賃貸用物件の工事トラブルを防止!入居者満足度を高めるアパート経営
2023.10.24賃貸物件で行う工事は、オーナー様と入居者様の間でたびたびトラブルに発展するケースが見られます。建物を良好な状態で維持していくには、できるだけ劣化を進めないように定期的に工事を行って不具合を改善する必要がありますが、工事期間中は入居者様に多少の迷惑がかかるため、十分に配慮することが大切です。
クレームが寄せられたときに対応を誤ると、深刻なトラブルにつながりかねません。心証を悪くして退去が続出すれば経営はたちまち悪化してしまいます。
そこで本記事では、賃貸物件に必要な工事の種類や工事中に起こりやすいクレームの例、トラブル及びクレーム回避のためのポイントについて解説します。賃貸物件の工事を控えている方や、工事中のクレームを回避したいオーナー様はぜひ参考にしてください。
▼この記事の内容
●収益物件である賃貸において必要な工事は「原状回復」「リフォーム・設備対応」「リノベーション」「大規模修繕」
●工事の依頼先は、主に建築会社や設計事務所・コンサル会社、リフォーム・大規模修繕専門会社、賃貸管理会社が挙げられる
●空室改善や賃料アップのほか入居者満足度が向上した工事の事例として、「3点ユニットの改善」や「セキュリティ対策の強化」などがある
●賃貸物件を工事する前は、トラブル回避に向けて①施工内容やスケジュールの確認②工事の告知方法や対応手順の決定③告知文の作成④入居者様や近隣住民の方への挨拶まわりを行おう
●賃貸物件の工事は賃貸管理会社と施工業者の配慮や協力が必要不可欠
目次
収益物件である賃貸用物件に必要な工事の種類
比較的簡単な補修程度の工事と建物全体の大規模な工事とでは、施工内容や工期、注意点などが異なります。まずは賃貸物件で発生する工事の種類を把握していきましょう。賃貸物件の工事費用の目安やリフォームの重要性については以下の記事を参考にしてください。
■参考記事
アパート経営で設備投資やリフォームする理由とは?ミニマム投資の秘訣
不動産投資成功の鍵はリフォームにある! 戦略的なリフォーム投資で資産価値向上を
満室経営にする賃貸経営リフォームとは? 4つのリフォーム事例を紹介
原状回復
原状回復とは、入居者様が退去した室内を入居前のような綺麗な状態に戻す工事のことです。部屋全体のハウスクリーニングを行い、汚れやキズが目立つ場合は壁紙やフローリングの張り替え、畳の表替えなども行います。
工事費用は入居者様から預かった敷金・保証金で賄うのが一般的ですが、入居者様への敷金返還にも影響するため、金額や施工内容について入居者様からクレームが入ることもあります。原状回復を行うタイミングは入居者様の退去時なので、1年に数回あることもあれば、数年に1回程度のこともあるでしょう。
リフォーム・設備対応
リフォーム・設備対応は、予防修繕や補修などの工事を指します。具体的にはエアコンや給湯器などの設備に不具合が生じたときの修理、トイレ・浴槽など経年劣化した設備の交換、災害による保険対応工事などです。また、シロアリの点検・駆除、外壁の劣化調査、耐震診断なども含まれます。状況によりますが、リフォーム・設備対応の工事は1年~数年に1回程度のペースで行われるのが一般的です。
以下では入居者様に喜ばれるリフォーム・設備対応の事例を紹介します。経営改善につながったケースもあるので、ぜひ参考にしてください。
■参考事例
リノベーション
一般的には「建物の価値を高めること」を目的とする工事をリノベーションと呼びます。間取り変更をともなう大掛かりな工事になるケースが多く、賃貸市場のニーズを反映でき、リノベーションを行うことで入居率や家賃アップを狙えるというメリットがあります。
リノベーションの実施時期は、近隣にある競合物件や入居状況のほか、建物の築年数や構造によって異なりますが、築15~20年以上を経過して長期空室が発生している場合や、賃料を想定以上に下げても満室にならない場合は検討のタイミングといえるでしょう。
以下では、リノベーションによって入居者様からも喜ばれる事例を紹介しています。
■参考事例
なお、賃貸需要がある地域で手つかずの空き家を所有している場合は、リノベーションを行い有効活用することも可能です。賃貸物件としての活用もできるため、以下の記事を参考にしてください。
■参考記事
空き家の放置は危険!リノベーションで有効活用!活用方法や費用を把握
大規模修繕
大規模修繕は主に建物の保全と美観の維持を目的に行う工事で、対象は屋根や外壁などの構造部とエントランス・廊下・階段などの共用部です。具体的には外壁塗装や外構工事、屋根・ベランダなどの防水工事、劣化部分の補強などを行います。
名前のとおり規模の大きな工事となるため費用も高額になりやすく、長期的な視点で計画を立てる必要があります。実施時期の目安は5~10年に1回程度で、はじめは築10年以降、その後は対応内容により5~10年ごとに建物の状況に合わせて見直しを行いながら実施するようにしましょう。
大規模修繕について、以下のような関連記事・事例も参考にしてください。
参考記事:【大規模修繕 コラム一覧】
参考事例:【大規模修繕 事例一覧】
築年数が古くて劣化が進みすぎてしまった場合は、大規模修繕ではなく建て替えがおすすめです。アパートの建て替えについては以下の記事を参考にしてください。
参考記事:アパートの建て替え時期はいつ?見極めポイントと費用の目安を解説
賃貸物件の工事の依頼先
賃貸物件となる収益物件の工事には、ハウスクリーニングや設備の修繕、物件の価値を高めるリノベーションなどさまざまな種類があります。賃貸物件の工事を行うとき、候補となる依頼先は以下のとおりです。
- 建築会社
- 設計事務所・コンサル会社
- リフォーム・大規模修繕専門会社
- 賃貸管理会社
工事の内容によって依頼するべき施工会社が異なるため、あらかじめ特徴を知っておくとよいでしょう。次の項目から、それぞれのポイントを詳しく紹介します。
建築会社
賃貸物件の建物を新築した建築会社に、工事を依頼することもあります。建築会社は新築時の図面を保有しているため、修繕の可否をスムーズに把握できることが特徴です。
ただし、建築会社はゼネコンから小規模な工務店までさまざまなものがあり、物件の修繕に対応していない会社もあります。新築をメインとしている建築会社も多く、リフォームや大規模修繕を下請け業者に外注しているケースも少なくありません。場合によっては中間マージンが加算され、費用がやや割高になる点に注意しましょう。
設計事務所・コンサル会社
設計事務所・コンサル会社はオーナー様と施工会社の間に立ち、主に賃貸物件の工事監理を行います。工事監理とは建物の機能や品質、コストなどを最適化するために、工事の内容を調整する役割を指します。
設計事務所やコンサル会社の特徴として挙げられるのは、修繕計画を立てたり施工会社を選定したりと、工事を円滑に進めるためのサポートをしてくれる点です。ただし別途報酬が発生するため、余裕を持って予算を確保しておく必要があります。小規模な賃貸物件の工事ではなく、大規模修繕やリノベーションなど比較的大掛かりな施工に適しているでしょう。
リフォーム・大規模修繕専門会社
リフォームや大規模修繕を専門に扱う施工会社もあります。直接依頼をすれば外注費が発生せず、工事費を抑えやすい点が特徴です。また原状回復専門のリフォーム会社など、専門分野に特化してリーズナブルな価格を提供している会社もあります。
ただし、会社によって工事の対応範囲が異なる点には注意が必要です。ホームページなどで実績をチェックし、希望している工事に精通しているかどうかを確認するとよいでしょう。選ぶ会社によって費用や品質などが異なるため、複数の会社を比較検討することが大切です。賃貸経営や収益物件に強い会社かも確認しておくと安心です。
賃貸管理会社
収益物件の管理を任せている賃貸管理会社に工事の相談をすると、賃貸経営の収支を考えた提案をしてもらうことが可能になります。賃貸管理会社は日頃から建物の状態をよく把握しており、入居者様と接する機会も多くあります。
修繕が必要な箇所を把握しているため、オーナー様と入居者様の双方にとって適切な費用対効果の改善プランを提案してもらえる可能性が高いでしょう。賃貸経営についてトータルサポートを行う賃貸管理会社であれば、想定賃料収入や周辺相場から工事にかけられる費用がわかるため、収益を最大化させる知見を聞くとよいでしょう。
実際の工事は提携する施工会社に外注するケースが多いものの、中には工事対応まで一貫して任せられる賃貸管理会社もあります。賃貸経営の対応範囲も事前に確認しておきましょう。
賃貸物件の工事前に行うこと
賃貸物件の工事で入居者様や近隣住民からのクレームの発生を防ぐには、丁寧な下準備が重要なポイントになります。工事が長期間にわたるリノベーションや大規模修繕では、特に慎重に準備を進める必要があるでしょう。なお、賃貸管理会社に一任している場合は一連の対応をしてくれるので安心できます。
ここでは、着工前にオーナー様や賃貸管理会社が行うことと、工事業者が行う注意点について解説します。
施工内容やスケジュールを確認する
まず、施工業者に施工内容とスケジュールを確認します。ハウスクリーニングや住宅設備の修理・交換など比較的簡単な工事で音や臭いなど周囲が気にならない場合もありますが、敏感な入居者様からクレームを受ける可能性もあるため、作業時間や内容、作業音がどのくらい発生するのか、などを確認しておきましょう。
小規模な工事でも内容によっては共用部や近隣住宅に養生を行うことがあります。入居者様や近隣住民へ注意を促す必要があるため、しっかり確認しておきましょう。
天候次第で日程変更を余儀なくされる工事や入居者様の立会いが必要な工事では、本来の工事予定日のほかに予備日を設ける必要があります。施工業者の予定もあるので、事前に打ち合わせておきましょう。
工事の告知方法や対応手順を決める
工事の告知方法は施工内容や規模によって異なります。エントランスや掲示板、エレベーターなどに文書を貼り出すだけというケースもあれば、各部屋に文書でお知らせするケース、文書に加えて口頭での説明が必要なケースもあります。前述のとおり施工業者に施工内容を細かく確認し、どのように告知するかを判断しましょう。
入居者様や近隣住民への挨拶まわりは施工業者が行うのが一般的ですが、賃貸管理会社やオーナー様が同行していると好印象が持たれ、クレームの軽減につながります。時間の融通が利くのであれば、できるだけ同行できるよう、挨拶まわりの日程を調整しましょう。
入居者様や近隣住民へ工事の告知文を作成する
一般的には賃貸管理会社が対応する業務になります。工事実施時期が確定した際は、入居者様や近隣住民に配布する告知文を作成し、必要な枚数を準備します。記載すべき内容は、概ね以下のとおりです。
● 施工内容
● 日程と作業時間
● 注意点
● 連絡先(施工業者、工事責任者、賃貸管理会社など)
大きな工事になるほど入居者様や近隣のご理解・ご協力が欠かせないことが多くなります。入居者様たちにとっても準備期間が必要なため、告知はできるだけ早めに行いましょう。例えば、ベランダやバルコニーの防水工事を行う際は、置いてある私物を片付けてもらわなくてはなりません。
物が置いてあると施工できず、工事全体の遅れにつながり、ほかの入居者様に迷惑がかかります。特に注意してほしいことは大きく赤字で記載するなど、目に留まりやすくなるように工夫してください。その他、洗濯物や布団を干せない日があることや天候によっては予定変更があり得ることなど、工事で起こり得ることや許可が必要な場合は了承を得たい旨も記載しておきましょう。
挨拶まわり
大きな工事を行うときは、着工の1週間~10日くらい前に粗品を持って挨拶まわりをするのが一般的です。入居者様はもちろん、隣接する住宅にも必ず挨拶しましょう。臭いや音の影響がありそうな範囲まで挨拶しておくと、クレーム防止にもつながります。粗品はタオルや洗剤など値の張らない日用品で構いません。留守の場合はポストに投函することになるので、かさばらないものがおすすめです。
事前に告知文を配布していても見ていない可能性があるため、挨拶まわりのときに告知文を持参し、「目を通してもらえたか」「不明点はないか」などを確認しましょう。工事に関する専門的な質問を受けることも考えられるので、工事責任者に同行してもらうと安心です。
1つ注意しておきたいことがあります。挨拶まわりや粗品の用意など施工内容や対応金額により、全く行わない場合もあります。受注前に、挨拶まわりや近隣への対応などをあらかじめ確認するようにしましょう。
賃貸物件の工事中に入居者様からご指摘を受けやすいクレーム
上述のような工事前に行うことを徹底していたとしても、クレームが発生することはあります。1件のクレームが裁判にまで発展することもあるので、対策を怠らないように注意が必要です。実際にどのようなクレームが発生しやすいのか、以下で具体的に紹介します。
工事の告知漏れ・遅れ
告知が不十分だったことが原因で入居者様が対応できず、クレームにつながるケースもあります。「塗装工事があることを知らず、ベランダに干していた洗濯物に塗料がついた」「窓を開けていたら高圧洗浄の汚水が入って室内が汚れた」「夜勤なので日中に睡眠をとりたいのに、音がうるさくて眠れない」などのクレームです。
各部屋に告知文を配布しても、見落としや紛失があるかもしれません。また、準備期間を取るために早めに告知することは大切ですが、工事日を忘れてしまう可能性もあります。告知文は各部屋に配布するだけでなく、エントランスなど入居者様の目に留まりやすい場所に掲示しましょう。着工日の直前に再度お知らせするのも効果的です。
足場の組み立てなどによる騒音
特に多いのが作業音に関するクレームです。足場を組み立てる際は鉄パイプがぶつかり合い、大きな金属音が発生します。建物の規模が大きくなるほど足場を組む範囲は広くなり、作業時間も長くなりがちです。作業中に在宅の入居者様や近隣住民は、不快な金属音に耐えなくてはなりません。
また、内装工事においても、設備の解体撤去時やフローリングの張り替え時に大きな音が発生します。工事の内容によっては音だけでなく、振動が発生する可能性もあります。
騒音に対して在宅勤務の入居者様からは「仕事の妨げになる」、夜勤明けの入居者様からは「寝なくてはならないのに音がうるさくて眠れない」、赤ちゃんがいるようなファミリー層からは「子どもを寝かしつけられない」といったクレームが寄せられるケースが多いです。
入居者様があらかじめ対策を行えるように事前に丁寧な説明ができれば、クレームの軽減につながるでしょう。
高圧洗浄による汚水の飛び散り
屋根や外壁の塗装を行う際は、高圧洗浄機を用いて古い塗膜やカビ・汚れなどを綺麗に洗い流しますが、注意したいのが汚水の飛び散りです。強力な噴射能力を持つ洗浄機を使用するため水しぶきがすごく、しっかりと養生を行っていても風向きによっては近隣住宅の洗濯物や車などを汚してしまう可能性があります。
また、入居者様から「工事日程を知らず洗濯物を干したまま外出し、帰ったら洗濯物やベランダに汚水が飛び散っていた」「室内に汚水が入って家具が汚れてしまった」というクレームが入った例もあります。高圧洗浄を行う際は洗濯物は干さず、窓やドアを閉めておかなくてはなりません。こちらも事前に工事内容や日程の告知を徹底することがいかに重要か、よく分かる事例といえます。
塗料などの臭い
塗料などの臭いによるクレームも多数寄せられます。一般的によい香りとされる香水、化粧品、合成洗剤、柔軟剤などに含まれている合成香料は、まれに体調不良(化学物質過敏症)を引き起こすことがあります。人によっては頭痛や吐き気、アレルギー症状などを誘発します。使用する塗料にもよりますが、多くの塗装現場ではそれなりの刺激臭が漂うため、健康に関わる工事は特に注意が必要です。
油性塗料の有機溶剤は刺激が強く、過敏症ではない方でも不調を引き起こすことがあります。また、人体だけでなく入居者様の所有物などに影響を及ぼすことも考えられます。アレルギー体質の方や化学物質過敏症の方々の安全には細心の注意を払い、入居者様の私生活を守るためにも、入念な注意喚起を徹底しましょう。
多くの対応事例を抱える施工パートナーや賃貸管理会社であるほど、工事費用だけで表せない対策を当たり前のように行っていることも往々にしてあるため、工事内容以外に行うクレーム防止につながる対応を事前確認しておくと安心でしょう。
職人の態度の悪さ
工事の規模が大きくなれば、施工業者の作業員の数も多くなります。「職人の態度が悪い」というクレームが寄せられることもあるので注意してください。
具体的には「話し声が大きすぎる」「近隣のお宅の敷地に荷物を置く」「作業後の清掃が不十分」「ところ構わず喫煙する」「ペットボトルなどのゴミを放置する」といったことが挙げられます。施工業者に任せきりにするのではなく、賃貸管理会社へ定期的な現場周辺の見回り協力を仰ぎ、気づいた時点で工事責任者に伝えるようにしましょう。
また、設備の修理・交換など入居者様立会いの工事で「高圧的な言動が不快だった」というクレームが寄せられた例もあります。工事業者を選ぶ際には評判や口コミも確認しておくとよいでしょう。
工事車両の駐車・出入り
工事中は何台もの工事車両が出入りします。「帰宅したら自分が契約している駐車場に工事車両が停まっていた」「物件まわりの道路に複数の工事車両が停まっていて通行の邪魔」などのクレームが予想されるため、施工業者に工事車両の駐車場所を明確に伝えておきましょう。
実務上、道路に駐車せざるを得ない場所もありますが、必要な許可や近隣の迷惑にならない場所を事前に合意しておくことは非常に重要です。
迷惑行為と判断された場合、賃貸管理会社への連絡ではなく、直接警察へ通報される可能性もあります。地域を守る方々の貴重な時間を奪うわけにはいきません。挨拶まわりの際に、駐車場所のすり合わせや駐車する時間帯などをお伝えすることで、住民からの要望を反映した対策ができることもあります。
入居者様からいただくクレームの多くは、事前の告知と対応内容を詳細に把握してもらうことで、軽減できる可能性が高いことが分かるでしょう。入居者様はもちろん、近隣への配慮を併せ持つことも大切です。近隣住民は、賃貸管理会社や施工業者などの対応を見ています。安全・安心な街づくりをオーナー様が意識されることで、街の住民に愛される賃貸物件になることにもつながるでしょう。
賃貸物件の工事事例
賃貸物件を工事することで、空室改善や家賃アップなどにつなげた事例も多くあります。『リロの不動産』では、入居者様のニーズに合った設備を導入し、リノベーションによって物件の価値を上昇させたケースも少なくありません。
ここからは『リロの不動産』が実際に行った工事事例をもとに、賃貸物件の工事で期待できるメリットを紹介します。
家賃アップの事例:3点ユニットバスの改善
東京都で築24年の1棟アパートを経営するオーナー様の事例です。築年数の経過によって人気が落ちてしまい、たび重なる賃料の低下に悩んでいました。「賃料を維持もしくは上げる方法はないか」との相談を受け、サポートチームは3点ユニットバスのリフォームを提案しました。
3点ユニットバスは入居者様に人気がありません。賃貸需要を獲得しづらく、家賃下落や空室の大きな原因になり得ます。150万円と限られた予算ではありましたが、施工後は家賃アップに成功し、入居率の改善につながりました。
空室改善の事例:間取り変更による改善
東京都で築27年の1棟マンションを経営するオーナー様の、長期にわたる空室の悩みを改善した事例です。サポートチームが調査したところ、水回りの設備や間取りが入居者ニーズと乖離しており、需要を獲得しづらいことがわかりました。
オーナー様は、3点ユニットバスの分離と間取り変更をともなうリノベーションを実施。工事完了後は約半月で満室となり、すぐに空室率が改善しました。
事例:ワンルーム2室を広めの1DKにリノベーション! 工事完了後半月で成約!
空室改善の事例:初期費用0円で行うリノベーション
神奈川県で築36年の1棟マンション経営を行うオーナー様の事例です。「限られた予算で空室対策を行いたい」との相談を受け、初期費用0円でできる割賦工事プランを提案しました。
家賃を見直して入居者様を集めることもできますが、賃料を少し下げるだけでは根本的な改善につながらないと考え、老朽化した設備の入れ替えや、3DKから2LDKに間取り変更したところ、工事後まもなく入居率は100%に達しました。
事例:初期費用0円でリノベーション工事!入居者募集も対応して空室を改善
空室改善の事例:水回り・居室スペースの改善
東京都で築34年の1棟アパートを経営するオーナー様の事例です。空室対策のために、水回り・居室スペースのリノベーションで近隣との差別化を図りました。
施工のポイントは、3点ユニットバスをシャワーブースと独立トイレに変更したことです。シャワーブースを採用したことで浴室のスペースを広げることなく、お風呂とトイレの分離に成功しました。また、ロフトに上がるハシゴを階段に変更して収納を増設するなど、居室スペースには入居者様の暮らしやすさを追求するアイデアを盛り込んでいます。
事例:アイデア室内リフォーム&3点ユニットバスリフォーム工事で空室改善
入居者満足度アップの事例
神奈川県で築12年の1棟アパート経営を行うオーナー様の事例です。オートロックの調子が悪く、「極力費用を抑えて改修工事をしたい」との相談を受けました。費用を予算内に抑えるためにさまざまな施工会社に相談したところ、部品を修理し、既存設備をそのまま使用する方法に決定しました。
費用を抑えた分で追加の補修工事を行い、物件価値の向上にも貢献しています。施工後は無事に入居者様の更新が決まり、改善後は満室稼働中となりました。
事例:オートロック改修工事で費用削減!残予算で補修して入居者満足度向上
■その他事例
【工事別】クレーム回避のための注意点
賃貸物件の工事によってアパート経営を軌道に乗せたケースは多くありますが、先述のように工事中はクレームが発生しやすい期間でもあり、クレームを最小限に抑えられるかどうかは施工会社や賃貸管理会社の配慮次第といえます。
以下では工事別の注意点について、入居者様の視点で解説します。あわせて、オーナー様が後悔しない工事を行うポイントもご紹介するので参考にしてみてください。
なお、賃貸経営のリスク管理については、以下の記事で紹介しています。建物の管理リスクや老朽化リスクについて詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。
■参考記事
【アパート経営・賃貸経営入門】メリット・リスク・成功の秘訣をわかりやすく解説!
外壁工事
■入居者様向けの注意点
・騒音対策
外壁工事では、主に足場仮設時の金属音による騒音のクレームが考えられます。足場の仮設は仕事などで外出している方が多い平日の昼間に行われるのが一般的ですが、工事の開始・終了時間は厳守するよう施工業者に周知徹底してください。事前に作業日程・時間帯を告知しておくことで、普段は家で過ごす方も、騒音を避けるために外出の予定を立てたり耳栓をしたりと対策できます。
日程変更が生じた際は、入居者様や近隣住民に対して速やかに再告知を行うようにしましょう。通知した時間を厳守することや考えられるリスク・注意点をあらかじめ伝えておくことで、入居者様や近隣住民の負担は少なからず軽減できます。
■オーナー様向けの注意点
・工事車両対策
あらゆる工事に共通していえるポイントですが、工事車両置き場を明確にしておきましょう。詳細な見積もりを取る場合は現場の確認をすることが多く、施工業者が現地確認をする際に、どこに工事車両を置くのか事前に賃貸管理会社へ確認するといいでしょう。
短時間でも適当な場所に駐車すると近隣の迷惑になるため、事前に駐車スペースを確保し、所定の場所に駐車するよう施工業者に連絡しておきましょう。
防水工事
■入居者様向けの注意点
・プライバシーへの配慮
防水工事で起こりやすいクレームは、主にプライバシーの観点です。前述のとおり、バルコニーやベランダの防水工事を行う際は、事前に入居者様に私物を片付けてもらわなくてはなりません。快く協力してもらえるように告知や挨拶では丁寧な対応を心がけましょう。
作業中はベランダに洗濯物を干すことができないうえに、普段は家族しか使用しないベランダに作業員が立ち入るため、カーテンやブラインドで室内を目隠しする必要があります。入居者様が対策するには、事前に工事日程や作業時間を伝えておくことが重要です。
また、作業員が作業中に室内をのぞき込むようなことは基本的にありませんが、なるべく室内に目を向けないよう、念のため作業前に声掛けをしておきましょう。こうした配慮が入居者様の安心感や好感度につながるはずです。
■オーナー様向けの注意点
・アフターサービスや保証期間
防水工事の保証制度は、元請け会社、防水工事施工会社、防水層の材料メーカーの3社が連盟で防水工事の品質を保証する制度です。防水工事の保証期間は、請負工事契約に記載された年数とし、原則として新築住宅の場合は 10 年間、リフォームの場合は 5 年間となっています。
ただし、防水の種類や建物の築年数、使用材料などによって、保証期間が10 年未満となることもあるため、アフターサービスと合わせて保証の内容をご確認ください。
塗装工事
■入居者様向けの注意点
・ニオイや工事内容にともなう事前告知
塗装工事では、塗料の刺激臭がクレームになりがちです。窓を閉め切っていれば臭いは軽減できますが、換気のために開けたい場合もためらってしまいます。
通常、塗料の臭いが何日も続くことはないので、入居者様のストレスを軽減するためにも、あらかじめ作業日程と窓を開けられる時間帯を伝えておくようにしましょう。可能であれば油性塗料ではなく水性塗料や弱溶剤塗料を使用すると、臭いに関するクレームの発生を抑えられるかもしれません。
また、塗装工事の前には必ず高圧洗浄を行います。万が一のことを考えてカバーは広範囲にかけること、入居者様や近隣住民には洗浄水の飛散に備えてご理解・ご協力を求めることが大切です。事前の告知・挨拶の範囲や説明内容は施工業者と相談し、丁寧に行うようにしましょう。
■オーナー様向けの注意点
・色選び
外壁の塗装をすると今までの外観と印象が大きく変わります。そこで注意したいのが色選びです。小さい面積で確認するより、できるだけ大きな面積で確認するようにしてください。
塗装面積が多くなるほど選定した色の特長のイメージが強くなります。街となじませる外観にするのか、目立たせたいのか。入居者様の思考にマッチするのかなど想像しながら、太陽光や月明かりの下で色の確認ができると実際の雰囲気とのずれが少なくなるでしょう。
・塗料選び
実は、塗料選びも大事です。近年はシックハウス症候群を防止するための塗料が推奨されています。シックハウス症候群とは、建材や家具に使用されている化学物質が揮発して起こる体調不良のことで、健康被害(眼、鼻、喉、皮膚の刺激症状、頭痛、倦怠感など)をもたらします。
原因としては、塗料などに含まれるホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、トルエンなどの有機溶剤(揮発性有機化合物)などになります。価格が安いだけで選んでしまうと、健康被害をもたらし空室率の低下に繋がる可能性もあります。塗料の機能や健康被害が起きにくい塗料かなど、選定前に確認した上で 安心できるでしょう。
原状回復工事・設備対応・その他
■入居者様向けの注意点
・入居前の確認
入居時の状態と契約内容を明らかにしておくことが大切です。例えば、入退去時に内装や設備の状態を確認できるリストを活用して、お互いの合意を得ることで原状回復工事の費用分担による認識の齟齬は、減少します。
・スピード対応とスケジュール調整
給湯器などの設備対応では緊急性が求められます。実際の対応スケジュールは入居者様との調整になりますが、とにかく素早いアクションを行うことで、入居者様の不安を和らげられます。よくある設備トラブルの場合はお電話口で解決することもあるため、迅速な対応ができる賃貸管理会社がいると安心でしょう。
■オーナー様向けの注意点
・事前の段取りを決めておく
原状回復を行う際に、関連する設備対応や計画していたリフォームを行うことで、工賃を削減できます。対応内容にもよりますが、計画的な工事対応をすることで経費コントロールを行うことができます。
大規模修繕計画や各種設備対応など、工事に関連する収支計画を立てておくことや、原状回復時に対応すべき基本業務の取り決めをしておくこと、空室対策としてアクセントクロスを対応するなど、原状回復の範囲を明らかにしておくと、収益に直結する効果的な工事ができるでしょう。
まとめ 賃貸物件の工事は賃貸管理会社の配慮とマナーのいい施工業者の協力が大事
賃貸物件の工事は入居者様が安全に暮らし続けるためにも必要な対応になります。工事に起因するクレーム発生を抑えるためには、施工業者や賃貸管理会社による、入居者様への配慮が最も重要です。
経験豊富な施工業者であればクレーム対策も心得ているため、オーナー様と入居者様それぞれの精神的な負担が軽減でき、安心して工事に臨めるでしょう。金額だけで工事業者を判断せずに、先回りしてトラブルやクレームを防ぐ対応力もあわせて確認することをおすすめします。
【リロの不動産】では入居者管理・建物管理・工事対応のすべてが対応可能です。賃貸物件にお住まいの入居者様にアンケートを実施して、入居者ニーズの把握や対応力の改善に努めております。
豊富な工事実績があるので、クレームを最小限に抑えるだけでなく、ミニマムコストで空室改善に寄与できます。出口戦略を意識し、収益を最適化する【リロの不動産】が行う工事について詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。