マンション売却の流れ&注意点!高く売るコツと税金特例を事例で解説
2025.05.25
マンションを購入して住んでいる場合や賃貸経営を行っている場合、さまざまな理由で物件を売却するタイミングが訪れます。
マンションの売却はアパートや戸建てに比べると確認事項が多く、時間や手間がかかりやすい傾向にあります。マンションならではの注意点もあるため、売却を検討しているオーナー様は事前にマンション売却の流れを知っておくとよいでしょう。
本記事では、マンションの売却事例に触れながら、売却の手順や注意点、後悔しないためのポイントをまとめました。所有するマンションの売却を検討している方や、将来的に売却する可能性がある方はぜひ参考にしてください。
▼この記事の内容
●マンションを希望どおりの条件で売却するには事前準備が大切。売却の6ヶ月前を目安に、余裕を持って準備を進めよう
●マンションの売却は、土地や戸建ての売却とは違う特有の注意点がある。収益物件と居住用物件のどちらを売却するかでも、売却のタイミングや査定額が異なる
●マンション売却の成功は、仲介・買取を依頼する不動産会社や担当者によって大きく異なる
●マンション売却の実績が豊富にある不動産会社を見極めることが大切。特に収益物件を売却する場合は、購入検討者を保有している会社か確認しよう
目次
- 1 マンション売却事例
- 1.1 事例1:【売却実績】売主様は茨城県で隠居生活中。現役時代に住んでいた今は空家になっているマンションを終活として売却!
- 1.2 事例2:相続財産管理人である弁護士からの依頼による入札方式で最高値で買取!
- 1.3 事例3:【売却実績】当社の管理オーナー様が所有している麻布の区分マンション!「死ぬ前に整理しおかなきゃ。。」と売却依頼
- 1.4 事例4:これまで賃貸にしていたマンション!退去したら汚いから売っちゃおう
- 1.5 事例5:賃貸募集と売却募集を同時行い早い方で決着を付ける多彩な出口戦略
- 1.6 事例6:所有者が室内で他界してしまった「さいたま市南区」の訳ありマンション売却
- 1.7 事例7:自身の高齢化による終活の一環として、賃貸中のマンションを入居者付きのまま売却したい
- 1.8 事例8:【売却実績】終活に向けた最初の一歩!ワケあって相場よりも安い賃料で貸している区分マンションの一室を売却しました!
- 1.9 事例9:マンションの上の階の方がうるさい。誠実な売主様の売却条件とは?
- 1.10 事例10:【買取実績】賃貸にしていたマンションの借主が退去!マンション価値が下がる前に売却すべき!
- 1.11 事例11:賃貸にしていた区分所有マンションを賃借人へ売却した成功事例
- 1.12 事例12:所有期間が5年過ぎたからこのマンション売却しちゃって。。。
- 2 マンション売却の全体の流れ
- 3 マンション売却の方法
- 4 マンション売却にかかる費用
- 5 マンション売却の必要書類
- 6 マンション売却で後悔するケース
- 7 マンション売却時の注意点
- 8 マンション売却に役立つ税金特例・注意点
- 9 マンション売却を依頼する不動産会社の選び方
- 10 まとめ マンション売却はあらゆる注意点を把握しておこう
- 11 関連する記事はこちら
マンション売却事例

資産価値の低下やオーナー様の高齢化など、マンション売却を検討する理由はさまざまなものがあります。「希望どおりのタイミングで売れない」「予想よりも売却益が少ない」などのトラブルを回避するには、早い段階から準備を進めることが大切です。
ここでは、マンションの売却によって経営のトラブルを解決したオーナー様の事例をまとめました。なお、紹介しきれなかった事例に関しては、以下の一覧を参考にしてください。
■参考事例:売買の改善事例一覧
事例1:【売却実績】売主様は茨城県で隠居生活中。現役時代に住んでいた今は空家になっているマンションを終活として売却!

東京都で区分マンションを所有するオーナー様の売却事例です。オーナー様は定年退職を機に所有しているマンションを離れ、実家へ戻ることになりました。マンションの管理が難しくなったことから、売却を検討していたそうです。
「売却してなるべく早く現金化したい」「部屋の中の荷物を片付けるのが面倒」と相談を受け、当初は買取として検討していましたが、どうしても希望する金額と合わず仲介物件として募集を開始。オーナー様が希望する金額で募集を継続したところ、1ヶ月ほどで無事に売却が成立しました。
事例:【売却実績】売主様は茨城県で隠居生活中。現役時代に住んでいた今は空家になっているマンションを終活として売却!
事例2:相続財産管理人である弁護士からの依頼による入札方式で最高値で買取!

埼玉県で区分マンションを所有するオーナー様の売却事例です。マンションの所有者が他界し、相続財産管理人である弁護士が財産の処分を行っていました。
弁護士から条件を聞くと、「複数の不動産会社に声をかけ、価格を含め最も条件のよい会社に売却する」という入札方式でマンションを売却したいとのことでした。
「原状回復なし」「荷物を含め室内はそのままの状態で」という条件で、相場よりも高い金額で物件を買い取りました。相続放棄などでマンションの処分に悩んでいる場合は、弁護士へ依頼して不動産会社へ売却するという方法もあります。
事例:相続財産管理人である弁護士からの依頼による入札方式で最高値で買取!
事例3:【売却実績】当社の管理オーナー様が所有している麻布の区分マンション!「死ぬ前に整理しおかなきゃ。。」と売却依頼

東京都で区分マンションを所有するオーナー様の売却事例です。オーナー様は終活のために「自分が元気な間に不動産を処分したい」と考えていました。オーナー様には配偶者や子どもがおらず法定相続人がいないため、誰がマンションを相続するかで揉める可能性があると判断したためです。
オーナー様から相談を受け募集を開始したところ、立地や物件の条件がよいこともあり、販売と同時に多くの問い合わせをいただきました。すぐに売却が成立し、オーナー様に大変喜んでいただけています。
事例:【売却実績】当社の管理オーナー様が所有している麻布の区分マンション!「死ぬ前に整理しおかなきゃ。。」と売却依頼
事例4:これまで賃貸にしていたマンション!退去したら汚いから売っちゃおう

埼玉県で区分マンションを経営するオーナー様の売却事例です。入居者様が退去し、オーナー様が退去後の部屋を確認すると、タバコのヤニや水回りのカビなどでひどく汚れている状態でした。オーナー様はマンションの売却を検討しており、どのように売却するべきか相談を受けました。
そこで、部屋の状況を踏まえ「リフォームを実施し、リフォーム費用を相場価格に上乗せして売却してはどうか」とアドバイス。最終的にリフォーム内容が決定した段階で購入希望者様が見つかり、買主様の希望も取り入れたリフォームを行うことができました。
事例:これまで賃貸にしていたマンション!退去したら汚いから売っちゃおう
事例5:賃貸募集と売却募集を同時行い早い方で決着を付ける多彩な出口戦略

埼玉県で区分マンションを所有するオーナー様の売却事例です。オーナー様は入居者様の退去にともない、マンションを売却するべきか、賃貸経営を続けるべきか悩んでいました。
オーナー様の要望を叶えるために、賃貸募集と売却募集を同時に実施。最終的には、ある程度物件の築年数が経過していることや、「なるべくリフォーム費用はかけたくない」というオーナー様の要望を踏まえ、売却する決断に至りました。3ヶ月ほどで無事に売却が完了し、オーナー様にも喜んでいただけています。
事例:賃貸募集と売却募集を同時行い早い方で決着を付ける多彩な出口戦略
事例6:所有者が室内で他界してしまった「さいたま市南区」の訳ありマンション売却

埼玉県で区分マンションを所有するオーナー様の売却事例です。オーナー様が高齢で施設へ入所したことをきっかけに、マンションを売却することにしました。しかし、マンションは室内で孤独死が発生した「訳あり物件」であることや、抵当権があることなど、いくつかの問題が発生している状態でした。
物件の状態を調査したところ、居住用ではなく投資用マンションとして販売するのがよいと判断し、つながりのある投資家の方に案内を送付して、司法書士と連携を取って準備を進めたところ無事に売却が完了した事例です。
事例:所有者が室内で他界してしまった「さいたま市南区」の訳ありマンション売却
事例7:自身の高齢化による終活の一環として、賃貸中のマンションを入居者付きのまま売却したい

埼玉県で区分マンション経営を行うオーナー様の売却事例です。オーナー様は終活のためにマンションを売却したいと考えていました。しかし、入居者様の退去が発生する見込みはなく、「入居者様がいる状態でマンションを売却できないか」と相談を受けました。
賃借人付きの物件を好んで購入する投資家の方も多いことから、「オーナーチェンジ物件」として売却するのがよいと判断し、結果的に募集から1ヶ月以内で購入希望の方が現れ、スムーズに売却が完了した事例です。
事例:自身の高齢化による終活の一環として、賃貸中のマンションを入居者付きのまま売却したい
事例8:【売却実績】終活に向けた最初の一歩!ワケあって相場よりも安い賃料で貸している区分マンションの一室を売却しました!

東京都で区分マンションを経営するオーナー様の売却事例です。オーナー様は終活のためにマンションを売却したいと考えましたが、相場よりも賃料を安く設定していることから、利回りが悪く売却できるか不安を抱えていました。
物件を調査すると築年数は古いものの、立地がよく需要が見込めると判断。募集を開始するとすぐに問い合わせがあり、無事にオーナー様の希望に沿った条件で売却が完了しています。
事例:【売却実績】終活に向けた最初の一歩!ワケあって相場よりも安い賃料で貸している区分マンションの一室を売却しました!
事例9:マンションの上の階の方がうるさい。誠実な売主様の売却条件とは?

埼玉県で区分マンションを所有するオーナー様の売却事例です。オーナー様はマンション内で発生している騒音トラブルに悩んでいました。しかし「トラブルがあることを正直に伝えたうえで、マンションを売却したい」「理解のある買主様を見つけたい」と考えており、売却方法を検討していました。
オーナー様からの相談を受け、多少金額が安くてもトラブルを理解してくれる買主様を見つけるほうがよいと判断して粘り強く売却活動を行ったところ、最終的にオーナー様の希望に近い金額で、すべてを理解して購入してくれるお客様に購入していただけています。
事例:マンションの上の階の方がうるさい。誠実な売主様の売却条件とは?
事例10:【買取実績】賃貸にしていたマンションの借主が退去!マンション価値が下がる前に売却すべき!

埼玉県で区分マンションを経営するオーナー様の売却事例です。入居者様が退去したことをきっかけに、オーナー様はマンションの売却を決意。
「マンションの価格が下落する前に売却したい」「リフォームして賃貸に出すのは面倒」「案内報告や契約業務に時間を費やしたくない」などのご意向に合わせてマンションの買取を行いました。駅直結のタワーマンションであったこと、南向きで日当たりがよい部屋であったことなどから需要が見込めると判断し、オーナー様とも交渉を重ねて売買契約を締結しています。
事例:【買取実績】賃貸にしていたマンションの借主が退去!マンション価値が下がる前に売却すべき!
事例11:賃貸にしていた区分所有マンションを賃借人へ売却した成功事例

埼玉県で区分マンションを経営するオーナー様の売却事例です。オーナー様は、オーナーチェンジ物件としてマンションを売却したいと考えていました。
募集を開始する前に、現在の入居者様へ購入の意思があるかを確認したところ、前向きな返答をいただけました。賃貸として入居を継続した場合に必要となる賃料や更新料、 購入した場合の管理費、積立金などの費用を丁寧に説明したところ、安心してご購入いただけています。無事に売却が完了し、オーナー様にも入居者様にも喜んでいただけた事例です。
事例:賃貸にしていた区分所有マンションを賃借人へ売却した成功事例
事例12:所有期間が5年過ぎたからこのマンション売却しちゃって。。。

埼玉県で区分マンションを経営するオーナー様の売却事例です。オーナー様は投資用として区分マンションを所有しており、譲渡所得税が安くなる「所有期間5年」を過ぎたため、売却を検討していました。
オーナー様から相談を受け、つながりのある投資家のお客様にメールで案内を送付したところ、2週間ほどが経過し「会員の知り合いから情報を聞いた」というお客様から申し込みをいただき、無事に売却が完了しています。
事例:所有期間が5年過ぎたからこのマンション売却しちゃって。。。
マンション売却の全体の流れ

ここでは、マンション売却の流れを紹介します。手順は一般的な不動産を売却するときと同様で、大まかな内容は以下のとおりです。
1.マンション売却の準備
2.査定依頼
3.付帯設備表・告知書の作成
4.媒介契約の締結
5.販売活動の開始
6.売買契約の締結
7.決済・引き渡し
8.確定申告
手順にそってそれぞれの内容を紹介していきます。なお、区分マンションやワンルームマンションを売却するときの流れは、以下の記事もあわせて参考にしてください。
■参考記事
【事例付】区分マンション売却の注意点!売却手順や売却時期も徹底解説
【事例付】ワンルームマンション売却の注意点!売却時期と売却手順も解説
【事例付】不動産売買に必要な基礎知識!売却・購入・用途別に徹底解説
マンション売却の準備
マンション売却の準備で行うことは、主に次の4点です。
●全体の流れを把握し、スケジュールを立てる
●マンションの売却相場を調べる
●必要書類を揃える
●不動産会社や賃貸管理会社に売却の相談をする など
マンションの売却相場を調べるときは、不動産会社などが提供するマンション査定のシミュレーションサイトを活用するとよいでしょう。築年数や面積、間取りなどを入力すると、類似物件の売却実績が表示されます。売却相場が分かったら、必要書類を準備しましょう。書類の内容については後述します。
また、具体的に売却を進めるには不動産会社への相談が不可欠です。マンション経営を行っている場合は、賃貸管理会社に相談するのもよいでしょう。早い段階から売却の意思があることを伝えておくと、希望どおりの条件で売却しやすくなります。賃貸管理会社に相談したことで、売却をスムーズに進められた事例は下記をご覧ください。
■参考事例:終活は大事!10年以上前から相続準備をしたから対応出来た不動産売却
査定依頼
次に、複数の不動産会社に物件の査定を依頼しましょう。マンションの査定方法には、以下の2つの方法があります。
●簡易査定(机上査定)
●訪問査定
簡易査定とは公示地価や路線価、類似物件の成約価格など、書類上の情報をもとに売却価格を導き出す方法です。現地確認が不要のため、依頼してから数日でおおまかな売却価格を知ることができます。
訪問査定とは、担当者が実際に物件や周辺環境を確認し、売却価格を算出する方法です。物件の管理状況など、詳細な情報をもとに査定を行うため、正確な売却価格を知ることができます。
候補となる不動産会社すべてから査定金額が届いたら金額の根拠や担当者の対応などを比較し、依頼先を決定しましょう。
付帯設備表・告知書(レントロール)の作成
売却を依頼する不動産会社が決まったら、「付帯設備表」と「告知書(物件状況報告書)」の作成を行います。付帯設備表とは、物件にある設備の状態を記載した書類です。一方、告知書とは建物の状態を記載した書類を指します。
「物件にはどのような設備があるか」「建物や設備にどのような不具合があるか」などをまとめておくことで、買主にマンションの状況を正しく伝えて売却後のトラブルを防ぐ目的があります。
また、投資用マンションを売却する場合は、家賃・管理費などの収入と修繕積立金などの支出が分かるレントロールの作成が欠かせません。収益物件を購入する投資家にとって必須の書類となり、売却価格を決める判断材料として重要な役割を果たすため、あらかじめ準備しておきましょう。
レントロールの作成は仲介する不動産会社が行うのが一般的で、オーナー様は賃貸借契約書やランニングコストの分かる書類を不動産会社に提出します。
付帯設備表と告知書に記載されていない不備が引き渡し後に発覚した場合、オーナー様は契約不適合責任を負う可能性があるため注意が必要です。損害賠償請求や契約解除を求められる可能性もあるため、物件や設備の状況をできるだけ詳細に、隠さず記載することが大切です。
不動産会社によっては、買主が決まってから売買契約を締結する前に、付帯設備表や告知書を作成するケースもあります。しかし、書類作成には時間がかかる可能性もあるため、早い段階から準備を進めておくことをおすすめします。
媒介契約の締結

マンションの売却を依頼する不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には、以下の3種類があります。
●一般媒介契約
●専任媒介契約
●専属専任媒介契約
「一般媒介契約」とは、複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約内容です。また自分で買主を見つけて、直接マンションを売ることもできます。契約期間は任意です。
「専任媒介契約」とは、1社の不動産会社のみに仲介を依頼する契約です。自分で買主を見つけて直接マンションを売ることもできます。契約期間は最長3ヶ月です。
「専属専任媒介契約」も、1社の不動産会社のみに仲介を依頼する契約です。ただし、自分で買主を見つけて直接マンションを売ることはできません。契約期間は最長3ヶ月です。
どの契約を選んでも、媒介契約締結の時点で費用が発生することはありません。それぞれのメリット・デメリットを理解して、適切な契約内容を選ぶことが大切です。
販売活動の開始
契約を締結したら、不動産会社が以下のような販売活動を行います。
●インターネット上に物件情報や写真を掲載する
●物件の販売図面を作成して顧客に紹介する
●広告チラシを作成して配布する
●現地販売会を行う
●購入検討者に物件情報を展開する など
現地販売会や内見など、購入希望の方が実際に物件を見にくることもあります。売買の仲介会社は、購入検討者の希望条件を多数保有している場合もあり、希望条件と合致している場合は好条件で売買が成立しやすくなります。内見の予約は週末に入ることが多いため、前もってスケジュールを空けておくとよいでしょう。また以下のポイントをチェックし、マンションを綺麗な状態に保つことが大切です。
●掃除が行き届いているか
●水回りは清潔感があるか
●照明が切れていないか
●タバコの臭いや生活臭などがしないか
●害虫が発生していないか など
販売状況は定期的にオーナー様へ共有されます。専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上の報告をすることが義務付けられています。オーナー様は報告を聞き、疑問点や要望などがあれば担当者へ伝えるとよいでしょう。
売買契約の締結
購入希望者と売買価格や支払い条件、引き渡し日などの条件を交渉し、同意が得られたら売買契約を締結します。売買契約はオーナー様と買主、不動産会社の担当者が実際に顔を合わせて行うのが一般的です。売買契約の主な流れは以下のとおりです。
1.重要事項説明書の読み合わせを行う
2.契約書に署名・捺印する
3.買主からオーナー様が手付金を受け取る
また、売買契約の締結と並行して、買主はローンの審査を申し込みます。買主がローンの審査に通らない場合、マンションの売買契約が破談になってしまうため慎重に進めましょう。
決済・引き渡し
買主のローン審査が通ったら、残代金の支払いと物件の引渡しを行います。引き渡し日に行う項目は以下のとおりです。
●買主が売主に残りの代金を支払う
●修繕積立金やマンションの管理費、固定資産税など諸費用の精算を行う
●登記申請の手続きを行う
●オーナー様から買主に物件の鍵や関係書類を引き渡す
決済・引き渡しとあわせて、登記申請の手続きを行います。マンションの売却で必要となるのは、抵当権抹消登記と所有権移転登記などです。手続きには専門的な知識が必要となるため、金融機関や不動産会社が用意した必要書類を司法書士に渡して、手続きをしてもらうのが一般的です。
確定申告
マンションを売却した翌年の2月中旬〜3月中旬までの間に確定申告を行います。売却によって利益が出た場合も損失が出た場合も、確定申告を行う点に注意が必要です。
売却によって利益が出た場合は、取得費や経費などを差し引いた金額が「譲渡所得」に該当します。譲渡所得は課税対象となるため、確定申告で納税額を申告しなければなりません。
一方、売却によって損失が出た場合、損失分をほかの所得から相殺して所得税を圧縮できます。確定申告をしないと節税効果が薄れてしまう可能性があるため、忘れずに手続きを行いましょう。
マンション売却の方法

マンションなどの不動産を売却する方法は、以下の3つが挙げられます。
●仲介
●買取
●個人売買
ここからは、それぞれの売却方法に触れながらメリットやデメリットを紹介します。また、マンションを仲介・買取で売却する詳しい方法については、以下の記事や事例もあわせて参考にしてください。
■参考記事:投資用マンションの売却時期は?出口戦略を見据える高値売却ポイント
■参考事例:20年近く空室(空き家)にしていたアパートを売却するお手伝い
仲介
仲介とは不動産会社に販売活動を委託し、買主を見つけてもらう方法です。仲介のメリットはオーナー様の負担を軽減しつつ、効率的な販売活動ができることです。インターネットに物件情報を掲載したりチラシを投函したりと、物件情報を周知するには複数の広告宣伝を行う必要があります。内見希望者との日程調整や、買主との条件交渉などが難航すると、精神的なストレスになりかねません。
仲介では、入居者募集や契約業務のすべてを不動産会社に任せられます。売買契約書に免責事項を記載するなど、瑕疵担保責任への対応を取ることも可能です。
ただし、マンションを売却する場合は、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。また、マンションの平均的な売却期間は3〜6ヶ月ほどといわれており、売却にある程度の時間がかかることを想定しておきましょう。
仲介によってマンションを売却した事例は、以下を参考にしてください。
■参考事例:賃貸にしていた区分所有マンションを賃借人へ売却した成功事例
買取
買取とは、不動産会社が直接マンションを買い取る方法です。不動産会社はマンションを下取り価格で購入し、利益分を上乗せして再販売を行います。
買取のメリットは、早く確実にマンションを売却できることです。不動産会社から提示された買取価格に問題がなければ、契約から2週間程度で売却が成立することもあります。物件に損傷があってもリフォームや修繕の必要はなく、そのままの状態で買取を行ってくれます。
ただし買取は査定価格が相場より安くなりやすく、相場の80%ほどの価格に落ち着くことが多いでしょう。築年数が古い物件や損傷が見られる物件などは、さらに価格が下がる可能性も少なくありません。買取の最大の魅力は早く合意した金額で確実に売却できる点です。できるだけ高くマンションを売却したい方は、買取価格を抑えたうえで仲介を行えば、想定期日までの売却が叶わない場合でも安心してマンションを売却できるでしょう。
買取によってマンションをスムーズに売却した成功事例は、下記をご覧ください。
■参考事例
複数の相続人が紛争を避けるため、買取による早期現金化でスムーズに
個人売買
個人売買とは、オーナー様が自分で買主を見つけて売買契約を締結する方法です。個人売買のメリットは、不動産会社への仲介手数料がかからないことです。また、オーナー様と買主が個人間でやり取りを行うため、自分のペースで売却を進めやすいでしょう。
ただし、マンションの売却は法律や税金などの専門的な知識が求められます。一般の方が個人売買を行う場合、大きなリスクをともなうかもしれません。中には「適切な書類を作成できず、売主が金融機関のローン審査に落ちてしまった」「契約書の不備で裁判に発展した」など、トラブルに発展した事例もあります。
加えて、個人売買は売買契約書や告知書などの書類をすべてオーナー様が作成しなければなりません。売却後、契約書に記載のない不具合が見つかった場合は瑕疵担保責任を負う可能性があります。個人売買にこだわる特別な事情がある場合を除き、できるだけ仲介や買取の方法を選ぶことをおすすめします。
マンション売却にかかる費用

マンションの売却では以下のような費用が発生します。
●仲介手数料
●印紙代
●登記費用
●書類取得費用
●譲渡所得税
●ローン返済手数料
ここからは、マンション売却にかかる費用の内訳について詳しく紹介します。また、費用がかかるタイミングや費用目安、費用の計算方法などをまとめました。
マンションの売却でかかる税金について詳しく知りたい方や、マンション経営の必要経費についておさらいしたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
■参考記事
【事例付】一棟アパート売却の成功術!売却時期と諸経費・税金を解説
マンション経営に必要な初期費用の目安|事例で知る費用経費や注意点
仲介手数料
「仲介手数料」とは、仲介を依頼する不動産会社に支払う報酬のことです。マンションの売却で最も大きな割合を占める費用といえるでしょう。
仲介手数料の上限は、宅建業法(宅地建物取引業法)という法律で上限額が決められています。物件の売却価格によって異なり、計算式は以下のとおりです。
売却価格 | 計算式 |
400万円超 | 成約価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
200万円超~400万円以下 | 成約価格(税抜)× 4%+2万円+消費税 |
200万円以下 | 成約価格(税抜)× 5%+消費税 |
例えば売買価格が300万円の場合、仲介手数料の上限は15.4万円です。また売買価格が3,800万円の場合、上限は132万円になります。
仲介手数料は、売却が成立したときのみに発生します。売買契約締結時に半額を支払い、物件の引渡し時に残りを支払うのが一般的です。
印紙代
売買契約書を作成すると、オーナー様は金額に応じた印紙税を支払う必要があります。印紙税の支払い方法は、売買契約書にあらかじめ購入した収入印紙を貼り付け、印鑑または署名で消印を押すのが一般的です。なお、仲介業者が収入印紙を準備するケースが多く、その場合は仲介業者に収入印紙代を支払います。
印紙代は売買価格によって異なり、2027年3月31日までの間に作成された契約書には軽減税率が適用されます。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
10万円超~50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超~100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超~5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円超~10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円超~50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円超~ | 60万円 | 48万円 |
※参考:国税庁|「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について
登記費用
「登記費用」とは不動産登記にかかる費用のことです。一般的に、残代金決済をしてマンションを引き渡す日に登記費用の支払いを行います。
ローン完済後に登記を済ませていない場合は、売却時に「抵当権抹消登記」を行わなければなりません。抵当権抹消登記にかかる費用の内訳は、以下のとおりです。
●登録免許税:不動産1件につき1,000円
●登記事項証明書の発行費用:1通600円(書面請求の場合)
●税司法書士報酬:1万~3.5万円ほど
司法書士報酬は、司法書士に抵当権抹消登記の手続きを依頼する場合のみ発生します。自分で手続きすることもできますが、申請書にミスがあると手続きに時間がかかる可能性もあります。相続などによって登記が複雑になる場合もあるため、一般的には司法書士に依頼するとよいでしょう。
書類取得費用

「書類取得費用」とは、必要書類を取得するときにかかる費用です。書類取得費用は自治体によって異なりますが、大まかな金額は以下のとおりです。
●印鑑証明書:300円程度(法人の場合は450円程度)
●住民票:300円程度
●固定資産税証明書:300円程度
費用が発生するタイミングは、不動産の仲介を依頼して媒介契約を締結するときや売買契約を締結するとき、引き渡し日などです。それぞれの書類は自治体の役所で取得できます。
譲渡所得税
「譲渡所得税」とは、マンションの売却益にかかる税金のことです。譲渡所得税がかかるのは売却益が発生したときのみで、赤字の場合は支払う必要がありません。
譲渡所得税は以下の方法で算出できます。
手順 | 計算式 |
①譲渡所得を算出する | 売却金額 −(取得費 + 売却にかかった費用) |
②課税譲渡所得を算出する | 譲渡所得 − 特別控除 |
③税額を算出する | 課税譲渡所得 × 税率(所得税・住民税) |
なお、取得費を計算する方法は「実額法」と「概算法」の2つがあります。以下の計算式で費用を算出し、金額が大きいほうを用いるとよいでしょう。
●実額法:マンションの取得にかかった費用の合計 − 建物の減価償却費
●概算法:譲渡収入金額 × 5%
また、税率はマンションの所有期間によって異なります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 |
5年超 | 15% | 5% |
5年以下 | 30% | 9% |
マンションの取得費や譲渡所得税について、下記の記事もあわせて参考にしてください。
■参考記事
不動産売却時の譲渡所得税計算には取得費が必要!土地建物の取得費も解説
不動産売却時の税金を無料相談!譲渡所得税の基本知識と相談先の選び方を解説
ローン返済手数料
「ローン返済手数料」とは、ローン残債を一括で返済するときにかかる手数料です。基本的に、マンションはローンを完済してからでないと売却できません。金融機関で一括返済の手続きを行うと、1万〜3万円ほどの手数料が発生します。
ローンが残っているマンションを売却する場合、売却の決済日・ローン完済日を同日に設定するのが一般的です。金融機関へローンの一括返済を行う旨を知らせると、金利やローン返済手数料を含めた最終的な返済金額が確定します。
実需(自己使用目的)と収益物件(投資用不動産)のローンには、いくつかの違いがあります。実需向けローンは、自分や家族が住む住宅を購入するときに利用するローンです。一般的には、銀行や信用金庫などの金融機関が提供します。
実需向けローン(住宅ローン)の主な特徴は以下のとおりです。
特徴 | 概要 |
金利が低い | ・変動金利:0.3~1.0% ・固定金利:1.0~2.5% |
返済期間が長い | ・最大35年程度(金融機関によって異なる) ・長期のローンが組めるため、毎月の返済負担を軽減できる |
融資審査の基準 | ・個人の年収・信用力が重視される ・会社員、公務員は比較的審査が通りやすい ・物件の収益性は審査に影響しない ・自己資金の要件が低い |
フルローンも可能 | ・信用力にもよるが、一部の銀行では諸費用も含めた100%融資も可能 ・自己資金0円でローンが組める可能性がある |
転売・賃貸禁止(制限あり) | ・住宅ローンで購入した物件を第三者に賃貸すると「契約違反」となる場合がある |
収益物件向けのローンは、賃貸収入を得ることを目的とした「投資用不動産」を購入するときに利用するローンです。一般的には都市銀行や地方銀行、信用金庫、ノンバンクなどが提供しています。
収益物件向けのローンの主な特徴は以下のとおりです。
特徴 | 概要 |
金利が高い | ・変動金利:1.5~4.5%(金融機関、借入額、個人の信用力、物件の収益性により異なる) ・固定金利:2.5~5.0% |
返済期間が比較的短い | ・10~30年程度(金融機関によって異なる) ・物件の耐用年数によって決まることが多い |
融資審査の基準 | ・物件の収益性(賃貸利回り)が最も重視される ・個人の年収や信用力も考慮されるが、物件の立地・築年数・市場性などが重要 ・自己資金の要件が厳しい |
フルローンは一部のノンバンクのみ対応 | ・頭金20~30%が一般的(フルローンは一部のノンバンクのみ対応) ・購入価格の80%までしか融資しない金融機関も多い |
転売・賃貸が可能 | ・収益を目的としたローンのため、転売や賃貸ができる |
マイホームを購入する方は住宅ローンを、不動産投資をする方は収益物件に向けたローンを利用するのが一般的です。投資用不動産を購入する場合は、どの銀行やノンバンクが使えるのか、融資条件をしっかり比較することが大切です。
マンション売却の必要書類

ここでは、 マンションを売却するときに売主が用意する必要書類をまとめました。主な書類は以下のとおりです。
●売主に関する書類
●物件に関する書類
●税金等に関する書類
次の項目から、それぞれの詳しい内容を紹介します。
売主に関する書類
売主の本人確認書類や、物件の所有者であることを証明する書類です。主な書類と必要になるタイミングは以下のとおりです。
書類の種類 | 申込日 | 販売活動中 | 契約日・引渡日 |
運転免許証、パスポートなどの身分証明書 | 必要 | 必要 | |
登記済権利証・登記識別情報 | 必要 | 必要 | |
登記事項証明書 | 必要 | 閲覧の申出がある場合は必要 | 必要 |
印鑑証明書・実印 | 必要 | ||
住民票、戸籍附票 | 必要 |
物件に関する書類
物件の間取りや築年数、修繕履歴などを記載した書類のことをいいます。具体的な書類と、必要になるタイミングは以下のとおりです。
書類の種類 | 申込日 | 販売活動中 | 契約日・引渡日 |
購入時の売買契約書、重要事項説明書 | 必要 | ||
購入時の販売図面 | 必要 | ||
間取り図 | 必要 | ||
購入時のパンフレット | もしあれば必要 | ||
管理規約・使用細則 | 必要 | 必要 | |
リフォーム・修繕の記録があれば確認できる資料 | 必要 | 必要 | 必要 |
耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書、性能評価証明書など | もしあれば必要 | もしあれば必要 | |
家賃明細表(レントロール) | 必要 | 必要 |
税金等に関する書類
税金の支払いやローンの返済、売却金額に関する書類のことです。具体的な書類と、必要になるタイミングは以下を参考にしてください。
書類の種類 | 申込日 | 販売活動中 | 契約日・引渡日 |
固定資産税納税通知書、固定資産税評価証明書 | 必要 | 必要 | |
ローン残高証明書、ローン返済表 | 必要 | 必要 | |
抵当権抹消書類 | 必要 | ||
銀行口座の通帳 | 必要 | ||
遺産分割協議書 | 相続登記が済んでいない場合のみ必要 | 相続登記が済んでいない場合のみ必要 |
マンション売却で後悔するケース

マンションの売却は不動産会社や金融機関など複数の方が絡むため、オーナー様が希望するタイミングや金額での売却が難しいケースもあります。ここからは、マンション売却で後悔につながりやすい以下のケースについて紹介します。
●売却活動がスムーズにいかない
●査定額を優先して不動産会社を選ぶ
●金額設定を間違えて売れ残る
●残債が多く相場とズレが生じる
●付帯設備表・告知書に不備がある
●住み替え先に引越してからも売却活動が続く
●確定申告を忘れる
●内見で悪い印象を与えてしまう
なお、収益物件で賃貸経営している方のマンション売却で起こり得るリスク対策については、以下の記事を参考にしてください。
■参考記事:【マンション経営入門】失敗から学ぶマンション経営成功のポイント
売却活動がスムーズにいかない
不動産会社にはそれぞれ得意分野があり、戸建て住宅の売却実績が豊富な会社もあれば、事業用物件を専門に扱っている会社などもあります。
不動産会社の下調べを怠った結果、「マンション売却が得意でない会社に依頼してしまった」というケースは少なくありません。マンションの売却実績が少ない会社に依頼すると、なかなか買主が見つからなかったり、販売価格が折り合わなかったりと、スムーズに売却が進まない可能性があります。
マンションの売却は特有の条件があり、高い専門性が求められます。多くの不動産会社はホームページで過去の取引実績を公開しているので、入念に下調べを行い、マンションの売却実績が豊富な会社に依頼しましょう。
査定額を優先して不動産会社を選ぶ
マンション売却では複数の会社に査定を依頼し、金額などを比較検討するのが一般的です。最も査定額の高い会社に依頼したものの、「買い手がつかなかった」「値下げをすることになり希望の金額で売れなかった」という後悔につながるケースもあります。
不動産会社の中には媒介契約を取りたいために、あえて相場よりも高い査定額を提示する会社もあります。査定額が高いからといって安易に契約を決めず、提示された査定額で本当に売却できるのか、似た物件の売却実績はあるのかなどをよく確認することが大切です。
金額設定を間違えて売れ残る
「できるだけ高くマンションを売りたい」という思いから、販売価格を相場より高く設定するオーナー様もいます。相場との乖離が大きいとなかなか買主が現れず、需要を獲得できないまま売れ残ってしまうケースは少なくありません。
マンションの販売価格を決めるときは、不動産会社に希望金額を伝え、相場と比べて高すぎる・低すぎるなどの乖離はないか、類似物件の販売価格はいくらかなどのアドバイスをもらうとよいでしょう。また、購入希望の方から値下げ交渉が入った場合、不動産会社と相談して適切な値下げ幅を決めることが大切です。
残債が多く相場とズレが生じる

ローンが残っている状態でマンションを売却する場合、引き渡し日までにローン完済を目指す必要があります。「売却益をローン残債にあてたい」という思いから、販売価格を高額に設定する方もいるでしょう。
しかし先述のとおり、相場と販売価格が大きく乖離し、需要を獲得できずに売れ残るケースもあります。ローン残債が多く売却益での相殺が難しい場合は、「任意売却」という方法もあります。
任意売却とは、金融機関の了承を得たうえでローン残債が残ったまま不動産を売却する債務整理の方法です。金融機関の協力を得られなかったり、不動産会社が任意売却のノウハウを持っていなかったりすると、売却できずに競売にかけられてしまうリスクがあります。住宅ローンの返済に困った場合は、早い段階から不動産会社や金融機関に相談することをおすすめします。
付帯設備表・告知書に不備がある
付帯設備表や告知書に不備があり、売却後トラブルに発展するケースです。物件や設備に不具合がある場合は、付帯設備表や告知書に状態を詳しく記載しなければなりません。マンションの売却後に記載されていない損傷などが見つかると、オーナー様が契約不適合責任に該当する可能性があります。
付帯設備表や告知書は、オーナー様が自分で記入しなければなりません。不動産会社が代理で作成すると、トラブルの原因になりかねないからです。
「損傷を見落としていた」「確認が漏れていた」などの些細なミスが、損害賠償請求などにつながるケースもあります。不具合がある場合は状態を詳細に記載し、書き忘れがないかを入念にチェックしましょう。
住み替え先に引越してからも売却活動が続く
マンション売却における買い替えとは、現在のマンションを売却して、新しい住宅を購入することです。「売り先行」「買い先行」の2つの方法があり、現在所有しているマンションの売却益を購入費用にあてる場合は、売り先行を選ぶことが多いでしょう。
しかし、予想よりも売却に時間がかかり、売却が完了しないまま新しいマンションを購入せざるを得ない状況に陥る可能性があります。ローンが二重に発生し、オーナー様に大きな負担がかかりかねません。売却期間が長くなると、マンションが売れづらくなる可能性もあるため、買い替えのタイミングを慎重に見極める必要があります。
確定申告を忘れる
マンションの売却を行った後、確定申告を忘れてしまうケースは案外多いものです。マンションの売却で利益が出たにも関わらず、譲渡所得の申告を怠ると脱税と判断される可能性があります。延滞税や無申告加算税がかかる可能性があるため、忘れずに確定申告のスケジュールを確認しておきましょう。
マンションの売却で損益が出た場合も、控除や特例を利用することで節税につなげられる可能性があるため、確定申告を行うことをおすすめします。
内見で悪い印象を与えてしまう
内見は、マンション購入の決め手となる重要な要素の1つです。内見にくる購入希望の方の印象をアップできるように、マンションを綺麗な状態にしておく必要があります。
どんなに間取りや立地などが魅力的でも、内見の心象が悪いと購入を踏みとどまってしまうかもしれません。「思ったよりも汚れが目立っていた」「整理整頓が行き届いておらず、雑然とした印象を持った」などの理由で、内見後に購入を辞退することもあります。
また「オーナー様の態度に不信感を持ち、購入を辞退した」というケースもあるため、内見に立ち会う際は丁寧な対応を心がけましょう。
マンション売却時の注意点

マンション売却では些細なミスが後々トラブルに発展し、後悔の原因になるケースもあります。あらかじめ対策を行い、リスクを回避することが大切です。
ここでは、マンション売却時に注意するポイントを紹介します。売却前・売却中・売却後の3つのタイミングと収益物件の場合に分けて、発生しやすいリスクや事前にできる対策などをまとめました。
なお、マンションの売却のタイミングや売却期間についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせて参考にしてください。
■参考記事
一棟マンションの売却は価格上昇局面が鉄則!不動産市況と出口戦略も解説
【事例付】不動産売却の期間を短縮方法!自宅や収益物件の注意点を解説
売却前

マンションの売却前に注意するポイントは、以下のとおりです。
●売却のタイミングを見極める
●余裕を持った売却スケジュールを立てる
●相場を調べて売出価格を設定する
●売却期間を決めておく
●マンション売却が得意な不動産会社に依頼する
●自分に合った媒介契約の種類を選ぶ
●必要に応じてリフォーム・リノベーションやクリーニングを行う
●事前準備をしっかり行う
収益物件をスムーズに売却するポイントについては、下記の記事もあわせてご覧ください。
■参考記事
収益物件をできるかぎり早く・高く売る秘訣|パートナー選びのポイントは?
【必読】賃貸管理会社の選び方!運用益と出口戦略を見据える賃貸管理
売却のタイミングを見極める
マンションは1年を通して、需要や価格が大きく変わります。売却するタイミングを間違えると希望の価格で売却できなかったり、販売活動が長期化したりするリスクがあります。
不動産市場の繁忙期は、新生活の準備を開始する1〜3月頃だといわれています。マンションの売却には3~6ヶ月ほどの期間がかかるため、余裕を持って進める場合は前年の9月頃から準備を始めるとよいでしょう。
売却のタイミングを見極める詳しい方法については、以下の記事をあわせてご覧ください。
■参考記事
【事例付】アパート売却の流れと売却時期の見極め方!相続時の注意点も解説
【保存版】不動産投資の損益分岐点で着目するポイントは運用と売却!
不動産を相続するには誰に相談すればよいのか? 相続手続きの期限も解説
余裕を持った売却スケジュールを立てる
中には販売活動が難航し、物件を売り出してから買主が決まるまでに1年以上経過したケースもあります。転勤や子どもの進学など、売却のタイミングが決まっているときは、余裕を持ってスケジュールを立てることが大切です。
すぐにマンションを売却したい場合は、不動産会社に買取を依頼する、販売価格を下げるなどの対策が挙げられます。しかし、希望条件を大幅に譲歩した結果、後悔につながるケースも少なくありません。売却期間を3~6ヶ月程度と想定し、販売活動を行う3ヶ月ほど前から準備を進めることをおすすめします。なお、相続が発生した場合は期日が設定されます。然るべき期日までに売却を行わなければならないので、ご留意ください。
相場を調べて売出価格を設定する
不動産会社が提示した査定額を鵜呑みにし、そのまま販売価格に設定するのは避けましょう。先述したように、媒介契約を取るためにあえて高めの査定金額を提示する不動産会社もあります。査定額をそのまま販売価格に設定すると、買い手がつかない状況に陥りかねません。以下の方法を参考に、類似物件の販売価格を調査するとよいでしょう。
●不動産会社のホームページで過去の取引事例を確認する
●インターネットで周囲の類似物件の販売価格を調査する
●国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を活用する
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、中古マンションの成約価格を公表しています。住所や路線、地名などを絞り込むことで、周辺地域の販売価格を確認できるので活用しましょう。
収益物件を高値で売却するポイントについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
■参考記事:収益物件を高値で売却する秘訣と注意点|出口戦略の立て方も解説!
売却期間を決めておく

「複数の買主が現れた」「値下げ交渉を持ちかけられた」など、販売活動を行う中でオーナー様が選択を迫られる場面もあります。しかし、希望に100%沿わないからといって、売却を決断できないこともあるでしょう。決断が遅れた結果、物件が売れ残ってしまうケースも少なくありません。
決断を後押しするためにも、事前に売却の期限を決めておくことをおすすめします。先述したように、マンション売却の期間は3〜6ヶ月ほどが目安です。
また、実需か収益物件かなど、マンションの種類によっても売却期間や価格が異なる点にも注意しましょう。
マンション売却が得意な不動産会社に依頼する
マンション売却には特有の条件があり、戸建て住宅や土地の売却とは異なる知識が求められます。すべての不動産会社がマンションの売却に精通しているわけではないので、注意が必要です。
まずは不動産会社のホームページを確認し、マンション売却の取り扱い実績が豊富な会社を複数ピックアップしましょう。あわせて、得意エリアや実需、収益物件などの販売種別も確認のうえ、マンション売却を得意とする会社に依頼したほうが、オーナー様の希望条件を反映しやすくなります。
中には買主へ設備保証を実施していたり、独自の販売チャネルを持っていたりと、マンション売却に特化した会社もあります。査定額だけでなく、サービスやアフターケアの内容などもふまえて不動産会社を選ぶことが大切です。
自分に合った媒介契約の種類を選ぶ
不動産会社に売却(仲介)を依頼する場合は、媒介契約の種類をしっかりと検討しましょう。先述のように、媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
それぞれ契約の自由度が異なり、最も縛りが強いとされるのが専属専任媒介契約です。専属の仲介会社として精力的に販売活動を行ってもらえる一方で、オーナー様が自分で買主を見つけて物件を販売することができません。
媒介契約の種類によっては制約が生まれ、販売活動の障害になる可能性もあります。それぞれの内容を理解したうえで、オーナー様の状況に合った媒介契約を選ぶことが大切です。
必要に応じてリフォーム・リノベーションやクリーニングを行う
マンションを売却するにあたって、「少しでも買主に好印象を与えたい」「高値で売却したい」と思うオーナー様は多いでしょう。築年数の古いマンションなど、現状のまま売却するのが難しいと感じる場合は、リフォームやリノベーション、クリーニングを行うことをおすすめします。
ただし、リフォーム内容が必ずしもニーズにマッチするとは限らない点に注意が必要です。近年は「中古マンションを購入して自分好みに手を加えたい」と思う方も増えており、リフォーム・リノベーションを行ったことでかえって売れにくくなる可能性もあります。不動産会社に相談し、収益が最大化するリフォーム・リノベーション内容を選択することが大切です。
事前準備をしっかり行う
マンション売却を成功させるためには、事前準備が重要です。「すぐにマンションを売って現金化したい」など、思いつきで売却を始めたことが後悔につながるケースは少なくありません。
前もって必要書類を集めておく、不動産会社の候補をリストアップするなど、予想外の遅延を避けるために準備を進めておきましょう。また、内見の前に焦ることがないように、前もって荷物の整理やクリーニングを済ませておくことをおすすめします。
売却中

マンション売却時に注意するポイントは以下のとおりです。
●仲介担当者とこまめに連絡を取り合う
●内見の際は丁寧に対応する
●購入希望者がローン審査に通るまで慎重に進める
●設備等に不具合がある場合は告知する
それぞれ詳しく解説していきます。
仲介担当者とこまめに連絡を取り合う
マンションの売却を成功させるには、不動産会社とのコミュニケーションが欠かせません。専任媒介契約は2週間に1回以上、専属専任媒介契約は1週間に1回以上の頻度で、オーナー様に販売活動の報告を行う義務があります。しかし、一般媒介契約の場合は報告の義務がないため、連絡を取り合う頻度が下がってしまうかもしれません。
オーナー様から仲介担当者に連絡を入れ、販売状況を把握することもできます。やり取りを重ねる中で信頼関係が生まれれば、優先して営業をかけてくれるかもしれません。販売活動の報告が来ないからといって放置せず、こまめに担当者と連絡を取り合うようにしましょう。
内見の際は丁寧に対応する
内見は、買主にとって購入を決める重要な判断材料です。内見をする方に好印象を与えられるよう、丁寧な対応を徹底しましょう。物件の清潔感を保つことはもちろん、以下のような対応を取り入れるとさらに印象をアップできます。
●できるだけ部屋の生活感をなくす
●人数分のスリッパを用意する
●花や観葉植物を飾る
●パンフレットや修繕履歴が分かる書類を用意する
●ネガティブな要素も隠さずに伝える
●ゆっくりと内見ができる環境をつくる
内見当日は、内見する方がゆっくりと部屋を見られる環境をつくりましょう。例えば、過剰なアピールはかえって心象を悪くしてしまいます。必要事項を説明したら内見者の側を離れるなど、内見する側の視点に立って適切な対応を取ることが大切です。
購入希望者がローン審査に通るまで慎重に進める
売買契約と並行して、買主はローン審査を行います。中には買主がローン審査を通過できず、売却が白紙になってしまうケースもあるでしょう。交渉段階から不動産会社を通して相手の経済状況を確認するなど、買主の状況を慎重に判断することをおすすめします。
また、複数の購入希望者が現れると、安心感から販売活動を中断してしまうオーナー様もいます。買主がローン審査に落ちるリスクを念頭に置き、審査結果が出るまでは販売活動を継続するとよいでしょう。
設備等に不具合がある場合は告知する
マンションの建物や設備に不具合がある場合は、契約前に告知しなければなりません。先述したように、引き渡し後に付帯設備表や告知書に記載されていない不具合が発覚した場合、オーナー様は契約不適合責任に問われる可能性があります。契約解除や損害賠償請求、追完請求、代金減額請求などをされる可能性があるため注意が必要です。
付帯設備表や告知書に漏れがないようにするのはもちろん、念のため口頭でも不具合の説明をするとよいでしょう。また、住宅診断の「インスペクション」を利用し、修繕が必要な箇所や劣化状況を明らかにしておくのも効果的です。
売却後

マンションの売却後に注意するポイントは以下のとおりです。
●売却にかかる諸費用や税金を引いた手残り金額を確認する
●確定申告を行う
●計画的に引越しを進める
●管理組合に報告する
それぞれ解説していきます。
売却にかかる諸費用や税金を引いた手残り金額を確認する
マンションの売却が完了したら、諸経費や税金を差し引いた手残り金額を確認しましょう。手残り金額の計算方法は以下のとおりです。
手残り金額=売却額ー(手数料+税金+諸経費)
先述したとおり、販売価格がそのまま手元に残るわけではなく、売却後には譲渡所得税や登記費用などの支払いがあります。売却益を新しい物件の購入費用にあてる場合や、相続人で利益を分配する場合は、あらかじめ売却にかかる費用を予測しておくことが大切です。
ほかにも、引越し費用やハウスクリーニング代、残置物の処理費、リフォーム費用などがかかるケースもあります。
確定申告を行う
マンションを売却して利益が出た場合も、損失が出た場合も確定申告が必要です。忘れてしまうとペナルティが発生することもあるため、マンションを売却した翌年の2月中旬〜3月中旬に、忘れずに確定申告を行いましょう。追加で書類を取り寄せることがないように、売買取引の書類は一式保管しておくことをおすすめします。
確定申告を行う目的は、譲渡所得を申告するだけではありません。「所有期間による軽減税率」や「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除 」などの特例が適用され、節税につなげられるメリットもあります。特例や控除は自動で適用されるわけではなく、確定申告を行わなければ節税効果は得られません。
計画的に引越しを進める
居住用のマンションを売却する場合、物件に住み続けながら売却活動を行うケースもあるでしょう。無事に買主が見つかったら、引き渡し日までに引越しを完了させなければなりません。荷物が残っているなど、空き家の状態で引き渡しができない場合は買主とのトラブルにつながる可能性があります。
住み替え先が決まっていない場合は、マンスリーマンションなど仮住まいへの引越しを検討しましょう。ただし、引越しを2回行う必要があり、多くの手間や費用がかかる点に注意が必要です。
管理組合に報告する
物件を売却して所有者が変わる場合は、実需・収益用問わず区分で所有しているのであればマンションの管理組合に報告が必要になります。「組合員資格喪失届」という書面で届出を行うのが一般的で、多くの場合は不動産会社の担当者が管理組合から書類を取得・提出してくれます。
自分で取得する場合は、販売活動を開始した時点で管理組合に連絡を入れるとよいでしょう。早い段階で売却を知らせておき、前もって必要書類などを確認するとスムーズです。
また、組合員資格喪失届を提出するタイミングは、売買契約の決済後です。マンションの所有権が買主に移転すると同時に、組合員の資格も喪失することになります。
収益物件

居住用のマンションと収益物件では、売りやすさや価格設定などに違いがあります。マンションを収益物件として所有している場合、注意点は以下のとおりです。
●売却のタイミングを見極める
●利回りを考慮して売出価格を決める
●トラブルは事前に解決しておく
それぞれ詳しく解説していきます。
売却のタイミングを見極める
収益物件は一般的な住宅と比べて売却しづらい傾向にあります。収益物件の買主は投資家に限定され、需要が狭くなりやすいからです。
また、入居者様がいる状態でマンションを売却する「オーナーチェンジ物件」は、居住用物件とは査定額の算出方法が異なり、年間の利益や利回りなどをもとに査定額を決定するため、査定額が相場より下がることもあるでしょう。
収益物件をできるだけ高く売却するには、金利の低い時期や税制の優遇措置を受けられるタイミングを狙うことが大切です。収益物件の売却に精通した不動産会社に依頼し、売却戦略を提案してもらうとよいでしょう。
利回りを考慮して売出価格を決める
収益物件を購入する不動産投資家は、利回りを重要な基準として購入するため、売出価格は利回りを考慮して適正に設定しなければなりません。収益物件の売出価格には、収益還元法という計算方法が用いられます。収益還元法の2種類ある計算方法のうち、「直接還元法」による販売価格の計算式は以下のとおりです。
手順 | 計算式 |
①年間の純利益を算出する | 年間の家賃収入−費用 |
②還元利回りを算出する | 1年間の家賃収入÷不動産価格×100 |
③売出価格を算出する | 年間の純利益÷還元利回り |
直接還元法による計算は複雑なことが多く、算出した価格が適切かどうかを見極めるのは難しいでしょう。相場とのズレはないかなどを不動産会社に相談し、売出価格を決めることをおすすめします。
トラブルは事前に解決しておく
オーナーチェンジ物件は売却後にトラブルが発生するリスクがあります。入居者様が住んでいる状態でマンションを売却するため、買主は部屋の中の状態を確認できません。また売却後に家賃の滞納などが発覚するケースもあります。
オーナー様は以下の項目を確認し、売却する前にトラブルを解決しておくとよいでしょう。
●家賃の滞納はないか
●家賃の減額を求められていないか
●騒音や悪臭・害虫の発生などのトラブルはないか
●ルール違反・マナー違反を繰り返す入居者様はいないか など
万が一トラブルの解決が難しい場合は、むやみに隠そうとせず買主に正直に説明することが大切です。
マンション売却に役立つ税金特例・注意点

マンションの売却を行った場合、確定申告で譲渡所得を申告する必要があります。加えて、さまざまな特例によって控除を受けられる可能性もあるため上手に活用しましょう。
以下では、マンション売却時に活用できる税金特例を「売却益がある場合」「売却損がある場合」に分けて紹介します。活用する際の注意点や適用条件もまとめました。
なお、マンション売却時に必要な税金の知識について、下記の記事もあわせて参考にしてください。
■参考記事
【事例付】不動産売却の譲渡損失の損益通算!基本知識と注意点を解説
不動産売却税とは?信頼できるパートナーと考える効果的な節税対策
アパートは相続税対策に有効! 相続税計算でメリットを検証・解説付き
不動産投資における減価償却とは?節税額の計算方法と注意点を解説!
知っておくべき相続税対策! 不動産を活用した節税の仕組みを解説
売却益がある場合

マンションを売却して利益が出た場合、活用できる特例は以下のとおりです。
●居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
●所有期間による軽減税率
●特定の居住用財産の買換え特例
●相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
それぞれ特例の内容について詳しく解説していきます。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例 」とは、居住用の物件を売ったとき譲渡所得から最高3,000万円までを控除できる制度です。例えば4,000万円で買った家が6,000万円で売れた場合、控除が適用されて売却益は非課税となります。
対象となるのは、次のような要件に該当するケースです。
●現在自分が住んでいる家を売る
●以前自分が住んでいた家を、3年後の12月31日までに売る
ただし、以下の要件に該当する場合は対象外となります。
●この特例の適用を受けることを目的として入居した場合
●新築の期間中だけ仮住まいとして使った家
●その他の一時的な目的で入居したと認められる家
●別荘など趣味や娯楽、保養などのために所有する家
●親子、夫婦間などの関係者への売却
※参考:国税庁|No.3302 マイホームを売ったときの特例
所有期間による軽減税率
「所有期間による軽減税率 」とは、10年を超えて所有している居住用の物件を売ったときに軽減税率を適用できる特例です。通常の場合、所有期間5年超のマンションを売却したときは、長期譲渡所得に20.315%の税率がかかります。
一方、所有期間による軽減税率の特例を適用すると、譲渡所得が6,000万円以下・6,000万円超の部分について税率が以下に軽減されます。
長期譲渡所得の金額 | 所得税の税率 | 住民税の税率 | 合計 |
6,000万円以下 | 10.21% | 4% | 14.21% |
6,000万円超 | 15.315% | 4% | 20.315% |
また、対象となるのは以下のようなケースです。
●自分が住んでいる家を売却する(所有期間10年以上)
●以前自分が住んでいた家を、3年後の12月31日までに売る
ただし、以下の要件に該当する場合は対象外となります。
●この特例の適用を受けることを目的として入居した場合
●新築の期間中だけ仮住まいとして使った家
●その他の一時的な目的で入居したと認められる家
●別荘など趣味や娯楽、保養などのために所有する家
●親子、夫婦間などの関係者への売却
特定の居住用財産の買換え特例
「特定の居住用財産の買換え特例」とは、居住用の物件を期日までに売却し、かわりの住居を購入した場合、譲渡所得税を将来に繰り延べる制度です。
特例の適用を受けるための要件は、以下のとおりです。
●期日までに家を売ること
●売った家・買い換えた家は、どちらも日本国内にあるものであること
●売った家は居住期間が10年以上、かつ建物と敷地の所有期間が10年を超えるものであること
●売却代金は1億円以内であること
●買い換えた家は床面積が50㎡以上、かつ土地面積は500㎡以下であること
ほかにも、適用を受けるための要件が定められています。詳しい要件は国税庁のホームページを参考にするとよいでしょう。
※参考:国税庁|No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 」とは、相続や遺贈によって取得した財産を一定期間内に売却した場合、一定額の相続税を取得費として計上できる制度です。
対象となるのは、以下の要件を満たす場合です。
●相続や遺贈により財産を取得した本人であること
●相続税が課税されていること
●相続開始のあった日の翌日〜相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(3年10ヶ月以内)に財産を売却すること
※参考:国税庁|No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
売却損がある場合

マンションを売却して損失が出た場合、活用できる特例は以下のとおりです。
●居住用財産の買い替えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
●特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除
それぞれの内容を解説していきます。
居住用財産の買い替えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
「居住用財産の買い替えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 」とは、居住用の物件を期日までに売却し、かわりの住居を購入したときに活用できる特例です。
売却によって損失が生じた場合、損失分をほかの所得から控除することができます。さらに、控除しきれなかった損失を翌年3年以内に繰り越して控除することもできます。
特例の適用を受けるための要件は以下のとおりです。
●自分が住んでいる家を売却すること
●以前自分が住んでいた家を、3年後の12月31日までに売ること
●売却した前年の1月1日〜翌年12月31日までの間に、日本国内にある住宅を購入すること
●新居の床面積が50㎡以上であること
●新居を購入した年の翌年12月31日までの間に住み始めること
●新居を購入した年の12月31日において10年以上の住宅ローンがあること
ただし、親子や夫婦などに家を売却した場合などは特例が適用されません。特例の適用除外については、国税庁のホームページを参考にしてください。
※参考:国税庁|No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除 」とは、期日までに住宅ローンのある家を売却したときに活用できる特例です。
販売価格がローン残債を下回り、損失が生じたときは損失分をほかの所得から控除することができます。さらに、控除しきれなかった損失を翌年3年以内に繰り越して控除することもできます。
特例の適用を受けるための要件は以下のとおりです。
●自分が住んでいる家を売却すること
●以前自分が住んでいた家を、3年後の12月31日までに売ること
●売却した年の1月1日において、建物・土地の所有期間が5年を超えていること
●売却した家の売買契約日の前日において、10年以上の住宅ローンの残高があること
●家の売却価格が住宅ローン残高を下回っていること
ただし、親子や夫婦などに家を売却した場合など、特例の適用除外が設けられています。詳しい要件は国税庁のホームページを参考にしてください。
※参考:国税庁|No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
注意点

上記で紹介した特例を利用するときは、以下のような注意点があります。
●売却益がある場合:3,000万円特別控除を使う場合、住宅ローン控除が使えなくなる
●売却損がある場合:購入する物件に10年以上の住宅ローンがないと、譲渡損失の買換え特例が使えない
次の項目から、それぞれの詳しい内容や対策について紹介します。
売却益がある場合
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例 」と住宅ローン控除は併用できません。そもそも住宅ローン控除とは、個人が住宅ローンを利用して新築の家を建てる場合に、所得税の減税を受けられる制度です。
買い替えで新居を購入してローンを組む場合、住宅ローン控除を利用するのであれば控除の利用は避けたほうがよいでしょう。自宅を買い替えるときは、どちらが有利なのかをよくシミュレーションする必要があります。
どちらを選択するとよいかは、取得費や売却する家の所有期間、立地などによって異なります。売却益が少額であれば、住宅ローン控除の適用を受けるほうが、有利になる可能性が高いでしょう。
なお、住宅ローン控除の適用を受けた後、一定の手続きを行うことで3,000万円特別控除に切り替えることは可能です。ただし、3,000万円特別控除を受けた後に住宅ローン控除へ変更することはできないため注意しましょう。
売却損がある場合
「居住用財産の買い替えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を利用する場合、新しく購入する新居に10年以上のローンがあることが適用要件となります。
不動産を購入するときは、できるだけローンの借入額を減らすために、多くの自己資金を用意するほうがよい場合もあります。
しかし、この特例を利用する場合は「自己資金を増やしてローンの返済期間を短くした結果、要件から外れてしまった」という後悔につながりかねません。無理に自己資金を入れず、手元に現金を残した状態で10年以上のローンを組むのが望ましいでしょう。
ただし、せっかく10年以上のローンを組んだとしても、ほかの要件を満たしていない場合は特例を受けることができません。新居の床面積や買主との間柄などにも要件が定められているため、物件を売却・購入する前から内容をよく確認することが大切です。
マンション売却を依頼する不動産会社の選び方

マンションの売却を成功させるには、不動産会社選びが重要です。下記のポイントを参考に、マンション売却の豊富なノウハウを持つ、信頼できる不動産会社へ仲介・買取を依頼しましょう。
●査定価格の根拠を聞く
●宅建業の免許番号を確認する
●マンションの売却実績が豊富かを確認する
●サポート・保証が充実している
●複数の売却戦略がある
●複数社に査定依頼する
●収益物件の売却に強い不動産会社を選ぶ
なお、マンション売却の見積もりを判断する方法は、以下の記事を参考にしてください。
■参考記事:不動産売却の見積もりとは? 査定のポイントと注意点を徹底解説!
査定価格の根拠を聞く
仲介を依頼する不動産会社を決めるとき、最初にマンションの査定をしてもらうのが一般的です。査定額は不動産会社だけでなく、担当者によっても違いが生じます。「査定額が高額だから」という理由だけで契約を決めず、なぜその査定額になったのか担当者に根拠を聞くとよいでしょう。
根拠を聞く際は、以下の項目をチェックするとよいでしょう。
●納得するまで根拠を説明してくれるか
●参考にしたデータを提示してくれるか
●1つの情報に依存することなく、あらゆる観点から査定されているか
マンションの売却は、仲介を依頼する会社・担当者によって結果が大きく変わります。「査定額の根拠が薄い」「契約を取りたいだけなのでは」などと違和感を感じた場合は、ほかの不動産会社にも査定を依頼し、対応を比較してみましょう。
宅建業の免許番号を確認する
不動産会社のホームページをチェックし、宅建業の免許番号を確認しましょう。多くの場合、会社概要などのページに「国土交通大臣免許(10)○○号」「東京都知事免許(10)○○号」といった記載があります。
括弧の中の数字は免許更新の回数を表しており、数字が大きいほど不動産会社としての歴史が長いことを表します。長く宅建業を営んでいる会社のほうが、信頼できる可能性が高いといえるでしょう。
ただし、個人事業主から法人化した場合など、事情によって免許証番号の数字が小さくなっているケースもあります。必ずしも数字が小さいと経験値が低いというわけではないため、あくまで目安としてとらえるとよいでしょう。
マンションや収益物件の売却実績が豊富かを確認する
不動産会社はそれぞれ異なる特徴があり、得意・不得意な分野があります。例えば、築古物件の取り扱いが豊富な会社もあれば、特定の地域で不動産を売買する地域密着型の会社もあります。まずは自分の物件の特徴をよく理解し、どのような不動産会社に依頼するとよいかを判断することが大切です。
自分のマンションの特徴を掴んだら、以下の項目を参考に不動産会社の実績を確認しましょう。
●マンションや収益物件の売却実績が豊富にあるか
●築年数や間取りなど、どのような物件が扱われているか
●どの地域での売却実績が多いか
●自分の物件と似た条件の売却実績はあるか
実績は不動産会社のホームページや店頭、インターネットの口コミなどで確認できます。自分に合う不動産会社を選んだことで、マンション売却を成功につなげた事例は以下を参考にしてください。
■参考事例:募集会社の見極めが大切!市街化調整区域にある中古住宅売却の成功事例
サポート・保証が充実している

不動産会社によっては、買主に対する独自の保証制度やサポートを行っています。建物保証や設備保証を行っている会社であれば、買主も安心して物件を購入できるでしょう。
また万が一売却後に不具合が発覚した場合、不動産会社の保証の範囲内で、修繕などの対応をしてもらえる可能性があります。また、相続対策のフォローまで行う不動産会社も存在します。マンションを売却するときは、買主へのアフターサービスが充実しているか、独自の保証制度があるかなども確認するとよいでしょう。
複数の売却戦略がある
不動産会社の中には、VRを用いて自宅で内見が完結する会社や、提携している企業と連携を取る会社、独自の販売網や顧客を保有している会社、収益物件の販売に強い会社など、独自の売却戦略を持っている企業がいます。
マンションの売却に関する豊富なノウハウがあり、多くの戦略の中から自分の物件に合うものを選択できる会社で、売却後のアフターフォローもある会社ならば、希望条件で成約できる可能性が高まり、不安要素を可能なかぎり軽減できるでしょう。
また、近年は「インターネット広告やSNSでいかに物件の魅力を伝えるか」が売却の決め手となるといわれています。見栄えのよい写真を撮るにはどうしたらよいか、動画もあったほうがよいかなど多くの提案がある会社は、インターネット広告の重要さを熟知しています。物件に合った適切な内容を提案できるなど、インターネット広告の内容が充実していながら、購入してくれる顧客を保有する不動産会社を選ぶとよいでしょう。
独自の売却戦略によってスムーズにマンションを売却した事例は、以下をご覧ください。
■参考事例:当社自慢の投資家さんへターゲットを絞りメルマガで成功した売却事例
複数社に査定依頼する
マンションを査定に出すときは、複数の不動産会社に依頼しましょう。査定額は不動産会社によって異なるため、1社のみに依頼をすると価格の妥当性を判断しづらいからです。また、それぞれの会社に査定額の根拠を説明してもらうことで、担当者の知識力や対応の良し悪し、コミュニケーションの取りやすさなどを比較できます。
なお、複数の会社にまとめて査定を依頼できる「一括査定サービス」もあります。効率よく相場を把握できるメリットがあるものの、「多数の不動産会社とやり取りをしなければならず、かえって労力がかかった」という声もあるため注意が必要です。依頼する不動産会社を3社ほどに限定する、電話ではなくメールでの対応を依頼するなどの対策を取るとよいでしょう。
収益物件の売却に強い不動産会社を選ぶ

収益物件のマンション売却では、投資家の方や賃貸経営を行うオーナー様が主な買主となります。居住用物件とは違って購入する方が限られるため、売却の難易度が高くなる傾向があります。スムーズに売却を進めるためには、収益物件の売却に強い不動産会社を選ぶことが大切です。
収益物件を売却するときは、「相続対策を行いたい」「節税目的で物件を購入したい」といったオーナー様・投資家の顧客とつながりを持つ不動産会社や賃貸管理会社に相談することをおすすめします。購入希望の方に直接メールで案内を送付するなど、独自の販売チャネルを持っているケースが多いです。
まとめ マンション売却はあらゆる注意点を把握しておこう

マンションの売却は、基本的に土地や戸建てなどと同様の手続きを踏んでいきます。しかし、マンションには特有の注意点があり、売却を成功させるには高い専門性が必要です。些細なミスが売却後のトラブルにつながる可能性もあるため、マンション売却に精通した不動産会社にサポートを依頼しましょう。
【リロの不動産】は、賃貸経営を行うオーナー様の豊富なネットワークがあります。収益物件の売却など数多くの実績がありますので、マンション売却の際は安心してご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。