アパート経営の年収と暮らしとは?アパート経営の収入を上げる方法
2023.04.12これからアパート経営を始めようと考えている方や、副業としてのアパート経営を検討している方の中には、アパート経営を行うことでどのくらいの収入を得られるのか、賃貸経営による年収は結局いくらになるのか気にされる方も多くいるのではないでしょうか。
今回はアパート経営を行うことでどれくらいの年収になるのかについて紹介するとともに、年収の定義や統計上の平均額、さらに不動産収入を上げるポイントについても解説します。
これからアパート経営を始めてみようかと考えておられる方はぜひ参考にしてください。
目次
アパート経営の年収とは
この章では、アパート経営の年収とは何を指すのか定義について解説します。
アパート経営を行うにあたって、年収、売上、所得の違いと関連をしっかりと理解しておきましょう。
年収と売上
一般的に「年収」というと、給与所得者の「給与収入」を指すことが多いでしょう。給与収入は源泉徴収前の会社から支払われた給与や賞与をすべて合計した額面の金額で税込収入とも呼ばれます。
給与収入と給与所得は異なります。給与所得金額を求める際には、給与収入に応じた給与所得控除額を差し引く必要があります。この給与所得金額が所得税や住民税などの税金額を計算する基礎になります。
アパート経営の年収は不動産所得
アパート経営は不動産賃貸業に該当します。そして不動産賃貸業において給与収入のようにすべての収入金額に相当するのは「売上」です。ここからアパート経営にかかる経費を差し引いたものがアパート経営での利益=所得金額になります。ちなみに、アパート経営での売上の大半を占める要素は家賃収入です。
また、アパート経営で得られる所得は確定申告の区分でいうと「不動産所得」になります。
不動産所得金額の求め方は、アパート経営で得た総収入金額から必要経費を引いた額です。総収入金額には家賃収入のほかに更新料や共益費なども含まれます。また必要経費として計上できるものとしては、固定資産税や保険料、減価償却費や修繕費などがあります。
そして不動産所得金額を元に所得税や住民税が差し引かれ、差し引かれたあとの金額が手元に残る金額です。
アパート経営の平均所得は
国税庁が公表している「申告所得税標本調査結果」によると、不動産所得の平均額は以下のとおりとなっています。
年度 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
平均収入額 | 5,120,638円 | 5,170,151円 | 5,181,407円 | 5,207,633円 | 5,399,575円 |
また、所得額の分布をみると、「300万円超400万円以下」が約29万人(13.66%)と最も割合が多く、その次が「400万円超500万円以下」で約23万人(10.44%)となっています。また、1,000万円超2,000万円以下の方も約14万人いることがわかっています。
アパート経営で家賃収入以外の収入
アパート経営における売上(収入)の大半を占めるのは家賃収入ですが、ほかにも売上金額に含まれるものがあります。具体的にどのようなものがあるのか、一つずつ見ていきましょう。
礼金・更新料
賃貸住宅に入居する際には、敷金や礼金、また更新時には更新料が必要です。入居時に預かる金銭のうち、返還しないものについては収入に含まれます。
そもそも敷金は賃貸住宅に入居する際の、入居期間中に家賃の滞納が発生した場合の担保的な意味や、退去する際に入居者様が負担することになった原状回復費用にあてる費用としての意味を持っており、利用しなかった分は当然入居者様に返還する必要があります。家賃の滞納や原状回復費用が発生し、賃貸経営の継続に必要な対策に充当させたあと残額となる敷金額を計算して返還しなければなりません。
逆に礼金とは、賃貸借契約が成立したことに対して支払うもので、入居者様への返還義務はありません。そのため、礼金は収入に含まれます。
更新料も契約更新手続きが成立したことに対して支払う費用とみなされるため、入居者様への返還義務はなく、収入に含まれることになります。
権利金
権利金とは、賃貸借契約時に入居者様がオーナー様に賃料の一部の前払いや賃借権を設定する際の対価として支払うものです。こちらも礼金と同じ意味を持ちますので入居者様への返還義務はありません。賃貸住宅ではあまりみられませんが、テナントや貸事務所などの事業系の賃貸借契約の際によく見られます。
共益費・管理費
共益費や管理費は入居者様から毎月支払われるもので、共益費は、主にアパートの共有部分の施設を維持および管理する費用として利用しされます。共用部分の電気代や水道代、備品の修繕費用などが該当します。
管理費は主にアパートを管理するための費用として利用されるもので、アパートの共有部分の清掃費用や管理人の人件費などが該当します。
ただし両者の内容について法令などでは定められていませんので、その使用方法はオーナー様に委ねられています。
共益費と管理費は家賃と含めて徴収するケースもあれば、家賃とは別で徴収する場合があります。
駐車場代
アパートに駐車場を用意しており、車を所有している入居者様が利用できるようにしているなら、駐車場代も収入に含めることが可能です。また、入居者様以外の駐車場経営(コインパーキング、月極駐車場など)がある場合も家賃外収入となります。
自動販売機の売上
アパートのエントランスや駐車場などに設置することで得られる収入です。コインパーキングの支払いのために両替が必要になる時に重宝されるため、コインパーキング経営と相性がいいという側面があります。
太陽光発電の売電収入
アパートの屋根や余った敷地に太陽光パネルを設置し、売電を行って得る収入で、売上に含められます。
太陽光発電の固定価格買取制度(FIT制度)は2020年度に新規要件が追加され、10~50kW未満の低圧太陽光発電の認定にあたっては、地域活用要件が設定されることとなりました。また、全量買取ではなく、10kW未満の太陽光発電と同様に余剰買取制度のみしか選択できなくなりました。
アパート経営にかかる支出・費用
不動産所得金額を計算する際には、収入から経費を差し引く必要があるため、どのような支出や費用が経費になるのかも知っておく必要があります。
この章ではアパート経営にかかる費用について、経費と税金とに分けて解説します。
アパート経営にかかる経費
アパート経営にかかる経費には何があるのかを見ていきましょう。
火災保険・地震保険料
火災保険や地震保険の保険料は経費計上できます。契約の方法は1年毎の契約と複数年契約(物件購入時に一括)がありますが、複数年契約を行った場合でも、経費計上は1年単年の費用で行います。
ちなみに火災保険は最長5年の契約が可能です。これまでは最長10年契約が可能でしたが、2022年10月より最長5年となっています。5年契約を行い、一括で保険料を支払う方が費用の節約になるため、取り入れてもいいかもしれません。
修繕費
アパートの設備や屋根、外壁などの修繕や改修費用も経費として計上できます。ただし、経費として計上できるのは、20万円未満の工事までとなることが多く、それ以上は「資本的支出」となる点に注意が必要です。
資本的支出とは、法人が固定資産を修理した場合に、その修理が固定資産の価値を高めるものである場合に適用されるもので、単年の経費とは別に減価償却費として経理処理をする必要があります。
管理委託料
アパート経営における管理業務を賃貸管理会社に依頼するケースがあります。その際、賃貸管理会社へ支払う管理委託料は経費計上可能です。管理会社によって費用は異なるものの、共有部分の清掃や設備のメンテナンス、入居者様の契約更新対応なども行ってもらえるため、管理になかなか時間が取れない方や賃貸経営のリスクヘッジを任せいたい方は賃貸管理会社に管理を依頼することをおすすめします。
仲介手数料
アパートの入居者様の募集を不動産仲介会社に依頼している場合は、入居者様を見つけてくれた不動産仲介会社に仲介手数料を支払います。不動産仲介会社が得られる仲介手数料は、オーナー様および入居者様の手数料を合わせて家賃1ヶ月分まで受領できます。
オーナー様が不動産仲介会社に支払った仲介手数料は費用として計上できます。
水道光熱費
共有部分の電気料金や水道代も経費計上が可能です。毎月発生する費用ですので、忘れずに計上するようにしましょう。
アパートローンの利息
収益物件であるアパートを金融機関から融資を受けて購入した場合、毎月ローンの返済があります。返済額の内訳に含まれる、利息分については経費計上が可能です。毎月の返済額は元本と利息をあわせた額になりますが、元本部分の返済額は経費計上できません。
減価償却費
アパートなど固定資産を購入した場合、資産の取得金額を固定資産の法定耐用年数に応じて、各年分の必要経費として計上できます。この経費計上の仕組みを減価償却費といい、実際の支出は発生しないにもかかわらず、経費計上できる会計上の仕組みを利用して最終的な節税効果を生み出します。
アパート経営にかかる税金
次に、アパート経営にかかる税金にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。説明を簡略化するために、物件購入時にかかる税金は除き、運用にかかる税金についてのみ解説します。
固定資産税
収益物件であるアパートを所有している以上、固定資産税の支払いが毎年発生します。固定資産税は毎年1月1日の所有者に対して課税されるもので、課税標準額 × 税率(1.4%)で計算されます。
ただし、固定資産税には軽減措置が用意されています。
戸建て住宅の場合、新築から3年間は固定資産税の2分の1が減額され、マンションなど(地上階数3以上の中高層耐火建築物)では5年間2分の1が減額されます。
また、土地にも軽減措置が用意されており、小規模住宅用地の場合は評価額の6分の1に、一般住宅用地なら評価額の3分の1に減額されます。
なお、細かい要件が設定されていますので、必ず自治体に確認するようにしましょう。
都市計画税
市街化区域にあるアパートであれば基本的に固定資産税と合わせて支払うもので、課税標準額 × 税率(0.3%)で計算された額になります。
都市計画税にも軽減措置が設けられており、土地の場合、小規模住宅用地の場合は評価額の3分の1に、一般住宅用地なら評価額の3分の2に減額されます。都市計画税には住宅の軽減措置はありません。
事業税
10室以上のアパートの貸付を行った場合は、不動産賃貸業の事業規模とみなされ、事業税の徴収がかかります。事業税の額は以下の計算式で求められます。
(総収入金額-必要経費-290万円)✕5%
所得税
確定申告で、各所得金額を計算し、さらに各所得控除を適用させた最終的な課税所得金額に対し、所得税がかかります。所得税率は所得金額が大きいほど税率も高くなる累進課税を採用しています。最終的に所得税がどのくらいかかるのかについては、国税庁の所得税率一覧表を参考にしてください。
住民税
住民税は、所得金額にかかわらず一律の額が課税される均等割と所得金額の10%で計算された所得割の合計額です。均等割額は自治体によって異なりますが、多くの自治体は5,000円を採用しています。
復興特別所得税
現在では東日本大震災からの復興ための施策実施の目的で、財源確保の手段の1つとして「復興特別所得税」が課税されています。2037年までの各年分の基準所得税額が対象です。復興特別所得税の税額は以下の計算式で求められます。
基準所得税額✕2.1%
【保有戸数別】アパート経営の暮らしイメージ
アパート経営を行った際に、どれくらいの戸数を保有すればどれくらいのキャッシュフローを得ることができ、どのような暮らしを得られるのか、概略をまとめてみました。簡単な数式にすると、以下のようになります。
月額賃料5万円(1戸当たり)✕12ヶ月✕保有戸数✕粗利率(85%)
※「粗利率」は(家賃収入-経費)÷家賃収入の計算式で85%と仮定
この章では、想定される生活シーンごとに保有戸数を試算してみます。ただし、シンプルに計算するため、空室率は考慮せず、また借入金の残債もないものとします。
衣食住には困らない暮らしを目指す
衣食住に困らない暮らしを目指すなら、2戸保有することで、年間収益102万円を得られます。そうすると、給与所得に加え、月額8.5万円の収入が増加する生活ができることになります。月収がプラス8.5万円となれば、少なくとも衣食住には困らない暮らしは送れるといえるでしょう。
リタイア後の老後であれば、年金プラス8.5万円となり、とりあえず安心して暮らすことができます。
実際に1~3戸(年間賃料収入:60万~180万)の物件を保有した場合、粗利率85%で得られる想定年間収益は年間51万~153万円です。月額にして4.25万~12.75万円となりますので、衣食住に困らない暮らしを目指すにはこの額で十分でしょう。
趣味を我慢しない暮らしを目指す
趣味を我慢しない暮らしを目指すなら、5戸の収益物件を保有することで年間収益255万円が得ることができます。月額に換算すると約21万円ですので、給与・年金と合わせればかなり余裕のある額になります。
実際に4~7戸(年間賃料収入:240万~420万)を保有すると考えると、粗利率85%で得られる想定年間収益は年間204万~357万円、月額17万~29.75万円です。
自由気ままに旅行をする暮らしを目指す
自由気ままに旅行をする暮らしを目指すなら、収益物件を8戸保有することを目指しましょう。8戸保有した場合の年間収益は408万円、月額にすると34万円です。さらに年金がありますので、自由に旅行に行けて旅先の楽しみを押下する余裕が生まれるでしょう。
実際に8~12戸(年間賃料収入:480万~720万)の物件を保有したとすると、粗利率85%で得られる想定年間収益は年間408万~612万円、月額にして34万~51万円です。
好きなことを我慢しないセレブな暮らしを目指す
好きなことを我慢しないセレブな暮らしを目指すなら、12戸以上は保有しておきたいところです。12戸以上保有することで、年間収益は612万円、月額に換算すると51万円となり、年金とあわせるとかなりセレブな暮らしができるのではないでしょうか。
実際に13戸以上(年間賃料収入:780万以上)を保有した例では、粗利率85%で得られる想定年間収益は年間663万以上、月間55.25万円以上です。給与・年金以外でここまでの収入があれば、好きなことを我慢することもないでしょう。
アパート経営の収入を上げるには
アパート経営の収入は、規模や経営状況によって変わります。アパートオーナー様であれば、できるだけ収入を上げていきたいと思うでしょう。アパート経営の収入を上げる方法としてどのような方法があるのでしょうか。
空室期間をなるべく減らす
アパート経営の最大のリスクは空室リスクです。したがって、空室リスクに対してどのような対策を講じて満室にするかが収入を上げる最も重要なポイントになります。一時的な入退去は必然的に発生するため仕方がありませんが、長期の空室はなるべく避けることを心がけましょう。
また、物件を選ぶ段階で賃貸需要のある立地を選ぶことや、入居者様にとって魅力のある物件づくり、時代の流れをふまえた設備選定やお部屋の改善など、適正コストで収支を改善することが重要です。
空室リスク対策として、『4つの空室対策』(①入居者募集力、②賃貸仲介の対応力、③管理対応(入居者管理/建物管理)、④設備・工事対応)を意識してみましょう。
物件の資産価値を維持する
物件の資産価値を守るための修繕費用は、将来に向けた投資になります。こまめにメンテナンスされていたり、最新の設備が採用されている物件は資産価値が高く、空室リスクや家賃下落リスクを低減することにつながります。そのためにも、賃貸経営に必要な大規模修繕やリフォームを計画的に行うようにしましょう。建物管理の質と定期的な診断などの取組により、問題を早期発見できることもあります。
融資期間を長くする
融資期間を長期に設定してもらうことで、毎月の返済額が抑えられ、結果として収入を上げることができます。融資期間の設定については金融機関との相談になりますので、必ず実現できるものではありませんが、融資期間はなるべく長くしてもらったほうがキャッシュフローは良くなります。
ただし、借入金の減少スピードは低下しますので、早期に純資産を築きたいと思っているオーナー様は別の戦略を図る必要があります。
事業規模を拡大する
1棟目のアパート経営が軌道に乗ってきたら、物件数を増やして事業規模を拡大することを考えましょう。結果的に収入の拡大につながります。また、物件のポテンシャルが高く、利回りや地域性もマッチする優良物件に出会えた場合は、資金に余裕のある方なら、初めから複数の物件を保有することもありえます。
事業が一定規模になったら、個人事業から法人成りをすることも考えるとよいでしょう。金融機関との融資折衝や節税に役立ちます。資産拡大スピードを早めたい場合にも有効です。
まとめ
アパート経営が軌道に乗れば、平均でも給与所得者と同じくらいの所得を得ることができます。本業がある方は、本業と合わせたダブルインカムにもなるでしょう。さらに本業がある方なら、節税しながらの資産形成も可能です。
アパート経営の成功のためには信頼できる賃貸管理会社への委託が重要なポイントになります。アパート経営を成功させるためには、経営上のメリットだけでなく、リスクにも目を向ける必要があります。リスクを把握し、対策を計画的に実行していく賃貸管理会社の力が不可欠です。
【リロの不動産】の管理戸数は国内上位に位置します。
・地域密着と大手の良さを併せ持つ『ハイブリッド型の賃貸経営』
・空室発生の代表要因を解決する『4つの空室対策(募集/仲介/入居者管理/設備・工事)』
・初期費用0円の割賦工事を活用する『リロの満室パックと賃貸経営リノベーション』
・管理オーナーの物件が循環する売れる『仕組み・買える仕組み』
・専門家と伴走する体制の『相続・節税対策・資産活用』
など、アパート経営全体を通してサポートし、伴走させていただくスタイルが多くのオーナー様からご好評をいただいております。
アパート経営でお悩みの方は、【リロの不動産】にお任せください。オーナー様のアパート経営を成功に導くサポートをさせていただきます。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。