収益物件購入時の注意点とは? 収益物件の種類とリスクへの対策を解説

2024.08.06

不動産投資にチャレンジするためには、収益物件を購入するという手順が必ずあります。収益物件と聞くと区分マンションや一棟アパートをイメージしやすいですが、実際にはオフィスビルや商業施設など多様な選択肢があります。

この記事では収益物件の種類を紹介するとともに、収益物件を購入するにあたっての注意点や収益物件特有のリスクへの対策も解説します。

以下では、不動産投資の売買事例やお客様の声を紹介していますのであわせてご覧ください。

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収益物件とは何か

収益物件とは、金銭的な収益を得ることを目的として所有する物件のことです。賃貸アパート、賃貸マンション、賃貸オフィスビルなどの不動産を指します。収益物件における収益の柱は入居者様からの賃料収入です。

入居者様から安定的な賃料収入を得るには、物件を適切に管理することが求められます。そのため、管理を委託する賃貸管理会社に対する手数料、修繕積立金、メンテナンス費用、固定資産税などの維持費がかかります。収入からこうした費用を差し引いたものが、オーナー様の手元に残る仕組みです。

なお、収益物件の対義語にあたるのが「実需物件」です。実需物件とは、マイホームや企業の自社ビルといった自己使用目的で所有する物件のこと。実需物件は自己使用がメインなので、第三者からの賃料収入が入ることは基本的にありません。ただ、メンテナンス費用や固定資産税など、一定の維持費は収益物件と同様に負担する必要があります。

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収益物件の種類

収益物件(収益不動産)にはさまざまな種類がありますが、大きくオフィスビル・商業施設・居住用不動産の3つに分類できます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

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オフィスビルの収益物件

オフィスビル賃貸では、企業などの事務所用としてオフィスを貸します。一般的にオフィスは住宅などに比べて広い面積を必要とすることに加え、都心や駅前商業地など利便性のいい立地が求められることから、高額な賃料収入を得られる傾向があります。

事務所は移転に大きなコストがかかるのも特徴。そのため、いったん入居すると比較的長期間にわたって賃料収入を得られる点がオフィスビルの魅力です。東京都心におけるオフィスビルの利回りは3〜5%程度が相場です。

一方、地価の高い土地をまとまった規模で使用するので、物件価格自体も居住用不動産などに比べて高額になります。

コロナ禍を経て働き方が多様化しており、企業によってはオフィス規模や事務所の数を縮小する動きも見られます。このように、景気動向や社会情勢による影響を受けやすいのがオフィスビル賃貸の弱みといえるでしょう。

商業施設の収益物件

商業テナントに賃貸して賃料収入を得る、商業施設の収益物件もあります。飲食店、コンビニエンスストア、都市部のアパレルショップ、ロードサイドの小売店舗といった一般的な「お店」から、ホテルや物流倉庫にいたるまで、用途や規模は多種多様です。

特に飲食店などは出店に大きな費用がかかるうえ、事務所と同様、移転するにも大きなコスト負担が発生します。そのため、一度テナントが見つかれば、長期にわたって賃料収入を得られる可能性があるでしょう。

テナントが多種多様なので、立地特性やターゲットによって適切な業種・業態が異なります。経営やサービスレベルなどで売上が大きく変わるのも商業施設ならではの特徴です。その場所にマッチする業態で、かつ経営やサービスがうまく回っているテナントが入居すれば、大きな収益を長く得ることができます。

一方、テナントの経営状況が芳しくないと、思ったように収入を得られないリスクがあります。「商売は水物」といわれるように、商業系のテナントはマクロな経済動向だけでなく、ミクロな地域経済の動向なども受けやすく、先が見通しづらい点にも注意が必要です。

商業施設はオフィスビルに比べて不確実性が高いと考えられることから、利回り相場は東京都心の一等地で3〜4%程度、郊外で5〜7%程度と少し高めです。

居住用不動産の収益物件

3種類ある収益物件の中で最も一般的なのが居住用不動産です。物件の規模や形態によっていくつかの種類があり、一棟アパート、区分マンション、一棟マンション、戸建て賃貸住宅、シェアハウスなどが挙げられます。

東京都心における利回り相場は、新築ワンルームマンションが4%前後、中古が5〜6%程度。ファミリーマンションの場合は新築で4%前後、中古だと3〜20%程度と幅が大きくなっています。

区分マンションの収益物件

居住用不動産の収益物件の中でも、比較的初期投資額を低く抑えられるのが区分マンション投資です。区分マンションの1戸もしくは複数戸を購入、第三者に賃貸することで家賃収入を得る投資手法です。

都市部や学生の多い地域における単身者向けのワンルームマンションに投資するのが主流ですが、中にはファミリータイプの区分マンションを対象に投資するケースもあります。

区分マンション投資には新築と中古があり、物件価格の安い中古物件のほうが通常利回りは高くなります。中古区分マンションであれば、数百万円程度の初期投資で始められるでしょう。

一棟アパートの収益物件

アパートを一棟丸ごと購入して運用し、入居者様からの家賃収入を得る投資手法が一棟アパート投資です。「一棟もの」とも呼ばれます。

アパートとマンションを区別する厳密な定義は存在しませんが、集合住宅のうち、木造もしくは軽量鉄骨造の2〜3階建て物件をアパートと呼ぶケースが多くなっています。これに対し、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造などの頑強な構造で、かつ3階建て以上の規模がある集合住宅はマンションとされるケースが大半です。

一棟アパートは規模が比較的小さく、建物も木造や軽量鉄骨造の安価なものであるため、一棟マンションほど投資額は大きくありません。一棟アパートも新築・中古があり、築古の木造アパートだと少額からでも投資を始められる可能性があります。

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一棟マンションの収益物件

一棟アパートと同様、集合住宅を丸ごと購入し、各住戸からの家賃収入を得る投資手法が一棟マンション投資です。上述のとおり、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造で、3階建て以上の比較的規模の大きな集合住宅がマンションと呼ばれます。

アパートに比べて戸数が多い傾向にあるうえ、共用部が充実していることなどからアパートより高めの賃料設定となるケースも多く、毎月得られる家賃収入は高くなります。

その反面、物件の規模が大きく、アパートに比べて初期投資額が高くなる点は要注意。メンテナンスコストや固定資産税などの維持費も高めなので、いかに入居率を高い状態でキープするかが重要になります。

ほかの収益物件と同様、一棟マンションにも新築・中古があります。通常新築よりも中古のほうが価格は安く、利回りは高くなる傾向です。

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戸建て賃貸住宅の収益物件

居住用不動産の収益物件はアパートやマンションといった集合住宅だけではありません。郊外や地方を中心に、戸建て賃貸住宅の収益物件も多く見られます。購入した戸建て住宅を第三者へ賃貸し、家賃収入を得る投資手法です。

戸建て賃貸住宅にも新築・中古がありますが、特に中古戸建て住宅は安く購入できるのがメリット。築古物件を安価で購入し、DIYなども織り交ぜながらリフォームを施したうえで賃貸すれば、初期投資額をかなり低く抑えることができ、高い利回りを得ることができます。

戸建て賃貸住宅のメインターゲットとなるファミリー層は、子どもの通学や引っ越しのハードルの高さなどから、いったん入居すると長く住み続けてくれる傾向にあります。そのため入居付けさえできれば、長期的に家賃収入を得られるのが魅力です。

一方、中古物件では金融機関の融資がつかない例もあり、不動産投資の優位な点であるレバレッジを効かせられないのが難点。効率的な資産拡大を求めるのであれば、アパートやマンションへの投資と組み合わせる必要があるでしょう。

収益物件投資のメリット

収益物件の種類を紹介しましたが、ここからは比較的小さな投資からでも始められ、安定的な家賃収入を得やすい一棟アパート投資(一棟もの)を念頭に、収益物件投資のメリットを紹介します。

安定した家賃収入が得られる

収益物件投資によるメリットとして最初に挙げられるのが、毎月安定した家賃収入を得られることです。

一棟アパート投資の場合、たとえ空室が発生したとしてもほかの部屋からの家賃収入が入ってくるので、全住戸が一斉空室にならないかぎりは安定した収入を得られます。賃貸住宅の賃貸借契約は2年間で更新可能という設定が一般的であり、入居者様がいれば長期的に家賃収入が期待できるのもポイントです。

また、居住用不動産の家賃収入は景気や物価の動向に左右されにくく、比較的安定しているという特長があります。経済状況の影響を受けやすいオフィスや商業施設では、状況に応じて賃料を下げるなどの対応が必要になりますが、一棟アパート投資でそういった事態は起こりにくいでしょう。

新築物件だと入居者募集を一から始めなければならないのですが、中古物件であればオーナーチェンジ物件となります。オーナーチェンジ物件とは、すでに入居者様がいる状態でオーナー様のみ変更となる中古物件のこと。新たに入居者様を募集しなくても、購入直後から収入を得られるのが魅力です。

融資の活用でレバレッジ効果を得られる

不動産投資はレバレッジ効果を得られるのが大きなメリットとされます。レバレッジ効果とは「てこの原理」を意味し、投資の世界では「少ない資金で大きな投資効果を得られること」を指します。

例えば、株式投資を行うときは信用取引など特別な方法を除き、自己資金の範囲内で投資するしかありません。通常の株式投資において、自己資金500万円を持っている方が3,000万円分の投資をすることはできません。500万円で配当利回り2%の株式に投資したとすると、500万円×2%=年間10万円の利益を得られます。

これに対し、不動産投資は物件を購入するために金融機関の融資を利用できます。自己資金500万円を頭金として2,500万円の融資を受ければ、3,000万円の物件を購入することも可能です。当物件の利回りが5%だとすると、3,000万円×5%=年間150万円の収入を得られることになります。(ただし、ここから借入金の返済を行う必要があります。)

不動産投資では上記のようなレバレッジ効果が働くため、資産形成のスピードアップが期待できます。

インフレに強い実物資産を持てる

不動産は実物資産です。実物資産は物価が上昇するとそれに比例して価格が上昇する傾向にあり、収益物件を所有することでインフレから資産を守ることができます。

インフレとは物価が上昇することであり、言い換えれば、通貨の価値が下落することです。現金や預貯金類は額面どおりの価値しかないため、通貨の価値が下落すれば資産額は目減りしてしまいます。

これに対して、不動産は実物資産なので、物価上昇におおむね比例する形で価格も上昇。インフレの状況下でも資産価値が目減りしません。収益物件を購入することは、インフレからの資産防衛策になるのです。

所得税節税と相続税対策になる

収益物件投資は所得税の節税につながるのもメリット。なぜなら、収益物件から得られる不動産所得はほかの所得との損益通算が認められているからです。損益通算とは、一定の種類の所得で生じた損失をほかの所得金額から差し引ける仕組みのこと。これにより所得税算出のベースになる課税所得を圧縮できます。

特に、アパート投資では減価償却費による大きな節税効果が見込めるでしょう。減価償却は物件取得にかかった費用を法定耐用年数に応じて、複数年にわたって分割して経費計上する会計処理です。減価償却費を毎年計上しつつ、実際に費用がかかるのは取得時の1回のみ。

つまり、実際には支出が生じていないにもかかわらず、会計上は経費計上し、収支を赤字として処理することができるのです。減価償却と損益通算の組み合わせにより、所得税の大幅な節税が可能になります。

加えて、収益物件投資は相続税対策としても有効です。現金や金融資産の課税評価は時価どおりであるのに対し、不動産は独自の相続税評価額に対して課税されます。不動産の評価額は時価よりも大幅に低くなるため、現金や預貯金を使って収益物件投資を行えば、相続人の負担を大きく軽減できるでしょう。

生命保険がわりになる

収益物件購入にあたって不動産投資ローンを利用する場合、団体信用生命保険(団信)に加入するケースが一般的です。

団信は、住宅ローンや不動産投資ローンの加入者のみが加入できる生命保険です。団信に加入していると、契約期間中に死亡したり高度障害状態になったりしてローン返済が困難になったとき、残債が保険金から支払われます。残債の返済が免除されるため、遺族に負担をかけることがありません。

残債がなくなれば、遺族が賃貸経営を引き継いで家賃収入を得ることもでき、不要であれば売却して現金化する選択肢も採れます。収益物件の購入は自分の身に万が一のことがあった場合の備えとして、生命保険がわりにもなるのです。

収益物件を購入する際の注意点

収益物件投資には多くのメリットがあるものの、物件の購入にあたっては気をつけるべき注意点もあります。4つのポイントを順番に見ていきましょう。

賃貸需要が高く、競合物件が少ない立地を選ぶ

不動産投資で十分な利益を得るためには、空室のない状態をできるだけ保つ必要があります。賃貸ニーズを左右する大きな要素として挙げられるのが立地です。収益物件の良し悪しは立地で決まるといっても過言ではありません。収益物件の購入を検討する際は、利益を上げられるだけの賃貸ニーズが見込める立地の物件を選ぶようにしましょう。

アパートの場合、交通アクセスや生活施設の利便性が高い立地が望ましいところです。大学や大規模工場の周辺など、常に一定の居住ニーズが見込まれる立地も検討の価値があります。また、住宅地としてブランド価値がある地域、再開発や新線開業が見込まれるなど将来性のある地域も狙い目です。

しかし、いくら好立地でも競合物件がひしめいていると、限られたターゲット層の奪い合いになってしまいます。好立地でありつつ、競合物件が少なく共倒れを防げるような地域にある物件だとなおよいでしょう。

収益物件投資の鍵を握る空室リスクに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

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リスクコントロールを意識する

収益物件の購入にあたっては、賃貸経営に特有のリスクを把握したうえでリスクコントロールを意識することも重要です。代表的なリスクとしては次のようなものが挙げられます。

これらのリスクは事前に想定しておくことで、一定のリスクコントロールが可能です。

中古物件を購入する際はレントロールをしっかり精査するとともに、キャッシュフローに問題がないか、修繕積立金が十分に積み立てられているかを確認しておきましょう。十分な修繕積立金があれば、たいていの修繕・老朽化リスクには対応できます。

賃貸経営において重要な大規模修繕については、こちらの記事をご覧ください。

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利回りを試算して投資計画を立てる

収益物件に投資することは、すなわち賃貸経営を行うということです。期待する投資効果を上げるには、物件購入前に利回りを試算して綿密な投資計画を立てておくことが重要です。

不動産会社の広告などに記載される利回りは、年間家賃収入を物件価格で割り戻した表面利回りである場合が大半です。表面利回りに対して年間経費分を差し引いて求めるのが実質利回りで、より現実的な数字となります。なお、実質利回りを求める際の分母となる年間家賃収入から年間経費を差し引いた営業純収益をNOI(営業純収益)と呼びます。

物件購入を検討する際は、さらに総収益率(FCR)と自己資本利回り(CCR)も試算しておきたいところです。

FCR(Free & Clearly Return)は、計算式の分子にあたる物件価格として、購入時の諸費用を含めた投資総額を用いるのが特徴。諸費用分も含めた利回りのため、実質利回りよりもさらに厳密な利回りとなります。

FCR(%)= 営業総収益(NOI)÷ 投資総額 × 100

もう一つのCCR(Cash on Cash Return)は、不動産投資ローンを活用して投資する場合に用いる指標です。NOIから年間ローン返済額を差し引いた年間キャッシュフローを用いることで、ローン返済も考慮に入れた利回りを求められます。

CCR(%)= 年間キャッシュフロー ÷ 自己資本 × 100

表面利回り・実質利回りだけでなく、FCRやCCRも試算したうえで投資計画を立てれば、
キャッシュフローがマイナスになるリスクを低減できるでしょう。

賃貸管理会社は慎重に選ぶ

収益物件を購入するにあたって、もう一つ気をつけなければならないのが賃貸管理会社選びです。

繰り返しになりますが、収益物件に投資するということは賃貸経営を行うことにほかなりません。いかに安定的な賃貸経営を行えるかどうかが投資効果に直結します。

日々の管理運営を自分だけでこなすのは難しく、多くの場合、賃貸管理会社に管理を委託するはずです。賃貸管理会社の手腕によって賃貸経営の良し悪しが決まるといえるため、賃貸管理会社選びはとても重要です。

賃貸管理会社を賃貸経営におけるパートナーと位置付け、信頼できるパートナーを見つけるようにしましょう。賃貸経営に伴走してくれる賃貸管理会社がいれば、安心して投資できます。

まとめ

不動産投資において、物件の良し悪しは収益性や将来性に絡む重大な要素であり、収益物件の購入が大きなイベントであることは間違いありません。

しかし、それと同時に購入前・購入後にも大事なステップが多くあります。とりわけ購入後の賃貸管理は賃貸経営の要ともいうべきものであり、適切な管理があってはじめて、安定的な賃料収入を得ることができるのです。

不動産投資を安心して行うには、賃貸管理を信頼して委託できる賃貸管理会社を見つけることが大切。信頼できるパートナーを探しているなら、これまでに数多くの収益物件の賃貸管理を手がけてきた【リロの不動産】へぜひご相談ください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。