アパート経営とマンション経営の違いとは? メリット・リスクと投資戦略
2024.12.08不動産投資を始める際、アパート経営とマンション経営という選択肢が浮かびますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。不動産投資で確実に成功するためには、この2つの投資手法を、正しい判断基準で選ぶことが重要です。
この記事では、アパート経営とマンション経営のメリットやリスク、そしてそれぞれに適した投資戦略について詳しく解説します。
不動産経営についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
【保存】不動産経営の種類や収支を学ぶ!リスク回避する成功の秘訣とは?
▼この記事の内容
●アパート経営とは、アパート一棟を建築・購入し、部屋を賃貸することで家賃収入を得る投資方法。
●マンション経営には一棟マンション経営と区分マンション経営の2つの方法がある。一棟マンション経営はマンション全体を建築・購入し、部屋を貸し出すことで家賃収入を得る方法。区分マンション経営はマンション一室に投資する方法。
●アパート経営とマンション経営の違いは、投資規模、利回り、収益の大きさ、融資額、減価償却期間などの項目において、それぞれメリット・デメリットがある。
●地主か投資家かによって、アパート・マンション経営への取り組みは異なり、地主のように所有している土地にアパート・マンションを新築するケース、投資家のように土地を購入してアパート・マンションを新築するケース、中古物件を土地込みで購入するケースのメリット・デメリットがある。
●アパート経営よりマンション経営のほうが事業規模が大きく、大きな資産を形成できるが、向いている方には以下の特徴がある。金融資産3,000万円以上所有している方、賃貸需要のある土地を所有している地主、相続財産があり相続税の節税を考えている方、マンション経営を事業として取り組める方。
目次
アパート経営・マンション経営とは何か
これから不動産投資を始めてみようと考えている方の中には、アパート経営やマンション経営がどんなものか、具体的にイメージできない方もいるでしょう。まずはこの2つの不動産投資の基本について解説します。
アパート経営とマンション経営についてそれぞれもっと詳しく知りたい場合は、以下2つの記事もご参照ください。
【アパート経営・賃貸経営入門】メリット・リスク・成功の秘訣をわかりやすく解説!
【マンション経営入門】失敗から学ぶマンション経営成功のポイント
アパート経営とは
アパート経営とは、アパート一棟を建築または購入し、その部屋を賃貸することで家賃収入を得るビジネスモデルです。この方法は「一棟もの」と呼ばれ、不動産投資の中でもポピュラーな選択肢の1つです。
アパート経営には、自身が所有する土地に新たにアパートを建てるほか、既存のアパートを購入したり建て替えたりして貸し出すことも含まれます。
アパート経営の最大の特徴は、複数の入居者様から同時に収入を得られる点にあります。例えば、一棟に複数の部屋があり、それぞれに入居者様がいる場合、すべての部屋から家賃が入ります。これにより、収入が安定しやすく、経営のリスクを分散できるのです。物件の管理や修繕、必要に応じてリフォームやリノベーションを行えば、資産価値を維持・向上させることもできます。
アパート経営は比較的低い初期投資で始められる点も特徴です。詳しくは記事の中で解説しますが、マンション経営と比較して資金の持ち出しを抑えられるため、比較的挑戦しやすい投資手法といえます。
マンション経営とは
マンション経営は、大きく分けて2つの形態があります。
1つ目は「一棟マンション経営」です。マンション全体を建築または購入し、部屋を貸し出すことで家賃収入を得るというものです。この形態では、オーナー様自身がマンション全体の管理を行うことや、入居者様が複数いるため安定した収入が期待できる点が特徴として挙げられます。
もう1つの形態は「区分マンション経営」で、マンション一室に投資する方法です。この場合、マンションの管理組合と管理会社が全体の管理を行うのが一般的です。区分所有は、マンション一棟を所有する一棟マンション経営と比較して、初期投資が少なくすむため、初心者でも取り組みやすい投資手法として知られています。
アパートとマンションの違い
アパートとマンションのいずれにも法的な定義は存在せず、多くは建物の構造と規模に基づいて区別されます。マンションは鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)など、強度の高い素材で建てられており、建物の高さは3階以上というのが一般的です。一方で、アパートは木造や軽量鉄骨造で、通常は2階または3階建てといった小規模な共同住宅を指します。
マンションは強度の強い素材が使用されるため、階数の多い高層建築が可能です。そのため、広い土地を確保しにくい都市部において、土地を効率的に活用するのに役立っているといえます。逆に、アパートは比較的低コストでの建設が可能なため、手軽に投資を始めたい方に人気があります。
一見同じように見えるアパートとマンションですが、これらの違いを理解しておくと、不動産投資を始める際に「アパートとマンションのどちらが自分に合った投資先なのか」を見極めるための判断材料になります。
アパート経営とマンション経営の違い
アパートとマンションの違いがわかったところで、実際に不動産投資をスタートさせる場合はどのような基準で選べばいいのでしょうか。この2つの投資手法には、一棟を購入するか1部屋のみ所有するか以外にもさまざまな違いがあります。ここではアパート経営とマンション経営の違いについて、16のポイントをピックアップして解説します。
不動産投資初心者の方には、以下の記事も参考になりますので、ぜひあわせてご活用ください。
不動産オーナーになる方法!仕事内容や収入、メリット・リスク、注意を解説
【事例付き】地主のアパート経営が資産保全・税金対策に有利な理由と注意点を解説
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投資規模
一般的に、マンション経営はアパート経営に比べて投資規模、つまり物件の購入価格が大きくなる傾向があります。
建美家が全国の住宅系収益不動産を対象に行った2024年7月~9月期の調査によると、アパートの価格が約7,789万円であるのに対し、マンションは約1億8,161万円と、2倍以上の価格となっています。
マンションは1億円を超えることが多いため、マンション投資をスタートさせるのであれば、多額の資金を準備する必要があります。一方アパートは、一棟マンション経営と比較すれば少ない金額で、不動産投資を始められる点が大きな魅力です。
アパートの価格が低いのは、木造または軽量鉄骨構造が主流であり、工事費の坪単価が鉄筋コンクリート造のマンションに比べて安いのが理由です。構造上建築規模も比較的小さいアパートは、初期投資が抑えられ、資金に余裕がない方でも始めやすいといえます。
出典:健美家 不動産投資 四半期レポート <2024年7月~9月期>
利回り
アパート経営とマンション経営を比較すると、利回りの面ではアパートが有利だと言われています。これはアパートの物件価格が低く、投資額に対する収益率が高くなる傾向があるためです。
健美家による2024年7月~9月期の不動産投資四半期レポートでは、アパートの利回りは8.19%、マンションは7.70%と報告されており、このデータからもアパートの利回りが優れていることが分かります。
先述のとおり、マンションは一室あたりの収入がアパートより高い傾向があるため、総収入はマンションの方が多くなるのが一般的です。アパート投資は初期投資額が少なく、リスクが低めな選択肢として評価されています。
しかし、アパートは物件購入価格が抑えられるため、結果的に利回りが高くなる強みを持っています。アパートは賃料がやや低い分、一室あたりの収入は少なくなりますが、低コストの物件購入により、最終的に高い利回りを実現できるということです。
出典:健美家 不動産投資 四半期レポート <2024年7月~9月期>
収益の大きさ
マンション経営とアパート経営を比べると、収益の大きさにおいて明確な違いがあります。マンションはアパートに比べて賃料が高いため、オーナーの手元に入る収入も多くなるという点が、マンション経営の大きな魅力です。
2024年8月にアットホームが行った調査によると、東京23区の30m2のマンションの平均賃料は9万3,984円であるのに対し、アパートは6万6,129円となっており、マンションの賃料がアパートの約1.5倍であることが確認できます。以下の表にあるように、この1.5倍の差はどの面積帯でも一貫して見られます。
物件種別/貸室面積 | ~30m2 | 30m2~50m2 | 50m2~70m2 |
マンション月額賃料 | 93,984円 | 151,811円 | 225,541円 |
アパート月額賃料 | 66,129円 | 107,972円 | 153,515円 |
出典:2024年8月 全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向
このように、マンションはアパートに比べて高い賃料収入が得られるため、投資の収益性において優位性を持っているといえます。
融資額
マンション投資は一般的に物件の規模が大きいため、金融機関からの融資額も自然と高額になる傾向があります。これは、マンションが高価な不動産であり、投資対象としても資産価値を高めやすい特徴を持つからです。
マンション経営開始のために金融機関から融資を受ける際には、高い属性が前提となり、借り手の信用力や保有資産の提示が求められます。特に、安定した収入や健全な財務状況が重視され、これらの条件をクリアすることで、より多くの融資を得られる可能性が高まります。
一方、アパート経営では、物件の規模が比較的小さいため、必要な融資額も少額に抑えられるのが一般的です。
不動産投資ローンを利用して収益物件を購入する場合、物件の資産性の高さが融資額に影響します。また、金利上昇リスクがともなうという点では共通しています。特に、変動金利型の融資を利用する場合、金利の変動によって返済額が増えるリスクがあり、融資額の大きいマンションのほうが変動幅も大きくなるという点は念頭に置く必要があります。
減価償却期間
マンションはアパートに比べて減価償却を長期間にわたって計上でき、長期的に見れば節税効果を期待できるのが特徴です。これは、アパートとマンションでは建物の躯体構造が異なるため、法定耐用年数にも違いがあるためです。
マンションはRC造(鉄筋コンクリート造)であり、法定耐用年数が47年とされています。一方、アパートが木造の場合、法定耐用年数は22年です。そのため、マンションの方が減価償却期間が長く、長期的な投資に適しているといえます。
ただし、アパートは減価償却期間が短い分、短期的に減価償却費を大きく計上できるという点をメリットとする考え方もあります。法定耐用年数を過ぎた中古アパートを購入する場合、単年で減価償却費を大きく取れるため、節税効果を短期で大きく得られるのです。
減価償却が長ければ・短ければいいというわけではなく、どれくらいの期間を見て不動産投資を行うかによって選択することが重要です。
建てやすさ
所有する土地に新たに収益物件を建てる際には、建てやすさにも注目する必要があります。アパート経営とマンション経営の大きな違いの1つが、この建てやすさであり、結論としてはアパートの方が建てやすいといえます。
アパートは一般的に2階建て以下の構造であるため、多くの地域で建築が可能です。特に、低層住宅専用地域や第一種低層住居専用地域などでは、アパートの建設が許可されることが多く、適用される規制も比較的緩やかです。
一方、マンションは3階建て以上の構造が多いため、建設できる地域が限られます。例えば、準住居地域や第二種住居地域ではマンションの建設が難しいことがあり、商業地域や都市計画区域内でも、用途地域によっては高層建築の規制が厳しい場合もあります。そのため、3階建て以上のマンションが建てられないことも少なくありません。
アパートは用途地域や規制による制限を受けにくく、マンションと比較して建てやすいため、新しく収益物件を建てて不動産投資を行う方にとって人気の選択肢となっています。
希少性
マンションは物件自体の希少性が高い特徴があります。これは、マンションが建てられるのは交通の便が良く、生活の利便性が高い地域に建てられることが多いというのが理由の1つです。結果として、アパートと比較してマンションの供給は過剰になりにくく、空室リスクも低い傾向にあります。
先述したとおり、マンションを建設できるのは限られた用途地域のみというのも、マンションの希少価値の高さを後押ししています。希少性の高い不動産は物件価格が下がりにくく、資産価値の向上も期待できます。マンションを建てられる土地を所有しているのであれば、アパート経営よりもマンション経営を選ぶことで、希少性の面で有利に働くでしょう。
空室リスク
空室リスクは、不動産経営を考える上で重要な要素の1つです。一般的に、アパート経営はマンション経営よりも空室リスクが高い傾向があります。アパートは、駅からの距離が遠い場所に建設されることが多く、需要が低い地域では入居者様の確保が難しくなるというのが理由です。
一方で、マンションは駅近に立地していることが多く、アクセスの良さが入居者様にとって大きな魅力となります。また、マンションは耐震性やセキュリティ面で信頼性が高いことから、これが入居者様の安心感を高め、結果として空室リスクを低減させる要因となります。つまり、立地と建物の構造の違いが、空室リスクに大きく影響を与えているのです。
空室を抑えるためには、『4つの空室対策』が有効です。具体的には、①入居者募集対応、②仲介対応、③管理対応(入居者管理/建物管理)、④設備・工事対応が挙げられます。これらを適切に行うことで、空室リスクを抑え、安定した収益を確保できます。
詳しい空室対策の手法については、以下の記事をご参照ください。
空室の原因を解決する『4つの空室対策』とは?14種類の手法を徹底解説!
家賃下落リスク
家賃下落リスクとは、不動産を運営している中で家賃が下がり、収益が減少する可能性のことを指します。特に、アパート経営はマンション経営に比べて家賃下落リスクが高いとされています。
アパートは木造や軽量鉄骨造が多く、築年数が経つと老朽化が目立ちやすくなります。老朽化が進むにつれて耐震性やセキュリティが不安視されるようになり、入居者様が減ることで空室が増え、家賃を下げざるを得なくなるケースは少なくありません。
一方、マンションは鉄筋コンクリート造で、老朽化が目立ちにくく、耐震性やセキュリティが充実しています。そのため空室が発生しにくく、家賃が下がるリスクも低い傾向があります。
また、アパートは比較的自由に建設できるため、特定の地域に新築アパートが増えることで競争が激化し、入居者様を確保するために家賃を下げるケースもあります。これらの要因から、マンション経営よりもアパート経営のほうが、家賃下落リスクは高いといえるのです。
家賃滞納リスク・入居者信用リスク
不動産投資において、家賃滞納リスクは深刻なものです。オーナー様にとっては、滞納期間中家賃収入が途絶えるばかりか、ほかの入居者様に入ってもらうこともできず、建物明け渡し訴訟の準備などの手間がかかるものとなります。
入居者信用リスクとは、賃貸経営において入居者様が契約違反行為を行ったり、ほかの入居者様とトラブルを起こしたりするリスクです。一般的にマンション経営よりもアパート経営のほうが、入居者信用リスクは高い傾向があります。
アパートの家賃は比較的低めであるため、入居者様の選定基準が緩くなることが多く、その結果、信用状態が不安定な入居者様が集まりやすくなる傾向にあります。その結果、家賃滞納やトラブルが起こりやすいというリスクが高まるのです。
一方、マンション経営では家賃が高めに設定されていることが多く、入居者様には安定した職業や高い収入が求められます。入居者様の信用状態を厳しく審査する必要があるため、結果的に家賃滞納リスク・入居者信用リスクがアパートに比べて低くなります。
このように、家賃価格帯によって入居者信用リスクは異なり、マンション経営を行ったほうが家賃滞納や入居者間のトラブルなどのリスクを軽減できるといえるでしょう。
また入居者募集時に審査をしても、入居者様の事情で予期せぬ事態に発展することもあります。入居者対応に優れた管理会社に依頼することも重要です。
家賃滞納についての詳しい事例については、以下をご参照ください。
耐久性
マンションは耐久性の面で、アパートよりも優れています。マンションはRC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)で建てられており、外壁にはタイルや石などの丈夫な建材が使われるため、外観が劣化しにくく、長くきれいな状態を保てます。
一方、アパートは木造や軽量鉄骨造が多く、経年劣化が進みやすい特徴があります。そのため、長期的な投資の安全性を考えると、マンションの方が有利です。
また、「アパートよりもマンションのほうが頑丈」という一般的なイメージから、マンションのほうが入居者様に安心感を与えられるというのも注目すべきポイントです。実際のところは、現行の耐震基準に従って新築すれば、アパートとマンションでは耐震性の面では違いはありません。しかし、入居者様のイメージとしてはマンションのほうが安全と考えることが多いため、空室が発生しにくいといえるのです。
上記の理由から、不動産投資という長期的な視点で考えると、マンション経営のほうが安定した収益を得られる選択肢となりえます。
セキュリティ
マンションはセキュリティ面でアパートよりも優れています。多くのマンションにはオートロックが標準装備されており、外部からの不審者の侵入を防ぐことで、入居者様に高い安心感を与えてくれます。また、防犯カメラが設置されている物件や管理人が常駐している物件ではより防犯性が高く、賃貸の需要も高い傾向にあります。
一方、アパートにはオートロックをはじめとした防犯設備が備わっていないことも少なくなく、セキュリティに対する不安感は否めません。そのため、アパート経営を考える際には防犯対策を講じて、入居者様が安心して暮らせる環境を整えることが求められます。どのような設備を導入するか、どの程度のセキュリティを設けるかは、立地や周辺環境を考慮して決めましょう。
管理のしやすさ
管理のしやすさは、アパート経営の方がマンション経営よりも手軽です。一般的にアパートは戸数が少ないため、10戸程度であればオーナー様自身が専任で自主管理するケースもございます。
一方、マンションは100戸近い規模になることも多く、自主管理を行うことは現実的ではないため、賃貸管理会社への委託が必要となります。業務量が膨大で、オーナー様の手間や時間が大幅にかかるためです。
管理のしやすさという点では、アパート経営の方が分があるといえます。マンション経営を考える場合は、事前に信頼できる賃貸管理会社を選び、スムーズな運営ができるように計画を立てることが重要です。
また、アパート経営であっても戸数の有無に関わらず、複数棟所有する場合でも、賃貸管理会社への管理委託を考えるようにしましょう。出口戦略や資産性の維持、入居者募集や空室対策に優れた物件にすることで、空室リスクを軽減できるでしょう。
維持管理コスト
マンション経営はアパート経営に比べて維持管理コストが高くなる傾向があります。これは、マンションの方が規模が大きく、設備や管理にかかる費用が増えるためです。具体的には、エレベーターの保守メンテナンスや電気代、管理人が常駐する場合の人件費などが挙げられ、これらが経費を圧迫する要因になります。さらに給水ポンプや受水槽などの設備がある場合、それらの維持管理費用も発生します。
一方、アパート経営ではこうした設備が少なく、規模も小さいため、維持管理にかかるコストは比較的低めです。物件の維持管理コストは、入居者様が快適に暮らせる環境を整えるために必要な支出であるため、もしマンション経営を選択するのであれば、維持管理コストを見込んだ上での収支計画が重要となります。
大規模修繕費
マンション経営では、アパート経営に比べて大規模修繕費が高額になる傾向があります。これはマンションの規模や構造が関係しています。
マンションは10~12年ごとに、屋上防水や外壁塗装などの修繕が必要となります。また、エレベーターが設置されている場合、その保守費用に加え、大規模修繕時にも追加のコストがかかるため、経済的な負担が大きくなることが予想されます。
そのため、マンション経営を考える際には修繕費用を計画に入れておくほか、入居者募集の観点を踏まえたうえで、小規模マンションではエレベーターを設置しない選択肢も含めて検討しましょう。
大規模修繕については、以下の記事もご参照ください。
大規模修繕工事はアパート・マンションになぜ必要?工事内容と費用を把握【総集編】
建て替えのしやすさ
不動産投資を始める際には、物件の購入だけでなく、将来的な出口戦略も含めて計画することが重要です。特に、建て替えのしやすさが投資の成功を左右する要素の1つとなります。
アパートは戸数が少なく、解体費用も比較的低いため、スムーズに建て替えを行える点が大きな利点です。そのため、オーナー様が既存物件を売却する、更地にして売却する、解体して自宅を建てるといった柔軟な出口戦略が取りやすいことが特徴として挙げられます。
一方で、マンションの建て替えは多くの戸数が絡むため、全居住者の同意を得て退去してもらう必要があります。解体費用も高額で、特に大規模なマンションでは建て替えにかかるコストも膨大になるため、自由に建て替えるのは難しいというのが実情です。
マンション経営を検討する際には、将来的な建て替えの必要性なども含めて計画を立てることが重要です。
立て替えについての詳しい事例については、以下をご参照ください。
地主か投資家かによるアパート・マンション経営の違い
アパート経営・マンション経営をどのように始めるかは、すでに土地を所有している地主か、所有していない投資家かによっても異なります。どのような角度から不動産投資を始めると有利なのか、それぞれのケースについて見ていきましょう。
賃貸経営を始めようと考えている地主の方には、以下の記事も参考になります。
【事例付き】地主さんが行う賃貸経営での資産の増やし方とトラブル回避術
【地主】所有している土地にアパート・マンションを新築する
地主の場合、すでに所有している土地にアパートやマンションを新築するというのが、一般的な投資戦略です。これは土地活用の一環であり、土地の購入費用がかからないため、初期投資を大幅に抑えられるというメリットがあります。
相続などで手に入れた土地は、所有しているだけでも固定資産税・都市計画税が発生して家計の負担になります。アパートを建設すると家賃収入による安定した収入につながる上、「住宅用地の特例」によって固定資産税の優遇措置が受けられるため、節税効果も期待できます。
ただし、地主としてアパート経営を始める際には、賃貸需要を十分に調査することが重要です。例えば、賃貸需要が低い地域では、思ったような収益が得られない可能性があります。また、土地の形状や用途地域の規制によっては、計画どおりに建物を建てられないことも考えられます。
地主がアパート・マンション経営を行う場合、事前の市場調査と戦略的な計画が成功の鍵を握ると言っても過言ではありません。所有地を最大限に活用し、安定した家賃収入を得るためには、賃貸市場の需要に基づいた慎重な経営判断を行いましょう。
【投資家】土地を購入してアパート・マンションを新築する
土地を購入して新築する投資方法の最大のメリットは、土地の選定や建物の設計を自由に決められることにあります。賃貸需要の高い立地を選ぶことで、高い収益を安定して得られる可能性が期待できます。
ただし、初期投資が高額になる点には注意が必要です。土地の購入費用に加えて建築費もかかるため、高額な初期投資を回収するために、安定した収益を維持する必要があります。入居率の維持を考慮すると、特に不動産投資初心者にとってはリスクの大きい投資方法と言わざるを得ません。
土地の購入や建物の建築には多くの手続きがともないます。土地の選定から売買契約、建築業者との契約や施工まで、多くの時間と労力がかかるため、信頼のできる不動産会社をパートナーにするだけでなく、投資家自身も不動産の知識を身につける必要があります。
とはいえ、自分で理想の土地を選び、思い描いた建物を建てたいと考える投資家や信頼できるパートナーがいる方には、非常におすすめです。計画どおりに経営が成功した際には、大きな達成感を得られるでしょう。
【投資家】中古物件を土地込みで購入する
投資家がアパート経営・マンション経営を始めるには、中古物件を土地込みで購入する方法があります。この方法では不動産投資を始める際にかかる初期費用を抑えつつ、早く運用を開始できる点が大きな魅力です。新築アパートのように土地を探したり物件を建てたりする必要がなく、物件がすでに存在しているため、購入後すぐに賃貸経営を始められます。
特に、オーナーチェンジ物件を購入すると、既存の入居者様からの家賃収入をすぐに得ることができ、キャッシュフローが安定しやすいのがメリットです。オーナーチェンジ物件とは、現在の入居者様が住んでいる状態で売却される物件のことです。単に物件の所有者が変わるだけなので、入居者ゼロの状態からスタートする新築アパートと比較すると、入居者様が決まるまでの家賃収入の不安は少なくなります。
一方で、中古物件にはリスクもあります。築年数が古い物件では、修繕費が高額になる可能性があり、購入前に物件の状態や老朽化具合を確認しておく必要があります。既存の物件を購入するため、新築物件のように自由に設計や設備を決められない点にも注意が必要です。
中古物件の購入はコスト面でのメリットが大きい一方で、物件の状態や経営の自由度に制約があるため、事前の調査を十分に行うことが成功の鍵となります。
アパート一棟買い・マンション一棟買いを考えている方は、以下の記事も参照ください。
一棟アパート購入から始める不動産投資!成功者が確認する指標と利回りも解説
アパート一棟買い・マンション一棟買いを数字で判断!一棟投資成功に向けたポイントを解説
アパート経営よりマンション経営に向いている方とは
アパート経営よりもマンション経営のほうが多くの利益を得られるため、できればマンション経営にチャレンジしたいという方は少なくありません。
しかし、マンション経営は投資規模が大きい分、向いている方と向いていない方がいるというのも事実。マンション経営に向いている方とは、どのような方なのでしょうか。
金融資産3,000万円以上所有している方
マンション経営に向いている方の1つ目の条件は、3,000万円以上の金融資産を保有していることです。マンション経営は初期費用が高額であるため、開始するには一定の資産が必要となります。マンションの一棟買いを考える場合、購入価格の10~30%程度を自己資金として準備する必要があります。仮に1億円の中古マンションを購入するなら、1,000万~3,000万円の自己資金が求められるのが一般的です。
融資審査では資産規模が影響するため、十分な金融資産を確保しておくことが重要です。3,000万円以上の金融資産があれば、経営に必要な資金を安定して確保できるため、融資の審査を有利に進められる可能性が高まります。また、購入後にかかる修繕費や予想外の支出にも対応できる点も有利な点です。
マンション経営を成功させるためには、高額な初期投資に対応できる金融資産が重要な要素となります。もし3,000万円以上の資産を保有しているのであれば、マンション経営を真剣に検討する価値があるでしょう。
地主で賃貸需要のある土地を所有している方
賃貸需要のある土地を所有している地主も、マンション経営に向いています。すでに土地を持っていることで、土地購入にかかるコストを削減できるため、初期投資を抑えられることが主な理由です。所有する土地を活用することで、資産の有効利用ができ、長期的な家賃収入が見込めます。
特に、所有しているのが更地の場合、マンションを建てることで固定資産税や都市計画税が軽減されるため、節税効果も期待できます。単に土地を所有しているよりも、マンションを建設して賃貸に出すことで、税金の負担を軽減しつつ、安定した収益を確保することが可能です。
ただし、マンションを建てる際には、その土地に賃貸需要があるかどうかを事前に調査することが欠かせません。需要が少ない地域では、空室が増えて収益性が低下するリスクがあるためです。土地の立地条件や市場の動向をしっかりと確認し、マンション経営に適した土地かどうかを冷静に判断することが成功のポイントとなります。
近年では大都市近郊の農地を、土地活用されるかたも多くいらっしゃいます。生産緑地の活用については以下の記事が参考になります。
生産緑地の有効活用方法とは? アパート・マンション経営の注意点
相続財産があり、相続税の節税を考えている方
相続税の節税を考えている方にも、マンション経営は非常におすすめの投資手法です。財産は現金のまま相続するよりも、不動産として所有することで、相続税の算出基準となる相続税評価額が低くなり、税負担が減るためです。
土地にマンションを建てて賃貸経営を行うと、「貸家建付地」としての評価が適用され、通常の土地よりも評価額が下がります。また、建物の評価額も建築費の約60%に抑えられるうえに、借家権割合30%の控除が適用されるため、さらに評価額が減少します。このような税制上の優遇を受けられることから、現金で資産を保有するよりもマンションを所有するほうが、相続税の課税対象額を減らすことが可能といえます。
さらに、マンション建設時に借入を行った場合、その借入金が負債として相続財産から控除され、相続税の評価額がさらに下がります。相続税の総額を抑える効果が期待できるため、資産を有効に活用したい方にとって、マンション経営は有力な選択肢となります。
マンション経営を事業として取り組める方
マンション経営に向いているのは、自分を単なる投資家ではなくビジネスオーナーとしてとらえ、マンション経営を事業として真摯に取り組める方です。不動産投資には「投資」という名が付いていますが、実際は「事業」としての一面が強く、経営者としての判断や計画が日々求められます。
例えば、マンションで空室が増えた場合どんな対策を取るべきか、修繕が必要になった際にどれだけの費用をかけるか、といった判断をしなければなりません。収益に直結する項目以外の内容も含めて、綿密に経営計画を立て、将来の出費に備えることも重要です。
マンション経営は購入して終わりではなく、経営者としての責任を持ち続け、学び続ける姿勢が求められます。経営者としての意識を持ち、自己成長を図りながら経営スキルを磨き続けられる方や、トレンドを見極め日々勉強を続けられる方が、マンション経営に向いているといえるでしょう。
まとめ アパート・マンション経営では信頼できる賃貸管理会社をパートナーに
アパート経営とマンション経営のどちらを選ぶかは、どれだけの利益を得たいかだけでなく、自己資金の状況や所有している土地の条件、どのように物件を管理するかも重要な判断基準になります。
また、土地をすでに持っているかどうかによっても始め方が異なるため、自分に合った投資手法を見つけることが大切です。 賃貸経営を成功させるには、実績があり信頼できる賃貸管理会社をパートナーにすることが不可欠です。
【リロの不動産】は、物件購入から賃貸管理、売却、相続対策まで幅広く対応しており、はじめて不動産投資を行う方でも安心して着手できるサポート体制をご用意しています。アパート・マンション経営を始めたい方は、ぜひ【リロの不動産】にご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。