不動産投資家になるには何から始める?必要なステップや注意点を紹介
2023.07.04数ある投資の種類の1つである不動産投資。不動産投資家というと遠い存在のように考える方もいますが、会社員や公務員の方が本業を続けながら不動産投資家として活動しているケースも多数あり、人気の投資方法となっています。
そこで今回は、不動産投資家になるためのステップやメリット・リスク、不動産投資家になる前に知っておきたい注意点などを紹介します。不動産投資に興味がある方や、相続で不動産を所有することになった方は、ぜひ参考にしてください。
目次
不動産投資家とは
不動産投資家とは、資産形成や収益を目的に購入あるいは相続した不動産を活用して賃貸経営を行う個人・法人のことを指します。不動産は区分マンションや1棟アパート・マンション、戸建て、オフィス、店舗などの投資用物件です。土地を代々相続している地主に多いイメージですが、投資用物件の購入には金融機関の融資が利用できるため、意外とハードルは低めです。
特に会社員や公務員は融資審査で高く評価されることが多く、本業と不動産投資家の二足のわらじを履く方は珍しくありません。また、不動産投資には所得税や相続税などの節税効果があるため、経営者・医師・弁護士などの高額所得者にも不動産投資家の側面を持つ方が多く見られます。
不動産投資家の主な目的
不動産投資は、次のような目的から不動産投資家になることが多い傾向にあります。
● 資産運用
● 相続税及び節税対策
● 年金対策
● 生命保険の代用
長期で安定して収入を得ることで老後の資金確保につなげることや、節税対策となること、また、万が一のことがあった際に家族に資産を残せるようにすることなどが不動産投資を行ううえで大きな魅力となるため、目的として設定されるのです。
特に、収入が多い高額納税者であればあるほど高い所得税や住民税を節税する対策として不動産投資が向いているため、経営者や医者、弁護士などの職業に就いている方や、安定収入を得ている会社員や公務員が副業として行うことが多い特徴を持ちます。
不動産投資による収入の仕組み
不動産投資を行ううえで何を重視するかによって、選ぶ物件や賃貸経営スタイルなどが異なります。まずは、インカムゲインとキャピタルゲインのどちらに重きを置くかです。インカムゲインは資産を保有している間に得られる利益、キャピタルゲインは資産を売却することで得られる利益を指します。
不動産投資では、家賃収入がインカムゲイン、売却益(購入時よりも高く売却できたときの差額)がキャピタルゲインにあたります。不動産投資は基本的にインカムゲイン重視の投資方法であり、10年・20年と長期にわたって運用するのが一般的です。
次に、目的によっては不動産投資を本業として行うか、副業として行うか、資産規模や実務的に稼働できる時間も変わるでしょう。賃貸経営を専業で行う不動産投資家もいますが、本業とは別に副業として行う方も少なくありません。
入居者募集や建物管理などの実務を賃貸管理会社に委託してしまえば、賃貸経営を意識することなく本業に集中できます。近年は「副業OK」という企業も増えつつあり、手間がかからない副業として不動産投資が注目されています。
さらに、保有する物件の種類を検討することも重要です。住居を投資対象にする場合、分譲マンション1戸への区分投資、アパートやマンションなどの1棟投資、戸建て投資という選択肢があります。初心者におすすめなのは区分投資です。区分マンションは手頃な価格帯の物件が多いことや、大規模修繕など建物の管理・修繕は管理組合が行うため手間がかからないことがおすすめの理由です。
不動産投資家になるためのステップ
いざ不動産投資家になろうと思っても何をどう始めたらいいのかわからず、最初の一歩が踏み出せないままの方も多いでしょう。不動産投資家になるまでにたどるステップは、主に以下の5つです。
- 投資計画・資金計画を立てる
- 情報収集
- 物件選定
- ローン審査
- 管理会社選定
それぞれ具体的に解説しますので、参考にしてください。
投資計画・資金計画を立てる
まずは投資の目的を明確にしましょう。「投資で得たお金を生活費の足しにしたい」「老後のためにお金を貯めておきたい」「大きな資産をつくって早期退職したい」など、目的・目標は人それぞれです。目的によって選ぶ投資先は異なり、その後の投資計画も違ってきます。
次に、投資にまわせる自己資金がいくらなのかを確認しましょう。不動産投資では物件購入の際にローンを組むことができますが、購入時にかかる諸費用(登記費用、ローン手数料など)は現金で用意しなくてはなりません。
また、頭金を入れたほうが融資審査にも有利に働きます。諸費用は物件価格の1割程度、頭金は物件価格の2割程度が目安とされているため、現在の自己資金でいくらぐらいの物件が購入できるのか計算してみてください。
例えば1,000万円の物件を購入する場合、300万円ほどの自己資金が必要です。実際の借入可能額は金融機関の審査によって決まるため、あくまで資金計画の目安として把握しておきましょう。
情報収集
購入可能な価格帯の目安がついたら、次に具体的な物件選びに向けて情報収集を始めます。投資用物件を購入しても賃貸需要がなければリスクの多い投資となってしまうため、人口動態などを参考にしながら地域を選びましょう。
単身者には通勤・通学に便利な駅近の物件が好まれますし、子育て世帯は幼稚園や学校までの距離、買い物の利便性を重視する傾向があるなど、ターゲットによって好まれる立地条件は異なります。
地域にはどのような人が住んでいるのか、近隣に賃貸物件は多いのか、住みやすい環境なのかなど、賃貸需要を見極めるためには調べることがたくさんあります。不動産会社に尋ねたりインターネットで検索したりして、できるだけ多くの情報を集めてください。実際に現地へ足を運び、周辺環境などを自分の目で確かめることも大切です。
物件選定
情報収集を行ったうえで、物件の選定に進みます。購入したいと思える物件に出会えたら以下のような項目を確認しましょう。
● 立地:最寄りの駅やバス停までの距離、周辺環境など
● 利回り
● 築年数
● 修繕の有無:大規模修繕の履歴、修繕積立金の残高など
● レントロール:賃貸の条件と状況(家賃、敷金、契約日、契約期間など)の一覧
● 管理方法 など
物件情報に記載されている利回りは、想定家賃収入を物件価格で割った「表面利回り」です。より実態に近い利回りは「実質利回り」でなければわかりません。高利回りに惹かれて購入してみたら、経費がかさんでキャッシュフローが残らない、ということも起こり得るため注意しましょう。
築年数においては、入居付けのしやすさやリフォームの必要性などを考えるほか、耐用年数を確認する材料の1つです。ローンの返済期間や建物の減価償却期間は耐用年数を基に決まるため、月々の返済額や節税効果にも影響します。
ローン審査
物件購入にローンを利用する場合、金融機関にローンの仮審査を申し込みます。審査に通るかどうかの基準は金融機関で異なるため、複数の金融機関に仮審査を申し込むとよいでしょう。仮審査に通ったら、金利や返済期間などの条件がいい金融機関を選んで本審査を申し込みます。自分で金融機関をあたっていく方法もありますが、闇雲に行うのはおすすめできません。
手っ取り早いのは不動産会社が提携している金融機関を紹介してもらうことです。基本的なやり取りは不動産会社に任せられるため手続きの負担が減るほか、不動産会社の実績や信頼度が手伝い、審査が比較的スムーズに進められるでしょう。
管理会社選定
賃貸管理を自分で行う方もいますが、ほとんどの不動産投資家は賃貸管理会社に委託しています。賃貸管理会社は賃貸経営のパートナーともいえる存在であり、慎重に選ぶことが大切です。投資用物件の仲介から購入後の物件管理までを扱う不動産会社もあるので、物件選びと同時に確認してみるとよいでしょう。
もちろん、別の賃貸管理会社を自分で選ぶことも可能です。管理手数料や業務範囲、サービス内容は会社によってそれぞれ異なります。相性もあるため、複数の会社を比較検討するのがおすすめです。
不動産投資家になるメリット・リスク
「不動産投資家の主な目的」で触れたように、不動産投資家になることで複数のメリットが享受できます。ただし、投資である以上いくつかのリスクをともなうのも事実です。どのようなメリットがあるのか、注意すべきリスクは何か、あらかじめ把握しておきましょう。
メリット
不動産投資家になることで得られるメリットは、主に以下の4つです。
● 継続的な家賃収入を期待できる
● 税金対策になる
● 資産になる
● レバレッジが効く
それぞれ詳しく解説していきます。
継続的な家賃収入を期待できる
入居率をキープすることにより、毎月一定額の安定した家賃収入が期待できます。管理業務を委託すればオーナー様が自分で行う業務を大幅に減らせるため、不労所得となり本業を続けながら不動産投資家になることも可能です。老後は年金が生活資金になりますが、家賃収入が加わることで生活に多少のゆとりが生まれるでしょう。
ただし、長期にわたって安定した家賃収入を得るには、建物の維持管理をしっかり行う必要があります。区分マンションでは日常的な清掃・メンテナンス、定期的な大規模修繕などは管理組合主体で行われますが、1棟投資のオーナー様は自分で計画・実施していかなくてはなりません。また、1棟投資は多額の家賃収入が得られますが、その分コストもかかるため、収支計算の際には注意が必要です。
税金対策になる
不動産投資は、所得税・住民税・相続税・贈与税などの節税効果があります。
【所得税・住民税】
不動産所得はほかの所得との「損益通算」が認められています。損益通算とは、異なる所得の赤字と黒字を相殺できる仕組みです。不動産所得で発生した赤字を本業の黒字から差し引くことで、所得全体が少なくなり、所得税・住民税の軽減につながります。建物の減価償却費は耐用年数が終わるまで毎年の経費に計上できるため、実際には利益が出ていても帳簿上は赤字になってしまうことがあります。
【相続税・贈与税】
現金や預貯金は額面がそのまま評価額になるのに対し、不動産の評価額基準は、路線価や固定資産税評価額です。路線価や固定資産税評価額は実勢価格(時価)の7~8割を目安に定められるため、相続税や贈与税の課税対象額が少なく抑えられます。土地部分については「小規模宅地等の特例」により評価額から50%の減額、賃貸物件については「貸家建付地」となり、さらに評価が下がります。
資産になる
建物は経年劣化で資産価値が下がる傾向にありますが、土地の価値はほぼ変わりません。一度所有権を確保すれば自由に活用できる土地は、相続財産としておすすめです。また、不動産は景気の影響を受けにくく、インフレに強い実物資産です。インフレで価値が下がるお金と違い、安定した価値を保持し続けることができます。
建物の構造によって変わる法定耐用年数は、木造が22年、鉄筋コンクリート造が47年と、マンションの構造に多い鉄筋コンクリート造が長めです。耐用年数が長い分、ローンの借入期間も長くできる可能性があることから、より長く資産として保有し続けるには1棟マンション投資がいいでしょう。
レバレッジが効く
不動産投資は、レバレッジ効果の高い投資方法の代表格です。レバレッジを日本語に訳すと「てこの原理」で、小さな力を大きな力に変えるという意味から、投資の世界では少ない自己資金で大きな利益を得ることを表します。投資用物件の購入には融資が利用できるため、ある程度の自己資金があって融資審査に通れば、自己資金よりはるかに大きな資産を保有できるでしょう。
例えば、1,000万円の自己資金で融資を受けず1,000万円の投資用物件を購入し、利回り10%と仮定すると、年間の家賃収入は1,000万円×10%=100万円となります。
しかし自己資金1,000万円を持ち、利回り10%で5,000万円の投資用物件を購入した場合、単純計算で5,000万円×10%=500万円の家賃収入の確保が可能です。同じ1,000万円でも、レバレッジを効かせるかそうでないかで、収入が大きく変わるということです。
リスク
不動産投資にはいくつかのリスクがありますが、ここでは代表的なものとして、次の5つのリスクと対策について解説します。
● 空室リスク
● 家賃滞納リスク
● 入居者・建物のトラブルリスク
● 老朽化リスク・修繕リスク
● 天災リスク
空室リスク
空室期間中は家賃収入が得られません。1棟投資の場合は家賃減収、区分マンション1戸や戸建てのみの所有であれば収入はゼロになります。賃貸という性質上、退去があることは避けられませんが、空室期間を長引かせないことが重要です。
対策としては、入居者募集を行う仲介業者の見直しや、家賃の見直し、状況に応じたリフォーム・リノベーションなどが挙げられます。日頃から『4つの空室対策(募集力/仲介力/管理対応/設備・工事対応)』を意識した管理を行うことで、高い入居率をキープできるでしょう。
家賃滞納リスク
入居者様によっては、家賃滞納が発生する可能性も考えられます。滞納が続くと家賃収入が得られないだけでなく、精神的にも大きなダメージを負います。対策としては、賃貸管理会社に家賃の督促・回収を依頼する、入居者審査の基準を厳しくする、家賃保証会社との契約を入居の条件にするなどが有効です。
家賃保証会社では滞納された家賃を弁済し、直接本人から回収します。オーナー様には毎月確実に家賃が入金されて督促などの負担から解放されるというメリットがあることに加え、入居者様にとっても連帯保証人がいらないというメリットがあるのでおすすめです。
入居者・建物のトラブルリスク
設備不良や水漏れなどのトラブル、騒音などのクレームに対しては迅速に対応する必要があります。特に入居者様同士のトラブルは、放置しておくと事件に発展する可能性もあるため要注意です。審査の際に入居希望者様のモラルや価値観を見極めることは大切ですが、建物の清掃・メンテナンスをしっかり行い住環境の質を高めることのほうがより大切といえます。
清掃やメンテナンスが行き届かない荒れたイメージの建物では、入居者様の気持ちも荒み、些細なことがトラブルになりがちです。入居者トラブルや建物トラブルへの対策は、賃貸管理の実績が豊富で、丁寧な仕事をしてくれる賃貸管理会社へ管理委託するのが最も効果的といえるでしょう。
老朽化リスク・修繕リスク
建物は一般的に築10年を経過すると価格の下落が始まるといわれ、一方で資産価値の維持に必要なメンテナンスコストが増大します。基本的には築年数が経つにつれて家賃相場が下がるため、出費は増えるのに収入が減るという状態に陥ります。
対策としては、しっかりとした修繕計画を立てて費用を積み立てておくこと、日頃からこまめなメンテナンスを行うこと、賃料下落スピードを緩やかにすることなどが挙げられます。
また、ときには費用をかけて思いきったリノベーションを行うことも大切です。築年数が古い建物でも、リノベーションによって家賃アップが実現するケースは珍しくありません。ただし、費用をかければよいというものではなく、ニーズを押さえた費用対効果の高い工事を行う必要があります。実績豊富な賃貸管理会社に相談し、プランを考えてもらうのがよいでしょう。
天災リスク
地震や台風、津波などによる自然災害は避けようがありません。建物が被害を受けて住居として使用できなくなれば家賃収入はストップしてしまい、さらに多額の修繕費が発生します。万が一に備えて、火災保険や地震保険には必ず加入しましょう。
物件選びの際は、ハザードマップを事前に確認して危険性の高い地域を避ける、マンションなど構造的に耐震性の高い建物を選ぶなどもリスクヘッジにつながります。また、離れた地方(関東と関西など)に物件を保有してリスクを分散させることも有効な対策です。
不動産投資家になる前の注意点
不動産投資家として成功するために、次の3つのポイントは実際に着手する前にぜひ押さえておいてください。
● 目的を整理しておく
● 不動産投資について学ぶ
● 信頼できるパートナーをつくる
目的を整理しておく
なぜ不動産投資家になりたいのか、はじめに目的を整理しておきましょう。前述のとおり、目指す方向は人によって異なります。明確な目的がなければ出口まで考えた収支計画が立てづらく、将来を見据えた賃貸経営ができなくなる可能性があります。5年後にはどうなりたいのか、10年後にはどうなっていたいのか、具体的に思い描くことで今やるべきことがはっきりするでしょう。
不動産投資について学ぶ
不動産取引の基本、物件選びのコツ、賃貸経営に関係する法律、マーケティングや金利についてなど、不動産投資では知っておくべきことが多岐にわたります。知識がないと間違った物件を選んでしまい、資産をつくるどころか損をしてしまいかねません。知識が多いほど早く成功へ近づけます。書籍やインターネット、セミナーなどを利用して、不動産投資に関する知識をしっかりと蓄えておきましょう。
信頼できるパートナーをつくる
わからないことや不安なことがあったとき、不動産投資に精通している相談先があると安心です。仲介と管理を行う賃貸管理会社なら物件選びから賃貸管理まで相談できるので、あちこちに相談する手間と時間が省けます。
また、不動産投資をこれから始める初心者の方でも、専門的な知識を持つプロの視点からアドバイスがもらえれば、不動産投資を始めやすく、かつ計画的に運用できる可能性が高くなるでしょう。賃貸経営のパートナーとして、信頼できる賃貸管理会社を選ぶようにしてください。
まとめ 不動産投資家になるには目的に沿った計画を立てていくことが重要
これから不動産投資を始めるにあたって、周りに相談できる人がいないと、選択に迷った際に自分の判断が正しいのかわからず、不安になることもあるでしょう。先輩投資家の意見は参考になりますが、同じ不動産投資家でも背景や目的は人によってさまざまです。多くの事例を見ているプロに相談すれば、具体的かつ的確なアドバイスが期待できます。
賃貸管理と仲介の実績を豊富に持つ【リロの不動産】は、賃貸経営はもちろん土地活用や相続など、不動産に関するさまざまな相談に対応しています。地域情報に精通しデータドリブンなサポートも不動産投資には欠かせません。まずはお気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。