【事例付き】地主さんが検討する土地活用の種類は目的と土地で選ぶ
2024.03.26元々所有している土地が複数ある地主や、相続によって土地を所有した方にとって、土地ごとに適した活用方法を決めるのは大変です。目的と土地に合った活用方法を選ぶことにより、最大限に有効活用できます。
今回は地主が行う土地活用の種類や、活用方法を決める際の基準、土地活用を成功させるためのポイントについて解説します。持て余した土地の活用方法に悩んでいる地主は、ぜひ参考にしてください。
目次
地主の土地活用方法の決め方
土地活用方法は多岐にわたるため、地主が土地活用を決める際には、土地活用の「目的」を明確にすることが大切です。例えば、固定資産税や相続税などの節税対策が目的なのか、収益性の高さや安定を目指すのか、現状の煩わしい管理の手間を避けたいのか、などの目的が挙げられます。
どのくらいの利益を求めるかといった「収益性」や土地活用で起こり得る「リスク」、さらに活用方法を変更しやすいかどうかの「転用性」の観点から、最終的な土地活用の方法を決めやすくなります。以下で3つのポイントについて解説していきます。詳細な土地活用の決め方については、以下の記事も参考にしてください。
参考記事:最適な土地活用とは?土地活用の種類別の特徴と賢い選び方を紹介
収益性
保有している土地を利用してどのくらいの収益を得たいのかによって、最適な活用方法の選択肢は異なります。得られる収益が高いほどいいと考えているのか、収益よりも安定性を求めているのかなど、自分が理想とする収入状況を考えてみましょう。
いくら高い収益が得られても高いコストがかかり続けるのであれば、必ずしも有効な活用方法とはいえません。活用方法によっては収入が得られるときと得られないときの差が大きくなるケースもあり、安定して収入を得られる状態が続いたほうが安心だと感じる方もいるでしょう。
相続した土地を活用する際には節税効果を得られるケースもありますので、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:土地の評価額とは? 相続した土地の評価額算出方法と節税の仕組みを解説
あわせて、建物を建て替えることによって収益性を上げることに成功した事例もあるので参考にしてください。
参考事例:年300万円の収入増加!老朽化したアパートの建て替えをフルサポート!
リスク
土地活用においては、活用方法に応じたリスクについて把握しておくことも大切です。例えば、土地にアパートやマンションなどの建物を建てて家賃収入を得る活用方法だと、入居者様が入らない空室リスクや家賃滞納リスクなどが発生する可能性があり、賃貸経営を行ううえで大きなリスクとなります。
ほかにも自然災害によるリスクや金利変動リスク、建物に対しては修繕リスクも考えられ、修繕内容によっては多額の費用がかかります。比較的リスクの小さなものから始めるために少額投資の方法を選択するなど、リスクの大きさも重要なポイントです。まずは活用方法によってどのようなリスクが起こりやすいかを把握し、自分が対処できる範囲かどうかを確認しましょう。
転用性
転用性の高さを重視すると、土地活用の方法を決めやすくなります。一般的に建物を建てると、土地のみの場合と比べて転用性が低くなりがちです。戸建てやアパート、マンションなどを建てた後に活用方法を大きく変更しようとすると、入居者様の退居に時間や費用がかかったり、解体費用がかかったりするため、建物を生かして似た用途で使い続けるのが無難です。
一方、土地の上に簡単な設備を設置して活用する駐車場やトランクルーム経営であれば、活用方法が適していないと判断した場合や、周辺環境が変わり異なる活用方法のほうが自分の目的を達成できるとなった場合に、比較的労力をかけずに転用しやすくなっています。
将来、土地活用の展望がある場合や都市計画による影響がある場合は、スグに更地に戻せる土地活用としてコインパーキングが選ばれることもあります。転用性を考える際は、将来的に土地をどうしたいのか「出口戦略」を考えておくことが大切です。
土地の活用方法を変更し、宅地造成や開発をともなうプロジェクトを完成させた事例や賃貸住宅の駐車場をコインパーキングにして稼働率を向上した事例もありますので、以下の事例も確認してみてください。
参考事例:スモールタウン完成!生産緑地の解除から相続対策・建築までサポート
参考事例:駐車場の借り手減少をコインパーキング経営で改善!安定収益と治安維持
地主の土地活用方法14選
地主の土地活用にはさまざまな種類があります。それぞれの方法で特徴が異なるので、内容を理解したうえで自分に合う活用方法を選ぶようにしましょう。ここでは、地主の土地活用方法として検討しやすい14種類を紹介します。
また、相続した土地や生産緑地の活用方法については以下の記事をご一読ください。
【参考記事】
相続した土地の活用方法!困ったときの相談先や注意点とあわせて解説
生産緑地の有効活用方法とは? アパート・マンション経営の注意点
アパート・マンション経営
土地の上にアパートやマンションを建設し、賃貸に出すことで収入を得る方法は、土地の所有者の中でははじめに検討されやすい活用方法です。入居者様の数が多く、満室経営ができれば家賃収入も大きくなります。高い節税効果が見込めるほか、継続的に家賃収入を得やすく資産になりますが、空室リスクや修繕リスクなど長い期間にわたり安定運用できる対策が重要です。
アパート・マンション経営を行うなら広い土地が必要ですし、駅までの距離が近い、生活に便利な施設が揃っている、などの立地条件がよい地域が好まれます。まずは賃貸ニーズのある地域かどうかの確認が必要です。アパート・マンション経営を成功させた事例は以下を参考にしてください。
【参考事例】
誘致開始から1ヶ月で医療機関のテナント契約した新築賃貸マンション
コマジョクリエ2016(クレアーレMK )を竣工【駒沢女子大学産学連携プロジェクト】
戸建賃貸経営
戸建賃貸経営とは、相続で受け継いだ戸建や自分が保有している土地に戸建住宅を建てて、第三者に貸し出すことで賃貸収入を得る不動産の活用方法です。アパート・マンション経営と似ていますが、戸建賃貸の場合は貸し出す建物が戸建のため、1世帯のみの貸し出しとなる点が異なります。
戸建賃貸経営には、相続した戸建をそのまま有効活用できたり、ファミリー世帯の入居が多いことで入居期間が長くなったりするメリットがあるものの、入居者様が1世帯のため、退居した場合は家賃収入がなくなってしまいます。
戸建はアパートやマンションが建たないような狭小地でも建てやすいので、十分な敷地面積が確保できない場合などに向いている方法といえるでしょう。
参考事例:戸建賃貸経営の事例
駐車場経営
駐車場経営は、月極駐車場やコインパーキングとして運営する方法です。「個人経営」「管理委託方式」「一括借上方式」の中から経営方式を選択して運用します。駐車場経営は初期コストがほとんどかからず、転用性が高い点が魅力の経営方法ですが、アパートやマンションなどの複数戸から家賃収入を得られる方法よりも収益性が低く、土地のまま活用するため税制上の優遇措置は少なめです。
住宅街やオフィス街、観光地などに立地している場合は収益率を上げやすいので、立地条件が整っているものの、ほかの経営方法が難しそうな狭小地や不整形地を保有している場合に検討してみましょう。
駐車場経営による上手な資産活用の方法については以下の記事を参考にしてください。
参考記事:【保存版】コインパーキング経営で資産活用!メリデメ・利回り・リスクとは?
参考事例:コインパーキング・駐車場の土地活用事例
トランクルーム経営
所有している土地にトランクルームを設置し、収納スペースとして第三者に貸し出し賃料を得る方法です。家の中に収納しきれないものや、一時的に収納したいものの保管スペースとして利用してもらいます。駐車場経営に似た活用方法で、主な経営方式は「一括借上方式」と「管理委託方式」の2種類です。
建物を建てる経営方法と異なり初期コストを抑えられるほか、立地場所を選ばず狭い土地でも活用できますが、アパート・マンション経営に比べると収益性は低くなります。住宅用地としての条件や環境が整っていない土地を保有しており、初期費用や管理に手間をかけたくない場合に検討するとよいでしょう。
賃貸併用住宅
賃貸併用住宅とは、1つの住宅の中に所有者が住む場所と、第三者に貸し出す賃貸部分が分かれている住宅のことです。戸建住宅にそれぞれの居住スペースが存在すると考えるとイメージしやすいでしょう。
自宅と賃貸スペースを戸建住宅の縦か横で分けており、賃貸スペースの入居者様から家賃収入を受け取ります。将来的に自宅部分も賃貸で貸し出せば、2世帯分の賃料収入が期待できるほか、ニーズに応じて二世帯住宅に変更できるなど転用性が高い点が魅力です。
また、賃貸併用住宅は住宅ローンが利用できる可能性があります。不動産投資ローンよりも低金利で借りられ、要件を満たせば住宅ローン控除も受けられるでしょう。さらに、ローンを利用することによるレバレッジ効果が望めます。ただし、2世帯が1つの建物に居住することになるので入居者様からは敬遠されやすく、一般的な収益物件のタイプでもなく売却しづらくなる点には注意が必要です。
利便性の高い立地条件で2世帯分の戸建住宅を建てられる広さの土地を保有し、長期的な相続対策を考えている場合におすすめの方法といえるでしょう。
商業施設・店舗経営
所有する土地を、コンビニやファミリーレストランなどの店舗、複数店舗が入った商業施設などの事業者に一括借上で貸し出す方法です。アパートやマンションなどと比べて規模が大きく、借主が法人であるため高い賃料収入や長期契約が期待できます。
ただし、立地条件によって借主となるターゲット層の選択肢が大幅に狭まる可能性があるうえ、賃料が高いこともあり一度の退去が収支に大きな悪影響を与えてしまう可能性がある点には注意しましょう。
転用が難しくハイリスクハイリターンな経営方法なので、土地が駅前や都心部にある場合や主要道路沿いに立地するなど、立地条件が抜群によいとされる土地の場合に検討してみましょう。
オフィスビル経営
オフィスビルを建てて、企業などに貸し出す活用方法もあります。主に挙げられるメリットやリスクは商業施設・店舗経営とほとんど変わりません。借主は店舗系のテナントよりもオフィス系が多くなるほか、住宅ではないので日当たりなどの住環境が整っていない立地でも運用に影響することは少ないでしょう。
管理や運用には専門知識が必要になるので、専門の賃貸管理会社に管理委託するのが一般的です。オフィス街や駅前などの立地条件をクリアし、高額な初期投資にも耐えられる余力がある場合におすすめします。
医療施設経営
開業医や医療法人などと共同でクリニックや病院、医療ビルなどを建設して開設する方法です。建物すべてを医療施設として利用するケースを想定した場合は、一般的に建設会社と医療コンサルティング会社が提携し、ニーズに合った建物を建設して賃貸することになります。
周囲に賃貸住宅が多い地域でも活用できるほか、賃貸住宅よりも高額な賃料収入が期待できる点が大きなメリットです。ただし、ニーズがなければ実現できないほか、クリニックの規模にもよりますが、比較的広い土地が必要になる点に注意しましょう。
介護施設経営
介護施設経営では、所有している土地に老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、デイサービス、グループホームといった介護施設を建設し、介護施設を貸し出します。介護施設には多くの種類があり、施設ごとに開設条件が異なるため、どのような介護施設を建てるのかを考える必要があります。
介護施設は、現在も問題となっている少子高齢化や平均寿命の延びによって需要が高まっているため、空室リスクはアパート・マンション経営と比べると低くなるでしょう。さらに、建設する介護施設によっては自治体から補助や助成が受けられるケースもあるので、建設費用を抑えられます。
立地場所についても選択肢が広いほか、安定した収益性が望める反面、広い土地が必要な点や、初期費用が高額になる点に注意しましょう。
等価交換
等価交換とは、地主が提供した土地にディベロッパーが建物を建設し、地主(土地所有者)とディベロッパーが土地と建物のそれぞれの比率に応じた分を交換して取得することです。
地主が所有している時価1億円の土地に、ディベロッパーが賃貸マンションを建築した場合、地主が持つ5,000万円分の土地所有権の一部と、賃貸マンションの5,000万円相当の区分所有権を交換することで、建設した賃貸マンションを取得できます。
等価交換には、建築費用を負担することなくマンションやアパートなどが建設でき、その一部を所有できるというメリットがあるほか、同じ種類の固定資産を交換した場合は譲渡がなかったとみなす特例が適用されるため節税対策にも有効です。
しかし、土地の所有権が100%でなくなってしまうため、活用方法としていいイメージを持たない地主も少なくないでしょう。ディベロッパーの見極めを慎重に行いながら、納得できる条件で進めることが大切です。評価額の高い土地を所有しているなら、等価交換は有効な土地活用といえるでしょう。
土地信託
土地信託とは、所有する土地を信託会社に預け、管理や運用を行ってもらう方法です。プロに託して収益の一部から配当金を受け取ることができ、知識がなくても始められます。また、等価交換とは異なり土地を預けるだけなので所有権を失うことはなく、相続税対策にも有効です。
管理や運用などの事業は信託会社が行うため、事業を始める際の初期費用を抑えられます。ただし、信託会社に運用を任せたからといって必ずしも収益が出るわけでないうえ、信託会社の報酬もあるため自分で行うよりも収益性が低くなってしまう点には注意が必要です。
アパートやマンションを建てて運営するケースが多いので、ある程度の広さを持つ土地を所有しており、手間なく運用したい場合におすすめの方法といえるでしょう。
定期借地
定期借地は、保有する土地を貸して地代を得る方法です。土地を貸して自由に使ってもらえるため、自己資金は必要ありません。借り手による土地の使用方法にはコンビニエンスストアや医療系施設、オフィスビル、太陽光発電など、複数種類があり多くのニーズが見込まれるほか、土地を貸している期間中は安定した地代収入が得られます。
ただし、定期借地は契約期間が30年以上、50年以上などと長いうえに、契約期間中は原則解約できない点には注意が必要です。現在使用しておらず、今後も利用予定のない土地があるものの手放したくない、という場合におすすめの方法といえるでしょう。
売却
売却も土地活用の1つです。売却することでまとまった資金が得られるほか、所有時に掛かっていた固定資産税などの負担もなくなります。相続の際には、現金化することで相続人の持ち分に応じた現金を分けられます。今後利用する目的がない土地があるなら、売却を考えてもいいでしょう。
ただし、売却することで所有権がなくなるので、売却後に土地活用による収入を得ることはできません。また、売却益に対して税金がかかる点には注意が必要です。
相続に伴って売却する場合には信頼できる不動産会社に依頼し、適正価格で売却して利益を確保するような対策を取ることをおすすめします。
買い替え
保有している資産の状況によっては、活用しにくい土地を売却して新しく住宅を購入するなど、資産を組み替える方法も有効です。収益を生まない土地などの不動産を保有しているのであれば、買い替えることで資産全体のバランスを調整できるほか、買い替えた不動産を有効活用することにより収入が得られる可能性があります。
老後の安定した収入の確保や相続税対策に役立つでしょう。買い替えは1棟アパート・マンションやオフィスビル、立地条件のよい土地などがおすすめです。
地主の土地活用を成功に導くポイント
土地活用のさまざまな種類を知り、特徴を理解したうえでどのように活用するか決めたとしても、必ず成功するとはかぎりません。
場合によっては大きな損失を生んでしまう可能性もあります。自分で選んだ土地活用方法を成功させるためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
土地活用の目的を明確にする
まずは土地活用の目的を明確にすることが大切です。収益性の拡大を目指したいのか、節税対策に力を入れたいのか、などの目的によって選ぶべき土地活用の方法は異なります。
例えば、収益性の拡大を目指すならマンション経営やオフィスビル経営などが向いていますし、節税対策を考えるなら相続時の節税効果が高いアパート経営や戸建賃貸経営などがおすすめです。
目的とズレた土地活用を行ってしまうと、リスクが高まるほかコストもかかってしまう可能性があります。目的を決めたうえで、自分が所有する土地にはどのような経営方法が向いているのか検討してみましょう。
信頼できるパートナーに相談する
土地活用をどうするか迷った際は、土地活用の専門家である不動産会社や賃貸管理会社、建築会社、金融機関などに相談しましょう。目的が明確になり、適した土地活用の方法が分かったとしても、実際には土地の条件によって、選択した方法では活用できない可能性があります。
専門家の観点からアドバイスをもらうことによって、どのような土地活用であれば目的が達成できるのか、別の選択肢があるかどうかなどが分かり、成功に結びつけられるでしょう。
特に賃貸管理だけでなく、売却や資産管理など、すべてに対応できる賃貸管理会社だとパートナーとしても信頼できるのでおすすめです。適切な相談先の決め方については以下の記事も参考にしてみましょう。
【参考記事】
土地活用の相談は誰にする?種類ごとに違う専門家と業者の選び方
不動産を相続するには誰に相談すればよいのか? 相続手続きの期限も解説
まとめ 地主の土地活用は何を重視するかで決まる
地主に有効な土地活用方法はさまざまです。それぞれの土地活用の特徴やメリット・リスクを理解したうえで、自分の所有する土地に合った最適な活用方法を見つけ、最大限の利益が得られるよう運用していきましょう。
【リロの不動産】には不動産投資家だけでなく、多くの地主もお客様としていらっしゃいます。相続対策や売却、賃貸管理など不動産運用におけるすべての業務に対応できるからこそ、収益物件の相続対策はすべてお任せいただいております。
土地活用に迷った際には地主の目的をしっかりと把握したうえで、最高のパートナーとして目的を達成するためのサポートをさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。