マンション一棟買いの成功ポイントと指標にする利回り!メリット・デメリットや注意点

2024.05.21

不動産投資の中でも根強い人気があるマンション投資。マンション投資は、一部屋単位で購入する区分マンション投資と一棟マンション投資に分類されます。

これからマンション投資をしようと考えている人の中には、それぞれの違いやメリット・デメリットなどを知りたいという人も多いのではないでしょうか。

本記事では、区分マンション投資と一棟マンション投資の違いやメリット・デメリット、注意点などを解説します。マンションの一棟買いに役立つ指標や、向いている人の特徴なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

なお、不動産投資全般の解説については、以下の記事も参照してください。

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マンション一棟買いとは

一棟マンション投資と区分マンション投資の違い、一棟マンションと一棟アパートの違いを解説します。

一棟マンション投資と区分マンション投資

マンション投資は一棟マンション投資と区分マンション投資にわけられます。

「マンション一棟買い」は一棟マンション投資を指し、マンションを丸ごと一棟新築する、または中古で購入して賃貸経営をする投資法を指します。

一方、区分マンション投資は、新築・中古の区分マンションを一部屋単位で購入して、その部屋を賃貸して家賃収入を得る投資法です。

同じマンション投資ではあるものの、一棟マンション投資と区分マンション投資にはさまざまな違いがあります。

例えば、購入金額・家賃収入額・維持管理費が大きく異なるため、利回りや資産価値としての評価なども異なります。また、一棟マンションは空室リスクを分散できる反面、管理に手間がかかったり、災害などによる地域的なリスクには弱いといった側面もあります。

区分マンション投資の特徴

区分マンション投資には、以下のようなメリットがあります。

メリット1:少ない自己資金で始められる
メリット2:融資が下りやすい
メリット3:手間がかからない

一棟マンションに比べて価格が安いため、自己資金が少なくても始められるうえ、金融機関からの融資も下りやすい傾向にあります。また、区分マンションの多くが管理業務を賃貸管理会社に委託しているため、家賃回収、設備の点検・修理などの手間がほとんどかかりません。

一方で、区分マンション投資には、以下のようなデメリットも存在します。

デメリット1:利回りは低い傾向
デメリット2:空室リスクのダメージが大きい
デメリット3:建物全体の管理は別会社になる

区分マンション投資は1室所有のみの場合、空室になると家賃収入が0になってしまうため、空室リスクが高いうえに高利回りを目指しにくい傾向にあります。また、マンション全体の管理については別会社の管轄になるので、経営努力が及ばない点はデメリットといえます。

なお、一棟マンション投資と区分マンション投資の違いをより詳しく知りたい場合は、以下の記事もご参照ください。

■不動産投資・賃貸経営の購入に関連する記事
賃貸マンションの一棟買いはあり? アパート経営・区分マンション経営との徹底比較

一棟マンションと一棟アパートの違い

同じ一棟買いでも、対象がマンションかアパートかによる違いもあります。

マンションとアパートは、法律上で明確な違いが定義されているわけではないため、物件を扱っている会社やサイトなどによって微妙に定義が異なります。

あくまで目安ですが、RC造かSRC造かつ3階建以上のものをマンションと呼び、それ以外の構造や規模のものをアパートと呼ぶのが一般的です。必然的にマンションのほうが規模が大きくなるため、資産規模も比例して大きくなります。

なお、アパート経営については以下の記事も参照してください。

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マンション一棟買いのメリット

不動産投資におけるマンション一棟買いのメリットを3つ解説します。

一棟マンションは安定した家賃収入が得られる

一棟マンションに限った話ではありませんが、マンション経営は月々安定した家賃収入を得られるのがメリットです。投資対象が生活基盤に根ざした住居であり、景気動向・物価変動の影響を受けづらいためです。

オフィスビルや商業施設の場合は、景気動向によって入居している企業の業績が悪化したり、方針転換や規模の縮小などで短期的に退去してしまう可能性があります。しかし、マンションの場合は急に家賃収入が激減することはありません。

また、マンションの一棟買いは資産規模も大きくなるため、区分マンションやアパートに比べて月々のキャッシュフローが高額になる傾向にあります。より効率よく安定的に家賃収入を得たい場合などに向いているといえます。

一棟マンションは空室リスクを分散できる

一棟マンションは空室リスクを分散できるのもメリットです。建物の規模が大きく、そのぶん部屋数も多くなるためです。

賃貸経営では、いずれかのタイミングで必ず退去が発生します。区分マンションの場合、その部屋が空室になると家賃収入自体がなくなってしまい、ローンの返済計画に影響が出るケースもあります。しかし、一棟マンションであれば一部屋の空室は数十分の一に過ぎず、空室による収益への影響も小さくなります。

区分マンションに比べて空室による損失の割合が少ないため、キャッシュフローが安定しやすく、高い利回りを目指せる傾向にあります。

一棟マンションはインフレに強い実物資産を得られる

一棟マンションは、インフレに強い実物資産であることもメリットです。

インフレによる物価上昇は現金価値の低下を意味するため、保有資産における現金の割合が多いと資産価値は減ってしまいますが、不動産の価格は物価上昇と連動して上昇するのが一般的だからです。

土地や建物のような実物資産は、物価変動によって価値が減少することはありません。特に耐用年数が長いRC造・SRC造の一棟マンションは、資産としての価値が高いと考えられており、インフレ時には資産価値の向上が見込めます。

加えて、一棟マンションと同時に所有する土地には経年劣化の概念がないため、インフレ時でも資産価値を維持できます。

マンション一棟買いの注意点

続いて、マンション一棟買いをするうえで知っておくといい注意点を3つ解説します。

一棟マンションは融資を得るのが難しくなる

マンションの一棟買いにあたっては金融機関から融資を得る方法が一般的ですが、融資額も高額になるため難易度は高くなる点には注意が必要です。

不動産投資ローンは事業用ローンにあたるため、借り手の年収・保有資産のほかに、購入する物件の事業性・収益性・事業計画なども審査対象になります。物件価格が高額になるほど審査も厳しくなる傾向にあり、返済比率が重視されたり、総額の2~3割程度の自己資金(頭金)を求められたりするケースも珍しくありません。

不動産投資ローンは住宅ローンとはまったく別物であり、ある程度の専門知識が必要です。審査を通しやすくしたりスムーズに手続きを進めたりするには、信頼のおける不動産会社に依頼してサポートを受けるのがおすすめです。

なお、不動産投資ローンの詳細を知りたい場合は、以下の記事もご参照ください。

■投資用不動産・収益物件・マンション経営の不動産投資ローン関連記事
アパートローンを上手に利用するコツと注意点|住宅ローンとの違いは?

不動産投資ローンと住宅ローンの違い!審査基準や注意点を徹底解説

一棟マンションはランニングコストが高くなる

一棟マンションは、区分マンションやアパートに比べてランニングコストが高くなります。建物の規模に比例して維持費・修繕費・租税公課などが高額になるためです。

区分マンションとは異なり、一棟マンションの場合は廊下・階段などの共用部、エレベーター・貯水槽などの共用設備も管理対象になります。これらは日頃から定期点検が必要であり、時間経過とともに修繕の必要も出てきます。

費用が高額になるため、あらかじめ修繕計画を立てたうえで、計画的に積み立てるなどして捻出する必要があります。

租税公課は固定資産税や都市計画税が代表的で、所有する不動産の固定資産税評価額にもとづいて税額が決まり、規模や面積が大きくなるほど高額になります。

マンション経営に関する経費やランニングコストについては、以下の記事もご参照ください。

■マンション経営の関連記事
【マンション経営入門】失敗から学ぶマンション経営成功のポイント

一棟マンションは流動性が低い

一棟マンションは流動性が低い点にも注意が必要です。売買価格が高額になり、買い手を見つけるのが難しくなるためです。

購入者も一定の資産を持っていることや、融資が下りるだけの条件を満たしている必要があります。同じ一棟マンションでも、立地や周辺環境などの付加価値によって、入居のしやすさや売買の需要が変化します。

売りたいのになかなか買い手が見つからない場合は、相場よりも価格を下げなければならず、譲渡損失を被る可能性もあります。

いざというときにマンションを売却して現金化したいと思っても、すぐには実現できない可能性が高いため、出口戦略は入念に考えておくべきでしょう。

一棟マンション投資で指標となる利回り

一棟マンション投資で指標となる利回りを6種類解説します。

一棟マンションの表面利回り

不動産投資における表面利回りは「グロス利回り」とも呼ばれており、物件の収益性をざっくりと把握したい場合に用いられる指標です。

具体的には、年間の家賃収入を物件の購入価格で割った数値であり、以下の式で算出できます。

表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格✕100

例えば、年間の家賃収入が1,000万円、物件価格が1億円だった場合で考えてみましょう。

表面利回り(%)=1,000万円÷1億円✕100

上記の式を解くと、表面利回りは10%であることがわかります。

表面利回りの計算では諸経費や税金などが省略されているため、実際のキャッシュフローとは異なるため注意が必要です。

一棟マンションの実質利回り

不動産投資における表面利回りは「ネット利回り」とも呼ばれており、実際の収入を求める際に用いられる指標です。

年間賃料収入から管理費用・保険料などの必要経費、固定資産税や都市計画税などの税金を引いた額を「営業純収益」または「NOI」と呼びます。実質利回りはこの営業純収益(NOI)を物件価格で割った数値であり、以下の式で算出できます。

実質利回り(%)=営業純収益(NOI)÷物件価格×100

上記の例で必要経費・税金が年間200万円だったとしましょう。NOIは次の式で求めることができます。

営業純収益(NOI)=1,000万円-200万円=800万円

実質利回りは次の式で計算できます。

実質利回り(%)=800万円÷1億円×100

上記の式を解くと、実質利回りは8%であることがわかります。

一棟マンションの総収益率(FCR)

総収益率はFCR(Free & Clearly Return)とも呼ばれ、より厳密で正確な利回りを求める際に用いられる指標です。

総収益率(FCR)の計算には、物件価格に仲介手数料や不動産取得税など、購入時にかかった諸経費を含めた「投資総額」を使うのが特徴であり、以下の式で算出できます。

FCR(%)=営業純収益(NOI)÷投資総額×100

例えば、物件価格が1億円、NOIが800万円、購入時の諸経費が1,000万円だった場合で考えてみましょう。

FCR(%)=800万円÷(1億円+1,000万円)×100

上記の式を解くと、実質利回りは約7.3%であることがわかります。

一棟マンションの自己資本利回り(CCR)

自己資本利回りはCCR(Cash On Cash Return)とも呼ばれ、持ち出しの自己資本がどの程度の利回りで運用できているかを把握する際に用いられる指標です。

NOIからローン返済額を引いた「年間キャッシュフロー」を自己資本で割った数値であり、以下の式で算出できます。

自己資本利回り(%)=年間キャッシュフロー(NOI−ローン返済額)÷自己資本×100

不動産投資においては、融資を受けて自己資本の比率が少なくなるケースが多く、より実態に近い数値を導き出せる指標といえます。

一棟マンションの投資収益率(ROI)

投資収益率はReturn On Investment(リターンオンインベストメント)とも呼ばれ、投資金額に対してどの程度利益が出ているかを把握する際に用いられる指標です。

融資によって得た資金も含めた年間キャッシュフローを使い、以下の式で算出します。

投資収益率(%)=年間キャッシュフロー÷投資総額×100

ROIは、目標の年間キャッシュフローを得るために必要な融資額を把握する指標とも言い換えられます。ROIが高いほど投資パフォーマンスが高いと判断できるため、不動産投資において最も重視すべき指標でしょう。

ここまで5つの指標を紹介してきましたが、不動産投資における利回り計算をより詳しく知りたい場合は、以下の記事もご参照ください。

■賃貸経営・不動産投資の経営指標に関連する記事
【徹底解説】不動産投資の利回り計算! 賃貸経営を成功に導く指標とは

一棟マンションで目安にする利回りの目安

不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家( けんびや) 」の調査によると、2023年12月における一棟マンションの表面利回りと物件価格の平均は以下のとおりです。

【一棟マンション】
利回り:7.70%
価格:1億7,122万円

出典:区分マンションと一棟マンションの価格低下(不動産投資レポート2023年12月)

一棟マンションの利回りは築年数・地域・建物の規模などの諸条件によって異なるため、上記はあくまで目安程度に留めましょう。

なお、より詳しい利回りの概要や目安、損益分岐点などについて知りたい場合は、以下の記事も合わせてご参照ください。

■賃貸経営・不動産投資の利回りの目安に関連する記事
【総集編】アパート経営の利回りの目安は?不動産投資の指標と注意点

【保存版】不動産投資の損益分岐点で着目するポイントは運用と売却!

マンション一棟買いに向いている人とは

マンションの一棟買いに向いている方の特徴を3つ紹介します。

金融資産3,000万円以上所有している人

金融資産を3,000万円以上所有している方はマンションの一棟買いに向いているといえます。初期費用が高額であることに加えて、融資の審査でも一定規模以上の金融資産を所有していることが求められるためです。

不動産を購入するにあたり、自己資金で用意すべき金額は物件価格の10〜30%程度と言われており、このうち頭金が10〜20%を占めます。

明確な基準があるわけではありませんが、一棟マンションを購入する場合はおおよそ3,000万円以上の金融資金を保有していることが望ましいでしょう。

なお、不動産投資における自己資金・初期費用・維持費などをより詳しく知りたい場合は、以下の記事も合わせてご参照ください。

■投資用不動産・不動産投資の初期費用に関連する記事
アパート経営に必要な自己資金はいくら? 成功に導く出口戦略と資金計画

賃貸需要のある土地を所有している人

賃貸需要のある土地を所有している人もマンションの一棟買いに向いています。賃貸マンションを建てるためには土地も購入する必要がありますが、すでに所有していればそのぶん出費が抑えられるためです。

土地は更地にしておくよりも、居住用不動産を建設したほうが固定資産税・都市計画税において優遇を受けられるため、節税効果も期待できます。もともと所有している土地の税金を抑えつつ、安定した家賃収入も得られるようになるため、一石二鳥といえるでしょう。

ただし、賃貸マンションの入居率は地域や利便性の影響を強く受ける傾向にあるため、賃貸需要のある土地であることが前提です。

マンション経営を事業として取り組める人

資産状況だけでなく、マンション経営を事業としてとらえて取り組めるマインドも重要です。一棟マンションに限ったことではありませんが、不動産投資は「投資」よりも「事業」の側面が強いためです。

点検や清掃などの作業は外注できますが、マンションオーナー様として経営判断を迫られる局面が何度も訪れます。

例えば、空室が目立ち始めた際にどのような対策を行うか、建物・設備が老朽化したときにどの程度修繕するかなどは、最終的にオーナー様が判断することになります。自ら資金計画・修繕計画を立て、得られる収入から将来の出費に備えて積み立てる必要もあります。

マンションは所有して終わりではありません。経営者としてつねに学び続ける姿勢を持ち、責任を持って事業に取り組める人が向いているといえるのです。

まとめ:信頼できる賃貸管理会社をパートナーに

リスクをコントロールしつつ、高額な安定収入を得られる一棟マンション投資。一方で、購入や運営には専門知識が必要であり、レバレッジをかけて大きな資金を動かすので経営に行き詰まると大きなダメージを受ける場合もあります。

不動産経営を成功させるためには、実績があり信頼できる賃貸管理会社をパートナーにすることが近道です。【リロの不動産】は物件購入から賃貸管理・売却・相続対策まで、不動産経営のすべてに対応可能です。マンションの一棟買いを検討していて、信頼できる賃貸管理会社をお探しの場合は、【リロの不動産】にお任せください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。