【事例付】管理委託契約とは? 委託管理と賃貸管理会社の選定方法!
2025.01.05賃貸経営において、管理委託契約とは具体的にどのような意味を持つのでしょうか。アパートやマンションなどの賃貸不動産は、オーナー様が自ら管理を行うことも可能です。しかし、実際には賃貸管理の専門会社に管理を委託するケースが少なくありません。
ここでは管理委託契約の基本や賃貸管理の重要性、管理委託契約やサブリース契約のメリット・デメリットについて詳しく解説します。賃貸管理をめぐるトラブルの事例も取り上げますので、参考にしてください。
なお、賃貸管理会社の選び方については、以下の記事を参照してください。
【必読】賃貸管理会社の選び方!運用益と出口戦略を見据える賃貸管理
賃貸経営を成功に導く不動産管理とは? 信頼できる管理会社の選び方を解説
不動産は「自主管理」と「管理委託」のどっち?メリット・デメリット
賃貸管理会社の選定基準は手数料の安さか、収益性を高める管理か
賃貸経営サポートとは? 不動産投資の成功を左右する管理会社の実力
賃貸管理会社の探し方と6つのポイント!賃貸経営の収支を握る管理とは
▼この記事の内容
●管理委託契約とは、不動産の賃貸管理業務を専門の賃貸管理会社に委託するための契約を指す。
●賃貸不動産の運用では賃貸管理が重要だとされるが、オーナー様は入居者様に安心して生活してもらえる環境を提供する義務がある。管理が行き届き、入居者様の顧客満足度が高い物件は、テナントリテンションを実現できる。
●賃貸仲介には一般媒介と専任媒介があるが、賃貸仲介における専任媒介は「代理」という取引態様を指す。
●管理委託契約には一般管理契約とサブリース契約がある。サブリース契約は空室リスクや家賃滞納リスクをヘッジできるのがメリットだが、サブリース会社の家賃減額請求やオーナー様からの解約の制限などリスクもある。
●管理委託契約においては、オーナー様と賃貸管理会社との間でトラブルが発生する可能性があるので、事例をふまえ、対策を考える必要がある。
目次
管理委託契約の基本
アパートやマンションなどの賃貸不動産を経営するためには、建物管理と入居者管理が欠かせません。その管理を専門の会社に任せるのが管理委託です。まずは管理委託契約とは何か、基本から押さえていきましょう。
管理委託契約とは
管理委託契約とは、不動産の賃貸管理業務を専門の賃貸管理会社に委託するための契約です。アパートやマンションなどの賃貸不動産は、オーナー様が自分で管理もできます。オーナー様が自分で管理をすることは自主管理といい、管理に関わる費用を節約できたり、入居者様と直接触れあう機会が持てたりするのがメリットになります。
メンテナンスの作業を依頼できる地域の会社に顔が利くのなら、建物の管理も困らないかもしれません。ただ、賃貸管理業務は建物の維持管理はもちろん、空室が出た際に新たに入居者様を募集したり、退去時の手続きを行ったり、原状回復工事を手配したりなど、多岐にわたります。
クレームへの対応や、家賃の滞納が発生した際の督促・集金も行わなければなりません。オーナー様が自主管理をするメリットもありますが、すべてをカバーするには労力がかかります。そこで、多くは賃貸管理を専門の賃貸管理会社に委託しています。業務を専門の会社に委託する際に交わすのが管理委託契約です。
雛形となる国土交通省の「賃貸住宅標準管理委託契約書」
賃貸不動産の管理を専門の会社に委託する際は、オーナー様と賃貸管理会社の間で契約書を交わします。書き方は明確に決められているわけではありませんが、委託したい業務など、委託するにあたって必要な内容が記載されていなければなりません。
オーナー様が賃貸管理会社にどこまで管理を委託したいのかをはっきりさせていないと、委託したつもりの業務が、実際には対象に入っていなかったという事態も考えられます。また、途中で賃貸管理会社を変更したいと思ったとき、中途解約で思った以上の違約金を請求されることがあるかもしれません。
そのため、国土交通省では賃貸管理業務の透明性と公平性を確保し、オーナー様と賃貸管理会社のトラブルを未然に防ぐことを目的として「賃貸住宅標準管理委託契約書」を公表しています。必ず国土交通省が公表した書式を用いなければならないわけではありませんが、賃貸管理会社の多くはこれを雛形として、オーナー様と管理委託契約を結んでいます。
アパート・マンションの賃貸管理はなぜ重要なのか
アパートやマンションなどの賃貸不動産では賃貸管理が重要だといわれますが、それはなぜでしょうか。賃貸管理が重要な理由として、オーナー様の法的義務とテナントリテンションが求められることの2点を詳しく掘り下げます。
オーナー様の法的義務
賃貸経営では、アパートやマンションなどの物件を入居者様に賃貸することで経営が成り立っています。そのため、入居者様には安心して生活してもらえる環境を提供しなければなりません。賃貸不動産を適切な状態に保つためには、物件の管理を適切に行う必要があります。
民法601条では「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる」とされています。
つまり、オーナー様は入居者様から家賃を得るのと引き換えに、住宅の使用収益をさせる義務があるのです。また、民法606条では「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」とも定められています。オーナー様には入居者様の使用・収益のための修繕義務も求められており、こちらも法的義務を負っているのです。
出典:e-Gov 民法
テナントリテンションが求められる
「テナントリテンション」とは、入居者様の保持という意味です。賃貸経営は入居者様から得る家賃で成り立っています。長期間賃貸経営を行っていれば、入居者様が退去するタイミングはあるはずです。すぐに次の入居者様が決まれば問題はありませんが、空室が埋まらない期間が長引けば賃貸経営に影響します。
日常の管理が行き届き、入居者様の顧客満足度が高い物件ならば、すでに入居している方にとっては「長く住み続けていたい」と思うものです。空室が出た際も、魅力があれば埋まりやすいでしょう。逆に、建物の保全や入居者様への対応が適切に行われていない物件では魅力が低下し、空室リスクが高まります。
賃貸経営を安定させるためにも、空室は最小限に抑える必要があります。空室対策を万全にしておくためにも、管理業務は重要なのです。
空室対策に関する記事と事例については、以下を参照してください。
空室の原因を解決する『4つの空室対策』とは?14種類の手法を徹底解説!
入居者募集のコツとは?契約形態別のメリット・デメリットを解説!
建物管理による資産価値の維持・向上
賃貸管理の中でも、建物・設備を物理的に保全するための業務が建物管理です。アパートやマンションなどの賃貸不動産は入居者様にとって生活の場であるとともに、オーナー様にとっては長期的に保有できる大切な資産でもあります。賃貸不動産を長く良好な状態で保つためには、建物や設備のメンテナンスが重要です。
アパートやマンションは日常的な清掃がしっかりできていたり、故障や不具合が出たとき、素早く修繕に対応してくれたりするだけでも、管理が行き届いている印象を与えるでしょう。ただ、築年数の経過とともに、建物・設備が劣化するのは避けられません。
そのため、定期的なメンテナンスや大規模修繕を適切に実施し、資産価値の維持・向上につなげることが大事なのです。建物や設備の物理的な保全に努めていれば、資産価値を保つことができます。また、建物管理をしっかり行って入居率を高めておけば、利回りを高く維持でき、収益還元法による物件価格を高めておくことができます。
賃貸仲介の契約の種類
賃貸管理会社の中には、仲介業務(賃貸仲介)も賃貸管理業務として取り組んでいるところがあります。
仲介業務を依頼する際は、不動産仲介会社(宅建業者)との間で媒介契約を結ぶのが一般的です。媒介契約には複数の種類があるため、それぞれ特徴を解説します。
一般媒介
不動産の仲介業務では、売買契約や賃貸借契約がスムーズに進められるよう、売主と買主、貸主と買主の間に不動産仲介会社(宅地建物取引業者)が入って取引の成立に力を尽くします。不動産仲介会社が宅地建物取引業法に基づき、仲介を行うことを「媒介」と呼びます。
不動産仲介会社に入居者募集を依頼するためには媒介契約を結びます。賃貸仲介で通常取られている契約形態は「一般媒介」です。一般媒介にはどのような特徴があるのか、以下でメリット・デメリットを解説します。
一般媒介のメリット
一般媒介では、複数の不動産仲介会社に依頼できるため、入居者様が早く決まる可能性があるのは大きなメリットです。仲介を依頼する不動産仲介会社の数にも、特に制限はありません。
複数の不動産仲介会社に募集の依頼をすれば、それだけ多くの店舗に物件の情報が出ることになります。賃貸物件を探している方の目に触れる機会も増えるため、単純な確率で考えても入居者様が決まりやすいということです。不動産仲介会社の間でも入居者様の獲得に向けて競争が生まれ、早めに希望者が現われる可能性も高まるでしょう。
自己発見取引にも制限がないため、オーナー様の知り合いなどで入居したいという方が現われた場合は、仲介手数料の負担をせずに入居者様を決めることも可能です。
一般媒介のデメリット
複数の不動産仲介会社に依頼できるのは確かにメリットですが、あまり多く依頼しすぎると、連絡を取るのが煩わしくなることもあります。
また、一般媒介では、不動産仲介会社が依頼主に対して状況を報告する義務はありません。募集を出してからの反応はどうか、興味を示してくれる方がいるのかどうかなど、状況を知りたいと思っても、こまめに連絡をもらえない可能性があります。そのため、状況の確認も、不動産仲介会社が多ければ大変な作業です。
不動産仲介会社にとっては、自社にだけに依頼されているわけではないこともあり、入居者募集に対して本気で取り組まないケースもあります。
専任媒介
不動産売買の媒介では、宅建業法で一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類が決められていますが、不動産賃貸の媒介ではそのような規定はありません。そのため先述したように、不動産賃貸の媒介では一般媒介の契約を締結し、複数の不動産仲介会社に入居者募集の依頼をするのがスタンダードになっています。
ただし、不動産賃貸の仲介でも、専任媒介にあたるような仕組みがないわけではありません。不動産の取引態様には、媒介のほかに「代理」があります。取引態様は宅建業者が不動産の取引に対してどのように関与するのか、その立場を示す用語です。
不動産の広告を出す際は、不動産仲介会社がどの立場で物件に関わるのか、明示する義務があります。賃貸仲介においては、厳密にいえば「専任媒介」はないものの、商習慣として代理を専任媒介と呼んでいます。
代理は貸主から権限を与えられ、代理人として借主との間で契約を成立させる取引態様です。一方で、媒介では不動産仲介会社は貸主と借主の間に入って契約を成立させる役割を担う立場であり、取引自体はあくまでも貸主と借主が直接行います。どの取引態様で不動産仲介会社に依頼するのかで、仲介手数料の扱いが違ってくるため注意が必要です。
専任媒介のメリット
一般媒介では複数の不動産仲介会社で常に入居者募集を行っているため、他社が先に入居者様を決めてしまうかもしれません。そうなれば、頑張って入居者募集のための活動を行ったところで、無駄な努力に終わることも考えられます。
一方、専任媒介では、対象となる不動産物件に関わる不動産仲介会社は1社だけです。不動産仲介会社側からすれば、入居者様を決めれば確実に自社が仲介手数料を得られるため、入居者募集に本気で取り組んでくれる可能性が高まります。入居者様を早く決めるための提案も、積極的に出してくれるでしょう。
専任媒介にあたる代理の取引態様で賃貸の取引が行われる場合、基本的に入居の審査から賃貸借契約の締結まで、不動産仲介会社がオーナー様に代わって行ってくれます。不動産仲介会社とこまめに連絡する手間も省け、すべて任せられるのが大きなメリットです。不動産仲介会社が多くの決定権を有していることもあり、契約も比較的スムーズに進みやすいでしょう。
専任媒介のデメリット
入居者募集を1社だけに依頼するのは、メリットがあればデメリットもあります。客付けが得意な不動産仲介会社であれば、早い時期に空室が埋められる可能性も高いでしょう。しかし、能力のないところだと、なかなか入居者様が決まらない事態も考えられます。
客付けは依頼された不動産仲介会社の実力に依存するところがあるため、選択を間違えると空室リスクが高まります。1社しか依頼していないにもかかわらず、なかなか入居者様が決まらないようでは、賃貸経営にも差し支えるでしょう。
入居者様が決まらない状況が頻繁に起こると、信頼して任せることができなくなるかもしれません。賃貸経営を安定して継続するためには、客付けに実績のあるところを見極めて依頼することが重要です。
管理委託契約の管理方式の種類
管理委託契約では、主に「一般管理契約」と「サブリース契約」の2種類があります。どちらもメリット・デメリットの両方があるため、特徴を把握しておくことが大切です。次に一般管理契約とサブリース契約の契約内容、およびメリット・デメリットを詳しく解説します。
一般管理契約
一般管理契約は、オーナー様が保有しているアパートやマンションの管理を賃貸管理会社に委託する方法です。管理委託契約としては通常の方法で、多くのオーナー様がこの一般管理契約を結んでいます。
一般管理契約を締結すると、賃貸管理会社は日常的な清掃や定期的なメンテナンスなどの建物管理、入居者募集や家賃の回収、クレーム対応などの入居者管理を代行してもらえます。かわりにオーナー様は、賃貸管理会社に対して管理手数料を毎月支払う契約です。管理手数料の金額は、月額賃料の5%程度が相場になっています。
一般管理契約の経営主体は、あくまでもオーナー様です。経営の方針も、基本的にはオーナー様の意向によって決められます。そのため、もし管理の状況に不満があるようなら、賃貸管理会社を変更することも可能です。
一般管理契約のメリット
賃貸不動産の管理には、オーナー様が自分で管理を行う自主管理という方法もあります。自主管理は賃貸管理会社に支払う管理手数料がかからないなど、費用を抑えられるのはメリットです。しかし、管理業務をすべてオーナー様が自ら行わなければならないため、オーナー様にはかなりの手間や労力がかかるでしょう。
賃貸管理を専門の会社に任せてしまえば、オーナー様の手間を軽減しつつ、物件の収益性を安定させられるのがメリットです。賃貸管理では、滞納家賃の回収や入居者トラブルへの対応など、専門知識が必要だったり、対応力が必要だったりする業務も少なくありません。一般管理契約では、定形的な管理業務を専門の会社に任せることで、オーナー様は経営に専念できます。
一般管理契約のデメリット
一般管理契約では、賃貸管理会社に物件の管理を任せる対価として、毎月管理手数料を支払わなければなりません。管理手数料の相場は家賃の5%程度です。ただし、賃貸管理会社によって請け負う管理業務の範囲や管理手数料の設定は異なり、ある程度の幅があります。
仮に管理手数料が5%、家賃収入が100万円だったとすると、毎月5万円の管理手数料が発生することになります。相場が5%程度とはいえ、手数料が発生する分、実際手にする収益が減少することは避けられません。結果としてキャッシュフローも減少するのが、一般管理契約のデメリットです。
一般管理契約によって委託された賃貸管理会社が適切な管理を実施してくれればいいのですが、賃貸管理会社の管理業務に問題があると賃貸経営にブレーキがかかることになります。トラブルが頻繁に起こるようになると、入居様が早期に退去してしまったり、空室が数多く発生したりという事態も考えられます。
賃貸管理会社へ委託管理をする場合は、オーナー様が会社の質を見極める目を持つ必要があるのです。
管理費削減の改善事例については、以下をご参照ください。
サブリース契約
サブリース契約は、サブリース会社(管理会社)が賃貸不動産を物件ごと一括で借り上げたうえで、入居者様に転貸する契約方式です。一般的には「一括借上契約」や「転貸借契約」とも呼ばれています。
サブリース契約でも入居者募集や家賃の回収、建物のメンテナンスや修繕などを対応してもらえるため、オーナー様には管理業務の負担がかからないのは一般管理契約と同じです。そのため、自主管理で行おうとすると負担が大きくなる管理業務を賃貸管理会社がやってくれる点では、一般管理契約と大きな違いがないように思うかもしれません。
しかし、そもそも両者は仕組みが異なるため注意が必要です。一般管理契約では、あくまでも管理業務を賃貸管理会社に委託する契約であって、入居者様との賃貸借契約は貸主であるオーナー様との間で交わされます。一方でサブリース契約ではオーナー様と賃貸管理会社の間で賃貸借契約を結び、入居者様は賃貸管理会社との間で転貸借契約を結ぶ仕組みです。
サブリース契約の詳細と事例については、以下の記事も参照してください。
サブリースとは?不動産経営や賃貸経営で損しないサブリースの注意点
サブリースの解約ができない原因とは?事例から知る解約方法・トラブル防止法
サブリース契約のメリット
サブリース契約では、物件に関わる管理業務をすべて任せられるのが大きなメリットです。オーナー様の負担を大きく減らせるため、本業で忙しい方や経験があまりない方でも賃貸経営をしやすいでしょう。
また、サブリース契約では、空室リスクや家賃滞納リスクをヘッジできるのもメリットです。自主管理や一般管理契約では空室が発生すると、その分の収入はストップしてしまいます。
短期間で空室が埋まったり、滞納者がいなかったりすれば影響も少ないかもしれませんが、空室が埋まらない場合や滞納が続くようでは、経営には打撃になります。しかし、サブリース契約は空室の有無にかかわらず、毎月一定の保証金額が支払われる仕組みです。
オーナー様に支払われる保証金額は家賃の80~90%程度が相場ですが、安定した収入を確保できるメリットがあります。年間の収支も計算しやすく、オーナー様が確定申告をする際にも負担が少なくなるでしょう。
サブリース契約のデメリット
サブリース契約は空室や家賃の滞納があっても、賃料の80~90%程度という一定の保証金額を得られるのはメリットです。しかし、満室だった場合でも、80~90%程度の保証金額しかオーナー様のところには入りません。満室状態を保っている期間が長いような賃貸経営が順調な物件では、一般管理契約よりもオーナー様の収入が減少する可能性があります。
サブリース契約の中には入居者様の退去後、一定の期間を免責期間としているケースもあります。免責期間中は家賃保証を受けられないため、免責期間が設定されているサブリース契約では家賃収入が得られないのもデメリットです。また、一定期間ごとに賃料の見直しが行われる場合もあり、家賃減額請求をされる可能性もあります。
サブリース契約では賃貸管理会社が賃借人の立場になるため、借地借家法によって借主側の賃貸管理会社が守られます。オーナー様側から契約解除をする場合には「正当事由」が必要となり、解約が非常に困難なのもデメリットです。特に家賃減額請求や解約に関しては、トラブルも報告されているため十分に注意しましょう。
管理委託契約で起きたトラブル事例
管理委託契約においては、オーナー様と賃貸管理会社との間でトラブルが発生する可能性があります。賃貸管理を依頼する際は、どのような状況でトラブルが起きやすいのか知っておくことも大事です。実際に起きたトラブルの事例を紹介しますので、参考にしてください。
事例1. 家賃滞納者への督促業務は含まれていなかった
管理委託契約でトラブルになりやすい事例としてよくあるのは、家賃滞納者が発生した際の対応です。オーナー様としては、家賃の滞納が発生した際、管理を委託している賃貸管理会社が督促業務を行ってくれるものと思い込んでいる場合があります。しかし、実際は督促業務が契約に含まれていなかったというケースもあるのです。
家賃を滞納する入居者様がおらず、滞納が発生していないと、オーナー様と賃貸管理会社との間で認識の違いがあっても気づきにくいかもしれません。滞納が発生してはじめて、オーナー様が自分で督促をしなければならないと気づくこともあり得ます。
なお、滞納家賃の督促をオーナー様が行うにせよ、賃貸管理会社が行うにせよ、督促方法には限度があります。滞納家賃の督促は債権の取り立てにあたる要素があるため、限度を超えたやり方で督促を行うと違法行為や非弁行為になる恐れがあるため要注意です。
対応が難しい家賃滞納者への督促業務が管理委託契約に含まれているかどうか、あらかじめ確認しておく必要があるでしょう。滞納家賃回収などのトラブル対策の事例については、以下を参照してください。
【トラブル事例】賃貸管理会社に求められる対応力とは? 起こりうるリスクも紹介
事例2. 空室なのに管理料の支払いが必要だった
一般的に管理手数料は、家賃の何%という設定がされています。管理手数料の設定については契約時に確認しますが、詳細まで把握していないケースもあります。例えば、管理手数料は家賃の5%だと理解していたものの、空室分も含んで計算するようになっていたことが分かったという事例です。
賃貸管理会社によっては空室の有無にかかわらず、居室数と設定家賃に基づいて管理手数料を計算しているところもあります。
空室が多く発生している状況で空室分も含んだ管理手数料がかかってくると、当然その分だけ収益は減ります。管理委託契約を結ぶ際は、空室に対して賃貸管理料が発生するのかどうかも確認しましょう。
事例3. 更新契約や原状回復に関する費用を誤解していた
月々の管理手数料以外にも賃貸管理会社に支払う費用が発生します。例えば、更新契約に関する手数料に誤解があったケースです。入居者様が更新契約を結ぶ際に更新料を支払うケースがありますが、そこに賃貸管理会社の更新事務手数料がかかるケースです。
賃貸住宅の更新料については、地域の商習慣によっても異なるため、全国一律のルールは存在しません。管理委託契約書に記載されていたにもかかわらず、認識していなかったなど、思わぬタイミングで費用がかかってくるとトラブルになりますので、注意しましょう。
また、退去者が出た際の原状回復手続きを委託している場合、原状回復に関する費用の負担でも誤解をしていた事例があります。委託する賃貸管理業務に退去時の手続きや立ち会い、原状回復工事の手配などが含まれていれば、当然ながら退去後に行う工事の対応はしてくれるでしょう。ただし、原状回復にかかるオーナー様負担分は、別途支払わなければなりません。
原状回復費用に関しては、入居者様とのトラブルも多く報告されていますが、オーナー様と賃貸管理会社の間でも誤解からトラブルになるケースがありますので、契約時にしっかりと確認しましょう。
事例4. 契約解除をしようとしたら違約金を請求された
賃貸管理会社の実力もさまざまで、優良なところもあれば、管理の質がよくないところもあります。客付け力がなく、空室が発生していてもなかなか埋めてもらえない、担当者の対応が悪いなど、あまりにも管理業務に納得がいかないことがあれば、契約を中途解約したいとの考えに至っても仕方ありません。
オーナー様が賃貸管理会社の管理業務に不満を感じている場合、賃貸管理会社を他社に変更することも視野に入れる必要があります。そこで実際に委託先を変更しようとした際、違約金を請求されたという事例もあります。
管理委託契約では、契約期間を定めています。期間内の契約解除には違約金が発生することが一般的ですので、契約解除に関わる約定事項はしっかりと確認しておきましょう。
事例5. 物件を売却する際には管理会社を専任媒介とするように求められた
所有している賃貸不動産を売却する際、当該賃貸管理会社を不動産売却の専任媒介とするよう定められていたという事例もあります。
不動産売却時の媒介契約には、一般媒介と専任媒介、専属専任媒介の3種類があります。専任媒介では物件の売却を依頼できるのが1社だけということもあり、ほかの不動産仲介会社に依頼できないというデメリットがあります。
当該賃貸管理会社がきちんと営業をして、オーナー様に有利な条件で売却できれば問題ありませんが、管理委託の契約内容に売却時の専任媒介を条件に入れる時点でよく確認する必要があると言えるでしょう。
残念ながら、オーナー様に不利な条件で管理委託契約を結ばせる賃貸管理会社も一定数存在しています。トラブルを防ぐためにも、管理委託契約を結ぶ際、しっかり内容を確認することが重要です。よく分からないまま契約してしまわないよう、注意してください。
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管理委託契約とは、賃貸不動産の管理業務を専門の賃貸管理会社に委託する契約です。賃貸不動産のオーナー様には、入居者様から家賃を得るかわりに、住宅の使用収益をさせる義務があり、適切な管理も求められます。賃貸不動産の管理業務には知識を必要とする内容も多く、管理業務を専門とする賃貸管理会社に委託するのがおすすめです。
賃貸管理は不動産投資の核心になりますが、オーナー様と賃貸管理会社との間でのトラブルも報告されています。トラブルを避けつつ適切な管理を行い、入居者様に安心して暮らしてもらうためには、トラブルの事例を踏まえ、信頼できる賃貸管理会社に委託することが重要です。
【リロの不動産】は長年蓄積してきたデータやノウハウをもとに、賃貸経営をサポートしています。賃貸管理の委託を検討しているのなら、信頼と実績に裏打ちされた【リロの不動産】にお任せください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。