【一覧表】不動産所得を節税する経費とは?減価償却費など代表的な経費を解説

2026.02.28

賃貸経営で得られる「家賃収入」のうち、「必要経費」を差し引かれた分は「不動産所得」となって税金が課されます。所得税や住民税の金額は不動産所得の大小によって決まるため、節税効果を高めるためには適切に「必要経費」を計上して、不動産所得をできるだけ小さくすることが大切です。

この記事では、不動産投資による節税対策を知るうえで重要な「不動産所得」と「必要経費」についての基本知識を解説します。また、節税効果に大きな影響を与える減価償却費の考え方についても詳しく紹介するので、ぜひ皆様の賃貸経営にお役立てください。

不動産投資で節税を実現した事例をチェックしたい方は、こちらからご覧ください。

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▼この記事の内容

●不動産所得とは、総収入金額から必要経費を差し引いたもの。収入には、家賃収入、礼金、更新料、敷金や保証金などのうち返還を要しないもの、共益費などがある。

●必要経費には、固定資産税をはじめとする税金、火災保険や地震保険などの保険料、建物を取得するための借入金(アパートローン)金利、税理士・司法書士へ支払う報酬、などがある。

●会計上、経費として計上できないものには、所得税・住民税・法人税などの税金、借入金の元本、大規模修繕積立金、などがある。

●不動産所得は給与所得や事業所得など他の所得と損益通算が可能で、減価償却という会計処理によって、所得税・住民税の圧縮が可能になる。

●維持管理のために支払う費用には修繕費と資本的支出の2種類があり、税務上の扱いが異なる。

目次

不動産所得と経費の関係とは

不動産投資で得た収益のうち、課税対象となる「不動産所得」とはどのようなものでしょうか。国税庁が定義する「不動産所得」は、次のようになっています。

不動産所得の金額=総収入金額-必要経費

不動産所得を対象に所得税や住民税が算出されますので、必要経費が大きいと不動産所得の計上額が小さくなり、結果的に節税効果が上がります。

不動産所得や賃貸経営における経費の考え方などは、こちらの記事でも紹介しているので、あわせてご確認ください。

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総収入金額に含まれるもの

賃貸経営で得られる「総収入金額」に中身については、国税庁で明確な定義づけがされています。具体的には以下のとおりです。

・家賃収入

文字どおり、家賃で得られる収入です。設定した賃料で得られた金額の合計額になります。

・名義書換料、承諾料、更新料または頭金などの名目で受領するもの

具体的には入居者様との契約時に受領する「礼金」(地方によってはない場合もあります)、契約更新時に受領する「更新料」などが当てはまります。

・敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの

敷金や保証金は、入居者様の債務不履行(入居者様の自責によって物件を毀損した場合など)がなければ、退去時に返還します。ただし、返還しないことが確定した場合は「総収入金額」の一部として計上する必要があります。

・共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や清掃代

管理費や共益費を設定した場合は、これも収入として計上します。

不動産投資における主な経費一覧とは?

不動産投資における収益幅を大きく左右するのが「必要経費」です。必要経費として計上できるものは法律で決められていますので、税務上のトラブルがないよう、「必要経費」に当てはまるものを理解しておくことが大事。ここでは主に7つの項目に分けて解説します。

固定資産税をはじめとする税金

不動産を所有することで発生する各種の税金は、必要経費として認められています。具体的には以下のような税金があります。

・固定資産税・都市計画税

不動産の所有者に対して、毎年課される税金です。国の決めた固定資産税評価基準に基づき、各市町村が決定します。市町村によって違いがあるものの、基本となる目安は固定資産評価額(課税標準額)の1.4%です。

都市計画税は都市整備を目的とする、各市町村が課税する目的税で、こちらも市町村ごとに税率は異なります。一般的な目安は固定資産評価額の0.3%です。

・不動産取得税

新たに土地や建物を取得したときに課される税金です。計算方法は以下のとおりです。

不動産取得税=不動産価格(課税標準額)×税率

ここでの課税標準額も固定資産評価額がベースです。税率は3%(標準税率は4%、土地と住宅については軽減税率が適用)となっています。

・登録免許税

不動産の登記申請時に納める税金です。

・事業税

事業所得に対して課される地方税です。賃貸経営の場合、「不動産貸付業」としての課税があり、基本となる税率は5%となっています。個人事業主であっても事業規模が大きくなると課税されます。ただし、事業主控除により所得額290万円未満は非課税となるので、目安としては300万円以上の利益、5棟10室程度の規模になると課税対象となる、と理解しておきましょう。

・収入印紙代

不動産取引の契約書を作成する際に課される印紙税のことです。契約金額ごとに税率が決まっています。

火災保険や地震保険などの保険料

法律上の義務はないものの、賃貸経営において「火災保険」への加入はほぼ必須です。さまざまな災害リスクを抱える日本では、地震保険への加入も含め、賃貸経営上のリスクを回避するうえでも重要です。

火災保険を含め、不動産に関連する保険料は必要経費として計上できます。最近では「孤独死保険」など、新たなリスクヘッジのための保険も増加傾向にありますが、いずれも経費として計上することが可能です。

火災保険は長期契約が一般的ですが、初年度に支払った金額を全額経費化するのではなく、契約年数で除した分を毎年「必要経費」として計上します。

建物を取得するための借入金(アパートローン)金利

不動産投資の資金調達では、不動産投資向けローン(アパートローン)を契約したうえで、自己資金と融資分を合わせて運用するのが一般的です。アパートローンは住宅ローンと同様に、毎月決まった金額を返済します。

返済分のうち、金利(ローンの利息分)の支払い分については必要経費として計上することが可能です。その一方、元本の返済分は必要経費に含まれません。この両者の違いについて注意してください。

金利支払い分の割合については、融資を受けた金融機関から年末に送られてくる「返済表」で確認することができます。また、融資を受けた年のローンにかかる手数料も経費として計上することが可能です。

税理士・司法書士へ支払う報酬

専門家に支払う報酬も経費として計上できます。具体的には確定申告などを税理士事務所に依頼した場合の手数料、不動産の購入時やローン契約時に申請する「不動産登記」を司法書士事務所に依頼した場合の報酬などです。

賃貸経営では滞納トラブルなどで弁護士に訴訟依頼するケースもありますが、その際に発生する弁護士費用なども必要経費となります。専門家報酬はそれぞれの事務所によって報酬は違ってくるので、できるだけ費用対効果の高い事務所を選ぶことが大切です。

建物部分の減価償却費

減価償却費とは、時間とともに価値が減少する資産について、購入費用を初年度に全額計上せずに、減価償却期間(耐用年数)で分割して毎年計上する経費のことです。新築の場合、法定耐用年数を減価償却期間として計算します。一方、中古の場合、築年数の影響を割り引いた形で減価償却期間を設定する仕組みです。

減価償却の仕組みや減価償却費の計算方法については、後ほど詳しく解説します。

機能を回復させるためにかかる修繕費

部分的なリフォーム工事や原状回復工事など、部屋の機能を回復させるための費用は必要経費に計上可能です。原状回復時に発生する、部屋のクリーニング代や壁紙の交換、給湯器やエアコンなどの住設の交換費用はもちろん、共用部分の清掃やメンテナンス費として徴収する管理費も必要経費に含まれます。

入居者様のニーズにマッチした工事を実施することによって、入居率アップと節税対策、両方で大きな成果をあげることができるので、まさに一石二鳥です。

マンションの修繕積立金は、経費計上できないというのが原則です。なお、建物の機能を向上させる大規模なリフォーム工事などの場合は「必要経費」として計上せず、建物の購入費と同じく、耐用年数期間に基づいた「減価償却費」として計上するのが一般的です。

賃貸管理会社に支払う業務委託料

賃貸経営をされるオーナー様は、賃貸管理会社に管理費として、家賃の5%(平均相場)を支払い、建物の維持管理やトラブルの解決、家賃徴収などの業務などをおまかせします。ここで支払うことになる「管理業務委託料」は必要経費として計上可能です。

不動産仲介手数料・広告宣伝費

入居者様の仲介時に支払う仲介手数料や、入居者募集のため賃貸管理会社(不動産仲介会社の場合も)へ支払う広告宣伝費も、賃貸経営に直接必要な費用として経費計上できます。

賃貸管理会社や不動産仲介会社の仲介で入居者様が決まった場合、賃貸借契約の仲介手数料の支払いが必要になることも。上限額は「家賃1ヶ月分+消費税」となっており、入居者様の事前承諾を得たうえで、入居者様が全額負担するケースが一般的です。ただし、オーナー様が仲介手数料を負担するケースもあります。

広告宣伝費は必須の費用ではありません。とはいえ、入居者様を早期に見つけ、収入を安定させるためには、収支計画にしっかり盛り込んでおきたい費用です。

旅費・交通費

管理物件や購入を検討している物件の視察、賃貸管理会社や金融機関との打ち合わせ、不動産セミナーへの参加など、賃貸経営に直接関係する移動・滞在にかかった旅費や交通費も、経費として計上できます。

公共交通機関の利用やホテルの宿泊費などはもちろんのこと、自家用車で移動した際のガソリン代や高速道路料金も経費計上が可能です。自家用車のガソリン代を計上する場合、経費として認められるのは、あくまで事業に関係する分のみです。地図アプリなどで移動距離を測ったうえで、プライベートでの利用分と按分する必要があります。

また、領収書が発行されない電車やバスの運賃に関しては、利用日・利用区間・金額・目的を確認できるよう「旅費精算書」を作成しておきたいところです。

通信費

賃貸経営に伴って生じた通信費も経費計上できます。具体的には、次のような費用が該当するでしょう。

・賃貸管理会社の担当者や入居者様との連絡に使用する電話代
・賃貸管理会社に送付する書類の郵便料金
・メールのやりとりなどにかかるインターネット代
・事業用の有料アプリ、ソフトの購入代金や更新料 など

スマートフォンについては、プライベート用の端末を賃貸経営に使用しているオーナー様も多いのではないでしょうか。この場合、経費として計上できるのは、当然事業に関係する分のみです。プライベートと事業での使用割合を、使用日数や使用時間などに応じて按分し(家事按分)、事業分のみを計上しましょう。

スマートフォンやパソコンの本体を、プライベートと賃貸経営で兼用している場合、本体購入代金の経費計上にも按分が必要になるため注意が必要です。税務署から問い合わせがあったときでも明確に根拠を答えられるよう、客観的な按分の基準を決めておきましょう。

新聞図書費

不動産投資を行うには、不動産や金融に関する知識の習得や最新の経済動向のチェックなどが欠かせません。こうした情報源として用いる新聞や専門誌の購読料、投資手法を学ぶための書籍代などは「新聞図書費」として経費計上できます。もちろん、経費に含まれるかどうかの判断軸は、賃貸経営に必要なものかどうかという点です。

不動産業界の専門誌に限らず、賃貸経営に直結する経済状況を把握するために購読している一般誌も、事業に関係するものであれば経費計上の対象になります。

一方、語学や資格の取得にかかる書籍代や受講料などであっても、自分のスキルアップを目的としているなど、賃貸経営と直接関係しないものは経費として認められません。

接待交際費

事業に関係のある打ち合わせ時の飲食代なども、「接待交際費」として経費に計上できます。例えば、賃貸管理会社の担当者や税理士との会食費、不動産マーケットに関する情報交換のための会合費用などです。当然、どのような打ち合わせや食事でも経費として計上できるわけではなく、あくまで賃貸経営に直接関係するものでなければなりません。

「誰とどのような目的で」食事したのかが重要な判断基準になるため、打ち合わせや会合時の領収書は必ず保管しておきましょう。領収書を保管する際、一緒にいた方の名前や所属、打ち合わせの主旨などをメモしておくと安心です。

消耗品費

事業に使用する消耗品にかかる費用も経費計上が可能です。事業用のパソコンや資料印刷用のプリンター、事務スペースで使う事務用品、物件の記録を撮るためのデジタルカメラ、物件の手入れに使う清掃用具などが該当します。

繰り返しになりますが、消耗品も何から何まで経費になるわけではありません。プライベートで使うアイテムの購入費用を経費として計上することがないよう、十分に注意しましょう。

なお、取得価格が10万円以上になる物品は、基本的に消耗品として処理できません。10万円以上するパソコンやOA機器を購入するケースや、パソコンを一度に2台購入して合計額が10万円を超えるケースなどは、消耗品費ではなく固定資産として処理する必要があります。この場合、減価償却を忘れないようにしましょう。

減価償却については、あとの章で詳しく解説します。

経費として計上できないもの

必要経費として計上できない項目についてもまとめておきましょう。経費計上できるものとできないものを、しっかり区別することが大切です。

所得税・住民税・法人税などの税金、借入金の元本

所得税や住民税、法人税などは不動産投資での経費として計上できません。これらの税金は不動産投資に関係なく発生する税金と考えられていることが主な理由です。

税法上の原則として、そもそも税金は不動産投資事業での「必要経費」にあたりません。不動産所得税や固定資産税など、不動産から直接生じる税金に関しては例外的に経費への計上が認められている、ということです。

所得税や住民税は、家賃収入から必要経費を差し引いた「不動産所得」を含めた合計所得額に対して課税されます。

借入金の元本

同様に、借入金の元本返済分も必要経費ではありません。元本返済分は単に負債分を減らすための出金であることから、経営上の費用性はないと判断されています。一方で、金利の返済分は会計上、費用項目である「支払利息」に計上されるので、必要経費として計上できます。元本返済分と金利支払い分で会計上の扱いが違う点に注意しましょう。

大規模修繕積立金

部分的なリフォーム工事や原状回復工事など、日常的に発生する小規模な修繕費用は経費として計上できます。一方、大規模修繕の実施に向けて準備する「大規模修繕積立金」は、原則として経費にカウントできません。

大規模修繕とは、通常12〜15年に1回程度行われる、建物全体に関わるような修繕のこと。外壁塗装、屋上防水補修、共用廊下・階段・エントランスの補修、給水管や排水管といった配管工事などが挙げられます。これらは経年劣化するため、不具合が生じる前に更新や補修が必要です。とはいえ、工事にはまとまった金額がかかるので、普段から計画的に積み立てていきます。

修繕積立金は毎月発生するものですが、費用自体は工事にともなって支払うため、経費として計上できないのです。

なお、大規模修繕を見据えて「賃貸住宅修繕共済」に加入する場合には、共済掛金は経費として計上できます。賃貸住宅修繕共済とは、大規模修繕や災害による大規模な修繕が必要になった際、オーナー様が共済金を受け取れる制度のことです。

計上できるか判断しづらいもの

飲食費、旅費交通費、通信費など、判断しづらい項目については、「賃貸経営に直接関係あるものかどうか」を基準に、必要経費に含めるか判断しましょう。ただし、一見同じような支出にみえても、法的な条件次第で経費としての扱いが異なることが多々あります。自分の感覚だけで判断するのは難しいため、迷ったときは税理士さんに確認をとっておきましょう。

もう1つ、判断しづらい重要な項目が「工事費用」です。一般的には、通常の維持管理や原状回復など、資産価値の維持に関わる工事費用は必要経費として計上することが可能です。

その一方で、大規模修繕や大がかりなリフォーム工事やリノベーションなど、建物の資産価値を明確に向上させるための投資費用については、会計上の「資本的支出」と分類するのが一般的です。

工事目的が現状の回復・維持にあたるか、それとも資産価値向上にあたるかの線引きは難しいので、信頼できる賃貸管理会社や建築業者によく相談して判断してもらいましょう。

不動産投資による所得税・住民税の節税の仕組み

「不動産投資は節税に効果的」と言われます。不動産投資が節税につながる最大の理由は、不動産所得における会計上の赤字を、ほかの所得と相殺できることにあります。この仕組みを理解しておけば、キャッシュフローの黒字を安定的に保ちつつ、税負担を軽減できるでしょう。ここでは、所得税・住民税の節税の仕組みを詳しく解説します。

不動産投資による節税については、こちらの記事もご覧ください。

不動産投資の減価償却と節税の仕組み!節税額の計算方法と注意点を事例で解説

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不動産所得は損益通算が可能

不動産所得は、給与所得や事業所得など、ほかの所得と損益通算できます。損益通算とは、ある所得で赤字が発生した際、その赤字額をほかの所得と相殺できる仕組みのこと。このときの「赤字」とは、あくまで会計上のマイナスを指します。

例えば、年間給与所得950万円のオーナー様が賃貸経営に取り組んだ結果、年間の不動産所得が100万円の赤字だったとしましょう。

この場合、損益通算により、所得税・住民税の課税所得は950万円−100万円=850万円となります。課税所得が圧縮される分、税額を低く抑えられるのはもちろん、所得税は累進課税なので税率も下がります。課税所得が下がることで、高い税率が適用される部分の金額が減るため、結果として税額を抑えることができます。

会社員や公務員のオーナー様は多くの場合、所得税は源泉徴収で給与から天引きされています。損益通算すれば、確定申告で所得税の還付を受けられるでしょう。

減価償却という会計処理

上記の損益通算と減価償却を組み合わせれば、大きな節税効果が期待できます。減価償却とは、建物の取得費用を法定耐用年数に応じて分割し、毎年「減価償却費」として経費計上できる会計処理のことです。

減価償却によって、長期間にわたって安定的に大きな経費を計上できるため、不動産所得を継続して圧縮できるのがポイント。不動産所得が赤字になれば、損益通算によってさらなる節税が可能になります。減価償却は、まさに不動産投資における節税の要といえる制度なのです。

建物の構造と法定耐用年数

減価償却期間のベースとなる法定耐用年数は、建物の構造によって定められています。構造ごとの年数は次のとおりです。

建物構造法定耐用年数
木造22年
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造 鉄筋コンクリート(RC)造47年
鉄骨造(金属造)骨格材の肉厚
4mm超     :34年
3mm超4mm以下 :27年
3mm以下    :19年

新築物件を取得する場合、減価償却期間=法定耐用年数です。減価償却の処理では、建物の取得費用を期間に応じて分割するため、耐用年数が短いほど1年あたりの減価償却費は大きくなります。

つまり、耐用年数が短い物件を取得したほうが、課税所得を大きく圧縮でき、所得税・住民税の節税効果も高くなるということです。節税目的で不動産投資を始めるなら、この点も物件選定の重要な指標となるでしょう。

減価償却費の計算式

続いて、減価償却費の計算方法を見ていきましょう。計算方法には大きく「定額法」と「定率法」の2種類がありますが、2016年以降の取得物件については、定額法を用いることが義務付けられています。

定額法による毎年の減価償却費は次の計算式で求められます。

毎年の減価償却費=建物価格×償却率

償却率は耐用年数に応じて定められており、木造(耐用年数22年)であれば0.046、RC造(耐用年数47年)であれば0.022です。例えば、新築木造アパート(建物部分)を6,000万円で取得した場合、6,000万円×0.046=276万円を、22年間にわたって経費として計上できることになります。

参考:国税庁「減価償却資産の償却率等表」

一方、中古物件を取得した際には、「簡便法」を用いて残存耐用年数を計算する必要があります。簡便法による耐用年数の計算式は次のとおりです。

築年数耐用年数の計算式
法定耐用年数に達していない(法定耐用年数−築年数)+築年数×20%
法定耐用年数を超過している法定耐用年数×20%

例えば、築15年の木造アパートを4,000万円で取得する場合、耐用年数は(22年−15年)+15年×20%=10年なので、4,000万円÷10=400万円を10年間にわたって、減価償却費として計上できます。

減価償却費は実際にはお金が出ていかない支出

減価償却費の最大の特徴は、会計上は経費として計上できる一方、現金の支出はともなわないという点です。

先ほどの「新築木造アパート(建物部分)を6,000万円で購入する例」で考えてみましょう。この場合、前述のとおり、減価償却費を毎年276万円ずつ、22年間にわたって計上します。帳簿上は「毎年276万円の支出」が発生していることになるわけです。しかし、実際のところ6,000万円は購入時に支払っており、276万円のキャッシュが手元から出ていくわけではありません。

これを使えば、「手元にキャッシュはあるが税務上は赤字」という状態を実現できます。この状態なら、次なる投資に向けた原資を蓄えつつ節税効果も期待できるため、投資効率が高いといえるのです。

減価償却による節税では譲渡所得税に注意

減価償却を使えば毎年の所得税・住民税を抑えられる反面、売却時には減価償却した分だけ、帳簿上の物件価格(簿価)が下がってしまうことに留意しなくてはなりません。簿価が低い中で売却すると譲渡益が大きいと見なされ、売却時の譲渡所得税の負担が増してしまうのです。どのようなことなのか詳しく見ていきましょう。

譲渡所得の計算方法

土地や建物を売却する際には、売却益に応じて譲渡所得税がかかります。譲渡所得税とは、売却で生じた譲渡所得に対して課される、所得税・住民税・復興特別所得税の総称です。

ポイントは「譲渡所得に対して課される」ということ。譲渡所得は次の計算式で求められます。

譲渡所得=譲渡価格−(取得費+譲渡費用)

取得費や譲渡費用が大きいほど、譲渡所得を圧縮でき、譲渡所得税を抑えられるのです。しかし、譲渡所得を計算する際の取得費は、減価償却累計額を差し引いた後の価格を用いることになっています。

再び「新築木造アパートを6,000万円で購入する例」で考えた場合、築10年経過後に売却するとなると、276万円×10年=2,760万円を譲渡価格から差し引かなければなりません。この分だけ譲渡所得が大きくなり、譲渡所得税も高くなるというわけです。

減価償却で毎年の税負担を軽減できたとしても、それ以上に譲渡所得税が高くなってしまっては、トータルでマイナスになってしまいます。売却も含めた投資全体の利益を最大化するためには、上記の計算を前提としたシミュレーションが欠かせません。

譲渡所得税の税率

売却を含めた投資全体の利益を考えるうえで、もう一つ鍵となるのが譲渡所得税の税率です。譲渡所得税の税率は、物件を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2つに分かれます。それぞれの税率は以下のとおりです。

 所有期間 (売却した年の1月1日時点)税率 (すべての合計)
長期譲渡所得5年超20.315%
短期譲渡所得5年以下39.63%

表のとおり、長期譲渡所得と短期譲渡所得では、税率に大きな差があります。投資全体での利益を最大化するには、所有期間が5年を超えてから売却する前提で投資戦略を考えるほうが現実的でしょう。

不動産投資で節税になる年収の目安

損益通算を活用した節税効果は、本業の所得が高いほど大きくなります。なぜなら、所得税は累進課税制度が採用されているからです。課税所得ごとの所得税率を確認しておきましょう。

課税所得額税率控除額
1,000円〜195万円未満5%0円
195万円〜330万円未満10%9万7,500円
330万円〜695万円未満20%42万7,500円
695万円〜900万円未満23%63万6,000円
900万円〜1,800万円未満33%153万6,000円
1,800万円〜4,000万円未満40%279万6,000円
4,000万円〜45%479万6,000円

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」

一般的には、課税所得が900万円を超え、所得税率が33%以上となる層において、不動産投資による節税効果がより顕著になるとされます。長期譲渡所得の税率も考慮すると、課税所得が900万円以上の方は、売却までのトータルの利益も確保しやすいといえるでしょう。

修繕費とは異なる資本的支出とは

建物の資産価値と高い入居率を維持するには、適切な修繕やメンテナンスが欠かせません。維持管理のために支払う費用には「修繕費」と「資本的支出」の2種類があり、税務上の扱いが異なります。賃貸経営に取り組むにあたっては、2種類の費用の違いを正しく理解しておく必要があります。

修繕費は経費

修繕費とは、建物の機能や価値を維持するために行う、修理や定期交換などのことをいいます。修繕費は経費としての計上が可能です。修繕費に含まれる支出としては、次のようなものが挙げられます。

●外壁の塗り替え
●屋根の防水改修工事
●雨漏りしている箇所の修理
●故障したエアコンの修理
●点かなくなった電球の交換
●外壁にできたひび割れや亀裂の修復

ポイントは「現状維持のための修繕」ということです。その年に発生した修繕費は、経費として一括計上できます。

資本的支出は減価償却

これに対して資本的支出とは、建物の価値を高めたり、使用可能期間を長くしたりするための支出を指します。例えば、次のような支出は修繕費ではなく、資本的支出に分類されます。

●リノベーションや増改築をともなうリフォーム
●設備のグレードアップ
●耐震補強工事
●避難階段などを追加で取り付ける工事
●建物の機能をアップする設備の新設
●建物の寿命を延ばす防水加工工事

資本的支出は修繕費と異なり、経費として計上できません。修繕費にあたる費用を抜き出した後の資本的支出は資産計上したうえで、法定耐用年数にしたがって減価償却を行う必要があります。

修繕費と資本的支出の判断基準

修繕費と資本的支出は、税務上の扱いが異なるため、適切に判断することが求められます。両者の区分は複雑ですが、実務上は支出の金額や目的に応じて、形式的な判断基準が設けられています。ここでは、両者の5つの判断基準と特例を紹介しましょう。

費用は20万円未満か

最初に紹介するのは、金額による判断基準です。国税庁は「一つの修理、改良などの金額が20万円未満のとき」には、工事や作業の内容にかかわらず、修繕費として経費計上することを認めています。例えば、住宅設備を従来のものより高性能なものにグレードアップしたり、一部の内装をやり変えたりするような場合でも、全体の費用が20万円未満であれば、経費として一括計上できるのです。

日常的に発生する少額の修理や備品の交換などは、この基準により、迅速に経費として処理できます。メンテナンスが必要になった際は、まず金額が20万円未満に収まるかどうかをチェックしましょう。

参考:国税庁 No.1379 修繕費とならないものの判定

おおむね3年以内の周期で行われるものか

金額と合わせて確認しておきたいのが、その修繕が定期的なものかどうかという点です。国税庁は「おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良など」に関して、修繕費として経費計上できると定義しています。これは費用に関係なく適用されるため、たとえ支出が20万円を超えたとしても、3年以内の周期で行われるものであれば、修繕費として処理できます。

定期的なメンテナンスは、現状の建物や設備の状態を維持するためのものであり、あくまで現状維持のための支出と考えられるからです。必ずしも3年ごとに実施した実績が必要なわけではなく、一般的に3年程度で修理・更新が求められる内容であれば、修繕費として認められる可能性があります。

現状維持のための支出か

20万円以上の費用がかかり、かつおおむね3年以内の周期で行う内容ではない場合、次に確認したいのが「現状維持のための支出かどうか」という点。繰り返しになりますが、建物や設備の価値や機能を維持するための支出なら修繕費、建物の価値をアップしたり機能を付加したりするための支出なら資本的支出というのが、根本的な考え方です。

具体的には、破損や不具合のある部分を元の状態に戻すためにかかった費用は修繕費であり、建物の構造を強化したり、最新の設備にグレードアップしたりするためにかかった費用は資本的支出に分類されます。

金額と周期で判別がつかないときには、原則論に立ち返って判断しましょう。

資産価値や使用可能期間を増加させるか

価値向上や機能付加にあたるかどうか判断がつかない場合、次に考えるべきは、資産価値や使用可能期間への影響があるかどうかです。その改修や交換によって、建物の資産価値が明らかに高まったり、使用可能期間が延びたりすると考えられるのであれば、資本的支出として処理する必要があります。

例えば、設備の交換・更新を行う場合、新たな機器によって従来はできなかったことができるようになるとすれば、設備のグレードアップと考えてよいでしょう。また、避難階段を設置したり、店舗として使えるよう用途変更のために改装したりといった工事は、資産価値を高めるための行為に該当することから、資本的支出として処理するのが妥当です。

60万円未満か、前年末取得価格の10%以下か

ここまでのステップで判断したものの、修繕費に該当すると判断できない場合には、再度金額で判断する規定があります。

国税庁が定めるところでは「一つの修理、改良などの金額のうちに資本的支出か修繕費かあきらかでない金額がある場合で、その金額が60万円未満のときまたはその資産の前年末の取得価格のおおむね10パーセント相当額以下であるとき」は、その支出を修繕費として経費算入してよいとされています。

前年末取得価格とは、前の年の12月31日時点で所有する固定資産の最初の取得価格に、その固定資産に対する資本的支出の総額を加えた金額のこと。

つまり、修理や改良にかかった金額が「60万円未満」か「修理・改良後の固定資産価格の10%以下」であれば、内容がどうであれ、費用を修繕費として経費計上できるのです。

区分の特例

ここまでの判断基準をもってしても、修繕費か資本的支出なのか明確に判断できない場合もあるでしょう。中には、全体的には資本的支出として捉えられるものの、一部は修繕費として捉えることもできるなど、区分が複雑になるケースもあるかもしれません。こうした場合に役立つのが「資本的支出と修繕費の区分の特例」です。

本特例を適用すると、次の2つのうち少ない金額を、修繕費として経費計上できます。

●支出額×30%
●前年末取得価格×10%

上記の金額を除いた分は、資本的支出として資産計上したうえで、耐用年数に応じて減価償却を行う仕組みです。特例を使えば、修繕費と資本的支出を機械的に分けられることから、判断に迷いが生じた場合の実務的な救済措置といえるでしょう。

参考:国税庁 〔資本的支出と修繕費等〕

災害の場合の特例

所有物件が震災や風水害などで被災し、復旧や建て替えが必要になることも考えられます。こうした災害による被害の復旧費用については、特例的に、幅広く修繕費として認められる仕組みになっています。

例えば、震災によって建物が一部損壊し、賃貸物件としての機能を十分に果たせなくなったとしましょう。今後の余震や経年による倒壊などを防ぐためには、建物の補強工事などが必要です。通常、耐震補強工事は建物の寿命を延ばす措置と考えられるので、費用は資本的支出に該当します。しかし、この場合、被災前の機能や役割を取り戻すための補強であるため、例外的に修繕費として経費計上できるのです。

ただし、前提として、その支出を修繕費として会計処理しておかなければなりません。

すべてを修繕費として処理できればよいのですが、実際には、復旧に合わせて用途変更のための改良を施したり、災害対策を強化したりするケースも少なくないでしょう。このように修繕費と資本的支出が混在しているような場合には、支出額×30%を原状回復のための修繕費、残りを資本的支出として処理することも認められています。

本特例を活用すれば、災害により物件に被害が生じたとしても、費用を経費計上したうえで迅速に事業を再開できるでしょう。

不動産所得と経費についての注意点

不動産投資による節税効果を受けるためのカギとなる経費。計上する際には、税務署からの指摘を受けないよう、適切な管理とルールの遵守が強く求められます。不動産投資で経費計上するとき、特に注意すべき3つのポイントを見ていきましょう。

確定申告は青色申告を選択する

年間20万円以上の不動産所得がある場合、毎年2月中旬〜3月中旬の期間中に確定申告を行う必要があります。確定申告における申告方法は「白色申告」と「青色申告」の2種類です。

 記帳方法提出書類控除
白色申告簡易簿記(単式簿記)・確定申告書
・収支内訳表
なし
青色申告複式簿記

※10万円控除の場合は簡易簿記
・確定申告書
・青色申告決算書
・貸借対照表
・損益計算書
(・第四表)
最大65万円の青色申告特別控除

※不動産所得が少額の場合10万円の控除

青色申告には複式簿記が必要となり、白色申告に比べて複雑な会計処理と収支管理が求められます。しかし、e-Taxを利用すれば最大65万円の特別控除が受けられ、その節税効果は極めて大きいといえます。記帳や申告を税理士に依頼する場合、5万〜20万円程度の報酬が追加で発生しますが、かかった費用は経費計上も可能です。

節税額と経理事務にかかる手間のバランスを考慮しても、青色申告を選択しない手はありません。

プライベートなものと区別をしておく

経費計上で問題になりやすいポイントが、事業目的の支出とプライベートの支出の区別です。経費計上できるかどうかの最大の判断基準は「事業のための支出かどうか」であり、プライベートの支出が少しでも含まれていると、税務署から指摘を受けかねません。

とりわけ注意が必要なのが、事業とプライベートのどちらでも使用される「家事関連費」と呼ばれる支出です。例えば、賃貸住宅を自宅兼事務所として使っている場合の家賃、事業用にも使っているプライベートのスマートフォンの利用料、仕事にも使用するマイカーの燃料費や高速代などが該当します。

これらの家事関連費は原則として経費計上できないとされる一方、事業遂行のため明確に必要であることを証明できる場合にかぎり、家事按分のもとに一部を経費として計上可能です。家事按分して経費計上するためには、次の要件を満たす必要があります。

●当該の家事関連費のうち、50%超(主な支出)が事業のために必須であること
●上記の「事業のために必須」という根拠を明確に提示できること
●事業のための支出割合が50%以下でも、事業のために必須であり、事業用に使った分を明確に区分できること

先ほどの家賃であれば、事業とプライベートで使うスペースの面積割合や時間割合で分ける方法が考えられます。スマートフォンの通信料なら使用日数や使用時間、マイカーにかかる費用なら走行距離や使用日数で按分するのがよいでしょう。

家事関連費を経費として見込む場合には、按分基準を明確にするとともに、領収書の裏面には利用目的を必ず明記するなど、客観的な説明ができる状態にしておくことが重要です。

土地部分の金利の扱いについて

毎月のローン返済のうち、元金は経費計上できない一方、建物部分の金利に関しては経費として扱えるとお伝えしました。ここで気をつけなければならないのが、土地の購入に関わるローン金利です。

不動産所得が黒字の場合、土地部分の金利も建物部分と同様、経費計上して損益通算の対象になります。しかし、不動産所得が赤字の場合には土地部分の金利のみ、ほかの所得との損益通算が認められないのです。損益通算で会計上赤字にする節税スキームを使う前提であれば、「土地部分の金利は損益通算できない」と考えておくべきでしょう。

このように建物部分の金利と土地部分の金利では、会計上の扱いが異なります。売買契約書に記載された建物・土地それぞれの費用を確認し、ローン借入額の按分を正しく計算しましょう。

節税目的で不動産投資を行うときの注意点

ここまで見てきたとおり、不動産投資は所得税や住民税の節税に効果的です。ただ、節税はあくまで不動産投資がもたらすメリットの一つに過ぎません。節税が自己目的化してしまうと、出口までのトータルの収支で見たとき、大きな損失を被るリスクがあります。

不動産投資を成功させるには、長期的な視点に立ち、資産を拡大するための戦略的な投資姿勢を持ち続けることが大切です。具体的には、次のようなポイントを意識しましょう。

築古の木造・軽量鉄骨造の一棟アパートが狙い目

不動産投資による節税の肝となるのは、損益通算と減価償却を組み合わせた課税所得の圧縮です。節税効果を高めるには、できるだけ多くの減価償却費を経費計上する必要があります。短期間で大きな減価償却費を得るためには、耐用年数の残り少ない中古の木造や軽量鉄骨造の一棟アパートが狙い目でしょう。

木造の法定耐用年数は22年、軽量鉄骨造の法定耐用年数は19〜34年であり、SRC造・RC造の47年に比べて短めです。さらに、法定耐用年数を超えた物件の耐用年数は、簡便法により22年×20%=4.4年。1年未満の端数は切り捨てるため、実際にはわずか4年で建物価格の全額を償却できるのです。

例えば、新築木造アパート(建物部分)を6,000万円で購入した場合、1年あたりの減価償却費は276万円でした。これに対し、築25年の中古木造アパート(建物部分)を2,500万円で購入した場合、1年あたりの減価償却費は2,500万円÷4年=625万円にもなります。

減価償却の恩恵を受けられる期間は短いですが、短期で大きな節税効果を得たいなら、耐用年数を超過した中古物件を選びましょう。

収益性を無視した物件選びはしない

減価償却による節税効果を最大限受けるには、築古の木造・軽量鉄骨造アパートがおすすめと紹介しましたが、それだけの理由で中古物件を選ぶのは危険です。収益物件は基本的に築年数が経過するほど競争力が低下するため、空室リスクも高まります。おまけに、建物や設備の老朽化が進むので、修繕費用がかさむリスクもあるからです。

税金を減らしたいがために、こうしたリスクを抱える物件を購入した結果、節税額を上回る持ち出しが発生しては何の意味もありません。「節税につながるかどうか」という視点は大切にしつつも、収益性を最優先にした物件選びを心がけましょう。

同じ中古物件でも、人気の地域や駅近にあり、今後も十分な賃貸ニーズが見込める物件なら検討する価値は十分あります。反対に、どれだけ安価で表面利回りが高くても、周辺人口が減少していてニーズの先細りが想定される物件は購入を避けるべきです。

節税効果に期待するとしても、稼働力や立地条件から収益性のある物件を見極める、という大前提を崩してはいけません。

出口戦略を意識する

不動産投資の大半は、物件売却がゴールです。不動産投資の成否は、売却価格と売却時にかかる税金を差し引いた税引き後キャッシュフローで決まります。運用中にどれだけ節税できて、どれだけプラスのキャッシュフローを維持できたとしても、売却時のマイナスで帳消しになってしまうようでは、その投資を成功とはいえません。

賃貸経営で得られる収入には、インカムゲインとキャピタルゲインの2種類があります。インカムゲインは運用中に得られる家賃収入など、キャピタルゲインは物件の売却益です。物件選びから出口戦略を意識し、インカムゲイン・キャピタルゲインのトータルリターンで評価することで、不動産投資を成功に導くことができます。

加えて、先ほど紹介した売却時の譲渡所得税も考慮しておきたいところです。長期譲渡所得と短期譲渡所得では税率が倍近く違ってくるため、5年超の保有を前提として、税金も含めた収支シミュレーションを行いましょう。

デッドクロスが見えたら次の投資判断を

節税目的で不動産投資を行う際、とりわけ注意しなければならないのが「デッドクロス」です。不動産投資におけるデッドクロスとは、「ローン元金返済額>減価償却費」となるポイントのこと。

ローン元金返済額は経費として計上できない一方、減価償却費は経費計上が可能です。デッドクロスの状態になると、減価償却による課税所得の圧縮効果がなくなります。すると、納めなければならない所得税・住民税が大幅に増えるうえに、ローン元金は変わらず返済しなければならず、資金繰りが急激に悪化してしまうのです。

この状態が継続すると、会計上は黒字でありながら手元の現金が不足してしまい、最悪の場合「黒字倒産」を招くおそれがあります。

節税目的で築古物件を購入する場合、減価償却期間が短期で終了するため、デッドクロスが訪れる可能性も十分にあるでしょう。問題は「デッドクロスになること」ではなく、「デッドクロスを見越してどのような対策を講じるか」です。

ローンの返済期間と減価償却期間を考慮しつつ、デッドクロスが顕在化する前のタイミングで、物件の売却や次の物件購入を検討しましょう。所有期間が5年超になるようであれば、売却を前提に考えるのもよいかもしれません。次の物件を購入すれば、新たな減価償却をスタートできることに加え、資産の拡大にもつなげられます。

デッドクロスをはじめとする物件の売却時期の見極め方については、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

【事例付】アパート売却の流れと売却時期の見極め方!相続時の注意点も解説

【事例付】中古アパートを購入するときの注意点と対策を事例と一緒に徹底解説

【リロの不動産】は不動産所得の節税効果も期待できる!

不動産投資をされる数多くのオーナー様をサポートしてきた【リロの不動産】では、これまでにもさまざまな節税対策を提案しております。【リロの不動産】では入居者様のニーズやオーナー様のご要望に合った「設備投資やリフォーム・リノベーション」を行うことに注目し、効果的な節税対策をサポートしてまいりました。

【リロの不動産】が提案する節税対策の事例を、いくつかご紹介しましょう。

『リロの満室パック』による空室改善サポート

『リロの満室パック』は、「持ち出し費用0円の割賦」と「収益を確定する借上」を組合せ、「厳選リフォーム」により選ばれるお部屋に改善するサービスです。

【商品の特徴】

・最小限の厳選リフォーム対応で長期空室が改善!
・割賦利用で、初期費用0円・持ち出し費用ナシで「選ばれるお部屋」に改善!
・借上利用で、空室を1部屋から借上可能!

入居者ニーズを反映したリフォーム工事の費用は経費計上できます。オプションである、借上や割賦と組み合わせ、持ち出し費用ナシでお部屋を改善し費用計上することが可能です。また、確定収益が欲しい場合は借上をご利用いただくことでキャッシュアウトの不安を払拭していただけます。

『賃貸経営リノベーション』 による空室対策サポート

賃貸経営リノベーションとは、「①収益のバランス」を取り「②入居者ニーズを満たす物件価値の向上」を行う賃貸経営に特化したリノベーションになります。付加価値を向上する工事対応になるため、資産計上となり減価償却費に計上されます。

賃貸経営リノベーションでは過剰投資をせず、地域特性や物件の魅力を考えたうえで、入居者ニーズを分析し、費用対効果を考慮しながら賃貸経営に必要なリノベーションを行います。

一般的なリノベーションと異なり、お部屋の問題点を改善し、賃料アップや募集戦略の改善など、リフォーム後の募集広告や仲介から売買まで、賃貸経営の流れを俯瞰して収益改善を行うことが一般的なリノベーションとの大きな違いです。

『リロの売買』 による購入/売却サポート

『リロの売買』では節税目的の資産拡大や、ご相続や出口戦略のサポートも専門パートナーとご一緒に対応いたします。長年の管理実績により多くの管理物件を保有するオーナー様の優良物件を優先的にご紹介する「売れる仕組み・買える仕組み」を構築しました。

お客様ごとに、ご事情や求める目的が変わるため、専門的なパートナーと一緒に理想を叶える伴走支援をしております。節税効果を考えた際は購入スキームや運用後の対応に目が行きがちですが、売却までの出口戦略もオーナー様と同じ目線でサポートいたします。

リロの売買ではオーナー様の売却情報を待ち望んでいる検討顧客へ優先的にご案内をしております。また、諸事情で大々的に物件情報を開示できないオーナー様や法人顧客のネットワークを構築して、資産拡大や節税効果を期待する不動産投資にも貢献いたします。

建て替えや資産活用サポート

建物の建て替え工事は、効果的な節税対策と資産価値向上を両立できる方法の1つです。とくに相続税対策の面で大きな効果を発揮します。

建物の課税対象額は固定資産評価額をベースに決定されます。固定資産評価額は実際の建て替え工事費用の50~70%に設定されるため、そのまま現金で保有している場合よりも相続税の課税対象額を圧縮することが可能です。もちろん、立て替えた建物の資産価値は上がりますから、将来的な資産活用を見据えても効果的です。

相続時だけでなく、通常の賃貸経営においても、大規模修繕工事を効果的なタイミングで実施することで、減価償却費の計上や損益通算を活用した節税対策を立てることができます。【リロの不動産】では、このような節税対策を見据えた資産活用・土地活用のお手伝いを、これまでにも多く提案させていただいております。

物件価格の査定や運用方法、提携する専門家(税理士・司法書士など)との連携などを通じて、オーナー様の資産活用や相続対策に伴走いたしますので、気になる点はお気軽にご相談ください。

【リロの駐車場】の駐車場経営ノウハウで遊休地活用を促進

遊休資産の活用方法として効果的な手法の1つが「駐車場経営」です。駐車場経営は初期費用も少ないので、短期間で事業を始められる強みがあります。【リロの駐車場】では設備の初期投資0円で短期契約が可能です。相続税対策として効果的で、現金で相続する場合よりも税率が低く、課税対象額を抑えられる不動産として活用できます。

駐車場経営の成功のカギとなるのは徹底的なリサーチ力です。空地調査を元に立地条件・需給バランスなども調査し、周辺マーケットに合わせた駐車料金設定、さらにお客様の利用促進のための企画立案を行うなど、プロ目線からの分析とノウハウが欠かせません。

【リロの駐車場】はこれまでの豊富な実績事例をベースに、事業地の仕入れ、施工の段階から駐車場の運営・管理まで、駐車場経営に必要なサポートをきめ細かく実施しております。相続税対策に関するアイデアも豊富にご用意しておりますので、安心してお任せください。

賃貸経営の税金対策は【リロの不動産】の無料相談へ!

不動産投資を進めるうえで、「経費」や「税金」の基本的な仕組みを理解しておくことはとても重要です。「必要経費」に含まれる費用と含まれない費用については大まかに区別できるようにしたうえで、効果的な節税につながる運用計画を立ててください。

とくに賃貸経営での節税効果を考えるうえで、「損益通算」と「減価償却費」をうまく活用することが重要です。減価償却期間が終了するとデッドクロスにより収支が悪化するおそれもあるため、適切なタイミングで物件の更新や売却など、次なる方策を検討するようにしましょう。

資産価値の維持・向上させるためのリノベーション工事や大規模修繕工事を必要なタイミングで実施することで、物件の競争力向上による投資効果と、減価償却による所得税・住民税の節税対策を両立させることができます。

リロの不動産】は全国有数の管理物件数を誇り、信頼と実績によって積み重ねた豊富なノウハウのもと、節税効果と設備投資を両立させたプランニングに自信がございます。オーナー様のご要望に合った提案をさせていただきます。

気になる点があれば【リロの不動産】【リロの賃貸】の無料相談へ、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。