アパート経営でWi-Fi導入は必須?賃貸経営のネット導入費用と選び方
2025.12.14
近年では、アパートに入居される方のニーズが多様化しています。中でも、インターネット環境は生活必需品として不可欠な要素となっているため、Wi-Fi導入は必須といえる状況です。
この記事では、アパート経営におけるWi-Fi導入の重要性、具体的な導入方法、費用や工事会社選定のポイントを解説します。
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▼この記事の内容
●アパートにWi-Fiを導入するべき理由としては、現代の入居者様が求める「標準装備」になっている、Wi-Fi導入が空室対策になる、他物件と差別化するアピールポイントになる、などがある。
●アパートWi-Fi提供方法の種類としては、オーナー契約型(一括導入型)と入居者契約型(個別契約型)があり、さらに共用Wi-Fi(共有回線方式)と個別契約(各戸設置方式)がある。料金についても、無料Wi-Fiと有料Wi-Fiがある。
●アパートへのWi-Fi導入の具体的なステップとしては、①設備の事前確認、②現地調査・見積もり依頼、③契約内容の確認と締結、④工事日程の調整と実施、⑤機器の設置と設定、⑥開通確認と引き渡し、となる。
●Wi-Fi導入前後にやるべき管理者の対応としては、入居者様への事前告知と説明、Wi-Fi利用マニュアルの作成と配布、共用部にWi-Fiの案内表示を設置、トラブル発生時の連絡先と対応フローの周知、がある。
●アパートWi-Fi導入のメリットとしては、空室率の改善、家賃の維持・向上、入居者満足度の向上がある。
●アパートWi-Fi導入のデメリットとしては、初期費用と継続的な月額費用の負担、通信速度低下によるクレームの発生がある。
目次
アパートにWi-Fiを導入するべき理由とは
インターネットは日常生活に欠かせないインフラになり、Wi-Fi環境の整備を検討されているオーナー様もいらっしゃるのではないでしょうか。実際、アパート経営においてWi-Fi環境の整備は入居者様の獲得と維持、物件の競争力強化に直結する重要な要素となっています。
無料Wi-Fi導入で成功した事例については、こちらも参考にしてください。
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現代の入居者様が求める「標準装備」としてのWi-Fi

現代はパソコンだけではなく、有線では使えないスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末も普及しています。サブスクリプション動画サービスなども一般化しているほか、Wi-Fiを活用する家電製品も増えてきました。
在宅勤務やオンライン授業も増加するなど、インターネット利用は現代人の生活に欠かせません。インターネットを快適に使用するためにも、いっそう高速かつ安定したインターネット環境の重要性が高まっています。
NTT東日本株式会社では、市場調査をもとに県庁所在地最寄りの単身物件について、築年別にインターネット無料率を算出しています。その結果、2024年のインターネット無料率は37.5%でした。新築では約9割、築1〜5年の物件でも6割程度です。
入居者アンケートの結果からも、Wi-Fi環境の整備は物件選びの重要な条件として挙げられることが多く、もはや「標準装備」とみなされています。
※出典:NTT EAST インターネット無料物件は全体の37.5%に。 新築では9割、築5~10年でも6割。
Wi-Fi導入が空室対策に与える効果
今日の賃貸市場において、「インターネット無料」は入居希望者にとって非常に魅力的な条件です。実際に入居者様が物件を探す際、インターネット環境の有無や費用を重視しています。全国賃貸住宅新聞が発表している2024年の「この設備がなければ入居が決まらない」ランキングでは、インターネット無料が単身者向け物件で4位に入っていました。
インターネット環境が充実している物件は入居希望者に選ばれる可能性が高く、空室対策として効果的です。
※出典:全国賃貸住宅新聞 「要望増加」ネット無料最多【入居者に人気の設備ランキング全国賃貸住宅新聞調査】
他物件との差別化としてのアピールポイント

アパート経営では、つねに競合物件との差別化が課題となります。似たような条件のアパートが多数立地する地域で自社物件が選ばれるためには、競合物件にはない魅力をアピールしなければなりません。
そのアピールポイントの一つが、無料Wi-Fiの提供です。築年数が経過した物件や、近隣に競合物件が多い場合など、入居者様を確保するために家賃を下げるケースもあります。しかし、家賃を下げればオーナー様の収益が低下するのはもちろん、後に家賃を再び上げるのは極めて困難になります。
家賃を据え置いたままニーズのある無料Wi-Fiを提供すれば、入居者様にとっては魅力に映るでしょう。無料Wi-Fiの提供で物件の付加価値を高めれば、強力なアピールポイントとなります。
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アパートWi-Fi提供方法の種類
アパートにWi-Fiを導入する際、提供方法は複数存在します。それぞれの方法にメリット・デメリットがあり、オーナー様の経営方針や物件の特性も考慮して導入方法を選ばなければなりません。
ここでは、Wi-Fi提供の各方法について掘り下げていきます。
オーナー契約型と入居者契約型
Wi-Fi提供の主な方式として、まずオーナー様が一括で契約して提供する「オーナー契約型」と、入居者様が個別に契約する「入居者契約型」があります。それぞれの契約方法の違いを見ていきましょう。
オーナー契約型(一括導入型)
オーナー契約型では、オーナー様がインターネットを提供するプロバイダーとの契約をまとめて結びます。そのため、入居者様が自身で別途プロバイダーとの契約を交わす手間や初期費用などがかからず、入居者様にとっての手軽さという点では最大の利点です。引っ越しで何かと忙しい入居者様にとって、入居後すぐにインターネットを利用できるのはメリットでしょう。
月額料金を家賃に含めることで、オーナー様の収益向上も期待できます。ただし、Wi-Fi導入時の初期費用や月額の維持費用はオーナー様の負担になるほか、機器の保守管理などもオーナー様が行う必要性が生じる点は注意してください。
入居者契約型(個別契約型)
入居者契約型(個別契約型)は、入居者様がご自分でプロバイダーを契約してWi-Fiを利用する契約方式です。オーナー様にとって、費用負担が一切ない点はメリットでしょう。通信トラブルが発生した際のプロバイダーとの対応も入居者様が直接行うため、オーナー様には手間もかかりません。
ただし、入居者様には、入居時にプロバイダー契約の手間や初期費用が発生します。そのため、入居者契約型はインターネットを使える環境がある程度整っているものの、物件の付加価値とはなりにくく、入居率向上への寄与は限定的です。
共用Wi-Fiと個別契約
オーナー契約型を選択した場合は、さらにアパート全体で回線(光回線やケーブルテレビ回線)を共有する「共用Wi-Fi」と、各戸に個別の回線を設置する「個別契約」の2つの方式が考えられます。両者の特徴や違いについても、把握しておきましょう。
共用Wi-Fi(共有回線方式)
共用Wi-Fi(共有回線方式)はアパートに1本の回線を引き込み、共用部に設置したルーターやスイッチングハブから各戸にWi-Fiを飛ばして提供する方式です。各戸に配線を引き込む必要がないため、配線工事が比較的簡単であり、導入費用を抑えやすいのはオーナー様にとってメリットでしょう。
ただし、共用Wi-Fiの場合は導入費用を抑えられますが、アパートで暮らす複数の入居者様が共用部に設置された1台のWi-Fi装置を使用します。利用者が集中する時間帯や、動画視聴などで帯域を多く消費する利用者がいる場合は、通信速度が安定しない可能性があります。
個別契約(各戸設置方式)

個別契約は各戸に回線を引き込み、それぞれに専用のWi-Fiルーターを設置する方式です。共用Wi-Fiとは違って各戸が独立した回線を持つため、安定した高速通信を提供できるのがメリットです。
複数人で回線を共有することがないため、一度に素早く大量のデータをやり取りでき、高画質の動画サイトもストレスなく視聴できる可能性が高まります。ただし、各戸への配線工事が必要になる分、導入費用や工事費用が高額になりやすい傾向があります。
無料Wi-Fiと有料Wi-Fi
入居者様へのWi-Fiの提供は「無料」として提供するパターンと、「有料オプション」として提供するパターンがあります。どちらのパターンでオーナー様の物件に導入するのが向いているのか決めるためにも、各パターンの詳細を把握しておいてください。
「インターネット無料」の表示で集客力アップ
今日の賃貸市場において、「インターネット無料」と表示して入居者募集を行い、月額料金を家賃に含める形でWi-Fiを提供する方法が主流になりつつあります。入居者様にとっては、インターネットの料金が家賃に上乗せされていることになりますが、自分でプロバイダーとの契約手続きをしなければならない手間を省けるのは魅力です。
追加費用なしで引っ越しした当日からインターネットを使えるメリットも大きく、物件の集客力を各段に向上させる効果があります。インターネットを利用することが当たり前の時代になり、実際に入居を検討している方が賃貸物件に求める要素としてインターネット環境を重視していることもアンケート結果などで分かっています。
有料オプションとして提供
Wi-Fiをあえて、有料オプションとして提供するパターンもあります。インターネットの利用を希望する入居者様のみが、有料オプションの費用を負担する形式です。インターネットの利用が有料だからといって、入居者様にメリットがないわけではありません。
中には、Wi-Fiをあまり必要としない入居者様もいらっしゃいます。また、インターネットの利用料金が含まれている分だけ家賃が高くなってしまうと、できるだけ出費を少なくしたいと考えている入居者様には選ばれにくくなる可能性もあります。
そのため、インターネットニーズの低い物件や毎月の費用を抑えたい入居者様がいるアパートの場合などに、有料オプションとして提供する形式が選択肢となり得ます。
Wi-Fi導入にかかる費用
アパートにWi-Fiを導入する際、初期費用のほかに、継続的に発生する月額費用も考慮に入れておかなければなりません。この章では、光回線の例を初期費用と月額費用に分けて解説します。無料導入プランの仕組みについても紹介しますので、参考にしてください。
アパート経営で必要な費用の考え方については、以下の記事も参照してください。
アパート経営・マンション経営で必要なメンテナンス!費用と注意点を解説
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初期費用(工事・機器設置・設定)
Wi-Fi導入の初期費用は物件の規模のほか、既存の設備状況や選択する回線の種類によって大きく変動します。内訳としては、以下でそれぞれ解説する光回線の引き込み工事と機器費用、LAN配線工事および設定費用の4つです。
光回線引き込み工事費用

アパートでインターネットを使えるようにするためには、近くにある電線から光回線を引き込む工事が必要です。ただ、物件の立地や配管状況によって、工事の難易度は異なります。また、工事会社によっても違いあるため、費用にも幅があります。どのくらいの費用がかかるのか正確に知りたい場合は、事前に見積もりを作成してもらってください。
Wi-Fiルーター、ONU(光回線終端装置)、HUB(スイッチングハブ)などの機器費用
光回線のインターネットを導入する場合、導入時にWi-Fiルーターはもちろん、光回線の信号をデジタル信号に変換するONU(光回線終端装置)も必要です。さらに、複数の機器をネットワークに接続するためのHUB(スイッチングハブ)などの機器もそろえなければなりません。機器費用は、導入する機器の性能や台数によって変わってきます。
LAN配線工事費用
近くの電線からアパートの建物まで光回線を引き込んだだけでは、まだ各戸でインターネットは使えません。各戸への配線を考える必要があり、有線LANを敷設する場合と、無線Wi-Fiのみにする場合が考えられます。どちらを選ぶのかはオーナー様の判断ですが、導入方法により費用に違いがあります。入居者様のニーズも考慮しながら選んでください。
設定費用
初期費用としては、ほかにも各種設定費用がかかってきます。具体的には機器の設置やネットワークの設定、セキュリティ設定など、専門会社による設定作業で発生する費用です。設定費用は、設定内容や台数などによって異なり、規模の大きいアパートになるほど設定費用も高くなる可能性があります。また、工事会社による違いもあります。
月額費用(回線・保守管理費用など)
Wi-Fi導入後も、継続して月額料金が発生します。インターネット回線自体の利用に対する料金だけではなく、安定した運用を維持するために必要な保守管理費用も含まれます。次に月額費用の内訳もみておきましょう。
インターネット回線利用料(プロバイダー料金含む)
月額料金のうち、回線を提供する事業者に支払う料金です。近年では回線事業者とプロバイダーが一体になったサービスも増えていますが、本来は回線を通してインターネットに接続するサービスを提供してくれるプロバイダーに対して、プロバイダー料金も毎月かかります。金額は選択した回線事業者やプロバイダーの料金プランによって変動します。
保守・メンテナンス費用
保守・メンテナンス費用は、機器が故障したときの対応や通信トラブルのシューティング、定期点検などにかかる費用です。機器の保守やメンテナンスには専門的な知識が必要になりますが、快適なインターネット環境を維持するためには欠かせません。金額は工事会社や保守内容などによっても異なるため、事前に確認しておいてください。
遠隔監視・運用サポート費用
サイバー攻撃の脅威が増している現在では、インターネットを利用するにあたり、セキュリティ対策が大きな課題です。そのため、多くのサービスに遠隔でのネットワーク監視や運用サポートが含まれています。費用がかかってしまうのは負担になるかもしれませんが、入居者様に安心して生活してもらうためにも大事なサービスです。
無料導入プランの仕組み
インターネットの導入では、「初期費用無料」をうたう導入プランも少なくありません。確かに初期費用が、インターネットの導入でネックになっているオーナー様もいるでしょう。初期費用無料は魅力的に感じますが、月額費用に上乗せされていたり、一定期間契約の縛りがあったりするケースが多いため、注意が必要です。
Wi-Fi導入までの具体的なステップ

アパートにWi-Fiを導入するための具体的なステップは、以下の5つです。
1.設備の事前確認
2.現地調査・見積もり依頼
3.契約内容の確認と締結
4.工事日程の調整と実施
5.機器の設置と設定
6.開通確認と引き渡し
順を追って手順を解説します。
設備の事前確認
アパートにWi-Fiを導入する際は、まず建物の設備状況を確認することが大切です。特に複数の部屋が入っている共同住宅では、各戸ごとに回線を直接引き込むと配線が複雑になり、外観も乱雑になりがちです。
そのため、通常は外部からの回線を一括でまとめるMDF(主配線盤) が設置されており、そこから各部屋に配線を振り分ける仕組みになっています。古い・小規模なアパートではMDFがないケースもあるため、建物にMDFが設置されているか、また各部屋までの配線ルートをどう確保できるか、事前に状況を把握しておくことが重要です。
現地調査・見積もり依頼
現状が確認できたら、工事会社に現地調査と見積もりを依頼します。具体的には、物件の構造や既存の設備などです。インターネット回線には大容量のデータを送受信できる光回線のほか、ケーブルテレビ回線があります。
建物の構造によっては導入できない接続方式もあるため、現地調査は欠かせません。オーナー様の要望が正確に伝わっているかどうかも、この時点で確認してください。場合によっては、複数の工事会社に依頼するケースもあります。
契約内容の確認と締結

契約する前に見積もり内容や、サービス内容を検討する必要があります。サービスプランが入居者様のニーズに合っているかどうか、速度やサポート体制なども確認してください。費用は工事会社によって差がでることもあるため、できれば複数の工事会社を比較してみるといいでしょう。
内容に納得できたら契約です。契約書の内容に細部まで目を通し、間違いがないか、不明な点がないかなど確認したうえで契約を締結します。
工事日程の調整と実施
契約締結後は日程を調整したうえで、工事の実施となります。まだ光ファイバーケーブルが引き込まれていないアパートに光回線の工事をする場合や、室内に光コンセントが設置されていない場合を例にみてみましょう。
その場合は、工事会社が訪問して工事を実施する派遣工事となります。立ち会いが必要になるため、日程を調整してください。工事はまず、光ファイバーケーブルを電柱から共用部へ引き込み、そこから各戸への配線工事を行って、室内には光コンセントを設置します。
機器の設置と設定
回線の引き込み工事と光コンセントの設置工事が完了したら、次は機器の設置と設定です。Wi-Fiを利用してインターネット回線に接続するためには、さらにWi-FiルーターやONU(光回線終端装置)、HGW(ホームゲートウェイ)などの機器を設置しなければなりません。
ONU(光回線終端装置)は、光ファイバーから送られる光信号をデジタル信号に変換する機器、HGW(ホームゲートウェイ)はONU機能やルーター機能を集約した機器です。ONUとWi-Fiルーター、またはHGWを接続し、ネットワーク設定を行います。
開通確認と引き渡し
配線工事および機器の設置と設定が終わったら、最終的にインターネット回線の開通確認が行われます。Wi-Fiの接続テストなどを立ち会いのもと共同で行い、パソコンやスマートフォンなどのデバイスで正常に接続できるかどうかを確認してください。
回線の開通が確認でき、問題がなければオーナー様への引き渡しとなり、工事は終了です。一般的に申し込みから2〜4週間後に工事日を設定できますが、引っ越しシーズンなどの繁忙期には予約が取りづらい可能性があります。
Wi-Fi導入前後にやるべき管理者の対応
Wi-Fiの導入に際し、オーナー様には入居者様がスムーズに利用できるよう、導入前後に果たすべき役割があります。アパートの管理者が対応する必要のある項目を解説しますが、賃貸管理会社や工事会社に代行してもらうことも可能です。
入居者様への事前告知と説明
Wi-Fiの導入にあたり、入居者様の生活に影響のある情報は、事前に丁寧かつ明確に告知しておきます。新規でインターネット回線の工事を行い、Wi-Fiが使えるようにするのは、既存の入居者様の退去防止や空室対策としての効果があるでしょう。
詳細を知らされずに工事会社がアパートで作業をしていると、入居者様が不安に感じる可能性があります。各戸への配線工事が必要なケースや、光コンセントの設置、Wi-Fi電波の確認などで各戸に立ち入る必要がある場合は、日程の調整もしなければなりません。入居者様の理解を得るためにも、事前告知と説明は丁寧に行ってください。
Wi-Fi利用マニュアルの作成と配布

Wi-Fi導入後、入居者様がスムーズに利用できるよう、接続方法やトラブル時の簡単な対処法などを記載したマニュアルを作成します。せっかくWi-Fiが利用できる環境になったにもかかわらず、使い方が分からないようでは入居者様のストレスになってしまいます。
マニュアルは見た目に理解しやすいイラストなども盛り込み、ステップを踏んで接続方法を提示すると分かりやすいでしょう。トラブルが発生した際はどう対処すればいいのか、トラブルのパターン別に対処法を紹介しておくことも大切です。
トラブルシューティングがあれば万一のときに役立ち、重大なトラブルでなければ入居者様が自分で解決できます。マニュアルが作成できたら、入居者様に配布してください。
共用部にWi-Fiの案内表示を設置
入居者様に対して利用マニュアルを配布するとともに、共用スペースなどにもWi-Fiの案内表示を設置しましょう。Wi-Fiが使えることを表示しておくことで、入居者様に対してさらに注意を喚起できます。
「Wi-Fi無料」や「この物件はWi-Fiを無料で使えます」、「この建物は無料でWi-Fi使い放題」など、内容を端的に表したフレーズを盛り込んでおくのもおすすめです。パソコンやスマートフォン、ゲーム機など、Wi-Fiに接続して利用するデバイスをイラストで表示すると、視覚に訴えることもできます。
案内表示が目に付く場所に掲げられていれば、内見に訪れた入居希望者様に対しても、オーナー様のアパートのアピールになるでしょう。
トラブル発生時の連絡先と対応フローの周知
通信トラブルなど、Wi-Fiに不具合が発生したときに備え、入居者様からの問い合わせに対応できる窓口や連絡先なども周知しておく必要があります。マニュアルのトラブルシューティングで解決できない状況が発生すると、入居者様にストレスを与えてしまいます。
もし、リモートワークをしている入居者様の大事なミーティング中にトラブルが発生すれば、業務に支障をきたしかねません。
トラブルが発生したとき、まず何をチェックすればいいのか、どこに連絡をすればいいのかなど、取るべき行動が分かりやすく記載された対応フローがあれば迷わずにすみます。万一の状況に備え、トラブル発生時の連絡先や対応フローの周知も徹底しておいてください。
Wi-Fi導入後の運用・トラブル対策
Wi-Fi導入後も安定的な運用と、万一のトラブル発生時に迅速な対応ができるよう、オーナー様には体制を整えておく責任があります。実際の運用やトラブル対策の実施については、賃貸管理会社に対処してもらうことが可能です。
通信トラブルが発生した場合の対処法
通信トラブルは予期せず発生する可能性があるため、対処法を明確にしておく必要があります。例えば、スマートフォンはつながるのにパソコンはつながらないなど、1つでも接続できる端末があれば、つながらない端末側の不具合が考えられるでしょう。
しかし、すべての端末がつながらないのであれば、Wi-FiルーターやONU側、ケーブルなどで不具合が発生しているかもしれません。通信の集中による障害や、プロバイダ側に問題があることも考えられます。
ルーターなどの一時的な不具合であればいったん電源を落として再起動する、最新バージョンにアップデートするなど、オーナー様や賃貸管理会社で対応できるケースもあります。重大なトラブルの場合は、速やかにプロバイダーなどに対処してもらいます。実際に通信トラブルが発生したとき慌てずにすむよう、あらかじめ対処法を定めておきましょう。
工事会社による保守・サポート体制
Wi-Fi導入の工事を依頼する工事会社を選ぶ際は、保守・サポート体制が整っているかどうかを見極める必要があります。なぜなら、トラブル発生時の対応力は、工事会社の体制に大きく左右されるからです。
電話をかけてもなかなかつながらない、オペレーターに話をしても状況が伝わらないなど、対応が悪ければ対処ができず、入居者様の満足度低下につながるかもしれません。アフターサポートがあると謳っていても、実際にトラブルが解消できなければ意味がありません。
時間帯を問わずトラブルに対応できる体制が整っているか、必要に応じて現地に駆けつける体制ができているかなど、対応力を見極めることが重要です。定期的なメンテナンスや交換サービスが含まれているかどうかも含めて、確認しておきましょう。
入居者様からの問い合わせ対応フロー

Wi-Fiに関する入居者様からの問い合わせをスムーズに処理し、解決に導くためのフローを事前に定めておく必要があります。問い合わせの内容に対して適切な解決策を取るためにも、流れを見える化しておくことが重要です。
入居者様からの問い合わせにも、「Wi-Fiがつながらない」、「速度が遅い」など内容はさまざまです。具体的な症状を確認して問題点が明確化したら、「機器の点検や再起動をしてみる」、「プロバイダーや工事会社に連絡する」など、症状に対する適切な対応手順を定めておきましょう。
問い合わせフローは分かりやすく、また見やすくしておくことがポイントです。実際に入居者様から問い合わせがあり、対応した結果があれば、問い合わせフローに反映させ、定期的にブラッシュアップしていくといいでしょう。
おすすめのWi-Fiサービス紹介
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アパートWi-Fi導入のメリット・デメリット
アパートへのWi-Fi導入は、経営に影響を与える可能性があります。Wi-Fiの導入にはメリットがあればデメリットもあるため、どちらも把握しておくことが重要です。そのうえで、総合的に判断する必要があります。
メリット1・空室率の改善
無料Wi-Fiは入居者様にとって魅力的な条件であり、空室期間の短縮と入居率向上に貢献します。近年では、スマートフォンやタブレット、パソコンなどにとどまらず、Wi-Fiに接続できる家電製品も増えてきてきています。
現代人にとってWi-Fiはなくてはならない設備になり、アパート選びにおいてもWi-Fiが使えることを条件に入れている人もいるでしょう。Wi-Fiが整備されていると、Wi-Fi完備などを条件に物件探しをしている方の目にとまりやすくなります。
また、既存の入居者様にとっても、Wi-Fiが快適に利用できれば、わざわざ出ていく理由もありません。長く住んでくれる可能性が高まり、退去率も下がります。結果としてWi-Fiを導入することにより、空室率の改善につながります。
メリット2・家賃の維持・向上
最初にアパートを建ててから時間が経過すると、経年劣化が進んだり、周囲に競合物件が出てきたりなど、空室が発生するリスクが高まります。空室を埋める施策として家賃を下げる選択肢もありますが、収益を確保するためにも、できれば下げずにすませたいところです。
インターネットが欠かせないものになったとはいえ、まだまだすべての物件でWi-Fiをストレスなく使える環境が整っているわけではありません。そのため、Wi-Fiを導入することで、他物件との差別化が可能です。
家賃を下げずに維持していても入居者様が見つかる可能性は高く、状況によっては引き上げることも可能となる場合があります。Wi-Fiの導入には費用がかかるものの、現代のニーズに合った設備投資は、将来的な物件売却時にも有利に働く可能性があります。
メリット3・入居者満足度の向上

インターネットが不可欠になった昨今では、快適なインターネット環境も入居者様の生活満足度を高める重要な条件の一つです。入居後インターネットをすぐ利用したい、回線にはこだわりがなく、利用できればいいという方にとっては無料で利用できるWi-Fiは魅力でしょう。
入居後に手間や時間をかけ、自分でプロバイダーとの契約などをする必要がないのも、入居者様にとってメリットになります。テレワークやオンラインゲーム、動画視聴などで問題なくアパートのWi-Fiが使えれば、入居者様は快適な生活を送れるでしょう。
Wi-Fiの導入によって入居者様のアパートに対する満足度を高められれば、長期的な入居につながり、空室率の改善にもつながります。
デメリット1・初期費用と継続的な月額費用の負担
Wi-Fiの導入では、最初に初期費用がかかります。まだインターネット回線の整備がまったくされていないアパートでは、電柱から共用部に光回線などを引き込むところから工事をしなければなりません。
それだけではなく、月額費用がかかってきます。工事会社によって保守点検費用や通信障害発生時などの対応費用などが別途必要になることもあります。月額費用はWi-Fiを導入しているかぎり、継続的に発生する支出です。
費用をかけてWi-Fiを導入してもなお、メリットのほうが大きいのかどうか、費用対効果を慎重に検討する必要があります。そのためにも、複数の工事会社から見積もりを取るようにしましょう。見積もりの金額を比較検討し、長期的な視点で投資判断を行うことが重要です。
デメリット2・通信速度低下によるクレームの発生
せっかくWi-Fiを導入しても、品質が悪いと入居者様が期待する通信速度に至らず、クレームの根拠になってしまうのもデメリットです。共通回線の場合は利用が集中する時間帯に回線が混雑し、通信速度が低下する可能性があります。
趣味でオンラインゲームをよくする方や、リモートワークでオンラインミーティングをする方は、回線の速度や品質を重視することも少なくありません。無料のWi-Fiを使えても、速度や品質が十分でなければストレスになりかねず、入居につながりにくい可能性があります。
苦情が多く発生すると、物件の評判が落ちる恐れもあるため、入居者様からのクレームがあった場合は早めに対応できる対策を立てておいてください。
アパート経営におけるWi-Fi導入は標準装備

アパート経営におけるWi-Fiの導入は、現代の入居者ニーズに応えるうえで不可欠な投資です。空室率の改善や家賃を下げず、場合によっては上げられる可能性もあるほか、入居者様の満足度が向上し、長期的な入居にもつながります。
Wi-Fiの導入を成功させる鍵となるのは適切な工事会社の選定と、導入後の安定した運用体制の構築です。賃貸経営のお困りごとを解決する【リロの不動産】では、Wi-Fi導入の相談にも対応しています。所有するアパートへのWi-Fi導入を検討されているのなら、ぜひ【リロの不動産】にご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。
