、資産拡大スピードを向上することができます。

もちろん、自己資金の範囲内で投資を行うという選択肢もあるでしょう。ただ、収益も自己資金の相当分しか入ってきません。一方で、レバレッジを効かせて自己資金の何倍もする金額の物件を購入できれば、ローンの返済額を差し引いても、自己資金だけの投資を大きく上回る収益を上げて、回収期間も短縮できる可能性があります。

レバレッジによるメリットのひとつは、自己資金が少なくても、一歩踏み出せば大きな収益を上げられるチャンスがあることです。

投資効率が良い

レバレッジを効かせると、自己資金をはるかに上回る金額の物件でも購入が可能です。シミュレーションでみた実例では、5,000万円の物件に対する実質利回りは「(500万円-150万円)÷5,000万円×100」で7%でした。融資を受けずに現金でこの物件を購入すれば、諸費用も含めた総収益率は「(500万円-150万円)÷(5,000万円+250万円)×100」で6.67%です。

しかし、同じ物件を自己資金750万円、残りを融資で賄った場合、自己資本利回りは「(500万円-150万円-200万)÷750万円×100」で20%にもなります。これだけを比べても、現金で購入するよりレバレッジを効かせるほうが、投資効率がいいのは明らかでしょう。

用意できる資金は少なくても、融資を活用して規模の大きい収益物件に投資できれば投資効率は各段に良くなります。その分、資産形成のスピードアップができるのは大きいメリットです。

自己資金を手元においておくことができる

仮に自己資金に余裕があったとしても、融資を活用することで余剰資金を手元に用意しておけるメリットがあります。例えば、自己資金600万円を投じて利回り7%、物件価格600万円の物件に投資したとします。年間家賃収入は「600万円×7%」で、年間家賃収入は42万円です。

一方、自己資金100万円でレバレッジを効かし、同じ利回り7%で2,000万円の物件を購入したとしましょう。この場合、年間家賃収入は「2,000万円×7%」で140万円になります。ここから1,900万円の借入金を金利3%、30年の返済を仮定すると、ローンの年間返済額は約96万円です(※)。

そうなると100万円の自己資金でレバレッジを効かせても、「年間家賃収入140万円-年間返済額96万円」となり、年間概算収入は44万円となります。このケースでは自己資金600万円だけで購入した物件と、手元に残るキャッシュフローはあまり変わりません。

ただし、自己資金は100万円しか使っていないため、600万円自己資金を投入したケースに比べると、500万円が手元にある状態になります。レバレッジを活用することで手元に残る資金を確保できるため、設備トラブルや、急な出費への対応のほか、新しい有望な収益物件が出てきたときの購入費用にあてるなど、リスクを分散化できます。

※出典:ke!san「ローン返済(毎月払い)」

インフレ時の債務者利得がある

インフレが進行すると、価値の目減りが少ない不動産への需要が高くなるため、不動産価格は上昇傾向となります。

建物部分は築年数の経過とともに価値が目減りしていきますが、土地の価格はあまり下がりません。そのため、不動産はインフレ状況下では資産の転換先としても需要が高まります。当然、不動産価値の上昇にともなって家賃相場も上がりますから、不動産投資家にとっては家賃収入を拡大させるチャンスです。

実際に、不動産投資家向け情報サイト「健美家」のレポートによると、区分マンションの平均価格は前年比18.99%増、一棟マンションは4.82%増と、大幅な価格上昇が報告されています。

出典:健美家レポートニュース「区分マンション価格、2年連続二桁上昇(収益物件市場動向年間レポート 2024年1月~12月期)」

その一方で、不動産投資ローンの返済額は、変動金利による影響があったとしてもそれほど大きな変動はありません。むしろ、インフレによって貨幣価値そのものが下がるため、債務の実質的価値も減少します。インフレ状況下の1,000万円の負債は、数年前の1,000万円の負債と比べると、実質的価値はそれ以下になっているということです。

このようにインフレ時は家賃収入の上昇によって収益が上がる一方、借入額の実質的価値が相対的に下がるため、投資家にとって有利な状況が生まれやすいといえます。

団体信用生命保険(団信)に加入できる

一般的な住宅ローンではおなじみの団信(団体信用生命保険)ですが、不動産投資ローンにおいても加入することができます。

ただし、不動産投資ローンの団信への加入は、ローン契約時のみに限定されます。ローン契約の途中で団信に加入することは基本的にできません。金融機関によっては団信への加入が融資条件となっている場合もあります。万が一の場合に収入が途絶えるリスクを低減できるため、心強い味方となるでしょう。

逆に自己資金が豊富にある、返済期間を短めに設定できるケースでは、あえて団信に加入するメリットはあまり大きくありません。保険料をローンに上乗せして払うことになるため、トータルでみると返済総額が大きくなるからです。

不動産投資における団信加入のメリットは、投資経営の最後のリスクヘッジとなる点です。ローン契約者に病気やケガなどで万一のことがあった場合にその保険料でローン残債を補ってくれるため、収入が途絶えてもローン負担のない不動産を残せます。

投資物件は家賃収入を生み続けますから、残されたご家族の生活を支える大切な資産として活用することもできるでしょう。

なお、団信を利用するとローン金利のなかに保険料が含まれるかたちの契約となりますので、ローン金利自体は高くなる点には要注意です(通常は0.2~0.3%の上乗せ)。中途解約もできませんので、団信が本当に必要かは加入前によく吟味する必要があります。

イールドギャップを高める方法

レバレッジをかけた不動産投資においては、イールドギャップが極めて重要な指標です。イールドギャップを高めることでレバレッジ効果は最大化され、キャッシュフローを大幅に改善できます。

イールドギャップを高めるためには、どのような方法があるのでしょうか。その基本的な手法について解説します。

利回りを高くする

イールドギャップは次の数式で計算します。

イールドギャップ = 総収益率(FCR)- ローン定数(K)

ちなみに総収益率、ローン定数についても数式を示しておきましょう。

総収益率(FCR)= 総営業収益(NOI)÷ 総投資金額(物件価額+諸費用)
ローン定数K = 年間元利返済額 ÷ 総借入額 

数式からもわかるとおり、イールドギャップを大きくするためには、

・総収益率(FCR)を上げるために、「総営業収益(NOI)」を大きくする
・ローン定数を小さくするため、「年間元利返済額」を抑える

この2点からのアプローチが重要となります。

総収益率を高い数値にするには、総営業収益(NOI)を大きくする必要があります。

総営業収益(NOI)の計算式は次のとおりです。

総営業収益(NOI)= 年間家賃収入(満室時) - 空室・滞納損失分 - 諸経費
 
総営業収益(NOI)を大きくするためには、できるだけ空室の発生を抑えつつ、必要経費を小さくすることが大きなポイントとなります。また、年間家賃収入そのものを増やすために家賃を上げるなど、収益性を改善することも有効な手段です。

家賃設定や空室率の有無などは物件の持つポテンシャルに依存する面も大きく、物件の選定時点である程度の勝負が決まるといってもいいでしょう。当たり前のようですが、期待値の高い不動産を見つけられるかどうかは不動産投資において極めて重要といえます。

融資の金利を低くする

先ほどおさらいしたとおり、イールドギャップを高める(=レバレッジ効果を高める)ためには、

・総収益率(FCR)を上げるために、「総営業収益(NOI)」を大きくする
・ローン定数Kを小さくするため、「年間元利返済額」を抑える

この2つが重要なポイントでした。

1点目の「収益性を高める」は空室率の改善、賃料の引き上げなどが具体的な対応策となりますが、2点目の「ローン定数を下げる」ために必要な対策は「できるだけ低金利で借入すること」になります。

低金利での借入れが実現すると「年間元利返済額」を低く抑えられますので、結果としてローン定数も小さくなり、イールドギャップは大きくなるでしょう。

ただ、金利を低くするといっても、実際に金融機関との交渉によって金利を下げてもらうことは難しいです。借り手となるオーナー様の資産状況、事業の継続性や対象不動産の収益性などにも左右されますし、そもそも金融機関にとっては不利な条件だからです。

低金利での借入を実現できるよくある事例は、他の融資(住宅ローンやカーローン、教育ローン、メインの預金口座など)などですでに関係性のある金融機関から借入する方法です。何らかの取引実績を作っておくことで金融機関側からの信用を得ている場合は、交渉次第で低金利での借入に応じてくれる可能性が高くなります。

融資期間を長くする

ローン定数を下げるためには「年間元利返済額」を小さくすることがポイントになりますが、この返済額を縮小する方法には金利を下げる方法のほかに、融資期間を延長する方法もあります。

ローン定数の数式をもう一度見てみると

ローン定数(K) = 年間元利返済額 ÷ 総借入額 

となりますが、融資期間を延長すると年間元利返済額は小さくなりますので、ローン定数も低くなります。

一棟マンション投資で、借入額1億円、金利を4%(ボーナス加算無し、元利均等返済方式)で10年間借入した場合と、20年借入した場合をそれぞれ比較してみましょう。

・借入期間10年間の場合
年間元利返済額:約1,215万円 ローン定数=12.1
総返済総額:約1億2,149万円

・借入期間20年間の場合
年間元利返済額:約727.1万円 ローン定数=7.2
総返済総額:約1億4,535万円

借入期間10年のローン定数Kは12.1、20年のローン定数Kは7.2となりますから、借入期間20年のほうが4.9も低く、よりレバレッジの効いた運営ができていると判断できます。

ただし、借入期間が長くなると利息支払い分が増えるため、総返済総額は借入期間20年のほうが約2,386万円ほど大きくなっています。通常の投資運営上は余裕のあるキャッシュフローで回せる一方、利息支払い分の増加による返済負担は増加する点は理解しておきましょう。

レバレッジのリスク・注意点

不動産投資ローンの借入によって、少ない元手から大きな収益を得るレバレッジ効果ですが、計画性なく借入を増やしすぎるとうまくいかないケースもあります。

ここではレバレッジ効果を生み出すために注意すべきポイントについて解説しましょう。

なお、レバレッジ効果を得る上手な不動産投資のために準備すべき内容については、こちらの記事でも解説していますので、ぜひ合わせてご一読ください。

レントロールとは? 収益物件の購入前に必ず確認したい確認事項を解説

失敗しない不動産投資の秘訣とは?メリットとリスクを徹底検証!

不動産投資のリスクとは? リスクを正しく認識すればヘッジはできる

綿密なシミュレーションのもと資金計画を立てる

レバレッジを効かせるといっても、最終的に目指すべきは投資収益の黒字です。どんなに物件の規模が大型であっても、黒字化しない限り投資としては意味がない状態といえます。

不動産投資の典型的なパターンとしては、物件購入で始まり、売却で終了します。この時点で黒字化していれば、投資として成功であり、赤字であれば失敗です。年間キャッシュフローは潤沢でも、売却に失敗すれば赤字になる事例もありますし、年間キャッシュフローはほぼ生み出されなくても確実にローン返済が進み、売却がうまくいけば大きな資産が手に入ります。

ただし、不動産投資の運営では経済事情による金利の変動、建物に関する大小のトラブルなど、不可抗力によるリスクもたびたび発生します。キャッシュフローに余裕があれば、突発的な費用の発生に直面しても対応できる可能性があります。

こうした細かな収支についてはシビアな目線で綿密にシミュレートし、しっかりとした資金計画の下で運営することが大事です。そのうえで、レバレッジ効果を有する効果的な投資計画を立てる必要があります。

逆レバレッジに要注意

うまくレバレッジを効かせられると、少ない資金で大きな収益を得られるメリットがありますが、収益物件の購入条件によって異なる結果にもなり得ます。例えば、利回りよりもローン金利のほうが高くなってしまうことがあります。いわゆる「逆レバレッジ」と呼ばれる現象です。

逆レバレッジが発生すると、現金で運用するよりも融資を活用したほうが、かえって収益が悪化します。具体的にどのようなときに逆レバレッジが発生するのか、以下の段落で2つのリスクとあわせて解説します。

金利上昇リスク

「逆レバレッジ」が発生する理由のひとつが、金利上昇です。金利が上昇すると不動産投資ローンの返済利息が高騰するため、逆レバレッジに陥りやすくなります。特に返済期間が長期間にわたるケースなどは、物件購入時に想定していなかった金利になることも考えられるでしょう。

例えば、自己資金1,000万円で利回り6%の収益物件に投資した場合、年間収益は60万円になります。同じ自己資金1,000万円で4,000万円の融資を受け、利回り6%の収益物件に投資すると年間家賃収入額は300万円になります。

しかし、ローン金利が2%から5%(返済期間30年・元利均等返済)になると年間返済額は約258万円になります(※)。ローン返済額を差し引いた年間収益額は42万円になってしまい、現金だけで投資したケースよりも収益が悪い逆レバレッジに陥ります。

分かりやすく極端な例をご紹介しましたが、「金利上昇リスク」に備える対策や法整備も整っています。

融資を引く際に「固定金利」か「変動金利」かを選択します。

固定金利は、融資の際に決定した利率が返済完了まで変わらないため金利上昇が起こらないので安心です。

変動金利では、一定期間ごとに利率を見直して金利が変動するため「金利上昇リスク」が懸念されます。ただし、変動金利には、5年間は毎月の返済額が変わらない「5年ルール」と、金利上昇時も前回の返済金額の125%までしか金利が上がらない「125%ルール」があります。

当該ルールが適用される金融機関から融資を受けることで、2%から5%になり支払い金額が急激に増大する金利上昇リスクを防げます。

※出典:ke!san「ローン返済(毎月払い)」

利回りが低下するリスク

「逆レバレッジ」が起こるもうひとつの原因は利回りの低下です。コチラのケースに着目して対策することをおすすめします。不動産投資ローンの金利がそれほど高くなくても、利回りが低ければレバレッジを効かせられません。例えば前述の例のように自己資金1,000万円を使って利回り4%の物件に投資したとすると、年間収益額は40万円になります。

一方で、1,000円の自己資金にプラスして銀行金利2%で4,000万円の融資を受けたとしましょう。自己資金と融資を合わせて5,000万円の収益物件を購入して得られる年間家賃収入額は、「5,000×4%」で200万円です。

ここから銀行金利2%、返済期間30年、元利均等返済で借り入れているローンの年間返済額約177万円を年間賃料収入の200万円から差し引くと、手元に残る年間収益額は23万円にしかなりません(※)。ローン金利が低くても、収益物件の利回りが低ければ、やはり逆レバレッジの状態に陥る可能性があります。

収益物件を購入後の賃貸経営をしている最中に利回りが低下するリスクもあります。「長期間の空室発生」、「想定外の賃料低下」、「想定以上の修繕コスト増加」が発生して利回りが低下する可能性もあります。

この様な事態を避けるために、賃貸経営では賃貸管理が経営のカギを握る非常に大事なポイントになります。購入後に空室対策に強い賃貸管理会社がサポートできる体制も整えられると安心できるでしょう。

※出典:ke!san「ローン返済(毎月払い)」

融資を断られることがある

不動産投資でレバレッジ効果を得るためには、融資を受ける必要があります。金融機関からの借入金を自己資金に加えてレバレッジを効かせると、自己資金だけでは購入できない収益物件に手が届き、大きな収益を上げられる可能性があります。

ただ、金融機関の融資審査に通らなければ、レバレッジが効かない点にご注意ください。金融機関の融資審査では投資家の勤務先や勤務形態、勤続年数や年収などの属性が確認されるほか、ほかの借り入れ状況なども調査されます。

加えて、不動産投資ローンでは、投資対象となる物件の収益性や担保価値も重要な調査項目です。金融機関側としても融資した分は確実に回収する必要があるため、審査はしっかり行われます。金融機関との交渉のためにも、自己資金は物件価格の10~30%程度まで用意しておくようにしましょう。

もし、審査に落ちれば、融資は受けられません。金融機関の審査に通らなければ、自己資金以上の大きな投資はできないことをふまえておく必要があります。

突発的な費用の発生に注意する

不動産投資では、突発的な費用負担が発生することがあります。代表的な事例が設備の故障などによる修繕費用です。大規模修繕工事は別建てで費用を積み立てるなどの対応を取りますが、トイレや水道などの水回り、壁や共用部分などの内装の修繕などの細かな修繕については、その都度対応する必要があります。

部屋の設備や内装については経年劣化による故障、破損についてはオーナー様の負担になります。それほど頻繁に発生することはありませんが、部屋数の多いマンション・アパートだと、いざという時のために対応できる資金を準備しておくことが大事です。

ほかに急な出費としては空室対策費用があります。空室が発生すると新たな入居募集のための広告活動などにかかる費用が必要です。どんな優良物件でも退去者が一人も出ないケースはほとんどありませんから、空室対策のための費用については常に一定の予算を準備しておかなくてはなりません。

イールドギャップのみで物件を判断しない

融資を受けて不動産投資を行う際、実質利回りや自己資本利回りなど、さまざまな指標を参考に投資判断をします。イールドギャップは年間の総収益率からローン定数を引いた数値であるため、イールドギャップがプラスであれば、収益が見込める投資だと判断できます。

逆にイールドギャップがマイナスなら収益は期待できず、インカムゲインによる不動産投資目的では投資不適格の物件と判断できます。このように、イールドギャップを確認することでどのくらいの収益を上げられるのか、ある程度の目安をつけることができます。

イールドギャップの数値が思わしくなかった場合、原因を分析して対策を考えることも可能です。ただし、イールドギャップは投資を判断する重要な指標のひとつではあるものの、指標のみで物件購入を判断しないようにご注意ください。

不動産投資は物件ひとつひとつの条件が異なるため、目安といわれる数値も絶対ではありません。ほかのリスクも慎重に検討しながら、キャッシュフローが出るかも確認しつつ、バランスを考えて慎重に判断することが大事です。

物件の収益性について、具体的にどのように判断するかについての購入事例は、以下でご紹介しています。ぜひ参考にお読みください。

収益物件の購入事例 一覧

区分マンションの購入事例 一覧

一棟アパートの購入事例 一覧

一棟マンションの購入事例 一覧

まとめ

ここまでみてきたように、不動産投資の優位性はレバレッジにあります。レバレッジにはメリットがあればリスクや注意点もありますので、基本的な考え方と仕組みについて知っておきましょう。特にイールドギャップの考え方や計算方法などが分かってくると不動産投資についての理解が深まります。

融資をうまく活用し、綿密な資金計画を立てることができれば、自己資金だけでは到底手が届かない収益物件の運用も可能です。また、賃貸経営をはじめてから想定利回りが下がらないように、空室対策に強い信頼のできる賃貸管理会社を選び、不動産投資に取り組むことも大切です。

リロの不動産】は不動産や賃貸経営に関するデータやノウハウを長年蓄積してきました。管理オーナーの優良物件が循環する売れる仕組み・買える仕組みを保有しております。

収益物件の購入から、空室対策に強い賃貸経営、収支を考える工事・修繕対応、出口戦略を含む売却に至るまで、賃貸経営に関わるトータルサポートが可能です。融資相談も含めて不動産投資に関心のある方は、【リロの不動産】にご相談ください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。